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日銀が金利を上げれば金融機関は打撃を受けるのか

 日銀は4月26、27日に開催された金融政策決定会合における主な意見を公表した。この会合から副総裁が替わっての新体制となったこともあり、ニュアンスがどのように変化したのかに興味があった。

 金融政策運営に関する意見においては、「強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適当である」、「物価安定の目標の趣旨について広く社会との共有を進めるべきである」との意見が出ていた。

 また、「需給のバランスや金融システム面への影響にも配意しながら」との注意喚起もあった。「長期実質金利の低下に伴う経済・物価への緩和効果は小さくなっている可能性がある」という意見もあった。「政策効果と考え得る副作用についてあらゆる角度から検討を続けるべきである」との意見も出ていた。

 そして今回も前回の会合と同様に、「えっ」となる意見が出ていた。

 「市場は金利の早期引き上げを求めていると言われることがあるが、実際に金利を引き上げれば、債券価格と株価が下落し、円高で企業の経営が悪化し、信用コストが増大し、金融機関は大きな打撃を受けるだろう。また、短期金利を上げても長期金利が上がるとは限らず、長短スプレッドはむしろ縮小してしまう可能性もある。これは2006年以降の日本で起きたことである。」

 「市場は金利の早期引き上げを求めていると言われることがあるが」という点についてだが、確かに経済実態に応じた金利にすべきとは私も主張していることではあるが、いきなり米国のような利上げペースにすべきとは主張はしていない。べき論としては、金融機関に負の影響をもたらすマイナス金利を止めるべきで、そして長期金利コントロールについてはもう少し柔軟なものにすべきと私は主張している。

 「実際に金利を引き上げれば、債券価格と株価が下落し、円高で企業の経営が悪化し、信用コストが増大し、金融機関は大きな打撃を受けるだろう。」とのご意見ももっともらしいように聞こえるが、米国の正常化による利上げを受けて、米長期金利が上がると銀行株は「買われ」、米株もしっかりしている。ドルは多少高くはなっているものの急激に上昇してはおらず、株価や景気実態にマイナスの影響を及ぼしているようには思えない。

 米国と日本は状況は違うと言われるのかも知れないが、日本も無理矢理な金融緩和よりも、経済実態に即した金融政策のほうが、むしろ株式市場には好材料となる可能性がある。

 2006年のことを持ち出したのは2月の量的緩和解除と7月のゼロ金利解除に伴っての長短スプレッドの縮小を示しているとみられる。しかし、2006年の日経平均の動きをみても大きく下落したわけではない。たしかにその後の米国のサブプライムローン問題をきっかけとした世界的な金融経済ショックが起きたことで、2006年の利上げは早すぎたとの見方はある(その後のリーマン・ショックまで予測しての利上げが早急すぎたとのご意見に対しては、金融政策には未来予知が必要となってしまうことになる)。しかし、この際の利上げによって金融機関が大きな打撃を受けたわけではない。むしろ仮死状態にあった短期金融市場が正常化したこともあり、金融機関にはプラス要因となった面も大きかったのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-05-11 09:49 | 日銀 | Comments(0)

ポンペオ米国務長官の動向が原油価格や米長期金利、ドル円に影響、イランや北朝鮮問題に関わるキーパーソン

 解任されたティラーソン米国務長官の後任となったのが、ポンペオ米中央情報局(CIA)長官である。ポンペオ氏は陸軍出身で、2010年下院選で保守派草の根運動「茶会」(ティーパーティー)の支持を受けて当選した。

 強硬派として知られ、下院議員時代にはイラン核合意の破棄を主張していた。また、北朝鮮の体制転覆に含みを持たせたこともあった。ティラーソン国務長官が突然解任されたのも、北朝鮮に対して強硬路線を貫くためではとみられていた。

 ところが、そのポンペオ氏がCIA長官だった今年3月末~4月初頭に極秘訪朝していたのである。史上初の米朝首脳会談のお膳立てをしたのは韓国の文在寅大統領であったかもしれないが、対北朝鮮強硬派であったはずのポンペオ氏も大きく関与していた。

 トランプ大統領は8日、ホワイトハウスで記者団に対し、ポンペオ国務長官を米朝首脳会談の準備のため北朝鮮に派遣したことを明らかにした。46年前の1971年に米中和解の道筋をつけたキッシンジャー大統領特別補佐官のような役割を演じているようにも思える。

 史上初の米朝首脳会談が成功するとなれば、北朝鮮リスクが大きく後退することになる。北朝鮮の核開発やミサイル試射によって北朝鮮の地政学的リスクが意されて安全資産として買われていた米国債は、戻り売りに押されることになり、米10年債利回りは3%台に乗せる場面があった。

 そして、今度はイランの問題がここにきて再燃した。これにも当然ながらポンペオ国務長官の影響が及んでいると思われる。トランプ大統領は8日、イランと欧米など6か国が2015年に締結した核合意から離脱し、対イラン経済制裁を再開すると発表した。

 イランの核開発問題とは、イランが自国の核関連施設で原子爆弾の製造のために高濃縮ウランの製造を行っているのではとの疑惑である。これに対して2015年にイランは、米英仏独中露の6か国協議で、核開発施設の縮小や条件付き軍事施設査察などの履行を含む最終合意を締結した。その代わりに、経済制裁を解除するという内容だった。

 米国がイランへの経済制裁を再開するとなれば、中東の地政学的リスクが高まることも予想されるが、それ以上にイランからの原油の供給への影響も危惧されている。米国が対イラン経済制裁を再開するとの懸念から、原油先物価格は上昇しWTIは70ドルの大台を回復させた。

 北朝鮮の地政学的リスクの後退によるリスク回避の巻き戻し、原油価格上昇による物価への影響から、米国債利回りには上昇圧力が掛かる可能性がある。米10年債利回りは3%台に乗せたあとイラン問題でリスク回避の動きからいったん買い戻されたが、原油価格の上昇から再び3%台に乗せてきた。そうなれば日本の長期金利は日銀に抑えられていることで、日米金利差の拡大を受けて、外為市場ではドル円の上昇要因ともなりうる。ドル円の110円台乗せや、米長期金利の4%に向けた上昇といったことも想定される。


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# by nihonkokusai | 2018-05-10 09:40 | 国際情勢 | Comments(0)

原油先物価格が70ドル突破、80ドル台へ押し上げもありうるか

 5月7日に原油価格のベンチマーク(指標)となっているニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上昇している原油先物のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は、期近の6月物で1.01ドル高の1バレル70.73ドルで引けた。引け値でも70ドルの大台を突破した。

 年初に、WTIの100ドル台を正当化しうる材料も見当たらないため、あくまでこれはいまのところ初夢というか、仮定・想定の話ではあると書いたが、WTIの100ドル台乗せもあながち奇想天外な予想ではなくなりつつある。

 ここにきての原油価格の上昇にはイランを巡る動きが関係している。米英仏など6か国が2015年に結んだ合意はイランにウラン濃縮活動などを大きく制限する代わりに、経済制裁を解除する内容だった。

 トランプ米政権は同合意を「最悪のディール」と批判し、抜本的な見直しがされない限り、対イラン制裁解除の是非を再検討する期限である12日に合意から離脱する方針を示した。米国がこの制裁を再発動すれば、原油に依存するイラン経済だけでなく、世界の原油市場への影響は大きい。世界の消費量の1%にあたる100万バレル前後の供給が減るとされる(日経新聞の記事より)。

 そして、産油国であるベネズエラの経済混乱による影響も出ている。ベネズエラは財政悪化による資金不足で産油量が落ち込んでいるのである。

 ただし、これらの影響も大きいとはいえ、ここにきての原油価格の上昇の背景には、価格下落を危惧した石油輸出国機構(OPEC)諸国とロシアなどが昨年初めから協調して減産したことによる影響が大きい。

 サウジアラビアの政府高官は、原油価格について「サウジアラビアには上昇を止める意向は一切ない」と発言しているようだが、サウジアラビアは今年、原油価格を少なくとも1バレル=80ドルに押し上げようとしている(WSJ)。

 世界的な景気拡大による需要増も相まって原油価格の反発基調が続いている格好となっている。WTIは2014年7月から2015年1月あたりにかけて急落し、その急落相場から立ち直りかけているところである。チャート上からはWTIは66ドルあたりを上抜けると100ドルあたりまで節目らしい節目はない。テクニカル的にみても80ドルや100ドル台乗せは十分にありうる。

 いまのところ、この原油価格の上昇が景気の足を引っ張るような状況にはなってはいないようだが、今後、企業業績に影響が及び、価格転嫁によって家計にも影響を与える可能性がある。個人的にもガソリン代の値上げはあまりうれしくはない。

 しかし、原油価格の上昇は消費者物価指数に押し上げ要因ともなることで、WTIが80ドル台、100ドル台へと上昇してくれば、当然ながら日銀の物価目標としている消費者物価指数の押し上げ要因となりうる。


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# by nihonkokusai | 2018-05-09 09:46 | 国際情勢 | Comments(0)

金融政策に関する情報発信のあり方を巡り、リフレ派との温度差も

 3月8、9日に開催された日銀金融政策議事要旨が7日に公表された。この会合では金融政策は現状維持となり、政策変更はなかった。議事要旨の内容も前回と大きな変化はなかったが、議事要旨によると、金融政策運営に関する情報発信のあり方について議論が行われており、その部分を取りあげてみたい。

 「何人かの委員は、最近の為替市場や株式市場における不安定な動きについては、国際金融市場の変動に加え、わが国でも経済・物価情勢の改善が続く中、今後の金融政策運営の方向性を巡り、市場参加者の関心が高まっていることも影響しているとの見方を示した。」

 この場合の「為替市場や株式市場における不安定な動き」というのは、ドル円や株の乱高下というより、当時の動きからみて、円高の進行とそれも影響しての株安のことを指しているようにも思われる。たしかに日銀の金融政策の行方に過度に神経質となっていたようだが、この円高株安の動きは3月下旬あたりから反転しつつある。

 「何人かの委員は、市場に誤解が生じないよう、日本銀行としては、「物価安定の目標」の実現までにはなお距離があることを踏まえ、引き続き、現在の強力な金融緩和を粘り強く進める方針にあり、いわゆる「出口」のタイミングやその際の対応を検討する局面には至っていないと考えていることを、丁寧に説明していくことが重要であると指摘した。」

 この発言をみても日銀が過度に神経質になっていたように思われる。国債買入の微調整が行えないような状況にあったのかと個人的には勘ぐってしまう。

 「そのうえで、このうちの一人の委員は、将来的には、金融緩和の度合いを次第に縮小していくという意味での「正常化」を検討していくことになるが、それがなお金融緩和の領域にあり、需給ギャップの縮小を狙った「金融引き締め」とは異なることを、市場参加者にきちんと理解されるよう説明していくことも必要であると述べた。」

 この発言が一番気になった。これは以前、量的緩和の解除を行ったときと同様の表現であり、日銀出身者からの発言ではなかろうか。そうであれば、唯一該当するのが、この会合が任期最後となった中曽副総裁からの発言ではなかろうか。

 「別のある委員は、企業の価格設定スタンスの強まりがネガティブに捉えられることのないよう、デフレ脱却の意義について人々の理解を得つつ、「物価安定の目標」の実現を図っていくことが重要であるとの認識を示した。」

 この発言者も気になる。その内容からリフレ派からの発言ではなさそう。事業会社の出身者からの発言のようにも思われる。

 「この間、一人の委員は、追加的な金融緩和の余地が大きくない中、デフレ脱却を確実にするためには、財政政策の協力が必要になるとの見解を示した。そのうえで、この委員は、プライマリー・バランスの黒字化については、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、適切な定量的目標を定めて、柔軟に運営していくことが望ましいと述べた。」

 リフレ派からの発言である。これはやはりこの会合が最後となる岩田副総裁であろうか。そもそもアベノミクスと呼ばれたものは金融政策と財政政策に成長戦略を組み合わせた3本の矢であったはずで、何をいまさらの財政政策なのか。

 「このほか、ある委員は、「量的・質的金融緩和」の経済への効果が小さいとみていた人の中には、強力な金融緩和のもとで経済が大きく改善したことを受けて、将来必ず経済は悪化すると強調することで自己の主張と現実とのバランスを取ろうとする向きもみられると指摘した。」

 何故、金融政策決定会合という金融政策を決める会合において、自分の意見とそぐわない他者への非難を行わなければならないのかがわからない。しかも、リフレ派への非難は当然出てはいるが、「将来必ず経済は悪化すると強調」しているのはあまり聞いたことがない。

 これはむしろ、量的・質的金融緩和の物価への効果が大きいとみていた人の中には、強力な金融緩和のもとで物価が大きく改善しないことを受けても、将来必ず物価は改善すると強調することで、自己の主張と現実とのバランスを取ろうとしているようにも思われる。

 ちなみに3月の決定会合後に公表された「主な意見」では同様の意見を言っていたとみられる委員がこの部分と思われる箇所について、下記のようにまとめていた。

 「量的・質的金融緩和」への反対意見の中には、心理学で認知的不協和と言われるものがある。これは、自分の認識と新しい事実が矛盾することを快く思わないことである。「量的・質的金融緩和」で経済は良くならないという自分の認識に対し、経済が改善しているという事実を認識したとき、その事実を否定、または、今は良くても将来必ず悪化すると主張して、不快感を軽減しようとしている。」


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# by nihonkokusai | 2018-05-08 09:43 | 日銀 | Comments(0)

日銀の国債買入れペース80兆円という数字は削除されるのか

 4月27日の日銀の金融政策決定会合では、資産買入れ方針については全員一致で現状維持、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)については賛成8反対1となり、今回も片岡委員が反対票を投じた。今回から副総裁が替わったが、注目された若田部副総裁は異を唱えることなく前任の岩田副総裁と同様に執行部として賛成票を投じた格好となった。

 これは事前の予想通りであったが、サプライズが展望レポートにあった。展望レポートの「物価の中心的な見通し」で、前回の2017年10月分にあった次の箇所が変更されていたのである。

 「2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高い。」

 上記の文面があった箇所が今回は下記のようになっていた。

 「2019年度までの物価見通しを従来の見通しと比べると、概ね不変である。」

 つまり、2%程度という日銀の物価目標の達成時期の文面が削除されていたのである。当然ながら市場もこれに関心を抱き、27日の総裁会見でも質問が集中した。

 黒田体制の2期目がスタートし、そのタイミングで日銀は微妙な軌道修正を行った。ただし、政策そのものを変えたわけではない。あくまで展望レポートにあった達成予定時期の表記をなくし、未達成ならば追加緩和との見方が出ないようにするためと思われる。

 市場では日銀による金融政策の微調整の可能性も意識しはじめているが、今回の修正はそれに向けたものとは思われない。すでに6回ほど達成時期の先送りをしている現状、これを残す必要性もなくなったともいえる。

 それではもうひとつ、現状と乖離した部分が、こちらは「当面の金融政策運営について」に残っているが、これはどうするつもりなのであろう。その部分とは下記のところである。

 「10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ、金利操作方針を実現するよう運営する。」

 この保有残高の増加額年間約80兆円という数字はすでに現実的ではない。2016年10月の決定会合で導入した長短金利操作付き量的・質的緩和政策により、政策目標は量から金利に戻しており、国債買い入れペースも年間60兆円台あたりとなっている。80兆円はすでに絶対目標とはなっていないこともあり、いずれこの数字も削除してくる可能性はある。ただし、これについては若田部副総裁あたりから反対意見が出ることも予想され、そう簡単なものではないのかもしれない。


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# by nihonkokusai | 2018-05-07 10:01 | 日銀 | Comments(0)

国債の決済T+1が始動、これにより日銀の国債買入がさらにスムーズに

 国債など有価証券の取引には約定日(売買した日)と決済日(資金と証券の受渡日)が存在している。この関係は国債の入札日と発行日の関係にもあたる。つまり売買を行った日と別に決済日・発行日が存在している。

 国債の決済に関しては、2012年4月23日約定分から「T+2」に決済を行うようになった。つまり売買約定日から起算して原則3営業日目の日に受渡し決済を行っていた。

 この決済期間が5月1日から「T+1」に短縮された。つまり約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことになる。

 なぜ国債の決済期間を短縮しなければならなかったのか。これについては主導した日本証券業協会のサイトなどでも確認できる。大きな要因としては「リーマン・ショックで顕在化した国債決済リスクの削減」ということになる。また、「国債市場・短期金融市場の流動性・安定性・効率性の向上」も目的としている。さらに「国際標準手法の導入を通じ国債のグローバル化に対応」ともある。簡単にいえば最も流動性の高い米国債の決済がT+1であり、日本国債もそれに揃えようとの動きと言えた。

 国債の入札も財務省と業者の国債の売買契約となるため約定日ということになり、それとは別に発行日(受渡日)が設けられている。これは約定日と決済日の関係と同じである。今回の国債の決済期間の短縮によって、国債の入札から発行までの期間も短縮される。

 これまで5年債、10年債、20年債、30年債については入札日を含めた3営業日目の日(T+2)が発行日となっていた。これがT+1となる。ただし、3月、6月、9月、12月のいわゆる国債の償還月については、20日が発行日となっていた(20日が休日の場合は翌営業日)。償還月の発行日が20日となっているのは、償還を迎えた国債への再投資を円滑に進めるなどの理由があった。ただし、これだと入札日から発行日までの期間が大きく空いてしまうことになる。

 償還月の発行日が20日となっていることで、実は日銀の国債買入にも影響が出ていた。日銀は発行されていない国債を購入することはできない。つまり発行日を過ぎないと買入対象とならないのである。償還月に際しては20日まで日銀が買入対象にできないため、国債を入札した業者は期間リスクを負うことになる。

 しかし、今後は償還月でも発行日は入札翌営業日となることで、業者の負担が軽減される。ただし、2年債についは5月入札分(31日入札)から翌月1日発行とし、これまでの翌月15日から約2週間程度前倒しされる。


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# by nihonkokusai | 2018-05-03 10:55 | 国債 | Comments(0)

日銀が物価目標達成時期の表記を削除、この目的とは何か

 4月27日の日銀の金融政策決定会合では、資産買入れ方針については全員一致で現状維持、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)については賛成8反対1となり、今回も片岡委員が反対票を投じた。今回から副総裁が替わったが、注目された若田部副総裁は異を唱えることなく前任の岩田副総裁と同様に執行部として賛成票を投じた格好となった。

 これは事前の予想通りであったが、サプライズが展望レポートにあった。展望レポートの「物価の中心的な見通し」で、前回の2017年10月分にあった次の箇所が変更されていたのである。

 「2%程度に達する時期は、2019年度頃になる可能性が高い。」

 上記の文面があった箇所が今回は下記のようになっていた。

 「2019年度までの物価見通しを従来の見通しと比べると、概ね不変である。」

 つまり、2%程度という日銀の物価目標の達成時期の文面が削除されていたのである。当然ながら市場もこれに関心を抱き、27日の総裁会見でも質問が集中した。

 総裁会見での総裁のコメントはさておき、そもそもこの目標達成時期の表記については、日銀と政府の間でかなりの確執があった部分である。

 日銀としては金融政策で自由に物価をコントロールできるといった発想はそもそもなかったはずである。インフレを抑えるのではなく、デフレ予防を金融政策で行うとなれば、あくまでも物価が上昇しやすい環境を整えることが重要となる。金融政策は補助的な道具に過ぎない。

 しかし、リフレ派の意向を組んだ安倍政権は日銀にプレッシャーを与え続け、その結果として2013年1月に日銀(当時の総裁は白川氏)は2%の物価目標の導入を決定し、政府・日銀は共同文書(アコードではない)を発表した。そのなかで目標達成時期については下記のような表現となっていた。

 「日本銀行は、上記の物価安定の目標の下、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す。」

 この時点では、具体的な時期については表記されていない。日銀は2%は飲んだものの、具体的な時期の表明の表記は拒んだ格好となっていた。

 しかし、総裁が安倍政権が選んだ黒田氏に変わったこともあり、日銀としては政府の意向を時期についても飲まざるを得なくなった。むしろ積極的なリフレ政策を掲げるというある意味、ひとつの賭けに出ざるを得なくなった。

 黒田総裁の就任後まもなくの決定会合で、日銀は量的・質的金融緩和を導入し、2%という物価目標に対しては、「2年程度の期間」を念頭に置いて、早期に実現するとしたのである。

 この決定会合後に発表された展望レポートでは、本文だけではなく最初の概要部分にも「2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、現状程度の水準から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016年度前半頃になると予想される。」とあった。

 日本の消費者物価指数は量的・質的金融緩和を導入した2013年4月の前年比マイナス0.4%から、1年後の2014年4月にプラス1.5%に上昇したが、ここがピークとなった。

 一見、日銀の金融政策が物価を動かしているようにみえるが、急激な円高修正とその円安による株価の上昇に加え、2014年4月の消費増税に向けた駆け込み需要や便乗値上げなどの影響が大きかった。

 リフレ派はこの消費増税によって個人消費が停滞して物価上昇を抑制したというが、その後も景気そのものは拡大している。消費税で物価がコントロールできるのであれば、そもそも物価安定のための金融政策は必要ないというのであろうか。

 それはさておき、その後の物価の動向はご存じの通り。なぜ物価目標が達成できないのかはすでに日銀が一番良くわかっているものだと思う。それでも目標達成時期の表記は続き、達成時期は先送りされた。

 そして2016年10月に日銀は長短金利操作付き量的・質的金融緩和を決定し、政策目標をリフレ派が主張していたような物価を動かすはずであった量から、金利に戻している。このタイミングで、日銀は展望レポートの概要に表記されていた物価目標達成時期を本文だけとした。さらに今回、本文中の物価目標達成時期も削除した。

 これで何か変わったわけではないが、注目されやすく、何度も先送りしていた物価目標達成時期を残す意味はそもそもなかった。異次元緩和の効果はすでに5年以上経過して薄れているが、さらに無理しての追加緩和で物価を引き上げられる可能性は極めて低い。市場に追加緩和の期待を抱かせるようなことになりかねない部分は削除し、とりあえず淡々と現在の政策を継続する姿勢を示すことが現状では重要となるとの判断ではなかろうかと思われる。


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# by nihonkokusai | 2018-05-02 09:29 | 日銀 | Comments(0)

日銀による国債買入額の修正の可能性

 今年に入ってからの日銀による国債買入額の修正について、振り返ってみたい。

 1月9日の国債買入において日銀は残存10年超25年以下の買入額を1900億円と前回の2000億円から減額し、残存25年超も800億円と前回までの900億円から減額した。これは市況環境によるものというよりも、2018年度の国債発行計画でこの超長期ゾーンも含めて発行額が減額されるため、早めに手を打ってきたとの見方もできた。

 1月31日の国債買入において日銀は3年超5年以下について前回の3000億円から3300億円に300億円増額した。欧米の長期金利上昇を背景に日本の10年債利回りが0.1%に接近したことにより、この利回り上昇を抑制することが目的で増額したとみられる。

 2月2日の東京市場では欧米の長期金利の上昇を受けて、10年債利回りが0.095%まで上昇し0.1%に接近した。これに対し日銀は国債買入で5年超10年以下を4500億円と400億円増額した上で、指し値オペも10年債のカレントで0.11%の水準でオファーした。

 2月28日に25年超の国債買入額を700億円とし、100億円減額した。債券相場が戻り基調となり、イールドカーブのフラット化が進んでていたことでの修正というのが理由かもしれない。しかし、市場では大手機関投資家の意向があったとではとの観測も出ていた。

 4月27日現在で、日銀による国債買入は残存期間1年超3年以下が2500億円、3年超5年以下が3300億円、5年超10年以下が4500億円、10年超25年以下が1900億円、25年超が700億円となっている。27日に日銀が発表した「当面の長期国債買い入れの運営について」では、5月の1回当たりのオファー額レンジ、買い入れ回数ともに、全ゾーンで4月から据え置かれた。

 新年度入りしたことで、4月から国債の発行額はカレンダーペースで20年債以外は減額されている。日銀はこれに備えていたとみられるが、それでも例えば5年超10年以下は2月2日に増額した4500億円のままとなっており、このゾーンなど主体に今後の需給の逼迫も予想されることで、タイミング次第では今後の減額の可能性はありうるか。

 外為市場でドル円が反発基調となってきていることで、為替市場の動向からみて減額はやりやすくなってはいる。トレンドが円安となっていれば、国債買入の減額による影響は一時的となる可能性がある。ただし、ドル円の上昇に合わせて米国の長期金利も上昇してきていることで、日本の長期金利も上昇してくる可能性もあることで、特に5年超10年以下の減額は難しい面もある。為替市場では細かな買入額の調整でも動くときは動くだけに、減額があるとしてもそのタイミングを見定めるのもなかなか難しくなりそうである。


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# by nihonkokusai | 2018-04-30 09:12 | 日銀 | Comments(0)

北朝鮮リスクの後退で、リスク回避の巻き戻しが強まるか

 これを書いている時間に(27日午前)、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長による南北首脳会談が、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設、「平和の家」で始まった。

 会談では、非核化と平和定着を巡って集中的な議論が交わされる見通しで、史上初の米朝首脳会談を見据えて、キム委員長の非核化の意思を、共同宣言などの形でどれだけ明文化できるのかが焦点となるとされる(NHKニュース)。

 何故、北朝鮮は攻撃的な態度をあらため融和的な態度に変化してきたのか。これは極めて政治的な問題であり、ここで憶測を入れるつもりはないが、この流れから見る限り、北朝鮮側は史上初の米朝首脳会談を成功させたいと思われる。ちなみに米朝首脳会談が行われる場所についても憶測が飛んでいるが、板門店の可能性が高くなったのではなかろうか。

 それはさておき、今年に入ってからの外為市場における円高の動きは、北朝鮮の核開発やミサイルの試射を巡っての北朝鮮の地政学的リスクによるリスク回避の動きだけであったわけではない。ドルが売られ、円が買われる、それぞれの要因はいくつかあった。しかし、2月あたりからはユーロなどに対しても円が買われており、(リスク回避として)円が買われやすい地合であったことも確かではなかろうか。

 その円高の流れに変化が出てきたのは、2月の平昌での冬期オリンピックを経て、韓国と北朝鮮が首脳会談を開くことで合意したとのニュースが飛び込んできたあたりからとなっていた。こにきてのドル円の反発には、リスク回避の巻き戻しと言った動きもあったとみられ、その意味では北朝鮮の地政学的リスクの後退も影響していたとみておかしくはない。

 もちろん米長期金利の3%台乗せなどもドルの上昇を促したが、円だけでなく米国債もリスク回避によって買われやすいものであり、つまり米長期金利の上昇もファンダメンタルや需給面だけでなく、リスク回避の巻き戻しとみれば、北朝鮮の地政学的リスクの後退による影響は皆無であったとは言い切れない。

 そうであれば、このまま史上初の米朝首脳会談がスムーズに開催され、核問題等で何かしらの成果が出るとなれば、さらに北朝鮮リスクが後退するとともに、アジア状勢に変化が生じることも考えられる。少なくともドル円が年初の水準ともなる113円台あたりまで戻してきたとしても何ら不思議ではない。

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# by nihonkokusai | 2018-04-28 10:07 | 為替 | Comments(0)

北朝鮮リスクの後退で、リスク回避の巻き戻しが強まるか

 これを書いている時間に(27日午前)、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長による南北首脳会談が、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設、「平和の家」で始まった。

 会談では、非核化と平和定着を巡って集中的な議論が交わされる見通しで、史上初の米朝首脳会談を見据えて、キム委員長の非核化の意思を、共同宣言などの形でどれだけ明文化できるのかが焦点となるとされる(NHKニュース)。

 何故、北朝鮮は攻撃的な態度をあらため融和的な態度に変化してきたのか。これは極めて政治的な問題であり、ここで憶測を入れるつもりはないが、この流れから見る限り、北朝鮮側は史上初の米朝首脳会談を成功させたいと思われる。ちなみに米朝首脳会談が行われる場所についても憶測が飛んでいるが、板門店の可能性が高くなったのではなかろうか。

 それはさておき、今年に入ってからの外為市場における円高の動きは、北朝鮮の核開発やミサイルの試射を巡っての北朝鮮の地政学的リスクによるリスク回避の動きだけであったわけではない。ドルが売られ、円が買われる、それぞれの要因はいくつかあった。しかし、2月あたりからはユーロなどに対しても円が買われており、(リスク回避として)円が買われやすい地合であったことも確かではなかろうか。

 その円高の流れに変化が出てきたのは、2月の平昌での冬期オリンピックを経て、韓国と北朝鮮が首脳会談を開くことで合意したとのニュースが飛び込んできたあたりからとなっていた。こにきてのドル円の反発には、リスク回避の巻き戻しと言った動きもあったとみられ、その意味では北朝鮮の地政学的リスクの後退も影響していたとみておかしくはない。

 もちろん米長期金利の3%台乗せなどもドルの上昇を促したが、円だけでなく米国債もリスク回避によって買われやすいものであり、つまり米長期金利の上昇もファンダメンタルや需給面だけでなく、リスク回避の巻き戻しとみれば、北朝鮮の地政学的リスクの後退による影響は皆無であったとは言い切れない。

 そうであれば、このまま史上初の米朝首脳会談がスムーズに開催され、核問題等で何かしらの成果が出るとなれば、さらに北朝鮮リスクが後退するとともに、アジア状勢に変化が生じることも考えられる。少なくともドル円が年初の水準ともなる113円台あたりまで戻してきたとしても何ら不思議ではない。

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# by nihonkokusai | 2018-04-28 10:07 | 為替 | Comments(0)
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