牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

「ピロリ菌」

 去年、胃潰瘍で突然入院してしまってからまもなく1年が経過しようとしている。ストレスが原因であったことも確かだが、胃の中のピロリ菌も原因であったようである。今年のノーベル医学生理学賞は、このピロリ菌を発見したオーストラリア人のバリー・マーシャル氏と、ロビン・ウォレン氏が受賞した。

 ピロリ菌を発見するまでの過程において、培養に偶然成功したり、妻に反対されながら自ら実験台になってピロリ菌を飲んだり、強い酸の中では菌は生きられないとの医学会の常識に立ち向かったりと、たぶんこれはいずれハリウッドで映画化されるであろうほどのエピソードには事欠かないようである。

 私も入院したのち、担当医師の薦めもあってピロリ菌を除去したが、気になる方はピロリ菌の検査をお勧めしたい。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-10-06 09:44 | 趣味関心 | Comments(2)

「議決延期請求権」

 2000年8月11日の日銀金融政策決定会合において、大蔵省および経済企画庁からの出席者から、「日本銀行法第19条第2項の規定に基づき、議長提出の金融市場調節方針の決定に関する件に係る政策委員会の議決を次回金融政策決定会合まで延期すること」との議案が提出された。ゼロ金利解除の際における議決延期請求権の行使である。この条項はドイツのブンデスバンクを参考に取り入れられたと言われたが、そのブンデスバンクですら一度も行使されることなく ECBの設立とともにその条項は削られていた。それが日本で行使されるという異常な事態となったことを記憶している方も多いと思う。

 日銀はここにきてゼロ金利政策よりもさらに踏み込んだ「量的緩和政策」の解除に向けての姿勢を次第に強めてきている。福井総裁は10月3 日の衆院予算委員会において、「異常な政策をいつまで続けろという声にくみすることは断固できない」とまで言い切った。市場においても今年度末近辺における量的緩和解除を次第に織り込みつつある。

 量的緩和解除については3つの条件が存在するが、今年の年末にかけての特殊要因剥落などによるコアCPIのプラス転換の可能性は強く、政府も景気の踊り場脱出を表明しているように景気が回復基調を強めていることで、3条件がクリアーされる環境が形成されつつある。しかし、それでも政府や財務省は、この日銀の動きを牽制している。細田官房長官は3日に「量的金融緩和、変更する理由見出せない」とコメントしており、谷垣財務大臣も「金融政策、穏やかに続くデフレに対応必要」と量的緩和解除について慎重なコメントをしている。

 それでは、今回の量的緩和解除にあたっても、財務省と内閣府の出席者から議決延期請求権が出される可能性があるのであろうか。これは今回の量的緩和解除にあたっての大きな注目点ともなりそうなのである。

現在の執行部の布陣は、総裁は福井氏、そして副総裁は前財務次官の武藤氏と内閣府出身の岩田氏である。前任の執行部と大きく異なる点は、議決延期請求権を提出した財務省と内閣府の出身者が現在、副総裁として総裁の脇を固めていることにある。特に武藤副総裁は首相官邸とのパイプ役も担っているとも言われ、量的緩和解除にむけては極力、議決延期請求権の提出を回避させるべき役割も担っているのではないかとも見られる。量的緩和解除が想定されるまで、まだかなりの時間がある。その間、物価や景気動向を見ながら、現在の執行部が財務省や内閣府そして首相官邸への理解を求めるべく動きを活発化してくるものとも考えられる。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-10-05 09:57 | 日銀 | Comments(0)

「長期金利は新たな局面に」 (レポート原稿より、一部内容が昨日のものと重複)

 長期金利はここにきて上昇基調を強め、大きな節目ともみられていた1.5%をもあっさり抜けてきている。4日に実施された10年国債の入札は最低落札価格 100円18銭、100円21銭とほぼ予想の範囲内とはなったものの、投資家は慎重姿勢を強めたものとみられ、結果発表直後からも先物主体に売りが入り 137円の大台を割り込んだ。

 10月3日に実質下期入りし、一部現物買いの期待もあった投資家の動きは鈍かった。3日に発表された日銀短観においても、数値自体は事前予想よりは良くなかったものの、景気の回復基調を示すものとなった。このため、株価の下落も一時的なものに止まり、日経平均は14000円に向けて上昇基調を強めている。

 ここにきて、やや注目度が落ちていたとみられる欧米の景気や金利についても注意が払われるようになってきた。特に米国経済はハリケーンの被害によって一時的にせよ景気後退は避けられないと見られていたが、思いのほか影響は軽微であったことが経済指標などでも示されるようになってきた。米国の利上げも継続かとの観測も強まり、米国金利は上昇基調を強めており、欧州でもやはり金利が上昇しつつある。

 株高や欧米金利の上昇に加え、国内の機関投資家が債券投資に慎重になっている最大の要因はやはり日銀の動向であろう。すでに年末にむけてのコアCPIのプラス浮上はほぼ確実視されている。また、日銀執行部をはじめ各審議委員からも今年度末から来年度初めにかけての量的緩和解除の可能性を示唆するコメントも出始めている。さらに衆院予算委員会において日銀の福井総裁は「異常な政策をいつまで続けろという声にくみすることは断固できない」ともコメントしており、解除に向けた強い姿勢を示したとも思える。

 4日に5年債の利回りは0.8%台に上昇し、やや割高感のあった10年債も272回は1.560%に利回りが上昇した。また、先物は3月10日の137円 23銭を大きく割り込み年初来安値を更新し、136円台をつけてきている。先物のチャートを見る限り、あらためて下方トレンド入りしたものと見ざるを得ない。

 先物の売りの主体は海外のヘッジファンドとも言われているものの、上記のように投資家の慎重な姿勢が相場全体を重くしているようにも感じられる。投資家の押し目買いが消えたわけではないものの、より慎重になっていることも確かであり、長期金利はあらたなステージ入りした可能性がある。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-10-05 09:56 | 債券市場 | Comments(0)

「長期金利1.5%台に、あらたなステージ入りか」

 長期金利はここにきて1.5%台に乗せてきた。本日実施された10年国債の入札は最低落札価格100円18銭、100円21銭とほぼ予想の範囲内とはなったが、この結果を受けて先物主体に売りが加速した。

 10月3日に実質下期入りしても思いのほか投資家の動きは鈍い。3日に発表された日銀短観においても予想よりは良くなかったとはいえ景気の回復基調を示すものとなっており、株価も上昇を続けている。また、ここにきて米国経済の指標にも強いものが出てきており、米国金利の上昇なども影響を与えてきているものと思われる。

 投資家の慎重姿勢の最大の要因としては、日銀による量的緩和解除観測の強まりが上げられる。まだCPIはプラスに転じたわけではないものの、年末にむけてのプラス浮上はほぼ確実視されている。日銀執行部からも今年度末から来年度初めにかけての解除の可能性を示唆するコメントも出始めている。さらに昨日の衆院予算委員会において、福井総裁は「異常な政策をいつまで続けろという声にくみすることは断固できない」ともコメントしており、量的緩和解除に向けた強い姿勢を示した。

 本日、5年債の利回りは0.8%台に上昇し、やや割高感のあった10年債も272回は1.560%に利回りが上昇した。また、先物は3月 10日の137円23銭を大きく割り込み年初来安値を更新し、136円台をつけてきている。先物のチャートを見る限り、あらためて下方トレンドに入ったとも思われる。先物の売りの主体は海外のヘッジファンドとも言われているものの、投資家の慎重な姿勢が相場全体を重くしているようにも感じられる。長期金利はあらたなステージ入りとた可能性がある。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-10-04 14:16 | 債券市場 | Comments(0)

「シュエリエン」


 天空の歌声を持つというチベット3姉妹「シュエリエン」のCDが今月7日に発売されるそうである。まだ、歌を聞いてもいないものの、気になる。標高 4000mの高地ではぐくんだ圧倒的な声量と、民族色の強いサウンドと衣装が特徴のチベット自治区出身の美人3姉妹ユニット「Xuelian(シュエリエン)」。我が家にも3姉妹がいるが、それはさておき、ヒットの予感がするのだがいかがであろうか。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-10-03 10:46 | 趣味関心 | Comments(0)

「財投債の経過措置分発行減額」

 9月30日の夕刻、財務省は平成17年度の財政融資資金特別会計国債いわゆる財投債の経過措置分の減額を発表した。

 その理由としては、「財政融資資金に対する繰上償還等により財政融資資金の資金繰りに余裕が生じることとなったため」だそうであるが、もう少し具体的な要因も知りたいところでもある。

 減額はトータルで約3兆円あまりとなる。内訳は、郵便貯金資金1兆1,000億円、年金資金1兆5,000億円、簡易生命保険資金4,500億円となっている。

 国債需給に対しては引き受け分の減額でもあり、直接的な影響はないにしろ、この分に予定していた投資資金の多くはやはり国債にて運用されると思われる。このため、特に郵貯の分などは、量的緩和解除観測などからやや不安定ともなりそうな中期ゾーンの需給にとっては好感材料となるものと予想される。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-10-03 10:17 | 国債 | Comments(0)

「福井総裁も自ら解除時期を示す」

 昨日の福井総裁の記者会見において、量的緩和解除について「2006年度に入る前か、入って数か月程度」あたりに行われる可能性を示唆した。武藤副総裁も 9月2日のインタビューにおいて、今年度後半にも解除の可能性を示しており、14日の都内のシンポジウムにおいては岩田副総裁が「量的緩和政策、現在とても出口に近いところまできている」とコメントしている。そして、須田審議委員も28日の会見の中で、「私がいる間にそういうことが起こるかもしれないし、起こらないかもしれない」と任期切れとなる来年3月末前後における解除の可能性を示していた。

 須田委員のコメントは個人的な意見といった捉え方もされていたようだが、武藤・岩田両副総裁、そして昨日の総裁コメントを見ても明らかなように、日銀執行部としても、今年度末から来年度初めにかけての量的緩和解除をすでに視野に入れていたことが伺える。

 ただし、CPIがゼロにもなっていないのにそのようなコメントをするのは早すぎるといったような意見も垣間見られ、昨日の会見などでも総裁はむしろ慎重姿勢を示すことで、8日の記者会見同様に市場へのインパクトを軽減させるのではないかとの見方もあった。私もその可能性があると思っていたが、むしろここで総裁自ら方向性をはっきりさせたいとの意思が働いたものと思われる。加えて、日銀の庭先ともいえる短期市場に対して量的緩和解除に向けての準備を進めさせるとの意図が働いた可能性もある。そのためにはある程度の期間といったものも当然必要になるためである。

 このタイミングでの発言の背景には、市場でもすでに来年4月末における量的緩和解除といったことをある程度織り込みつつあったことにより、大きなインパクトはないとの認識が働いた可能性もある。また、総裁は会見において、量的緩和解除後もゼロ金利を当面維持することを示した。このため、当預残を所要準備近辺にまで引き下げていくための必要期間以上にゼロ金利が維持される可能性もあり、それをもって市場への安心感をも与えることでインパクトを軽減させることができるとの判断が働いたのであろうか。

 日銀総裁のコメントにより、来年1-3月内での量的緩和解除の可能性もあらためて出てきている。22日の「量的緩和解除へのステップ」においても指摘したが、たとえ今年10月のCPIからゼロ以上となったとしても、3か月分のコアCPIを確認できるのは1月27日であり、確認後の決定会合は2月8・9日となる。この時点で「安定的にゼロ以上」と確認することが可能かどうか。もう少し余裕を持って、来年4月末の「展望リポート」での数値上の裏づけ(2006年度、2007年度の審議委員の見通し)とともに実施するのが、対外的にも理由を得やすいとも考えられる。

 それでも年度内の可能性を示していることは、日銀執行部としても条件が揃い次第、なるべく早いタイミングでの解除実施を模索している可能性もある。景気の踊り場からの脱却も明確化しつつあり、土地の下げ止まりなどデフレ脱却への動きも見えつつある。企業業績の回復などを見越しての株の上昇などもあり、政府や財務省などもゼロ金利がある程度維持されることとなれば、日銀の量的緩和解除への姿勢には理解を示してくるものと考えられる。

 日銀の量的緩和は、デフレという重い病気にかかった病人を回復させるために、必要以上の薬を投与し続けていたことにも例えられる。その薬の効果を計ることも難しいものの、その副作用も当然あったはずである。病人はすでに病気の改善も見えてきている上に、基礎体力を回復しつつある。大量の薬の投与は本来やめるべきであるが、やめたことによって病気が再発するような懸念も指摘されてしまい、医師もかなり慎重にならざるを得なかった。しかし患者もここにきて目に見えての回復基調となったことで、やっと回りの理解も得られるようになり、薬の投与を必要最低限に抑えることが可能になったと医師たちは判断したものと思われる。当分の間、患者はベッドに寝たままで、さらなる回復を待つことを条件に、薬の大量投与をやめるタイミングをある程度固めてきたものと思われる。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-09-30 10:18 | 日銀 | Comments(0)

「大阪経済4団体共催懇談会における総裁挨拶要旨より」

 当面の金融政策運営については、消費者物価指数の前年比がなおマイナスで推移しているもとで、先ほど述べた「約束」に沿って量的緩和政策を堅持していく方針です。

 この「約束」は、2001年3月に量的緩和政策を採用した際に行ったものです。当時は、世界的なITバブルが崩壊し、総需要が落ち込んだ結果、景気は後退し、物価が下落していました。こうした中で、日本銀行は、ゼロ金利のもとでも何とか金融緩和効果を生み出すため、量的緩和政策の実施期間を現実の消費者物価指数と結び付けて判断するという異例の措置に踏み切りました。

 その後、2003年10月には、この「約束」の内容を明確化し、(1)消費者物価指数の前年比が「数ヵ月均してみてゼロ%以上で推移すること」、(2)「先行き再びマイナスに戻らないと見込まれること」を条件としました。この2つは解除の必要条件、すなわち、「これが満たされるまで続ける」という意味で堅固な「約束」です。同時に、この2つの条件は必要条件であるが十分条件ではなく、「満たされたら機械的に解除する」ものではない点も、当然のことですが明示しました。量的緩和政策の解除に当っては、これらの考え方に沿って経済・物価情勢を点検し、「消費者物価指数の前年比が安定的にゼロ%以上」になったといえるかどうか、言い換えれば、「約束」で示した条件が全体として満足されたかどうかを確認していくことになります。

 いつ量的緩和政策解除の判断ができるかは、もとより今後の経済・物価情勢次第ですが、先ほど述べたような見通しを前提にすると、2006年度にかけて、その可能性が次第に高まっていくと考えています。

 その際には、日々の金融調節における操作目標を日銀当座預金残高から短期の市場金利に戻すことになります。先ほども述べたように量的緩和政策が実態としてゼロ金利に近付いていることを考えると、政策枠組みの変更はそれ自体で、金融政策が不連続に変化することを意味するものではありません。金融政策の姿は、先行きの経済・物価情勢により左右されますが、4月の展望レポートで述べたように、経済がバランスのとれた持続的な成長過程を辿る中にあって、物価が反応しにくい状況が続いていくのであれば、引き続き緩和的な金融環境が維持されていくことになると考えています。


以下、日銀福井総裁発言についての感想

 上記が今回の総裁コメントの最後の部分である。このところ副総裁や審議委員から量的緩和解除について前向きなコメントが出ていただけに、今回もややブレーキ役となるのではと勝手に想像していたが、むしろ副総裁や各審議委員のコメントと同じ方向性での発言内容になった。

 日銀は慎重な姿勢を示しているものの、来年度にかけて量的緩和解除を視野に入れていることがこれではっきりしたものと思われる。そして、解除後についても言及している点にも注意したい。政策枠組みの変更はそれ自体で、金融政策が不連続に変化することを意味するものではないと強調しているように、量的緩和を解除したとしても直ちに大幅な利上げとかは想定してはおらず、ここには一時的なゼロ金利という期間を置いたのち、経済環境を見越した上で、小幅な利上げをタイミングを見て実施するのではないかとも思われる。

 解除条件について、あえて「金融政策の透明性の強化について」で触れていた「展望リポート」については今回もコメントせず、「(1)消費者物価指数の前年比が「数ヵ月均してみてゼロ%以上で推移すること」、(2)「先行き再びマイナスに戻らないと見込まれること」を条件としました」としている。これは展望リポートの発表のタイミングに限らず解除を行う可能性も考慮しているのかとも読めなくもないが、やはり展望リポートで今後の物価や景気動向の予測を示して、これをもって解除の条件を満たしたとする方が示しやすいものとも思われる。その意味では、やはり2006年4月末の会合における量的緩和解除の可能性が強いものと思う。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-09-29 16:46 | 日銀 | Comments(0)

「量的緩和解除に際しての3つの条件」

 2003年10月10日の「金融政策の透明性の強化について」より、

2. 量的緩和政策継続のコミットメントの明確化

 日本銀行は、金融政策面から日本経済の持続的な経済成長のための基盤を整備するため、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品。以下略)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、量的緩和政策を継続することを約束している。日本銀行としては、このコミットメントについては以下のように考えている。

 第1に、直近公表の消費者物価指数の前年比上昇率が、単月でゼロ%以上となるだけでなく、基調的な動きとしてゼロ%以上であると判断できることが必要である(具体的には数か月均してみて確認する)。

 第2に、消費者物価指数の前年比上昇率が、先行き再びマイナスとなると見込まれないことが必要である。この点は、「展望レポート」における記述や政策委員の見通し等により、明らかにしていくこととする。具体的には、政策委員の多くが、見通し期間において、消費者物価指数の前年比上昇率がゼロ%を超える見通しを有していることが必要である。

 こうした条件は必要条件であって、これが満たされたとしても、経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合も考えられる。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-09-29 09:29 | 日銀 | Comments(0)

「コアCPIがプラスに転じた際にチェックすべきもの」

 「我々は、消費者物価指数がプラスの領域に入ったからといって、即条件が満たされたとして、現在の金融政策のフレームワークを変えようという想定に立っているわけではない。プラスの状況になった時に、改めて経済を良く見て、景気を下押しする圧力がどの程度強く、それが景気の持続的な回復を妨げるリスクになっているかを判断しなければならない。そして、物価についても、石油価格の上昇だけでプラスになったのかどうか、経済の実態として需給バランスの緩みが消えて、需給がタイト化する方向に向かい物価上昇の基底をなしているかどうか。さらに、物価押し上げの最大の要因であるユニット・レーバー・コスト(単位当りの労働コスト)が、次第に上昇していく状況になっているかどうか。そのようなところまでつぶさに点検した上で、デフレから脱却し逆戻りしないという状況判断をきちんとしていかなければならない。本当に消費者物価指数がプラスになった時点で、しっかりそれらを判断していくということだと思う。」

 コアCPIがプラスになったからといって、量的緩和解除の条件が完全に満たされるわけではなく、まず、「景気を下押しする圧力」に注意すべきとしている。これは米国や中国の経済状況、そして原油価格上昇に伴う経済への影響などを示しているものと思われる。

 「石油価格の上昇だけでプラスになったのかどうか」という点もチェックすべきだとしている。CPIの特殊要因の箔落後、CPIがプラスとなったとしても石油価格の上昇のみによるものとすれば、それは「需給がタイト化する方向に向かった上での物価上昇」とは言い切れず、安定的にゼロ以上という第2の条件を満たしているとは言い切れなくなる。

 そして総裁は「物価押し上げの最大の要因であるユニット・レーバー・コスト」をチェックする必要性も説いている。なぜならば、CPIの上昇が阻害されていた大きな要因としては、CPI全体の半分近くを占めるサービス価格が上昇しなかったことが指摘されているためである。そのサービス価格は人件費の影響を強く受ける。つまり、生産物一単位当たりの人件費(ユニット・レーバー・コスト)をチェックする必要がある。 

 今回の日本の景気回復においては、米国や中国の景気回復の影響が強いとはいえ、根底には民間企業のリストラ策などによる体力強化がある。このため、景気回復の当初は企業のリストラなどに伴う生産性の向上や、パートなどの増加の影響で、労働コストの低下圧力となる。しかし、ある程度景気回復が本格化すると、雇用所得環境が改善に向かうことで、次第に労働コストも上昇し、それによってCPIが引き上げられる要因となる。そういった動きが見えるのかどうかを大きなチェック項目として置いているものと見られる。

 ちなみに、日銀の武藤副総裁も6月23日の講演会で次のように述べている。

 「原油価格をはじめとする内外商品市況の高騰が続いていますが、こうした原材料コストの上昇は、これまでのところ、生産性の上昇に比べて賃金が抑制されていること ―― すなわちユニットレーバーコスト(生産物一単位当たりの人件費)の低下 ―― によって、かなりの程度吸収されています。この間、創出された付加価値から人件費に配分された割合を示す労働分配率は、90年代初の水準にまで大きく低下しておりますが、多くの企業は、人件費を抑制する慎重なスタンスを崩していません。」

 しかし、この環境も徐々にではあるが、改善されつつある。しかしそれが来年にかけて数字上でも表されるのか。日銀の量的緩和解除に向けては、そういったポイントも抑えておく必要がありそうである。
[PR]
# by nihonkokusai | 2005-09-28 10:51 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31