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長期国債先物を対象にした相場操縦で2億円を超える課徴金、いったい何があったのか

 証券取引等監視委員会は29日、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社に対し、長期国債先物に係る相場操縦を行ったとして、2億1837万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告したと発表した。

 証券会社による長期国債先物を対象にした相場操縦は初めてとなる。また、デリバティブ(金融派生商品)に限ると、過去最大の課徴金額になるそうである。

 さすがにこれはびっくりした。私自身、長期国債先物(債券先物)に関わりたくて債券ディーラーとなったぐらいであり、1985年の債券先物の上場以来、15年程度は直接関わり、その後も間接的ながら関わってきた。

 はっきり言って、何を今更という気がしなくもない。私が債券ディーラー時代には、今回の処罰の対象となった「見せ玉」のようなものは、ある意味日常茶飯事であったように思う。寄り付き前とかに大きな板を入れたり、出したりするのが普通にあった(と思う)。

 それでもこれまで今回のような相場操縦の疑いで課徴金が課せられることがなかったのは、それがプロ同士の世界であったからだと勝手に解釈していた。ところが、債券先物が上場して33年目にして、見せ玉による相場操縦で課徴金が課せられたというのは、いったい何があったのか。

 しかも、それが三菱UFJモルガン・スタンレー証券ということで二度びっくりである。取引所での債券先物については株の取引と異なり、銀行が準会員として取引に参加している。それだけ都銀を中心とした銀行は債券市場に大きな影響力を持っている。そのなかでも特に三菱銀行は一目置かれた存在ともいえた。その三菱銀行(いまは三菱UFJ銀行)の系列の証券会社に課徴金が課せられたのである。

 証券取引等監視委員会がサイトにアップした「三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について」によると、相場操縦が行われたのは昨年8月25日午後6時34分頃から同日午後7時9分頃までの間。

 債券先物は前後場と呼ばれる日中の商いが終了したあと、ナイトセッションという取引が15時半から翌日の5時半まで行われている。今回、見せ玉が行われたのは売買高が少ないナイトセッションで行われたものである。

 手元のデータによると8月25日のナイトセッションの債券先物の売買高は5426億円となっていた。ちなみに25日の日中の商いは2兆4731億円となっており、ナイトセッションの売買高の少なさがわかろう。値動きも日中は150円95銭から151円10銭と15銭動いていたのに対し、ナイトセッションは151円07銭から151円17銭と10銭しかなかった。

 現在のほうが債券先物は日中3銭しか動かないなど、さらに膠着相場となっているが、昨年8月あたりも15銭しか動かない、との感覚であったろうと思う。

 それで動かなさに嫌気が差して?見せ玉を使って、151円13銭で177枚ショート(売)して、151円12銭で見せ玉を使って158枚をカバー(買い戻し)したのであろうか。158枚を1銭抜いたので158万円の利益である。どうやらこれを行ったのは一人のディーラーだったようで、見せ玉で商いを作って、158万円の利益のために、結果として2億円を超える課徴金が課せられたことになる。


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# by nihonkokusai | 2018-07-01 18:09 | 債券市場 | Comments(0)

原油先物価格が3年7か月ぶりの高値をつけ、80ドルが視野に

 6月29日のニューヨーク・マーカンタイル取引所で原油先物相場は4日続伸となった。WTI先物8月限は70セント高の74.15ドルとなった。一時74.46ドルと期近物として約3年7か月ぶりの高値を連日で更新した。

 原油先物は5月21日に72ドル台に乗せ、2014年11月以来の高値をつけた。これは米国によるイラン制裁再開に加え、米国がベネズエラに対し制裁を発動する確率が高まったとの観測が影響した。これに対して主要産油国のサウジアラビアとロシアのエネルギー担当相が協調減産の緩和を巡り協議したことをきっかけに原油先物価格はいったん下落し、調整局面入りした。

 その減産協議が行われたのが6月22日のOPEC総会となった。OPEC総会では、昨年始めた協調減産を7月から弱めることで合意したものの、実際の増産は緩やかに進むとの見方が強まった。これを受けて22日の原油先物は大幅反発し、WTI先物8月限は前日比3.04ドル高の65.58ドルとなった。これをきっかけに原油先物は再び上昇基調を強めることになる。

 米政府がイラン産原油の輸入を停止するよう日本などに要求していることやカナダやリビアの減産懸念なども加わり、26日の原油先物も大きく上昇し、WTI先物7月限は2.45ドル高の70.53ドルとあっさりと70ドルの大台を回復した。

 27日には米国の原油在庫が約2年ぶりの大幅減となったことから原油先物は大幅続伸となり、WTI先物8月限は2014年以来の73ドル台に上昇した。

 イラン産原油の問題だけでなく、カナダのオイルサンド施設の操業停止が続いていることや、リビアの原油輸出が滞る可能性などもあり、需給の引き締まりも意識されている。これらが今回の原油価格の大幅反発の要因ではあるが、米国を中心に世界的な景気拡大が続いていることでの需要の強さも背景にあろう。

 WTIのチャートをみると2014年7月に100ドルを割り込んでから、2015年1月に50ドル割れとなるまで、ほぼ一本調子で下落した。2016年2月に26ドル台まで下落したところで底打ちとなり、そこからじりじりと値を戻している。このためチャート上からは90ドルあたりまでは節目らしい節目がない。ひとまず75ドルを抜いてくるのは時間の問題となり、80ドルが視野に入りつつある。

 米中の通商問題などを含め、トランプ政権の動向などが引き続きリスク要因となってはいるものの、原油先物価格の上昇圧力が再び強まりつつある。これによりガソリン価格の上昇などから物価にも影響を与えることが予想される。


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# by nihonkokusai | 2018-07-01 18:08 | Comments(0)

日本の国債市場の機能低下に対する市場からの悲痛な声

 25日に開催された国債市場特別参加者会合の議事要旨が財務省のサイトにアップされている。国債市場特別参加者はプライマリー・ディーラーとも呼ばれ国債入札に参加する主要な業者となる。


 国債市場特別参加者会合での「最近の国債市場の状況と今後の見通しについて」に関しては次のような意見が出されていた。


 「市場機能が落ちてきていると言わざるを得ないとの認識を持っている。また、入札後のパフォーマンスがよくない中で、証券会社の体力が落ちており、市中での売買もかなり減少している。このような状況がこのまま継続してしまうことに危機感を抱いている。


 「市場機能が失われ、市場参加者が減ってしまうと、何かイベントが起きたときに、受け皿になるような参加者がいなくなり、大きなボラティリティを生み出すのではないかと懸念している。市場機能をいかに残していくのかということを真剣に考えていかなくてはならないとの問題意識を持っている。」


 「ボラティリティが非常に低い状況がこのまま続いていくと、債券部門における収益が低下し、同部門に割り当てられるバランスシートの金額も減少する。こうした低金利・低ボラティリティ・低収益の状況が続くことにより、金利が動いたときの受け皿となるマーケットの深みが失われることを懸念しており、当局においても注視してほしい。」


 「外部環境に関係なく、日銀買入オペに依存した取引が中心になっており、マーケットとして重要な価格発見機能が失われていると考えている。また、ファンダメンタルズからかけ離れた低金利と低ボラティティの長期化によって、収益性が乏しくなった国債売買への興味が大きく低下しており、市場参加者も減少している。」


 「業者間のカレント銘柄の売買がほとんど行われておらず、このような状況が続くことによって、収益性が低下し、バランスシート・資本・人員といった面で債券部門への割り当てを考え直さざるを得なくなってきている。」


 これをみてもわかるように市場参加者は国債市場の機能低下に対してかなりの危機感を抱いている。2年国債や5年国債のカレントは出合いのない日も多く、10年国債カレントも出合っても1本値という状態が続いている。28日の債券先物の日中値幅はわずか3銭しかなく、記録的な小ささとなってしまっている。


 この状態が続くと投資先としての国債の魅力が失われ、国債市場への関心も後退することで、ますます日銀の出口政策をやりにくくさせかねない。日銀は異次元緩和策の枠内で、もう少し長期金利が動くようにレンジを調節するなりの対応が求められよう。しかもできるだけ早く。それほど国債の市場機能は低下してしまっていると言わざるを得ない。



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# by nihonkokusai | 2018-07-01 18:06 | 債券市場 | Comments(0)

日銀は異次元緩和の副作用を意識、政策の微調整はあるのか

 現在の異次元緩和のキーパーソンともいえる日銀の雨宮正佳副総裁が相次いでメディアのインタビューに応じていた。

日本のキャッシュレス化の普及にも独占的な決済方式が必要に

 以前に日本の現金利用率の高さには何かしらの原因があるため、電子マネーへの移行を促進する必要があるとの主張があった。現金保有の高さの原因として、マネーローンダリングや脱税に使われているためとの見方があった。

マネーローンダリングや脱税に使われていないとは確かに断言はできない。持ち主不明の多額の現金が見つかることもある。ただし、これは年配者がその存在そのものを忘れていたというケースもあるとみられ、一概に脱税のための現金とは言えない。

 そもそも日本の現金保有率の高さの原因としては、その使い勝手の良さが挙げられる。治安が良いこと、偽札が少ないこと、日本全国どこでも利用できることなど利便性の良いところが、日本人による現金利用の高さの背景にある。

 ただし、小額利用については今後、中国などのようにQRコード決済を使った電子決済が普及してくる可能性がある。日本のキャッシュレス化を推進するために経済産業省はQRコードを使った決済の規格統一に乗り出すとされる。ただし、すでにヤフーや楽天やOrigamiなどはQRコード決済サービスを展開し、セブンイレブンも独自のスマホ決済を導入する。NTTドコモ、KDDI、JCB、さらにメガバンクなどもQRコード決済サービスを進める計画とされておりおり、様々な形式のサービスが登場しつつある。

 このままだと利用者にとっては、いろいろなQRコード決済を使い分けなくてはならず、財布のなかのポイントカードのごとく、スマートフォンにアプリが溢れてしまうような事態にもなりかねない。

 中国ではAlipay、WeChat Payが、スウェーデンでは大手行などが共同で開発した単一のモバイル決済によってキャッシュレス化が進行する要因となっていた。

 日本でこのまま多種多様のQRコードを使ったモバイル決済が存在するとなれば、むしろそれはモバイル決済の普及を妨げる可能性もあるのではなかろうか。とはいえ、経済産業省が率先して独占化を進めるわけにもいかない。ある程度は市場原理に委ねる必要もあるが、個人的には自分の銀行口座そのものの管理にも繋がるメガバンクが主導するQRコード決済が使いやすくなるのではないかと思っている。

 このQRコードのセキュリティについて、神戸大学の森井昌克教授らのグループが検証したところ、コードを作成する際に不正な操作を加えると、本来の情報に加えて、偽の情報を仕込むことができることがわかったそうである。今後、日本でもQRコードを使った電子決済が急速に拡大する可能性があるため、このようなセキュリティ上の弱点が存在することも認識しておく必要があろう。


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# by nihonkokusai | 2018-07-01 18:05 | 日銀 | Comments(0)

キャッシュレス化を普及させために必要なのは政府主導での決済アプリの単一化か

 以前に日本の現金利用率の高さには何かしらの原因があるため、電子マネーへの移行を促進する必要があるとの主張があった。現金保有の高さの原因として、マネーローンダリングや脱税に使われているためとの見方があった。

 マネーローンダリングや脱税に全く使われていないとは確かに断言はできない。持ち主不明の多額の現金が見つかることもある。ただし、これは年配者がその存在そのものを忘れていたというケースもあるとみられ、一概に脱税のための現金とは言えない。

 そもそも日本の現金保有率の高さの原因としては、その使い勝手の良さが挙げられる。治安が良いこと、偽札が少ないこと、日本全国どこでも利用できることなど利便性の良いところが、日本人による現金利用の高さの背景にある。

 ただし、小額利用については今後、中国などのようにQRコード決済を使った電子決済が普及してくる可能性がある。日本のキャッシュレス化を推進するために経済産業省はQRコードを使った決済の規格統一に乗り出すとされている。

 ただし、すでにヤフーや楽天やOrigamiなどはQRコード決済サービスを展開し、セブンイレブンも独自のスマホ決済を導入。NTTドコモ、KDDI、JCB、さらにメガバンクなどもQRコード決済サービスを進める計画とされており、すでに様々な形式のサービスが登場しつつある。

 このままだと利用者にとっては、各種のQRコード決済のアプリを使い分けなくてはならず、財布のなかのポイントカードのごとく、スマートフォンにアプリが溢れてしまうような事態にもなりかねない。

 中国では「Alipay」、「WeChat Pay」が、スウェーデンでは大手行などが共同で開発した単一のモバイル決済アプリ「スウィッシュ」が、キャッシュレス化が進行する要因となっていた。台湾でも台湾政府が主導して生まれた「台湾Pay」が昨年スタートしている。台湾Payの誕生の背景には、国内のデータが海外アプリの普及によって流出されるのを防ぐことも目的とされている。

 日本でこのまま多種多様のQRコードを使ったモバイル決済アプリが存在するとなれば、それはむしろモバイル決済の普及を妨げる可能性もあるのではなかろうか。とはいえ、ここまで多種多様のアプリがすでに生まれていることもあり、経済産業省が率先してQRコードの決済方式だけでなく、アプリの単一化を進めるのも難しいのかもしれない。ある程度は市場原理に委ねる必要もある。

 それでも日本でキャッシュレス化を普及させるためには、スウェーデンや台湾のように、国内データの流出を防ぐためにも、ある程度政府主導の上で、ひとつのアプリに集約させることが必要になるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-07-01 18:02 | 金融 | Comments(0)

日銀は異次元緩和の副作用を意識、政策の微調整はあるのか

 現在の異次元緩和のキーパーソンともいえる日銀の雨宮正佳副総裁が相次いでメディアのインタビューに応じていた。

 朝日新聞のインタビュー記事をみると、雨宮副総裁は、「物価上昇率2%」について、「簡単に機械的に達成することは難しくなっている」と認め、7月の金融政策決定会合で要因を再点検する方針を示した。これについては黒田日銀総裁も会見で示唆していた。

 これについて雨宮副総裁は、「もう一度物価が上がりにくい理由、物価観の形成の仕方などを点検する。物価動向について何が起きているのかをきちんと詰める」と語っていた。

 これまでのリフレ派の主張をそのまま取り込んだような政策から軌道修正を行う可能性がある。

 雨宮氏は「副作用が緩和のメリットをひっくり返す大きさにはなっていない」としつつ、「(副作用が)知らないうちにたまっていることもあるので、注意深く見ていく必要がある」とした(朝日新聞)。

 ブルームバーグでのインタビューでも、「だんだん累積的にたまっていくものなので注意深く見ていく」と説明している。

 副作用については、6月14、15日に開催された金融政策決定会合における主な意見で、ある委員から「金融機関では、保有有価証券の評価損益の悪化に加え、低収益店舗の減損リスクも生じてきている。金融政策の継続にあたっては、その効果と副作用の二つの時間軸を意識し、副作用が顕在化する前から対応を検討しておくことが必要となる。」との意見が出されていた。

 そして注目すべきは 今後の緩和策の修正に関しての雨宮副総裁の説明となる。

 「物価目標を安定的に達成するために必要なら、調整はあり得るし、排除してはいけないと思う」と述べ、修正するかは「物価や経済の状況、副作用の総合判断」とした(朝日新聞)。

 「必要な政策の調整は排除すべきではない」(ブルームバーグ)

 雨宮副総裁から、インタビューを通じて緩和策の修正に関する発言が出たことは注目すべきと思う。もちろんこれで、すぐにも微調整があるということではないが、その準備も進めている可能性がありうる。

 すでに日銀は国債の買入額を修正しつつある。これは今後もタイミングを見ながら進めてくるとみられる。そして、債券市場の機能低下という問題に対して、長期金利の目標値を若干引き上げるか、もしくはターゲットのレンジを拡げるなどしてくる可能性がある。

 金融機関への影響を考慮するとマイナス金利政策も止めるべきではあるが、こちらの判断は黒田総裁次第とみられ、ややハードルが高いかもしれない。

 さらに日銀のETFなどの買入についても、日銀が実質的な筆頭株主になっていることや、本来市場に委ねるべき相場形成への影響についても危惧されつつある。こちらは株式市場への影響が大きいだけに慎重に行う必要はありながら、ストック効果を強調しつつ、いずれ新規の買入を減額もしくは停止すべきと考える。


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# by nihonkokusai | 2018-06-29 09:26 | 日銀 | Comments(0)

3月末現在の日本国債の最大保有者は日銀、海外は残高が減少

 日銀は6月20日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は3月末時点で約1829兆円となり、株価の上昇傾向などを背景に過去最高を更新した12月末時点からは減少した。12月末比でみると1月から3月にかけて日経平均は下落しており、その影響を受けたとみられる。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.3%増の約961兆円となった。株式等が同11.7%増の約199兆円、投資信託も1.4%増の約73兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は437兆2791億円、43.9%のシェアとなった。前期比(速報値)からは10兆435億円の増加となる。

 残高2位の保険・年金基金は236兆4565億円(23.7%)、2兆8786億円増。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で171兆2825億円(17.2%)、5兆193億円増。

 残高4位が海外投資家で59兆5311億円(6.0%)、2737億円減。

 残高5位が公的年金の46兆8859億円(4.7%)、1兆343億円増。

 残高6位が家計の12兆3823億円(1.2%)、85億円減。

 その他が31兆8632億円(3.2%)、11兆1856億円減となっていた。

 2017年12月末に比べ国債(短期債除く)の残高は7兆5079億円増の995兆6806億円となった。短期債を除いた国債残高が1000兆円に迫っている。12月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは4割を上回っている。今回、前期比で大きく減少したのはその他の11兆1856億円減となった。内訳で見るとディーラー・ブローカーが11兆3913億円の減少となっていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1097兆円となり、日銀が約459兆円で41.8%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約120兆円と短期債を含めると国債全体の10.9%のシェアとなっていた。海外の長期債保有が減少しており、こちらの今後の動向にも注意したい。


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# by nihonkokusai | 2018-06-28 09:28 | 国債 | Comments(0)

株式市場を動揺させるトランプ・トラップ、投資制限については米政権内での対立も

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙が24日、トランプ米政権が中国の知的財産侵害への対策を強化するため、中国資本が25%以上の企業を対象に対米投資を制限する検討に入ったと報じた。ITなど先端技術の流出も規制すると伝えた(日経新聞電子版)。

 これを受けて24日の東京株式市場では日経平均が下げ幅を拡大させ、早朝に110円台にあったドル円は109円台半ばまで下落した。25日の米国株式市場では、IT技術の流出規制の影響を受けやすい半導体株などを主体に売られ、ダウ平均は一時500ドル近くまで下落した。

 ところが、通商政策を担当し対中強硬派で知られるナバロ大統領補佐官が米CNBCに出演し「対米投資の制限は今のところ検討していない」と述べたことから、ダウ平均はやや下げ幅を縮小させて328ドル安、ナスダックは160ポイントの下落となった。

 ドル円はナバロ大統領補佐官の発言を受けて、109円30銭台あたりから、一時110円台に切り返した。

 トランプ政権が中国製品への追加関税の発動を表明したのに対し、中国も米国製品に対し同じ規模、同じ強さの追加関税措置を出すと応じ、これにより、米中の貿易摩擦が激化するのではとの懸念が強まり、市場は動揺した。それが少し落ち着いてきたかに思えたタイミングで、トランプ大統領はあらたなトラップを仕掛けてきたかに思われる。

 ナバロ大統領補佐官は25日に「中国の問題に関してムニューシン財務長官が29日に大統領に報告する」とも述べていた。ナバロ氏は「報告は中国以外の国とは全く関係ない」とも語った。一方、ムニューシン氏は投資制限について「中国だけを特定したものではなく、われわれの技術を盗もうとする全ての国が対象となる」とツイッターに投稿した。米政権内では対中通商政策をめぐり路線対立があるともされており(共同)、今後もあらためてこの問題が蒸し返される可能性がある。

 米国株式市場でナスダックはじりじりと上昇して、20日には再び過去最高値を更新していた。しかし、ここにきての下落により、チャート上は上昇トレンドが崩れつつある。ダウ平均も24000ドルを割り込むようなことになると、下落トレンド入りする懸念がある。

 トランプ政権が株式市場を全く無視しているわけではないと思うが、いまの市場はトランプリスクに怯えている。今度はどのようなトラップを仕掛けてくるのか。果たしてそれは自国経済にとって本当にプラスになるものなのかどうか。米国景気の拡大基調がこのまま崩れるようなことになると、自ら仕掛けたトラップに米国自体がはまってしまうというリスクも警戒する必要がありそうである。


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# by nihonkokusai | 2018-06-27 09:48 | 国際情勢 | Comments(0)

キャッシュレス化のキーとなるQRコードにセキュリティ上の弱点が見つかる

 電子決済や広告などに広く利用されている「QRコード」に、偽の情報を仕込むことができるセキュリティ上の弱点があることが、神戸大学のグループの研究でわかったとNHKが伝えた。

 QRコードとは、1994年にデンソーの開発部門(現在はデンソーウェーブ)が開発したマトリックス型の二次元コードである。QRコードはデンソーウェーブの登録商標となっているが、特許権者のデンソーウェーブは、規格化された技術に対し特許権を行使しないと宣言していることから、様々な分野に利用されている。

 QRコードを使った電子決済に関しては、中国系のAlipay、WeChat Payが一気に普及させ、日本でもLINE Pay、楽天ペイ、Origamiといったサービスが登場したが、いまのところそれほど普及は進んでいない。

 しかし、ヤフーもQRコードを使った決済サービスを開始し、セブンイレブンも独自のスマホ決済を導入すると報じられ、NTTドコモ、KDDI、JCB、さらにメガバンクなどもQRコード決済サービスを進める計画を発表した。そして、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGはQRコードの規格を統一することで合意したと伝えられている。

 ただし、規格が分かれたまま普及が進むと、消費者や小売店の利便性を損ねると判断した経済産業省はQRコードを使った決済の規格統一に乗り出すとも伝えられている。

 このようにキャッシュレス化のキーとなるQRコードではあるが、当然ながらそのセキュリティにも注意を払う必要がある。

 このQRコードのセキュリティについて、神戸大学の森井昌克教授らのグループが検証したところ、コードを作成する際に不正な操作を加えると、本来の情報に加えて、偽の情報を仕込むことができることがわかったそうである(NHK)。

 QRコードは一見しただけでは内容がわからないため、誘導された先が正しいかどうかチェックを強化する必要があると森井教授はコメントしている。中国では改ざんしたQRコードを正しいコードの上から貼り付ける手口で、代金をだまし取られる被害も出ているそうである。

 今後、日本でもQRコードを使った電子決済が急速に拡大する可能性があり、このようなセキュリティ上の弱点が存在することも意識しておく必要がありそうである。


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# by nihonkokusai | 2018-06-26 15:57 | 金融 | Comments(0)

日銀の政策委員からも国債市場の機能低下を危惧する声が。日銀はコミットメントよりも副作用を注視すべき

 日銀は6月14、15日に開催された金融政策決定会合における主な意見を公表した。このなかから「金融政策運営に関する意見」をみていきたい。

 「現在の金融市場調節方針のもとで、強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適当である。」

 との毎度の意見はさておき、

 「物価の伸び悩みの理由は、単純な需要不足とは考え難いことから、短期間で需要を無理に押し上げるような政策は適当ではない。現在の緩和的な金融環境を粘り強く維持していくことが 重要であり、そのためには、経済・金融環境に深刻な歪みが生じることがないよう注意しながら、持続性に十分配慮した政策運営がなされるべきである。」

 「短期間で需要を無理に押し上げるような政策」とはサプライズも意識した異次元緩和そのものを指しているようにもみえなくもないが、さらなる追加緩和については反対のようである。そして、注目すべきワードは「深刻な歪み」と「持続性」となる。いまの政策が持続不可能なほど深刻な歪みが生じるリスクを意識し始めたか。

 「金融機関では、保有有価証券の評価損益の悪化に加え、低収益店舗の減損リスクも生じてきている。金融政策の継続にあたっては、その効果と副作用の二つの時間軸を意識し、副作用が顕在化する前から対応を検討しておくことが必要となる。」

 こちらでは経済・金融環境に深刻な歪みとされるものが具体的に示されている。この危惧は時間の経過とともに強まっていく。

 「低金利が銀行経営の悪化を通じて金融仲介機能を低下させ、却って金融緩和効果を削ぐという議論がある。こうした金融仲介機能の中核は、預金を集めて返済可能性を考慮しながら貸し出すことであるが、国内銀行の平均預貸率は7割以下であり、残りは債券運用である。この点を考慮すれば、銀行の金融仲介機能にはそもそも改善の余地があるのではないか。」

 例によって「という議論がある」という発言をする方の意見であるが、これは金融政策決定会合という場の金融政策運営に関して発言すべき意見であるのであろうか。

 「足もとの国債市場では、米国金利等の動きに対する感応度が低下しているほか、新発債の業者間取引が不成立となる日もみられる。本来の市場機能をできるだけ維持する観点から市場調節を運営していくことが重要である。」

 日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和の副作用の指摘であるが、どの委員による意見なのであろうか。佐藤委員と木内委員が任期を迎えたあとは、債券市場関係者は政策委員にはいない。これは債券村の住人はリフレ派の意見を理解していないためかどうかはしらないが、このようななかにあって、債券市場動向を気にしてくれる委員がいるのは心強い。日銀の国債買入について何らかの修正が入るかもしれないという期待をしても良いのであろうか。

 「ETFなどリスク性資産の買入れは、「物価安定の目標」を実現するための政策パッケージの一要素として行っているが、政策効果と考え得る副作用についてあらゆる角度から検討を続けるべきである。」

 こちらも副作用に関する指摘であり、ターゲットは国債ではなくETFなどリスク性資産の買入に関するものである。この環境下で日銀が株価を買い支える必要性はない。事前に市場にしっかり織り込ませるかたちで、ETFなどの買入は早めに停止すべきと個人的には思っている。

 「他の先進国では、2%程度の物価上昇が当然とされ、そのもとで3~4%程度の名目成長が達成されてきた。2%の「物価安定の目標」は、国際社会に対して日本が他国並みの名目成長を実現するという決意の表れである。」

 何を言っているのかわからない。

 「予想物価上昇率がなかなか上がらない現状を考えると、場合によっては、民間主体の期待形成に働きかけるべく、2%に向けたコミュニケーションと広い意味でのコミットメントを改善する工夫を講じることが望ましい。」

 広い意味でのコミットメントの改善とは具体的などのようなものなのかの説明がほしい。

 「足もとの物価上昇率が高まっていないため、予想物価上昇率も伸びにくくなっている。予想物価上昇率に働きかける追加的なコミットメントが必要である。」

 予想物価上昇率に働きかける追加的なコミットメントって何だろうか。

 「共同声明で謳われた政府・日本銀行のコミットメントに揺らぎがないと理解されることが大切である。」

 コミットメントと言う用語が乱発されており、どうやら日銀の金融政策は精神論に走りつつあるようにも思われるのだが。それよりも現実の副作用に目を向けたほうが良いと思う。


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# by nihonkokusai | 2018-06-26 09:43 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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