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米国のダウ平均は連日の最高値更新、日経平均の年初来高値も視野に。この株高の背景とは

 20日の米国株式市場でダウ工業株30種平均が前日比251ドル高の26656ドルとなり、引け値で今年の1月26日以来、約8か月ぶりに史上最高値を更新した。21日もダウ平均は86ドル高となり、連日の最高値更新となった。

 米中の貿易摩擦が激化するなかにあっての株高だけに、違和感を持つ方も多いかもしれない。しかし、米中貿易摩擦による経済への負の影響を考慮しても、米国経済は力強く拡大トレンドを継続させているとの見方が、今回の米株上昇の背景にあるかと思われる。

 トランプ大統領はOPECは今すぐに価格を引き下げるべきだとツイートしたようだが、原油先物価格がWTIで70ドル台を維持しているのは、OPECなどによる生産調整だけでなく、米国を中心として世界的な貿易拡大も背景にあろう。

 20日の自民党総裁選の結果は予想通りに安倍首相が3選を決めたが、日本株はアベノミクスそのものに対しては冷えた目でみている。安倍政権が円安株高を意識して、アベノミクスと呼ばれる政策を行ってきた。しかしそれが効いたのは、欧州の信用不安の後退期というタイミングに、禁断の政策といえるリフレ政策を行うというサプライズが市場を動揺させた当初の時期に限ったものとなった。

 いやいやその後もアベノミクスによって、雇用は改善し景気も回復したとの見方もある。しかし、アベノミクスの柱である異次元緩和で物価目標は達成されておらず、アベノミクスが効いたとの見方はその意味ではおかしい。リーマン・ショックと欧州の信用不安という世界的な大きなリスクの後退と、それによる世界経済の回復の波に日本も乗っていたといえる。ただし、日本が世界的な景気拡大に対して自ら先導してはいないことで、例えば日本の株価の上昇は米国などに比較すれば遅れている。

 それでも再び米国株式市場のシンボル的な指標であるダウ平均が最高値を更新してきたことで、それに引っ張られるかたちで日本株の上昇にも弾みがつくことが予想される。株価の上昇はリスクオンも意識されることで円安要因となる。米長期金利が3%台を回復してきたことも米景気の回復などが背景にあり、この米長期金利の上昇もドル円の上昇を促すことになる。

 日経平均の年初来高値は引け値ベースで1月23日につけた24124円である。日経平均はここが目先のターゲットとなり、ここを抜けてくれば25000円を伺うような動きとなろう。

 ただし、米中の貿易戦争の行方、英国のEU離脱問題、中東情勢、北朝鮮問題、新興国経済の動向等々のリスク要因もあり、これらの動向も注意しておく必要はある。最も注意すべきはトランプ大統領のツイートなのかもしれないが。

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# by nihonkokusai | 2018-09-22 07:56 | 金融 | Comments(0)

6月末の投資家別の国債保有額、国内銀行が大きく残高を削減

 日銀は9月20日に資金循環統計(4~6月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は6月末時点で約1848兆円となり、3月末の約1829兆円からは回復した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.0%増の約971兆円となった。株式等が同8.8%増の約203兆円、投資信託は0.9%増の約73兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は445兆9347億円、44.6%のシェアとなった。前期比(速報値)からは8兆6566億円の増加となる。3月末から6月末の増加額10兆435億円に比べると増加額は減少していた。

 残高2位の保険・年金基金は237兆2468億円(23.7%)、7903億円増。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で158兆8391億円(15.9%)、12兆4434億円減。

 残高4位が海外投資家で61兆4576億円(6.1%)、1兆9265億円増。

 残高5位が公的年金の45兆9584億円(4.6%)、9275億円減。

 残高6位が家計の12兆6150億円(1.3%)、2327億円増。

 その他が37兆7009億円(3.8%)、5兆8377億円増となっていた。

 2018年3月末に比べ国債(短期債除く)の残高は4兆719億円増の999兆7525億円となった。短期債を除いた国債残高が1000兆円に迫った。3月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは4割を上回っている。今回、前期比で大きく減少したのは預金取扱機関(都銀や地銀など)で12兆円も削減していた。内訳で見ると国内銀行が9兆9087億円減少となっており、都銀などが大きく削減させたとみられる。その他は5兆8377億円増となったが、内訳で見るとディーラー・プローカーが5兆9385億円の増加させていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1100兆円となり、日銀が約465兆円で42.3%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約126兆円と短期債を含めると国債全体の11.5%のシェアとなっていた。


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# by nihonkokusai | 2018-09-21 09:57 | 国債 | Comments(0)

米長期金利が再び3%超え、ドル円や日本の長期金利の上昇圧力に

 9月18日の米国市場において米10年債利回り(米長期金利)は3.05%となり3%を再び超えてきた。

 18日の日本時間の朝方、にはトランプ政権が2000億ドル相当の中国製品への追加関税を24日から課すと発表し、これを受けて中国も報復措置として600億ドル相当の米国製品に関税を24日から課すと発表した。

 これに対して18日の東京株式市場は寄り付きこそ日経平均はマイナスとなったが、その後プラスに転じ、300円を超す上昇となった。中国株も同様に上海総合指数などは上昇していた。

 18日の米国株式市場もダウ平均は184ドル高、ナスダックも60ポイントの上昇となった。17日に売られていたハイテク株などに買い戻しの動きが入り、米長期金利の上昇から金融株が買われ、原油先物が上昇したことで石油関連株も買われた。

 トランプ大統領はさらなる追加関税も示唆したが、市場では米中を主体とした貿易戦争に対して冷めた目で見始めたとも言えるのかもしれない。税率が思ったよりも低いといった面もあったかもしれないが、そもそもこれによる米国経済への影響は限定的との見方もある。

 FRBのパウエルFRB議長は8月24日のジャクソンホールでの講演で、米経済の力強い成長が続くなかで、利上げペースを速めない姿勢を示唆していた。これもあり、米長期金利8月24日以降、じりじりと上昇し節目とされる3%を再び超えてきたと言える。

 さらに米長期金利の上昇を促すような材料も出てきた。日経新聞は19日、「米国内にインフレ圧力 対中関税5700品目追加で」という記事を伝えている。

 「トランプ米政権が示した対中制裁の第3弾では家具やカバンなどの消費財が多く加わった。また多くの自動車部品や電子部品、化学品も含まれ、米国内で完成品として生産される家電や自動車などもコスト上昇圧力にさらされる。」(日経新聞)

 今回の追加関税を受けての物価上昇圧力なども米長期金利がこれから織り込み始めるとなれば、米長期金利の3%という大きな壁から上抜けてくる可能性はないとはいえない。FRBも当面、利上げを続ける姿勢を示していることも米長期金利の上昇圧力ともなりうる。

 ただし、米国の足元の物価は落ち着いている。たとえば8月の米国の消費者物価指数は、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数が市場予想に反して伸びが鈍化していた。これが米長期金利の上昇を抑制していた面もある。しかし、今後物価に上昇圧力が加わると、状況が変わる可能性がある。

 米長期金利の上昇は日米の長期金利差からみるとドル円にとっては上昇圧力となる。ドル円もここにきてじりじりと上昇してきているのも、米長期金利の上昇も影響していよう。そうなると、米長期金利の動き次第では、ドル円もあらためて戻りをトライする可能性もある。また、日本の長期金利もあらためて日銀のレンジの上限を試すようなことも予想される。


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# by nihonkokusai | 2018-09-20 09:13 | 債券市場 | Comments(0)

リーマン・ショックから10年。何故、世界的な金融危機が訪れたのか

 10年前に発生したリーマン・ショックとは、ひとつの金融機関が破綻したことで、世界的な金融危機を生んだわけではない。潜在的なリスクが顕在化し、それが金融機関の経営を脅かし、多くの大手金融機関が危機的状況追い込まれた。その原因といえるのが、金余りといった現象だけでなく、金融機関の利益優先主義、さらにはリスクは自在に操れるという妄想があったと思う。今回はリーマン・ショックに至る経緯をみてみたい。

米国の住宅バブル

 米国経済は2000年のITバブルの崩壊などがあったものの、その後も個人消費に支えられ、高い成長率を維持した。この消費を支えたのが住宅バブルとなった。

 1990年代に移民の増加による人口の増加に加え、低所得層に対する住宅金融制度が整備され、返済方法についての規制緩和が行われたことなどから、低所得者層にも住宅ブームが波及した。また低金利に加え、持ち家比率の高まりなどが住宅価格の高騰を招いた。米国では住宅価格の値上がり分を担保による貸し出し(ホーム・エクイティ・ローン)が伸び、住宅価格の値上分がり分の消費が可能となり、消費を底上げした。

 低所得者向けの住宅ローン(サブプライム・ローン) は、そのリスクを減らすために証券化され、リスクをより分けるために金融理論で構築された価格と格付会社による高格付けを得て債務担保証券(CDO)という新たな金融商品に組成された。

 欧州や産油国だけでなく、中国や台湾といったアジア勢、そして日本からなどから大量の資金が米国に流入するなどの金余りブームも加わり、このような金融化商品へのニーズは高まり、サブプライム・ローンが組み込まれた証券化商品は世界各国の金融機関やファンドに売却された。

サブプライム・ローン問題

 2006年半ばに、それまで高騰を続けていた米国の住宅価格が下落に転じ、一部の住宅ローンが担保割れとなった。担保割れにより融資の回収不能リスクが高まることで、それを担保とした証券化商品の損失リスクが高まり、証券化商品そのものの価格が下がる結果となった。

 米国住宅バブルの崩壊により、信用力の低い個人向けの住宅資金貸し付けであるサブプライム・ローンで焦げ付きが増加した。格付会社がそれを組み入れた住宅ローン担保証券(RMBS)や債務担保証券(CDO)を格下げしたことで、時価評価の必要に迫られ、CDOなどを保有していた欧米の金融機関での巨額な損失が表面化した。

 サブプライム・ローン問題による最初の危機は欧州で発生した。2007年8月9日にドイツ連邦銀行は、IKB産業銀行がサププライムでの投資に伴う損失発生に対しての救済策を協議するため、緊急会合を開催。さらに同日、仏銀最大手BNPパリバは傘下ファンドの償還停止を発表し、次はどこかとの連想も加わり、欧州銀行向け資金の出し手が急速に限られてしまい、これはパリバ・ショックとも呼ばれた。

 米国のダウ平均は、2007年10月に過去最高値の14164ドルの高値をつけたが、危機の発生により、その後は下落基調となった。

 危機は資金繰りの困難化の問題から始まったことから、各国中央銀行は大量に資金供給を実施。2007年12月にFRBが欧州中央銀行(ECB)、スイス国民銀行(SNB)とスワップ取極を結んで欧州でのドル資金供給を始めた。

 証券化商品は欧米の大手金融機関が大量に保有していており、証券化商品格下げに伴い、評価損失が雪ダルマ式に膨れ上がった。これによって米国の大手金融機関のトップが相次いで辞任するといった事態となった。

リーマン・ショック

 2008年1月18日に、証券化商品を保証していたモノラインと呼ばれた金融保証会社が資本調達難から格下げされ、証券化商品全体の価格下落に拍車をかけた。世界的な株安連鎖による市場の混乱に対し、1月22日にFRBは0.75%の緊急利下げを実施し、さらに0.5%の追加利下げを実施しFF金利の誘導目標は年3%となった。

 3月14日に証券化商品を大量保有していた投資銀行のベア・スターンズが資本調達の失敗から資金繰りに行き詰まり、FRBの資金支援のもとJPモルガン・チェースに買収された。

 6月に入り米株式市場は金融機関の損失拡大への懸念や大手自動車メーカーなどの業績悪化見通しなどにより売り圧力を強めたことで、金融株に対して空売り規制が強化され、これをきっかけにヘッジファンドが組んでいた米金融株売り、原油先物買いといったポジションの撒き戻す動きが一気に強まった。このためニューヨーク原油先物価格は7月11日につけた147.27ドルをピークに急落。7月13日には政府系住宅金融公庫が経営危機に陥り、政府の資本注入などで経営再建を図ることになった。

 そして2008年9月15日に、証券化商品により大きな損失を抱えていた投資銀行のリーマン・ブラザーズが、資本調達や身売りに失敗し経営不安に陥り破綻した。リーマン・ブラザーズのような大規模金融機関が破綻したことにより、世界の金融市場は極度の不安に陥り、これがリーマン・ショックと呼ばれた。金融市場では取引相手のリスク、いわゆるカウンター・パーティーリスクが強まり、各国の中央銀行は大量の資金供給を行った。

 リーマン・ショックにより、巨大金融機関の破綻がもたらす影響を懸念した米国政府は金融機関を破綻させない方針に転じ、FRBは9月16日に米国の大手保険会社AIGに対して緊急融資を行うことを表明した。

 金融機関の不良債権と資本不足の問題に対し、米国財務省は最大7千億ドルを投入して、幅広く金融機関の不良債権を買い取る「緊急経済安定化法案」を議会に提出したが、9月29日に下院で否決された。これは金融市場に再び大きなショックを与え、29日のダウ平均株価は終値で777ドル安と史上最大の下げ幅を記録した。

 欧州各国も預金の全額保護や金融機関の国有化・資本注入、短期債務保証など、様々な施策を迅速に打ち出した。金融グローバル化のもとで、問題解決に向けた国際協調も行われ各国中銀が一斉に利下げを行った。10月8日に欧米の中央銀行に加え一部新興国も含め、10の中央銀行が同時に0.5%の緊急利下げを実施した。

 実体経済への影響も深刻化し、特にアイスランド、ハンガリー、南アフリカなど、経済が米欧金融機関からの借入に過度に依存していた国では経済危機に陥り、IMFなどからの緊急融資を頼ることになった。


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# by nihonkokusai | 2018-09-19 09:56 | 金融 | Comments(0)

米国の利上げはいつまで続くのか

 9月7日に発表された8月の米雇用統計では、非農業雇用者数は20.1万人増となり、事前予想を上回った。失業率は3.9%で前月と変わらず。そして、平均時給は前年比で2.9%増と2009年6月以来の高い伸びとなり、これを受けて9月25~26日に開催されるFOMCでの追加利上げがほぼ確実視された。

 ただし、雇用統計がよほど悪化しない限りは、9月のFOMCでの利上げはほぼ規定路線となっていた。これにより2018年は3月、6月のFOMCに続いて3回目の利上げとなる。さらに今年は9月に加え、12月のFOMCでの年内4度目となる利上げも予想されている。

 ただし、12月の利上げに関してはやや不透明な部分もある。米国のトランプ大統領は8月17日に共和党の資金集めのイベントで、あらためてFRBの利上げに不満を漏らしたとされる。トランプ大統領があからさまに利上げ阻止に動く可能性は少ないながらせも、11月の中間選挙の結果次第では米国の政局が変化してくる可能性もある。このため12月の利上げについてはやや流動的な面もあろう。

 仮に12月に利上げがあったとすれば、今年は議長会見の開かれるFOMCすべてで利上げが決定されることになる。昨年までも利上げが決定されたのは議長会見のあるFOMCにおいてであった。

ただし、FRBのパウエル議長は2019年1月のFOMCから毎回、記者会見を開くと表明している。このため来年の利上げに関しては、3月、6月、9月、12月のいずれかというパターンからは外れることも予想される。その分、利上げ決定のタイミングについてFRBの自由度が増すような格好となる。

 それではFRBはこれからあと何回利上げをする予定なのか。このままのペースが継続されると、2019年の2回程度の利上げで中立金利に到達することになる。ここでいったん利上げは終了となるとの見方が強い。

 そもそも今回のFRBによる利上げは、米国の景気や物価の過熱を阻止するためのものではない。非常時対応ともいえた異常な金融緩和策から正常モードへの移行が目的となっている。現在の米国の物価をみてもインフレ圧力が強まっているようには見えず、正常化が達せられたのならば、いわゆる金融引き締めとされるゾーンにまで踏み込むことは考えづらい。

 正常モードに移行したあとは、経済物価動向を見ながらの調節という本来の中央銀行の金融政策に戻ることが予想される。あまり糊代という言葉は使いたくはないものの、米国経済がピークアウトした際にもFRBは利下げという手段も取れることになり、これにより政策の自由度が大きくなることは確かである。

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# by nihonkokusai | 2018-09-17 10:24 | 中央銀行 | Comments(0)

トルコ中銀はエルドアン大統領の意に反して大幅利上げを実施

 トルコ中央銀行は13日、政策金利である1週間物レポ金利を6.25ポイント引き上げ24%とした。利上げはそのものは市場で予想されていたようだが、市場予想は3.25ポイントの利上げとなっており、実際には予想の倍の幅での利上げとなった。

 チェティンカヤ総裁率いるトルコ中央銀行の金融政策委員会は、ある意味危ない賭けに出たともいえる。トルコのエルドアン大統領は政策金利引き上げ発表の2時間ほど前に、金利を引き下げるべきだと発言していた。

 エルドアン大統領は今年の選挙前に、金融政策への関与を強める意向を表明したことから、トルコ中銀の独立性は疑問視されてきた。

 エルドアン大統領は同国政府系ファンド(SWF)の経営陣全員を更迭し、自らを会長に指名するなど独裁色を強めるような動きを見せていた。このような状況下、トルコ中銀のチェティンカヤ総裁はエルドアン大統領の意向は無視し、ある意味リスクを冒してまでインフレ退治に躍起になったといえる。

 米国でもトランプ大統領はFRBの利上げに対して懸念を示したとされるが、パウエル議長率いるFRBはそれを意に介さず、淡々と利上げを行う姿勢を示している。

 トルコ中銀とエルドアン大統領の対立色は今後さらに強まることも予想される。利上げによって簡単に物価上昇が抑えられるわけでもなく、トルコと米国との対立という根本的な問題、さらにはエルドアン大統領そのものがリスク要因となっていることで、トルコを巡る問題は根深いものとなっている。

 ただし、今回の事例をみても物価安定のためには為政者の意向を無視してでも、政府からは独立した組織として、断固たる処置を行うことは、ある意味中央銀行が行うべき姿かと思われる。

 これに対して政権の意向に強く支配されて、それが必要とされるタイミングではないにも関わらず、さらにそれによって物価上昇という効果が出るという保証もない異次元の金融緩和策を取らざるを得なかった中央銀行が存在する。非常時の緩和策というべきものをすでに5年以上も続けて、副作用も目に見えるようになっている。中央銀行は政府からは独立した組織であることをあらためて示すことも、トルコの例ではないが重要ではなかろうか。そろそろ軌道修正をしっかり行わないと、市場機能が債券だけでなく、いずれは株式市場も含めて失われかねない。


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# by nihonkokusai | 2018-09-16 10:21 | 中央銀行 | Comments(0)

日本の国債市場の機能が再び低下

 9月に入ってからの日本の債券市場の動きを確認してみたい。9月3日の現物債はカレント(直近発行された国債)が、2年、5年、10年、20年、30年、40年ともに一本値となっていた。この日の先物の日中値幅(前後場のみ)は9銭。

 4日に日銀は3年超5年以下の国債買入を月額ベースで減少させたが、この日の2年債と5年債、そして10年債カレントは一本値となっていた。先物の値幅は11銭。

 5日の10年国債入札は順調名結果となり、10年債カレントは久しぶりに動いたもののレンジは0.110~0.115%。5年債は一本値、2年債カレントは出合いなし。先物の値幅は10銭。

 6日に今度は日銀は5年超10年以下の国債買入を月額ベースで減額させた。この日の10年債カレントは一本値、2年債と5年債カレントも一本値。先物の値幅は10銭、

 7日は2年、5年、10年、40年カレントは一本値。先物の値幅は10銭。

 10日は月曜日で先物は中心限月の移行を控えていたこともあるが、2年と40年カレントは出合いなし。ほかのカレントは10年債含めて一本値。先物9月限の値幅は5銭となっていた。

 11日の30年債入札は順調な結果となっていたが、落札結果発表時間が何故か遅れていた。ただし市場への影響は限られ、2年と5年のカレントの出合いなく、10年と20年のカレントは一本値。先物値幅は実質的に中心限月となった12月限が7銭となっていた。

 12日は2年、5年のカレントは出合いなく、10年と20年カレントは一本値。先物の値幅は8銭。

 日銀は7月31日に政策の弾力化というか柔軟化を行った。それを受けて一時的に債券相場は動いたものの、再び膠着相場に戻りつつある。8月27日に債券先物の日中値幅が3銭と過去最低に並んだ。それ以降は10銭程度の値幅となっていたが、動きが乏しいことに変わりはない。

 現物債も2年と5年のカレントが出合わない日が多くなり、10年債カレントもかろうじて値がついている状況となっている。10年債カレントが出合わないとなれば一般のニュースともなってしまう懸念があり、なんとかそれは免れている格好となっている。

 日銀は長期金利の目標レンジをこれまでの±0.1%から±0.2%に拡げたとされる。さらに月額ベースの買入を減少させることで、10年債カレントの流動玉もそれなりに出てくることが予想されている。

 このように需給面では多少は緩和されているものの、それでも需給はタイトな状況に変わりなく、ある意味動きようがなくなっている。外部環境をみても米国10年債利回りが3%近くまで上昇してきたが、それもいまのところ材料視されず。10年債利回りはこの水準が居心地が良いのか、それとも中間決算期末なども意識して動きたくはないのか。ただし、このまま膠着相場が続くとも思えないのだが。


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# by nihonkokusai | 2018-09-14 09:36 | 債券市場 | Comments(0)

仮想通貨が通貨ではない理由

 今年2月にマーシャル諸島共和国において、「世界初の政府発行仮想通貨を法定通貨にする」という法案が可決されたそうであるが、この発表に対してIMFが、「仮想通貨を法定通貨にするのは考え直すべきだ」と提言したそうである。

 そもそも、ビットコインなど仮想通貨と呼ばれているものは、果たして通貨と呼んで良いものなのかどうかをあらためて考察したみたい。

 現在の通貨や貨幣と呼ばれるものについては、本質的な価値があるわけではない。通常は紙や金属の塊を加工したものである。貨幣や通貨のもとになったものとして、大昔は希少な貝殻、もしくは貴金属などが使われた。石そのものが通貨として使われた例も実際にあったようである。

 貨幣そのものの価値というよりも、それを一定の価値のあるものとして流通させてきたのが、通貨の歴史となる。その信用の裏付けをするために、徳政令などで勝手に借金をなくしてしまいかねない王様の信用などではなく、徴税権などを担保にして発行されるようになった。

 狭いところであれば、たとえば刑務所内でタバコが貨幣となったりすることはできる。目に見える仲間内だけであれば、約束事が成り立つ。しかし、不特定多数が使うとなれば、政府なりが一定のルールを設けて通貨に信用を寄与する。ただし、通貨発行権のおいしさのあまり、シニョリッジを得ようとして通貨価値というか信用を毀損してしまう例も歴史上、多くあった。

 現在の通貨もあくまでその価値を認めているのは発行している中央銀行、さらには政府である。国に対する信認が得られている限り、法律で守られた貨幣価値が存在することになる(法定通貨)。

 これに対し、ビットコインなど仮想通貨と呼ばれているものは、ネットを使ってその信用を寄与しようとしたものではあるが、法律などによって守られているものではない。マーシャル諸島共和国の法案に関しても、自国の通貨として米ドルを使用しており、その代替として仮想通貨に目を付けたようだが、米国が信認を与えているドルに対し、仮想通貨は国などが信認を与えているものではない。

 仮想通貨はあくまで仕組み上で、発行形態や保有形式が整えられている。あくまでそれを売買している人達が価値があると信じて売り買いを行っているにすぎない。

 日本の中央銀行である日銀の仕事は、日銀法上では「日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする」とあり、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」とある。

 この場合の「物価の安定」とは「通貨価値の安定」である。それでは現在、通貨価値は不安定であろうか。2%と言う物価目標が達せられなければ、日本円の通貨価値は適正ではないのか、あらためて日銀に問いたいが、それは別のところで議論するとして、日銀は円という通貨価値を安定させることが仕事となっており、そのためにはいろいろな仕組みとともに信認を得るための努力が積み重ねられている。

 これに対し、ビットコインなど仮想通貨と呼ばれているものには、その価値が法律で守られたり、価値を安定されるための組織があるわけでもない。人々の思惑だけでその価値が乱高下している。その乱高下だけみても安定した通貨として使えるものとは言えない。

 いやいや、ビットコインなど仮想通貨は世界のいたるところでネット上で利用できる通貨であり、通貨の革命だ、との主張があるかもしれない。

 ひとつ気をつけなければならないのは、ネットでの決済は円などの法定通貨も利用できるため、仮想通貨だけに利点があるわけではない。QRコードなどを使ってネットでの決済に使われる通貨については、我々が銀行などの口座に置いてある法律で価値が守られた円である。

 仮想通貨の本源的価値についても、一定のルールはあり、機械的に作られていようが、それが一般に信用価値が認められているとは思えない。少なくとも金には金の価値はあり、チューリップにはチューリップの価値はあった。仮想通貨と呼ばれるものの価値はまさに仮想である。

 仮想通貨は仮想資産と呼ぶべきとの意見も出ている。そもそもコインとか仮想「通貨」と名付けられてしまったことで、円などと同様の通貨のように勘違いしてしまいかねないが、残念ながら通貨と呼べるものではない。


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# by nihonkokusai | 2018-09-13 09:34 | 金融 | Comments(0)

9月の日銀金融政策決定会合は現状維持か

 9月18日から19日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催される。前回7月30、31日の決定会合では金融政策の微調整が行われた。この際の公表文のタイトルは「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」となっていた。強力と強化という言葉が入り、金融緩和策の強化のようにみえたものの、この際の政策調整には、リフレ派代表といえる原田委員と片岡委員が反対票を投じていた。

 強化策のひとつともいえる「政策金利のフォワードガイダンス」について日銀は次のように説明していた。

 「日本銀行は、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。」

 これに対して原田委員と片岡委員は、次のような反対理由を挙げていた。

 「原田委員は、物価目標との関係がより明確となるフォワードガイダンスを導入することが適当であるとして反対した。片岡委員は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成する観点から、長短金利維持のコミットメントではなく、中長期の予想物価上昇率に関する現状評価が下方修正された場合には追加緩和手段を講じるとのコミットメントが適当であるとして反対した。」

 緩和強化としているにもかかわらず、リフレ派代表といえる原田委員と片岡委員が反対票を投じていることからも、これは緩和策により踏み込んだものではないことが窺える。これには「2019年10月に予定されている消費税率引き上げ」というさほど遠くないタイミングと「消費税率引き上げ」という意外な組み合わせのものを持ってきたことについて、リフレ派がやや懐疑的な見方をしていたとも言えるのかもしれない。

 さらに長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)についても、原田委員と片岡委員は反対票を投じている。

 「原田委員は、長期金利が上下にある程度変動しうるものとすることは、政策委員会の決定すべき金融市場調節方針として曖昧すぎるとして反対した。片岡委員は、物価が伸び悩む現状や今後のリスク要因を考慮すると、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、金融緩和を強化することが望ましく、長期金利操作の弾力化は「ゼロ%程度」の誘導目標を不明確にするとして反対した。」

 原田委員と片岡委員は長期金利の操作目標の柔軟化には反対であり、むしろ長期金利の操作目標を引き下げて、金融緩和強化を主張している。債券市場の機能低下などたぶん眼中にはなく、長期金利を引き下げて、どのような経路で物価が上昇するという経路についても曖昧であるが、緩和ありきの姿勢を貫いている。

 それはさておき、9月18日、19日の日銀の金融政策決定会合では、金融政策は7月の修正の影響を見極めたいと現状維持となることが予想される。7月会合以降の長期金利は当初、乱高下したが、その後は落ち着いている。まだ柔軟化したレンジの上限を試すような動きも出ていない。このため、当面は様子をみるためとして現状維持が予想される。

 前回反対票を投じた原田委員と片岡委員は今回も反対票を投じるとみられる。


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# by nihonkokusai | 2018-09-12 09:46 | 日銀 | Comments(0)

金利なき世界は健全といえるのか

 シェアハウスへの不適切な融資を巡る問題で、スルガ銀行の第三者委員会が調査報告書をまとめた。審査資料の改ざんなど様々な不正に、支店長を含む多数の行員が関与、借り手の預金残高を改ざんして自己資金があるように装い、融資条件をクリアさせるなど悪質な手口が目立っていた(読売新聞)。

 銀行など金融機関にとって、本来その収益源となるのが金利である。しかし、日本の金利はデフレ脱却というか2%の物価目標を達成しなければならないとの政府の意向を受けた日銀による異次元の金融緩和策で押しつぶされている。短期金利とともに市場で流通している中期債の利回りもマイナスとなっている。長期金利も0.1%程度に抑え込まれてしまっている。

 金融機関が金利で稼げないとなれば、よりリスクのある資産で運用するか、手数料収入を得るため投資信託の販売などを積極化する必要がある。本来であれば、融資などについてもかなり慎重であり、その運用も本来手堅いはずの銀行などの金融機関が、その収益を求めてかなりリスクのある運用や、結果として顧客にリスクを負わせるかたちでの収益増を求め、なかにはスルガ銀行のように違法な取引にも手を出す事例まで出てきてしまっている。

 銀行などが販売する投資信託で、顧客である個人がなかなか利益を挙げられないという事例も目立つようである。これは昔の証券会社が行っていたような途中売却と新規買入で回転させて手数料を得るようなこともあるのではなかろうか。個人向け国債についても、解約できない期間を過ぎると売却が目立つとされる。これも新規買入の際の募集手数料目当てではないかと勘ぐられてもいたしかたない。

 金利がない、もしくは金利がマイナスの状況下においては、金融機関が無理な営業をせざるを得なくなることはある意味、致し方ない面もあるかもしれない。しかし、決してこれは健全な姿とはいえない。個人にとっての、貯蓄から投資への動きへの阻害要因ともなりかねない。

 個人にとってもほとんど金利が付かない世界のなかで、より高い金利を求めるあまり、リスク商品に手を出して、収益どころか損失が発生している事例も多かろう。

 金利なき世界いの大元の原因が日銀の政策だけにあるわけではない。しかし、ファンダメンタルズなどとは乖離し、我々が本来得られるはずの、金融機関にとっては利ざやとなるはずの金利を無理矢理潰して、それが金融機関に、いや我々にも負担をしいていることは確かではなかろうか。それでいったい、政府債務リスクを覆い隠す以外のもので、何が得られているというのであろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-09-11 09:57 | 日銀 | Comments(0)
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