牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

<   2018年 03月 ( 26 )   > この月の画像一覧

米国株式市場に大きな影響を与えているFAANG

 ここにきて米国の株式市場が荒れた動きをみせているが、この背景にFAANG銘柄が関係している。FAANGとはフェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、そしてグーグル(上場はアルファベット)の頭文字をとった造語である。

 2015年あたりからFANGと称されていたが。これにはアップルが除かれていたようなのでFANGのほうが一般的かもしれないが、ここではアップルを加えたFAANGとしてみてみたい。

 米国株式市場では今年に入ってからもキャタピラーやボーイング、スリーエムなどに加えて、FAANGを中心としたハイテク株が買い進まれ、ダウ平均、ナスダックともに過去最高値を更新し続けていた。

 ところが2月5日にダウ平均は一時1597ドル安となり、取引時間中として過去最大の下げ幅となり、引け値も1175ドル安となって引け値の前日比でも過去最大の下げ幅を記録した。米長期金利の上昇などがきっかけとされるが、じりじりと上昇相場が長期にわたり続いてきたことで、その反動が一気に現れたものと考えられる。

 これをきっかけに米国株式市場はいったん調整局面となっていた。しかし、2月9日からFAANG銘柄を主体に主要ハイテク株を中心に切り返してきたことで、ナスダックは3月9日に過去最高値を更新した。

 その後、牽引役となっていたFAANG銘柄を主体にハイテク株が売られ、再び下落基調となった。

 そして19日にはFAANGの一角のフェイスブックの約5000万人分の会員情報が2016年の米大統領選でトランプ陣営キャンペーンに関与した英データ分析会社に不正に利用されていたと伝わったことを受け、フェイスブック株を主体にハイテク株が急落した。

 さらに28日にはトランプ大統領がアマゾン・ドット・コムへの課税強化や反トラスト法違反で提訴することなどを検討していると報じられたことで、FAANG銘柄のアマゾンが大幅続落となっていた。

 米国株式市場の牽引役となっていたFAANG銘柄に悪材料が相次いだこともあり、米国株式市場は乱高下を繰り返すような状況となっている。もちろんトランプ政権が鉄鋼製品などへの異例の輸入制限措置を発動したことも材料視され、こちらも牽引役となっていたキャタピラーやボーイングなどグローバル企業の株価も影響を受けていた。ただ、ここにきてのFAANG銘柄に悪材料が相次いできたことも、米国株式市場の先行きを不透明にさせつつある。

 28日に発表された10~12月期米GDP確報値は年率2.9%増と改定値から上方修正されたように、米国景気そのものは好調さを持続させているが、株式市場はなかなか素直に買えるような状況にはなっていない。むしろ不安定さが増しているように思われる。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-30 09:33 | 金融 | Comments(0)

1月に中国による米国債保有額が減少した理由とは

 中国政府は米通商法301条に基づいた対中制裁に報復する意向を示し、米国を強くけん制した。崔天凱・駐米大使は23日に米国債の購入減額について「あらゆる選択肢を検討している」と含みを持たせた。つまり、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段を講じる可能性を示した。

 現実に中国が政治目的で米国債の購入を減額することが可能なのかはさておき、米財務省が公表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)をもとに、中国などによる米国債の保有状況を確認してみたい。

 これによると、昨年1月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっている。1月時点の中国の米国債保有額は1兆1682億ドルとなり、昨年12月に比べて167億ドル減少していた。1月に中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられた。その影響かとの見方ができるかのような数字ながらも、その後中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道は否定している。中国人民銀行によると、2月末の外貨準備高は13か月ぶりに減少していたこともあり、この1月に関しては意図的に減らしていたわけではないと思われる。

 これに対して今回も2位となっていた日本は1月の米国債保有額は1兆658億ドルとなり、前月比では43億ドルの増加となっていた。これにより中国との保有額との差が12月末に比べて縮小した。

単位、10億ドル、()内は前年比増減

中国(China, Mainland)1168.2、-16.7

日本(Japan)1065.8、+4.3

アイルランド(Ireland)327.5、+1

ブラジル(Brazil)265.7、+8.9

スイス(Switzerland)251.1、+1.5

英国(United Kingdom)243.3、-6.7

ケイマン諸島(Cayman Islands )241.9、-3.9

ルクセンブルグ(Luxembourg )220.9、+3.3

香港(Hong Kong)194.1、-0.6

台湾(Taiwan)175.4、-5.5

 中国と日本の2強に変化はないが、12月に比べてそれ以外の順位が多少入れ替わっている。外為市場などの影響とともに、年末要因等によるものと思われる。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-29 09:58 | 国債 | Comments(0)

米国の関税引き上げに対する中国の報復はあるのか、米国債も人質に?

 トランプ政権は3月23日に米通商拡大法232条に基づき、鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を発動した。国内の鉄鋼・アルミ産業の衰退が「国家の安全保障上の脅威になる」として、一部の例外国を除き、鉄鋼は25%、アルミは10%の追加関税を課す。

 また、トランプ大統領は3月22日に1974年通商法301条に基づく対中制裁措置の発動を決定している。これにより、情報通信機器や機械など約1300品目を対象に25%の関税を課すことになる。

 中国政府はこの米通商法301条に基づいた対中制裁に報復する意向を示し、米国を強くけん制した。崔天凱・駐米大使は23日に米国債の購入減額について「あらゆる選択肢を検討している」と含みを持たせた。つまり、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段を講じる可能性を示した。

 このように、301条の制裁に対する中国の報復措置がどのようなものになるのかが、焦点となっていた。

 これを受けて米中の貿易摩擦から貿易戦争に発展しかねないとの観測が強まり、22日のダウ平均は大きく下落し724ドル安、そして23日のダウ平均は424ドル安となった。

 しかし、ここにきてムニューシン財務長官が米政権が中国との間で建設的な対話をしていると発言するなど、米中の政府間で水面下の協議が進展しているのではとの観測が出てきている。

 フィナンシャル・タイムズ紙は26日に、匿名の関係者の話として、中国政府は対米黒字を削減するため、米国からの半導体輸入を拡大する。代わりに韓国や台湾からの輸入を抑えると報じた。

 また、ロイターはトランプ米政権は貿易戦争回避に向けて中国と交渉を開始しており、米国製自動車に対する関税引き下げ、外資による金融機関への過半の出資認可、米国からの半導体輸入拡大などを要求していると報じている。

 トランプ大統領は大統領選挙の期間中に中国製品の輸入関税を引き上げなどを選挙公約としており、それを実行に移した格好となった。やや強行ともいえるこの発動については、11月の中間選挙を睨んだものとも言えそうだが、株価が過剰反応を示したように、扱い方によってはむしろ自分にとっては不利な要因ともなりかねない。このため、水面下で中国との妥協策を講じて、貿易戦争は回避しようとしているようである。

 中国としてもここで貿易戦争を起こしても、決して自分に有利になるとは限らない。中国の米国債の保有もあくまでドルの運用先であり、これを政治利用するとなれば、米国の債券市場が過剰反応し、米国債の価格が急落するような事態も起こりうる。そうなれば、中国としても保有する米国債をすべて手放すことはありえないため、保有している米国債で損失を被るリスクがある。もちろん米国市場そのものが動揺する懸念があり、トランプ政権としてもそのような事態は避けたいところであろう。

 中国の報復措置として米国から輸入する大豆などに高関税を課すという手段も想定されているようだが、これは米国の大豆を生産する農家を直撃するだけでなく、大豆の多くを輸入に頼る中国の消費者にも影響を与えることになる。

 一見、強気を通しているかにみえるトランプ政権ではあるものの、公約は守っているかたちをとりながら、相手国となる中国などとの妥協点を探り、悪影響を極力及ぼさない方法を模索しているようにもみえる。



[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-28 09:35 | 国際情勢 | Comments(0)

今後の原油価格の動向にも注意が必要に

 米国のトランプ大統領はホワイトハウスで安全保障政策を担当するマクマスター大統領補佐官を交代させ、後任にボルトン元国連大使を起用するとツイッターで明らかにした。  国家安全保障担当の米大統領補佐官としてマクマスター氏の後任に指名されたジョン・ボルトン元国連大使は、外交政策のタカ派で知られている。

 「北朝鮮の核兵器が突き付ける現在の必要性に対し、米国が先制攻撃で対応するのは完全に正当」と発言するなどしており、北朝鮮に対し厳しい姿勢を示す保守強硬派として知られているボルトン氏の大統領補佐官の起用により、北朝鮮との首脳会談を前にして、トランプ政権が北朝鮮に対して厳しい姿勢で臨む構えを示した格好となった。

 ボルトン元国連大使は2015年に「イランの爆弾を止めるには、イランを爆撃せよ」と題した論説をニューヨーク・タイムズに寄稿するなど、イランに対す強行派としても知られている。

 そのボルトン氏の安全保障政策を担当する大統領補佐官への起用により、対イラン制裁が再び導入されるとの観測から23日の原油先物は大きく上昇した。WTI先物5月限は前日比1.58ドル高の65.88ドルに上昇した。中東の地政学的リスクが意識されたものとみられる。

 また、サウジアラビア軍は25日、隣国イエメンから撃ち込まれたミサイル7発を迎撃したと発表した。このミサイルについて、イエメンを拠点としサウジと敵対するイランと関係が近い武装組織「フーシ派」が発射したとしており、今後緊張が高まる懸念がある。、

 米国とイランの緊張関係が今後高まるのかどうかについても注意する必要はあるが、原油先物がひとつの節目とされる66ドル台にすでに乗せてきていることにも注意したい。

 原油価格についてはそもそも価格下落を危惧した石油輸出国機構(OPEC)諸国とロシアなどが昨年初めから協調して減産したことに加え、世界的な景気拡大による需要増も相まって反発基調が続いている。

 協調減産は果たしてこのまま続けられるのか、原油価格の回復に伴って米国の原油生産量が大幅に増えていることで、価格が抑えられるのではとの見方がある。

 しかしWTIのチャートからみると、この66ドル近辺の水準を大きく突破してくるとなれば、さらに戻りを試してくることが予想される。

 WTIは2014年7月から2015年1月あたりにかけて急落し、その急落相場から立ち直りかけているところである。チャート上からはWTIは66ドルあたりを上抜けると100ドルあたりまで節目らしい節目はない。

 世界的な景気拡大と言っても、WTIが100ドル台になるほど原油の需要が増加しているようには見えないし、さすがにそこまでの上昇を見込む向きは少ないと思われる。それでもひとつの可能性としてみておく必要があるかもしれない。そうなれば日本の消費者物価にも直接的な影響を与える可能性がある。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-27 09:29 | 国際情勢 | Comments(0)

トランプ・リスク再び、市場はリスク回避の動きを強める

 米国のトランプ大統領は、中国による知的財産の侵害などを理由に通商法301条に基づき、中国からの幅広い輸入品に高い関税を課す制裁措置を発動することを決めた。また、トランプ政権は、知的財産の侵害に関連して中国をWTOに提訴する方針で、中国からアメリカへの投資の規制も検討するとしている(NHK)。

 それに加えて、トランプ大統領は22日、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するマクマスター大統領補佐官を交代させ、後任にボルトン元国連大使を起用するとツイッターで明らかにした。トランプ大統領は予定されている北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談を控え、国家安全保障チームの多くを交代させており、すでにティラーソン国務長官を解任し、後任に保守系で強硬派のポンペイオCIA長官を指名していた。北朝鮮に対し厳しい姿勢を示す保守強硬派として知られているボルトン氏の大統領補佐官の起用により、北朝鮮との首脳会談を前にして、北朝鮮に対して厳しい姿勢で臨む構えを示した格好となった。

 異例の輸入制限措置を発動により、中国との貿易摩擦の強まりとともに、北朝鮮と米国の緊張が再度高まる懸念も出てきたことで、金融市場ではリスク回避の動きを急速に強めた。

 米国と中国の貿易摩擦が強まり、世界経済に悪影響を及ぼすという懸念が強まり、22日の米国株式市場では、キャタピラーやボーイング、スリーエムなどグローバル企業主体に売られ、23日のダウ平均は724ドル安となった。24日も続落となり、ダウ平均は424ドル安となった。

 FRBのパウエル議長は2月5日に就任したが、この日にダウ平均は一時1597ドル安となり、取引時間中として過去最大の下げ幅となり、引け値も1175ドル安となって引け値の前日比でも過去最大の下げ幅を記録していた。そして、今度は議長として初めて望んだFOMCで利上げを決定した翌日の3月21日にダウ平均が724ドル安となるなど、パウエル議長は今回の下落相場の要因ではないものの、タイミングが悪かったようにも思える。

 外為市場では円高が進み、23日の東京時間でドル円は105円を大きく割り込んだ。日経平均も大きく下落し一時1000円を超す下げとなった。

 20日に日銀の副総裁が入れ替わり、総裁は変わらないことで実質的に新体制のスタートとなったが、こちらも新体制に変わったタイミングで円高が進行するなど、なかなか厳しい船出となった。ただし、23日に発表された2月の全国消費者物価指数(除く生鮮)については前年比1.0%増となり、3年6か月ぶりの1%台乗せとなっていた。

 いろいろ悪材料が重なったことで、複合的な要因によるリスク回避の動きとなっている。ダウ平均や日経平均、さらにドル円のチャートなどからみると、再度下値を試す動きとなり、どこまで下げてくるのか予測が難しい状況となっている。ドル円は100円近辺まで下落する可能性もあり、日経平均も20000円の大台割れの可能性が出てきた。今後の動きに注意する必要がありそうである。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-24 11:02 | 金融 | Comments(0)

2月の国債投資家別売買高、海外投資家は買い越しに転じる

 3月20日に発表された2月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は8099億円の買い越しとなった。1月の2兆3756億円の買い越し額に比べると買越額は減少した。国債の投資家別売買高をみると都銀は、中期を1兆1283億円買い越していたが、長期は1789億円の売り越しに転じ、超長期も1284億円の売り越しとなっていた。2月の債券は反発しており、長いゾーンには利食い売りを入れてきたとみられる。

 これに対して海外投資家は2月は9769億円の買い越しとなり、1月の2377億円の売り越しから、再び買い越しに転じた。海外投資家の短期債を除いたものとしての1月の売り越しは2014年6月以来となっていたが、一時的な売り越しとなっていたのかどうかは今のところ判断しにくいところ。海外投資家は2月に中期債を6247億円買い越し、長期債を391億円買い越し、超長期債を1547億円の買い越しとなっていた。

 「その他」は2兆2128億円の売り越しとなり、1月の2兆2640億円と同様に2兆円を超す大幅売り越しとなっていた。12月の1兆8917億円、11月の2兆5746億円の売り越しに続いて、大量売り超しが継続している。今回は中期債を1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 債券相場は1月の下落基調から、2月は回復基調となっていた。2月5日にダウ平均は1175ドル安となって過去最大の下げ幅を記録した。米株はボラティリティが低い状態で長らく上昇基調が継続しており、これはゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていたが、その反動が起きた。日本の株式市場も動揺し、日本の債券はリスク回避のような動きともなって上昇基調となっていた。また、海外投資家の売りが一巡したことで、押し目買いが入ったものと思われる。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -8099(1284、1789、-11283)

地方銀行 4936(828、3259、-30)

信託銀行 -519(-2069、917、-111)

農林系金融機関 -1293(-667、198、12)

第二地銀協加盟行 910(463、251、0)

信用金庫 3543(1952、1304、30)

その他金融機関 -566(246、377、-197)

生保・損保 -3833(-3932、598、-326)

投資信託 -207(-943、253、558)

官公庁共済組合 114(165、-52、79)

事業法人 -566(22、-232、1)

その他法人 -358(-7、-2、152)

外国人 -9769(-1547、-391、-6247)

個人 198(1、22、2)

その他 22128(7090、3069、14658)

債券ディーラー -87(67、-177、90)


[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-21 10:30 | 債券市場 | Comments(0)

2月の国債投資家別売買高、海外投資家は買い越しに転じる

 3月20日に発表された2月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は8099億円の買い越しとなった。1月の2兆3756億円の買い越し額に比べると買越額は減少した。国債の投資家別売買高をみると都銀は、中期を1兆1283億円買い越していたが、長期は1789億円の売り越しに転じ、超長期も1284億円の売り越しとなっていた。2月の債券は反発しており、長いゾーンには利食い売りを入れてきたとみられる。

 これに対して海外投資家は2月は9769億円の買い越しとなり、1月の2377億円の売り越しから、再び買い越しに転じた。海外投資家の短期債を除いたものとしての1月の売り越しは2014年6月以来となっていたが、一時的な売り越しとなっていたのかどうかは今のところ判断しにくいところ。海外投資家は2月に中期債を6247億円買い越し、長期債を391億円買い越し、超長期債を1547億円の買い越しとなっていた。

 「その他」は2兆2128億円の売り越しとなり、1月の2兆2640億円と同様に2兆円を超す大幅売り越しとなっていた。12月の1兆8917億円、11月の2兆5746億円の売り越しに続いて、大量売り超しが継続している。今回は中期債を1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 債券相場は1月の下落基調から、2月は回復基調となっていた。2月5日にダウ平均は1175ドル安となって過去最大の下げ幅を記録した。米株はボラティリティが低い状態で長らく上昇基調が継続しており、これはゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていたが、その反動が起きた。日本の株式市場も動揺し、日本の債券はリスク回避のような動きともなって上昇基調となっていた。また、海外投資家の売りが一巡したことで、押し目買いが入ったものと思われる。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -8099(1284、1789、-11283)

地方銀行 4936(828、3259、-30)

信託銀行 -519(-2069、917、-111)

農林系金融機関 -1293(-667、198、12)

第二地銀協加盟行 910(463、251、0)

信用金庫 3543(1952、1304、30)

その他金融機関 -566(246、377、-197)

生保・損保 -3833(-3932、598、-326)

投資信託 -207(-943、253、558)

官公庁共済組合 114(165、-52、79)

事業法人 -566(22、-232、1)

その他法人 -358(-7、-2、152)

外国人 -9769(-1547、-391、-6247)

個人 198(1、22、2)

その他 22128(7090、3069、14658)

債券ディーラー -87(67、-177、90)


[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-21 10:30 | 債券市場 | Comments(0)

金融政策による影響と認知的不協和、日銀決定会合主な意見のナニコレ発言

 19日に公表された2018年3月8、9日開催された日銀の金融政策決定会合における主な意見には下記のような意見が出ていた。

 「量的・質的金融緩和への反対意見の中には、心理学で認知的不協和と言われるものがある。これは、自分の認識と新しい事実が矛盾することを快く思わないことである。量的・質的金融緩和で経済は良くならないという自分の認識に対し、経済が改善しているという事実を認識したとき、その事実を否定、または、今は良くても将来必ず悪化すると主張して、不快感を軽減しようとしている。」

 「量的・質的金融緩和で経済は良くならない」というよりも、量的・質的金融緩和によってどのように物価が上がり、それが経済にどのような影響を与えているのか。物価が上がらずとも、景気は拡大しているのは何故か。もし、大胆な緩和が物価上昇は促さずとも、雇用等の景気回復に好影響を与えているとすれば、どのような波及経路によるものなのかが問題点ではなかろうか。

 そもそも日本の景気回復には、日銀による量的・質的金融緩和政策というか、現在の長短金利操作付き量的・質的緩和政策だけが影響しているのか。そうではなく、欧米の景気拡大や中国の景気減速からの回復などが大きな影響を与えているのではないのか。

 そもそも日銀の金融政策だけで景気や物価は動かせると言う前提に間違いはないのか。このあたりの検証が必要ではないのか。

 どなたの発言なのかは知らないが(何となくわかるが)、心理学で認知的不協和を持ち出すのであれば、量的・質的金融緩和で物価は上がるという自分の認識に対し、物価が上がらないという事実を認識したとき、その事実を否定、または、今は上がらなくても将来必ず上がると主張して、不快感を軽減しようとしているのではなかろうか。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-20 09:25 | 日銀 | Comments(0)

日銀の総裁副総裁人事が国会で承認

 16日に衆参両院の議院運営委員会は日銀正副総裁などの同意人事案を本会議で採決、日銀の正副総裁人事が国会で承認された。

 学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書書き換え問題で、国会が停滞し、日銀総裁と副総裁の国会同意人事にも影響が出ている可能性があった。副総裁の任期は3月19日まで、総裁の任期は4月8日までとなっている。もし国会での承認が4月8日以降まで得られないとなれば、日銀の総裁と副総裁が不在となり、その際の総裁代行は原田審議委員となるという事態もあり得た。

 しかし、野党側も国会の停滞で日銀の重要人事を採決させない事態が続けば、国民生活に影響を及ぼし、自らも世論の批判を浴びかねないとの判断から本会議開催を了承したようである(日経QUICKニュースより)。

 これにより3月20日に日銀副総裁として、若田部昌澄氏と雨宮正佳氏が就任する。4月9日から黒田総裁が続投となる。

 市場にとっては不透明要因がこれでひとつ後退したことになるが、それほど懸念材料視されていたわけでもない。次回の金融政策決定会合は4月26、27日の開催となることで、日銀の金融政策の決定に影響が出る可能性もそれほど高くはなかった。ただし、それまでに承認が遅れ、もし原田審議委員が議長となったら、とのような決定を下すのかというのも、恐いながらも見てみたい気がした。

 ただし、来週、アルゼンチンで開催される20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に麻生財務相が出席できない事態となり、、G20における日本の発言力の低下なども危惧されている。今回、日本からは黒田日銀総裁と木原稔副財務相が出席する。すでにG20での古株もなっている麻生氏の欠席による影響は大きいとみられる。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-19 14:38 | Comments(0)

個人向け国債の売り上げが好調な理由とは

 2月28日に財務省で開催された国の債務管理の在り方に関する懇談会の議事要旨に次のような発言が記述されていた。

 「個人向け国債の売り上げが好調なのは、現在、銀行にとって預金がコストとなっており、預金から個人国債に振り替える動きが出ていることによるもの。金利水準が戻れば、個人国債の売り上げも元に戻るのではないか。」

 銀行にとって預金がコストとなっているというのは、日銀のマイナス金利政策により、残存が9年近くまでの国債利回りがマイナスとなっているためである。預金者にはマイナス金利を課すことは控えられているなか、国債の利回りは残存9年近くまでマイナスとなっており、資金運用がかなり難しくなっている。

 個人の資金を預金ではなく個人向け国債の購入に振り向ければ、販売する金融機関には手数料が支払われる。昨年4月発行分からこの個人向け国債の手数料が引き下げられ、固定3年で額面100円あたり20銭、固定5年で額面100円あたり30銭、変動10年で額面100円あたり40銭となった。これは購入者負担ではなく、販売額に応じて金融機関に財務省が支払う手数料である。手数料が引き下げられても10年変動では40銭もある(50銭からの引き下げ)。

 この手数料の引き下げもあり、販売する金融機関は手数料引き下げ前の昨年3月に個人向け国債のキャンペーンを張り、販売額は全体で9315億円となった、翌4月発行分は2030億円に落ち込んだが、7月には3000億円台を回復し、2018年に入ってからは毎月3000億円を超す販売が続いている。これは預金から個人向け国債に振り向ける動きもないとはいえないが、個人による個人向け国債へのニーズが強いことも要因と思われる。

 個人向け国債には0.05%という最低保証利回りがついている。日銀のマイナス金利政策などの影響もあり、この0.05%がいつの間にか銀行などの預金金利を上回ったことで、利回りとして魅力化したのである。

 日銀は現在、長短金利操作付き量的・質的金融緩和策という政策を行っている。これは短期の金利をマイナスに誘導するとともに、長期金利もゼロ%近辺に誘導するというもので、これまでのオペの動向などから長期金利は0.11%以下に抑えようとするものである。

 日銀の黒田総裁の続投も決まり、日銀は現在の金融緩和政策を物価目標達成まで進めるつもりのようである。日銀の政策に変化が出ない限りは、わずかな金利ではあるものの、個人向け国債の優位性は維持され、販売する金融機関にとっても手数料が得られることにより、個人向け国債の販売好調は継続すると思われる。

[PR]
by nihonkokusai | 2018-03-19 14:38 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー