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米中の貿易協議に過度な期待も禁物か

 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は22日、米中両政府が月末に開く閣僚級の貿易協議をめぐり、トランプ米政権が予備協議の開催を拒否したと伝えた。中国は次官級を今週米国に派遣し、閣僚協議に向けた準備会合の開催を提案していた。技術移転の強要など中国の構造問題で意見が対立していることが背景にあるという(日経新聞電子版)。

 これに対して米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は22日、CNBCとのインタビューで、今月末のワシントンでの劉鶴副首相との会合が「非常に重要」であり、「決定的」なものになるだろうと発言した。

 これによりクドロー委員長は貿易準備会合が中止されたとの報道を否定した格好ながら、協議の難しさも示したような格好となった。

 ちなみにクドロー委員長は、ムニューシン財務長官などと同様に、中国との関係も対話を進めることで解決への糸口を探ろうとしている、いわゆる穏健派である。ただし、トランプ政権内にあっては少数派とされる。

 技術移転の強要など中国の構造問題で意見が対立していることは確かとみられ、これはトランプ政権内での強行派とされるロス商務長官やライトハイザーUSTR代表などが、強硬姿勢を見せているためではなかろうか。

 トランプ大統領は株式市場への影響も意識して、中国との対話を進める姿勢は見せているものの、中国側が余程妥協しない限り、関税などを巡り強硬姿勢を崩すことも考えづらい。

 中国政府は米国に対して6年間かけて輸入を増やす計画を提案したとされる。しかし、1月30~31日に閣僚級協議では、貿易不均衡の是正だけでなく、中国の知的財産侵害や不適切な産業補助金など構造問題についても中国側に対応を求めるとみられ、今回のトランプ米政権が予備協議の開催を拒否との報道も、中国側に対するプレッシャーの一環ではないかとも推測される。

 米中が3月1日までに合意できなければ、米国は2千億ドル分の中国製品に対する関税の税率を10%から25%に引き上げる予定となっている。もし関税引き上げが実施されるとなれば、米中の貿易摩擦がさらに強まることが予想され、結果として世界経済の減速傾向を強めることになろう。これは米国株式市場ではリスク要因となる。米株の大幅な下落もトランプ大統領は嫌がっているようだが、中国への強硬姿勢を崩さない限り、市場でのリスクが後退するようなこともないとみられる。


# by nihonkokusai | 2019-01-24 09:57 | 国際情勢 | Comments(0)

日銀は物価の見通しを下方修正

 16日にロイターは、「複数の関係筋によると、日銀は22、23日に開く金融政策決定会合で、原油価格の下落などを踏まえて2019、20年度の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)見通しの下方修正を議論する」と伝えた。ブルームバーグや産経新聞も同様の記事を報じていた。

 1月23日の決定会合後に日銀は、経済・物価情勢の展望、いわゆる「展望リポート」を公表した。昨年10月の前回の同リポートでは、コアCPIの前年比上昇率(政策委員の大勢見通し)の消費税率引き上げの影響を除くケースで2019年度が1.4%、2020年度が1.5%となっていた。

 念のため、直近のコアCPIについて確認してみると、2018年度は4月が前年比0.7%、5月が同0.7%、6月が同0.8%、7月が同0.8%、8月が同0.9%、9月が同1.0%、10月が同1.0%、11月が同0.9%、12月が同0.7%となっていた。

 ここにきてのトレンドも前年比の上昇幅が減少傾向となっている。その要因としては、日銀の買い入れる資産の量が減っているから、ではなく原油価格の下落がある。前回リポート時にWTI先物は1バレル70ドル程度だったが、足元で50ドル台となっている。消費者物価指数は日銀の資産買入の量とかではなく、マイナス金利でもなく、原油価格の動向や為替の動向に影響を受けやすい。

 日銀内では、2019年度の物価見通しについて1.4%を下回る、1%前半への下振れの可能性を指摘する見方が出ていた(ロイター)。

 現実を見据えるのであれば、せいぜい1%あたりではないかとも思われる。2%という物価目標に固執するあまり、どうしても上振れの数字が出やすいような気がする。

 2020年度についても、原油を含めて2019年度の一時的な下押し要因が剥落するものの、米中貿易摩擦などを背景に世界経済は、緩やかな減速が見込まれることで、若干の下方修正の必要性が議論されるもようだ(ロイター)。

 2019年度に実施される予定の幼児教育の無償化に伴って、内閣府によると同年度の消費者物価を0.3ポイント押し下げるという試算結果が出ているそうだが、政府が物価上昇の足を引っ張る格好となっているようである。

 実際に23日に発表された展望レポートでは、2019年度の「消費税率引き上げ・教育無償化政策の影響を除くケース」で、プラス0.9%と10月のプラス1.4%から予想以上に大きく下方修正。現実を見据えた修正となっていた。ただし、2020年度については同ケースとして、プラス1.4%として10月のプラス1.5%から小幅な下方修正に止まっていた。

 そもそも論として物価目標2%に無理があったことを日銀としては認めることも必要ではなかろうか。物価を2%まで金融政策だけによって引き上げるという考え方に間違いがあったことを素直に認め、現実に即した目標に修正し、景気や物価動向、さらには金融市場動向に応じた柔軟な政策となるよう修正すべきだと思われる。


# by nihonkokusai | 2019-01-23 09:49 | 日銀 | Comments(0)

金融政策はあくまで環境作り、能動的に物価や雇用は動かせない

 1998年4月に施行された日銀法の第2条に「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする」とある。日銀の金融政策決定会合での決定に基づいて行われる金融政策の目的は「物価の安定」となる。

 目的は物価の安定となるが、そのための政策手段は金融市場を通じて行われる。物価が下がったからといって、日銀が直接モノを購入して価格を吊り上げるといったことはしていない。「家計や企業などが物価水準の変動に煩わされることなく、経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況」が物価の安定であり、言い換えれば「通貨価値の安定」とも言える。

 通貨価値の上げ下げ、つまり物価における過度なインフレーションやデフレーションは、安定した経済成長にとっての阻害要因となる。金利はお金の価値を示すひとつの尺度となる。この金利を操作することによって、通貨価値を安定させ、物価に働きかけて、安定した経済活動を促すというのが、金融政策の大きな目的となる。

 大胆な金融緩和で物価を「能動的」に上げるという政策には無理がある。中央銀行の金融政策は直接物価を上げたり、下げたりすることが目的ではない。あくまでそれに働きかける環境作りが目的となる。政策金利の上げ下げだけで、それに応じて物価が動くほど経済は単純ではない。

 米国の中央銀行であるFRBの使命(目的)はデュアル・マンデートと呼ばれ、物価の安定(stable prices)と雇用の最大化(maximum employment)となっている。デュアル・マンデートがFRBの使命となったのは、1977年の連邦準備改正法の成立によるものだが、その源流には1946年の雇用法があるとされている。

 このため、日銀も雇用の回復も目的に上げるべきとの意見もある。しかし、物価と同様に金融政策によって雇用に直接働きかけができるわけではない。そもそも金融市場を通じてどのようにして雇用に働きかけができるというのか。

 あくまで金融政策は景気の悪化や過熱を緩和させる程度の効果でしかなく、絶対的な政策ではない。それが結局、日銀の異次元緩和によってあらためて明らかとなった。


# by nihonkokusai | 2019-01-22 09:45 | 日銀 | Comments(0)

米政府機関閉鎖の解決の糸口が見えず

 2018年12月22日から続く米国連邦政府機関の一部閉鎖は、1月20日で30日目に入った。これまでの連邦政府機関閉鎖の最長はクリントン政権時の21日間で、今回は最長期間を更新し続けている。

 米国での予算が成立しないことによる政府機関の閉鎖は過去何度か起きていた。直近では2013年10月にオバマ前政権の医療保険制度改革法(オバマケア)向け支出を巡り、ねじれ状態となっている米国議会で次年度予算が成立せず、与野党の対立が解けないまま、およそ18年ぶりとなる政府機関の一部が閉鎖される事態が発生した。

 この際の16日に及ぶ米政府機関の一部閉鎖による経済への影響については、第4四半期の成長率に対し0.2%から0.8%の影響が及ぶとの予測数値が金融機関などから出ていたが、実際にはそれほどの影響はなかったとの見方もあった。

 とはいえ、今回の政府機関の閉鎖の継続にあたって、全く影響が出ないということも当然ながら考えにくい。長引けば長引くほどそれによる影響が拡大する恐れがある。ひとつの例として、各地の空港でセキュリティーチェックを受ける乗客の列が日に日に長くなっていることが挙げられている。

 トランプ大統領としては、公約でもあった壁の建設に固執せざるを得ない面もあろうし、それが2020年の大統領選挙の行方にも影響してくるのではとの危惧もあるかもしれない。しかし、メキシコとの国境の壁建設予算をめぐってのトランプ大統領と民主党の対立は妥協点を見いだすのが困難とみられる。

 トランプ大統領は19日にホワイトハウスで演説し、過去最長となっている政府機関の一部閉鎖を解消するため、移民規制を緩和する代わりに、メキシコ国境での壁建設予算57億ドルを野党・民主党に認めるよう求める妥協案を示した(読売新聞)。しかし、民主党は難色を示し、閉鎖は継続されている。

 英国のEU離脱の行方についても不透明が強いが、米国の壁問題も解決の糸口が見いだせない。トランプ大統領と民主党のどちらも妥協しないとなれば、最終的には大統領選挙も睨んだ世論が解決策を導くかもしれない。しかし、それにも時間が掛かることは確かである。

 いまのところ米中の貿易交渉などが市場では大きく材料視されていることで、政府機関の一部閉鎖による影響はそれほど材料視されていないように思われる。しかし、これにより少しずつリスクが増幅されているようにも思われるため、今後の市場の動向にも注意が必要となろう。


# by nihonkokusai | 2019-01-21 09:39 | 国際情勢 | Comments(0)

2019年の注目イベント、改元やG20サミット、消費増税等々

 2019年の金融市場に関わる注目イベントを確認しておきたい。

 日銀の決定会合は1月22~23日、3月14~15日、4月24~25日、6月19~20日、7月29~30日、9月18~19日、10月30~31日、12月18~19日。任期満了となる政策委員はいないためメンバーは替わらず。金融政策の変更はいまのところ考えづらい。

 FOMCは1月29~30日、3月19~20日、4月30日~5月1日、6月18~19日、7月30~31日、9月17日~18日、10月29~30日、12月10~11日。年が変わって地区連銀の投票可能メンバーが変わっている。いまのところ理事は2つ空席。利上げはできても1回程度か。

 1月22~25日に世界経済フォーラム年次総会、通商ダボス会議がスイスで開催される。米国のトランプ大統領は出席しない見込み。注目度は低い。

 2月末が米中通商会議での協議の期限となっており、合意なければ米国が対中国への関税引き上げが実施される。

 英国のEU離脱期日は3月29日となっている。いまのところ不透明感強く、動向次第では金融市場のリスク要因となることも。

 4月には日本で統一地方選挙が行われるが、政治の勢力図が大きく塗り変わるようなことは考えづらい。自民党は安泰か。

 新元号の公表日は4月1日。そして4月30日に明仁天皇が退位し上皇になり、平成が終わる。5月1日に徳仁皇太子が天皇に即位し新元号が始まる。

  G20サミットが、6月28~29日に大阪で開催される。G20サミットの日本での開催は今回が初。米国と中国の貿易摩擦だけでなく、米国とロシア、ロシアと日本の関係、さらにはEUを離脱する予定の英国などなど諸々の問題を抱えた首脳達が大阪に集まる。

 9月にはラグビーワールドカップ2019が日本で開催される。

 そして10月1日に日本の消費税率が8パーセントから10パーセントへ引き上げられる予定。さすがに今回の延期は考えづらい。

 上記の日程をみても特に日本では来年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、新元号のスタートなどお祝い・お祭りムードが強まることも予想される。しかし、世界的に景気そのものは減速観測も強まっており、国内の景気についても低迷する可能性がある。

すでに消費増税の影響も見据えた経済対策も組み込んでいるようだが、世界経済が落ち込めば、それによる効果は限定的となろう。日銀の金融政策についてもこれ以上踏み込んだ緩和策は副作用を強めさせるだけとなりかねない。今後の景気動向が今年、最も注意すべきものとなる。

# by nihonkokusai | 2019-01-19 13:32 | 金融 | Comments(0)

英国のEU離脱問題で英国債はどちらに向かうのか

 英国の議会下院は日本時間16日早朝に欧州連合(EU)と合意したEU離脱案を採決し、投票結果は賛成202票、反対432票となり、政府の離脱案は歴史的大差で否決された。野党労働党のコービン党首はメイ政権に対して内閣不信任案を提出したが、こちらも否決された。メイ首相は、期間が限られるなかあらためて合意なき離脱に向けた道筋を探ることになる。

 英国がどのようなかたちでEUを離脱するのか。3月29日の離脱期日までに議会での承認を得られるのか、それとも離脱期日の延期を探るのか、場合によると合意なき離脱となってしまう可能性もありうる。

 このような英国のEU離脱を巡る不透明感が強まるなか、英国債は果たしてどのような動きを示すのか。

 EU離脱案は否決されるであろうとみられていた15日の英国の10年債利回りは1.25%と前日の1.29%から低下していた。実際に否決されたことを確認しての16日の英国の10年債利回りは1.31%と前日の1.25%から今度は上昇していた。

 市場では合意なき離脱の可能性が後退したことで、外為市場ではポンドが買い戻されていた。このポンド高によって16日のロンドン株式市場は輸出関連株主体に下落していた。16日には同時に英国債も売られた格好ながら、動きはややチグハグにみえる。

 英国債そのものは米国やドイツなどの国債と同様に信用度は高い。このため、自国のリスクが増大しても、リスク回避の動きにより買われやすい。この動きは日本国債も同様にあった。英国そのものの信用が大きく毀損されない限り、英国債は基本的にはリスク時に買われやすいものといえる。また、同様の理由から米国債の動きに連動しやすい面もある。

 とはいえ、一時的にせよ英国売りが生じた際には状況が変わる可能性はある。1992年のヘッジファンドが大量のポンド売りマルク買いを仕掛けた、いわゆるポンド危機の際には、イングランド銀行は日中に当時の政策金利であった公定歩合を2度引き上げるなどの対抗手段を取っていた。当時のような状況に陥る可能性は低いとみられるものの、状況次第では英国債が一時的に大きく売られるという事態もないとは限らない。


# by nihonkokusai | 2019-01-18 09:43 | 国際情勢 | Comments(0)

毎月勤労統計の不適切調査問題で、日本の統計への信頼が揺らぐ事態に

 厚生労働省が賃金や労働時間を示す毎月勤労統計調査で不適切な調査を続けていたことが発覚した(16日付日経新聞)。

 厚生労働省の毎月勤労統計調査で賃金上昇率が高めに出ている問題はすでに昨年夏あたりにエコノミストなどから指摘されていた。

 9月29日付けの西日本新聞によると、「1月に統計の作成手法を変更した影響で数値が高めに出ていることや、公式統計値より実勢に近い「参考値」を十分に周知できていない現状を踏まえ、公表資料の拡充や発表手法の改善を検討する。公式統計値の補整はしない方向。有識者らが公的統計の在り方を検討する政府の統計委員会(委員長・西村清彦政策研究大学院大学特別教授)に同日報告、了承された」とある。

 ところが、その後も同統計の正確性を疑問視する声が根強かったため、総務省は独自の分析作業を継続。調査対象としている事業所の従業員規模ごとの数値を精査したところ、500人以上の大規模な事業所群で不自然な数値の上振れが見つかり、同12月10日に厚労省側に照会した。厚労省側は同13日、統計委の西村清彦委員長も交えた非公式会合で、東京都の500人以上の事業所で抽出調査をしていたと「告白」した(1月15日付西日本新聞)。

 毎月勤労統計調査では、500人未満の事業所については対象事業所を厚生労働省がサンプリング(抽出)して実施しているが、500人以上の事業所は「全数」調査することになっている。しかし「実は、全数調査じゃない」ことが判明したのである。  

 「東京都で調査対象となる約1400のうち、3分の1しか調べていなかった。中小企業に比べれば賃金の高い大企業が抜けていたため、2004~2017年は実際よりも統計結果の賃金が低くなっていた(日経新聞)」

 厚労省が本来の調査方法に近づけるための数値補正を昨年1月に始め、事業所数が少ない前年の数値とそのまま比較した同月以降の賃金上昇率が過大になっていたと考えられる(西日本新聞)。

 つまり、2018年分から本来の結果に近づける加工を施したことになる。これは国が発表する統計への信頼が揺らぐ事態といえよう。さらにこの統計は雇用保険や労災保険の給付額計算の根拠となっていたことから、雇用保険などの差額をさかのぼって支給することによる追加の支給額に加え、その事務にかかる費用なども含め全体の費用は合わせて795億円に上るとされている。また、GDP統計などにも影響が及ぶ可能性がある。

 これは氷山の一角なのか。「実は、全数調査じゃない」との厚生労働省からの説明を受けて、元日銀副総裁でもある西村清彦教授が「重大なルール違反だ」と批判したことが、今回の問題発覚に至ったとされている。日本の統計の信頼が大きく揺らぐ前に、西村教授が進めている抜本的な公的統計改革を行う必要があろう。

 西村教授は今回の件に関するNHKのインタビューで、「政府の統計調査全体に対する信頼が落ちることを最も心配している。統計調査は政策の基本だから、きちんとした調査をしないかぎり、きちんとした政策はできない」と指摘している。


# by nihonkokusai | 2019-01-17 10:43 | 景気物価動向 | Comments(0)

英議会はEU離脱案を否決、金融市場への影響は

 英国議会下院は日本時間16日早朝に欧州連合(EU)と合意したEU離脱案を採決、投票結果は賛成202票、反対432票となり、政府の離脱案は歴史的大差で否決された。労働党のコービン党首はメイ政権に対して内閣不信任案を提出すると表明したが、こちらも否決されるとみられる。

 これにより英政局の混迷がさらに深まることになるものの、最悪の事態となりうる合意なき離脱については、以前に比べて可能性は後退しているとみなされているようである。それでは今回の英国議会で離脱案が否決された場合に、3月29日とされている離脱期日までにどのような手段が残されているのであろうか。

 ここにきての複数の世論調査で、残留を求める声が離脱論よりも多くなってきていることから、2度目の国民投票を求める声が強まっている。しかし、3月末までに国民投票を行うにはスケジュール的に無理がある。離脱期日の延期についても、よほどの事態とならない限りはEU側が認めないと思われる。

 しかしながら、混乱を避けるために多少ながらEU側が譲歩するかたちで、議会での2回目の採決に向かう可能性も指摘されている。英国がEU予算を分担することで単一市場へのアクセスを保てる欧州経済領域(EEA)加盟という手段の可能性もありうるか。しかし、これも英国議会が承認するかとなれば疑問は残る。

 いずれにしても英国市場は比較的冷静となっている。英国債も多少買われたがそれほど大きな動きはない。ポンドも現状は比較的しっかりしている。また欧州市場や米国市場も同様で、今回の英議会でのEU離脱案の否決は織り込み済みか。今後はメイ首相の次の一手に注目が集まるのではないか。ただし、合意なき離脱の可能性が強まることになれば、金融市場ではリスク回避の動きを強める可能性はある。


# by nihonkokusai | 2019-01-16 09:44 | 国際情勢 | Comments(0)

2019年はQRコード決済、スマホ決済元年となりうるのか

 昨年12月のQRコード決済「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」が大きな話題となったが、ここにきてQRコード決済に関する新たな取り組みもいくつか始まっている。

 NHKのサイトでの特集「スマホ決済は地方を救う?」によるとスマホ決済は、地方では「活性化の切り札」として独自の広がりを見せているとして、その例として岐阜市のショッピングセンターにおける動きを報じていた。

 サイトで調べたところ、このショッピングセンターとは「マーサ21」というところのようである。去年10月から館内まるごとでスマホ決済を導入。100余りのテナントのほとんどでスマホ決済が可能となっているそうである。

 仕掛けたのは地方銀行の「大垣共立銀行」で、QRコードによるスマホ決済アプリを展開するベンチャー企業「Origami」と業務提携し、このアプリの導入を一気に進めたそうである。

 銀行職員がお店に出向いて、スマホ決済アプリの登録方法や使い方などを伝授したとか。ショッピングセンターの運営会社も、タブレット端末を各テナントに無料で貸し出すなどキャッシュレス化を後押し。キャッシュレス化を導入したことで、客数が伸び、前の年と比べて館内全体の売り上げが10%ほど増加したとNHKは報じている。

 また、楽天は自社が運営する2つのスタジアム内での買い物について、現金での支払いの受け付けをやめスマートフォンなどで支払いをするキャッシュレス決済を原則とすることになったと、こちらもNHKが報じた。

 利用できるのはクレジットカードのほか、楽天が事業化している電子マネーとQRコード決済。スタジアム内のおよそ150の店舗すべてに専用端末を置くほか、100人を超える観客席の売り子にも端末を用意するとか。

 中国のキャッシュレス化を推し進めたQRコード決済も当初は乱立していたものが、「WeChat Pay」「Alipay」に絞られたように、日本でも多くのQRコード決済が出てきているが、いずれ使い勝手のようものに集約されていくのであろうか。

 今年は日本でのQRコード決済元年というかスマホ決済元年になるかもしれない。しかし、日本はキャッシュレス化が遅れているわけではない。既存のキャッシュレスの仕組みのなかで、どれだけQRコード決済が組み込めるかが試されることになるのではなかろうか。

 中国のキャッシュレス化はパソコン利用の普及が進むのが遅れた分、スマホの普及が急速に進み、スマホでのネット利用が爆発的に普及したことも要因とされている。

 日本ではネットといえばパソコン利用が先行しており、個人的な見方かもしれないが、スマホのアプリで、ゲームなど以外の現金などの利用はやや躊躇されているのではなかろうか。このあたりの認識が変われば、金銭取引などでもスマホ利用が多くなってくるのかもしれない。


# by nihonkokusai | 2019-01-12 10:37 | 金融 | Comments(0)

ドル円は再び105円割れの可能性も

 米連邦準備理事会(FRB)は9日、2018年12月18日~19日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。参加者の多くが株価下落を懸念して「インフレ圧力も落ち着いており、追加の政策判断を様子見できる」と表明していた(日経新聞電子版)。

 12月20日の米国株式市場は、FOMC後の声明で緩やかな利上げを続ける姿勢を維持したことなどから下落していたが、議事要旨にあったニュアンスが含まれていれば、市場はそれを好感していた可能性がある。パウエル議長はもう少し市場のセンチメントを意識していれば、反応は異なっていたはずである。ただし、これはトランプ大統領の利上げ批判に対抗する為に意識的に行ったとの見方もあったようである。

 それはさておき、FOMC議事要旨の内容からは、先行きの景気不安が拭えなければ、2015年末に始まった利上げサイクルを打ち切る可能性もにじませるものとなっている(日経新聞電子版)。

 このあたりは市場と共通認識であるように思われる。今年に入り、金融市場ではFRBの利上げ継続は難しいとの認識もあらためて強まり、1月3日に米10年債利回りは2.55%に低下していた。

 日本時間の3日の朝7時半過ぎに開いていたシドニー市場の時間帯にドル円が急落し、一時104台まで急落した。

 米10年債利回りと急激な円高の背景にはアップルショックがあったが、これも世界的な景気減速を意識させるものであり、それによる米利上げ観測の後退による動きとも捉えることができる。

 米10年債利回りの低下も年始ということで参加者の薄いところに米債が買い上げられた面もあったかもしれない。ドル円の104円台もいわゆるアルゴリズム取引とも呼ばれているコンピューターシステムを使ったプログラム売買やロスカットにより、動きが加速された面もあろう。

 しかし今回のように一時的なエラーのような動きで付けた水準は、トレンドに変化が生じない限りは、あらためてひとつの目処ともなる。つまり再度つけてくる可能性は高いのではなかろうか。

 米10年債利回りの2.55%とドル円の104円台をいずれ付けにくる可能性が高いとなれば、日本の10年債利回りが再度マイナスとなる可能性も意識され、そして、東京株式市場にとってはマイナス要因ともなりうる。


# by nihonkokusai | 2019-01-11 14:14 | 為替 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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