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ドル円は113円、米長期金利は4%、原油先物は80ドルに向けて上昇か

 18日の外為市場でドル円は今年1月以来の111円台回復となった。その後、イタリアの政局が不安視されたこともあり、リスク回避の動きから円が買われたことで、いったん110円60銭あたりまで下落した。しかし、21日には再び111円台を回復させており、ドル円の上昇基調は継続している。

 ドル円の目先の節目となりそうなのが、今年初めの水準でもある113円台か。ドル円の上昇要因のひとつが米長期金利の上昇となっている。17日の米国債券市場で、米10年債利回り(長期金利)は3.11%と2011年3月以来の水準を付けた。2011年2月には3.5%台をつけていることもあり、ひとまず3.5%が目先の目安となる。しかし、トレンドラインを上抜けしていることもあり、チャート上からは米長期金利が4%に接近してくる可能性もないとはいえない。

 米長期金利の上昇の背景にあるのが、FRBの正常化に伴う利上げとなる。しかし、中短期債が利上げを織り込んで上昇してきても、長期金利は物価の上昇が抑制されていたこともあり上昇ピッチが鈍かった。このため米国の長短金利差が縮小した。ところが原油価格の上昇もあって、物価の上昇観測も出てきたことから、長期金利も3%と言う大きな節目を抜いてきた。

 米国の物価の押し上げ要因となりそうなのが原油価格の動向である。原油価格の指標とされるWTI先物は70ドルの大台を回復した。こちらも指標となっている北海ブレント原油価格が、2014年以来初めて80ドルに上昇した。イランを巡る中東情勢への懸念も原油価格の上昇要因となっているが、そもそものOPEC等の減産による需給バランスの改善が進んでいることが背景にあろう。そこには米国を主体とする世界的な景気改善による需要の改善も影響している。

 原油高とそれによる米長期金利の上昇、それによるドル円の上昇という「風が吹けば桶屋が儲かる」的なシナリオが、果てしてどの程度まで続くのか。この動きを阻害する要因はあるのか。

 中東でのイランを巡るリスクに加え、欧州ではイタリアの五つ星運動と同盟による連立政権の樹立によるイタリア財政の悪化も懸念材料となってきている。また、米朝首脳会談は本当に実現可能なのかという懸念もある。そもそも米国を主体とする景気の改善は今後も続くのかとの疑問もある。

 当然ながら景気には波がある。日本の景気についても今年1~3月期GDPがマイナス成長となり、4月の日銀短観では景況感が悪化していた。しかし、これで景気回復のサイクルが終了したとの見方も、いまのところは早計かと思われる。

 原油価格の上昇を受けても物価が過熱することもなく、これはむしろ息の長い景気の回復を可能にするのではなかろうか。米国では中間選挙を睨んでトランプ政権は景気の回復に躍起になることも予想される。トランプ政権そのものがリスク要因に見えなくもないが、いまのところは期待が懸念を上回っているように思われる。


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# by nihonkokusai | 2018-05-22 10:07 | 金融 | Comments(0)

欧州中央銀行(ECB)は利上げのタイミングを来年にも模索か

 ECBの政策委員会メンバーであるビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、14日にパリでユーロ圏経済の1~3月の減速について、一時的なものとの見方を示し、依然としてECBがQEを年内に終了させる公算が大きいことを示唆した(ブルームバーグ)。

 ちなみにユーロ圏の1~3月期の成長率は0.4%と、前四半期の0.7%から大きく低下していた。これについて欧州委員会は問題視せず、通年では10年ぶりの高水準だった2017年とほぼ同程度になるだろうと予測している(ブルームバーグ)。

 ECBの債券買入額は今年1月からこれまでの月600億ユーロから300億ユーロに減額した。そして、債券買入は少なくとも今年9月末まで継続するとしている。ただし、必要に応じて9月以降も延長するとしている。そして、インフレ率の2%近辺という物価目標に向けた調整の進展を確認したところで買入は停止するとした。その後の利上げについては、純資産買い入れの停止後、「十分な期間」を置いてから着手するとしていた。

 ECBはまずガイダンスの修正と資産買入の停止方法を模索している。3月の政策理事会では、債券購入を巡るフォワードガイダンスから、規模拡大の文言を削除した。つまり、金融政策の方向性としては追加緩和を探るのではなく、緩和にブレーキを掛けて出口を模索する方向に転じたともいえる。

 そして、4月のECB理事会では主要政策金利の据え置きを決定、ガイダンスも維持した。ドラギ総裁は会見で、先行きの金融政策について議論しなかったと述べ、市場では資産買入の停止には時間を掛けるのではとの観測が強まった。

 いまのところECBが今年、何をしようとしているのか筋書きが読めない。1~3月期のユーロGDPが予想以上に減速していたことで、慎重なドラギ総裁がより慎重になるのではとの見方も出ていた。

 そんなところに中核国のフランスの中銀総裁から、「初回利上げの時期についてガイダンスを付け加えれば、相当期間というのは少なくとも数四半期という意味で、数年ではない。またインフレ見通しに左右される」と述べ、「債券購入の終わりは近づいている。9月であるか12月であるかは重大な問題ではない」と付け加えた(ブルームバーグ)。

 ECBとしては債券買入停止後にあらためて利上げを検討するというのがシナリオではあろうが、「十分な期間」というのは数年ではなく、来年中という可能性が出てきた。もちろんインフレ見通しに左右されると述べていることで不透明感は残るものの、今年12月あたりまでには債券の買入を停止させ、来年には利上げのタイミングを模索するというのがメインシナリオになりつつある。


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# by nihonkokusai | 2018-05-21 14:28 | 中央銀行 | Comments(0)

3月に中国は米国債保有高を削減どころか増加させていた

 米財務省が公表している米国債国別保有残高をもとに、中国などによる米国債の保有状況を確認してみたい。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 これによると3月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっている。3月時点の中国の米国債保有額は1兆1877億ドルとなり、2月に比べて110億ドル増加していた。

 今年1月に中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられたが、その後中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道は否定している。さらに3月23日には崔天凱・駐米大使は米国債の購入減額について「あらゆる選択肢を検討している」と含みを持たせた。つまり、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段を講じる可能性を示した。

 中国による米国債の保有高は今年1月は昨年12月に比べて減少していたが、2月と3月は「増加に転じ」昨年12月の水準に戻している。3月末現在では、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段は講じられてはいないようである。

 ちなみに中国の外貨準備高は2月は前月比270億ドル減の3兆1340億ドルと13か月ぶりに減少していたが、3月末の外貨準備高は前月比90億ドル増の3兆1430億ドルと再び増加に転じていた。

 今回も2位となっていた日本による3月の米国債保有額は1兆435億ドルとなり、前月比では160億ドルの「減少」となっていた。これにより中国との保有額の差が拡大した。


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# by nihonkokusai | 2018-05-21 09:34 | 国債 | Comments(0)

イタリアが政府債務を帳消しにするようECBに要請?

 イタリアでは、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」が13日、新政権樹立へ包括的な合意に達したと明らかにした(WSJ)。

 両党は15%の均一税率や新たな社会保障の導入のほか、不評な年金改革を撤回することを提唱している。

 政府の政策草案とされているものによると、加盟国にユーロ離脱を認める域内での手続き導入が提案されているほか、2500億ユーロ(約32兆5300億円)のイタリア政府の債務を帳消しにするよう欧州中央銀行(ECB)に要請する方針が盛り込まれていた(WSJ)。

 市場では最悪のシナリオとなっていた「五つ星運動」と「同盟」の連立政権が樹立しても、ユーロ離脱に向けた動きは出ないとの見方も強かった。ところが、今回の政策草案とされているものが明らかになったことを受けて、16日のイタリアの株式市場は銀行株主体に下落した。

 ユーロ圏の債券市場では、イタリア政府の債務帳消しを求めるという奇想天外な要請観測に驚き、16日のイタリアの10年債利回りは前日比0.16%上昇の2.11%と大きく上昇した。これを受けて、スペインやポルトガルの国債も連れ安となったが、ドイツなど中核国の国債はリスク回避の動きから反対に買われていた。

 リフレ派の影響が強く残っている日本ではなく、イタリアがECBに対して政府債務を帳消しにするよう求めるなどということが、本当に起こりえるのか。日本でもし日銀保有の日本国債をなかったものとしたらどうなるであろうか。日銀のバランスシートからみれば、我々のもつ現金や金融機関の当座預金の価値もゼロとなることになる。それ以前に、日本国債への信認が急落し、持っていても償還金や利子が支払われない懸念がある日本国債を保有する投資家が競って売却に走る可能性がある。

 今回のイタリア国債の急落もこういった思惑が背景であろうが、それでもこの程度に収まったのは、債務帳消しの実現性に疑問を持っていたからと思われる。実際に五つ星運動と同盟は16日、草案は古い情報で、詳細は著しく変わったと釈明した。最近の協議では、ユーロ残留に疑問が呈されることはなかったと説明している。当然、イタリア政府の債務を帳消しにすることも実現性は後退したとの見方はできる。

 しかし、それでもこの最悪の組み合わせ政党が、財政再建に力を注ぐことは考えづらい。債務が拡大するであろう懸念は強まることも予想される。それは債務比率が制限されているユーロ残留の条件を無視することにもなりかねず、イタリアのユーロ離脱のリスクは今後も意識せざるを得なくなりそうである。


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# by nihonkokusai | 2018-05-18 10:02 | 国際情勢 | Comments(0)

ドル円は110円の壁を抜け、米長期金利は3%の節目を抜けてきた。日本国債への影響は?

 5月15日の米国市場では、米10年債利回り(以下、米長期金利)は一時3.09%と2011年7月以来の水準に上昇し、3%の壁を上抜けた。15日に発表された4月の米小売売上高は前月比0.3%増えたことが要因とされたが、数字は予想通りであり、それほどインパクトのあるものではない。すでに15日の東京時間で米債は売られており、3%という水準を試すような動きとなっていたことで、節目の3%を抜いてテクニカル的に米債売りを誘うような動きと言えた。16日に米長期金利は一時3.10%まで上昇した。

 米長期金利の上昇要因としては、もうひとつ原油価格の上昇もあった。イランを巡る中東情勢が不透明感を強めなか、15日の原油先物市場でWTI先物6月限は35セント高の71.31ドルとなった。こちらも70ドルが目先の節目となっていたが、ここを抜いてサウジアラビアの目標ともされる80ドルへの上昇の可能性も見えてきた。16日のWTI先物6月限は18セント高の71.49ドルとなった。

 15日の米国株式市場は米長期金利の上昇を嫌気して売られたとされるが、この解釈も難しいところがある。地合が良いときには、これまで米長期金利が上昇すると金融機関の業績改善が意識されて銀行株など買われ、買い材料ともなっていた。3%という水準を上回ると想定外との面もあるのか、米国株式市場はやや警戒して売られた面はある。しかし、米長期金利上昇の背景には米国経済の拡大とそれによるFRBの利上げがある。一概に売り要因とは言えない面もあり、ダウ平均は14日まで8連騰となっていただけに、調整売りも入りやすかった面もあるのではなかろうか。実際に16日の米国株式市場では、米長期金利がさらに上昇したものの、ダウ平均は反発し62ドル高、ナスダックも46ポイントの上昇となっていた。

 米長期金利の上昇によって外為市場では、これも大きく節目とされたドル円の110円を突破してきた。直近でも一時的に110円を超す場面はあったが、すぐに押し戻されていた。しかし、15日には110円半ばまで上昇したことで目先の壁となっていた110円を破ってきた。これにより次のターゲットは113円近辺となり、ドル円は上昇トレンドが再開するものと思われる。ただし、北朝鮮が米朝首脳会談の中止を警告するなどしたことで、リスク回避の円買いも入り、ドル円の上昇基調はいったんブレーキが掛かっている。

 米長期金利、原油先物そしてドル円とそれぞれ節目、ターゲットとみられていた水準を抜いてきた。これらは円債にとっては本来であれば売り要因ともなる。円債は米債に連動しやすく、原油価格の上昇は物価の上昇要因となり、円安も同様である。16日の債券先物は売られたものの、150円60銭台と大きく崩れたわけではない。円債の下値が限られる背景にあるのが、日銀による国債の大量買入とイールドカーブコントロールである。しかし、今後は次第にファンダメンタルズや海外の金利動向との乖離が大きくなってくる可能性がある。その際に生じる歪みが、何らかの影響を円債市場に与える可能性も出てくるかもしれないので注意も必要になりそうである。


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# by nihonkokusai | 2018-05-17 09:55 | 金融 | Comments(0)

機能停止状態に陥りつつあった日本の債券市場

 5月に入り、債券市場が膠着感をより強めてきた。そのひとつの要因が5月1日からの国債の決済のT+1始動がある。特にレポ市場への影響などを見極めたいとして、市場参加者が売買を控え、様子見気分を強めた面はあった。

 ただし、その国債の決済のT+1がスタートした大型連休の狭間でもある5月1日と2日の債券先物の出来高が両日とも2.9兆円程度出来ており、値幅は1日が16銭、2日が15銭となっていた。現物債の商いも1日が3500億円程度、2日には6500億円程度あった。それほど多いわけでもないが、先物もそこそこ動いて、現物債もそこそこ出合いがあったといえる。

 ところが、大型連休明けとなった5月7日の債券先物の出来高は1.5兆円程度に減少し、値幅は6銭しかなく、現物債の出合いは1100億円程度しかなかった(15時現在)。通常の休み明けとなる月曜日は閑散相場となることが多く、個人的に「月曜相場」と呼んでいる。これが大型連休明けということで、投資家にとっては会議等が入り、商いが細くなるのはいたしかたないと見ていた。ところがである。

 翌8日の債券先物の出来高も2.1兆円程度、値幅6銭、現物商いは2200億円程度しかなかった。9日の債券先物の出来高1.9兆円程度、値幅7銭、現物商いは1900億円程度。10日にいたっては先物出来高1.4兆円程度、値幅6銭、現物商い2400億円。11日は先物出来高1.4兆円程度、値幅5銭、現物商い3000億円程度。

 そして週が変わって14日の現物債は、前場にカレントと呼ばれる直近発行された2年、5年、10年、20年、30年、40年の新発国債がすべて出合いなしという異例の事態となった。この日の債券先物の出来高は1.2兆円程度、値幅6銭、現物債の商いは1600億円程度となっていた。15日はやや増えて債券先物の出来高は2.8兆円程度、値幅9銭、現物債の商いは500億円程度となっていた。

 日銀の異次元緩和により、国債が大量に日銀在庫として積み上がり、イールドカーブコントロールまで導入して、長期金利をコントロールするという異例の政策によって、債券市場の機能は低下しつつあったが、ここにきてそれが顕著に現れてきたようにも思われる。

 今年度入りした4月から国債の市中での発行額が減額されているが、日銀の買入ペースは変わらず、それが市場での流通玉を減少させている面もある。かろうじて商いが続いていた日本の債券市場が、このまま干上がってしまう懸念すらある。

 黒田総裁の会見等をみても、日銀としては意地でも物価目標の看板は下ろすつもりはないようであるが、物価目標達成の前に債券市場の機能停止が先に達成してしまう可能性もある。そこまでして物価目標を達成する必要があるのか。そもそも国債市場を機能停止状態にしてまで中央銀行が国債を買い入れて、それで本当に日本経済にとって良い物価上昇に繋がる保証があるのか。ここにきての債券市場の機能低下は、もしかすると債券市場参加者が気付かぬうちにストライキ行動を起こしていると言えるのかもしれない。


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# by nihonkokusai | 2018-05-16 09:51 | 債券市場 | Comments(0)

ドル円は110円の壁を突破できるのか

 外為市場での円の動きについては、ドルやユーロに対して円が買われた際を円高、反対に円が売られた際を円安と呼んでいる。ただし、例えば円安が進み、ドルは円に対して売られドル/円(以下、ドル円)は110円台をつけたとニュースなどでは報じられる。しかし、数字上からみると例えばドル円が109円80銭から110円台に上昇することを円安が進行すると表現することになり、数字の高い安いという方向性と言葉の表現が異なることになる。このため個人的には、円安ではあるものの、あくまで円に対するドルの価値として、ドル円は110円に上昇したとの表現を使っている。

 これについては債券の利回りと価格の表現も同様に混乱してしまうものではある。債券の場合は、利回りをベースに見ることになるため、債券は売られ10年債利回りは上昇したとの表現となる。このあたり、多少の慣れも必要なところとなる。それはさておき、ここにきてドル円が110円手前で足踏み状態にある。

 東京時間外でドル円は110円を超す場面はあったが、東京時間ではいまのところ110円は突破していない。だからといって、ここでドル円がピークアウトして、下落トレンドに転じたわけでもなく、109円台でのもみ合いとなっている。

 ドル円が動く理由としては、いろいろな要因が絡み合うが、為替を動かしている市場参加者がどの要因に比重を置いて見ているのかを捉える必要がある。政治なのか物価なのか、特定の経済指標なのか、中央銀行の動向なのか、株や債券の動きなのか。

 いまのドル円の動きをみると、とりあえず北朝鮮の問題はリスク回避からの状況から、その後巻き戻しに転じ、ドル円にとっての売り要因(円高)から、買い戻し(円安)の要因とされた。米朝首脳会談が大きなイベントとなるが、ドル円の買い戻しの動きはとりあえず一巡した可能性はある。

 ここにきてドル円を110円近くまで押し上げたのは、米国の長期金利の上昇による影響が大きい。日本の長期金利がほぼ固定されているので、米長期金利の上昇による日米金利格差の拡がりによってドル円も買われたとの見方ができる。その米長期金利が3%台に一時乗せたものの、3%が壁のようになり、いったん跳ね返され、ドル円も同様に110円が壁となったようにみえる。

 米長期金利の上昇の背景としては、FRBの正常化に伴う利上げもあるが、これは相当程度織り込んでおり、利上げが加速されるのかどうかが焦点となっている。いまのところFRBが利上げを急ぐような姿勢は見せていないが、市場は年4回の利上げを織り込みつつある。

 そして、注意すべきは原油価格の動向となるのではなかろうか。WTIは70ドル台に上昇し、この原油価格の上昇に伴う物価上昇観測が、ここにきての米長期金利の押し上げ要因のひとつとなっている。それがドル円の押し上げ要因ともなっていた。このため、このままWTIが70ドルを大きく超えて80ドル台に向けて上昇してくるとなれば、それをひとつのきっかけとして米長期金利が3%の壁を大きく抜けて、ドル円も110円の壁を大きく抜けて可能性が出てくる。


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# by nihonkokusai | 2018-05-15 09:45 | Comments(0)

政府はプライマリーバランスを均衡化する気が本当にあるのか

 政府は6月に決める新たな財政再建の目標について、国と地方の「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」を黒字にする時期を2025年度とする方向で最終調整に入った。従来目標は2020年度だったが、5年先送りする(朝日新聞)。

 国債の信用を維持するために必要な政策のひとつが、基礎的財政収支の均衡、さらにその黒字化に向けての政府の姿勢となる。基礎的財政収支とはプライマリーバランスとも呼ばれる。プライマリーバランスとは、国債費関連を除いた基礎的財政収支のことで、国債の利払いと償還費(国債費)を除いた歳出と、国債発行収入を除いた歳入についての財政収支。プライマリーバランスがプラス(またはマイナス)の場合には、プライマリーバランスの黒字(または赤字)と表現する。

 プライマリーバランスが均衡すれば、毎年度の税収等によって、過去の借入に対する元利払いを除いた毎年度の歳出を賄うことになる。プライマリーバランスが均衡し、その上で金利と名目成長率がほぼ同じになれば、新たな借金は増えないことになる。つまり税収以内で一般歳出を補うということになる。しかし、現在のように一般歳出が税収より大きくなると税収に加えて国債の発行による収入を充てることになるため、プライマリーバランスが赤字の状態が続く。

 少子高齢化も進み税収の伸びもそれほど期待できないとなれば、さらに財政赤字幅が増加する懸念もある。プライマリーバランスを保つためには大幅な歳出カットとともに、消費税などの増税による歳出歳入改革が必要とされる。ここにきて財政拡大やら消費増税凍結などの声が与党内からも出ている状況となれば、政府はプライマリーバランスを均衡化する気が本当にあるのかと思わざるを得ない。

 何故プライマリーバランスを均衡させる必要があるか。膨大な日本の国債残高はいずれ国民の税金で返していかなければならない。しかし、現在の国債残高をすべて短期間に返済することは現実的に不可能となる。

 ただし、日本政府に対する信認が続く限りは国債を最終的に償還せずに借り換えの繰り返しである程度、財政赤字を維持していくことは可能となる。この持続可能性のことを「サステナビリティ」と呼ぶ。

 それを可能とさせるためには、少なくともプライマリーバランスを黒字化させ、国債残高そのものを減少させていく必要がある。しかし、日銀の異次元緩和政策による大量の国債買入れとイールドカーブ・コントロールによって、国債の需給はタイトとなり、利回りも低く抑えられていることで、国の財政リスクは外からは見えにくくされている。この状況をいつまでも継続できるという保証も当然ない。


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# by nihonkokusai | 2018-05-13 13:24 | 財政 | Comments(1)

国の借金は過去最高を更新、国債のアラート機能は停止中

 財務省は5月11日に2018年3月末現在の「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」を公表した。これによると内国債と借入金、政府短期証券を合わせた政府の債務(借金)は、合計で1087兆8130億円となった。

 ちなみに内国債というのは国内で発行された国債のことであるが、現在、日本政府は海外で日本国債は発行しておらず、発行される国債はすべて内国債となる。ただし、政府短期証券は別カウントとなっている。

 内訳としては内国債が959兆1413億円、借入金が54兆228億円、政府短期証券が74兆6489億円となっている。借入金を除いても1000兆円を超えている。

 この数字は2017年12月末と比べ2兆593億円増えていることで、過去最高を更新している。

 これだけ巨額の債務を抱えてはいるが、国債への信認が維持されていれば今後の債務維持は可能となる。しかし、現在の国債を巡る構図としては、日銀が物価を上げるためとして国債を大量に買い入れ、さらにはイールドカーブコントロールという政策まで取り入れて無理矢理、長期金利つまり国債の利回りを押し下げている。

 長期金利の水準は、理論的には市場参加者の将来の実質経済成長率の予測、物価上昇率の予測、政府債務に対するリスクプレミアムの三要素で決まるとされている。あくまで理論的には、ということであり、市場参加者が適切な経済成長率や物価の予測を行えるかどうかとの疑問もある。しかし、少なくとも2017年度のGDPや足元の物価水準からみても、長期金利のゼロ%近傍が適正水準とは思えない。さらに政府債務に対するリスクプレミアムについても完全に無視されている格好となっている。

 国債の利回りは各国の「経済の体温計」にたとえられるが、これは国の債務アラートの役割ともなっているはずである。これが日銀によってコントロールされてしまうということは、まだ市場はそれほどの警戒レベルに達していないとの見方もできる。しかし、無理矢理に日銀によって封じ込まれているとの見方もできなくはない。


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# by nihonkokusai | 2018-05-12 10:31 | 国債 | Comments(0)

メガバンクがATMを共通化と報じられたが、その目的とは

 5月11日に共同通信が「三菱UFJ銀行など3メガバンクが、現金自動預払機(ATM)の開発や管理を共通化する検討に入ったことが11日、分かった」と報じた。長引く低金利で経営環境の厳しさが増しており、ATM業務を合理化するそうである。

 これはもちろんATMの設置費用、メンテナンス費用を軽減化させることが目的と思われるが、何故、このタイミングなのか。

 日銀の異次元緩和は長引いて、金利は低位に抑えつけられ、2016年にはマイナス金利まで導入してしまったことから、金融機関はかなり苦しい経営環境に置かれていることは間違いない。金融機関にとってはシステム管理の費用がかなり負担となっており、ATMについても窓口の人件費の節約となっても、設置費用やメンテナンス費用は巨額の負担となっている。

 これを共通化することによって、負担を軽減できることは確かである。日本ではなかなかキャッシュレス化が進まないが、その理由のひとつに現金への信用度や利用度の高さが上げられている。利用度については銀行のATMの普及度も一役を担っているため、ATMへの投資はどうしても必要となる。

 もちろんキャッシュレス化についてメガバンクも手を拱いているわけではない。三菱東京UFJ、三井住友、みずほのメガバンク3行が、スマートフォンなどで手軽に支払いができるQRコード決済で規格を統一し、連携する方針を固めたと報じられている。

 メガバンク3行がキャッシュレス化に向けて連携するだけでなく、ATMについても共通化するとの動きは歓迎したい。できれば利用者目線でも考慮していただき、メガバンクのATMであれば、他行でも手数料負担を軽減するなどしてもらえるとうれしい。

 今後はメガバンクだけでなく、これをきっかけに、この動きが他の銀行にも波及してほしいようにも思う。国内銀行の多くがATMを共通化するとともに、QRコード決済で規格を統一するとなれば、国内でのキャッシュレス化が一気に普及する可能性もある。そうなればATMの設置負担も今後軽減されることも考えられる。我々利用者としてもいったんATMで現金を引き出して物を買うより、銀行口座から代金が直接引き落とされたほうが便利であり、現金保有のリスクも軽減される。


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# by nihonkokusai | 2018-05-11 11:09 | 金融 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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