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大手銀行が指定金融機関を辞退する動きの背景

 指定金融機関とは、自治体から公金の収納や支払いの事務を一括で任された金融機関を指す。1964年に地方自治法で制度化された。都道府県は指定金融機関を置くよう義務づけられ、任意の市町村も大半が指定している(日経新聞のサイトより)。

 指定金融機関(指定金)は自治体の「金庫番」とも呼ばれ、金融機関の預金獲得競争時代にあっては、指定金の獲得でもしのぎを削ったとされている。

 指定金となった金融機関は地方公共団体を自らのイメージや信用力を維持し高めるための取引相手として重要視しており、手数料無料の収納や支払、全額金融機関側のコスト負担での派出などの特典を提供していた。役所に出張所を置いて、常駐する行員らが税金の収納などにあたるようなこともしていた。

 これは金融機関のイメージ戦略だけでなく、公金預金の運用による利ざや、さらには地方債の引き受け手数料などによって上記の経費がカバーされていた。ところが日銀のマイナス金利政策などもあり、利ざやは縮小し、預金を集めるメリットは低減、さらには地方債の引受での入札制度の導入などから、うまみが消えてきた。このため約60の自治体から指定されている三菱UFJ銀行は手数料の引き上げを求める交渉を始めたそうである。

 その結果、公金の収納や支払いを一手に引き受ける指定金融機関(指定金)で、三菱UFJ銀行は近畿地方を中心に10市ほどで指定を辞退すると、6日の日経新聞が報じた。

 三菱UFJ銀行の例は自治体取引がもはや聖域ではなく、採算をドライに見極める銀行が増えてくることを示していると日経新聞の記事では指摘している。

 それでなくても低金利下で収益拡大が見込めないなか、不採算となるものは切り捨てざるを得ない。そうなると自治体にとっても、金融機関に負担させていた本来掛かるはずの費用を自ら負担せざるを得なくなる。

 金融機関も体力勝負となるなか、この動きは三菱UFJ銀行だけに止まるとも思えない。金融機関の収益構造を考慮すれば、手数料の引き上げ交渉も必要になるであろうし、場合によればうまみ成分の薄れた指定金融機関を辞退するという選択肢も必要になってくるのではなかろうか。

 収納業務にはコンビニや郵便局なども参加するなど、資金の取引形態も変化してきており、指定金融機関という制度そのものを見直す時期に来ているのかもしれない。


# by nihonkokusai | 2019-03-07 09:36 | 金融

年内の日銀の追加緩和の可能性は低い

 米国の中央銀行にあたるFRBは、これまでの正常化路線にブレーキを掛ける姿勢を示しており、年内の利上げ、さらに資産買入の縮小も年内にも停止すると予想されている。

 ECBは夏以降の利上げを探ると予想されていたが、こちらも現状は年内の利上げ観測は後退している。英国のEU離脱問題も抱えてイングランド銀行も動けないとみられる。

 中国の第13期全国人民代表大会(全人代)では、2019年の経済成長率の目標を「6~6.5%」と、2018年の「6.5%前後」から2年ぶりに引き下げた。米中貿易摩擦の影響もあり、中国での景気減速観測も根強い。

 ただし、さすがのトランプ大統領も公約優先では米国経済に深刻な打撃を与えかねないことも理解し始めたのか、米中の通商問題は関税の引き下げ等も検討されはじめているようで、解消に向かう期待も出始めている。

 そして景気の減速観測の強い欧州についても、やや楽観的な見方も出ている。しかし、フランスでの政治情勢、そして英国のEU離脱問題など課題も多く抱えており、それほど楽観視できないことも確かではなかろうか。

 株価をみると昨年のクリスマスあたりを底にして米国株式市場は値を戻しており、日経平均も同様に反発相場となっている。この動きを見る限りにおいて、現状は少なくとも欧米、さらには日本の中央銀行が、追加緩和にまで追い込まれる可能性はそれほど高くはないとみられる。

 為替動向も気になるところではあるが、ドル円についても112円近くまで戻している。いまのところ円高リスクが再燃するような状況とはなっていない。

 国内経済も中国の景気減速などの影響から、減速することも予想されるが、米中の貿易摩擦が解消に向かうことになれば、大きく落ち込むことは考えづらい。今年の改元、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、さらには2025年の大阪万博なども控えて、お祭りムードが継続することも予想される。

 以上のことから少なくとも日銀が年内に追加緩和をせざるをえない事態が生じることは考えづらい。むろんブラックスワンが突如現れる懸念もないわけではないが、いまのところはその兆候もない。日銀の国債の買入は来年度の国債発行額の減額に即したものとし、買入額は実質減額しても、ストック効果が意識されて、債券市場での金利上昇もある程度抑えられると思われる。2%の物価目標が達成される見込みはないが、その達成を誰も望んでもいないこともたしかである。


# by nihonkokusai | 2019-03-06 09:43 | 日銀

退職金の資産運用などでは投資のリスクを知ることが大事

 最近、知り合いなどから資産運用の問い合わせを受けることが多くなってきた。上がる株を知りたいとか、ある株式運用方法をみつけたのだが、これは使えるのかといった問い合わせであった。

 これまで株式などに手を出してこなかった人達が定年を迎えて退職金を手にし、まとまったお金をどうするのか。お金と時間の余裕を持ったことで、それをどう運用したら良いのかを考えているようである。

 金利が極めて低い状態にあるため、同様の悩みを持つ人達は多いとみられる。銀行に預けるだけではほとんど利子が付かず、ある程度の運用益を出せるとするものに資金を傾けたいとの気持ちはわからなくもない。

 以前にも指摘したが、国債や預貯金の利回りや利子を大きく上回って提示された運用利回りについては、ひとまず疑ってかかってほしい。少なくとも年間の運用利回りが1%を大きく超えているものについては、金融商品以外を含めて何かしらリスクが存在する。また、予想運用利回りというのもあるが、それは運用利回りがマイナスとなる可能性もあることも念頭に置いて欲しい。そのリスクが何であるのかが理解できないのであれば、その投資はやめたほうが良い。

 さらに株式やFXの投資などについて、儲かるとしている投資手法についても疑ってかかる必要がある。上がる株を事前に知ることなどはできないし、この投資方法ならば必ず儲けられるというものも存在しない。そんなことはないとの反論もあるかもしれないが、ディーラーとして14年相場に直接接携わったものとしての結論でもある。ただし、こういったことはやってはいけないということはたしかにいくつかあり、それを知ることは必要と思われる。それについてはいずれ書いてみたい、

 ちなみに投資を生業にしている個人の人もいる。何億円と儲ける人がいるのも確かである。しかし、そういう人達の投資手段については、自分なりに試行錯誤した上で、ある程度の投資経験を積み重ねた結果、相場の感覚を自分なりに身につけたものであろう。この人達と同じようなことをしようとしても、そのやり方をコピーすることはできない。また、この人達に公式や法則などが存在しているわけではなく、値動きや流れてくるニュースなどに経験値が反応して売買しているとみられる。

 これから投資をしたいのであれば、まずは経験を積むことであり、また投資対象となるものに対しての知識を得ることが重要である。なかには値動きだけをみて稼ぐディーラーも知り合いに確かにいたが、彼も商品知識を得ることで、さらに安定して稼ぐことができていた。

 「儲けたい」というのであれば短期運用となり、それは投資というよりやや投機に近くなる。その対象となるものについて最低限必要なのが流動性となる。そうなると株式やドル円などがまずは対象となろう。投機となればあくまで余裕資金の運用となり、老後に必要となるような資金はあてるべきではない。


# by nihonkokusai | 2019-03-05 10:06 | 投資

乱立するQRコード決済がキャッシュレス化の決め手となるのか

 ここにきてQRコードを使ったスマートフォンを利用した決済方式が次々と誕生してきている。LINE Pay、PayPay、楽天ペイ、Origamiなどに加えて、みずほ銀行は2019年3月にJコインペイを開始する予定で、7月ごろにファミマペイ、セブンペイとコンビニ系、またヨドバシカメラもヨドペイを開始するとの観測も出ている。

 まさに乱立状態となっており、中国のように乱立したQRコード決済のなかから、2つ程度のQRコード決済に絞られてくるのであろうか。注意すべきは日本が遅れているとされるキャッシュレス化がイコールQRコード決済ではないという点にある。QRコード決済が広がらないと日本のキャッシュレス化が進まないというわけではない。

 キャッシュレスとは何か。キャッシュレス化とはその言葉通りに現金を使わずに決済を行う方式である。ただし、具体的にキャッシュレス化とは何かといえば、範囲を定めることは難しい。

 たとえば給与の銀行振り込みや公共料金の銀行、もしくはクレジットカードでの引き落としなどもキャッシュレスの一環といえよう。現在、通勤通学などでの公共交通機関での利用はその多くでSuicaなどでの電子カードが利用されている。スーパーやコンビニなどでも独自の電子カードが多く利用されている。

 さらにアマゾンや楽天などを利用した電子商取引についても主にクレジットカードが使われていることで、こちらもキャッシュレス決済となっている。

 百貨店や大型家電店などでの買い物では、クレジットカードの利用も多いであろう。これらをすべてキャッシュレスとの括りにすれば、日本のキャッシュレス化は決して遅れてはいない。

 ただし、日本では韓国のようにデビットカードの利用が進まず、中国やスウェーデンのようにQRコード決済が一般的となっておらず、香港や台湾のようにひとつの交通系カードで買い物もタクシーも使えるといった状況にはなってはいないことも確かである。

 日本ではキャッシュレス化が遅れているというより、いくつかの方式の電子決済を使い分けているという状況となっている。もし今後QRコード決済が広がったとしても、電子決済にあらたな方式がひとつ加わった程度となるのではなかろうか。それにキャッシュレス決済が集約されるとも考えづらい。技術的な問題もあるとは思うが、可能性からすると海外からの観光客にも利用可能なようにSuicaなどの電子カードの統一化が望ましいと個人的には思っている。


# by nihonkokusai | 2019-03-04 09:47 | キャッシュレス

日銀による国債買入で長期ゾーンは実質減額か

 日銀は2月28日の17時に「当面の長期国債等の買入れの運営について」を公表した。これは翌月、つまり3月の日銀による国債買入の予定表ともいえるものである。

 ここで注目すべきものは、当面の月間買入予定の年限別の「1回当たりオファー金額」のレンジと、現時点で予定している日程の部分、特にその回数となる。

 残存期間については1年以下の短期債、1年超5年以下の中期債(さらに1年超3年以下と3年超5年以下に分かれる)、5年超10年以下の長期債、10年超の超長期債(こちらも10年超25年以下、25年超に分かれる)。そして、物価連動債、変動利付債に区分されている。

 今回、回数に修正が入ったのが、5年超10年以下の長期債の部分となった。2月のオファー金額は3000~6000億円程度が5回であったものが、3月の予定はオファー金額が3000~6500億円程度に修正された上で、回数が4回に減らされていた。

 オファー金額はレンジとなっているものの、一回あたりのオファー額は毎回動くようなことはなく、前回までの5年超10年以下のオファー額は4300億円となっていた。これがいくらになるのかは、次回の5年超10年以下の買入予定の3月6日に実際のオファー額を確認するまでわからない。しかし、トータルでみて、2月の4300億円の5回分の2兆1500億円からは減額されることが予想される。

 たとえば4500億円の4回で1兆8000億円、もしくは4700億円の4回で1兆8800億円などが予想される。

 新年度入りする4月から10年国債の毎月の発行額が2兆1000億円と1000億円減額される。これを意識しての減額となることが予想される。切りの良いところで一回あたり4500億円にするのではないか。

 ちなみに10年債は今回も入札日の3月5日の翌日の6日に5年超10年以下の長期債の買入が予定されている。

 28日の夕方の「当面の長期国債等の買入れの運営について」の公表を受けて、債券先物は売られたようだが、米債安の影響もあっての28日のナイトセッションの下落でもあったことで、それほどサプライズとして売られたわけではないと思われる。


# by nihonkokusai | 2019-03-02 16:35 | 国債
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