牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

<   2018年 01月 ( 23 )   > この月の画像一覧

米長期金利上昇の要因となるものを模索か

 先日のスイスのダボス会議のパネル討論会での黒田総裁による「2%のインフレ目標ないし物価安定目標の達成を非常に難しく、時間のかかるものにした要因は数多くあるが、ようやく目標に近い状況にあると思う」と述べたことをきっかけに、買いドル売りが進み、ドル円は一時108円28銭まで下落した。このドル売りで米債も売られ、26日の米10年債利回りは2.66%と前日の2.61%から上昇した。

 そして、今度はECB理事会メンバーであるクノット・オランダ中銀総裁が28日に、債券買い入れプログラムを「続ける理由は何もない」とした上で、ECBは同プログラムをどのように終了するかについてできる限り早く明確にすべきとの見解を示したことをきっかけに、29日にドイツの5年債利回りは2015年以来初めてプラスに転じた。ドイツの10年債利回りも0.69%と26日の0.62%から大きく上昇した。ドイツの10年債利回りはチャート上からは0.90%を目指して上昇してくることが予想される。

 このドイツの国債の下落などから、29日の米債も売られ、米10年債利回りは一時2.72%をつけて、2014年4月29日以来の水準に達している。30日には2.73%を付けている。こちらはチャート上は3%まで節目らしい節目はなく、いずれ3%台に乗せてくるであろうと予想される。

 今回の動きで注目すべきは、米国の国債が日本や欧州の金融政策動向に神経質になって売られていたという面である。相場であるので現実にどの材料に反応したのかは検証が難しい面はあるのだが、それでも日銀やECBの出口戦略の行方に注目が集まっているであろうことは確かである。

 しかし米国債の下落、つまり米長期金利の上昇については、きっかけは何であれ、むしろ世界的な景気拡大、それを背景としての淡々と行われているFRBの正常化の動きがあってのものともいえる。むしろ、物価の上昇が抑制されている面はあったにせよ、米長期金利が3%以内に抑えられていたことの方が不思議であった。むろん米国債は金利面の動きだけでなく、安全資産として買われることもあり、リスク回避による動きなども米長期金利の上昇を抑制していたことも確かである。

 結果として日銀やECBの動向に米国債が神経質になっているように見受けられるが、実際には米長期金利上昇の要因となるものを市場が模索しているという状況のようにも見える。つまり金利の抑制要因には鈍感となり、金利上昇要因に敏感となるという地合に変わってきているとみても良いのではなかろうか。29日にはFRBの物価目標ともいえる12月のPCEデフレーターが前年同月比で1.7%上昇と伸び率が縮小していたにも関わらず、こちらに対する反応は限られていた。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-31 09:46 | 債券市場 | Comments(0)

黒田日銀総裁の物価発言で円高が進んだ理由

 以前にも指摘したが、1月15日の日銀支店長会議における黒田総裁の挨拶を前回の昨年10月の挨拶分と比較してみたところ、違いはわずか1か所だけとなっていた。

 「物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。」2017年10月の支店長会議挨拶

 「物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。」2018年1月の支店長会議挨拶

 つまり消費者物価(除く生鮮食品)の前年比の居所だけが、ここにきての前年比での上昇を受けて「0%台後半」から「1%程度」にやや上方修正されていたが、これ以外の挨拶分には変更はない。

 消費者物価指数がやっと前年比出の上昇幅を拡大させてくるという日銀にとっては喜ばしい状況に対して、実際の数字だけの変更だけに済ませたのにはいろいろと理由があろう。そのひとつが、ここで物価目標達成の可能性なりを多少でも指摘すると、特に外為市場や米国債券市場などが敏感に反応してしまう点である。

 その事例となってしまったのが、先日のスイスのダボス会議のパネル討論会での黒田総裁の発言となった。黒田総裁は「賃金が上昇しつつある兆候が幾つか見られ、物価については一部で既に上昇し始めている」と英語で発言。「2%のインフレ目標ないし物価安定目標の達成を非常に難しく、時間のかかるものにした要因は数多くあるが、ようやく目標に近い状況にあると思う」と述べた(ブルームバーグ)。

 23日の決定会合後の記者会見で黒田総裁は物価に関して下記のように慎重な発言をしていた。

「わが国では、景気が緩やかに拡大している一方、物価は弱めの動きが続いています。」「物価はまだ2%の「物価安定の目標」にはほど遠い状況にありますので、」

 それでも一応、日銀の物価目標としているコアCPIはここにきてやっと1%が見えるところまで上昇し、今後さらに前年比が拡大していくことも予想される。ただし、これは原油価格の上昇による影響が大きいことも確かである。

 しかし、日銀の物価目標はコアコア等ではなくコアである以上は目標値に接近しつつあるというのが現状である。その現状を国内では口に出せなかったのは、市場への影響とともに、仮に2%を一時的に達成できたとしても一時的なものとなる可能性が大きいからとも言えよう。しかし、海外でつい本音がポロリと出てしまったのか、それによって市場が過剰反応したともいえるのできなかろうか。

 ダボス会議の黒田総裁の発言を受けて、円買いドル売りが進み、ドル円は一時108円28銭まで下落した。その後、日銀報道官が、黒田総裁の発言について、インフレ見通しを修正したわけではないと説明したことを受け、ドルは下げ渋った格好となった(ブルームバーグの記事より)。

 たしかに黒田総裁の発言はインフレ見通しを修正したわけではなく、「予定通り?」に物価目標達成に向けて、やっと上昇しつつあることを示したに過ぎない。それでも市場はやや過剰に反応してしまう点も今後はさらに注意する必要はある。このドル売りで米債も売られていたことで、連鎖反応も起きている。

 ただし、日銀が頑なに慎重な表現に止めるとなれば、それはそれで自らの政策の自由度を縛りかねないことも確かである。ここで求められるのが、為替市場などの市場との対話であろうか。対話がよく進んでいるのか、日本の債券市場はこのような発言に対してはほとんどビクともしていなかったが。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-30 10:35 | 日銀 | Comments(0)

デジタル通貨に向けたあらたな試み

 25日のNHKニュースによると、通信、銀行、保険、小売り、商社、物流に不動産…。幅広い業種から有力企業19社が集結し、「デジタル通貨」に関する包括的なサービスを手がけることになったそうである。

 25日にデジタル通貨に関するサービスを一元的に手がける新会社「ディーカレット」の設立が発表された。この新会社を仕掛けたのは、日本でインターネットサービスを始めた先駆けとして知られる通信会社のインターネットイニシアティブ(IIJ)。そして、新会社に参加する企業は下記となる(NHKニュースより)。

 IIJ、伊藤忠テクノソリューションズ、QTnet、ケイ・オプティコム。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、大和証券グループ本社、野村ホールディングス。第一生命、日本生命、SOMPOホールディングス、東京海上日動、三井住友海上。伊藤忠商事、JR東日本、ヤマトホールディングス、ビックカメラ、三井不動産、電通の合わせて19社。

 まさに名だたる企業が集合した格好となった。この新会社が目指すのは、デジタル通貨を包括的にカバーするサービスだそうである。

 デジタル通貨といえば、ビットコインに代表される仮想通貨を思い浮かべるかもしれないが、この新会社はある意味ブームとなっている仮想通貨を追いかける会社ではないと思われる。むしろ、想定しているのは中国のスマホ決済の「支付宝(アリペイ)」や「ウィーチャットペイ」、スウェーデンでは複数の有力銀行が共同で開発したスウィッシュ(Swish)と呼ばれるモバイル決済ではなかろうか。

 ビットコインの価格の乱高下をみてもわかるように、仮想通貨は通貨としては流動性リスク、価格変動リスク、そして取引所などを含めての信用リスクがあまりに高すぎることで、通貨としての利用は考えづらい。

 しかし、デジタル通貨を店での支払いに使える決済サービスについては今後、日本でも普及する可能性は十分ある。少額貨幣については日本でもキャッシュレス化は進んでいる。しかし、SuicaなどJRのカードやnanacoなどのコンビニのカードなど複数のデジタル通貨が混在していることで、それが普及を妨げている面もある。そういえば今回の19社に小売りが含まれていないのが、やや気掛かり。

 今回のIIJが始めるデジタル通貨がどのようなものであるのか、まだ具体像は見えていないが、これだけのビックネームの企業が参加するとなれば、デジタル通貨というかデジタル決済の基盤が整う可能性がある。ただし、それはあくまでビットコインに代表される仮想通貨などではなく、法定通貨と互換性のあるものでなければならない。デジタル通貨というよりもデジタル決済の利便性を高めれば、アリペイやスウィッシュのような普及が見込めるのではないかと思われる。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-29 09:12 | 金融 | Comments(0)

日銀のイールドカーブコントロール政策の修正はあるのか

 日銀の中曽副総裁は2017年10月18日の講演で次のような発言をしていた。

 「日本銀行では、均衡金利の概念を拡張して「均衡イールドカーブ」を計測し、過去の緩和局面と比較するなど、様々な角度から理論的・実証的な分析を進めています。なお研究途上の課題も少なくありませんが、こうした分析の成果も活用しながら、先行き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、必要であればイールドカーブの形状についても調整を行っていく方針です。」

 日銀のイールドカーブコントロールは、国債の買入によって調整されている。「より少額の国債買入れによって、同じ金利水準を実現できること」も可能との認識により、結果として国債買入額を減少させている。

 さらに中曽副総裁は「日本銀行は、イールドカーブ全般にわたって、様々な期間別の国債買入れを行ってきたほか、特定の金利水準で無制限に国債を買い入れる「指値オペ」という強力な補完的ツールも備えています。」と指摘している。

 日銀が今後、物価の上昇や景気の拡大、さらには米国の長期金利の上昇などを受けて、何かしらの調整を行うとすれば、このイールドカーブコントロール政策の修正がありうる。

 本来であれば民間金融機関の収益を圧迫するマイナス金利政策を修正すべきと考えているが、日銀として軸足そのものは変えたくはないようである。しかし、中曽副総裁発言からは、経済・物価・金融情勢に応じて、イールドカーブを修正する事は想定しているようである。

 出口政策というのではなく、あくまで調整というかたちで、短期ではなく長期の利回り水準を引き上げてくる可能性がある。もし調整するとすればどのような形式となるのか。

 日銀の10年物国債金利の操作目標は「ゼロ%程度」としているが、これまでのオペレーション等からみて、マイナス0.1%からプラス0.1%あたりとなろう。上限はこれまでの指し値オペからみて0.11%か。もし10年物国債金利の操作目標をやや上方シフトさせるとなれば、10年債利回りが0.11%を超えても指し値オペを入れずに、0.2%あたりで指し値オペを入れてブレーキを掛けるという手段を取ることも考えられる。その前に5年超10年以下の国債買入額そのものを減額し、コントロールする可能性を示すこともありうるか。

 ただし、1月9日の国債買入において、超長期ゾーンの国債買入額を減額した際に債券市場は反応薄であったものの、ドル円が50銭程度下落するなど、他市場がやや過剰反応を示した。このあたりも意識して行わないと、イールドカーブコントロール政策そのものの修正はなかなか難しいものとなる。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-29 09:08 | 日銀 | Comments(0)

ムニューシン財務長官によるドル安容認発言をトランプ大統領が否定するドタバタ

 米国政府はこれまで為替政策に関しては一般的に発言を控えるか、「強いドルは国益に適う」として、表面上はドル高を歓迎するかのような発言をしていた。この発言は1995年頃に当時のルービン財務長官が言い出したもののようで、それがこれまで主に基軸通貨を有する米国の財務長官の発言として受け継がれてきた。

 ところが24日にムニューシン財務長官は、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)の記者会見で、「明らかにドル安はわれわれにとり良いことだ。貿易や各種機会に関わるからだ」と述べ、ドル安を歓迎する姿勢を示した(ロイター)。

 たしかに、1985年のプラザ合意などを見るまでもなく、米国としては本音を言えばドル安歓迎というところではあろう。この発言を受けて、外為市場ではドルが全面安の展開となった。

 ムニューシン財務長官はこれに加えて「長期的には強いドルは米国経済力を映す。ドルは主たる準備通貨である」とバランスを取る発言もしていた。さらにロス商務長官は、このムニューシン財務長官のドル安容認とも取れる発言について、長年にわたる強いドル政策の転換を表明したわけではないと述べ、火消しに走った格好となった。しかし、市場は今回のムニューシン財務長官による発言はドル安容認と取らざるを得なかった。

 トランプ政権が米国第一主義を取っているとは言っても、「「米国第一は各国と協力しないという意味ではない」(ムニューシン財務長官)。つまり、為替政策に関しては相手国のこともことも考慮する必要がある。これについてロス商務長官は、貿易相手国の不適切な行動が、米国の対応を引き起こしたと主張した。ロス氏は、多くの国は、自由貿易を語っているが、実は非常に保護主義的な行動をとっている、との見方を示した(ロイター)。

 このロス長官の発言もトランプ政権の意向を反映したものと言えた。なかなか言えなかった本音がトランプ大統領も出席するダボス会議で、財務長官や商務長官から出てきたことは注意すべきで、トランプ大統領からも同様の趣旨の発言が出てくることも予想された。

 ところがである。トランプ大統領はダボス会議ではなく、米CMBCテレビのインタビューに答えるかたちで、「米国経済は非常に力強い。絶好調だ。それゆえドルはどんどん強くなるだろう。最終的に私は強いドルを好む」と答えたそうである。その前にこのインタビューでTPP交渉の再検討も示唆していたのである。

 ムニューシン財務長官によるドル安容認発言の真意は、トランプ大統領の露払いとの見方もあり、その可能性は否定できなかった。ルービン時代から続いていた形式だけの表明は止めて、本音を出してきたとも言えるが、これは相手国、つまり日本などにとっては難しい対応を迫られることになる。つまり、円高要因となりうるような行動が取りづらくなる。

 ところが、トランプ大統領は自らの発言でムニューシン財務長官によるドル安容認発言を否定した。ドラギECB総裁がユーロは誰かのコメントのせいで上昇した面もあると発言したり、IMFのラガルド専務理事がムニューシン財務長官に説明を求められたりしたとも伝えられていたが、何らかの力が働いてのトランプ大統領の発言であった可能性もあるが。よくわからない。これがトランプ政権のやり方なのであろうか。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-26 10:28 | 為替 | Comments(0)

12月に都銀と海外投資家が国債を大きく買い越しに

 1月22日に発表された12月の公社債投資家別売買高によると、都銀は1兆7122億円の買い越しとなっていた。11月は売り超しとなっていたが、再び1兆円を超す買い越しに転じた。国債の投資家別売買高をみると都銀は中期債を1兆円を超す買い越しとなっており、超長期債も買い越していた。中期ゾーンの買い越しは日銀トレードに向けたものか。

 海外投資家は12月に2兆147億円と2兆円を超す買い越しとなっていた。11月は1兆8565億円の買い越しとなっていた。国債の投資家別売買高をみると、海外投資家は中期債主体の買い越しに。

 「その他」は1兆8917億円と11月の円の2兆5746億円の売り越しに続いて、大量売り越しが継続。今回も中期と超長期をそれぞれ1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -17122(-6511、1362、-11450)

地方銀行 -262(944、-495、885)

信託銀行 -2275(-5077、2431、781)

農林系金融機関 -3078(-2515、-58、4)

第二地銀協加盟行 574(102、343、266)

信用金庫 -631(676、485、0)

その他金融機関 -516(419、190、5)

生保・損保 -2407(-2534、381、52)

投資信託 -409(45、100、-58)

官公庁共済組合 -85(-4、-18、0)

事業法人 -1630(-8、-251、0)

その他法人 -693(-80、-62、204)

外国人 -20147(-83、-3431、-15634)

個人 123(3、-7、3)

その他 18917(12770、-652、12327)

債券ディーラー 671(323、448、-50)

 12月の全体の国債売買高は182兆円程度となり、11月の203兆円程度からは減少した。

 12月の債券相場は欧米の国債の下落などもあり、上値の重い展開となった。しかし、日銀のイールドカーブコントロールが効いていることで大きくは崩れず、債券先物は150円台後半から150円台半ばあたりを主体のもみ合いとなっていた。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-25 09:30 | 債券市場 | Comments(0)

パウエル議長となってもFRBは正常化路線を継続か

 米議会上院は23日にFRBの次期議長にFRB理事のジェローム・パウエル氏(64歳)を充てる人事を承認した。2月3日に任期が切れるイエレン現議長の後任となる。

 ジェローム・パウエル氏はワシントンD.C.出身、所属政党は共和党。ディリオン・リード&カンパニーという投資銀行で役員を務め、ジョージ・W・ブッシュ政権で財務次官補(国内金融担当)や財務次官を歴任。1997年から2005年までカーライル・グループ共同経営者となった。2012年に連邦準備制度理事会(FRB)の理事に就任、2014年6月16日に再任された(任期は2028年1月31日まで)。

 パウエル氏は昨年11月の議会の公聴会で、政策金利を「さらに幾分か引き上げることを想定している」と述べ、景気過熱を防ぐためにも利上げが必要との認識を表明した。これまでのイエレン議長の正常化に向けた動きをフォローする立場にあったともみられ、イエレン議長が敷いた正常化路線を継承するとみられる。

 パウエル氏はコンセンサスづくりに重点を置く性格の人物との評もあるようだが、まさにこれはFRB議長として適していると思われる。過去のFOMCでは反対票を投じたことが無いとされている。

 「ミスター普通」とも称されているようだが、それでもパウエル氏は実務経験が豊富なだけに、市場では今後タカ派的なイメージを持たれる可能性もあるのではなかろうか。とはいえ今後、利上げピッチを早めたり、保有資産の圧縮スピードを過度に高めるようなことをするとも考えづらい。このあたりについてはコンセンサスを重視した動きとなるとみられ、慎重姿勢を貫こう。

 また、銀行規制には反対の立場を明確にしており、このあたりはトランプ政権の考え方に近いものがある。ただし、FRBが実際に金融規制改革を行うにあたっては、金融規制担当の副議長に就任したランダル・クオールズ氏が存在しており、クオールズ氏の意向も強く反映されることも予想される。

 ただし、注意すべきはFOMCのメンバーがいまだ固まっていないことである。フルメンバーとなった際にどのようなバランスとなるのか。トランプ政権の意向がどの程度反映されるのか。いずれにしても路線は大きく変わらずとも、トップが変わることは事実であり、FRBの政策に何かしらの変化が生ずる可能性もあるため注意しておきたい。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-25 09:30 | 中央銀行 | Comments(0)

米政府機関の一部閉鎖による影響は限定的か

 米議会上院では与野党が移民政策をめぐって対立し、新たな暫定予算案が可決されず、1月20日に政府機関が一部閉鎖される事態となった。これはオバマ前政権の2013年10月以来、4年ぶりの事態となる。

 これを受けてニューヨークの「自由の女神像」の公開が一時中止され、国防総省が米軍基地の関係者などに向けて放送しているラジオがサービスを停止するなど影響が出始めていた。また、週明け以降は国の安全や国民生活に直結する業務の担当者らを除いて多くの政府職員が自宅待機を命じられるなど影響が拡大する見通しとなっていた。

 ところが、米議会上院の与野党の幹部は、来月8日までの暫定予算案を可決させることで合意し、20日以降続いていた政府機関の一部閉鎖の解除に向けて前進した。今回はどうやら短期間の政府閉鎖で済みそうな状況となっている。

 米国での予算が成立しないことによる政府機関の閉鎖は過去何度か起きていた。直近では2013年10月にオバマ前政権の医療保険制度改革法(オバマケア)向け支出を巡り、ねじれ状態となっている米国議会で次年度予算が成立せず、与野党の対立が解けないまま、およそ18年ぶりとなる政府機関の一部が閉鎖される事態が発生した。

 この際の16日に及ぶ米政府機関の一部閉鎖による経済への影響については、第4四半期の成長率に対し0.2%から0.8%の影響が及ぶとの予測数値が金融機関などから出ていたが、実際にはそれほどの影響はなかったとの見方がある。当時のWSJが次のように報じていた。

 「閉鎖が米経済に影響するには二つの経路がある。一つは閉鎖が与える直接的影響、自宅待機となった職員に賃金が払われず、国立公園を訪れた観光客が土産物を買うこともなく、製品の輸出が止まり、政府機関で書類が滞ってしまったために不動産取引も完了できない、などだ」(WSJ)

 ところが、実際には賃金は支払われているケースが多く、個人消費に悪影響を与えるほどのものではなかった。国立の博物館の閉鎖などによる影響も同様であろう。むろん消費者が不安を感じて消費を控える恐れもあったが、閉鎖解除後の株価などの動きなどを見る限り、それはあくまで一時的なものであった可能性が高い。WSJは1995、96年に政府機関閉鎖があった時、信頼感は急落したが、実際の消費支出にはほとんど影響しなかったと指摘している。

 今回についても19日の米国市場では、米政府機関閉鎖の可能性が懸念されていたものの米株は買われ、米債はむしろ売られて米10年債利回りは2.66%に上昇していた。もちろん政府機関の一部閉鎖が現実となったことで、その影響が週明け以降大きくなっていくと、株が下落しリスク回避から米国債は買い戻される可能性はあった。しかし、実際にはそれほど長く政府機関の一部閉鎖が続くことも考えづらく、現実にそうなりつつある。市場も過去の動向なども振り返り、それほど大きな動意を見せることはないと思われる。ただし、予想外の事態が発生するとまさにテールリスクとなりうることにも注意しておきたい。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-25 09:29 | 財政 | Comments(0)

今年のFOMCメンバーはいろいろと入れ替わりも

 米国の金融政策を決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁の計12名が投票権を持っている。このうち理事とニューヨーク地区連銀総裁は常任メンバーとなり、投票権を持つ地区連銀総裁の4名は毎年入れ替わる。

 2018年のFOMCでの投票権を持つメンバーは誰なのか。実はこのメンバーがいろいろと入れ替わることになる。まず現在の議長はイエレン氏であるが、すでにイエレン議長は今年2月に退任することが決まっている。つまり1月30日から31日のFOMCが議長として最後となる。2月からはパウエル理事が議長に就任し、3月のFOMCからはパウエル体制で望むことになる。

 副議長は昨年10月に就任したクオールズ氏(銀行監督担当副議長)。もうひとりの副議長については、トランプ政権による人選が行われているようだが現時点では未定となっている。

 理事は1月のFOMC開催時はパウエル理事とブレイナード理事、そして10月に就任したグッドフレンド理事となる。2月からはパウエル理事が議長となり、イエレン氏は理事職も辞すると表明しているため、理事の空席がさらに増える。

 常任メンバーであるところのニューヨーク連銀のダドリー総裁は、2019年1月の任期を前倒しして、18年半ばに退任すると発表している。このため、こちらも入れ替わる可能性が高い。このように今年は中核メンバーがかなり入れ替わる。

 2018年に投票権を持つ地区連銀総裁は、メスター・クリーブランド連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁となる。もうひとつのリッチモンド連銀の総裁は昨年までラッカー氏が務めていたが、2017年4月に辞任した。その後、コンサルティング会社マッキンゼーのトーマス・バーキン氏が同連銀により指名され、今年1月に総裁に就任している。

 トランプ政権は今後、空席となっているもうひとつの副議長と残りの理事の人選を行うとみられるが、すべての空席が埋まるかどうかはわからない。

 このようにメンバーの入れ替わりはあっても、現在のイエレン議長の路線は継承されることが予想されている。米国経済の拡大もあり、淡々と利上げを行ってこよう。2018年内では昨年と同様に3回程度の利上げが予想されている。2019年も3回程度の利上げが予想され、長期の中立金利見通しである3%に達成させるとしているが、物価動向など次第の面もある。また、昨年10月からスタートしたバランスシートの縮小ペースについても議論されることが予想される。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-25 09:28 | 中央銀行 | Comments(0)

今年の金融市場のびっくり予想を総括、日経平均の3万円や米長期金利の3%はあるのか

 今月のこのコラムでは、いくつかの今年のびっくり予想を書いてみた。今回はそれらをまとめて見てみたい。コラムのタイトルは以下の通り。

「マイナス金利政策の修正の可能性」

「もし原油先物が100ドル台回復となれば日銀の物価目標達成も?」

「2018年のビックリ予想、日銀の物価目標達成!」

「2018年のビックリ予想、日経平均の3万円台達成!」

「今年のびっくり予想?米国の長期金利の3%台回復」

 実はこれらはひとつの大前提に基づいた予想となっている。それは世界経済の拡大に伴うものとなる。その前提通りとなれば、これらはびっくり予想というよりも、メインシナリオとなりうる。

 米国の株式市場は主要3指数が最高値を更新するなど絶好調。FRBが利上げをしているにも関わらずである。というよりも、FRBが利上げを含めた正常化に着手できるほど景気が回復しており、それが株価に反映されているといえる。FRBも金融引き締めというよりも、あくまで非常時の対応としていた過度の緩和策からの脱却といえることで、景気も正常化してきたと言える。それが今年は更に拡大傾向にある。

 東京株式市場も世界的な景気拡大を背景に日経平均は1991年11月18日以来の24000円台回復となった。新元号のスタートや東京オリンピックという大きなイベントも控え、このまま日経平均が上昇基調を継続させて、30000円の大台を回復するというシナリオもサブというよりも現状、メインシナリオにもなりうるのではなかろうか。

 この世界経済の拡大とOPECなどの減産などを受けて、じりじりと上昇しているのが原油価格である。原油価格の上昇は物価の上昇要因ともなる。WTIのチャートからは次の節目は100ドルあたりとなり、そこを目指して上昇する可能性がある。

 景気の回復とともに物価が上昇してくれば、正常化に慎重となっていたECBも舵を切り替える可能性があり、資産買入の終了とともに利上げの可能性も指摘されている。

 日本の物価に関しても、内閣府は18日に発表したミニ白書で、需給ギャップがプラスに転じ、企業物価の「消費財」が大きく上がった昨年夏から半年後の今年前半にも物価がさらに上昇するという可能性を指摘している。ここに原油価格の上昇も加われば、消費者物価指数が2%に向けて上昇してくるというシナリオも描けないわけではない。もし1%台後半あたりまでCPIが上昇するとなれば、日銀は引き締め策というより、微調整という意味で、マイナス金利政策の修正などを行ってくることも期待したい。そうなれば銀行の業績にも好影響を与える可能性が出てくることで、株式市場はこれを好感することも予想される。

 世界経済の拡大と物価が上昇するとなれば、なかなか上がりそうで上がらなかった次の節目となる3%に向けて上昇してくることも予想される。すでに米国の長期金利は2.62%の節目を突破してきている。米長期金利の上昇は欧州の長期金利にも影響を与えるだけでなく、日本の債券市場にも影響を与えよう。そうなると日本の債券市場も日銀のコントロール下での落ち着いた動きが今後も継続するのかどうかは、かなり怪しくなってくる。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-20 11:19 | 金融 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー