牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

欧州リスクが再燃か? イタリアとスペインに火種

 5月25日から28日にかけて、欧州の債券市場では、いわゆる中核国と呼ばれるドイツ、フランス、オランダなどの国債が買われたが、周辺国と呼ばれるイタリア、スペイン、ポルトガルなどの国債は売られた。この背景にあるもののひとつが、イタリアやスペインの政治情勢である。

 米格付け会社のムーディーズは25日に、イタリアのソブリン格付け「Baa2」を引き下げ方向で見直すとの方針を明らかにした。その理由として、イタリアの次期政権が歳出拡大に走る可能性を指摘した(ロイター)。

 イタリアでは、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」が連立政権樹立に向けた政策で合意したものの、2党が選んだユーロ懐疑派の財務相候補の起用をマッタレッラ大統領が拒否し、ポピュリスト2党の指導者は組閣を断念した。五つ星のディマイオ党首はムーディーズの格下げが組閣を妨害したと批判し、また、大統領を弾劾する提案を検討していると指摘している。「同盟」のサルビーニ書記長は謀略の存在をほのめかし、再選挙を事実上呼び掛けたそうである(ブルームバーグ)。

 これにより、イタリアでは大統領とポピュリズム2党の対立色が強まったことで、政治的な混迷が一段と深まった。さらに再選挙となれば、ポピュリズム政党が勢力を一段と拡大させる懸念も強まり、市場ではリスク回避の動きを強めた格好になった。

 そして、スペインではラホイ首相の元側近が汚職事件で有罪判決を受けたことを踏まえ、最大野党の社会労働党がラホイ首相に対する不信任決議案を提出した。ラホイ首相は25日、不信任決議案を否決に持ち込み、4年の任期を全うする考えを示したが、先行き不透明感は強まりつつある。ラホイ首相に対する不信任決議は6月1日に採決される見通しで、解散総選挙が実施される可能性も出てきた。

 さらにECBが24日に公表した4月26日の理事会の議事要旨によると、ユーロ圏は成長がさらに減速する恐れがあるとの指摘があった。これもユーロ圏のリスク回避の動きの要因となっていた。ユーロ圏の景気減速の背景としては、昨年後半の急成長の反動に加え、トランプ政権による保護主義の影響を受ける恐れも指摘されている。イタリアやスペインの政治情勢の不透明感なども今後、景気の足を引っ張る懸念も出てきた。

 さすがに2010年のギリシャ・ショックのようなことが起きることは考えづらいが、ここにきて不安要因がいくつか重なって出てきたことにも注意する必要はありそうである。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-29 09:58 | 国際情勢 | Comments(0)

イタリアの連立政権のリスク

 イタリアでは、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」が連立政権樹立に向けた政策で合意した。

 両党は15%の均一税率や新たな社会保障の導入のほか、不評な年金改革を撤回することを提唱している。

 また、政府の政策草案とされているものによると、加盟国にユーロ離脱を認める域内での手続き導入が提案されているほか、2500億ユーロ(約32兆5300億円)のイタリア政府の債務を帳消しにするよう欧州中央銀行(ECB)に要請する方針が盛り込まれていた(WSJ)。

 イタリア政府の債務帳消しについてはのちに否定されたが、これとは別に共通政策議題として政府短期債発行が含まれていた。これは「mini-BOT」と呼ばれる短期政府債で、1ユーロから500ユーロまでの小額の額面となり、国債と言いながらも利息は支払われず、償還期限もない。また額面を政府が保証するという、いわば政府紙幣となる。

 ただし、ユーロ圏の法定通貨を発行できるのは欧州中央銀行(ECB)だけであることから、これは法定通貨ではないとしており、これは国債であっても政府債務には含まれず、財政赤字の3%ルールには該当しないというような、かなり強引な主張をしている。

 もちろんこれらの構想の背景にはイタリアの財政拡大が意識されている。そのためにはユーロ加盟国に財政赤字を3%以内に抑えるよう求められているルールや、ユーロ圏の法定通貨を発行できるのはECBだけというルールまですり抜けようとしているように思われる。

 日本でも一時政府紙幣の発行が取りざたされたことがあった。しかし、政府紙幣の発行となれば、政府の信用毀損による国債価格の暴落に繋がりかねない。過去の歴史を振り返れば、政府紙幣はいったん発行されればその信認を意識しての発行とはならず、乱発しての財政拡大によるインフレを招くことは必然となる。そもそも国債という借金を増やしたくないという責任逃れの発行ともなり、いったん発行されてしまうと財政規律などが意識されること自体考えられなくなる。

 イタリアの国債利回りが5月7以降に急上昇したのは、「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」が連立政権樹立に向けた政策を意識したものであり、その象徴ともいえる「mini-BOT」の発行構想であったと思われる。

 政府紙幣の実現可能性はさておき、イタリアで誕生する新政権は、ユーロ圏に緊張を与えかねず、イタリアのユーロ離脱の懸念も強まる恐れもある。

追記

 両党は政策で合意したものの、2党が選んだユーロ懐疑派の財務相候補の起用をマッタレッラ大統領が拒否し、ポピュリスト2党の指導者は組閣を断念した。



[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-28 10:06 | 国際情勢 | Comments(0)

米朝首脳会談の中止?による市場への影響はどうであったのか

 米国のトランプ大統領は、来月12日にシンガポールで開く予定だった米朝首脳会談を中止すると発表し、非核化に向けて北朝鮮に最大限の圧力をかけ続けると強調した。その一方で、北朝鮮の対応次第では首脳会談が開催される可能性はあるという考えを示した(NHK)。

 米朝首脳会談中止の報を受けて、北朝鮮の地政学的リスクが再燃かとの思惑から、24日の欧米市場ではリスク回避の動きを強めた。欧米の国債は買われ、円高が進み、欧米の株式市場は下落した。

 24日のダウ平均は一時280ドル安となったものの、その後下げ幅を縮小させ引けは75ドル安となった。ナスダックも同様に下げ幅を縮小させて1ポイント安に。米債も同様に2.95%近くまで利回りが低下後、2.97%あたりまで戻していた。

 これらの動きを見る限り、米朝首脳会談の中止により、市場ではパニック的な動きとはならなかった。これは米朝首脳会談が完全に中止となったわけではなく、ひとまず6月12日の会談は止めるとの見方によるものか。さらに市場では、ここにきての北朝鮮側からの動きなどから、6月12日の会談は本当に行われるのかと疑心暗鬼になっていた面もあり、やっぱりかとの認識から「予想外」ということでの落ち着いた動きになったものとみられる。

 これによって再び米国と北朝鮮は、中国や韓国などを巻き込んで、腹の探り合い合戦が再開された。米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長という、なかなかの強烈な個性のぶつかり合いに、中国も絡んできているようで、先が見通せないことも確かである。いまのところ軍事衝突となる懸念がそれほど高まっているわけではない。しかし、今後の動向次第では再び緊張が高まる懸念もある。

 そういったところに、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、26日に南北の軍事境界線にある板門店の北朝鮮側の施設で首脳会談を開催したと伝えられた。史上初の米朝首脳会談の実現に向けて意見を交わしたとされる。6月12日の米朝首脳会談は開催される可能性も出てきた。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-27 09:19 | 国際情勢 | Comments(0)

4月に都銀は超長期国債を大量売り越し、期初の売りか

 5月20日に発表された4月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は1兆3560億円の売り越しとなった。3月の1796億円の買い越しから大量の売り越しに転じた。国債の投資家別売買高をみると都銀は、中期債は917億円買い越していたが、長期債は682億円の売り越し、そして超長期債は1兆3923億円もの売り越しとなっていた。4月ということもあり、いわゆる期初の益出しの売りとみられる。

 これに対して海外投資家は4月も2兆1923億円の買い越しとなり、引き続き最大の買い越し主体となっていた。3月は1兆7688億円の買い越し、2月は9769億円の買い越しとなっていた。海外投資家は4月に中期債を1兆1230億円買い越し、長期債を7463億円買い越し、超長期債を2106億円買い越していた。

 信託銀行は6303億円の売り越し、農林系金融機関も6912億円の売り越しとなっていたが、こちらも都銀と同様に益出しのための売りかと思われる。「その他」は今回も売り越していたが7419億円と、3月の2兆477億円の売り越し。2月の2兆2128億円の売り越し、1月の2兆2640億円売り越しからみて売り越し額は減少した。

 債券相場は今年に入り1月の下落基調から、2月は回復基調となった。その後、3月以降は債券先物で150円台後半主体のもみ合い相場が現在まで続いている。債券先物は151円台に乗せる場面はあっても戻り売りに押され、方向感に乏しい展開となっている。現物債の商いも低迷し、債券先物は値幅が10銭に満たない日も多くなってきている。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 13560(13923、682、-917)

地方銀行 -4647(-656、-2701、-260)

信託銀行 6303(24、-313、5515)

農林系金融機関 6912(-1102、7788、-19)

第二地銀協加盟行 -997(-183、-428、50)

信用金庫 -1034(-237、895、39)

その他金融機関 342(254、1203、317)

生保・損保 -2264(-2309、772、325)

投資信託 -1130(-589、-841、903)

官公庁共済組合 -337(-278、0、0)

事業法人 -755(2、-247、0)

その他法人 1275(928、-189、926)

外国人 -21923(-2106、-7463、-11230)

個人 209(1、22、2)

その他 7419(4218、5690、1907)

債券ディーラー -756(234、-749、-199)


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-25 09:35 | 債券市場 | Comments(0)

トルコの通貨が急落している背景とは

 トルコの通貨、トルコリラがここにきてさらに下げ足を速めてきている。対円では今年初めに30円台にあったのが、23日に一時22円台にまで急落した。対ドルでも最安値を更新している。

 FRBの金融政策の正常化に伴う利上げによって、新興国に流れていた資金が米国などに環流しやすいなかにあって、特にトルコリラが大きく売られているのには理由がある。

 トルコリラはいわゆる高金利通貨とも呼ばれているように、インフレ率が高いことで金利も高い。トルコ経済そのものはしっかりしているが、輸入の依存度が高く、ここにきての原油価格の上昇もあり、インフレ懸念が強まっている。通貨安や物価の上昇に対してトルコ中銀は利上げによって対処しようとしていたところに、待ったを掛けた人物がいた。エルドアン大統領である。

 トルコは6月24日に大統領選と国会議員選を控えている。2003年に首相に就任したエルドアン氏は、インフレ対策としてデノミネーションを実施し、インフレを抑制させ、トルコ経済の回復に寄与した。エルドアン氏はその後、トルコで初めて直接選挙で大統領が選ばれることとなった2014年の大統領選挙に立候補して当選した。

 6月24日の大統領選挙でも、いまのところエルドアン氏が優位と伝えられているが、予断は許さない。エルドアン大統領は選挙も意識してか、年金支給などを利用してのバラマキ政策を行っている。そしてエルドアン氏は「金利を下げれば、インフレも低下する」という持論を展開したことにより、それが今回のトルコリラ急落のきっかけとなった。

 政治家が中央銀行の利上げを嫌うのはどこの国でもあることながら、利下げによって物価上昇を抑えるというのは理屈に合わない政策である。ただし、異次元の金融緩和策を講じても、一興に物価が上がらない国もあるため、一概にエルドアン氏の経済運営能力に疑いをかけるというのもどうかと思うが、とにかく市場ではエルドアン氏の金融経済に関する姿勢に疑問を投げかけた。

 問題となるのはエルドアン氏は、この持論を展開するためか、6月の大統領・議会選後に金融政策への影響力拡大を望むと発言したことである。これに市場が動揺を示した。トルコ中銀の独立性が失われれば、インフレ圧力は強まり、それによって通貨安に歯止めが掛けられなくなるとの見方も出てきた。某国の中央銀行も政治的な圧力を受けているように見えるが、それはさておき、そこにあらためて登場したのが、格付け会社となる。

 格付け会社フィッチ・レーティングスは「トルコの金融政策は以前から政治の制約を受けてきた。しかし中銀の独立性を低下させようとするあからさまな脅威は、政策決定環境と政策の有効性に対するリスクを増大させる」と指摘した(ロイター)。

 これを受けてトルコリラの売りが加速したようである。ここに個人投資家などからの売りも入り、売りが売りを呼ぶような展開となってきている。いまのところどこまで下げるのかは見通しづらいが、トルコリラの下落が金融市場のリスク要因となりつつあることも確かである。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-24 10:51 | 国際情勢 | Comments(0)

トルコの通貨が急落している背景とは

 トルコの通貨、トルコリラがここにきてさらに下げ足を速めてきている。対円では今年初めに30円台にあったのが、23日に一時22円台にまで急落した。対ドルでも最安値を更新している。

 FRBの金融政策の正常化に伴う利上げによって、新興国に流れていた資金が米国などに環流しやすいなかにあって、特にトルコリラが大きく売られているのには理由がある。

 トルコリラはいわゆる高金利通貨とも呼ばれているように、インフレ率が高いことで金利も高い。トルコ経済そのものはしっかりしているが、輸入の依存度が高く、ここにきての原油価格の上昇もあり、インフレ懸念が強まっている。通貨安や物価の上昇に対してトルコ中銀は利上げによって対処しようとしていたところに、待ったを掛けた人物がいた。エルドアン大統領である。

 トルコは6月24日に大統領選と国会議員選を控えている。2003年に首相に就任したエルドアン氏は、インフレ対策としてデノミネーションを実施し、インフレを抑制させ、トルコ経済の回復に寄与した。エルドアン氏はその後、トルコで初めて直接選挙で大統領が選ばれることとなった2014年の大統領選挙に立候補して当選した。

 6月24日の大統領選挙でも、いまのところエルドアン氏が優位と伝えられているが、予断は許さない。エルドアン大統領は選挙も意識してか、年金支給などを利用してのバラマキ政策を行っている。そしてエルドアン氏は「金利を下げれば、インフレも低下する」という持論を展開したことにより、それが今回のトルコリラ急落のきっかけとなった。

 政治家が中央銀行の利上げを嫌うのはどこの国でもあることながら、利下げによって物価上昇を抑えるというのは理屈に合わない政策である。ただし、異次元の金融緩和策を講じても、一興に物価が上がらない国もあるため、一概にエルドアン氏の経済運営能力に疑いをかけるというのもどうかと思うが、とにかく市場ではエルドアン氏の金融経済に関する姿勢に疑問を投げかけた。

 問題となるのはエルドアン氏は、この持論を展開するためか、6月の大統領・議会選後に金融政策への影響力拡大を望むと発言したことである。これに市場が動揺を示した。トルコ中銀の独立性が失われれば、インフレ圧力は強まり、それによって通貨安に歯止めが掛けられなくなるとの見方も出てきた。某国の中央銀行も政治的な圧力を受けているように見えるが、それはさておき、そこにあらためて登場したのが、格付け会社となる。

 格付け会社フィッチ・レーティングスは「トルコの金融政策は以前から政治の制約を受けてきた。しかし中銀の独立性を低下させようとするあからさまな脅威は、政策決定環境と政策の有効性に対するリスクを増大させる」と指摘した(ロイター)。

 これを受けてトルコリラの売りが加速したようである。ここに個人投資家などからの売りも入り、売りが売りを呼ぶような展開となってきている。いまのところどこまで下げるのかは見通しづらいが、トルコリラの下落が金融市場のリスク要因となりつつあることも確かである。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-24 10:51 | 国際情勢 | Comments(0)

メガバンクが規格統一で合意したQRコード決済(BankPay)はキャッシュレス化への本命か

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGはQRコードの規格を統一することで合意したと日経新聞が伝えた。

 QRコードと呼ばれるものは、1994年にデンソーの開発部門(現在はデンソーウェーブ)が開発したマトリックス型の二次元コードである。QRコードはデンソーウェーブの登録商標となっているが、特許権者のデンソーウェーブは、規格化された技術に対し特許権を行使しないと宣言していることから、様々な分野に利用されている。

 今回の「BankPay(バンクペイ)」と呼ばれるメガバンクが規格統一で合意したQRコード決済とは、小売店や飲食店でQRコードにスマートフォンをかざすだけで、現金を使わずに支払える決済方式となる。基本的に全てのアンドロイド端末やiPhoneで利用できる。

 中国系のAlipay、WeChat Payが、QRコードを使った決済を一気に普及させ、日本でもLINE Pay、楽天ペイ、Origamiといったサービスが登場したが、それほど普及は進んでいない。

 しかし、バンクペイについては普及が一気に進む可能性がある。3メガバンクを合わせた個人預金口座数は合計で9千万を超えるとされる。メガバンクのQRコード決済が普及すれば、ATMでお金を下ろす、クレジットカードを使う、といった手間が省けて、自分の口座から直接代金支払いが可能となる。

 あくまで個人的な感想ではあるが、これまでの国内でのLINE Pay、楽天ペイ、Origamiなどは、自分の口座を持つ銀行以外の第三者を通じて決済を行うことにやや抵抗があった。しかし、取引銀行と直接やりとりできるのであれば安心感も違う。

 膨大なメガバンクの口座にひも付いたバンクペイが広がれば、このシステムを基盤に国内系のQR決済が1つにまとまる可能性も出てくる(日経新聞)。

 注意すべきは、メガではなくギガバンクとも呼ばれているゆうちょ銀行の動向か。すでにゆうちょ銀行はQRコードを使ったスマートフォン決済サービス(ゆうちょPay)を来年2月から始めると発表している。「バンクペイ」と「ゆうちょPay」が規格統一できれば、普及は一気に進む可能性がある反面、それぞれの規格を進めるとなると利用者にとっては不便なものとなりかねない。日本のキャッシュレス化を進行させるためには、統一性が必要になるのではなかろうか。



[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-24 08:57 | 金融 | Comments(0)

イタリアは政府紙幣の発行と言う奇策を講じる気なのか

 ここにきてイタリアの国債利回りが急上昇している。5月7日に1.75%あたりにあったイタリアの10年債利回りは21日に2.40%近辺まで上昇している。この原因となっていたのが、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」の連立構想であった。

 両党による政府の政策草案とされているものによると、加盟国にユーロ離脱を認める域内での手続き導入が提案されているほか、2500億ユーロ(約32兆5300億円)のイタリア政府の債務を帳消しにするよう欧州中央銀行(ECB)に要請する方針が盛り込まれていたとされるが、これについては否定された。

 ユーロ加盟国は財政赤字を3%以内に抑えるよう求められているが、これに対して両党は財政ルールの見直しを求めるとされている。そして、これとは別に小額国債を乱発するとの臆測が流れていた。実際に同盟のボルギ報道官は、共通政策議題に短期政府債発行が含まれると明らかにした。

 ブルームバーグの下記記事などによると、どうやらこの小額国債というのは、通常の国債ではないようである。これは国債というよりも政府紙幣ともいえるものである。

参照記事

https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-05-21/mini-bots-the-monster-under-the-bed-for-european-investors

https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-05-21/why-mini-bots-loom-big-for-investors-in-italy-assets-quicktake?utm_source=google&utm_medium=bd&cmpId=google

 「mini-BOT」と呼ばれるこの短期政府債は、1ユーロから500ユーロまでの小額の額面となり、国債と言いながらも利息は支払われず、償還期限もない。また額面を政府が保証するという、どう見ても政府紙幣となる。ただし、ユーロ圏の法定通貨を発行できるのは欧州中央銀行(ECB)だけであることから、これは法定通貨ではないと主張している。

 ただし、両党によればこれは国債であっても政府債務には含まれず、財政赤字の3%ルールには該当しないというようなかなり強引な主張をしている。

 ここにきてのイタリア国債の利回り上昇の背景にはこの「mini-BOT」構想も要因としてあったようである。ブルームバーグによると過去にこのような政府紙幣を発行した最近の例として、2000年代初頭のアルゼンチン、2009年のカリフォルニア州の例などを挙げているが、いずれもどうしようもなくなってしまって追い込まれての非常手段であった。

 ところがイタリアの財政は確かに悪化しているものの、日本ほどではないし、それほど財政赤字が懸念されて危機的状況にあるわけではない。それにも関わらず、このような発想が出てくることは、むしろこれによってイタリアの財政を危機的状況に追い込む懸念が出てくる。そのためイタリアの国債利回りが急上昇することによって警戒信号を点滅させたと言えよう。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-23 09:34 | 国債 | Comments(0)

ドル円は113円、米長期金利は4%、原油先物は80ドルに向けて上昇か

 18日の外為市場でドル円は今年1月以来の111円台回復となった。その後、イタリアの政局が不安視されたこともあり、リスク回避の動きから円が買われたことで、いったん110円60銭あたりまで下落した。しかし、21日には再び111円台を回復させており、ドル円の上昇基調は継続している。

 ドル円の目先の節目となりそうなのが、今年初めの水準でもある113円台か。ドル円の上昇要因のひとつが米長期金利の上昇となっている。17日の米国債券市場で、米10年債利回り(長期金利)は3.11%と2011年3月以来の水準を付けた。2011年2月には3.5%台をつけていることもあり、ひとまず3.5%が目先の目安となる。しかし、トレンドラインを上抜けしていることもあり、チャート上からは米長期金利が4%に接近してくる可能性もないとはいえない。

 米長期金利の上昇の背景にあるのが、FRBの正常化に伴う利上げとなる。しかし、中短期債が利上げを織り込んで上昇してきても、長期金利は物価の上昇が抑制されていたこともあり上昇ピッチが鈍かった。このため米国の長短金利差が縮小した。ところが原油価格の上昇もあって、物価の上昇観測も出てきたことから、長期金利も3%と言う大きな節目を抜いてきた。

 米国の物価の押し上げ要因となりそうなのが原油価格の動向である。原油価格の指標とされるWTI先物は70ドルの大台を回復した。こちらも指標となっている北海ブレント原油価格が、2014年以来初めて80ドルに上昇した。イランを巡る中東情勢への懸念も原油価格の上昇要因となっているが、そもそものOPEC等の減産による需給バランスの改善が進んでいることが背景にあろう。そこには米国を主体とする世界的な景気改善による需要の改善も影響している。

 原油高とそれによる米長期金利の上昇、それによるドル円の上昇という「風が吹けば桶屋が儲かる」的なシナリオが、果てしてどの程度まで続くのか。この動きを阻害する要因はあるのか。

 中東でのイランを巡るリスクに加え、欧州ではイタリアの五つ星運動と同盟による連立政権の樹立によるイタリア財政の悪化も懸念材料となってきている。また、米朝首脳会談は本当に実現可能なのかという懸念もある。そもそも米国を主体とする景気の改善は今後も続くのかとの疑問もある。

 当然ながら景気には波がある。日本の景気についても今年1~3月期GDPがマイナス成長となり、4月の日銀短観では景況感が悪化していた。しかし、これで景気回復のサイクルが終了したとの見方も、いまのところは早計かと思われる。

 原油価格の上昇を受けても物価が過熱することもなく、これはむしろ息の長い景気の回復を可能にするのではなかろうか。米国では中間選挙を睨んでトランプ政権は景気の回復に躍起になることも予想される。トランプ政権そのものがリスク要因に見えなくもないが、いまのところは期待が懸念を上回っているように思われる。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-22 10:07 | 金融 | Comments(0)

欧州中央銀行(ECB)は利上げのタイミングを来年にも模索か

 ECBの政策委員会メンバーであるビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、14日にパリでユーロ圏経済の1~3月の減速について、一時的なものとの見方を示し、依然としてECBがQEを年内に終了させる公算が大きいことを示唆した(ブルームバーグ)。

 ちなみにユーロ圏の1~3月期の成長率は0.4%と、前四半期の0.7%から大きく低下していた。これについて欧州委員会は問題視せず、通年では10年ぶりの高水準だった2017年とほぼ同程度になるだろうと予測している(ブルームバーグ)。

 ECBの債券買入額は今年1月からこれまでの月600億ユーロから300億ユーロに減額した。そして、債券買入は少なくとも今年9月末まで継続するとしている。ただし、必要に応じて9月以降も延長するとしている。そして、インフレ率の2%近辺という物価目標に向けた調整の進展を確認したところで買入は停止するとした。その後の利上げについては、純資産買い入れの停止後、「十分な期間」を置いてから着手するとしていた。

 ECBはまずガイダンスの修正と資産買入の停止方法を模索している。3月の政策理事会では、債券購入を巡るフォワードガイダンスから、規模拡大の文言を削除した。つまり、金融政策の方向性としては追加緩和を探るのではなく、緩和にブレーキを掛けて出口を模索する方向に転じたともいえる。

 そして、4月のECB理事会では主要政策金利の据え置きを決定、ガイダンスも維持した。ドラギ総裁は会見で、先行きの金融政策について議論しなかったと述べ、市場では資産買入の停止には時間を掛けるのではとの観測が強まった。

 いまのところECBが今年、何をしようとしているのか筋書きが読めない。1~3月期のユーロGDPが予想以上に減速していたことで、慎重なドラギ総裁がより慎重になるのではとの見方も出ていた。

 そんなところに中核国のフランスの中銀総裁から、「初回利上げの時期についてガイダンスを付け加えれば、相当期間というのは少なくとも数四半期という意味で、数年ではない。またインフレ見通しに左右される」と述べ、「債券購入の終わりは近づいている。9月であるか12月であるかは重大な問題ではない」と付け加えた(ブルームバーグ)。

 ECBとしては債券買入停止後にあらためて利上げを検討するというのがシナリオではあろうが、「十分な期間」というのは数年ではなく、来年中という可能性が出てきた。もちろんインフレ見通しに左右されると述べていることで不透明感は残るものの、今年12月あたりまでには債券の買入を停止させ、来年には利上げのタイミングを模索するというのがメインシナリオになりつつある。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-21 14:28 | 中央銀行 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー