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LIBOR問題に関しての日銀総裁発言

 12日の金融政策決定会合後の日銀総裁会見において、LIBORの不正操作に関する質問が記者からあった。これについて白川総裁は、「ドルLIBORとEURIBORを不正に操作したとされ、今般、英米当局から処分を受けたことは承知しています。ただし、本件については、関係当局による調査が続けられている段階にあると理解しており、私の立場からコメントするのは適当ではないと思います。」とコメントしている。さらに下記のような発言もあった。

 「LIBORもTIBORも、金融市場における重要な金利指標であり、こうした不正操作は、金融市場の公正性に対する信頼を損ない、市場メカニズムの健全な発展を阻害しかねない大変深刻な問題です。金融機関においては、こうした不正を防止できるような体制を確保するとともに、金利指標の作成に関わる諸機関が、指標の信頼性を確保できる枠組みを整えることが、金融市場への信認確保にとって重要と考えています。」

 問題の元になっている金融機関のみならず、「金利指標の作成に関わる諸機関」に対して信頼確保のために体制作りを促しているが、この諸機関とはLIBORについては英国銀行協会(BBA)のことを指すと思われる。

 「米国の金融当局は、2007年当時に不正操作を把握していたとのことですが、日本銀行は不正操作を把握していたのでしょうか」との質問が出ていたが、これについて白川総裁は、「米国、あるいは英国もそうですが、個々の金融機関の不正行為の有無を検証するのは規制監督当局だと思います。日本銀行は行政上の規制監督当局ではありませんので、個々の金融機関について不正行為があったかどうかを直接検証する立場ではありません」と答えている。

 この質問をした記者の意図は、LIBORの不正に関してイングランド銀行やニューヨーク連銀がそれを把握していたのではないかとの見方もあり、日銀もその情報を共有していたのかとの問いであったのではないかと思う。しかし、それについて白川総裁は、個々の金融機関の不正行為の有無を検証するのは規制監督当局であり、日銀は規制監督当局ではないため、不正行為があったかどうかを直接検証する立場ではないとした。ちなみにイングランド銀行のキング総裁も、17日の議会証言にて、「2週間前に英金融サービス機構(FSA)が報告書を提出した際に、LIBORの操作問題について初めて知った」と述べている。

 日銀がこの問題を把握していたかどうかについては、FRBやBOEとの情報共有等の状況含めて知りたいところではあるが、問題が大きくなり、当然ながら白川総裁もキング総裁も迂闊には答えられない問題でもあろう。ただし、様々な金利の動向について、中央銀行の立場から注意深くみていることは確かであり、LIBOR動向についても関心を持ってみていたことは十分に考えられる。

 さて、総裁は日銀は規制監督当局ではないとしていたが、日本の規制監督当局とは金融庁となる。しかし、日銀も金融システムの安定(信用秩序の維持)を図るための手段のひとつとして、金融機関に対して考査や日々のオフサイト・モニタリングなどを行っている。

 日銀の金融機関に対する考査は、日銀が金融機関との契約(考査契約)に基づいて行っているものであり、行政権限の行使として行われている金融庁の検査とは法的な位置づけが異なっている。

 また、考査結果については、日銀は考査に関する契約および日本銀行法第29条によって守秘義務を負っているため公表されない。また、考査は金融庁検査と異なり行政権限の行使ではないため、金融機関に対する法律上の罰則はない。しかし、金融機関に対して、業務改善に関する指導や要請を行っている。

 考査先金融機関が正当な理由なく考査や情報提供を拒絶した場合などには、日銀がその事実を公表することもある。さらに、日銀がその金融機関との当座預金取引を解約することもありえる。もし、そうなった場合には金融機関にとっては日銀と取引ができなくなるという、罰則以上に深刻な事態となる。
(拙著「最新短期金融市場の基本とカラクリがよーくわかる本[第2版]」原稿より)

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by nihonkokusai | 2012-07-18 09:27 | 日銀 | Comments(0)

超過準備の付利引き下げの可能性が後退、追加緩和カードは増加

 7月12日の金融政策決定会合で、日銀は基金を通じた期間の組み替え等を行った。つまり、固定金利方式・共通担保資金供給オペ等で未達となるケースが多く出てきたことから、固定金利方式・共通担保資金供給オペを5兆円減額し、その分、短期国債買入を5兆円増額する。さらに、短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃。固定金利方式・共通担保資金供給オペの期間で3か月、6か月の区分をなくして6か月以下にした。

 これは基金を使っての日銀の資金供給における期間をやや長めにしようとするものであり、取り方によっては追加緩和とも取れなくもない。しかし、今回の決定会合後に発表された公表文のタイトルが現状維持の際の「当面の金融政策運営について」となっており、また総裁の会見でも今回の目的が「日銀による金融緩和の強化を予定通り着実に実施することを担保するもの」としており、日銀としては追加緩和という認識ではない。

 今回の変更の目的は、固定金利方式・共通担保資金供給オペでは資金供給がなかなか目標通りに進まなくなってきたことで、短期国債の買入でその分を補おうとするものである。このため、短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃し、日銀の買入額の増加を図ろうとしたものである。

 ここで注意すべきは、基金による短期国債の買入下限金利撤廃は、日銀の超過準備の付利の引き下げには直接結びつくものではない点である。昨日の白川総裁会見も、「付利の引き下げは考えていない」とはっきり答えている。むしろ、短期国債の買入下限金利撤廃は「付利金利の引き下げを遠くする」ものとの見方がある(以下、許可を得て7月13日「朝のドラめもん」を参考にさせていただきました)。

 今回の措置は、日銀による短国買入の残高を積みやすくさせる為の措置であり、もし超準備の付利を引き下げてしまうと、短国を保有する金融機関(準備預金制度の対象となる金融機関)が日銀に売却するインセンティブがなくなってしまう。つまり付利が継続されれば、銀行などは保有している短国を日銀に0.1%以下で売却し、その売却資金を日銀に預け0.1%で運用することができる。

 日銀に準備預金を積まなければいけない金融機関は、その超過準備の部分に0.1%の利子が付くため、特別な事情がない限り、資金運用のため0.1%を下回る利回りの短期国債を購入する必要はない。このように超過準備の付利が存在していることで、0.1%以下の利回りで短期国債を購入する投資家は限定されている。この投資家とは、例えば準備預金制度の対象外の投資家、海外投資家とか投資信託とかであり、また決算対策等の事情で購入せざるを得ない投資家などがある。そして今回、この短国を0.1%以下で購入しなければならないという投資家に、日銀が新たに加わることになる。

 このように今回、基金による買入をよりスムーズに行うための措置が取られ、その一環として短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃したが、これは超過準備に対する付利の引き下げを意識させるものではなく、反対にその可能性をむしろ後退させるものと言える。

 さらに、今回の措置により日銀が短期国債をさらに購入しやすくなった面があるため、基金による短期国債の買入余地が広がることも意味する。つまり基金の増額というカードを増やすことも可能となる。今回の日銀の措置は基金による買入をスムーズにさせることに加え、将来の追加緩和も見据えた措置とも言えるものであろう。


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by nihonkokusai | 2012-07-14 10:42 | 日銀 | Comments(0)

情報漏洩を防ぐには

 市場が注目している経済指標の内容を事前に知ることができれば、それが大きな利益を得られる可能性がある。ただ、たとえ数字を掴んでいても市場がどのように反応するのかをかなり正確に予測できないと、数字を知っていても儲けられるとは限らないが。特にアルゴリズム取引と呼ばれるコンピューターを用いた取引に携わるトレーダーなどにとり、発表時間より一瞬でも前に知れば、それを元にトレードも可能となろう。

 このような情報漏洩があれば、それは違法な行為であることに間違いはない。11日付けのロイターによると、データ漏えいの可能性に関する連邦捜査局(FBI)や米証券取引委員会(SEC)からの警告を受けた米労働省が、経済指標の発表に関するセキュリティーを強化したことが、米政府のウェブサイトに掲載されたリポートで明らかになったそうである。

 一部の金融機関が指標の発表前に労働省のプレスルームにアクセスしてデータを見た上で、金融取引を通じ利益を得ているとの懸念が強まったという。

 米国の多くの省庁でも、当然ながら経済指標を発表する際、解禁時間前のデータ発表を禁じる厳しいルールを策定している。プレスルームに集まるメディアの記者に対し、発表時間までコンピューターや電話回線の遮断を義務付ける「ロックアップ」と呼ばれる手続きを採用している(ロイター)。

 サンディア国立研究所のリポートによると、当局者らは一部のメディアとアルゴリズム取引を行うトレーダーとの関係が近過ぎることを懸念しているという。

 情報漏洩は結局は人が行うものである。もちろん雇用統計の数字を米労働省のコンピューターにハッキングして盗み出すことも絶対に不可能ではないかもしれないが、それにはかなり高度な技術も要求される。そこまでしなくても、発表時間前に見られる者から情報を得た方が簡単ではある。

 このリポートは、実際に経済指標が事前にリークされたことを裏づける証拠は示していないが、プレスルームのロックアップのプロセスにアルゴリズム取引を行うトレーダーが存在していることにあると指摘しているそうである。

 メディアは、プレスルームに入る前にポケットを空にし、持ち物をロッカーにしまうよう命じられているそうであるが、スパイ映画ではないが情報を外部に伝達するハイテク手段はいろいろと存在する。プレスルームの記者を疑うわけではないものの、情報漏洩への懸念が存在する以上は、セキュリティーをより強化することも重要となろう。

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by nihonkokusai | 2012-07-13 09:42 | 投資 | Comments(0)

今日の決定会合の結果は現状維持で追加緩和ではない

 7月11日から12日にかけて開催された日銀の金融政策決定会合では、金融政策は全員一致で現状維持となった。ここで注意すべきは伝統的手段と非伝統的手段のふたつをみることで、政策金利である無担保コール翌日物の誘導目標値を0~0.1%程度に誘導するというゼロ金利政策は伝統的手段の方であり、基金により買い入れる資産の規模を増額するなどの非伝統的手段での追加緩和があったかどうかもチェックする必要がある。

 今回、このことで一部勘違いが発生し、市場で一時混乱するような事態となった。つまり追加緩和が決定されたと市場が勘違いし、ドル円が80円近くまでつけ、日経平均も下げ幅を縮小させ、債券先物も一気に買い上げられていた。

 これは今回、固定金利方式・共通担保資金供給オペ等で未達となるケースが多く出てきたことから、固定金利方式・共通担保資金供給オペを5兆円減額し、その分短国買入を5兆円増額することとした。さらに、短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃。固定金利方式・共通担保資金供給オペの期間で3か月、6か月の区分をなくして6か月以下にしたのだが、これが一部で追加緩和と受け取られたようである。

 これにはベンダーから、短国買入を5兆円増額と短国買入の入札下限金利の0.1%を撤廃の部分がフラッシュニュースで流れ、基金増額とともに超過準備の付利引き下げかとの勘違いも引き起こしていた可能性がある。しかし、今回の措置はあくまでオペ等での未達を防ぐことが目的であり、日銀は追加緩和という認識ではない。このあたり、公表文の内容を確認すればわかることでもあるが、その公表文のタイトルでも判断が可能となる。つまり、現状維持の公表文のタイトルは主に「当面の金融政策運営について」となっていることに気が付いていれば、混乱は防げたはずである。ちなみに追加緩和の際には、「金融緩和の強化について」といったタイトルがつけられている。

 今回の対応は短い期間のオペの未達が発生していたことで、3か月、6か月の固定金利方式・共通担保資金供給オペの金額と期間を変更させ、それよりは長い期間が可能な短国の買入をその分増加ざるとともに、短国買入の入札下限金利の制限を撤廃することで、さらなる金利低下を可能とさせ、こちらも未達を防ぐことになる。結果としては、1年以下の金利のなかでのツイストみたいなものではあるが、あくまでこれは技術的なものであるとの見方で良いと思うし、日銀もそのような認識であったと考えられる。

 今回の日銀の金融政策については、ECB、BOEやデンマーク中銀、さらに中国、ブラジルや韓国での追加緩和もあり、日銀の追加緩和を期待する声もあったようであるが、そもそも追加緩和そのものの可能性は薄いとみられた。

 これは7月の短観やさくらレポートの内容が良く、「わが国の経済は、復興関連需要などから国内需要が堅調に推移するもとで、緩やかに持ち直しつつある」との認識であるならば、これらの発表からあまり日が経ってない段階で、追加緩和を行う環境にあるとは言いづらい。もちろん、この景気回復を後押しするという無理矢理な理屈をつけることは可能ではあろうが。

 それよりも注目すべきは、FOMCのスケジュールである。つまり7月31日から8月1日にかけてのFOMCでもし追加緩和、それもQE3などが決定されるようであれば、それはドル円相場等に大きく影響し、当然ながら日銀への追加緩和圧力が政治家を含めて掛かってくる可能性が極めて高い。それならば、そのFOMCを確認したあと、8月8日~9日の金融政策決定会合で基金の5兆円規模の増額等を決めれば良い。また、臨時会合を開催する手段もある。しかし、基金の国債買入規模の5兆円増額(ETFとJ-RIETもあるか)のカードを使ってしまうと、すぐに出せる2枚目のカードがない。来年6月までの国債買入をみると、現在の買入規模を考えればあと5兆円程度の増額は可能であるが、さらなる基金の増額は現時点ではできれば温存というか避けたいところでもあろう。

 とにかくも、このような状況であるため、7月31日から8月1日にかけてのFOMC次第の側面はあるが、8月の会合での日銀による追加緩和の可能性はそれなりに高いとみている。


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by nihonkokusai | 2012-07-12 17:40 | Comments(0)

拡大するLIBOR不正操作問題

 LIBORの不正操作に関しては、すでに英国では大騒ぎとなっているようで、少し遅れて日本でもマスコミ各社が報じるようになり、朝のワイドショー番組でも取り上げられていたそうである。

 バークレイズのボブ・ダイヤモンド最高経営責任者(CEO)が結局、辞任に追い込まれたが、そうせざるを得なくなるほど英国での世間の目がこの問題に集中していたとも言える。これをきっかけにLIBOR問題はさらに拡大する可能性が出てきた。

 2008年の秋、つまりリーマン・ショック等により市場が大混乱に陥り、銀行間取引等も成り立たないような状況で、実勢レートそのものが掴めず、ある程度高いレートを提示せざるを得なかった。しかし、それはそれで高いレートを出さなければ資金が取れないと疑われることにもなり、外部からそのレートを見ている者がそのレートを提示した銀行が危ないとの認識を持ちかねない。

 そこでイングランド銀行のタッカー副総裁が、その金利の高さについて懸念を示し、それを意識して、提示する金利を引き下げたというのは、ある意味致し方のないところとも言える部分はある。あのときはそれほど緊迫した異常事態であった。

 しかし、これはこれで実勢利回りと提示される利回りで乖離が生じてもおかしくはないとの認識にも成りかねず、これはLIBORという金利そのものへの信頼喪失に繋がりかねない問題でもあった。

 まして、英米当局は1年以上にわたる捜査で、バークレイズが2005~2009年に虚偽申告を繰り返し、経済の実態とかけ離れてLIBORを上げ下げしたと結論づけており、この調査では、バークレイズのトレーダーがLIBOR担当者に「1か月物と3か月物の数値をできる限り高くしてほしい」と頼んだメールも見つかった。

 つまり非常時の対応以前にこのような不正がすでに行われていたことが明らかとなっていた。現実にこの不正によりどのような仕組みで利益を得ていたのかがはっきりしていないが、このあたりもいずれ明らかになろう。ただし、このような操作をしようとするのであれば、バークレイズ一行では無理である。そもそもLIBORの金利は、上下4行を除いたもので計算される仕組みであり、もし操作するのであれば、ある程度銀行数行が結託して行う必要がある。

 たとえば昨年、金融庁は「TIBOR」を不正操作しようとしたとして、シティグループ証券とUBS証券を行政処分した。自社の取引に有利になるよう恣意的に金利を提示することを複数の銀行に働き掛けていたそうである。このように単独の銀行では操作そのものが無理である。

 ちなみにLIBORに対し、日本においてこれに相当するリファレンス・レートが、このTIBOR(東京銀行間取引金利)である。日本時間午前11時時点の、特定銀行のオファードレートを、全国銀行協会が集計して平均値を公表している。

 LIBORの不正操作問題では、CFTCなど米英の監督当局が、ドイツ銀行、RBSなど約10行に調査を拡大したとも報じられている。また、この問題に関連して、三菱UFJフィナンシャル・グループはロンドン勤務のトレーダー2人を停職処分にしたと報じられた。この2人は以前に金融当局の調査を受けているとされるオランダのラボバンクに勤務していたそうである。

 そしてロイターによると、ニューヨーク連銀が2007年8月ごろ、LOBORなど世界の基準金利が操作されている事実を認識していた可能性があるそうである。これにより米上院銀行委員会は7月中に公聴会を開き、ガイトナー財務長官とバーナンキFRB議長の証言を求める考えを示した。ガイトナー財務長官は当時、ニューヨーク連銀総裁を務めていた。

 LIBOR不正操作問題は次期イングランド総裁候補と言われるタッカー副総裁が関与したようであり、さらにガイトナー財務長官もこの不正操作を認識していたとなれば、それを結果として放置し、対策を講じなかった責任が問われる可能性もある。このLIBOR不正操作問題は欧米の大手銀行の経営そのものにも影響しかねず、さらに欧米の金融当局にも波及するなど、問題が深刻化しかねない。今後の動向にも注意を払う必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2012-07-12 09:47 | 国際情勢 | Comments(0)

国債の利回りが預金金利より高いのは変なのか

 高橋洋一氏がZAKZAK(産経新聞計のネットサイト)に連載「日本」の解き方、「国債利回りが預金金利より高いのは変!」をアップしている。内容を読むとどうやら個人向け国債の話のようなのだが、何点かおかしなところがあったので、そこを指摘しておきたい。

 最初に8月に発行する個人向け復興国債の条件について指摘しているが、何故、このタイミングなのかがひとつ疑問であった。確かに個人向け復興債の3年利付のものは毎月発行されているが、積極的にCMなどを流して金融機関も販売に力を入れているのは、四半期毎に出る5年固定と10年変動の募集のタイミングであり、そのときのほうが世間の関心度も高いと思うのだが、これはいろいろと事情があったかもしれない。

 8月の3年物(固定金利型)の金利は年0.07%で過去最低の金利だった7月と同じ利率、昨年12月の販売から個人向け国債が復興国債に改称され、滑り出しは好調だったが、最近の販売は低調だというのもその通り、個人向け復興債3年物の金利0.07%が、3年物の市場実勢というか基準金利が0.1%だったのでそれから0.03%を差し引いているのも確かである。3年物の利率を決定する基準金利とは、募集期間開始日の2営業日前において、市場実勢利回りを基に計算した 期間3年の固定利付国債の想定利回りのことを示す。

 なぜ0.03%を引くかについて、財務省のホームページでは「中途換金などの商品性を総合的に勘案することが必要」とある。債券では、通常の場合、中途換金は売却によって行われ、その時の市場実勢によっては額面どおりの金額が受け取れない場合もあるというご指摘もその通り。市場実勢利回りが購入当初より高ければ額面割れする。一方、市場実勢利回りが低ければ、額面以上で売却できるので中途換金で得をした気分になるとの指摘は、やや微妙。得をした気分との表現は現実には途中売却にあたって業者は手数料相当分を差し引くことが多いため、たとえ購入時より利回りが低下していても必ず得をするとは限らないので、「得をした気分」というな表現となったのかもしれない。得する場合もあるので念のため。

 個人向け国債の場合には、中途換金で額面割れや額面以上が出ないようにしている。いってみれば、個人向け国債の購入者に中途換金での価格変動リスクを負わせないが、その対価として金利が0.03%低くなるという考えというのも、ある意味確かである。ただし、途中売却ができない期間があるなど、やや説明不足である。

 ただし、「中途換金するかしないかは購入者に依存するわけで、中途換金する場合、価格変動リスクを負ってもいい人や中途換金しようと思わない人には0.1%、中途換金する場合、価格変動リスクを負いたくない人には0.07%という個人向け国債を二本立てにする商品設計も可能だ。そのほうが購入者を一律に扱う現行の方法よりまともだろう。」はもう少し調べてからコメントすべきはなかろうか。

 個人が買える国債は個人向け復興債だけではない。価格変動リスクのある通常の国債を個人が購入することも当然可能であり、また新窓販国債として価格変動リスクがある2年債、5年債、10年債が発行されており、3年債はないが個人向けの国債はすでに二本立てになっている。

 「このような個人向け国債の商品設計自体の問題もあるが、金融機関の預金金利にも問題がある。最近は、ネット銀行などで国債金利を上回る預金金利を持つ定期預金が出てきたが、依然として大手銀行などでは預金金利が低い。例えば、大手都市銀行の3年物定期預金金利は0・04%だ。」

 預金金利が低いのは、そもそも景気物価等により日銀が短期金利をゼロ近辺に抑えていることが要因であるとともに、銀行が定期預金などでは金利変動リスクを負っている事に加え、銀行の収益が貸出金利や国債金利の利ざやとなるためであり、さらに定期性預金の預金保険料率も加味する必要があるなど、この預金金利の設定そのものは銀行も商売をしている以上は致し方のないものであろう。さらに。個人向け国債は発行されてから1年間は売却ができない。さらに途中売却時には直前2回分の利子、つまり1年間分の利子がペナルティとして差し引かれる。それも加味しての説明も必要であろう。

「となると銀行としては、個人向け国債を販売するインセンティブは出てこない。3年物の国債であれば、0・1%の運用ができるので、0・06%の利ざやになるからだ。リスクの少ない国債に投資して利益が出るのだから銀行としておいしい。」

 この部分の意味がわからない。銀行が個人向け国債を販売する目的は、ひとつは顧客の資金を銀行に引き留めることであるとともに、個人向け国債を販売する大きなインセンティブが存在するためである。復興個人向け国債、復興応援国債ともに、10年債・5年債は50銭。3年債は40銭の手数料を銀行など販売会社は得られる。このことは財務省のサイトには載っていなかったかもしれないが、元財務官僚であり理財局にもいた方であれば、ある程度想定できたのではなかろうか。さらに、銀行は低い金利で資金を得て、少しでも高い国債に投資すれば利ざやが抜けるというのはあくまで運用の話であり、国債の販売とは直接に関係のある話ではなかろう。また、これに関しては知り合いのトレーダーが、このような指摘もしている。ご本人の許可を得て掲載させていただく。

 現在の定期性預金の預金保険料率が0.082%ですので0.04%で調達した3年定期預金の預金保険料込みのコストは0.122%となりまして、残念ながら単体で赤字(実際はこれに各種事務コストが載ります)(某メモより)

 「ただし、よく考えてみれば、信用力で国より劣る銀行預金の金利が国債金利より低いのはおかしい話だ。これまで財務省が本格的な個人向け国債を作らず個人投資家を軽視して、金融機関向け消化に依存してきた歪みが出ているのだろう。」

 そもそも昔あった国債引受シンジケート団での証券引き受け分は個人向け消化分との認識であったはずである。しかし、証券会社の国債販売は手数料が他商品より低いなどしたことで積極的ではなかった経緯がある。販売裾野を広げるため、もう少し早めに個人向け国債を作るべきとの意見は、確かにそうであったかもしれないが、個人向け国債がなかったから銀行預金金利が低く抑えられていたわけでもなかろう。預貯金の金利の低さは信用力による影響も当然あるが、それ以外の要因も大きいのである。

 「国債は銀行預金より金利が高くてより安心という事実をもっと国民が知る必要がある。知らないと金融機関ばかりが濡れ手で粟だ。」

 この意見については、特に前者については同意であり、その事実はぜひ元財務官僚としても広めて頂きたい気がする。ただし、果たしてこのままずっと大量の国債を保有している金融機関が濡れ手で粟となり続けるのかどうかは多少疑問もある。

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by nihonkokusai | 2012-07-11 14:36 | 国債 | Comments(0)

日本国債への海外からの買いは継続中

 財務省は7月9日に5月の国際収支(速報)を発表した。これによると経常収支は前年比62.6%減の2151億円の黒字となった。前年比では赤字に転じた1月を除いて2011年12月以来の大幅減となった。これは貿易赤字が拡大したことに加え、所得収支の黒字幅が縮小したことが影響した。

 ただし、この所得収支の黒字幅縮小は、海外企業の本邦進出形態が支店形態から現地法人形態に変更されたことによる一時的な要因とみられる(ロイター)。

 国際収支の発表には、付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている。このうち5月の対外・対内証券投資を確認してみたい。

 主要国・地域ソブリン債への対外証券投資を見てみると、米国債への国内からの投資は、ネットで5月は9855億円の増加となり、4月の2兆8117億円の減少から再び増加に転じた。ユーロ圏の国債についてみると、ドイツのソブリン債への投資はネットで5月は702億円の減少となった。4月は5525億円の減少。同様にフランスはネットで5月は2773億円の増加。4月は3331億円の増加。 そしてイタリアは5月が250億円の増加、4月は65億円の減少。英国は5月が1187億円の増加。4月は765億円の減少。

 今度は日本国債に対する対内証券投資を見てみると、5月はネットで1兆6630億円の増加となった。内訳としては中長期債が5247億円、短期債が1兆1383億円の増加。4月は1兆7952億円の増加だが、内訳としては中長期債が1兆186億円、短期債が7766億円の増加となっている。

 ちなみに7月10日に発表された6月の対外及び対内証券売買契約等の状況(月次・指定報告機関ベース)によると、対内証券投資については中長期債が1兆2348億円、短期債が3867億円のそれぞれ取得超となっている。

 5月の対内証券投資の地域別内訳をみると、中長期債での購入額が大きいのが、英国の3145億円、中国の1753億円。流出ではシンガポールの725億円、米国の462億円。

 そして、短期債の購入が大きいのは、英国の6兆5283億円、中国の1402億円。これに対して流出は、フランスの1兆4259億円、ルクセンブルグの1兆1394億円、UAE5999億円、タイ3710億円、シンガポール3573億円等々。

 短期債については4月も英国は7兆3861億円の購入となっていたが、フランスが1兆6693億円、ルクセンブルグ1兆191億円、シンガポール6552億円、タイ4211億円、UAE4886億円のそれぞれ流出となっていた。

 4月から5月にかけての日本国債への海外からの投資は英国経由もしくは中国を中心に継続しており、6月についても同様に増え続けている。この間の日本の債券相場はじりじりと上昇基調となっており、その背景のひとつにこの海外投資家による買いもあったものとみられる。

 ただし、6月も短期債は3867億円の増加に止まっているあたりが少し気になる。6月もヘッジファンドを通じての英国からの大量の買いが継続していたとすれば、4月、5月と同様に欧州やアジア、中東あたりからの日本の短期債への売りが継続している可能性がある。


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by nihonkokusai | 2012-07-11 09:37 | 国債 | Comments(0)

今年も綱渡り、特例公債法案の行方

 7月6日の閣議後の会見で安住財務相は、今年度予算の赤字国債発行の法的裏付けとなる特例公債法案が成立しない場合、「10月中に財源がほぼ枯渇する」との見通しを示した。

 9月8日までの今国会の会期内に法案成立が見込めなければ、「万般にわたって影響が出る」と指摘し、同月以降の予算執行は「例外なく厳しく抑制を含めた対応が必要だ」と述べたそうである。

 昨年も年度内に赤字国債発行法案は成立せず、法案成立は8月下旬まで遅れることとなった。昨年同様に当面の政策経費に対する資金繰りは、建設国債で賄える分とともに、月々の税収や財務省証券の発行などで賄うことになろうが、ある意味綱渡りの状況となっていることに変わりはない。

 今年度予算のうち税収や税外収入は46.1兆円、これに建設国債5.9兆円を合わせれば、50.2兆円の財源は確保できるが(財政法第四条に基づいて発行される建設国債は予算が通れば発行できる)、歳入の4割強を占める赤字国債38.3兆円は特例公債法案が成立しなければ発行できない。

 資金のやり繰りのため財務省証券の発行をすればなんとかなるとの見方があるかもしれないが、国債発行はむやみに発行されないように法律に基づいており、確実な財源が見込まれない中での自転車操業のような財務省証券の発行は認められない。

 財務省によると公共事業などの建設国債発行対象を除いた9月末の支出見込み額は39.3兆円。これに例年の10月の平均的支出額約5兆円を加えると約45兆円に達するという。(ブルームバーグ)

 このままでいけば10月中にほぼ財源が底をつく計算になる。もしそうなった場合には、支出を厳しく抑える必要がある。読売新聞によると、その具体的な項目として、財務相は地方交付税交付金(年度予算16.6兆円)を挙げたそうである。そうなれば地方の行政サービスに影響が出る懸念がある。このほか、社会保障費や防衛関係費、国債の利払いの支払いにも影響が出る可能性もあるとか。

 米連邦債務の法定上限引き上げをめぐる協議も年中行事となってしまった感があるが、日本でもねじれ国会となる中、特例公債法案の行方は今年もまた綱渡りの状態となっている。

 今年度もぎりぎりになろうが法案は成立するだろうとの見方も強いのか、市場ではほとんどこれについては材料視されていない。しかし、確実に特例公債法案が成立するという保証があるわけでもない。何かの事情により、法案成立が国会会期末までに困難になる可能性が全くないわけではない。それにより日本国債のデフォルトや格下げ、さらに政府の窓口封鎖等々が意識されて、日本国債が急落するように事態となれば、取り返しがつかないことになる。このような余計なリスクについては、なるべく早めに取り除く必要があろう。


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by nihonkokusai | 2012-07-10 11:17 | 国債 | Comments(0)

市場の噂、地域の噂

 市場における噂は、いろいろと尾ひれがついてしまい信憑性のないものも多いが、噂が出たことそのものは何かしら基になっているものがあることも多く、そのあたりを吟味する必要がある。こんな噂は出てもおかしくないみたいな噂については、あまり意識する必要はないかもしれないが、意外な噂については真偽はさておき、気にしておくことも相場を見る上で重要になる。

 ただ、あまり噂に惑わされて、それで相場を張ってしまうと、損失を被ることがある。相場を張るのはあくまで自己責任であり、その噂が自分の張ろうとしていたポジションの背中を押してくれたのなら、それも良いが単純に噂に振り回されてポジションを張ってしまうとろくなことはない。

 相場の噂についての信憑性についてはケースバイケースであるが、地元の噂なるものは意外に真実であったりすることがあり驚かされることがある。

 我が家の買い物圏(土浦市やつくば市周辺)でこれまで都市伝説のように扱われていた噂があった。それはコストコが進出してくるというものであった。阿見というところにアウトレットがあるが、そこにコストコが進出するという噂がまずあった。しかし、用地買収等に問題があり、結局、見送られたとまことしやかに噂された。

 次に出ていたのが、つくば市に進出するという噂であった。これは結構、地元民の間では噂されていたが、これだけコストコ待望論が強かったとも言える。我が家から最も近いコストコは埼玉県の新三郷のコストコであり、クルマで高速道路を使って1時間程度掛かる。それでも買い物に行く人は多かったようである。

 しかし、噂は出ても現実にそのような発表はこれまでなく、まさに都市伝説の扱いであった。それでもつくば市の大型ショッピングセンター近くに進出かとの噂も出ていた。これについては、現実に土地買収の話などは出ておらず、またデマではないのかとの見方がある一方、どうやら本当に動きがあるとのまことしやかな噂も出ていた。

 そして6月26日、新聞各紙でコストコが、つくば市に県内初となる出店の準備を進めていることがわかったと伝えたのである。「茨城県は25日、所有する5万7千平方メートルの土地をコストコに34億8631万円で売却する仮契約を結んだ。県に提出された事業計画によると、来年8月に営業を始める予定という。」(朝日新聞)。

 噂はこれにより真実となった。コストコが進出する場所は、つくばエクスプレスの沿線でもある。つくばエクスプレスも開業前の噂というか報道等では、さんざんであったつくばエクスプレスの乗客数は、予想以上に順調に伸びており、沿線開発も進んでいることで、今回のコストコ進出も実現することになったと思われる。

 それにしても、このような地域の噂はいったいどこから流れてくるのであろうか。結果からみれば根も葉もなかったものではないはず。たまたま地域の期待があり、たまたまコストコの進出先選択にここが選ばれたのかもしれないが、当然事前調査は十分に行っていたことも考えられるため、事前に何かしら漏れていた可能性もありうる。まあ、このあたりは追求しようにも難しいかもしれないが、つくばにコストコという意外な組み合わせに、個人的にももしやと考えていただけに、すでにコストコの会員となっている我が家にとってもこの噂の実現はうれしい限り。


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by nihonkokusai | 2012-07-09 11:59 | つくばエクスプレス | Comments(0)

アイルランドが国債入札を再開

 7月5日にアイルランド国債管理庁(NTMA)は、5日に5億ユーロ相当の3か月物証券の入札を実施した。アイルランド政府が政府資金調達を行ったのは、2010年9月以来で初めてとなる。

金融危機後の銀行の救済で深刻な財政危機に陥ったアイルランドは、2010年11月末に欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)との間で総額850億ユーロ規模の緊急支援を受けることで合意した。欧州最大の独立系中央清算機関であるLCHクリアネットが、アイルランド国債に対する証拠金を11月10日に引き上げ、それがひとつのきっかけとなり、アイルランド国債の利回りが上昇した結果、支援を仰ぐこととなった。

 アイルランドはこの金融支援を受けて財政の立て直しを進めていたが、6月28日から29日にかけて開催されたユーロ圏首脳会議で、ESMが銀行に直接資本を注入する、つまり銀行へ政府経由ではなく救済基金からの直接の資本注入が可能となり、これを受けて銀行の救済で膨らんだアイルランドの債務問題が解消に向かうのではとの期待から、アイルランドの国債は買われたことで、アイルランド政府はこの市場環境で資金調達が可能となったと判断したものとみられる。

 6月28日から29日にかけてのユーロ圏首脳会議では、ユーロ圏の銀行の監督制度を統一することで合意し、さらにESMが銀行に直接資本を注入する、つまり銀行へ政府経由ではなく救済基金からの直接の資本注入が可能になる。EUの財政ルールを順守している国が、EFSFとESMを活用して金融市場で国債を支援することも認められ、スペインの銀行向け緊急融資の条件に関し、返済優先権を放棄することで合意し、イタリアが対象となる可能性がある支援の条件を緩めることでも合意した。

 これらの合意はあくまで短期的な措置との認識はあるが、それでも市場はここまで踏み込んだ対策合意までは予測しておらず、この結果を受けてリスク回避の動きは一端後退しつつある。また、銀行への直接資本注入などに対して具体策が決められていないとの指摘もあるが、ユーロ圏首脳会議で合意があった以上、今後はその具体策も詰めてくるものと期待される。

 これらにより、欧州の信用不安が完全に払拭されるわけではないが、欧州の信用不安払拭に向けての各国首脳の真剣な取り組み姿勢は評価されるものと思われる。米大手格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズも、ユーロ圏債務危機について、先週の欧州連合(EU)首脳会議・ユーロ圏首脳会議での合意が正しく実行され、欧州中央銀行の一部支援が得られれば、この問題が転換期を迎える可能性があるとの見解を示した(ロイター)。

 格付け会社の見解ではあるが、この見方にも一理あると思われる。昨年末から今年に入り、ギリシャの信用不安が後退したことから、一時リスクオフの動きが後退したが、4月あたりからは今度はスペインの金融システム不安の強まりで、再びリスクオフの動きが強まった。しかし、その動きは今回のユーロ圏首脳会議を受けて今後再び後退してくる可能性もありうる。そのひとつの象徴的な出来事として、アイルランドが国債入札の再開が取り上げられるかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-07-08 11:26 | 国際情勢 | Comments(0)
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