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ECBは新たな金融機関への支援策を検討か

 欧州中央銀行(ECB)のクーレ理事は15日にニューヨークの講演で、「新たなTLTRO導入の議論が市場で広がっていることは認識している」と述べた上で、「それはあり得る。ECBで議論しているが、金融政策上の目的が確実に果たされるようにしたい」と語った(ブルームバーグ)

 さらにビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、欧州経済の減速は顕著であり、ECBは金利ガイダンスを変更し得るとの見解を示した。

 レーン・フィンランド中銀総裁もインタビューで、最近の経済指標はユーロ圏経済の減速を示しているとの見方を示し、ECBの金融政策の目標が達成されるまで金利は現行水準で維持されると発言していた。

 ECBは昨年12月13日の政策理事会において、主要政策金利を据え置くと同時に、4年近くに及んだ2兆6000億ユーロ規模の量的緩和(QE)を終了させることを正式に決定した。保有債券の満期償還金の再投資についてのガイダンスを変更し、「政策金利引き上げの開始後も長期にわたり続ける」とした。その政策金利については、少なくとも2019年夏の終わりまで据え置くとした。

 今年の夏以降、ECBは利上げを模索するとみられていたが、ユーロ圏の景気減速が顕著になりつつあり、年内の利上げ観測が後退し、フィンランド中銀総裁の発言などからそれが裏付けられた格好となっている。

 これに加えクーレ理事からは、新たなTLTRO導入の可能性も指摘された。

 2011年11月のECB理事会において、流動性を供給するため期間36か月の長期リファイナンス・オペ(LTRO)を新設することが決定された。

 ECBが実施した最後のTLTROが2020年に順次償還を迎えることから、特にイタリアなどの南欧諸国は資金調達を巡る問題に直面する。クーレ専務理事は、単なる銀行支援ではなく、ECBのインフレ目標達成の一助になることが目的にかなうとして新たなTLTRO導入の検討を示唆したものとみられる(15日のロイターの記事より引用)。

 ECBとしては、景気の減速を受けて、正常化に向けた動きにブレーキを掛けるものの、利下げや再度の資産買入再開といった手段ではなく、低金利によって収益に悪影響を与える金融機関への支援の意味を含め、新たなTLTROの導入を検討しているようである。


by nihonkokusai | 2019-02-20 09:49 | 中央銀行 | Comments(0)

1万円札流通高が初めて100兆円を突破、キャッシュレス化が後退?

 18日付け日本経済新聞によると、1万円札の流通高は2018年末時点で前年比3.5%増の102兆1872億円と初めて100兆円を突破した。その多くはタンス預金として、家庭の金庫などに眠っているとされる。

 ケネス・ロゴフやローレンス・サマーズなどの経済学者が現金廃止のメリットを訴えているが、それは高額紙幣が脱税やマネー・ロンダリングなど犯罪に使われているためとしている。高額紙幣をなくしてキャッシュレス(ロゴフ氏はレスキャッシュと主張)とすれば、そのような犯罪がなくせるとしている。

 高額紙幣の流通量の多さとキャッシュレス化については切り離して考える必要がある。日本ではここにきてキャッシュレス化の遅れなどが指摘され、数々のQRコード決済などが出てきているが、現在ブームとなりつつ日本のキャッシュレス化はあくまで小額取引におけるものである。さらに高額の取引についてはクレジットカードの利用が進んでいる。

 日経新聞によると、電子マネーの普及で小額硬貨は流通高が減っているとしている。2018年末時点で1円玉は前年比0.3%減り、5円玉は0.6%減った。電子マネーによる決済額は2018年1~11月が4兆9496億円と前年同期を5.3%上回って、過去最高となっている。

 つまり小額決済のキャッシュレス化は進んでいる。この流れは今後広がることが予想される。

 高額紙幣の流通量と犯罪の関係をあらためて考えてみたい。高額紙幣の流通量が増加しているのは日本だけでなく、ユーロ圏などでも同様である。これは日本とユーロ圏で国際犯罪が多発しているため、ではないであろう。少なくともドルやユーロではなく、日本円の1万円の札束を海外での闇取引に持ち込んでも、それほど歓迎されないのではなかろうか。

 日本とユーロ圏の高額紙幣の流通量の増加の要因はひとえに金利の低さにある。金利のあまりの低さにより、預金に置くより現金で持つというインセンティブが働く。念のため日本と欧州で預貯金金利がマイナスとなっているのは、欧州の一部の銀行にすぎない。マイナス金利だからというより、低金利であるため、さらに現金の持つ匿名性も意識されて、高額紙幣の保有量が増加していると思われる。

 そういった意味では贈与税なども意識して大量の現金を隠しているのではとの見方もあろうし、そういう意味での脱税を意識した保有も否定はできない。金額が桁違いに多くなればなるほど、自らの金庫に保管したいというインセンティブも働いているのかもしれない。特に金利が付かず、運用するにも将来への不安を意識してそのまま寝かせている現金が多いともいえるのではなかろうか。


by nihonkokusai | 2019-02-19 09:42 | キャッシュレス | Comments(0)

12月の米小売売上高の悪化で市場マインドは変化するのか?

 内閣府が14日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増だった。年率換算では1.4%増。年率2.6%減だった7~9月期から、2四半期ぶりのプラスとなった(14日付日経新聞)。

 これは夏の自然災害による個人消費の落ち込みの反動ともいえるものであり、内需が全体の成長率押し上げに寄与した格好となった。これに対して外需は中国経済の鈍化などにより成長率を押し下げた。

 そして、米商務省が14日に発表した2018年12月の小売売上高は前月比1.2%減となった。市場の予想は若干のプラスとなっていたのに対して大幅なマイナス、しかもこれは2009年9月以来の9年強ぶりの大幅な減少幅となっていた。

 注意すべきはこの統計の数値への信頼性となる。日本の統計疑惑ではないが、この数字に関しては政府機関の閉鎖がデータ収集作業に影響した可能性も指摘されている。今回の12月の小売売上高統計は、1月25日まで35日間続いた政府機関の一部閉鎖の影響で遅れて発表されたが、集計作業についてもこれまで通りに行われていたのかという疑問も残ろう。

 このため今回の米小売売上高は、念のための参考数値として捉え、今後発表される経済指標を確認した上で、昨年末の景気動向を探る必要はある。

 しかし、日本の10~12月期GDPをみても、外需がマイナスとなっていたことは確かであり、米中の貿易摩擦の影響もあって、世界経済の牽引役となっていた米国や中国の景気が急速に後退してきた可能性はある。欧州の景気後退は言わずもがなとなっている。

 米国株式市場はこういった景気減速の懸念はあれど、米中貿易交渉の進展への期待や米政府機関の再閉鎖の回避への期待で買い戻されていた。しかし、米中貿易摩擦が完全に解決されるようなことはなく、あくまで妥協点の探り合いとなることも予想される。米政府機関の再閉鎖はなくなったとしても、議会とトランプ大統領の対立は続こう。そもそもトランプ大統領そのものがすでに金融市場のリスク要因となっている。FRBが利上げを停止したところで、あくまで金融市場は一時的に好感はしても、それが実態経済に与える影響については不透明である。

 金融市場を取り巻く地合が12月の小売売上高をきっかけに大きく変化してくるのかどうかもいまのところ不透明ながら、あらためて米国を主体とした景気動向が注目されよう。


by nihonkokusai | 2019-02-18 09:37 | 景気物価動向 | Comments(0)

日本の景気回復のためにはマイナス金利政策の解除も必要に

 中国や欧州の経済指標などをみると昨年は景気の減速感が強まった。中国国家統計局が発表した2018年の国内総生産は、物価変動の影響を除いた実質で前年比6.6%増となり、天安門事件の影響で経済が落ち込んだ1990年の3.9%増以来、28年ぶりの低水準となっていた。欧州連合(EU)の欧州委員会がユーロ圏の2019年の成長見通しを引き下げ、イングランド銀行も英国の経済成長見通しを引き下げた。

 いわゆる循環的な景気減速との見方が強いものの、米中の貿易摩擦といった政治的な要因も絡んでいる。米中の貿易摩擦の背景には、米中のハイテク分野などを含む覇権争いがあり、これは米国経済を牽引してきたアップルなどのIT企業にも影響を与えることになる。

 中国や欧州、さらに米国の景気が減速となれば、当然ながら日本の景気動向にも大きな足かせとなろう。2013年あたりからの日本の景気回復は、アベノミクスが成果を挙げたというよりも百年に一度と言われた世界的な金融経済リスクの後退と、それに伴う円高調整、そして世界的な景気の回復が大きく寄与した。

 日銀の異次元緩和政策は急激な円高調整には多少は寄与したかもしれないが、結果として物価目標が達成できなかったように、実質的な効果には疑問符が付く。しかし、物価目標が未達となったことで日銀は現在、長短金利操作付き量的質的緩和政策という複合的な緩和策を行っている。

 しかし、のちほど加えられたマイナス金利政策と長期金利コントロールは金融機関の収益を悪化させることになる。大手金融機関は多少余力があったとしても、中小金融機関にとってはマイナス金利が継続され続けると収益がさらに悪化しかねない、いわゆる異次元緩和の副作用が今後は顕在化しかねない。

 日銀の緩和効果は膨大に膨れあがった日銀の買入資産の保有によるものを考慮すれば良いと思われ、マイナス金利や長期金利のコントロールによる影響はほとんどないと見て良いのではなかろうか。むしろ金融機関の収益悪化が日本経済の減速要因ともなりかねず、将来の金融不安が生じるリスクすら伴うものとなる。

 このあたりの認識を強めさせることで、日銀の出口政策とか引き締め策ではなく、日本の景気回復の後押しともなりうるマイナス金利政策の解除と、できれば長期金利コントロールの解除を目指すことが必要となるのではなかろうか。

 これ以上の日銀のポートフォリオの膨張もブレーキを掛け、巨額のポートフォリオを長期間にわたり維持させることで、緩和効果の継続をアピールするといったことも必要になってくるのではなかろうか。


by nihonkokusai | 2019-02-16 11:06 | 日銀 | Comments(0)

投資詐欺にだまされないための必要最低限の金融知識

 うその投資話を持ちかけ、愛知県の男性などから6000万円余りをだまし取ったとして、千葉市の会社の会長らが逮捕されたと、NHKなどが報じた。警察によると、この会社は全国の1万数千人から450億円余りを集めていたことから、実態の解明を進めることにしているそうである。

 この手の金融に絡んだ詐欺事件は繰り返し起きている。この要因としては日本人の金融リテラシーが足りないからとの意見もあるが、金融そのものに関心のない人も多いとみられ、そのために時間やお金も掛けられないとの現状もあるかもしれない。

 日々の株価や為替の動向には多少関心はあっても、たとえば金利の動きとか日銀の金融政策あたりになると、それに関心を持つ人は極端に少ない気がする。現在の日銀の金融政策は何と呼ばれるのかという問いに正確に答えられる人はどのくらいいるであろうか。答えは「長短金利操作付き量的・質的緩和」であるが、それがいったい何であるのかを正確に理解している人もそれほど多くはないのではなかろうか。私もその効果については理解はしていないが。

 我々に高度な金融教育が本当に必要なのかどうかはわからない。ただし、大事なお金を守るためには、このような詐欺に遭わないための必要最低限度の知識は必要であろう。

 お金の運用にはハイリスク・ハイリターンという言葉がある。高い収益を求めるためには、より高いリスクを覚悟する必要がある。つまり大きな損失も覚悟の上で、投資等を行わないと大きな利益を得るチャンスは得られない。

 あたり前だろうと言われるかもしれないが、このことをしっかり頭に入れておけば、投資詐欺などに遭うことはない。高いリスクに晒されずに、得られる安定したリターンはどのぐらいなのか、それは例えば、国債の利回りであり、預貯金の利子となる。

 それらが日銀の金融政策や物価の低迷であまりに低くなってしまっているから、より高い収益を期待してしまうというのはわからなくもない。しかし、少なくとも国債などの利回りより、高い利回りが提示されているものについては、リスクがあることを念頭に置く必要がある。しかも、そのリスクの内容(投資先や発行体のリスクなど)をしっかり把握できていなければ、それに投資すべきではないと考えておく必要がある。

 念のため、現在は10年国債の利回りあたりまでマイナスとなっているが、個人向け国債は0.05%の最低保証利子があり、0.05%あたりを基準に考えてほしい。

 何も投資商品を全否定するつもりはない。投資信託など含めて、その運用リスクをある程度把握できているのであれば、損失の危険もあることを念頭に投資すべきなのである。

 儲け話には裏があるのはいついかなる時もそうである。今回の詐欺グループのような口車に乗っかって、この人であれば社会に貢献しながら利益も得てくれると思い込むのは勝手であるが、それがどれだけ難しいものであるのかは、お金を運用してみるとわかる。もしリスクとリターンの関係を試したいのであれば、現物株などを購入してみると良いかもしれない。金融商品で安定的に儲けるのは容易ではない。それはプロであっても同様である。


by nihonkokusai | 2019-02-15 09:58 | 投資 | Comments(0)

キャッシュレス化の拡大を睨んだSuicaの改革への期待と問題点

 「JR東日本の深沢祐二社長は6日までに産経新聞のインタビューに応じ、同社が展開する交通系ICカード「SUICA(スイカ)」で、現状よりも導入費用を大幅に軽減する簡易版の新システムを早ければ来年度中にも導入する方針を明らかにした。」(2月6日付産経新聞)。

 簡易版の新システムとは何か。SuicaはnanacoやWAONなどスーパー系の電子カードやEdy、iDなどと同様にソニーが開発した通信技術FeliCa(フェリカ)を採用している。さらにSUICAは首都圏の混雑する改札でも瞬時に機能できるよう、高度な技術が使われている。

 SUICAのカードそのものにも一定の情報が蓄積されているが、そのデータを改札で読み書きする端末の機能が高度なものとなっている。そこである程度蓄積されたデータが中央のコンピュータで処理される。つまり直接、SUICAのカードと中央のコンピュータが繋がっているわけではなく、いわゆる分散型のシステムとなっている。これによって高速な処理を可能とするとともに、大規模な障害発生を防いでいる。実際にSUICAで大規模障害が発生し、使えなくなったといったことはあまり聞いたことがない。

 しかし、端末が高性能なあまり、金額も高くなってしまうため、大量の乗り降りがない駅では採算を考えると導入が難しくなる。このため、都市圏以外ではJR東日本の駅でSUICAの端末が導入されていない駅もある。

 このため「クラウド技術を使い、端末側で情報を持たないシステムにすることで、導入する際のコストを引き下げる」(深沢祐二社長)という「簡易版」を導入することで、管内全域での導入を図るとか。

 また、地方のバスなど地域交通事業者向けに、運賃支払い用のICカードにスイカ決済の機能を搭載する「地域連携ICカード」の開発を表明している(産経新聞)。

 この簡易版が一般店舗やタクシーなどでも利用できるのかは、記事では触れていないものの、鉄道以外での利用が広がる可能性もあるか。

 ただし、鉄道での利用についても、首都圏ではSUICAとPASMOの相互利用はできても、他の「Kitaca」、「TOICA」、「ICOCA、」、「SUGOCA」、「PASMO」、「manaca」、「PiTaPa」、「はやかけん」、「nimoca」などの相互利用は現在できない。これは路線の組み合わせが複雑すぎることで、システムの構築がなかなか難しいことが要因となっているようである。ただし、こちらも「地域連携ICカード」として発行の動きもある。


by nihonkokusai | 2019-02-14 10:12 | キャッシュレス | Comments(0)

日銀は国債買入を減額、来年度の国債発行額の減額を睨んだ動きか

 12日の日銀による国債買入で、残存10年超25年以下の買入額をこれまでの2000億円から1800億円に減額した。残存25年超は500億円のまま据え置かれた。

 いずれ減額はあるだろうとの予想はあったが、このタイミングというのはややサプライズとなった。これによる債券市場への影響は限定的とみられる。12日の債券先物は16銭安の152円67銭の安値引けとなったが、値動きを見る限り、これは円安による株高などの影響とともに、ここにきて買い進まれていたことによる反動という側面が大きかったとみている。

 日銀の金融政策は現在、量から従来の金利に戻しているが、金融政策決定会合における公表文では下記の表現を残している。

 「買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。」

 しかし、80兆円という数字そのものは有名無実化しており、「弾力的な買入れを実施する」ということが重視されている。

 財務省の来年度の国債発行計画では2年、5年、10年、20年の国債発行額をそれぞれ1.2兆円ずつ減額する予定となっている。これに合わせて日銀は国債の買入額も需給バランスを睨んで減額する方向で検討しているとみられ、今回の減額もその一環か。

 ここにきて長期金利が低下していたことも減額がしやすい状況になっていた。8日に10年債利回りはマイナス0.035%に低下し、超長期と呼ばれる20年債、30年債、40年債の国債利回りも大きく低下していた。

 債券相場の過熱感を冷やすというより、このタイミングでの200億円程度の減額は、債券市場を取り巻く地合が良かったこともあり、市場参加者にさほど動揺を与えないとの読みも働いたのではなかろうか。

 最近の国債利回りの低下は、欧州や中国などを主体とした世界的な景気減速が背景となっている。FRBは利上げを停止した可能性があり、ECBも年内利上げは難しくなりつつある。このような環境下、日銀としてはある程度の緩和の修正も睨んでいた可能性があったが、それも難しくなりつつある。今回の量の調整はあくまで国債の需給を睨んだもので、そういった調整の一環ではない。しかし、本来であれば、金融機関の収益を圧迫し景気への悪影響ともなりうるマイナス金利の撤廃など模索すべきと考えるが、いまの政治を含めた情勢下ではなかなか困難な状況にある。


by nihonkokusai | 2019-02-13 09:48 | 国債 | Comments(0)

PayPayは本日より第二弾100億円キャンペーンを開始、日本でのキャッシュレス決済の行方

 PayPayはモバイル決済サービス「PayPay」の支払額の最大20%をPayPayの残高として還元する「第2弾100億円キャンペーン」を2月12日から5月31日まで行うと発表した。銀行口座を登録するなどしてPayPayの残高で支払う場合、還元率が20%になる。Yahoo! JAPANカードの場合は19%、その他のクレジットカードの場合は10%。いずれも還元額の上限は1回当たり1000円にする。キャンペーン期間中に還元を受けられる総額は5万円まで。

 第一弾と比較して、還元額の上限や還元を受けられる総額に制限を加えることにより、一度に高額商品を購入して還元を受けるのではなく、小額利用の頻度を上げることで還元を得られるような仕組みとなっている。

 QRコード決済やICカードによる決済は、比較的少額での取引に使われることが多いとみられる。1万円を超すものはクレジットカードの利用が今後も多いのではなかろうか。

 PayPayによるキャンペーンなどはQRコード決済の認知度を広めることに寄与しよう。比較的若い世代でのQRコード決済の拡大も望めるものと考えられる。しかし、QRコード決済が日本国内で定着するのかといえば、まだハードルは高いと思われる。

 まったくキャッシュレス決済が行われていないのであれば、QRコード決済が一気に拡大する可能性はある。しかし、日本国内でのキャッシュレス決済は普通に行われている。通勤電車を利用している人は最低でも1枚は交通系の電子カードを保有していよう。スーパーやコンビニが発行する電子カードを持っている人も多いはずである。

 そこにQRコード決済が果たしてどこまで食い込めるのか。もし何かしらのQRコード決済のシェアが大きくなれば、使い勝手の良いものが一気に普及するかもしれない。ただし、高齢者などの電子カードによる決済の使用頻度が高くなっているように、スマートフォンでの決済について現状では高齢者の利用を見込みづらいことが難点となる。

 現在のところ、電子マネーなどのカードをたくさん持ち歩く必要はあるものの、これを統一しないとどうにも不便という状況にもない。それでもキャッシュレスが進んでいるとされる中国やスウェーデンなどと同様にある程度、統一された決済が望まれることも確かである。

 日本は地震などの自然災害も大きいことから、非常用も意識しての一定額の現金の保有は必要なものとなり、ある程度の現金決済は残るものと考えられる。



by nihonkokusai | 2019-02-12 10:06 | キャッシュレス | Comments(0)

2008年のリーマン・ショック後の日銀の対応

 日銀は1月29日に2008年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公表した。特にリーマン・ショックを受けて、どのような議論が決定会合でなされ、どのような対策が講じられていったのか興味深い内容となっていた。

 サブプライムローン問題を契機に始まった金融混乱は、2008年秋以降、未曾有の世界的な金融経済危機へと発展していった。2008年9月15日のリーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに、カウンターパーティ・リスクに対する市場参加者の警戒感が高まった。

 9月16、17日に開催された日銀の金融政策決定会合の議事録によると、中曽金融市場局長(当時)から、「全くフェーズが変わってしまったので」との発言があり、情勢が大きく変わったことで資料が差し替えられた様子が窺える。議事録では当時の差し迫った状況が見て取れるが、一部、固有名詞が空白となっている部分があり、国内銀行あたりの固有名詞はさすがに議事録でも伏せられていたようである。

 かなり危機的状況となっているなか、議事録を読むとなかなか踏み込んだ議論が行われていたことがわかる。決定会合がたまたまリーマン破綻直後ということで、その影響が大きなものであるのは理解されていても、その影響がどの程度あるのかが、まだ読み切れない段階での議論だけに、ある意味興味深い。

 16日にはFOMCも開催されており、全員一致で政策金利を2%に据え置く事を決定している。リーマン破綻による金融市場の混乱などから、利下げを期待する声もあったが、FRBは今回の金融市場の混乱に対しては大規模な資金供給で対処した。

 17日の日銀金融政策決定会合でも全員一致での現状維持が決定されていた。しかし、その後、事態はさらに悪化することになる。金融と実体経済間の負の相乗作用が強まり、景況感は急激に悪化。先進国経済だけでなく、これまで比較的堅調に推移してきた新興国経済にも影響が及び、その影響は世界各国に同時にかつ急速に広がるという異常事態となり、日本経済も大きな打撃を受けた。

 10月8日に欧米の中央銀行に加え一部新興国も含め、10の中央銀行が同時に0.5%の緊急利下げを実施したが、この利下げには日銀は加わっていなかった。

 実は10月6、7日に日銀の金融政策決定会合が開催されていた。この議事録を読む限りにおいて、8日の世界同時利下げを示唆するようなコメントはなかった。日銀は0.5%下げるとゼロ金利に戻ることになり、利下げをためらったとの見方もある。10月14日の臨時に開催された金融政策決定会合では利下げではなく新たな市場安定化策を決定した。しかし、10月31日の金融政策決定会合では、0.2%の利下げが提案され、4対4の可否同数となったため議長が決するという事態となったのである。


by nihonkokusai | 2019-02-11 15:14 | 日銀 | Comments(0)

欧州の景気低迷などから、株式市場はゴルディロックス相場(適温相場)が終焉か

 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は7日、イタリアやドイツをはじめ域内主要国の経済成長率予想を軒並み下方修正した。今年のユーロ圏経済の成長率を1.3%の予想とし、昨年11月時点の1.9%の予想から下方修正した。また、2020年の成長率予想も1.6%と従来の1.7%から下方修正された(ブルームバーグの記事より)。

 イタリアでの政治上の問題やそれに絡んでの財政悪化、フランスではデモ隊による抗議運動が続いている。ここにきて今度はイタリアとフランスの関係が悪化しつつある。ドイツでは自動車産業が規制変更により回復が遅れているとされている。また米中の貿易摩擦も絡んでの中国の景気減速など外部要因による影響も出ているとみられる。

 欧州委員会は今年のユーロ圏のインフレ見通しも1.4%と従来の1.8%から引き下げた。欧州の中央銀行のECBは、夏以降の利上げの可能性を探っていたとみられるが、ユーロ圏の経済・物価動向が改善しない限り、年内の利上げは難しい。FRBの利上げ停止観測なども影響を与えそうである。

 7日に英国の中央銀行であるイングランド銀行は、金融政策を決めるMPCで政策金利を年0.75%で据え置くことを決定した。同時に公表した四半期インフレ報告では、2019~20年の経済成長見通しを下方修正した。

 英国ではEU離脱の行方が不透明となっていることで、これも英国経済の足かせとなっており、欧州の景気動向にも影響を与えているようである。

 これまで米国を中心として、ほどよい景気回復が続き、株式市場も景気が過熱も冷え込みもしない適度な状況にあるゴルディロックス相場と呼ばれる状態が続いていた。それが昨年あたりから変調を来すようになってきた。

 米中の貿易摩擦が中国の景気をさらに悪化させ、それが米国や欧州にも跳ね返ってきた。英国やフランス、イタリアでは国内で問題を抱えていたが、それがあらためて表面化してきた。ドイツもすでに盤石とはいえない。

 今後は世界的な景気の低迷が意識されるとみられ、株式市場では急落はなくても、反ゴルディロックス相場のような状況になる可能性がある。これは当然ながらも日本経済にも影響を与えるものと思われる。


by nihonkokusai | 2019-02-09 10:35 | 国際情勢 | Comments(0)
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