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日本の携帯電話料金は高すぎるのか、物価に直接的な影響も

 菅官房長官は21日の札幌市での講演で、大手携帯電話会社は巨額の利益を上げているとしたうえで「競争が働いていないと言わざるを得ない」とし、「携帯電話料金は、今より4割程度下げる余地がある」と言及した(ロイター)。

 携帯料金の引き下げ自体は、個人的には歓迎であるが、この発言についてはいくつか疑問がある。

 ひとつはアベノミクスと呼ばれた物価2%達成を目指した政策と相反するという点である。アベノミクスの前提にあるのは、物価目標は日銀の金融政策で可能であるという意見を鵜呑みにした政策であったが、結局は物価目標は達成できていない。これはつまり金融政策で物価を自由にコントロールすることは困難であるということをむしろ示したものとなる。

 消費増税によって物価は上がらなかったというのであれば、金融政策の効果を増税が簡単に阻害してしまうということになってしまう。そうであれば、アベノミクスの金融政策は万能という前提も崩れることになるのではなかろうか。

 もし携帯料金が40%値下げ、一律に引き下げが実施されたと仮定した場合、最大でコアCPIを約0.9%ポイント押し下げるとの試算もあるそうである(ロイター)。

 そうであれば金融政策ではなく、携帯料金を大きく引き上げればあっさり2%は達成できたのではないのか。金融政策は万能薬でも何でもない。物価は現場で上げ下げされる。

 アベノミクスとはいったい何であったのか。我々はあらためてそれを考えることも必要ではなかろうか。アベノミクスは効果があったという人も多いが、海外要因を除いた国内要因だけでみて、果たして日銀による大量の資金供給がダイレクトな効果を生み出したといえるのか。むろん、そういう環境のお膳立てをしたとの見方はできる。それが本来の金融政策の効果であるからだが、それ以上の効果が果たしてあったのか。

 菅官房長官の携帯料金の引き下げ発言については、どれだけ現状を理解されているのかという疑問もある。すでに格安スマホというものも出ており、大手キャリアでも割安プランもある。中古市場も以前よりは整備されている。安く済まそうとすれば、それは可能である。それはあくまで国民の選択によるものではなかろうか。

 そもそも日本で携帯料金が高い要因は、現在では10万円台となっているiPhoneなど新品のスマートホンの価格が高すぎることに理由があるのではなかろうか。

 特に日本では新型iPhoneの人気が高く、10万円もの製品を2年ごとに買い換えるとなれば、その負担は大きい。大手キャリアはその負担が軽減されたかのように、通話料金にスマホ価格を組み込むかたちで高い料金体系にせざるをえない面もあるのではなかろうか。そうであれば、携帯会社ではなく、国民に対して新品の高級スマホは買い手控えてほしい、ということになってしまうのではないかと思うのだが。


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# by nihonkokusai | 2018-08-29 11:33 | 景気物価動向 | Comments(0)

物価指数を金融政策の羅針盤とするのに疑問を呈したパウエル議長

 今年のジャクソンホールは注目度が低いとのコラムを書いたら、トランプ大統領が注目度を上げてくれた。

 トランプ大統領は17日にニューヨーク州ロングアイランドで開かれたイベントで、FRBが実施している利上げに不満を示したと複数の関係者が明らかにした。これにより24日に予定されていたパウエル議長講演がにわかに注目を集めた。

 24日にパウエル議長はカンザスシティー連銀が主催する経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演し、米経済の成長基調が続くなら「政策金利の一段の緩やかな引き上げが適切になりそうだ」と従来の方針を繰り返した(日経新聞)。

 トランプ大統領は利上げに不満を示したものの、パウエル議長は現在の正常化を進めるスタンスに変化はないことを示した。今回のパウエル議長の発言に対して市場は「利上げペースを速めない姿勢を示唆」と受け止めたようで、24日の米国市場では米国債が買われ、ダウ平均も上昇し、ナスダックに至っては過去最高値を更新した。

 興味深いのはFRBの利上げペースなどよりも、今回のジャクソンホールでの一連の会議のなかで、パウエル議長が示したある問いかけであった。

 「インフレはもはや最良の指針でないかもしれない」とパウエル氏は会議で述べたとされる。パウエル議長は、物価指数を金融政策の「羅針盤」とする従来の考え方に疑問を提示と日経新聞が報じている。

 パウエル氏は中銀が強みとする経済推計の手法も自ら疑問視したとされる。たとえば「自然失業率」の推計などである。

 日経新聞は今回のパウエル議長の発言等について下記のような要因を指摘している。

 「パウエル氏が物価指数や雇用推計の不確かさを指弾したのは、数値に沿って機械的に判断する「ルールベース」の金融政策から、時々の情勢に応じて利上げも利下げも柔軟に決める「実務ベース」の政策運営へと修正するためだ。年4回だった記者会見を19年から年8回に増やし、3か月おきの利上げという現在の機械的な政策運営を変える布石を打っている。」

 パウエル氏は法律専門家であり、金融や経済を専門とする学者ではない。このあたりが前任のイエレン氏やバーナンキ氏と異なるところとなり、ある意味、より実務的な見方をしているのではないかと思われる。

 物価指数そのものに不確かさがあり、物価指数を金融政策の羅針盤とする従来の考え方に疑問を提示したとの姿勢には、かなり共感を覚える。金融政策を数値に沿って機械的に判断して決定することに疑問を感じるのは当然と言えば当然であろう。

 物価目標の2%にどのような意味があるのか。そして、例えば日本の消費者物価指数そのものについての不確かさ等はないのか。機械的に政策を行うことによるリスクはないのか。ぜひパウエル議長には日銀というか現政権にも問いかけてほしいと思うのだが。


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# by nihonkokusai | 2018-08-28 09:46 | 中央銀行 | Comments(0)

来年のECB総裁人事の行方はやや不透明

 ドイツの経済紙のハンデルスブラットによると、メルケル首相は、来年中にもトップが交代する欧州委員会委員長と欧州中央銀行(ECB)総裁について、ドイツ出身者が獲得できる可能性としては欧州委員長ポストの方が高いと認識し、優先的に働きかけを行っているという(ロイター)。

 金融市場では来年任期満了となるECBのドラギ総裁の後任の方が注目されるが、政治上では当然ながら欧州委員会委員長も重職である。

 欧州委員会委員長とは、欧州連合の政策執行機関である欧州委員会のトップであり、 欧州連合の役職では最も強力な権限を持つとされている。現職は2014年11月に就任したジャン=クロード・ユンケル(前ルクセンブルグ首相)。任期は5年で再任も可能。

 欧州委員会委員長には初代が西ドイツのヴァルター・ハルシュタイン氏となっていたが、その後12代目のユンケル委員長まで、ドイツ出身の委員長は就任しておらず、ECBよりも欧州委員会のトップにドイツ出身者を送り込むことがメルケル首相の優先事項との見方もあるようである。

 ECBの次期総裁候補として、タカ派で知られるドイツ連銀のバイトマン総裁の名前が挙がっているが、バイトマン氏のECB総裁就任は南欧諸国などは、あまり好ましくはないとされている。現在のイタリア出身のドラギ総裁は極めて慎重に出口政策を進めているものの、バイトマン氏はこのやり方は生ぬるいとみているようである。

 ECBの人事に関しては、今年5月末に任期を迎えたコンスタンシオ副総裁に代わり、スペインのデギンドス経済相が6月に副総裁に就任した。今後もドラギ総裁を含め、4つの理事ポストが入れ替わる。

 総裁の人事の行方を伺いながら、ユーロ圏の政治も大きく絡んで、総裁を含めたECB首脳部、そして欧州委員会委員長の人事が決定されることになろう。

 市場ではECBの次期総裁はバイトマン氏かとの見方が強いものの、政治次第ではタカ派ではなくハト派の総裁が就任する可能性もありうるか。


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# by nihonkokusai | 2018-08-25 10:45 | 中央銀行 | Comments(0)

ベネズエラのハイパーインフレによる影響

 南米ベネズエラは20日、通貨の単位を5桁切り下げるデノミネーション(デノミ)を実施した。

 ベネズエラの原油埋蔵量は世界一であり、1980年代までは南米でも最富裕国とされていた。チャベス大統領の時代からベネズエラは反米路線に走り、石油採掘設備の老朽化や原油価格の急落などから、外貨収入が減少した。米国の経済制裁などに加え、経済政策の失策なども手伝い、急速に経済実態が悪化した。つまり、ベネズエラは社会主義政府によって経済が崩壊したとされている。

 これに対し政府は税収の激減を中央銀行からの信用供与で埋め合わせるという、いわゆる禁じ手の財政ファイナンスを行った、これにより急速なインフレが進行。IMFの予測ではベネズエラのインフレ率は年内に100万%に達する見込み。ベネズエラを出国する移民も増加し続けている。

 これらを受けてベネズエラ政府はデノミを実施したが、その効果は出ておらず、むしろ事態をより悪化させている。

 また、石油に裏打ちされた官製の仮想通貨となるペトロを基軸とする新しい法定通貨を流通させるとした。しかし、米国は制裁の一環としてペトロの取引を禁じ、世界中の主要な仮想通貨交換業者もペトロは取り扱っておらず、取引実態はない状態にある(日経新聞)。

 まさに仮想の通貨まで利用しようしているが、これも事態を改善させるどころか、インフレを制御するどころか、より悪化させかねないものとなっている。

 いまのところ、ベネズエラの危機的状況が世界経済に直接的な影響は与えておらず、日本国内への影響も限定的ではある。ただし、財政ファイナンスによるインフレの急激な進行を目の当たりにすると、日本でもそういった懸念となりそうなものは早めに振り払う必要があるようにも思われる。


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# by nihonkokusai | 2018-08-24 09:40 | インフレ・デフレ | Comments(0)

異次元緩和への対案、そもそも2%の物価目標はいらない

 日銀の異次元緩和を批判すると、では対案があるのかという問いが来ることがある。そもそも対案というのは、何かしらに窮している際にそれを解決すべき手段が必要な際に必要とされるものではなかろうか。

 日本でも中央銀行による積極的な金融緩和によって欧米並みの物価水準を達成させることで、国民の生活も豊かになるという発想そのものに間違いはないのであろうか。2%という物価目標を達成すれば、我々の生活は豊かになるのか。

 デフレが良くない。デフレを止めるためには物価を金融政策で欧米並みの2%に引き上げなければならないという理屈にもいくつもの疑問点がある。

 デフレが何故起きたのか。日銀の金融緩和が足りなかったからなのか。そもそもデフレがスタートしたとされる1998年頃の状況をみるとバブル崩壊による金融システム不安による影響が大きく、そこにアジアの通貨危機等も加わるなどしたこと、さらに日本国内の雇用体系の変化などによる影響が大きい。これらは日銀の金融緩和でどうにかなるものではなく、あくまで金融緩和は鎮静剤の役目を果たすぐらいであろう。

 日銀による2000年のゼロ金利解除か早すぎたとの意見もあった。そもそもゼロ金利政策はデフレ防止で行われたものではない。その後のITバブル崩壊を予言できたのであれば、確かに解除に急ぐ必要はなかったかもしれないが、それには予言者が必要になる。

 その後もサブプライムローン問題からリーマン・ショック、さらにギリシャ・ショックからの欧州の信用不安に繋がる。この間に世界的な金融経済危機が起きており、日銀も含め積極的な金融緩和策が講じられた。この際の日銀の緩和規模が足りず、円高が進行したとの見方もある。いやいや、それだけ日本の通貨が信用されていたことで円が買い進まれたとの見方の方が素直な見方ではなかろうか。ただし、その円高も行き過ぎた。

 その反動がアベノミクスによって起きたわけではあるが、世界的な金融経済危機が後退していたタイミングであっただけであり、その円高調整が終了後は現在の為替市場をみてもわかるとおり、落ち着いている。日銀が異常な緩和策を行わなければ円高になってしまうとの意見もあるが、米国の利上げによるドル高もたかが知れていることをみると、一概にそのようなこともいえない。

 物価上昇のため、円高解消のためとして、非常時の対応となるような極端な金融緩和策は必要なのか。そもそも、どのような経路を通じて大胆な緩和策が物価に働きかけるのか。

 アベノミクスが登場したのは、欧州の信用不安の後退時期と重なる。その後の世界経済は米国を主体に回復基調にあり、日本経済も同様で雇用も回復してきた。日本経済の回復は日銀の異次元緩和がなければ起きなかったのか。そのようなことはない。異次元緩和で物価は2%に上がることもなかった。

 債券市場や株式市場に歪みをもたせ、財政ファイナンスに近い政策を行ってまでもいったい何をしたかったのか。代案は何かと問われれば、そもそも2%の物価目標はいらない。通常の金融政策を維持させることで、柔軟な金融政策を行える状況とし、非常時には金融市場を通じて心理的な沈静化を図れるようにする。それがいまの金融政策の在り方ではないかと思う。金融政策は直接、物価や景気に働きかけてそれを動かせるものではない。


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# by nihonkokusai | 2018-08-23 15:51 | 日銀 | Comments(0)

トランプ大統領が利上げにご不満だとか

 トランプ大統領は17日にニューヨーク州ロングアイランドで開かれたイベントで、FRBが実施している利上げに不満を示したと複数の関係者が明らかにした。パウエル氏は「低金利」が好きだと側近らから聞かされていたが、早くも利上げを開始したと指摘したそうである(WSJ)。

 トランプ大統領がFRBの利上げに不満を表明したのは、これが初めてではない。2週間前にはニュージャージー州に自身が持つゴルフクラブでのディナーで、FRBの利上げ計画に不満が募りそうだと述べていたそうである(WSJ)。

 トランプ大統領による利上げ不満コメントを受けて、20日のニューヨーク市場ではドルが下落し、米債は買われた。21日にドル円は110円を割り込んできた。

 トランプ大統領の発言は公式なものではなく、これによって独立性が維持されているFRBの正常化路線に大きな影響は与えないと思う。しかし、中間選挙など睨んでFRBへの圧力を強め、利上げペースが後退してくる可能性はありうるか。

 トルコのエルドアン大統領が通貨リラの相場安定のため不可欠とみられる中央銀行による政策金利の引き上げに否定的な考えを示したことで、これが一段のリラ売りにつながった。政治家が中央銀行の政策に口を挟むなり、プレッシャーを掛けると禄なことはない。

 そういえば、政府の強い意向を受けて、異次元緩和を続けざるを得ない中央銀行があったように思う。その国の経済実態は悪くないのに、しかも非常時でもないにもかかわらず、利上げなどもってのほかという状態となっている。これは決して健全といえる状態ではないことも明らかではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-08-22 09:50 | 中央銀行 | Comments(0)

米中間選挙を見据えた米中間の通商問題の行方

 米国はこれまで340億ドル相当の中国輸入品に関税を発動した。さらに米国は中国製品160億ドル相当への25%の追加関税を23日から適用すると発表している。これに対し中国も新たに160億ドル相当の米国製品を対象に23日から25%の関税を賦課するとした。

 米政府は中国からの輸入品2000億ドル相当への10%関税賦課について検討しており、9月6日の意見公募期間終了後に同関税率を25%に引き上げる可能性もあるとされている。

 こういったトランプ政権による強攻策が講じられるなか、米中の貿易摩擦拡大を解消させようとの動きも出てきている。

 16日のWSJによると米財務省の招待を受けて王受文・商務次官率いる中国の代表団が訪米し、22日と23日に通商問題を協議することを両国の当局者らが明らかにした。米国側の代表は財務省のデービッド・マルパス次官(国際問題担当)。中国側は劉鶴副首相(経済担当)の側近、廖岷・財政次官も出席する。米中が通商協議を開催するのはおよそ2か月ぶりとなる。

 さらに17日のWSJによると、米国と中国は通商対立の解消に向け、ロードマップ(行程表)を策定しており、各国首脳が出席する11月の会合の場で、トランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談を設け、最終決着を目指す青写真を描いているとされる。

 トランプ大統領が関税発動に踏み切ったことにより、米中の関係はかなり悪化している。そればかりではない。米中の貿易摩擦の激化によって、中国の売り上げ比率の高いボーイングやキャタピラーなどの株が大きく下落し、米国株式市場全体の地合も悪化した。トランプ政権はこの株価の下落なども睨みながら、中国との通商関係の修復を行う構えとみられる。

 通商対立の解消に向け、ロードマップのキーとなりそうなのが11月というタイミングである。トランプ政権が中国に対する関税措置の発動は、言うまでもなく11月6日の米国の中間選挙を睨んだものである。この中間選挙では下院の435議席すべてと上院100議席のうちの35、そして36州の州知事が選出される。

 公約は果たすとの姿勢を強調し、この中間選挙を優位に進めたいというのがトランプ大統領の意向とみられる。中間選挙が終了したならば、中国との関係改善を図り、米国株式市場への売り圧力を緩和させる目的もあるのではなかろうか。

 11月30日から12月1日にかけて、アルゼンチンのブエノスアイレスでG20首脳会議が開催される予定となっている。この場においてトランプ大統領と習近平国家主席による首脳会談を行い、米中間の通商問題における改善を図ろうとしているのではなかろうか。

 ただし、それには中間選挙でトランプ政権の思惑通りの結果が出ることも前提にあろう。このあたりの筋書きが異なると米中の通商対立の解消に向け、ロードマップが書き直される可能性も残る。


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# by nihonkokusai | 2018-08-21 09:20 | 国際情勢 | Comments(0)

今年は注目度の低いジャクソンホール

 FRBは16日、パウエル議長が8月24日にワイオミング州ジャクソンホールで開かれる経済シンポジウムで講演すると発表した。変化する経済情勢における金融政策について講演するそうである(ロイター)。

 この記事を読んで、そういえばジャクソンホールの季節なのかと思い出した。というよりも、ジャクソンホールのことをすっかり忘れていた自分に驚いた。市場でもほとんど話題にならなかったこともあるが、市場における金融政策への関心度が、ここにきてかなり低下してしまったのであろうか。

 米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは、本来であれば市場参加者にとり大きな注目材料となる。

 ジャクソンホール (Jackson Hole) とはワイオミング州北西部に位置する谷のことを意味する。このシンポジウムには著名学者などとともに、日銀の黒田総裁など各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものとなっている。

 ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長がこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間に FRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったとされている。

 2010年8月27日にはバーナンキ議長(当時)がQE2を示唆する講演をジャクソンホールで行った。2014年8月22日のジャクソンホール会議でECBのドラギ総裁は、資産購入プログラムの導入を示唆したとされた。

 今年のカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは8月23日から25日にかけて開催される。

 FRBに関しては、今年は年4回程度の利上げが予定されているが、その後の利上げについては限界があるとの見方も出ている。ECBも年内に資産買入は停止し、ある程度の期間を置いてから利上げを模索する。イングランド銀行も出口戦略をとしつつあるが慎重である。日銀は政策の柔軟化を決定した。

 むろん、市場もこれらの中央銀行の動向を無視しているわけではない。しかし、それ以上に米国と中国との貿易摩擦やトルコの状勢、英国のEU離脱、イタリアの政局などの動向の方が気掛かりとなり、リスクオフとリスクオンの相場が交互にやってくるような状況になっている。

 市場はその時々で注目すべき材料とその材料に対する比重が変化する。その変化を感覚で見極められるかどうかも市場での生き残るためには必要なものとなる。それにはある程度の経験の積み重ねが必要となり、それが勘として機能するようになれば、マーケットでサバイバルすることも可能となる。

 少し話しが逸れてしまったが、いまのところ注目度は低いとはいっても、8月23日から25日にかけて開催されるジャクソンホール会議が突如、注目されるかもしれない。念のためそこからの当局者からの発言内容についても注意する必要がある。もしかすると何かしらの示唆があるかもしれない。


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# by nihonkokusai | 2018-08-19 10:51 | Comments(0)

長期金利が0.2%を付けに行くことは、なかなか難しい

 日銀は7月31日の金融政策決定会合で「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決定した。フォワードガイダンスを導入するなど緩和強化にも見えるが、その実、長期金利の誘導レンジを±0.1から±0.2%に拡大させることが主眼となっていた。

 長期金利、つまり10年債カレントの利回りは、31日の決定会合後でフォワードガイダンスを導入したことなどから、一時0.045%まで急低下してしまった。

 しかし翌8月1日には、債券は改めて下値を探るような動きとなった。10年債利回りはじりじりと上昇し0.120%を付けた。

 1日の米10年債利回りが6月13日以来の3%超えとなったこともあり、2日の日本の10年債利回りは朝方に0.145%まで上昇した。

 この日の14時に日銀は臨時の国債買入をオファーした。5年超10年以下4000億円オファーしたのである。当日入札のあった351回は対象外としたが、これは財政ファイナンスと認識されることを避けたためとの見方もあった。

 2日に日銀が指し値オペではなく通常の形式ながら臨時のオペを打ってきたのは何故か。これは31日の決定会合の公表文の補足にも書かれていたように、「金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施」したためとみられる。指し値オペで長期金利上昇を止めるのではなく、通常オペを使って、金利上昇にブレーキを掛けることが目的であった。

 2日の債券市場では、この日の10年国債入札が低調な結果となったにも関わらず、このオペが入る前に先物は買い戻しの動きを強めていた。

 長期金利はファンダメンタルズと呼ばれる景気や物価動向、さらに海外の金利動向などによって決定される面もあるが、なんといっても需給によって決定されているともいえる。その需給面からみると、10年債カレントはかなりの部分、日銀に吸い上げられている。

 通常オペだけでなく、7月30日の指し値オペによって1.6兆円も日銀は10年債を買い入れていた。これは業者が1兆円を超す空売りを仕掛けたとの見方もあり、8月2日の10年国債入札を使ってその多くをカバーしたとされる。つまりこの分も日銀が吸い上げ、さらに2日にも10年債を4000億円吸い上げている。

 これらを見る限り、10年債は需給バランスからみて売りづらい。米10年債利回りも低下してきた上に、トルコリラの急落により世界的なリスク回避の動きも出てきたことで、ますます日本の10年債は売りづらい状況にある。

 日銀は長期金利の0.2%までの上昇は容認した格好ながらも、現実には0.2%まで上昇するのは10年国債の需給面で見る限り、なかなか難しい状況にあることも確かである。


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# by nihonkokusai | 2018-08-18 10:29 | 債券市場 | Comments(0)

ロシアは米国債保有国のランク外に

 米国の財務省が公表した米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、ついにランキング(31位以内)からロシアが姿を消していた。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」

http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 これによると6月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっていた。6月時点の中国の米国債保有額は1兆1787億ドルとなった。

 今回も2位となっていた日本による3月の米国債保有額は1兆304億ドルとなっていたが、これは2011年10月以来の低水準となるようである。

 さて問題のロシアによる米国債保有高であるが、3月の961億ドルから4月の487億ドル、5月には149億ドルに急減していたが、今回はランキング(31位以内)そのものから姿を消していた。

 ここに来て大量売却に踏み切った背景には米国が打ち出した厳しい追加制裁とされる。ロシアによる米国債の大量売却は制裁強化で米国債の取引が制限されるのを警戒し、打撃を防ぐ狙いとみられる(7月19日日本経済新聞)。

 ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は米国債売却の狙いについて、外貨準備を多角化する政策の一環と発言していたようだが、政治的な要因が大きいように思われる。

 米国が最も圧力をかけている中国に関しては、保有する米国債を売却するとの観測が出ていたものの、いまのところそのような動きはない。しかし、ロシアのようにいずれ中国が保有する米国債を売却してくる可能性もありうるか。

単位、10億ドル、()内は前年比増減

トップ10

中国(China, Mainland)1178.7

日本(Japan)1030.4

ブラジル(Brazil)300.1

アイルランド(Ireland)299.6

英国(United Kingdom)274.0

スイス(Switzerland)236.5

ルクセンブルク(Luxembourg)219.7

ケイマン諸島(Cayman Islands)197.2

香港(Hong Kong)196.1

サウジアラビア(Saudi Arabia)164.9


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# by nihonkokusai | 2018-08-17 09:44 | 国債 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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