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日銀による国債買入額の修正の可能性

 今年に入ってからの日銀による国債買入額の修正について、振り返ってみたい。

 1月9日の国債買入において日銀は残存10年超25年以下の買入額を1900億円と前回の2000億円から減額し、残存25年超も800億円と前回までの900億円から減額した。これは市況環境によるものというよりも、2018年度の国債発行計画でこの超長期ゾーンも含めて発行額が減額されるため、早めに手を打ってきたとの見方もできた。

 1月31日の国債買入において日銀は3年超5年以下について前回の3000億円から3300億円に300億円増額した。欧米の長期金利上昇を背景に日本の10年債利回りが0.1%に接近したことにより、この利回り上昇を抑制することが目的で増額したとみられる。

 2月2日の東京市場では欧米の長期金利の上昇を受けて、10年債利回りが0.095%まで上昇し0.1%に接近した。これに対し日銀は国債買入で5年超10年以下を4500億円と400億円増額した上で、指し値オペも10年債のカレントで0.11%の水準でオファーした。

 2月28日に25年超の国債買入額を700億円とし、100億円減額した。債券相場が戻り基調となり、イールドカーブのフラット化が進んでていたことでの修正というのが理由かもしれない。しかし、市場では大手機関投資家の意向があったとではとの観測も出ていた。

 4月27日現在で、日銀による国債買入は残存期間1年超3年以下が2500億円、3年超5年以下が3300億円、5年超10年以下が4500億円、10年超25年以下が1900億円、25年超が700億円となっている。27日に日銀が発表した「当面の長期国債買い入れの運営について」では、5月の1回当たりのオファー額レンジ、買い入れ回数ともに、全ゾーンで4月から据え置かれた。

 新年度入りしたことで、4月から国債の発行額はカレンダーペースで20年債以外は減額されている。日銀はこれに備えていたとみられるが、それでも例えば5年超10年以下は2月2日に増額した4500億円のままとなっており、このゾーンなど主体に今後の需給の逼迫も予想されることで、タイミング次第では今後の減額の可能性はありうるか。

 外為市場でドル円が反発基調となってきていることで、為替市場の動向からみて減額はやりやすくなってはいる。トレンドが円安となっていれば、国債買入の減額による影響は一時的となる可能性がある。ただし、ドル円の上昇に合わせて米国の長期金利も上昇してきていることで、日本の長期金利も上昇してくる可能性もあることで、特に5年超10年以下の減額は難しい面もある。為替市場では細かな買入額の調整でも動くときは動くだけに、減額があるとしてもそのタイミングを見定めるのもなかなか難しくなりそうである。


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by nihonkokusai | 2018-04-30 09:12 | 日銀 | Comments(0)

北朝鮮リスクの後退で、リスク回避の巻き戻しが強まるか

 これを書いている時間に(27日午前)、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長による南北首脳会談が、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設、「平和の家」で始まった。

 会談では、非核化と平和定着を巡って集中的な議論が交わされる見通しで、史上初の米朝首脳会談を見据えて、キム委員長の非核化の意思を、共同宣言などの形でどれだけ明文化できるのかが焦点となるとされる(NHKニュース)。

 何故、北朝鮮は攻撃的な態度をあらため融和的な態度に変化してきたのか。これは極めて政治的な問題であり、ここで憶測を入れるつもりはないが、この流れから見る限り、北朝鮮側は史上初の米朝首脳会談を成功させたいと思われる。ちなみに米朝首脳会談が行われる場所についても憶測が飛んでいるが、板門店の可能性が高くなったのではなかろうか。

 それはさておき、今年に入ってからの外為市場における円高の動きは、北朝鮮の核開発やミサイルの試射を巡っての北朝鮮の地政学的リスクによるリスク回避の動きだけであったわけではない。ドルが売られ、円が買われる、それぞれの要因はいくつかあった。しかし、2月あたりからはユーロなどに対しても円が買われており、(リスク回避として)円が買われやすい地合であったことも確かではなかろうか。

 その円高の流れに変化が出てきたのは、2月の平昌での冬期オリンピックを経て、韓国と北朝鮮が首脳会談を開くことで合意したとのニュースが飛び込んできたあたりからとなっていた。こにきてのドル円の反発には、リスク回避の巻き戻しと言った動きもあったとみられ、その意味では北朝鮮の地政学的リスクの後退も影響していたとみておかしくはない。

 もちろん米長期金利の3%台乗せなどもドルの上昇を促したが、円だけでなく米国債もリスク回避によって買われやすいものであり、つまり米長期金利の上昇もファンダメンタルや需給面だけでなく、リスク回避の巻き戻しとみれば、北朝鮮の地政学的リスクの後退による影響は皆無であったとは言い切れない。

 そうであれば、このまま史上初の米朝首脳会談がスムーズに開催され、核問題等で何かしらの成果が出るとなれば、さらに北朝鮮リスクが後退するとともに、アジア状勢に変化が生じることも考えられる。少なくともドル円が年初の水準ともなる113円台あたりまで戻してきたとしても何ら不思議ではない。

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by nihonkokusai | 2018-04-28 10:07 | 為替 | Comments(0)

北朝鮮リスクの後退で、リスク回避の巻き戻しが強まるか

 これを書いている時間に(27日午前)、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長による南北首脳会談が、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設、「平和の家」で始まった。

 会談では、非核化と平和定着を巡って集中的な議論が交わされる見通しで、史上初の米朝首脳会談を見据えて、キム委員長の非核化の意思を、共同宣言などの形でどれだけ明文化できるのかが焦点となるとされる(NHKニュース)。

 何故、北朝鮮は攻撃的な態度をあらため融和的な態度に変化してきたのか。これは極めて政治的な問題であり、ここで憶測を入れるつもりはないが、この流れから見る限り、北朝鮮側は史上初の米朝首脳会談を成功させたいと思われる。ちなみに米朝首脳会談が行われる場所についても憶測が飛んでいるが、板門店の可能性が高くなったのではなかろうか。

 それはさておき、今年に入ってからの外為市場における円高の動きは、北朝鮮の核開発やミサイルの試射を巡っての北朝鮮の地政学的リスクによるリスク回避の動きだけであったわけではない。ドルが売られ、円が買われる、それぞれの要因はいくつかあった。しかし、2月あたりからはユーロなどに対しても円が買われており、(リスク回避として)円が買われやすい地合であったことも確かではなかろうか。

 その円高の流れに変化が出てきたのは、2月の平昌での冬期オリンピックを経て、韓国と北朝鮮が首脳会談を開くことで合意したとのニュースが飛び込んできたあたりからとなっていた。こにきてのドル円の反発には、リスク回避の巻き戻しと言った動きもあったとみられ、その意味では北朝鮮の地政学的リスクの後退も影響していたとみておかしくはない。

 もちろん米長期金利の3%台乗せなどもドルの上昇を促したが、円だけでなく米国債もリスク回避によって買われやすいものであり、つまり米長期金利の上昇もファンダメンタルや需給面だけでなく、リスク回避の巻き戻しとみれば、北朝鮮の地政学的リスクの後退による影響は皆無であったとは言い切れない。

 そうであれば、このまま史上初の米朝首脳会談がスムーズに開催され、核問題等で何かしらの成果が出るとなれば、さらに北朝鮮リスクが後退するとともに、アジア状勢に変化が生じることも考えられる。少なくともドル円が年初の水準ともなる113円台あたりまで戻してきたとしても何ら不思議ではない。

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by nihonkokusai | 2018-04-28 10:07 | 為替 | Comments(0)

米長期金利が3%台乗せ、いずれ4%も視野か

 4月24日に米10年債利回りは3.00%と2014年1月以来、4年3か月ぶりの3%台乗せとなった。25日には3.03%まで上昇している。米5年債利回りも一時、2009年8月以来の2.85%を付け、米2年債利回りは、2008年9月以来の水準となる2.50%を付けた。

 米10年債利回り、つまり米長期金利の3%台への上昇の背景については、いろいろな要因が絡んでいようが、ここでは単純に米10年債利回りのチャートから、今後の動きの目処を探ってみたい。

 2014年1月に米10年債利回りは3.041%までの上昇となっており、ひとまずここを抜けてくるかどうかに注目したい。

 2014年1月の3.041%を上回っていたのは、さらに遡り2011年7月の3.223%となる。そうなると3.04%を抜けてくると3.22%あたりまでは節目らしい節目はない。2011年4月に3.6%台、1月には3.7%台をつけていた。このまま米10年債利回りが上昇基調を強めるとなれば、4%あたりが次の目標値となる。

 FRBは今年も年3回程度の利上げを見込み、2019年も3回程度の追加利上げを見込んでいる。その結果、政策金利を長期の中立金利見通しである3%に達成させるという利上げシナリオを維持している。そうなれば今後の米金利のイールドカーブ次第の面はあるものの、長期金利の4%台乗せというのもありうるか。

 外部環境の違いで必ずしも過去との連動性があるわけではない。あくまで参考ながらも、FRBの政策金利を3%まで引き上げるとすれば、2008年2月以来となる。そして米10年債利回りの4%台乗せはそこまで遡らず、2010年4月に達成している。

 あくまでチャート上から見てではあるが、米10年債利回りが3.04%、3.22%あたりを上回ってくるとなれば、4%あたりまでの上昇も想定しておく必要があるかもしれない。


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by nihonkokusai | 2018-04-27 10:21 | 債券市場 | Comments(0)

今年度最初の日銀の決定会合の動向と日銀による国債買入の行方

 4月26、27日に今年度最初の日銀金融政策決定会合が開催される。黒田総裁が再任され、副総裁は雨宮氏と若田部氏に変わって最初の決定会合となる。今回は展望レポートも公表されるが、大きな修正はないとみられ、金融政策そのものも現状維持が予想される。

 個人的に注目しているのが、若田部副総裁の動向である。前任の岩田前副総裁と同様に執行部として総裁と副総裁が一丸となって現在の政策を進めるのか、それとも持論を貫いて何かしらの反対票を投じるのか。いまのところは副総裁という立場からも議長案に反対票を投じることは考えづらいか。もし片岡審議委員と同様に若田部氏が反対票を投じるとサプライズとなる。

 債券市場関係者が注目しているのは、今後の国債買入額の修正かと思われる。こちらは決定会合で決めるものではないが、27日は月末ということで当日の夕方に「当面の長期国債等の買入れの運営について」が発表される。今年度の国債発行額はカレンダーベースで20年債を除き、2年、5年、10年、30年、40年の発行額が減額されている。これまでも日銀は国債買入の減額を行っていたものの、たとえば5年超10年以下などは増額されたままとなっている。

 ただし、別な要因もあって日銀は金額の調整がしづらい面もある。5月1日から国債の決済期間が「T+1」に短縮される。国債は売買約定日から起算して原則2営業日目の日に受渡し決済を行うことになる。これに向けて時間もかけて、しっかり準備はされていると思われるが、実際に始まってみないとわからない面もある。このため、国債の最大保有者でもある日銀にとってもかなり慎重に対処せざるを得ない面もあろう。国債の決済期間がT+1に移行してもスムーズに対応が可能となることを見定め必要があるかもしれない。

 ちなみに日銀は5月1日の国債の決済期間短縮化(T+1化)後、新たな市場慣行のもとでの取引が定着するまでの間、レポ市場の国債需給がタイト化する可能性があることで、レポ市場の国債需給のタイト化に備えた一時的な措置として、5月1日から11日までの間に実施する国債補完供給について、1日3回の入札の実施を可能とする扱いとするとしている。


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by nihonkokusai | 2018-04-26 09:30 | 日銀 | Comments(0)

米長期金利は3%台に上昇、ドル円も108円の節目突破

 4月24日に、米10年債利回り(長期金利)は大きな節目となっている3%台に上昇した。米長期金利が3%台に乗せたのは4年3か月ぶりとなる。目先の目標達成でいったんここで足踏みする可能性もある。

 23日に米長期金利は3%に接近していたが、この日は米国の長期金利だけでなく、アジアやオセアニア、北米、南米、そして欧州諸国の長期金利が総じて上昇していた。同様のことが4月19日にも起きていたが、これを見る限り、それぞれ個別要因で動いていたというよりも、特に米国の長期金利の上昇を受けて、各国の長期金利も影響を受けたともいえる。つまり米国で長期金利が上昇する要因に他国も影響を受けていたともいえる。

 そうとなれば、やはり今回の世界的な長期金利の背景として考えられるのは、原油価格やアルミやニッケルの価格上昇など商品価格の動向であろう。これによって今後インフレ圧力が強まるとの見方かと思われる。

 原油価格の上昇の背景にはOPECなどによる減産も影響しているが、世界的な景気拡大による需要拡大も影響している。アルミやニッケルが急騰しているのはロシアのUCルサールに対する米国の制裁措置によるものとみられるが、景気の拡大も寄与していよう。ただし、これについては注意も必要で、対ロシア追加制裁の対象となっているアルミニウム大手のルサールから供給を受けている米企業に対し、米財務省が制裁措置への対応期限の延期を表明しており、これを受けて、アルミニウム価格が急落していた。

 世界的な景気拡大と世界的なリスクの後退によって、米国の中央銀行であるFRBは正常化を進めており、それを受けて特に中短期債の金利が上昇した。しかし、物価の低迷もあって長期金利の上昇は限られ、長短金利差が大きく縮小していた。今回はその反動が起きたともいえる。

 そして、日銀は依然として異次元緩和を続けざるを得ないことで、イールドカーブコントロールも緩められず、日本の長期金利はほぼゼロ%に張り付いている。となれば米国の長期金利の動向がそのまま日米の長期金利差となり、いまのドル円などはこの金利差に敏感になっている面もあるため、ドル円も節目とされた108円を抜いてきた。こうなるとドル円は110円が視野に入る。

 原油価格の上昇に対してトランプ大統領は人為的だと批判した。今後ドル円が上昇してくれば、日本の長期金利も人的に抑え込んでいると批判がくる可能性もある。それで日銀が動くとは思えないが、日本の政局等次第では日銀の異次元緩和政策を取り巻く環境が今後変化してくる可能性もある。日本の長期金利が果たしてこのまま低位で抑えつけていられるのか。いずれ試されよう。


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by nihonkokusai | 2018-04-25 09:22 | 債券市場 | Comments(0)

3月も海外投資家が日本国債を大量買い越し

 4月20日に発表された3月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は1796億円の買い越しとなった。2月の8099億円の買い越し、1月の2兆3756億円の買い越しに比べると買越額は減少しつつある。国債の投資家別売買高をみると都銀は、中期を2591億円売り越していたが、長期は4207億円の買い越しに転じ、超長期も573億円の買い越しとなっていた。

 これに対して海外投資家は3月は1兆7688億円の買い越しとなり、2月の9769億円の買い越しからさらに買い越し額を膨らませた。海外投資家の短期債を除いたものとしての1月の売り越しは2014年6月以来となっていたが、これは一時的な売り越しとなっていたようである。海外投資家は3月に中期債を9899億円買い越し、長期債を5593億円買い越し、超長期債を1568億円買い越しとなっていた。

 「その他」は今回も2兆477億円の売り越しとなった。2月の2兆2128億円の売り越し、1月の2兆2640億円と同様に2兆円を超す大幅売り越しとなっていた。今回も中期債を1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 債券相場は1月の下落基調から、2月は回復基調となっていた。米株はボラティリティが低い状態で長らく上昇基調が継続しており、これはゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていたが、その反動が起きた。日本の株式市場も動揺し、日本の債券はリスク回避のような動きともなって上昇基調となった。しかし、その債券相場の反発も3月に入りブレーキが掛かってきた。3月2日には黒田日銀総裁による「2019年度ごろ出口を検討していること間違いない」とも発言で乱高下したが、その後は落ち着きを取り戻した。債券先物は151円台に乗せる場面はあっても戻り売りに押され、方向感に乏しい展開となって期末を迎えた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -1796(-573、-4207、2591)

地方銀行 2517(-628、1905、81)

信託銀行 -4125(-2664、1538、-2517)

農林系金融機関 -1920(-2020、96、0)

第二地銀協加盟行 1276(561、299、0)

信用金庫 1781(984、1209、5)

その他金融機関 -1314(75、206、-320)

生保・損保 -4345(-3733、172、317)

投資信託 -1261(-1046、313、-259)

官公庁共済組合 -175(-134、6、0)

事業法人 -823(-25、-174、0)

その他法人 -1079(-109、-103、31)

外国人 -17688(-1568、-5593、-9899)

個人 250(1、24、3)

その他 20477(1973、6028、15657)

債券ディーラー -1125(147、-1144、-37)


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by nihonkokusai | 2018-04-24 09:39 | 債券市場 | Comments(0)

経済産業省はキャッシュレス・ビジョンを策定、日本でキャッシュレス化を進めるにはどうしたら良いのか

 経済産業省は「キャッシュレス・ビジョン」を策定した。検討会では、大阪・関西万博(2025年)に向けて、「支払い方改革宣言」として「未来投資戦略2017」で設定したキャッシュレス決済比率40%の目標を前倒しし、より高い決済比率の実現を宣言する。さらに将来的には、世界最高水準の80%を目指していくとしている(経済産業省のサイトより引用)。

 経済産業省によると、キャッシュレスの推進は、消費者にとっては多額の現金を持たずに買い物が可能になることや、紛失等のリスクが現金に比べて軽減されること、事業者にとっては現金管理コストの削減による生産性向上など、様々なメリットが期待されるとしている。また、「キャッシュレス推進協議会(仮称)」において、オールジャパンの取組として産官学が連携して進めていくとしている

 日銀の雨宮副総裁は、4月16日のIMF・金融庁・日本銀行共催 FinTechコンファレンスにおける挨拶で次のような発言をしている。

 「中央銀行がデジタル通貨を自ら発行するとなると、単純化していえば、一般の家計や企業が中央銀行に直接口座を持つことになります。そうなると、只今申し述べた通貨制度の二層構造や、民間銀行を通じた資金仲介などに、大きな影響を及ぼす可能性があります。」

 スウェーデンやエストニアなどでは中央銀行がデジタル通貨の発行を検討しており、ウルグアイではデジタル通貨の試験運用を開始している。日銀もデジタル通貨の基盤技術の研究など進めているようだが、日銀が自らデジタル通貨を発行することに対しては積極的ではない。そもそも日銀に国民全部の口座を設けことは無理がある。

 ここにきてキャッシュレス化に関するニュースがいくつか出てきている。たとえばセブンーイレブンが、スマートフォンで支払いができる独自の決済サービスを来年春をめどに導入する。イオンとビザ・ワールドワイド・ジャパンはキャッシュレス決済で連携した。また、少し前だが、メガバンク3行が、スマートフォンなどで手軽に支払いができるQRコード決済で規格を統一し、連携する方針を固めたとも伝えられている。

 しかし、このままではバラバラにモバイル決済が導入されることになり、これでは現金が使いやすい日本で普及を進めるのは難しい面がある。これに対し、スウェーデンのように大手行などが共同で開発して単一のモバイル決済の仕組みを作れば、日本でもモバイル決済が普及する可能性がある。中国のモバイル決済も「アリペイ」などに集中している。日本でも普及させるとなれば、経済産業省などが主導するなどして単一のモバイル決済の仕組みを作る必要があるのではないかと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-04-22 10:09 | 金融 | Comments(0)

欧米主体に世界的に長期金利が上昇、その背景とは

 4月19日の金融市場ではなかなか珍しいことが起きていた。欧米を中心として世界的に長期金利が上昇していたのである。香港、シンガポール、インドやオセアニア、そして英国を中心としてスイスなども含めて欧州の長期金利も軒並み上昇し、米国の長期金利も上昇していた。

 これだけ一斉に上昇するのは珍しい。それぞれ個別にいろいろな要因も指摘されていた。たとえば米長期金利の上昇のひとつの背景に、長短金利スプレッドが大きく縮小していたが、その反動が起きて、これまで比較的低位となっていた長期金利が上昇したというものである。

 欧州では特に英国の長期金利が上昇していた。この日、イングランド銀行のカーニー総裁は英国が今後数年間に数回の利上げを準備すべきと発言したが、5月の利上げが既定路線ではないとも示唆しており、カーニー発言が大きく影響したようには思えない。

 欧州では英国を含め、フランスやスペインの国債の発行が影響との見方もあるが、それだけでここまで金利が動くことも考えづらい。

 今回の動きはたまたまであった可能性もあるが、これだけ同じに動いたとなれば、やはり何らかの要因もあった可能性も否定できない。その要因と考えられるものに商品市況があった。

 原油価格の指標のひとつとなっているWTIは18日に68ドル台に上昇してきた。サウジアラビアが原油価格を80~100ドル近辺に引き上げたい意向だと報じられたが、節目を抜けてきているだけに80ドルあたりまで上昇してくる可能性はチャート上伺える。

 この原油価格の上昇だけでなく、アルミやニッケルが急騰している。これはロシアのUCルサールに対する米国の制裁措置によるものとの見方がある。

 ブルームバーグによると、アルミニウム価格は6年ぶり高値、ニッケルは2009年以来の大幅高を記録。アルミニウム生産に必要な原料であるアルミナは過去最高値に達したそうである。

 このように原油だけでなく、米国の保護貿易主義などを受けて、アルミニウムなど商品価格の高騰が物価の上昇要因となり、それが世界の長期金利にも影響を及ぼしている可能性がある。そうであれば今回の世界的な金利上昇の要因となりうるのではなかろうか。

 世界的な長期金利上昇のなかにあって、日本の長期金利は引き続き低位安定となっている。これは日銀が強引に抑え込んでいるからともいえるが、このまま他国の長期金利が上昇基調となった際に、日銀がどこまで長期金利を抑え込めるのか。それをいずれ試しにくることも予想される。


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by nihonkokusai | 2018-04-21 10:36 | 債券市場 | Comments(0)

ドル円がここにきて反発してきた理由

 外為市場では、ここにきて円高の修正のような動きとなっている。ドル円は3月22日の104円60銭台あたりが目先のボトム(底)となり、じりじりと反発し20日に107円後半あたりまで上昇している。ユーロ円も3月22日に一時129円を割り込んだが、そこから反発し19日に133円に接近している。

 ユーロ円は133円台を抜けてくるとチャート上からは、135円あたりまであっさりと上昇してくる可能性がある。また、ドル円も108円台あたりを抜けてくると110円あたりまで上昇してくる可能性が出てきた。

 今年に入りドル円は113円台あたりから下落トレンドとなり、3月22日に104円60銭台まで下落した。1月のドル円の下落の背景としては、日銀による国債買入の縮小、ムニューシン財務長官によるドル安を歓迎する発言、黒田日銀総裁による、(物価が)ようやく目標に近い状況にあると思うとの発言があった。市場が日銀の政策に過敏になっていた面もあるが、米国政府の本音が垣間見えたことで円高が進んだ。

 日銀は1月31日に中期ゾーンの国債買入を増額した。そして、2月に入りダウ平均は5日に記録的な下げとなりゴルディロックス相場(適温相場)が変調をきたし、米国を主体に株式市場が一時的な調整局面を向かえた。これによりリスク回避の動きを強め、円高が進行した。日銀は2月28日に超長期国債の買入を減額した。

 3月1日にトランプ大統領は、中国の過剰生産によって安く輸入されている鉄鋼製品が米国の安全保障の脅威になっているとして、25%の高い関税を課す異例の輸入制限措置の発動を正式に決める意向を明らかにした。これを受けて米中の貿易摩擦への懸念が強まり、リスク回避の動きから円高が進む。

 ドイツの政党の連立交渉、イタリアの総選挙などもリスク要因となったが、韓国と北朝鮮が首脳会談を開くことで合意したとのニュースが飛び込んできた。このあたりからやや地合が変化してきたように思われる。

 ただし、異例の輸入制限措置の発動により、中国との貿易摩擦の強まりとともに、北朝鮮と米国の緊張が再度高まる懸念も出てきたことで、金融市場ではリスク回避の動きを急速に強めたのが3月22日となった。

 米中がそれぞれ報復措置をとるなど貿易摩擦が激化するのではとの懸念が強まったが、トランプ政権の幹部らから貿易戦争を回避する時間は十分にあるとの発言との発言に加え、中国の習近平国家主席が昨日の講演で、自動車の関税引き下げや金融市場の開放、年内に一部製品の輸入関税を引き下げる方針を表明したことで貿易摩擦の懸念が後退。このあたりから円高圧力も後退してきたように思われる。

 今回の日米首脳会談でも為替に関してはそれほど強い表現はなく、米株も回復基調となったことなどもあり、さらに北朝鮮の地政学的リスクが後退かとの見方も強まったことで、過度なリスク回避の動きは後退してきた。さらに米長期金利の上昇なども手伝って、ここにきての円高修正の要因となっているとみられる。ここからの動きの鍵のひとつとなりそうなのが、北朝鮮との首脳会談も控えたトランプ政権の動向かと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-04-20 15:57 | 為替 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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