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英国のEU離脱は延期の可能性高まる

 英国のメイ首相は26日に議会で、3月29日に予定通り離脱を実現できるようEUと合意に達するべく努力を続ける意向だと表明。それができなかったとしても、議会の同意なく合意なしの離脱に踏み切ることはないとし、「3月29日に合意なしでEUを離脱するのは、議会の明確な同意があった場合だけだ」と言明した(ブルームバーグ)。

 これはどういうことであるのか。24日にエジプトでEUのトゥスク大統領とメイ首相が会談した際に、トゥスク氏は「合意なき離脱」の回避には離脱延期が「合理的」とし、メイ氏と「延期による影響」を話し合ったとされる。EU側から延期の可能性を打診され、メイ氏が離脱期日を最長で2か月延長する案を検討していると報じられた。

 その結果として、遅くとも3月12日までに、EUとの間で修正に向けた協議を続けている離脱協定案について議会で採決を行う。もし否決された場合には、翌日に今度は「合意なき離脱」の是非について採決する。議会が「合意なき離脱」の回避を求めた場合、14日に離脱の延期について議会に諮るとしている。

 離脱協定案は否決される可能性が高い。しかし、議会としても混乱を招きかねない「合意なき離脱」は回避させたい。「合意なき離脱の回避」について賛成票が多数となれば、14日に離脱の延期について議会に諮る。ここで延期が決定されると延長後の新たな離脱日は遅くとも6月末となる可能性が高いとされている。ただし、延期したとしても1回かぎりとしている。

 「合意がまとまらなければ、延期をしても『合意なき離脱』の可能性が消えるわけではない」とメイ首相は主張しているように、いまのところこれは時間稼ぎに過ぎず、具体的な解決策には至らない。

 そもそも英国民のなかでも離脱派と離脱反対派に分かれており、両者の妥協点を探るにも、良いとこ取りはEU側が了承しないであろう。事態が改善するとすれば、どこかが折れる必要があるが、それはそれで反発を招きかねない。

 これを受けて26日の外為市場で一時ポンドが買われたが、不透明感が拭えたわけではない。


by nihonkokusai | 2019-02-28 10:00 | 国際情勢

日銀の国債引受と財政拡大が招いた悲劇、1936年の二・二六事件

 83年前の2月26日、クーデター未遂事件「二・二六事件」が起きた。その犠牲者となったひとりが高橋是清(当時の蔵相)であった。

 高橋是清の行った高橋財政は金輸出解禁による円安放置政策、日銀引受による国債発行と財政支出の拡大、大きな低金利政策が柱となっていた。景気対策という側面からみると、井上デフレと呼ばれた深刻な不況から脱するために、積極財政と低金利政策により有効需要の拡大を計り、その意味ではケインズ的な政策であったとの指摘もある。ところが、高橋財政の柱のひとつである財政支出の拡大は、農村救済のための時局匡救事業ではあったものの、軍事費の拡大が最大の要因となっていた。

 放漫財政とも呼ばれた拡大財政について高橋是清は、比較的短期間のうちに歳出規模は再び収縮し、景気回復に伴う税収増と相まって財政収支は均衡を回復するとの認識でいたようだが、これはやや楽観的すぎた。

 1934年度の予算編成のころとなると、さすがに高橋是清も財政膨張の抑制、国債増額の是正に取り組みはじめた。1934年4月に高橋蔵相は次のように発言をしている。

 「赤字公債が年々増えることは良くない。政府は決して之を安心して、何時までも続け得るものとは思って居らぬ。併し一昨年以来の我が国の一般経済界、産業界の有様を見たとき、先ず政府が刺激剤を与えるより外に手段はなかった」

 1932年以降の政府支出の拡大要因は軍事費の拡大が主要因となったことで、財政政策の転換は簡単にはいかなかった。1935年に高橋蔵相は軍備拡張を強引に要求する軍部と対立する。それがきっかけとなり高橋財政は悲劇的な結末を迎えた。軍事予算の縮小を図ったところ軍部の恨みを買い、1936年の二・二六事件において暗殺されたのである。

 高橋財政のリスクとしては、財政拡大の主因が軍事費であったことに加え、日銀による国債引受があった。これについて高橋是清は「一時の便法」と称していたが、それはある意味、パンドラの箱を開けてしまったとも言えよう。

 高橋蔵相は当初、「日本国民の通貨に対する信用は非常に強固なものがある」ため「通貨の信用ということについてはあまり気にする必要はない」という理由で公債漸減主義は考えていなかったが、その後日銀の深井副総裁の度重なる進言と、第一次世界大戦後におけるドイツ・インフレーションに関する調査物を読んで、その心境に変化が生じたそうである。


by nihonkokusai | 2019-02-27 10:06 | 国債

債券先物の中心限月の引け値が4日連続で同値という珍事

 債券先物の中心限月の引け値が2月19日から22日にかけて4日連続で152円90銭で引けていた。4日連続というのは記憶になかったため、とりあえずすぐにチェックできる手元のエクセルのデータで確認してみた。

 手元のものが1991年1月からであったため、それ以前のものがすぐには検証できず、またすべてのデータは手入力で行っていたため、誤入力の可能性もある。このため、あくまで暫定的なデータということでみてほしいが、チェックしたところ2日連続はかなりあったが、3日連続となると下記の例のみであり、4日連続はなかった。

 3日連続は、1991年7月8日から10日の3日間連続で95円10銭、2012年6月6日から8日の3日連続の143円59銭、2014年10月29日から31日の3日連続で146円53銭、2015年11月17日から19日の3日連続の148円54銭、2016年5月27日、30日、31日の3営業日連続での152円03銭、2017年9月1日、4日、5日の3営業日連続での151円22銭、

 つまり4日連続の同値引けは債券先物史上で初である可能性が高い。少なくとも値動きがあったにも関わらず4日連続の同値引けはまさに珍事といえよう。

 日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策によって日本の債券市場の流動性が低下していることは確かである。それでも債券先物は一定の出来高は維持し、値動きも多少なりある。だからこそ引け値の同値が続く例が少なかったともいえる。

 今回の4日連続の同値引けは、たまたまそうなってしまったといえるが、それだけ相場の膠着感を示したものともいえるかもしれない。欧州や中国を主体とした景気減速懸念で債券は買われているものの、高値警戒感もあり米中通商交渉の進展への期待も上値を抑えているというか様子見姿勢を強めさせている。


by nihonkokusai | 2019-02-26 09:40 | 債券市場

金融緩和で物価を上げられるという発想はやめるべき

 総務省が22日発表した1月の全国消費者物価指数は、総合が前年同月比プラス0.2%と昨年12月のプラス0.3%から上昇幅を縮小させた。日銀の物価目標ともなっている生鮮食品を除く総合は、同プラス0.8%となり、こちらは12月のプラス0.7%から上昇幅を拡大させた。生鮮食品及びエネルギーを除く総合はプラス0.4%と12月のプラス0.3%からこちらも上昇幅を拡大させた。

 総合の落ち込みはキャベツやレタスなどの生鮮野菜が、昨年に高騰した反動で下落したことが大きい。生鮮食品を除く総合は、電気代や都市ガス代などエネルギー関連が押し上げた。生鮮食品とエネルギーを除く総合は宿泊料の上昇なども寄与した。

 ということで、今年に入っても日銀の物価目標の2%に、全国消費者物価指数の生鮮食品を除く総合が届く気配はない。日銀は非常時対応ともいえる異次元緩和をすでに6年近く続けている。いくらタイムラグがあると言っても、日銀の金融緩和策が物価を直接押し上げる効果を持っていないことは明白ではなかろうか。

 これは2014年の消費増税が影響したとの主張があるが、これによって消費の落ち込みは一時的にあっても、息の長い景気回復は継続しているとしているのは何故か。消費増税と物価との関連について、それほど影響があるという前提はおかしい。

 デフレからの脱却というが、日本の物価が上がりにくいという面もあるが、グローバルスタンダードとされる2%という数字に日本の物価を当てはめること自体に問題があるといえるのではなかろうか。

 いま統計がいろいろな意味で脚光を浴びている。毎月勤労統計(毎勤)の不正問題が国会でも取りあげられているが、もし現政権がアベノミクスの効果を強調したかったのであれば、賃金以前にこの物価の統計を操作すべきであったと思われる。むろん、そのような操作はあってはならないし、消費者物価指数についてはそのような操作が行われたという気配はない。

 結果として生鮮食品を除く総合は1%あたりにとどまった状態が続いている。これをみても、もうすでに日銀の金融緩和によって能動的に物価を上げられるという発想はやめるべきではなかろうか。その考えに基づいて、あらためて現行の日銀による異次元緩和策の修正を図る必要もあるのではなかろうか。


by nihonkokusai | 2019-02-24 11:30 | 日銀

1月の日本の貿易赤字が4年10か月ぶりの大きさに

 財務省が20日発表した2019年1月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆4152億円の赤字となり、4か月連続での赤字となった。貿易赤字の幅は4年10か月ぶりの大きさとなった。

 貿易統計は通関統計とも呼ばれているが、これは日本の貿易についてまとめた統計となる。日本から輸出及び積戻し並びに輸入された貨物についても通関時の価格による輸出入の金額となる。貿易の商品の種類、量、金額のほとんどを把握しているため、貿易状況を調べる上で基礎的な資料となっている。

 中国向けの輸出が前年同月比17.4%減の9581億円と2か月連続での減少となり、大きく落ち込んだ。減少品目でみると電気回路等の機器、プラスチック、そして半導体等製造装置が大きく落ち込んでいた。

 米中の貿易摩擦、それにも影響されての中国経済の減速により、半導体製造装置などが落ち込んだとみられる。

 EU向けの輸出も4か月ぶりの減少となっているなど、世界的な景気減速の影響が出始めているとみられる。

 昨年一年間と比較しても、今回の貿易赤字の幅はかなり大きいものとなっている。これが一時的なものなのか、それともさらに貿易赤字が拡大してくる可能性があるのか。今後の国内経済の動向を見る上でも、貿易収支の動向は要注意となりそうである。


by nihonkokusai | 2019-02-21 09:41 | 景気物価動向

ECBは新たな金融機関への支援策を検討か

 欧州中央銀行(ECB)のクーレ理事は15日にニューヨークの講演で、「新たなTLTRO導入の議論が市場で広がっていることは認識している」と述べた上で、「それはあり得る。ECBで議論しているが、金融政策上の目的が確実に果たされるようにしたい」と語った(ブルームバーグ)

 さらにビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、欧州経済の減速は顕著であり、ECBは金利ガイダンスを変更し得るとの見解を示した。

 レーン・フィンランド中銀総裁もインタビューで、最近の経済指標はユーロ圏経済の減速を示しているとの見方を示し、ECBの金融政策の目標が達成されるまで金利は現行水準で維持されると発言していた。

 ECBは昨年12月13日の政策理事会において、主要政策金利を据え置くと同時に、4年近くに及んだ2兆6000億ユーロ規模の量的緩和(QE)を終了させることを正式に決定した。保有債券の満期償還金の再投資についてのガイダンスを変更し、「政策金利引き上げの開始後も長期にわたり続ける」とした。その政策金利については、少なくとも2019年夏の終わりまで据え置くとした。

 今年の夏以降、ECBは利上げを模索するとみられていたが、ユーロ圏の景気減速が顕著になりつつあり、年内の利上げ観測が後退し、フィンランド中銀総裁の発言などからそれが裏付けられた格好となっている。

 これに加えクーレ理事からは、新たなTLTRO導入の可能性も指摘された。

 2011年11月のECB理事会において、流動性を供給するため期間36か月の長期リファイナンス・オペ(LTRO)を新設することが決定された。

 ECBが実施した最後のTLTROが2020年に順次償還を迎えることから、特にイタリアなどの南欧諸国は資金調達を巡る問題に直面する。クーレ専務理事は、単なる銀行支援ではなく、ECBのインフレ目標達成の一助になることが目的にかなうとして新たなTLTRO導入の検討を示唆したものとみられる(15日のロイターの記事より引用)。

 ECBとしては、景気の減速を受けて、正常化に向けた動きにブレーキを掛けるものの、利下げや再度の資産買入再開といった手段ではなく、低金利によって収益に悪影響を与える金融機関への支援の意味を含め、新たなTLTROの導入を検討しているようである。


by nihonkokusai | 2019-02-20 09:49 | 中央銀行

1万円札流通高が初めて100兆円を突破、キャッシュレス化が後退?

 18日付け日本経済新聞によると、1万円札の流通高は2018年末時点で前年比3.5%増の102兆1872億円と初めて100兆円を突破した。その多くはタンス預金として、家庭の金庫などに眠っているとされる。

 ケネス・ロゴフやローレンス・サマーズなどの経済学者が現金廃止のメリットを訴えているが、それは高額紙幣が脱税やマネー・ロンダリングなど犯罪に使われているためとしている。高額紙幣をなくしてキャッシュレス(ロゴフ氏はレスキャッシュと主張)とすれば、そのような犯罪がなくせるとしている。

 高額紙幣の流通量の多さとキャッシュレス化については切り離して考える必要がある。日本ではここにきてキャッシュレス化の遅れなどが指摘され、数々のQRコード決済などが出てきているが、現在ブームとなりつつ日本のキャッシュレス化はあくまで小額取引におけるものである。さらに高額の取引についてはクレジットカードの利用が進んでいる。

 日経新聞によると、電子マネーの普及で小額硬貨は流通高が減っているとしている。2018年末時点で1円玉は前年比0.3%減り、5円玉は0.6%減った。電子マネーによる決済額は2018年1~11月が4兆9496億円と前年同期を5.3%上回って、過去最高となっている。

 つまり小額決済のキャッシュレス化は進んでいる。この流れは今後広がることが予想される。

 高額紙幣の流通量と犯罪の関係をあらためて考えてみたい。高額紙幣の流通量が増加しているのは日本だけでなく、ユーロ圏などでも同様である。これは日本とユーロ圏で国際犯罪が多発しているため、ではないであろう。少なくともドルやユーロではなく、日本円の1万円の札束を海外での闇取引に持ち込んでも、それほど歓迎されないのではなかろうか。

 日本とユーロ圏の高額紙幣の流通量の増加の要因はひとえに金利の低さにある。金利のあまりの低さにより、預金に置くより現金で持つというインセンティブが働く。念のため日本と欧州で預貯金金利がマイナスとなっているのは、欧州の一部の銀行にすぎない。マイナス金利だからというより、低金利であるため、さらに現金の持つ匿名性も意識されて、高額紙幣の保有量が増加していると思われる。

 そういった意味では贈与税なども意識して大量の現金を隠しているのではとの見方もあろうし、そういう意味での脱税を意識した保有も否定はできない。金額が桁違いに多くなればなるほど、自らの金庫に保管したいというインセンティブも働いているのかもしれない。特に金利が付かず、運用するにも将来への不安を意識してそのまま寝かせている現金が多いともいえるのではなかろうか。


by nihonkokusai | 2019-02-19 09:42 | キャッシュレス

12月の米小売売上高の悪化で市場マインドは変化するのか?

 内閣府が14日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増だった。年率換算では1.4%増。年率2.6%減だった7~9月期から、2四半期ぶりのプラスとなった(14日付日経新聞)。

 これは夏の自然災害による個人消費の落ち込みの反動ともいえるものであり、内需が全体の成長率押し上げに寄与した格好となった。これに対して外需は中国経済の鈍化などにより成長率を押し下げた。

 そして、米商務省が14日に発表した2018年12月の小売売上高は前月比1.2%減となった。市場の予想は若干のプラスとなっていたのに対して大幅なマイナス、しかもこれは2009年9月以来の9年強ぶりの大幅な減少幅となっていた。

 注意すべきはこの統計の数値への信頼性となる。日本の統計疑惑ではないが、この数字に関しては政府機関の閉鎖がデータ収集作業に影響した可能性も指摘されている。今回の12月の小売売上高統計は、1月25日まで35日間続いた政府機関の一部閉鎖の影響で遅れて発表されたが、集計作業についてもこれまで通りに行われていたのかという疑問も残ろう。

 このため今回の米小売売上高は、念のための参考数値として捉え、今後発表される経済指標を確認した上で、昨年末の景気動向を探る必要はある。

 しかし、日本の10~12月期GDPをみても、外需がマイナスとなっていたことは確かであり、米中の貿易摩擦の影響もあって、世界経済の牽引役となっていた米国や中国の景気が急速に後退してきた可能性はある。欧州の景気後退は言わずもがなとなっている。

 米国株式市場はこういった景気減速の懸念はあれど、米中貿易交渉の進展への期待や米政府機関の再閉鎖の回避への期待で買い戻されていた。しかし、米中貿易摩擦が完全に解決されるようなことはなく、あくまで妥協点の探り合いとなることも予想される。米政府機関の再閉鎖はなくなったとしても、議会とトランプ大統領の対立は続こう。そもそもトランプ大統領そのものがすでに金融市場のリスク要因となっている。FRBが利上げを停止したところで、あくまで金融市場は一時的に好感はしても、それが実態経済に与える影響については不透明である。

 金融市場を取り巻く地合が12月の小売売上高をきっかけに大きく変化してくるのかどうかもいまのところ不透明ながら、あらためて米国を主体とした景気動向が注目されよう。


by nihonkokusai | 2019-02-18 09:37 | 景気物価動向

日本の景気回復のためにはマイナス金利政策の解除も必要に

 中国や欧州の経済指標などをみると昨年は景気の減速感が強まった。中国国家統計局が発表した2018年の国内総生産は、物価変動の影響を除いた実質で前年比6.6%増となり、天安門事件の影響で経済が落ち込んだ1990年の3.9%増以来、28年ぶりの低水準となっていた。欧州連合(EU)の欧州委員会がユーロ圏の2019年の成長見通しを引き下げ、イングランド銀行も英国の経済成長見通しを引き下げた。

 いわゆる循環的な景気減速との見方が強いものの、米中の貿易摩擦といった政治的な要因も絡んでいる。米中の貿易摩擦の背景には、米中のハイテク分野などを含む覇権争いがあり、これは米国経済を牽引してきたアップルなどのIT企業にも影響を与えることになる。

 中国や欧州、さらに米国の景気が減速となれば、当然ながら日本の景気動向にも大きな足かせとなろう。2013年あたりからの日本の景気回復は、アベノミクスが成果を挙げたというよりも百年に一度と言われた世界的な金融経済リスクの後退と、それに伴う円高調整、そして世界的な景気の回復が大きく寄与した。

 日銀の異次元緩和政策は急激な円高調整には多少は寄与したかもしれないが、結果として物価目標が達成できなかったように、実質的な効果には疑問符が付く。しかし、物価目標が未達となったことで日銀は現在、長短金利操作付き量的質的緩和政策という複合的な緩和策を行っている。

 しかし、のちほど加えられたマイナス金利政策と長期金利コントロールは金融機関の収益を悪化させることになる。大手金融機関は多少余力があったとしても、中小金融機関にとってはマイナス金利が継続され続けると収益がさらに悪化しかねない、いわゆる異次元緩和の副作用が今後は顕在化しかねない。

 日銀の緩和効果は膨大に膨れあがった日銀の買入資産の保有によるものを考慮すれば良いと思われ、マイナス金利や長期金利のコントロールによる影響はほとんどないと見て良いのではなかろうか。むしろ金融機関の収益悪化が日本経済の減速要因ともなりかねず、将来の金融不安が生じるリスクすら伴うものとなる。

 このあたりの認識を強めさせることで、日銀の出口政策とか引き締め策ではなく、日本の景気回復の後押しともなりうるマイナス金利政策の解除と、できれば長期金利コントロールの解除を目指すことが必要となるのではなかろうか。

 これ以上の日銀のポートフォリオの膨張もブレーキを掛け、巨額のポートフォリオを長期間にわたり維持させることで、緩和効果の継続をアピールするといったことも必要になってくるのではなかろうか。


by nihonkokusai | 2019-02-16 11:06 | 日銀

投資詐欺にだまされないための必要最低限の金融知識

 うその投資話を持ちかけ、愛知県の男性などから6000万円余りをだまし取ったとして、千葉市の会社の会長らが逮捕されたと、NHKなどが報じた。警察によると、この会社は全国の1万数千人から450億円余りを集めていたことから、実態の解明を進めることにしているそうである。

 この手の金融に絡んだ詐欺事件は繰り返し起きている。この要因としては日本人の金融リテラシーが足りないからとの意見もあるが、金融そのものに関心のない人も多いとみられ、そのために時間やお金も掛けられないとの現状もあるかもしれない。

 日々の株価や為替の動向には多少関心はあっても、たとえば金利の動きとか日銀の金融政策あたりになると、それに関心を持つ人は極端に少ない気がする。現在の日銀の金融政策は何と呼ばれるのかという問いに正確に答えられる人はどのくらいいるであろうか。答えは「長短金利操作付き量的・質的緩和」であるが、それがいったい何であるのかを正確に理解している人もそれほど多くはないのではなかろうか。私もその効果については理解はしていないが。

 我々に高度な金融教育が本当に必要なのかどうかはわからない。ただし、大事なお金を守るためには、このような詐欺に遭わないための必要最低限度の知識は必要であろう。

 お金の運用にはハイリスク・ハイリターンという言葉がある。高い収益を求めるためには、より高いリスクを覚悟する必要がある。つまり大きな損失も覚悟の上で、投資等を行わないと大きな利益を得るチャンスは得られない。

 あたり前だろうと言われるかもしれないが、このことをしっかり頭に入れておけば、投資詐欺などに遭うことはない。高いリスクに晒されずに、得られる安定したリターンはどのぐらいなのか、それは例えば、国債の利回りであり、預貯金の利子となる。

 それらが日銀の金融政策や物価の低迷であまりに低くなってしまっているから、より高い収益を期待してしまうというのはわからなくもない。しかし、少なくとも国債などの利回りより、高い利回りが提示されているものについては、リスクがあることを念頭に置く必要がある。しかも、そのリスクの内容(投資先や発行体のリスクなど)をしっかり把握できていなければ、それに投資すべきではないと考えておく必要がある。

 念のため、現在は10年国債の利回りあたりまでマイナスとなっているが、個人向け国債は0.05%の最低保証利子があり、0.05%あたりを基準に考えてほしい。

 何も投資商品を全否定するつもりはない。投資信託など含めて、その運用リスクをある程度把握できているのであれば、損失の危険もあることを念頭に投資すべきなのである。

 儲け話には裏があるのはいついかなる時もそうである。今回の詐欺グループのような口車に乗っかって、この人であれば社会に貢献しながら利益も得てくれると思い込むのは勝手であるが、それがどれだけ難しいものであるのかは、お金を運用してみるとわかる。もしリスクとリターンの関係を試したいのであれば、現物株などを購入してみると良いかもしれない。金融商品で安定的に儲けるのは容易ではない。それはプロであっても同様である。


by nihonkokusai | 2019-02-15 09:58 | 投資
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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