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仮想通貨の呼び名を「暗号資産」に改める。ビットコインは通貨ではない理由

 金融庁はビットコインなどインターネット上で取引される仮想通貨の呼び名を「暗号資産」に改める。日本円やドルなどの法定通貨と誤解される恐れがあるほか、20カ国・地域(G20)会議などの国際会議で暗号資産との表現が主流であるため日本でも統一する(18日付日本経済新聞)。

 この記事には有識者で構成する「仮想通貨交換業等に関する研究会」で報告書案を示したとあり、金融庁のサイトで確認したところ、「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)の報告書の最後の方に次のような記述があった。

 「最近では、国際的な議論の場において、“crypto-asset”(「暗号資産」)との表現が用いられつつある。また、現行の資金決済法において、仮想通貨交換業者に対して、法定通貨との誤認防止のための顧客への説明義務を課しているが、なお「仮想通貨」の呼称は誤解を生みやすい、との指摘もある。こうした国際的な動向等を踏まえれば、法令上、「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更することが考えられる。」

「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第11回)の報告書

https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20181214-1.pdf

 ここで議論されそうなのは、そもそも通貨とは何かとの問題となる。貨幣は、石であったり貝であったり、金銀であったり、紙であったりするが、そもそもそこに存在すべきものは、それを使う人との間での「信用」となる。その信用を維持させるために、長きにわたる金融の歴史が存在する。その結果として、現在は政府から独立した中央銀行が発券機能を有するようになり、管理通貨制度が発達してきたのである。

 ただし、これは歴史の途中でのものとの認識もあろう。日本では明治時代の途中までは中央銀行など存在していなかった。それとは異なるシステムが歴史とともに構築されてきた。そうとなれば、ビットコインなど仮想通貨と呼ばれたものが、あらたな通貨として流通する可能性も当初は意識されたものと思われる。

 しかし、現代の金融システムはかなり高度化、複雑化している。通貨を巡るインフラ整備についても、かなりの労力と費用が投じられている。そうでなければ万全の通貨インフラは構築できない。そのための機能を果たしているのが中央銀行である。中央銀行は金融政策だけを行っているわけではない、というよりもそのほとんどの機能が通貨インフラのためにあるといっても過言ではなく、金融政策も通貨価値を安定させるためのものである。

 そこに管理者不在ともされる仮想通貨が出てきても、インフラの不備が仮想通貨そのものの信認を得られず、残念ながら通貨としては認められないという結論となってきている。

 さらに投機的な動きも出たことによって、安定させるべき価値が乱高下してしまったことも通貨としての役割を担うには無理がある。通貨には価値尺度という機能もあり、その機能も見いだせないこととなる。通貨の交換機能についても、紙幣などに比べてかなり使いづらい。当然ながら日本国中どこでもいつでも使えるわけではない。貨幣のもうひとつの役割、保存についても、仮想通貨の流出問題があり、やはり通貨としての機能に問題がある。

 いずれにしても、ビットコインなどは通貨と呼べるものでは決してない。その意味では「暗号資産」との呼び方の方が理に適っていよう。


# by nihonkokusai | 2018-12-19 09:47 | 金融 | Comments(0)

海外投資家が日本国債を大量に購入、その背景とは

 財務省が13日に発表した12月2日~12月8日の対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、対内中長期債投資は1兆7175億円の買い越しとなった。買い越しは3週連続となり、2005年1月までさかのぼる財務省のデータによると、これは過去最高となるそうである(ロイターとブルムバーグの記事参照)。

 財務省の対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)をあらためて確認すると、12月2日~12月8日は短期債も1兆9616億円買い越しており、短期債も加えると3兆6791億円もの買い越しとなっていた。

 日本の債券市場は10月下旬あたりから上昇基調となっているが、この背景にはこのような海外投資家による根強い買いとともに、米国債の上昇があった。さらに債券先物はナイトセッションの出来高も多くなっていることから、海外投資家は債券先物にも仕掛け的な買いを入れていたように思われる。

 海外投資家が中短期債を主体に日本国債を購入しているのは、ドル円ベーシススワップの上乗せ金利が拡大していたことが背景にあった。ドルを円に替えて投資すると上乗せ金利が発生し、多少のマイナス金利でも利ざやが稼げるという仕組みとなっている。

 これに対して日本国内の投資家にとっては、すでに10年近い金利がマイナスとなっていることで、10年未満の国債で満期資金運用するとマイナスの収益となってしまう。このため、日銀担保などの用途以外ではマイナス金利となっている中短期債には投資しづらい環境にある。

 かろうじてプラスの金利となっている10年を超える国債の利回りでも、ここにきての急速な利回り低下で、さらに運用しづらい環境となっている。しかし、海外投資家は上乗せ金利が発生する限りは、積極的な日本国債の購入が可能となっている。

 念のため、これは政治的な何かしらの意図を持った買いではないとみられる。日本国債を政治目的で大量に保有してもあまり意味をなさないように思われる。

 そもそも最も日本国債を保有しているのは日本銀行であることで、海外投資家による買い占めといったことは起こりえない。それでも日本国債の保有者はかなり偏りつつあることも確かである。

 日本銀行による国債の大量買入が永遠に続くことは考えづらい。実際に日銀は14日に残存5年超10年以下の国債買入額を減額するなど買入額を減少させつつある。来年度の国債発行額は20年以下が減額される見込みともなっているため、日銀はさらに減額させてくるとみられるものの、それでもその存在感は大きい。

 日銀の日本国債の大量買入と状況次第では売り方に回りかねない海外投資家の日本国債の保有額の増額は、今後の出口政策をさらに困難にさせかねない。


# by nihonkokusai | 2018-12-18 09:41 | 国債 | Comments(0)

日銀の金融政策の軌道修正は不可能なのか

 日銀は物価目標の達成を待たずに現在の異次元緩和と呼ばれる金融政策を軌道修正するのではないかとの観測が債券市場関係者を主体に出ていた。しかし、ここにきての米国を含む世界的な経済減速への懸念、それによるFRBの利上げ停止観測などもあり、それでなくても困難とされる日銀の軌道修正がさらに困難になるのではとの観測も強まっている。

 日銀の金融政策の軌道修正とは、まずはマイナス金利政策の解除であり、長期金利ターゲットの引き上げなども含まれる。本来であれば、長期金利コントロールの解除も行う必要があると思われるが、日銀の金融政策の目標が金利となっている以上、これは利上げと認識される可能性もあり、こちらはなかなか難しい。

 もちろんマイナス金利政策の解除も金利引き上げに映るかもしれないが、あくまでマイナス金利は日銀への準備預金の一部に掛かるものであり、解除しても影響は限定的な上に、マイナス金利が解消されると銀行などにとっては収益改善に繋がる。

 しかしこれすらも現状は解除が難しいのも確かである。ここにきて黒田日銀総裁もストック効果という言葉を使っているが、すでにある日銀の巨額の保有資産によるストック効果でも十分緩和効果はあるとの認識を広めれば、多少なりの軌道修正も可能ではなかろうか。

 それでもそれを可能とさせる環境としては外為市場への影響などを考慮し、FRBの正常化、つまり利上げが続いているタイミングがベストとなる。さらにECBも正常化に舵を取っているタイミングが良い。しかし、すでにそれを可能とさせるタイムリミットが近づきつつあるように思われる。

 今後もし世界的に景気が悪化するような事態になり、世界的なリスクが強まるなどすると日銀は追い込まれかねない。追加緩和を行うにしても、現在の金融政策の対象が金利となっていることで、マイナス金利政策の深掘りは効果は見えないどころか、金融機関の収益環境をさらに悪化しかねない。長期金利をマイナスにしたところで、それによる効果よりも債券市場の機能をさらに後退させかねない。金利を量に戻すにしても、ここからさらに巨額の国債買入を行うにも無理がある。

 本来であれば経済や物価環境に合わせた正常化をすべきであったが、それができないならば多少なり軌道修正を行った上で、現在の緩和策というかストック効果を維持させるだけでも十分な緩和効果が出ることをアピールする必要があろう。ただし、これ以上のコミットメントの強化などはさらに自らを縛りつけることにもなりかねず、そういったものは避けて、調整の余地を残すような対応が望まれよう。


# by nihonkokusai | 2018-12-17 09:24 | 日銀 | Comments(0)

ECBは正常化に向けて一歩踏み出す

 欧州中央銀行(ECB)は13日の政策理事会において、主要政策金利を据え置くと同時に、4年近くに及んだ2兆6000億ユーロ規模の量的緩和(QE)を終了させることを正式に決定した。ECBも非常時の緩和策から平時の緩和策に戻す、いわゆる正常化に向けた一歩を進めた。

 保有債券の満期償還金の再投資についてのガイダンスを変更し、「政策金利引き上げの開始後も長期にわたり続ける」とした。その政策金利については、少なくとも2019年夏の終わりまで据え置くとした。

 市場では保有債券の償還金の再投資についてのガイダンス変更を好感し、外為市場でユーロが買われ、周辺国の国債が買われるなどした。

 本来であれば、膨らみすぎたECBの保有資産を減少させていくべきと思うが、正常化に向けた動きはかなり慎重に行ってくるものとみられ、巨額の保有資産を維持させることで、いわゆるストック効果を協調した動きとみられる。

 今後の利上げについては「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」との表現を後退させるかなとみていたが、これはそのまま据え置いた。

 ドラギ総裁は会見で「ユーロ圏経済の成長見通しを巡るリスクは、おおむね均衡していると引き続き判断することができる」と指摘していたものの、「しかし、地政学的要因を巡る先行き不透明性が払しょくされないこと、保護主義の脅威、新興国市場の脆弱性、金融市場のボラティリティーを踏まえると、リスクのバランスは下向きに傾きつつある」と述べた(ロイター)。

 これをみても今後の利上げについては、かなり慎重に行うであろうことが予想される。たしかに夏まで動かさないとしていることで、半年以上も先であり、いろいろと状況が変化している可能性はある。むろん景気後退リスクも大きいとみられるものの、それほど落ち込みがないという可能性もある。利上げについては現状は行うつもりはあっても、白紙状態ともいえるのではなかろうか。

 これでFRBやイングランド銀行などに続いてECBも正常化に向けて歩みを進めてきた。これに対して、いっこうに物価目標の達成の見込みのない日銀は、正常化という言葉を封印しているかにみえる。現実には買い入れる国債の量など減らしているものの、ETFの買入などは年6兆円を超えるなど、何故いまだにそんなことをしてるの状態にある。頑なな姿勢をなんとか打破しないと、今後の金融経済を取り巻く環境の変化に対応できなくなるリスクが出てこよう。


# by nihonkokusai | 2018-12-15 09:50 | 中央銀行 | Comments(0)

英国のメイ首相の迷走は続く

 12日に英国の与党・保守党はメイ党首に対する不信任投票を行うことを明らかにした。党の下院議員が1922年委員会委員長に提出した首相不信任の書簡が、規定の48通に達したため、不信任案投票が行われることとなった(BBC)。

 本来であれば11日に欧州連合(EU)離脱案の議会採決を行うはずが、それが通ることが難しいと判断してメイ首相は大敗を避けるために採決を先延ばしした。これに反対派が勢いづいた格好となった。

 メイ首相が保守党下院議員315人のうち過半数の158人から支持を得ることが出来ないと、党首は不信任になると後任を決める党首選に再立候補できないため、首相交代もあり得る事態となった。

 一時的に党を離れていた議員も含め317人が投票した結果は、信任200、不信任117で、メイ氏の信任が決まった。

 これを受けて外為市場では英国のポンドが買い戻され、欧米の株式市場は上昇した。リスク回避の巻き戻しの動きで、英国債は売られていた。

 メイ首相は投票に先立ち、2022年5月に見込まれる次期総選挙の前に退任する考えを表明しており、自らの退任と引き換えに離脱合意案への党内の支持を呼び掛けた格好となった。

 まさに背水の陣のなったわけではあるが、合意なき離脱は回避したいとの意向も今回の投票結果には反映されているとみられる。今回はEUからの決別も辞さない強硬離脱派の議員を中心に書簡が集まったことで、これは離脱回避に向けた動きではなく、ソフトブレグジット路線を目指すメイ党首の動きを批判する動きともいえた。ただし、議員のなかには国民投票の再実施を求めるEU残留派などもいることで、これも問題を複雑化している。

 英国のEU離脱まであと100日余りに迫る中、こんなことで時間を取られている場合ではないとの見方もあった。今回の不信任案投票はなんとか乗り切った格好のメイ首相ではあるが、党内の亀裂は予想以上に大きいとされ、これで欧州連合(EU)離脱案の英国議会での承認を得られるというわけでもなく、まだまだハードルは高いようにみえる。この難局をメイ首相はどのように乗り切るのか。メイ首相の迷走は続く。


# by nihonkokusai | 2018-12-14 09:36 | 国際情勢 | Comments(0)

日本国債は日銀の手の平のなかで動いている孫悟空か

 大阪取引所に上場している日本の債券市場のベンチマークともいえる長期国債先物(以下、債券先物)は、10日のナイトセッションで151円89銭まで上昇した。今回の債券先物の上昇の起点は10月23日あたりで、この日の引けは150円29銭の高値引けとなっていた。これ以降、ほぼ一本調子の上昇となっていた。債券先物の出来高も次第に増加し、株安などを背景とした仕掛け的な動きが強まりつつあった。

 その後の債券先物の上昇の原動力となったのは米国債の上昇といえるが、こちらは少しタイムラグを置いて11月8日あたりから上昇基調となっていた。米債の上昇の背景となっていたのは、米中貿易摩擦を巡る懸念、英国のEU離脱問題などの国際情勢を受けたリスク回避の動きもあったが、来年の世界的な景気減速懸念も背景となっていた。FRBの利上げペースを巡る思惑なども次第に強まってきた。

 この米債高もあり、債券先物は日々の値動きも大きくなってきた。出来高も多い状態が続いたが、なかでもナイトセッションの出来高の多さが目立っていた。これは10月あたりから始まっており、ナイトセッションの出来高が1兆円を超す日も出てきていた。これは時間帯からみて海外投資家の動き、もしくは一部ディーラーがデイトレードを増加させていた可能性がある。

 ただし、現物債の商いはそれほど多くはない。10年債利回りは0.10%どころか0.05%も割り込んできたものの、これは債券先物に引っ張られたともいえる。

 12月13日の債券先物12月限の最終売買日に向けた中心限月の移行も睨み、踏み上げ圧力も意識されて、10日のナイトセッションで直近の高値を取りに来た格好となった。日銀の大量の国債買入でチーペストと呼ばれる債券先物と連動する銘柄の品薄感などから、先物は買い戻しが入りやすい。今回は米債高もあり債券先物の踏み上げ圧力が強まったと言える。

 債券先物の中心限月が実質的に3月限となってからも、相場は米債の動き次第となるとみられる。特に米債も動いている時間帯のナイトセッションの仕掛け的な動きはまだ続く可能性はある。

 これによって債券の機能が回復しているように見えなくもない。現物債市場が動きが取りづらい分、債券先物を使ったディーリング的な商いが増えることは好感したいが、それでも日銀の手の平のなかで動いている孫悟空に過ぎないことも確かである。昔のように自由に空を飛べない限り、本来の意味での債券市場の機能が回復したとはいえない。


# by nihonkokusai | 2018-12-13 09:56 | 債券市場 | Comments(0)

混迷する英国のEU離脱(ブレグジット)問題

 英国のメイ首相は11日に予定していた欧州連合(EU)離脱案の議会採決を延期すると表明した。英議会では離脱案への反発が強く、メイ政権は大敗を避けるために採決を先延ばししたとされる。

 ある程度予想された事態が発生した。このまま採決に持ち込めば、反対多数となることが予想され、無秩序な離脱の可能性が強まることになる。

 メイ首相の欧州連合(EU)離脱計画が議会の承認を得られず無秩序な離脱に至る場合、英経済は少なくとも第2次世界大戦以降で最悪の不況に陥る恐れがあると、イングランド銀行が28日公表した報告書で厳しい警告を発していた。

 とはいえ、解決策も見いだせない。そもそも論として離脱するならきっぱりと離脱すべきだが、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間での国境管理という問題が存在する。

 離脱案では、問題が解決するまでの安全策として「英国をEUとの関税同盟に残す」という安全策などを盛り込んだそうだが、これにはきっぱり離脱すべき派が、うんとは言わない。さらに議会は果たして国民が選択した離脱を選択しようとしているのかにも疑問が残る。

 アイルランドの国境問題が引っかかっていることで、メイ首相も将来、安全策から確実に抜け出せる妙案も示せないでいる。しかし、これはあくまでひとつの理由である。これまでのような欧州連合(EU)に残ることで得ていた利点を失いたくはないというのも大きな要因とみられる。

 EUのトゥスク大統領は10日、採決延期を受け、ツイッターに「英国との離脱案の再交渉には応じない」と投稿した。一方で「英議会の承認を容易にする方法を議論する用意はある」と述べ、メイ首相との対話には応じる考えを示した(日経新聞電子版)。

 メイ首相が苦境に立たされていることは十分承知ながら、安易な妥協も当然できない。このままでは英国を主体とした金融経済危機が生じる懸念もある。EU内ではフランスの状勢もやや怪しくなってきている。米中の貿易摩擦への懸念も再度強まるなか、あらたなリスクが欧州から生じる可能性もありうるため、今後の状勢も慎重に見ていく必要がありそうである。


# by nihonkokusai | 2018-12-12 09:37 | 国際情勢 | Comments(0)

日銀の金融緩和これくしょんの行く末

 艦隊これくしょん(艦これ)というゲームがある。元々はパソコンのプラウザゲームであったが、現在ではスマートホンでもできる。ユーザー数は200万人を突破し、人気ゲームといえる。実は私もこのゲームをしており、先日、ユーザーのオフ会に参加した。その席での会話のなかで、面白い事実が明らかとなった。

 艦隊これくしょんのブラウザ版のサービスを開始したのが、2013年4月23日であった。つまり開始して5年以上経過している。このゲームは太平洋戦争における日本海軍の艦隊がモデルになっている。その太平洋戦争は1941年12月8日の真珠湾攻撃に始まり、1945年8月15日に終戦を迎えた。

 つまり太平洋戦争の日本海軍の艦隊がモデルとなってゲームが、太平洋戦争の期間を超えてきたのである。それだけ人気を博しているともいえる。私自身、このゲームを通じてこれだけの数の戦争に投じられた船が存在し、多くの海戦があったことを思い知らされた。日本海軍がどのようにして負けていったのかもこのゲームを通じてあらためて知るようになった。

 ちなみに私は横須賀生まれだが、父親が親戚の元海軍将校を頼って横須賀に住んでいたことを、父の死後だいぶ経ってから知った。

 それはさておき、その面白い事実というのは、2013年4月に、やはりこれほど長く続くと予想されていなかったものが始まっていたのである。日銀は2013年4月4日に量的・質的緩和政策、いわゆる異次元緩和策を決定した。これは2年で2%の物価目標を達成するためとして、非常に大胆な非常時対応ともいえる緩和策を講じた。

 太平洋戦争も山本五十六など現実には米国を相手にまともに戦えるとは思っていなかったようで、短期決戦で講和条約に持ち込むことが目的であったとされる。しかし、初戦では戦果を挙げてもミッドウェー海戦あたりから状勢は変わり、泥沼化する。

 日銀の異次元緩和も当初1年間は順調に見えた。しかし、日銀が目標とする消費者物価指数は2014年4月の前年比プラス1.5%まで上昇した後は低迷する。これをこのタイミングでスタートした消費増税による影響が大きかったためとする意見がある。まったく影響はなかったとは言わないまでも、それよりも大胆な緩和策が物価に波及する経路そのものが見いだされていないなか、他の要因を含めた一時的な物価上昇ではなかったのかとの見方ができる。

 結局、日銀の金融政策もそれから泥沼化する。緩和の総動員となり、結果として「長短金利操作付き量的・質的緩和策」となり、現在に至る。まさに金融緩和これくしょん(緩これ?)とも言える状況にある。しかし、いまだ物価目標は達成されていない。現在ではこの異次元の金融緩和策をどのようにして続けられるのかを模索しているような状況にも映る。

 現在の日銀の金融政策の末路が太平洋戦争のようになると言うわけではないものの、両者ともに予想された戦果は上がらず、出口政策が取れなくなってしまったという状況は似ている。始めてしまった以上、負けを負けとして認められないというのはわからなくはない。しかし、それにより大きな犠牲を生んでしまう懸念はある。このあたり歴史に習うことも必要ではないかと思うのである。


# by nihonkokusai | 2018-12-11 09:43 | 日銀 | Comments(0)

日本国債の急変動に備え、墓場まで持っていってもらっては困る情報

 先日、元日銀関係者と話をする機会があった。金融政策の決定にも関わっていた人であり、話のなかで「墓場まで持っていく」という表現が気になった。その話の内容については当然ながら話してはくれなかったが、察するに日銀の金融政策の変遷において議事要旨どころか議事録にも載らない話というものが存在していることに、あらためて気付かされた。

 政治家や大手企業経営者のみならず、その立場によっては、墓場まで持っていかざるを得ない情報というか、守秘義務が生じる情報を明らかにしないまま消えてしまったものは多数あると思う。

 なぜそんなことを考えていたのかというと、現在の日銀による異次元の緩和策からは、いずれ出口に向かわざるを得なくなると思ったためである。日銀の出口戦略により何が起きるのか、そのためにはどのような準備をしておく必要があるのかを考えておくことも必要であろう。もちろん想定されるのは、日銀の出口戦略による債券市場への影響となる。

 外為市場や株式市場も無関係ではいられないが、現在の日銀の金融政策は長期金利コントロールが含まれており、いわゆる国債の官製相場からの脱却が見込まれ、それによる債券市場の動揺は免れない。もし市場がオーバーシュートしたならば、どのような対処が必要なのか。

 債券市場のクラッシュの事例はそれほど多くはない。また同じようなクラッシュになると想定することがそもそもおかしいこともわかってはいる。それでも例えば1998年末の「資金運用部ショック」では何が要因となり、どのような対処がされ、市場はどのような動きとなっていたのかを各方面からスポットをあてて探ることで、クラッシュ時の状態を再現することも必要になるのではなかろうかと思うのである。

 ちなみに運用部ショックは、当時、現在の日銀のように国債を大量に保有し、市場から日銀のオペのような買入も行っていた資金運用部が、国債引受を削減させるとか、国債買入を停止するとのアナウンスがひとつのきっかけとなっていた。

 運用部ショックに関わる情報については、各方面がそれぞれ秘密裏に抱え込んでいることで、実態を明らかにすることはかなり難しいと言わざるを得ない。たとえば現実に誰が国債を大量に売ったのか、また債券先物を売ったのは誰か。具体的な手口情報は当事者や取引所関係者などしか入手できない。クラッシュに対して財務省や日銀はどのような動きを具体的にしていたのかについても当事者でなければわからない。我々が知っているのは新聞記事に載ったもの、市場での噂などによる情報、実際の価格の動きでしかなかった。

 運用ショックの分析が果たして日銀の出口戦略に行かせるかどうかはわからない。それでも債券市場の現実のクラッシュがどのようにして起き、どのようにして収縮していったのかを明らかにしておくだけでも事前準備にはなるのではなかろうか。そのためには墓場まで持っていってもらっては困る情報が多数あるように思われたのである。


# by nihonkokusai | 2018-12-09 18:06 | 日銀 | Comments(0)

FRBの利上げ停止観測は金融市場の救世主になりうるのか

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)が「FRBは18~19日のFOMCで利上げをした後、(利上げを一時休止して)様子をみることを検討している」と報じた。

 6日の米国株式市場では、ダウ平均は一時785ドル安まで下げたが、この記事を受けて急速に下げ幅を縮小させて結局、ダウ平均は79ドル安となった。

 以前にもFRBのパウエル議長は、金融当局が進めている政策金利の引き上げについて、将来のある時点でいったん休止する可能性があることを示唆したことがある。これは今年8月の出来事であったが、現実には9月に利上げが決定され、12月もFOMCでも利上げが決定されていると見込まれている。

 パウエル議長は11月28日のニューヨークでの講演で、「金利は歴史的な基準ではなお低く、依然として経済に対して中立な水準を巡る幅広い推計値をわずかに下回る」と述べ、政策金利が景気をふかしも冷やしもしない「中立金利」に近いとも言及した。

 市場ではこの発言を受けて利上げの打ち止めが近いのではないかとの思惑が広がった。このときの講演の主題が金融政策ではなかったことで、何かしらの示唆を与えたわけではないとの見方もあった。しかし、私はこの発言は意図的なものではなかったかと思っている。ニュアンスが大きく変化してきた兆しのように思えた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事も観測に過ぎないかもしれないが、FRBの意志が見え隠れしているように思われる。現在の米国を取り巻く状況や金融市場の動向を見る限り、FRBの利上げについては12月18~19日のFOMCの利上げでいったん打ち止めして、様子を見る必要があるのではないかと思われる。

 米中貿易戦争は一時休戦となったが、今後はファーウェイ問題なども絡みさらに激化する懸念がある。原油を巡る動きも不透明感強め、英国のEU離脱を巡る今後の動きも読めない状況にある。

 私が先月末に書いた「米国利上げの早期打ち止め観測」でも指摘したが、現実には12月のFOMCでの利上げは行っても、それ以降はかなり不透明感を強めることも予想される。今回のパウエル議長の発言(11月28日のニューヨークでの講演)の背景としては、トランプ政権への配慮といったものではなく、原油価格が大きく下落するなどしていることで、米国景気そのものの減速懸念などがあると思われる。そうであれば雇用統計など含めた経済指標での悪化が目立つようになれば、利上げを早めに停止してくる可能性はある。

 ちなみに7日に発表された11月の米雇用統計では、非農業雇用者数は前月比15.5万人増と予想を下回ったが、失業率は3.7%と横ばいとなり、平均時給伸び率は前年同月比3.1%と高止まりした。この数値を見る限り、いまのところ米国の景気減速感はそれほど出ていない。

 注意すべきは、FRBが来年の利上げを休止したとしても、それで米国株式市場などの地合いが一変するとは考えづらいことである。もちろんいったんは好感し、パウエルプットなる表現も飛び交うかもしれないが、そもそも米利上げが米国株式市場の調整等の主因であったわけではない。米中間を巡る貿易戦争などが解決に向かわない限り、さらに世界的な景気減速観測が後退しない限り、地合が大きくかわるとは思えない。金融政策だけが金融市場の決定要因ではない。


# by nihonkokusai | 2018-12-08 10:51 | 中央銀行 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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