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日銀の異次元緩和の修正シミュレーション

 日銀が異次元緩和と呼ばれた量的・質的緩和を決定したのが2013年4月。あれから5年と半年が経過した。当初、2年で2%の物価目標を達成するとしていたが、物価は目標には届かず、日銀の異次元緩和はさらに踏み込み、長短金利操作付き量的・質的緩和となって現在にいたる。しかし、日銀の物価目標となっている消費者物価指数(除く生鮮食料品)の前年比は直近発表の9月分で前年比プラス1.0%と2%にはまだ距離がある。

 大胆な緩和策を5年続け、マイナス金利や長期金利コントロールまで加えたこともあり、金融機関の収益悪化や債券市場の機能低下などの副作用の懸念も強まってきている。

 海外をみてみるとFRBはいち早く大規模な緩和策からの脱却を目指し、正常化に向けて着々と歩みを進めている。イングランド銀行も歩みは遅いながらも正常化に向けた動きとなっている。ECBは年内にも新規の資産買入を停止する見込みで、来年には利上げも視野に入れつつある。

 このようななか、日銀は2%という絶対的な物価目標を置いてしまったことで、景気そのものの拡大基調は継続しても、身動きが取れない状況となっている。しかし、そろそろ日銀は物価目標を長期的な目標とすることで、より柔軟な政策に方向転換すべきかと思われる。

 雇用については9月の有効求人倍率が1974年1月以来の高水準となり、この好環境はまた継続するとみられている。賃金がなかなか上がらず、これも物価が上がらない要因となっているが、雇用の回復を阻害しない程度に、異次元緩和の修正は進められないものであろうか。

 たとえば、現在の日銀の保有資産はすでに名目GDPを上回っている。この量による効果から異次元の緩和効果を維持させることをアピールする。マイナス金利政策を止めて短期金利もプラスとし、短期金融市場を活性化させる。さらに長期金利のコントロールも止めることで債券市場の機能も回復させ、金利が動くことによって企業の設備投資などにも刺激を与える。

 これは緩和策からの後退ではなく、大規模な緩和効果は維持しつつ、金利がファンダメンタルに応じた動きに戻すことが目的とする。利上げは当面行うことはないと強調し、正常化という表現には距離を置くことで、外為市場などでの急激な円高などを防ぐ。

 これでもかなり市場の動意を抑えるのは難しいかもしれない。これは実質的に出口政策にほかならないものの、そのあたりは強調せずに押し進める必要もあろう。そろそろ、このような異次元緩和の修正シミュレーションを実行に移すタイミングではないかと考える。


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# by nihonkokusai | 2018-11-05 09:31 | 日銀 | Comments(0)

金融市場を揺るがしている不安材料の行方、米中間選挙やG20、そして英国のEU離脱

 米国のトランプ大統領はツイッターへの投稿で「習主席と長く、非常に良い対話を持った。貿易問題を中心に多くの懸案事項について話をした」とし、「アルゼンチンで開催されるG20で予定される会談で、こうした対話は首尾良く続けられる。北朝鮮問題についても協議した」とツイートしたそうである(ロイター)。

 実はその前にブルームバーグが、トランプ米政権が、11月末からの国際会議に合わせて開く予定の米中首脳会談が不調に終われば、12月初旬にも、中国からの全輸入品に制裁関税を拡大する措置を公表する準備をしていると報じていた。

 米中首脳会談は、11月末からアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれる20か国・地域(G20)首脳会合に合わせて開く方向で調整が進められている、とされている。

 トランプ政権による中国に対する強硬姿勢の背景には、11月6日の米国での中間選挙が大きく影響している。この結果次第では中国への強硬姿勢を緩めてくるのか、それともさらに関税を拡大する措置を取るのかが判断されるのではなかろうか。選挙の行方については事前の予想が大きく外れるケースも出ており、いまのところ結果が出るまでは何とも言えない。

 いずれにしても11月6日の米国の中間選挙や11月末からのG20の行方が金融市場にとって大きな焦点となる。

 そして、英国のEU離脱の行方も注目材料となる。英国とEU間の離脱交渉では10月中旬のEU首脳会議で目立った進展はなく、実質的な交渉期限も「11月まで」から「クリスマス」に延びていた。ただし、ここにきてやや進展もみられるようである。英国のラーブ英離脱担当相は議員に宛てた書簡で、EUとの離脱交渉が11月21日までに妥結することを示唆した(日経新聞)。

 こちらの交渉も今月がどうやら山場となりそうで、もし離脱交渉が11月21日までに妥結することになれば、懸念材料がとりあえずひとつ払拭することになる。

 イタリアの財政問題、サウジアラビアの問題など不安材料はあるものの、いまのところ世界経済を揺るがすほどの問題とはなっていない。ただし、こういった懸念材料が重なり、リスク回避の動きなども加わって、ここにきて米国の株式市場を主体に大きな調整を迎えたともいえる。


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# by nihonkokusai | 2018-11-04 09:30 | 国際情勢 | Comments(0)

キャッシュレス化で失われる現金が持つ匿名性

 日本でキャッシュレス化が遅れているのは、通貨への信認が高く、また全国どこでも気軽に使えるインフラが整備されていることなどがあげられる。さらに現金にある匿名性も影響しているのではなかろうか。

 我々が現金を使うときには、使った紙幣の保有者が特定されるようなことはない。クレジットカードを利用すれば、当然ながら記録が残る。預金口座からの引き出しもその金融機関のデータは残るが、その現金をどこで何に使ったまではトレースできない。ただし、ポイントカードなどを使用すると誰が何を購入したのかのデータが残る。

 アマゾンを頻繁に利用している人も多いと思われるが、そのではすべての購買データが残っている。それはアマゾンの画面上で簡単に調べることができる。アマゾンとしては個人の購買データが蓄積され、それがいわゆるビッグデータとなり、利用価値の高いものとなる。

 アマゾンで配送料が低く抑えられているのは、膨大が数量を扱えることや、アマゾンプライムの会費なども原資となっていると思われるが、蓄積される消費のビックデータも大きな価値を持ってきているためといえるのではなかろうか。

 中国などでのQRコードを使った決済は、現金取引に制限があったりすることで急速に拡大した。それとともにそのキャッシュレス決済がもたらすビッグデータの価値そのものが大きく、その分、店舗の手数料を引き下げるなどしたことで拡大した面もある。

 このようにキャッシュレス化によってもたらされるビックデータの価値によってもキャッシュレス化による手数料等の負担は軽減できる。しかし、それはつまり我々の商取引データが使われることになる。それに対して現金はそもそも手数料は発生しない上に、常に匿名性が維持される。

 日銀の雨宮副総裁は10月20日の「マネーの将来」と題する講演で次のようなコメントがあった。

 「現在、多くの巨大IT企業がキャッシュレス決済の分野に参入するとともに、これらのサービスを安価、ないし時に無料で提供できているのは、企業側が支払決済サービスをデータ収集のプラットフォームと捉え、集めたビッグデータを様々な用途に活用できるためと考えられます。これらのサービスのユーザーは、サービス利用の対価を、自らのデータを提供する形で支払っているとみることもできます。」

 我々は現金決済の匿名性を重視するのか、それともデータ利用を承知の上で匿名性を捨ててキャッシュレス決済にするのか。日本でのキャッシュレス化の浸透には、匿名性を失うことによる何かしらの対価も必要となるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-11-03 09:45 | 金融 | Comments(0)

日銀による国債買入の修正点、中期ゾーンの買入は実質減額に

 10月31日の17時に日銀が発表した「当面の長期国債等の買入れの運営について」では、いくつかの修正が加えられた。

 1年超5年以下の国債買入の回数が10月の5回から11月は4回に削減された。その上で、1回当たりオファー金額のレンジが、1年超3年以下の分で、10月の2000~4000億円程度から11月は2500~4500億円程度に増額された。3年超5年以下は、10月の2500~4500億円程度から3000~5500億円程度程度に増額された。

 直近の1年超5年以下の国債買入は10月30日に行われており、この際には残存期間1年超3年以下の買入額は3000億円、残存期間3年超5年以下の買入額は3500億円となっていた。それぞれ3000億円が5回の1兆5000億円、3500億円が5回の17500億円となる。これが4回となればそれぞれ一回当たりは3750億円、4375億円となる。

 日銀は9月の国債買入の回数を中期と長期ゾーンについて、8月までの6回から5回に減らした。その上で月額ベースでの買入額を縮小しており、今回も同様に一回当たりの買入額は3750億円、4375億円から削減されることが予想される。これは2日の同ゾーンの買入額で確認したい。ということで2日の国債買入オファーにて確認したところ、残存期間1年超3年以下の買入額は3500億円、残存期間3年超5年以下の買入額は4000億円となり、月額ベースでは実質減額となる見込み。

 そしてもう一点、日程について変更が加えられた。10月の国債入札スケジュールと日銀の国債買入をみてみると10月2日の10年国債入札の翌日3日にその10年債新発も該当銘柄となる5年超10年以下の買入が行われた。同様に11日の30年国債入札の翌12日に超長期ゾーンの買入が行われ、16日の5年国債の入札日の翌17日に中期ゾーンの買入と、国債の入札日の翌日に入札された銘柄を含む国債買入が組まれていた。

 これに対して11月1日の10年国債の入札に関しては、翌2日に該当銘柄となる5年超10年以下の買入が予定されているものの、それ以降については、13日の30年債入札日のあとは翌日の14日ではなく16日に超長期の買入が予定されている。15日の5年国債の入札日のあと19日に中期ゾーンの買入が組まれるなど、これまでの翌日の国債買入というパターンがなくなった。

 11月1日の10年国債の入札日の翌日の買入に関しては、入札が発表日翌日ということが配慮されたのではないかと思われる。12月からは10年国債についても翌日買入というパターンではなくなるのではなかろうか。

 これらの国債買入の修正は事前にある程度報じられていたこともあり、これを受けて債券先物は少し売られたがそれほど大きく崩れたわけではない。これにより実質的な国債買入減額とともに、タイトなスケジュールがやや緩和されるような格好となるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-11-02 10:18 | 日銀 | Comments(0)

株が波乱含みのなか米長期金利やドル円がしっかりな理由

 ここにきて米国株式市場は調整色を強め、値動きも大きくなり、波乱含みの様相を強めている。米長期金利の動向や中国の株価指数の動向、米中の貿易摩擦の行方なども懸念材料となっている。

 チャート上からは特にナスダック指数などをみるとゴルディロックス(適温)相場といわれた相場が変調をきたしているようにみえる。ただし、これで大きな上昇相場がピークアウトしたのか、それとも一時的な調整なのかは判断しづらい。

 これを確認するためには、11月6日の米国の中間選挙、さらにブエノスアイレスで11月30日~12月1日に開かれるG20会合の動向などもひとつの焦点となろう。

 11月6日の米国の中間選挙も、その結果は蓋を開けるまではわからない。与党共和党が優位かとも伝えられているが、トランプ大統領の支持率がここにきて低下するなどしている。

 株式市場にとっては共和党が結果として勝利したほうが、好材料と捉えるのではなかろうか。そうとなれば、トランプ政権はあらためて中国との関係改善を図る可能性も多少ながらありうるか。11月のG20で米中首脳会談が開催されるのかどうかも試金石となる。

 このようなイベントリスクを控えて、東京株式市場を含めて世界的な株式市場は調整局面を向かえているのだが、外為市場では円に関してみるとリスク回避による円買いとはそれほどなっていない。

 ドル円は10月3日につけた114円台半ばから10月26日には111円台半ばあたりに確かに下落したものの、そこから切り返して113円台を回復してきた。

 この背景としては米長期金利の底堅さがある。米10年債利回り(長期金利)は、10月5日に3.2%台に乗せたあと26日に3.07%あたりまで低下した。これは確かにリスク回避による米国債への買いが要因であろうが、3%台は維持していた。その後、再び3.1%台に戻している。この背景にはFRBの利上げ継続姿勢等もあろうが、その根拠ともなる米国経済の拡大傾向が維持されているとの見方もできる。

 日本の長期金利はほぼ0.1%あたりに抑えられている手前、日米の長期金利差は米長期金利の動向次第となる。米長期金利が3%台を維持している以上、この金利差は大きくは縮まらず、金利差という面からはドル円が底堅い動きとなることになる。

 外国為替市場は金利差だけで動くわけではない。しかし、米長期金利とドル円の動きをみると、それほどリスク回避の動きとはなっていないことがわかる。もしこの動きが継続するのであれば、今回の米国市場を主体とした株価の下落は一時的な調整とみることもできるのだが。


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# by nihonkokusai | 2018-11-01 10:05 | 投資 | Comments(0)

日銀の国債買入の修正観測への疑問

 朝日新聞は27日の「国債取引、活性化策を検討」という記事で、「日銀が緩和で国債を買い占めているため、国債の取引が乏しくなっている事態に対応し、今後買い入れ方法の見直しを検討する。」と報じた。

 そして、29日にロイターも「日銀オペ弾力化、国債入札翌日の買入後ずれも 金利自律形成促す」と報じた。

 ロイターの記事によると、「日銀は市場機能の改善に向けて、国債買い入れオペレーションの一段の弾力化策を模索している。具体策として、国債入札日の翌日の当該年限の買い入れを翌々日以降に後ずれさせることが、有力な選択肢の1つに浮上しているようだ。複数の関係筋が明らかにした。」

 さらにロイターは下記のようにも報じている。

 「入札日程の公表を取りやめるのではないか、との声も一部の市場参加者から出ているが、現時点で日銀は慎重なスタンスを維持しているもようだ。」

 入札日程の公表を取りやめについては、市場機能の回復を目的とした市場活性化のためとして、不確実性や不透明性を増して市場を不安定化させるというのは本末転倒といわざるを得ない。

 そして、今回有力とされている「国債入札日の翌日の当該年限の買い入れを翌々日以降に後ずれさせること」についても疑問は残る。

 そもそも論として、国債入札日の翌日に入札で発行された国債を大量に中央銀行が買い入れるということに大きな問題があった。いったん入札で証券会社など業者が買い入れて、それを金融政策の一環として日銀が買い入れるとの理屈であるが、入札日の翌日に中央銀行が買い入れるとなれば、極めて財政ファイナンスに近い行為と言えよう。

 ただし、入札日から少し日を置いて該当国債を日銀が買い入れるとなれば、長期債は短期債などに比べて、その期間における価格変動リスクが発生する。

 「入札から買い入れまでの期間を空けることで、市場の自律的な金利形成を促すことが狙い。」(ロイター)

 上記の狙いもわからなくもないが、そもそも自立的な金利形成を阻害しているのは日銀による異常な量の国債買入とイールドカーブコントロールによるものであり、それを修正しなければ本来の自立的な金利形成などありえない。

 「もっとも、現在の市場は日銀トレードを前提に入札が行われ、金利が形成されている一面があることも事実。・・・入札翌日のオペを行わないことで、市場が不安定化する可能性も否定できない。」(ロイター)

 不安定化させることである程度市場を活性化させようということも、わからなくはない。しかし、入札日程の公表を取りやめについてと同様に、市場機能の回復を目的とした市場活性化のためとして、いまになって期間リスクを増して市場を不安定化させるというのはやはり本末転倒といえるのではなかろうか。

 入札に応じている証券会社を中心としたいわゆる業者にとっても期間リスクが発生することで、先物などのデリバティブ取引でヘッジする必要も出てくる。これはこれで市場の厚みが増加する面もあるが、これまでに比べて業者にとってコストが掛かる上に期間リスクによる損失リスクも生じる。

 たしかに業者にとってもこのようなリスクを負うことは、少なくともイールドカーブコントロール導入以前はあたりまえであったことではある。しかし、金利形成に対する日銀への依存度があまりに高すぎることによって、ファンダメンタルズなどに応じた金利形成とは異なる市場となっている面もある。日銀の動きにあまりに縛られすぎている現在の市場で、このような業者へのリスク分の負担についても、個人的には疑問が残るといわざるを得ない。結論からいえば長期金利を自由に形成できる状態に戻すこと、それに尽きる。


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# by nihonkokusai | 2018-10-31 09:38 | 日銀 | Comments(0)

中央銀行の独立性の問題

 イタリアのディマイオ副首相は26日、ドラギ総裁がイタリアに欧州連合(EU)との対決姿勢を弱めるよう呼び掛けるなどした件で、「雰囲気を悪化」させたと批判した。連立政権の一翼を担う「同盟」の有力上院議員、アルベルト・バニャイ氏はこれに先立ち、ドラギ総裁がイタリアの銀行の健全性について懸念を示したことは「不適切」との考えを示した(朝日新聞)。

 ドラギ総裁は26日の講演で、自身の発言にイタリア連立政権内から反発の声が相次ぐ中、「中銀が財政、政治従属の影響を受けず、使命を達成するため最も適切な手段を自由に選べる姿が望ましい」と述べた(朝日新聞)。

 ECBのドラギ総裁の出身国はイタリアである。イタリアのポピュリスト政権幹部らがドラギ総裁への批判を強めている。

 今回のイタリア政権から出た批判は、ECBの金融政策に対する直接的な不満ではないものの、年内にも資産買入の停止を行い、来年の利上げも視野に入れつつあるECBに対する不満が高まっているようにも思われる。

 米国では公然とトランプ大統領がFRBというか自ら議長に選んだパウエル議長に対しての批判を強めている。11月6日の米国の中間選挙を睨んだパフォーマンスともみえるが、いまのところそれがFRBの政策に直接的な影響を与えているようには思えない。米政権は中央銀行の独立性に配慮していることがうかがえる。

 これに対して我が国の中央銀行はどうであろう。何度も繰り返すが、日銀が2%の物価目標を設定し、政府とアコードらしきものを結び、そして非常時でもないにも関わらず異次元緩和を行っているのは、政権の意向が強く反映されている。

 政権は中央銀行の独立性を尊重と重視する姿勢を示そうが、そもそも日銀法改正までちらつかせて日銀を無理矢理な政策に追い込んだことは確かである。その結果はどうであろうか。物価は上がることなく副作用だけが問題化しつつある。このあたりもう少し我々は認識をあらためる必要もあるのではなかろうか。


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# by nihonkokusai | 2018-10-30 09:30 | 中央銀行 | Comments(0)

政府主導の無理矢理なキャッシュレス化促進への違和感

 来年10月の消費税率10%への引き上げにあわせて「酒類及び外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が結ばれた週2回以上発行される新聞」に限り、税率を8%に据え置く「軽減税率」を導入する。その際にキャッシュレス決済で買い物をした人に対してポイントで還元する制度の導入も検討されている。

 「酒類及び外食を除く飲食料品」の区分けの面倒や何故新聞がという疑問はさておき、キャッシュレス決済でのポイント還元というのにも、かなり違和感がある。

 2018年に経済産業省が策定した「キャッシュレス・ビジョン」では、2025年までに「キャッシュレス決済比率」を40%程度とし、将来的には世界最高水準の80%を目指すとしている。

 たぶんこの消費増税に絡んだキャッシュレス決済でのポイント還元もそれを意識したものかと思われる。しかし、これによりキャッシュレス化の利用を大きく拡大させることができるとは思われない。そもそも対象となる中小の小売店でキャッシュレス化の普及を促すには、機器の導入費用などとともに、カード会社などに支払う手数料などの負担が大きい。

 手数料については3%の上限を設けようとの動きもあるようだが、3%でも負担は大きい。スマホ決済などによるキャッシュレス化において、海外ではそこから得られるデータの利用価値を意識して手数料は抑えられている。キャッシュレス化への普及には利用者にとって現金同様の使い勝手の良さとともに、商店側の負担軽減が大きな課題となる。

 そして、今度は厚生省が企業などがデジタルマネーで給与を従業員に支払えるよう税制を見直す方針を固めたとも伝えられた。これも意図が良くわからない。こちらもキャッシュレス化の促進ありきのように思える。

 海外でのキャッシュレス化拡大の動きの要因のひとつに、銀行口座を持たない層の利用が挙げられている。しかし、日本での給与はほとんど銀行などへの振り込みになっていると思われ、それに対して特に弊害等は感じられない。給与が直接、スマホのアプリに振り込まれるような格好になったとして、果たしてそれを利用するというインセンティブは働くであろうか。

 銀行の口座に現金があるというのは仮にそれがデータ上であろうとかなりの安心感がある。しかし、銀行ではないポイントのような格好でアプリ内にかなりの金額が置かれる事への抵抗感は強いのではなかろうか。私はコンピニの電子マネーに現金をチャージする際には数千円に止めており、1万円をチャージするのにも躊躇してしまう。

 どうもキャッシュレス化促進ありきで、我々のニーズや店側の事情などは置いといて、進められている気がしてならない。キャッシュレス化を進めるには、使う側のインセンティブを引き出す必要があり、ある意味強制的に拡げようとしても無理があろう。


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# by nihonkokusai | 2018-10-27 11:07 | 金融 | Comments(0)

米国株式市場の指標の違いからみた今回の株価の調整

 株式市場、債券市場そして外為市場などには、その市場動向を見るためのベンチマーク(指標)が存在している。たとえば米国株式市場の代表的なベンチマーク(指標)というべき株価指数が3つ存在している。ダウ平均とS&P500種、そしてナスダック総合指数である。

 最も目にするのはダウ平均株価であろう。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している指標であり、ダウ工業株30種平均、ダウ輸送株20種平均、ダウ公共株15種平均の3種類と、これらをあわせたダウ総合65種平均がある。通常、ニューヨークダウと呼ばれているものはこのうちのダウ工業株30種平均である。

 1884年以降に公表されている歴史ある指標であり、その銘柄は時代の産業構造を反映して入れ替えられている。わずか30銘柄で全体の動きを示せるのかという問題はあるかもしれないが、トレンドは捉えることができているとみられ、その歴史に加えて指標としての使い勝手の良さなどから、米国株式市場の代表的な指標となっている。

 これに対してS&P500種もS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している代表的な株価指数となる。代表的な500銘柄の株価を基に算出され、機関投資家の運用実績を測定するベンチマークとして利用されている。こちらは1957年から算出されているものであり、ダウ平均に比べると歴史は浅い。銘柄数が多い分、全体の動向を把握しやすいが、ダウ平均に比べると一般の知名度は低い分、ダウ平均の動向の方が注目されやすい。

 もうひとつの代表的な指標が、ナスダック総合指数となる。ナスダックに上場している3000以上の銘柄の全てを対象に時価総額加重平均で算出した指数となる。ナスダックにはアップル、フェイスブック、アマゾン、ツイッター、マイクロソフトなどいわゆる大手ハイテク企業、つまりそれは現在の米国経済を牽引している企業が多く含まれている。ダウ平均にもナスダック上場銘柄が含まれているが、ナスダック総合指数の方がハイテク株による影響を受けやすい。ダウ平均とナスダックの動きの違いなども、米国株式市場を見る上での参考となる。

 ということを前提に今回の米国株式市場の調整についてみてみると、ダウ平均に比べてナスダックの方がチャートからみると大きな上昇トレンドが崩れた格好となっている。これからみると主要ハイテク株を中心に上昇してきた米国株式市場が、そのハイテク株主体に崩れてきたことが窺える。

 それが果たしてFRBの利上げによるよるものなのか。それよりも米国と中国の貿易摩擦による影響がアップルなどを中心にじわりじわりと影響しつつあると見た方が良いのではないかと思われる。


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# by nihonkokusai | 2018-10-26 09:49 | 投資 | Comments(0)

原油先物価格にみる適温相場の変調

 ここにきて米国の株式市場を中心に、ゴルディロックス(適温)相場といわれた相場が変調をきたしている。今回は今回の調整について、株式市場そのものではなく、原油先物市場の動きからみてみたい。

 原油先物のベンチマークといえるWTI先物のチャートをみてみると、今年7月3日に75ドル台まで上昇したあと調整売りが入り、8月中旬に65ドル近辺まで下落した。これには米国による対中追加関税措置の発動なども影響していたと思われる。中国が米国産原油に関税を課すことなどへの懸念も出ていた。

 しかし、その後は米国株式市場の上昇に歩調を合わせるような格好となり、原油先物もじりじりと回復し、WTI先物は70ドル台を回復した。10月3日に77ドルに接近したところで、いったんピークアウトした。米国株式市場のダウ平均も10月3日に27000ドルに接近したところで同じくピークアウトしている。

 その後のWTI先物はダウ平均と同様に下落し、23日には66ドル台に下落した。チャート上からは、このあたりが正念場となる。8月につけた65ドル近辺を大きく割り込むようであれば、上昇トレンドがいったん崩れる格好となる。

 ここにきてイタリアの財政問題や英国のEU離脱問題などに加え、サウジアラビアの問題も出てきており、特にサウジの問題は原油価格にも大きな影響を与えかねない。とはいえ、今回の原油先物の調整はダウ平均などと歩調を合わせているところをみると、世界経済そのものの行方も意識した動きのようにもみえる。

 東京株式市場もだいぶ遅れを取ったものの、日経平均は10月1日に2万4245円とバブル崩壊後に株安が進んだ1991年11月以来の高値を付けた。しかし、このあと米国のダウ平均と原油先物が目先のピークをつけたことで、日経平均株価も調整を余儀なくされている。

 今後の株価などの動向を占う上でも、原油先物価格の動向も多少ながら意識しておいた方が良さそうである。


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# by nihonkokusai | 2018-10-25 09:34 | 投資 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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