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日銀の指し値オペ水準が0.10%と0.11%から修正され、14時にオファーされた理由

 7月27日の14時に日銀は固定利回り方式による買い入れ(指し値オペ)をオファーした。固定利回り方式による残存期間5年超10年以下の固定利回較差は0.015%。この結果、10年利付国債351回の買入利回りは、0.100%となる。

 一応、指し値オペが入った段階で日銀のサイトのオペレーション(日次公表分)で上記の内容を確認していた。しかし、ざっと目を通して、すぐに次週の予想などを書く仕事に移ってしまい、小さいながらも大きな修正に気がつくのが少し遅れてしまった。

 これまでの指し値オペの10年債カレント利回りに引き直した水準は0.110%であったのに、今回は0.100%と0.01%引き下がっていたのである。

 23日に10年債利回りが0.090%まで上昇していた際に日銀は10時10分に10年債カレントの0.110%で指し値オペをオファーした。0.110%以上に上昇していたわけではないので、いわゆる空砲となったが、ここで利回り上昇を抑制する姿勢を示した。

 市場では20日の時事とロイターの報道で、日銀は異次元緩和を継続させるために、副作用の軽減のため、債券市場の機能の回復、金融機関の収益を考慮した対応を検討するとの観測が強まっていた。債券市場の機能回復としては、長期金利の操作目標の柔軟化、つまりは指し値オペの0.100%という水準の0.200%あたりへの引き上げが予想される。

 そのため23日にはいきなり債券市場が息を吹き返して、10年債利回りが0.1%近くに上昇したわけではあるが、日銀としてはあくまで30、31日の決定会合での検討事項であるため、それを前に金利引き上げを容認と捉えられる姿勢を見せることはできない。そのための23日の指し値オペと思われた。

 ところが27日の前場、10年債利回りは0.100%に上昇していたにもかかわらず、日銀は指し値オペをオファーしなかった。もちろん0.110%に達していたわけではないので、いったん様子を見たのとの見方もできる。10年債利回りはその後0.105%に上昇し、0.110%を試すような動きとなった。

 指し値オペは臨時でも打てる。12時の可能性もあったが、結局後場での定例時間といえる14時というタイミングで打ってきた。打ってきたこと自体は、23日と時間は違えど同様に31日以前の0.110%以上の上昇は容認しないとの姿勢を示したとみていた。ところが、指し値オペの水準が0.110%から0.100%に引き下げられていたのである。

 0.110%は固定されたものでなく可変であり、柔軟に修正できることを引き下げるかたちで示した。このタイミングでいきなり指し値オペの水準を引き上げると市場へのインパクは大きく、日銀は何をしているのかとなってしまうが、引き下げる分にはインパクトは大きくない。しかし、これにより指し値オペの水準を修正しうることがあると市場に示した。0.110%はあくまで、たまたまそうなってしまったもので、その水準に意味があるものではない。

 30日に10時10分に指し値オペはなかったこともあり、10年債利回りは0.105%に上昇し、後場に入り0.110%に上昇した。これを受けて日銀はやはり14時に指し値オペを0.100%でオファーした。27日の指し値オペは940億円の応札・落札額となったが(指し値オペは全額落札される)、30日は1兆6403億円もの応札・落札額となり、市場参加者が長期金利の操作目標の柔軟化に備えていることが窺えた。

 これにより指し値オペでの下方修正ではなく上方修正の可能性を市場にも示したことになる。30、31日の決定会合で長期金利のゼロ%程度との表現は変えずとも、異次元緩和の副作用を意識した柔軟化対応を検討し、ゼロ%程度の範囲内での長期金利の上昇を容認してくる姿勢を示すことが予想される。

 決定会合の終了時間は昼過ぎになると予想される。23日の指し値オペが10時10分であったものが、27日と30日は14時となっていたのは、31日の金融政策決定会合を踏まえ、指し値オペをする可能性の時間は決定会合後の14時である可能性を示したものであったのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2018-07-31 09:34 | 日銀 | Comments(0)

家計保有の投信の金額が30兆円以上も過大計上されていた

 日銀が四半期毎に発表している資金循環統計において、家計が保有する投資信託の金額が統計作成時の誤りで30兆円以上も過大計上されていた。

 これについては自分でも何故、すぐに大きな数字の変化に気がつかなかったのかと反省している。四半期毎の資金循環統計の発表があると毎回、その数字を基にして国債の投資家別の保有状況を算出している。これに関するコラムを書く際には、個人の金融資産についても毎回触れている。今年の3月と6月に私がコラムにアップしたものを比較してみたい。

 今年3月、「日銀は3月19日に資金循環統計(10~12月期速報値)を発表した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.5%増の約961兆円となった。株式等が同17.3%増の約211兆円、投資信託も13.1%増の約109兆円となっていた。」

 今年6月、「日銀は6月20日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.3%増の約961兆円となった。株式等が同11.7%増の約199兆円、投資信託も1.4%増の約73兆円となっていた。」

 明らかに投資信託の数字がおかしい。3月の数字から36兆円も減少していたのである。なぜ、これに気がつかなかったのかという反省はひとまず置いて、いったい何か起きていたのか。

 資金循環統計では年1回調査方法を見直す改定を行っており、今年6月下旬発表分の改定値を算出する際に過剰計上が見つかったとされる。この改訂により、2017年12月末の家計の投信保有額が、改定前の109.1兆円から約33兆円少ない76.4兆円に修正されたのである。

 家計の保有額は投信の総額から、金融機関など他部門の保有額を差し引くことで算出しているそうで、日銀が改定作業を行う際、ゆうちょ銀の保有分でこれまで「外国債券」としていた資産の一部が実は「投信」だったことが判明。改定後はその分だけ金融機関の投信保有額が膨らみ、逆に家計保有分は減額された(毎日新聞)。

 これにより、個人金融資産に占める投信の割合も修正され、2017年は4.1%となり、改定前の5.8%に比べ大きく低下した。家計保有の投信が数字上からは増加していたことで、「貯蓄から投資へ」が進行していたとの見方もあったが、現実にはそれほど進んではいなかった。

 それと注意すべきは、少なくとも30兆円以上の投資信託をゆうちょ銀行が保有しているという点にもある。ゆうちょ銀行が含まれる中小企業金融機関等の投信保有額は6月末で47兆円規模となっていた。


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by nihonkokusai | 2018-07-30 10:04 | 金融 | Comments(0)

ECBの正常化プロセスに変化なし

 ECBは26日の政策理事会で、現在の金融政策の現状維持を決定した。中銀預金金利をマイナス0.4%、リファイナンスオペの最低応札金利をゼロ%、限界貸出金利をプラス0.25%で据え置いた。

 月額300億ユーロの資産買入を9月末まで続けた後、10月から月額を150億ユーロに減らし、年末には購入を終了することも再確認した。さらに「少なくとも2019年の夏の終わりまで」現在の政策金利を維持し、満期償還金の再投資も継続されることもあらためて表明した。

 ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏域内のインフレ率がECBの目標である2%に向かい上昇することに自信を示しつつも、関税や貿易障壁が成長を阻害する恐れがあるとの認識を示した(ロイター)。

 これを受けて外為市場では、ユーロがドルに対して下落した。ECBの出口戦略が極めて慎重であることから、正常化に向けて淡々と駒を進めるFRBの政策との違いも意識されたようである。

 ドラギ総裁は会見で、「ECBは為替レートを政策目標にしていないと、これまでに何度か言明している」と発言した。これは欧州連合(EU)と中国が為替を操作していると批判したトランプ大統領に向けての発言かとみられる。

 ただし、トランプ大統領は25日、訪米中のジャンクロード・ユンケル欧州委員長との会談後、関税引き下げに向け欧州連合(EU)と協力することで合意したと述べた。これにより、ひとまず米国とEUの貿易摩擦拡大懸念は後退している。

 いまのところ慎重ながらも、ECBの出口に向けてのスケジュールは予定通りに実施される見込みが高いとみている。

 日銀は30、31日の金融政策決定会合で、低下した日本の債券市場の機能を回復させるための手段を何かしら講じると予想されている。しかしこれは出口に向けての一歩ではない。現在の異次元緩和策を今後も続けるための微調整と言える。

 慎重といえどもECBが出口政策を講じようとしているなか、平時にも関わらず強力な金融緩和策を押し進める日銀との姿勢の違いも今後は顕著になってくるものと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-07-29 14:13 | 中央銀行 | Comments(0)

日銀の緩和策の柔軟化の内容を予想してみた

 7月20日の夜に時事通信とロイターが、金融緩和の持続性向上策として長期金利目標の柔軟化などを検討していると伝えた。これを受けて日銀は本当に柔軟化を検討するのか、検討するとすればどのような柔軟化になるのか、いろいろと憶測も飛んでいた。

 今回の件については、やはり日銀の関係者が明らかにしたという時事とロイターの記事から探る必要がある。

 今回検討されるという柔軟化は出口に向けた動きではない。金融緩和政策の長期化が避けられない情勢の中で、金融仲介機能や市場機能の低下といった副作用の強まりに配慮したものとなる。

 金融仲介機能などを意識するとすれば、マイナス金利の撤廃が手っ取り早いものの、それは利上げとも受け取られかねないので、これはないとみている。

 現在の日銀の緩和策の大枠を修正しないかたちで、金融仲介機能や市場機能の低下などの副作用を軽減化させる手段として考えられるのは、ひとつは長期金利コントロールの柔軟化となる。

 日銀が指し値オペを0.11%で打ってきたことで、長期金利の0.11%以上の上昇は容認しないという姿勢を日銀は示していた。しかし、0.11%というのはたまたまそうなってしまったものである。日銀は決定会合の公表文では「10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う」としている。問題はこの「程度」となろう。大雑把となってしまうが、四捨五入してゼロ%というのであれば、プラス0.5%未満であれば、ゼロ%程度との見方も可能となる。

 今回の微調整はこの文面などの修正は行わず、0.11%という水準で常にストップを掛けるというのではなく、債券市場の需給動向などに配慮して、ゼロ%程度の範囲内で、ある程度の長期金利の上昇も容認するという姿勢を示すのではなかろうか。

 そしてもうひとつ、ETFなどの買入の柔軟化についても考えられる。こちらも公表文の「ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。」との表現もそのまま残すのではなかろうか。

 ただし、ETFをきっかり6兆円購入するのではなく、国債買入でもすでに80兆円という数字が形骸化しているように、数字そのものにはこだわらず、これまでに比べてペースを落とすことも検討すると思われる。これは社債の買入などにも適用されるのではなかろうか。

 日銀はすでに金融政策の政策目標を「量」から「金利」に戻しており、このため国債買入もペースダウンしている。これをETF等にも適用させるということになるのではなかろうか。

 現在の政策を続けるための、金融仲介機能や市場機能の低下という副作用の軽減策であるのであれば、合わせ技としてのマイナス金利の深掘りなどは考えづらい。また、金利のコントロールを10年から、たとえば5年に変更するということも、長期金利という表現がおかしくなる。1年以上の金利を長期金利とも呼ぶが、通常は10年債カレントの利回りを長期金利と称するし、日銀も10年債利回りを想定していることも確かである。


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by nihonkokusai | 2018-07-27 09:57 | 日銀 | Comments(0)

6月の公社債売買高より投資家動向を探る

 7月20日に日本証券業協会は6月の公社債投資家別売買高を発表した。この6月分から発表の形式が変わった。日本証券業協会によると新たに、国債以外についても、投資家別の売買状況を発表することとし、「公社債種類別店頭売買高」、「公社債投資家別売買高」、「国債投資家別売買高」を「公社債店頭売買高」に統合している。

 統合されたものから、いままでみていた現先と短期債を除いた一般売買での数値を確認してみたい。これは日本証券業協会のサイトにアップされた「公社債店頭売買高」のExcelファイルの「(K)一般差引」の2016年6月分の数字から、国債の国庫短期証券を除くことによって数字が得られる。

 これによると短期債を除いた数値で、都銀は9678億円の売り越しとなっていた。国債の内訳でみると都銀は、中期債は5633億円売り越し、長期債も4065億円の売り越しとなっていた。

 これに対して海外投資家は2兆2653億円の買い越しとなり、最大の買い越し主体となっていた。海外投資家は中期債を1兆2495億円買い越し、長期債を7182億円買い越し、超長期債を2173億円買い越していた。

 生保・損保は3050億円の買い越し。「その他」は1兆8871億円の売り越しとなっていた。

 6月の債券相場は上旬は下落トレンドとなり、下旬は戻り基調となり、いわゆる行ってこいのような展開となっていた。方向感に乏しい展開となり、現物債の商いも低迷し、債券先物は値幅が10銭に満たない日も多くなっていた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 9678(100、4065、5633)

地方銀行 150(-207、527、10)

信託銀行 -310(-1750、-784、1795)

農林系金融機関 -1165(-1243、-16、579

) 第二地銀協加盟行 354(186、-62、90)

信用金庫 -965(77、350、0)

その他金融機関 -1354(48、114、-510)

生保・損保 -3050(-2854、539、176)

投資信託 -1263(-649、110、-4)

官公庁共済組合 33(110、-46、0)

事業法人 -1495(48、-219、-10)

その他法人 -1137(-48、-194、-133)

外国人 -22653(-2173、-7182、-12495)

個人 260(1、116、7)

その他 18871(5884、-857、17949)

債券ディーラー 523(-130、647、58)


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by nihonkokusai | 2018-07-27 09:56 | 債券市場 | Comments(0)

日銀の緩和柔軟化策による株式市場などへの影響

 20日の夜に日銀が長期金利目標などの柔軟化を検討していると報じられたことで、日本の債券市場を中心に激震が走った格好となった。

 週明け23日の日本の債券市場では、10年債利回りが0.090%まで上昇した。0.1%を超えることはなかったものの、日銀は予報策として指し値オペを通達した。0.11%を試してからかとみていたが、その前に日銀は動いて0.11%以上の10年債利回りの上昇は許容しない姿勢を示した。ただし、日銀のコントロールには含まれていない超長期ゾーンの利回りは大きく上昇し、40年債利回りは先週末比0.1%の上昇となった。

 日銀の政策微調整観測報道は外為市場にも影響し、ドル円は大きく下落したが、こちらはトランプ大統領のドル高への批判も大きく影響していたことで、日銀に関する報道だけが影響したわけではない。

 そして、意外にも日本の国債利回りの上昇が、米国や欧州の国債利回りにも影響を与えていた。米10年債利回りはなかなか2.9%台に乗せてこなかったが、23日には2.95%とあっさりと2.9%台に乗せてきた。トランプ大統領がFRBの利上げを牽制したものの、FRBの利上げ継続の姿勢に変化ないとの見方も押し上げ要因となったようだ。ただ、これまでの動きとやや異なるところもあり、日本の影響を受けたことも確かであろう。これにより米10年債利回りは3%が再び視野に入ってきた。

 実際には日銀の緩和策の柔軟化は観測段階であり、決まったものではない。しかし、時事やロイターの報じ方などからみて、そちらの方向に動くであろうとみられる。リフレ派の反対もあろうが、政策委員の多くは異次元緩和の累積的な副作用を懸念していることは確かであり、何かしら手を打つ必要性は感じていたものとみられる。

 それでは実際にETFの買入などを含めた柔軟化政策が、債券市場や株式市場、外為市場にどのような影響を与えるであろうか。機能低下が著しかった債券市場はその機能回復が見込まれる。多少の金利上昇となることで、これは金融機関にとっても好影響を与える。現実にここにきて銀行株などが買われている。

 日本の株式市場は、日銀のETFの買い支えがなければ急落してしまうのであろうか。むろんそのようなことはない。日本の景気が最悪の状態にでもあれば別ではあるが、よりファンダメンタルに即した株価形成がなされ、むしろ歪さが解消に向かう可能性がある。

 外為市場に対しての影響も日本の長期金利が0.3%程度上がる程度で、大きな影響が出るとは思えない。日米の長期金利の差は3%程度ある。たとえ0.2%や0.3%程度日本の長期金利が上がったところで、いわば誤差範疇となる。トランプ大統領が批判してもFRBの利上げは継続するとみられ、日銀の微調整程度では日米金利差が一気に縮小することは考えづらい。金利差という側面からは円高圧力は限られよう。

 FRBが正常化を行い、ECBも正常化に向けて準備をしている。日銀は正常化というよりも現在の政策を副作用を軽減しながら継続するための柔軟化措置を検討している。これにより、例えば新興国市場などにどのような影響を与えるのか。すでに日米欧の中央銀行による非常時対応の過剰な金融緩和策は必要なくなってきており、過剰流動性が後退するのはやむを得ない。それでもFRBも買入資産の縮小には慎重であり、日銀も買入ペースを落とすにしても、資産買入は続けている。ある程度、新興国市場への影響は出るかもしれないが、世界経済に大きな打撃を与えるほどのものではないとみている。

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by nihonkokusai | 2018-07-25 10:01 | 日銀 | Comments(0)

日銀の柔軟化観測の背景を邪推、トランプ大統領の批判をかわすため?

 時事通信は20日夜に「日銀、長期金利目標の柔軟化検討=一定程度の上昇容認-7月末会合で議論」とのタイトルの記事を報じた。さらに、ロイターも20日夜に「日銀が金融緩和の持続性向上策を議論へ、長期金利目標の柔軟化など=関係筋」とのタイトルの記事を報じた。

 これを受けて20日の長期国債先物(債券先物)は、一時150円41銭まで下落した。20日の15時の引けが150円97銭だったことで、50銭を超す下げとなった。これだけ動いたのは今年3月2日の60銭値幅以来となる。

 これは外為市場にも影響し、20日の夜にドル円は112円台半ばから111円台半ばに下落していた。この要因としては米国のトランプ大統領によるドル高牽制発言も影響していた。

 トランプ大統領は20日、ドル高や米連邦準備理事会(FRB)の金融政策をあらためて批判したほか、欧州連合(EU)と中国が為替を操作していると批判した(ロイター)。これによりドルが他通貨に対して全面安となり、ドル円も下落し、そこに上記の日銀に関する記事も重なって、ドル円が大きく下落した格好となった。

 ムニューシン米財務長官は21日、ブエノスアイレスで記者団に対し、対日貿易関係は非常に良好だとしつつ、「さらに均衡が取れた公平な」貿易が必要との認識を示した。また「長期的に強いドルは米国の国益だ」と述べ、ドル高をけん制したと受け止められたトランプ大統領の発言を軌道修正した(時事)。

 トランプ大統領はEUと中国が為替を操作していると批判したが、ここに何故か日本が含まれていなかった。ムニューシン財務長官の発言からも、日本に気配りしているかのような姿勢がうかがえる。

 日銀が異次元緩和の柔軟化検討との報道とトランプ政権が日本に対して直接的な批判をしなかったことに関連があったのかどうかはさておき、20日の夜に報じられたというタイミングはなかなか興味深い。麻生財務大臣と黒田日銀総裁はG20でブエノスアイレスに向かっていた。週末であり、東京市場が開くまで時間もあった。

 ここでもし日銀に対しても、トランプ政権から外圧が掛かるとなれば、アベノミクスを推進した安倍政権も対処に苦慮せざるを得なくなる。日銀が緩和策の柔軟化を視野に入れているとなれば、生保協会長も危惧している国債市場の機能低下を回避するため、さらには米国の動向も睨んだ動きとの見方もできなくはない。

 日本の国債管理を担当している財務省としても懸念を強めているとみられる日本の国債市場の機能低下だけでなく、米国の動向も意識となれば、安倍首相もある程度、日銀の緩和策の軌道修正は容認せざるを得なくなろう。

 21日の日本の債券市場では、10年債カレントの利回りが0.090%まで上昇した。0.1%に届くことはなかったものの、日銀は10時10分の定例オペにおいて、10年債カレントの0.110%の水準で指し値オペを通達した。債券先物の急落もあり、ここでいったんブレーキを掛けさせたようにもみえる。ただし、あくまで時事やロイターの記事は観測記事という形式であり、30日、31日の決定会合でひとまず話し合われるであろうものである。修正が決定されるまでは、イールドカーブコントロールという政策には何ら変更はないことをアピールする狙いもあったのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-07-24 10:13 | 日銀 | Comments(0)

日銀の柔軟化観測の背景を邪推、トランプ大統領の批判をかわすため?

 時事通信は20日夜に「日銀、長期金利目標の柔軟化検討=一定程度の上昇容認-7月末会合で議論」とのタイトルの記事を報じた。さらに、ロイターも20日夜に「日銀が金融緩和の持続性向上策を議論へ、長期金利目標の柔軟化など=関係筋」とのタイトルの記事を報じた。

 これを受けて20日の長期国債先物(債券先物)は、一時150円41銭まで下落した。20日の15時の引けが150円97銭だったことで、50銭を超す下げとなった。これだけ動いたのは今年3月2日の60銭値幅以来となる。

 これは外為市場にも影響し、20日の夜にドル円は112円台半ばから111円台半ばに下落していた。この要因としては米国のトランプ大統領によるドル高牽制発言も影響していた。

 トランプ大統領は20日、ドル高や米連邦準備理事会(FRB)の金融政策をあらためて批判したほか、欧州連合(EU)と中国が為替を操作していると批判した(ロイター)。これによりドルが他通貨に対して全面安となり、ドル円も下落し、そこに上記の日銀に関する記事も重なって、ドル円が大きく下落した格好となった。

 ムニューシン米財務長官は21日、ブエノスアイレスで記者団に対し、対日貿易関係は非常に良好だとしつつ、「さらに均衡が取れた公平な」貿易が必要との認識を示した。また「長期的に強いドルは米国の国益だ」と述べ、ドル高をけん制したと受け止められたトランプ大統領の発言を軌道修正した(時事)。

 トランプ大統領はEUと中国が為替を操作していると批判したが、ここに何故か日本が含まれていなかった。ムニューシン財務長官の発言からも、日本に気配りしているかのような姿勢がうかがえる。

 日銀が異次元緩和の柔軟化検討との報道とトランプ政権が日本に対して直接的な批判をしなかったことに関連があったのかどうかはさておき、20日の夜に報じられたというタイミングはなかなか興味深い。麻生財務大臣と黒田日銀総裁はG20でブエノスアイレスに向かっていた。週末であり、東京市場が開くまで時間もあった。

 ここでもし日銀に対しても、トランプ政権から外圧が掛かるとなれば、アベノミクスを推進した安倍政権も対処に苦慮せざるを得なくなる。日銀が緩和策の柔軟化を視野に入れているとなれば、生保協会長も危惧している国債市場の機能低下を回避するため、さらには米国の動向も睨んだ動きとの見方もできなくはない。

 日本の国債管理を担当している財務省としても懸念を強めているとみられる日本の国債市場の機能低下だけでなく、米国の動向も意識となれば、安倍首相もある程度、日銀の緩和策の軌道修正は容認せざるを得なくなろう。

 21日の日本の債券市場では、10年債カレントの利回りが0.090%まで上昇した。0.1%に届くことはなかったものの、日銀は10時10分の定例オペにおいて、10年債カレントの0.110%の水準で指し値オペを通達した。債券先物の急落もあり、ここでいったんブレーキを掛けさせたようにもみえる。ただし、あくまで時事やロイターの記事は観測記事という形式であり、30日、31日の決定会合でひとまず話し合われるであろうものである。修正が決定されるまでは、イールドカーブコントロールという政策には何ら変更はないことをアピールする狙いもあったのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-07-24 10:13 | 日銀 | Comments(0)

債券市場の機能をさらに低下させたきっかけとは

 債券市場の機能低下は今年に入り顕著に現れている。今年に入り、日本相互証券で10年債の直近発行された国債(カレント物)が出合わなかった日が3月13日、5月28日、同31日、6月11日、同13日、7月4日とすでに6回あった。これまでの年間の最多回数2回であり、これをすでに上回っている。2年債と5年債のカレントに至っては、出合わない日が普通になりつつある。

 債券先物もここにきての値幅は5銭前後が多く、10銭を超える日がほとんどなくなってきている。なぜ債券市場はこのように急激に機能が低下してしまったのであろうか。

 その背景には日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策がある。日銀が年間の新規国債の発行額を国債買入でほぼ吸い上げ、流動玉が枯渇している。さらに長期金利コントロールによって、10年債利回りがほぼゼロに抑え込まれ、動く余地がほとんどなくなってきている。

 5月から始まったT+1と呼ばれる国債の約定日から決済日までの間が1営業日に短縮されたことも影響している。国債の入札日の翌営業日には日銀が新発債をオペで買いにくる。利払い月も10年債などはT+1となり、期間リスクが後退し、債券先物はヘッジ機能も失いつつある。

 しかし、その債券先物も今年の3月2日には60銭も動いていた。正確に言うと日中、高値から60銭下落した。10年債利回りでも0.040%から0.080%に上昇するなど波乱含みの展開となっていたが、この日の債券先物の急変が、それ以降の債券市場の動きを鈍くさせたとは言えまいか。

 3月2日の債券下落のきっかけとなったのが、日銀の黒田総裁は衆院の所信聴取である。「2019年度ごろ出口を検討していること間違いない」と発言したことが伝わり、これを受けて債券先物は一気に下落した。ただし、これは想定通りに物価が上昇していればの話であった。ところが「金融緩和や引き締めは、無限に続くわけではない」との発言もその前にあったこともあり、海外ヘッジファンドなどが仕掛け売りを入れたか、「黒田」、「出口」という単語にコンピュータ使った自動取引、いわゆるHFTが反応したのではないかともされた。

 いずれにしても海外投資家が債券先物で仕掛け的な動きを見せた可能性は高い。結局はこのショートも買い戻せざるを得なかった。これを機会に海外投資家による仕掛け的な動きは影を潜めた。まったく参入していないわけではないかもしれないが、海外の短期筋が日本の債券先物からいったん手を引いた感もあり、それ以降、相場がさらに膠着し、現物債の売買も低迷ししてまったように思える。


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by nihonkokusai | 2018-07-23 09:27 | 債券市場 | Comments(0)

トランプ大統領がFRBの利上げを牽制?

 米国のトランプ大統領は19日、CNBCテレビのインタビューで、中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が進める利上げ方針に「必ずしも同意しない。感心しない」と発言、追加引き上げをけん制した(時事通信)。

 「我々の通貨は上昇している。それは我々を不利な状況に置いている」として、利上げ継続を背景にしたドル高の動きに不満を表明した(日経新聞電子版)。

 米国の景気拡大が継続していること背景にFRBは漸進的な利上げを行っているが、米国の景気拡大を利上げが裏付けているともみえるため、FRBに対して利上げを抑制させるような動きをトランプ大統領が取っていないのとみていたが、そうではないようである。

 たしかに今回のトランプ大統領の発言は、これまでになかったわけではない。利上げは好きではない、ドル安が好ましいと言った発言はこれまでにもみられた。しかし、自ら選んだパウエル議長率いるFRBの利上げに対し、これほどあからさまな表現をしたのは珍しい。

 トランプ大統領は「一般市民だったら言ったであろうことを言ったまで。大統領としては言うべきではないといさめる人もいるだろうが、少しも気にしない」とも発言したそうである(日経新聞電子版)。

 これまで大統領がなぜ金融政策に言及するのを控えていたのかといえば、政治が中央銀行の金融政策に絡むとあまりろくな事がなかったためである。政治家は国民の支持を得たいがために、金融引き締めを嫌い金融緩和を求める。

 過去にもジョンソン政権がウィリアム・マクチェスニーFRB議長に、ニクソン政権がアーサー・バーンズFRB議長に、それぞれ金融緩和政策の採用を迫ったことが1970年代のインフレの要因だとされている(WSJ)。

 ただし、今回のトランプ大統領のFRBの利上げ牽制発言がどれだけ本気で、それが果たしてFRBの政策に影響を与えるのかという点はなかなか微妙なところとなる。

 CNBCによると、ホワイトハウスは同社に対して「大統領は当然、FRBの独立性を尊重している」との見解を示すとともに、「(インタビューでも)FRBの政策決定には干渉しないと話している」と強調した(日経新聞電子版)。

 ちなみにある国の中央銀行は、時の政権から金融政策への牽制どころか、2%の物価目標を迫られた上に、アコードなるものを締結し、大胆な国債買入を主体とした異次元緩和を行っているようである。これでインフレが起きたわけではないものの、禁断の地に踏み込み、大きな歪みを起こしていることは間違いない。


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by nihonkokusai | 2018-07-22 09:18 | 中央銀行 | Comments(0)
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