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「個人向け国債の中途換金の額」

 財務省の公表している官報をもとにこれまでの個人向け国債の中途換金の額(財務省の買入額)を集計してみた。(平成17年10月24日現在)

 個人向け国債は今年10月発行された第12回債までに合計15兆5142億円(郵便局販売分含む)発行されている。そのうち平成17年10月24日現在、約2260億円程度が途中換金されている。途中換金額を回号別に見てみる。

第1回約344億円(発行額3,835億円)解約率9.0%
第2回約262億円(同3,468億円)同7.5%
第3回約157億円(同2,802億円)同5.6%
第4回約485億円(同9,432億円)同5.1%
第5回約403億円(同13,951億円)同2.9%
第6回約562億円(同14,185億円)同4.0%
第7回約23億円(同17,726億円)同0.1%
第8回約24億円(同18,652億円)同0.1%

 解約率からは第1回債がすでに1割近くの解約になっている。個人が国債を購入した際には、満期まで保持するケースが多いと見られるが、個人向け国債は途中解約でも途中換金が容易であり、1年分の利子相当額の手数料はとられるものの、預貯金代わりに数年お金を国債に置いてみようとの個人も意外と多かったようである。しかし、それでも大半は満期保有となるのではないかとも思われる。
# by nihonkokusai | 2005-11-25 13:42 | 国債 | Comments(0)

「タミフルとラムズフェルド国防長官」

 米CNNの2005年10月31日の報道より

 「カリフォルニア州に本拠を構えるバイオテック企業ギリアド社は、インフルエンザ治療薬として現在世界中から注目されている『タミフル』の特許を所有している。」

 「1997年からブッシュ政権入閣までの2001年の間、ラムズフェルド国防長官はギリアド社の会長を務めており、現在でも同社の株を保有しているが、その評価額は500万ドルから2,500万ドルの間であることが、ラムズフェルド氏自身による連邦資産公開申告書で明らかになった。」

 「申告書ではラムズフェルド氏が所有する株数の詳細は明らかになっていないが、過去6ヶ月間における鳥インフルエンザ大流行の懸念とタミフル争奪戦の予測により、ギリアド社の株価は35ドルから47ドルに急騰。これにより、すでにブッシュ政権内で最高額の資産を持つ国防長官は、少なくとも 100万ドル以上資産を増やしたことになる。」

 「スイスの医薬品大手ロシェ社が製造販売しているタミフル(ギリアド社は販売額の10%のロイヤリティーを受け取っている)で利益を得た政界有力者はラムズフェルドだけではない。ジョージ・シュルツ元国務長官はギリアド社役員として、2005年度に入ってから同社の株700万ドル分を売却している。」

 「さらに重要なことは、合衆国政府が世界最大のタミフル購入者であるという事実だ。今年7月には、米国防総省は兵士への配給用に、 5,800万ドル分のタミフルを注文しており、議会も数十億ドル分の購入を検討中である。2005年度におけるロシェ社のタミフル売り上げ予測額はおよそ 10億ドルで、前年度は2 億5,800万ドルであった。」
# by nihonkokusai | 2005-11-25 12:03 | Comments(2)

「10月11、12日分金融政策決定会合議事要旨より」

 「ある委員は、(1)デフレか否かの判断のために、家計が消費する対象となる消費財やサービスの価格を中心にみるなら、民間投資、政府支出、純輸出等を含むGDPデフレーターは必ずしも適当な指標ではない、(2)仮にGDP統計でみるのであれば、家計最終消費支出デフレーターを使うべきであるが、その場合でも、連鎖方式化されたとはいえ、パーシェ指数としての下方バイアスがあり、パソコン等の価格下落を過大に反映する傾向がある点に留意する必要がある、と指摘した。

 財務省出席者「わが国経済の現状をみると、景気は緩やかに回復しているが、消費者物価指数やGDPデフレーターがマイナスであるなど、デフレは依然として継続している。」

 内閣府の出席者「なお、デフレの状況を判断するに当たっては、消費者物価だけでなくGDPデフレーターを含めて総合的に行うべきであると考えているが、・・・」

 CPIに比べて、「GDPデフレーターの下落率はなぜ大きいのか」については、こちらの日銀調査統計局の資料がひとつの参考になるものと思われる。

 ちなみに平成16年12月8日公表の平成15年度確報ならびに平成16年度7-9月期GDP二次速報から、デフレーターと実数地の計算方式を固定基準年方式から連鎖方式に変更されている。
# by nihonkokusai | 2005-11-25 12:03 | 日銀 | Comments(0)

「刷り込み」

 「次の新型インフルエンザウイルスの亜型についての予測は困難である。現在のところ、東アジア地域に分布する鳥インフルエンザなどの解析から、H5、 H9、H6及びH2亜型の可能性が高いと推測されるが、それ以外の可能性も否定できない。従って、あらゆる可能性に対応しうる準備が必要である」「新型インフルエンザがどのような過程を経てヒトの世界に侵入してくるかについても、十分には解析されていないが、3つの可能性が指摘されている」(厚生労働省「新型インフルエンザ対策報告書」より一部抜粋)

 「中国衛生省は23日夜、安徽省で農民の女性(35)が鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染して死亡したと発表した。」(読売新聞)

 「1997年、突然マスコミはインフルエンザへの恐怖を煽り、ワクチンキャンペーンを開始した。老人ホームでのインフルエンザ死が大々的に報じられ、その冬の香港におけるトリA型ウイルスの流行はあたかも大流行が身近にせまったごとく報道された。続いて子どものインフルエンザ脳症がクローズアップされた。」(インフルエンザワクチンについての開業医の研究から)

 「開発したロシュ社(スイス)が行った動物実験で、大量に薬(タミフル)を投与した若いラットの脳から高濃度の薬剤成分が検出されたことを受けた措置。異物の侵入を防ぐ脳の機能が未発達な乳児への危険性が指摘されている。このため、中外製薬は日本小児科学会などの協力を得て、昨年末から今年春にかけて投与された症例について、副作用などの有無を調べる」(2004年4月6日読売ネット版)

 「インフルエンザ治療薬のリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)を飲んだ患者2人が、飲んで間もなく行動に異常をきたし、1人は車道に走り出て大型トラックにはねられ死亡、もう1人はマンションの9階から転落死していたことが11日、分かった。薬の添付文書には副作用として「異常行動」(自分の意思とは思えない行動)や「幻覚」などが起きる場合があると書かれているが、死亡につながったケースの判明は初めて。厚生労働省安全対策課も死亡例の一つを副作用として把握しており「異常行動の結果、事故死する可能性もある」としている。」「タミフルはスイス・ロシュ社が開発した。ウイルスの増殖を妨げ熱がある期間を1日程度縮める効果がある。国立感染症研究所の医師によると日本での年間販売量は1500万人分で、世界の8割以上を占める。」 (11月12日毎日新聞)

 上記はインフルエンザとその特効薬とも言われたタミフルに関しての記事などである。トリインフルエンザが人から人へ感染するものに突然変異してくる危険性はないわけではないであろうし、だからこそAPECなどでもそれが議論されたものと見られる。しかし、それはまだ実証されていたものでもなく、実際に人から人への感染例は確認されていない。そのリスクを無視するなと言われるかもしれないが過度に神経質になりすぎていないであろうか。

 そしてそのインフルエンザに対する特効薬としてタミフルが注目され、ネット通販を利用して高値で購入している事例も見られるとか。しかし、このタミフル、どうも腑に落ちない。なぜ日本で世界の8割以上分も使われているのか。

 そもそもタミフルはウイルスの増加を抑制する薬に過ぎない。しかも、熱がある期間を1日程度縮める効果でしかない。体力の弱っている人などには命に関わることもあろうが、健康的な成人ならば寝ていれば治るものでもある。しかも、突然変異したトリインフルエンザに対しては効果がある保障はない。

 さらに思春期の子供たちに幻覚といった副作用の事例も出ている。インフルエンザによる脳症ではないかとの指摘もあったが、それは小児がかかるものであり、症状も違っているため、タミフルの副作用の可能性は十分ありうると思う。タミフルはインフルエンザA型、B型ならば感染して48時間以内ならば効果があるそうだが、これは予防薬でもない。毎日飲み続けていれば結果として予防薬となるのかもしれないが。それにしても、なぜこれほど日本で利用されているのか。その理由が知りたい。そしてもしタミフルを使われる方がいるならば、言うまでもないが使用にあたっては十分気をつけた方が良さそうである。
# by nihonkokusai | 2005-11-24 14:12 | Comments(0)

「冬の個人向け国債」

 12月9日(金)より冬の個人向け国債の募集が開始される。今回から新たに5年ものの固定利付きタイプが加わる。このためイメ-ジキャラクタ-に小雪さんに加えて、固定利付き向けとして新たに本木雅弘さんが加わっている。そして「10年先まで楽しみたい。」という変動のキャッチコピーに対して、固定は「5年先まで見通したい。」 。20年以上にわたり国債市場を見てきているが、5年先まで見通す自信は私にはない(えっ、聞いてない?)。早速、5年固定タイプの概要を確認してみる。

 募集期間は平成17年12月9日(金)~29日(木)。発行日は平成18年1月16日となる。本来ならば15日発行なのだが1月15日は日曜日となるため、一日ずれる。利払い日は毎年1月15日及び7月15日(年2回)となることで、初回の利子に際しては1日分の調整額が必要とされるので注意したい。およそ10万円額面に対して1円程度が目安となる。償還期限は平成23年1月15日。利率は固定であり、適用利率の算式は基準金利- 0.05%となる。この基準金利は平成17年12月8日の5年利付国債入札の結果から算出され発表される。

 次に変動タイプの概要についても確認しておきたい。募集期間や発行日は5年固定タイプと同じである。利払い日も同様、このためこちらも調整額が必要になるので注意したい。償還期限は平成28年1月15日。利率は変動であり、適用利率の算式は基準金利-0.80%となる。初期利子の基準金利は平成17年12月1日の10年利付国債入札の結果から算出され発表される。

 日銀の量的緩和解除観測の強まりや株高といった状況下にあるものの、現在のところ長期金利は低位安定している。このため利率という面では預貯金金利は大きく上回れど、期待されていたほどの利率ではなく、特に今回も変動タイプの販売は伸び悩みとなる懸念もある。しかし、今回から固定タイプが加わるため、選択の余地も広がり、あらたなニーズの掘り起こしにも繋がりそうである。

 特に固定タイプは、利率が固定されることで、より預貯金に近い性格を持ち、個人にとっても受け入れやすい商品性を持っていると思われる。さて、どっちが売れるのか。募集手数料は両方とも50銭。そして方や期間は半分ともなれば、販売金融機関は固定タイプを推奨しそうな気もなきにしもあらずだが、選択は個人の先行きの金利感にも委ねられる。

 念のため言っておきたいが、債券市場のプロですら数か月先の金利動向を見通すのは至難の業である。今後の金利の見通しを教えてくれと聞かれても、その返事に対しては全く責任は持てないので、購入される方はあくまで自分の感覚を大事にして、どちらを選択するのかを決めてほしい。それでも私のアドバイスでよろしければ、03-5212-8749 に電話をいただきたい。
# by nihonkokusai | 2005-11-24 09:39 | 国債 | Comments(0)

「物価上がる、消費者の56.4%と8年ぶり高水準」

 内閣府などの外郭団体である日本リサーチ総合研究所は、10月の消費者心理調査の結果を発表。この先1年間の物価見通しについて、上がると答えた割合が 56.4%と前回8月調査を6.0ポイント上回り、1997年10月以来8年ぶりの高水準となったことを発表した(QUICK)。

デフレ脱却を示すような指標がまたひとつ・・・。
# by nihonkokusai | 2005-11-22 15:04 | 景気物価動向 | Comments(0)

「TXの10月乗客数は1日平均15万人超す」

 19日の日経新聞によると、10月のつくばエクスプレス(TX)乗客数が一日平均で15万人を超えたそうである。

 たしかに、目に見えて乗客数は増加しており、初年度予定の一日平均13万5千人はクリアーできそうと思っていたが、実際にはそれ以上の数値ともなっていたようである。10月は観光シーズンでもあり、週末はTXに乗っての筑波山観光などもかなりあったと見られ、多少そういった人数が上乗せされているとも思われる。

 しかし、それでも開業当初の1か月が平均12万3千人であったことを考えると、かなりの伸びになっていることも確かである。毎日利用している者として、ある程度乗客があった方がもちろん良いが、あまり混雑してもらっても困る気もする。先日も一本遅く乗った車両では、地震による4分ほどの遅延も影響したとみられるが、ほとんど身動きができないほどの混雑でもあった。次回のダイヤ改正では増発される可能性もあるのではなかろうか。
# by nihonkokusai | 2005-11-22 12:33 | Comments(0)

「GDPギャップ」

 「この先の当面の見通しも、少なくとも1.5%を上回る成長とみており、民間の予測でも2%に足をかけている。これは潜在成長能力を少し上回っている可能性が非常に高く、需給ギャップがかなり縮んで来て、今後も縮小し続ける。これは少なくとも明確に言えることであると思う。需給面から物価の基調が変わる」

 7-9月期内閣府試算によると需給ギャップ、つまり国内の工場設備や労働力をフル稼働させたときに達成可能な潜在的な国内総生産と実際のGDPの差はマイナス0.2となりマイナス幅を縮小させた。単純換算で需給不足は1兆円程度とみられ、この需給ギャップ(GDPギャップ)は来年早々にもプラスに転じる可能性が強まってきた。これについては福井総裁もかなり重視しているようにも思われる(一部日経新聞11月22日朝刊より)。
# by nihonkokusai | 2005-11-22 10:08 | 景気物価動向 | Comments(0)

「量的緩和政策の副作用」

 経済同友会は「量的緩和政策からの転換に向けて」という意見書を提出し、日銀の量的緩和解除に向けての姿勢をフォローしている。そして、この中で量的緩和政策の評価とともに副作用についてまとめている。

 その前に18日の福井総裁会見においても、総裁は量的緩和政策の副作用について触れていたため見てみたい。

 「量的緩和政策のコスト、ベネフィットについてバランス・シートの計算が終わったわけではない。しかし、ごく大掴みに一般論で言えば、量的緩和政策は、経済を健全に運行していくメカニズムの中で一番大事な金利メカニズムを封殺しながら運営してきている。そのような大きな犠牲を払いながら、デフレ・スパイラルから脱却するためのかなり異例な措置であるという点を忘れずに、私どもが今後することについて、なぜそのような転換が必要かを是非正しく理解して頂きたい。」

 「量的緩和政策は、あくまでもデフレ・スパイラルに陥って経済が死んでしまうことを捨て身で防ぐための異例な措置であり、これには大変コストがかかっている。金利機能を封殺しているし、多くの消費者の皆さんも、ほとんど一文も預金利息を受け取れないという犠牲を払ってこの政策を支えている。」

 それでは、経済同友会は「量的緩和政策からの転換に向けて」における副作用について見てみたい。

 まず指摘されているのが、「短期金融市場では金融機関の信用力に応じたレートが付いておらず、銀行貸出市場や資本市場でも信用スプレッドは異常とも言える縮小状態が続いている」このために「信用力の低い債務者が自らのリスクに応じた対価を十分負担しておらず、債権者に相対的に大きなリスクがシワ寄せされている」と指摘している。そして「企業に対する金融市場による規律付けが不十分」になる懸念を示している。

 二番目に指摘しているのは、総裁会見にもあったが、「適正な金利収入の喪失」である。「経済が正常化する状況でも従前どおりの量的緩和政策と超低金利が継続され、金利水準が適正水準より低位に止まるのであれば、企業・家計にとって本来得られた金利収入が失われる恐れがある」。これは我々の生活にも直接関わっている部分である。そしてこれは「リスクシェアリングの一つの側面でもある」とも指摘している。

 そして、三番目に指摘しているのが「財政規律の低下に伴う金利急騰懸念」である。「量的緩和政策によりもたらされた長期金利の低位安定により、国および地方公共団体など公的部門は、個々の財政状態にあまり左右されず極めて低金利での資金調達(国債、地方債の発行等)が可能であった。今後、財政改革を進めていくにあたり、公的部門が資金調達する際には、そのリスクに見合った金利が付される必要があるが、今のままでは、金利を通じた財政規律が不十分となる恐れがある。これによって財政赤字の削減が遅れ、わが国財政、ひいては国債に対する信認が低下する場合には、金融市場において長期金利が急上昇し、経済を混乱させる恐れがある」。まさに日本国債は危なくなってしまう点を強調。金利急騰とはならないまでも、財政規律が低下してしまうリスクは十分にある。ある程度のストレスにさらされる必要はあるものと考える。

 次に指摘しているのが、「実体経済と乖離した資産価格の上昇」である。まさに土地や株など資産バブルの崩壊を懸念している。

 最後に「将来の適切な金融政策実現への制約」を懸念している。これは福井総裁にとっても大きな懸念材料であると思われる。状況によっては「超低金利から金融引き締めの方向へと急激な政策転換を強いられる可能性」もあることを指摘している。
# by nihonkokusai | 2005-11-22 10:08 | 日銀 | Comments(0)

「日銀総裁会見内容検証」

 注目された18日の福井日銀総裁会見内容から注目すべき部分をピックアップしてみたい。

 「3つの条件とおっしゃるが、基本的には、消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になったかどうかを皆で確認し合うということであるので、かなり的を絞って皆様が同じものを見ることができる。」

 3つの条件を満たすということは、コアCPIが安定的にゼロ以上になったかの確認であるとの認識である。しかし、日銀に理解を示しているとの与謝野金融経済財政担当相も「量的緩和解除の第三条件、全体考えて判断する余地ある」とのコメントをしているように、条件に対しての認識は日銀とはやや距離がある。この溝をどのように埋めていくのかが今後の大きな課題とも言える。

 「将来にわたって予見し得ない様々なショックが起こり得る可能性があるということは、すべての国の中央銀行が十分念頭に置きながら、そういう意味ではある程度リスクをとりながら政策運営をやっていかざるを得ない。予見し得ないことまですべて織り込もうとして、手をこまねいてタイミングを失するわけにはいかない。」

 これも市場関係者からもよく指摘されるように、もし仮に量的緩和解除後に景気の悪化などがもたらせられたらゼロ金利解除時の二の舞になるのではとの懸念に対する総裁の答えのひとつである。

 「日本経済については、特に民間部門での過去10年以上にわたった厳しい努力の成果として、ショックに対する脆弱性がかなり消えた。つまり、ショックに対してそれを吸収する力がある程度ついてきている。しかし、それにかまけることなく、私どもは先行きを見極める目をしっかり持って判断していきたいと思っている。」

 2000年8月のゼロ金利解除時と大きく異なるのはファンダメンタルの状況にある。2000年時の日本の景気回復については本格的なものとはいえなく脆弱性もあった。しかし、ゼロ金利導入時の経緯から見て、この一時的に取らざるを得なかった政策は早急に元に戻して、日銀としてのフリーハンドを取り返そうとの動きでもあったかに思える。ところがITバブルの崩壊は日本経済の当時の脆弱性を露呈させてしまい、その非が日銀に集中してしまった。このタイミングの悪さといったものは当然ながら福井総裁も十分に知りぬいているはずである。あのときと現在では、日本経済の基礎体力が違っていることを総裁は示唆しているものと思われる。

 「量的緩和政策が、重い文鎮を置くあるいはコミットメントを置くというようなかたちで金利機能を金縛りにしているという状況に比べると、単純なゼロ金利政策は、イールドカーブの一番期間の短い金利の部分のみを調節の結果としてゼロに抑えるということであるので、金利機能を抑圧するという度合いは随分違うとご理解頂けると思う。」

 量的緩和政策とゼロ金利政策の違いの説明ともなっている。「重い文鎮」とか「コミットメントを置く」との表現は面白い。量的緩和政策の現実的な効果といったものはいかほどであったのか図るのは難しいが、心理的に与えていた影響はそれなりに大きなものがあったはずである。なんといっても諸外国から福井日銀総裁はかなり高く評価されていたのもその現われであったはずである。ただし現場サイドからは、量を増やすことに対してその効果のほどを疑問視する声が多かったことも確かではあった。

 そして記者から「政府の中では、生鮮食品とエネルギーを除くというかたちで数字の公表を検討している」件についての総裁の答えは以下のとおり

 「先程も申し上げた通り、生鮮食品を除く消費者物価指数すなわち日本のコアの消費者物価指数は、おそらく非常に多くの国民の皆様が経済活動、経済生活をしていく中で、一番わかりやすい指標だと思う。これを共通の基準として約束してきているので、あまり技術的な理由で中身を入れ替えるようなことをして、また国民の皆様に頭の中で整理し直して頂く必要はないのではないかと思う。私どもは従来から約束している基準で最後まで一緒に見させて頂く。」

 日銀の解除に向けて姿勢に反対する人たちはあれやこれやと理由付けをしようとしているが、本来の約束は現状のコアCPIにある限り、新指標をもって解除できないとの理由にはならない。もちろんその数値をまったく意識するなということではないが。

 そして最後に総裁は、下記のように現在の日本経済の姿について再度コメントしている。まさに「日本経済は(解除をしても)危なくない」と私も思う。

 「ここまで日本経済において、特に民間部門の構造改革が進み、バランス・シートの健全化が進み、イノベーションが強いという経済を前提とした場合、何か強いショックが来たからといって単純に量的緩和政策に戻らなければならないような弱い経済であろうか。その点を私どもはしっかりと点検した上で量的緩和政策の枠組みの修正に踏み切るということである。」
# by nihonkokusai | 2005-11-22 10:06 | 日銀 | Comments(0)
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