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消えたフレーズ、貯蓄から投資へ

 拙著「図解入門ビジネス 最新金融の基本とカラクリがよ~くわかる本[第2版]」がまもなく発売される。これは2006年12月に出した「最新金融の基本とカラクリがよーくわかる本」の改訂版となる。

 この本の改訂にあたり、古くなった部分を最新のものに修正する作業を行ったのだが、その中で「貯蓄から投資へ」というフレーズをどうしたら良いものかと悩んだ。2006年当時は、個人の貯蓄中心となっていた金融資産の一部を投資に振り向けようとの動きが続いていたのである。

 このような動きは過去にも例があった。高度成長により証券市場も成長した結果、1961年に投資信託の残高が4年前のおよそ10倍の1兆円を突破した。このとき流行ったフレーズが、「銀行よさようなら、証券よこんにちは」というものであった。しかし、1964年、つまり昭和39年に東京オリンピックが終了したあと、40年不況を迎え、1965年5月には山一證券への日銀特融も実施されたのである。

 2006年当時はまだ「貯蓄から投資へ」というフレーズは残っていたのだが、その後「銀行よさようなら、証券よこんにちは」というフレーズが流行したあと起きたような金融ショックが日本を覆うことになる。しかし、これは40年不況のように内生的なものではなく、海外で発生しそれが日本にも波及したものである。

 サブプライム問題やリーマン・ショックにより、証券化などを含めて複雑な金融商品への問題点が浮き彫りになり、その後の欧州の信用不安により、リスク回避の動きがさらに強まった。国内では歴史的な円高進行もあり、株の低迷に加え、投資信託などにも大きく影響した結果、個人による投資意欲は後退し、むしろ安全資産として貯蓄に回避するような事態になったのである。

 しかし、この動きも2012年に入り流れが変わってきた。急激な円高と、それも影響しての株安の流れが変わり、円高調整と株価の反発が生じた結果、日経平均は1万円台を回復してきたのである。

 これにより再び「貯蓄から投資へ」のキャッチフレーズが登場することは考えづらいが、過度に安全資産に資金が集中してしまった反動は起こりうる。昭和40年不況のあとで証券市場が再度活況を呈したように、日経平均が上昇圧力を強め投資信託などに資金が向かうことも十分に考えられる。今度は別にあらたなキャッチフレーズが登場するのかもしれない。

 「銀行よさようなら、証券よこんにちは」というフレーズが過去のものとなったように「貯蓄から投資へ」というフレーズも過去のものとなろう。金融の本質は変わらないものの、このような歴史が何度も繰り返されるのが金融の世界でもある。証券投資をする際の基本は安いところで買って高いところで売るということである。つまりはこのようなキャッチフレーズが忘れ去られたようなとき、つまり証券投資が下火になったときに買い、「証券よこんにちは」とか「貯蓄から投資へ」といった新たフレーズが出てきたころにはそろそろ手放すことを考えるのが必要なのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-03-21 11:43 | 投資 | Comments(0)

国債が売られた理由

 昔、こんな文章を書いたことがあった。

 「上がったものは下がるし、下がったものは上がるというのが相場である。・・・価格という面から見れば、バブル期の株のように国債の価格は上昇を続けている。この国債相場に対して懸念する声も強い。また国債の価格の上昇による売買益などは無視して、国債が急落したらどれだけ損失が発生するのかといった見方しかできないようにすら思える記事なども見受けられる。1%金利が上昇したら銀行保有の国債はどれだけ損失が発生するのか計算するのは簡単である。しかし、それ以前に1%金利が上昇するという根拠を述べてほしい。買われたものは確かにいずれは売られる。上がったものは下がる。けれど、上がるには上がるだけの理由がある。」

 これを書いたのが2003年6月4日である。私は「債券ディーリングルーム」というホームページの更新を1996年あたりから続けており、ほぼ毎営業日更新している。過去のものもコラムや市況などはほぼすべてそのまま置いてあり、いつでも閲覧が可能となっている。上記の文章もそこからコピー・ペーストしたものである。

 2003年6月に何か起きたのか。ある程度ベテランの市場参加者であれば、ピンとくると思う。この文章を書いたときの長期金利は0.5%を割り込んでいた。数日後の6月11日に日本の長期金利は0.430%まで低下して、日本というか世界の歴史の上でもたぶん最低の長期金利を記録したのである。しかしその後、債券相場はその反動が来る。これはのちにVARショックとも呼ばれた。そして、実際に長期金利は「1%」も上昇することとなる。

 そして、2012年3月12日にこのコラムで、「円安株高となっても債券が売られない理由」とするものを書いた。そこでは私はこんな指摘をしていた。

 「金利を低位で抑え、積極的な資金供給とともにデフレ脱却に向けてこれまで以上に能動的な姿勢を見せてきた日銀に対し、市場はそれを好感し円安や株高の動きを加速させた。この日銀の動きは当面、金利の抑制圧力となり、実際にデフレ脱却の目処が見えるようにならなければ、長期金利そのものは上昇することは考えづらい。つまり現状の円安株高、そして長期金利の低位安定という状況がこれにより生まれている。」

 これについては、円高・株安というトレンドが大きく変化したにもかかわらず、すぐには債券のトレンドが変化しなかったのかという理由にはなっていると思う。

 「もしデフレ脱却が見える前に債券が大きく売られる、つまり長期金利が上昇してくるとなれば、それは日銀の金融政策やファンダメンタルズとは別な要因が働いた場合となろう。何かしらの需給要因、もしくは何かしらのリスクプレミアムがオンされるような場合が想定される。そういった動きは現状、見出せず、当面の債券相場は高値圏でのもみ合い小動きが続くことが予想される。」

 しかし、この文章については反省すべき点がある。およそ9年前と同じように、本来であれば高所恐怖症になっていてしかるべきところが、あまりに長期間低いボラティリティの中での高値安定相場に慣れしてしまい、そのターニングポイントが実は近づきつつあったことを見逃してしまっていた。

 「当面の債券相場は高値圏でのもみ合い」は続かずに、日本の債券相場は3月13日から14日にかけて大幅に下落した。13日に0.965%まで低下していた長期金利は15日には1.060%まで上昇し、債券先物も13日に142円69銭まで買われたが、16日には140円99銭まで下落したのである。

 今回のこの債券相場の変動の背景には、VARショック時と同様に長期間にわたり低いボラティリティの中、相場が高値圏で安定し続けていたことの反動が大きかったと思われる。それが何故、14日以降に起きたのかといえば、日米の中央銀行の金融政策がひとつのきっかけになったと予想される。

 日本では12日から13日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催された。2月14日に追加緩和があったことで、その効果を見定めたいとして現状維持との見方は強かったものの、一部には追加緩和期待もあった。このため、まずはこの結果を見定めたいという市場参加者も多かったものと思われる。

 さらに米国では13日にFOMCが開催された。こちらも予想されたように現状維持となったが、声明で景気認識を前回からやや引き上げ、金融市場の緊張が緩和している、との見解が示された。つまりこちらも一部にあったQE3への期待が大きく後退した。これをきっかけに米債は大きく下落し、この米債安を受けて14日に日本の債券市場も急落したのである。

 つまり14日から15日にかけての日本の債券市場の急落は、金融政策への期待感の後退をきっかけとして、これまでの相場の反動といった面が大きいとみられ、2003年6月の暴落のミニ版とも言えるのではなかろうか。ただし、2003年のように長期金利が1%も上昇するようなことは考えづらい。消費増税の行方など気になる要因はあるものの、いまのところ何かしらのリスクプレミアムがオンされているわけでもない。ある程度調整が入れば、別な要因が出ない限り、いずれかのタイミングで下げ止まるものと予想される。

 相場の読みは難しい。そして、相場にはいくつもの格言も存在する。その中に「もうはまだなり、まだはもうなり」というものがある。今回は「まだはもうなり」というのが当てはまりそうな債券相場であった。


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by nihonkokusai | 2012-03-17 11:26 | 債券市場 | Comments(0)

日銀とアップルに見る市場との対話

 中央銀行にとって市場との対話はたいへん重要である。しかし、2012年2月14日の日銀の政策変更は、これまで築きあげてきた市場とのコミュニケーションに変化が生じるとの見方がある。

 FRB、ECB、BOEそして日銀などはこれまで市場との対話を重視し、金融政策の変更を事前に織り込ませるように施策をとってきた。事前の会合での言葉尻で次回の会合での政策変更を示唆したり、講演や会見の内容などから事前に示唆したり、マスコミが事前に報じたりするなどいろいろな織り込み方法がとられてきた。

 2月14日の日銀による実質的なインフレ目標導入という市場関係者にとっては大変大きな政策変更については、マスコミのみならず市場関係者も事前予測はほとんど出ていなかった。これはむしろ極めて異例でもあったと言える。ただし、FRBの1月25日の政策変更や政治家からの発言などから判断し、インフレ目標に近いような施策をとるであろうとの可能性を指摘する見方は一部にあり、私もそれは感じていた次第である。

 しかし、2月14日に日銀は一部の期待を上回り、実質的なインフレ目標を導入しただけでなく追加緩和まで行ってきたのである。これはまさにサプライズとなり、その後の円安・株高に拍車を掛ける要因となった。

 結果から言えば、今回の日銀のサプライズ政策は効果があったと言えよう。市場は白川総裁のコメントに以前より重きを置くようになり、その影響力が強まったとの見方もできる。これは市場への影響度という側面からみれば、むしろうまく対話を行ったとも言えまいか。

 はるか昔、公定歩合というものがあり、その上げ下げについては嘘を言っても良いという決まりみたいなものがあった。つまりこれは市場の対話を一切無視しても良いというものであったろうが、裏返せばサプライズ効果を意識したものでもあった。

 ここからは私の持論となるが、中央銀行の金融政策において引き締めの際には、市場との対話を重視し、それを事前に織り込ませることが必要であるが、緩和の際には市場への影響力を強めるため、むしろサプライズ効果を意識しても良いのではないかと思う。

 アップルが新製品を発表する際には米国だけでなく、世界中の注目が集まる。そして、事前に新商品に対していろいろと憶測が流れる。アップルの守秘義務は徹底しているが、それでも新製品の機能等については事前にリークされてしまうものもあるし、当日、明らかにされるものもある。それでもアップルは市場の注目度を高めるため、いろいろな手を打っている。今回の新型iPadもその性能はほぼ事前に予測されていた通りのものではあったが、肝心のネーミングについては事前に言われていたものではなかった。それはそれで大きな話題ともなり、世間の関心を高め、売り上げ向上に結びつくことにもなる。

 日銀も2月14日の決定については、全員一致であることからも明らかなように、事前にそれなりの根回しも進められていたとみられる。しかし、その動きが漏れるようなことはなかった。まるでアップル社の守秘義務が日銀にも徹底されていたかのようである。それが結局、サプライズ効果を演出することになった。そして、それは量的緩和や包括緩和の発表などに比べても、市場に良い意味で大きな影響力を与えることになった。

 このため、今後の日銀の金融政策決定会合への注目度がより高まることともなろう。実際に3月13日の決定会合の日には結果発表前に市場でかなりの動きが生じたぐらいである。これは乱高下を招くとの見方になるかもしれないが、日銀の政策そのものへの注目度が上がったとの見方もできよう。

 今後の日銀の追加緩和についても、今回のように事前に何らかの示唆があったりするようなことはないのかもしれない。それはそれで、日銀ウォッチャーは違う角度から政策変更の動きを探る必要性が出てこよう。アップルの新製品についても、少なくともアップルの役員に直接聞いても答えは得られないため、新製品ウォッチャーがいろいろなところから探っているように、日銀ウォッチャーも、いろいろな角度から今後の政策変更内容を探る必要が出てくるのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2012-03-16 10:01 | 日銀 | Comments(0)

日銀による成長基盤強化支援の拡充策について

 3月13日の日銀金融政策決定会合では、政策金利や資産買い入れ基金の規模の変更はなく現状維持としたが、成長基盤強化を支援するための資金供給(成長支援資金供給)を拡充することを決定した。

 2010年6月に日銀は成長支援資金供給を導入した。これは成長分野への投資促進に向け、民間金融機関に政策金利の0.1%で貸し出すものである。この貸付総額の残高上限は3兆円としていたが、新規貸付の受付期限を2014年3月末まで2年延長するとともに、貸付枠も3.5兆円に5千億円増額することとした。

 また、昨年6月に出資や動産・債権担保融資など、不動産担保や人的保証に依存しないABLと呼ばれる融資を対象に、5000億円を上限として、年0.1%の金利で原則2年とし1回の借り換えを可能とした最長4年の貸し付けを行う新しい枠組みを導入していたが、これについても、5000億円の貸付枠のもとで、新規貸付の受付期限を 2014年3月末まで2年延長することとした。

 さらに成長支援資金供給では対象としていない小口の投融資を対象に、新たに5000億円の貸付枠(小口特則)を導入することも決定した。対象となるのは、日本経済の成長に資すると認められる1件当たり100万円以上1000万円未満の投融資。対象先金融機関は成長支援資金供給の対象先金融機関。有担保貸し付けで、貸付期間は1年とし3回の借り換えを可能とする(最長4年)。貸付利率は貸付実行日における誘導目標金利、つまり現行では年0.1%となる。

 そして、成長に資する外貨建て投融資を対象に、日銀が保有する米ドル資金を使い、新たに1兆円の貸付枠(米ドル特則)を導入することも決定した。対象先金融機関は、成長支援資金供給の対象先金融機関のうち、ニューヨーク連邦準備銀行に米ドル口座を保有する先および同行に口座を保有する先へ米ドル決済を委託している金融機関。米ドル資金の有担保貸し付けとなり、貸付期間は1年、こちらも3回の借り換えを可能とする(最長4年)。貸付利率は市場金利となる。

 ちなみに、この米ドル特則は、日本企業のM&A(合併・買収)などを支援するのが目的とみられる(日経新聞)

 被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーションについても、現行1兆円の貸付枠のもとで、貸付の受付期限を 2013年4月末まで1年延長し、被災地企業等にかかる担保要件の緩和措置についても、その適用期限を2014年4月末まで1年延長することを決定した。

 これらの融資については、デフレ脱却に向けての成長支援であり、今回、追加緩和は見送られたものの、日銀がデフレ脱却に向けての積極的な姿勢を示したといえよう。基金の増額は、どちらかといえばアナウンスメント効果が意識されたものといえる。もちろんそれにより、より長めの金利の低下に働きかけ、それによる効果もあろうが、実際にはこのような融資枠の拡大のほうが、直接的な効果があるように思われる。もちろんこれは、金融機関の自主的な取り組みを進めるうえでの「呼び水」としての役割としての期待もあろうが、政府の積極的な取り組みに対する「呼び水」としても意識されたものと思われる。


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by nihonkokusai | 2012-03-15 09:29 | 日銀 | Comments(0)

日銀のブラックアウトというルール

 日銀にはいろいろな自主ルール、つまり日銀内部の取り決めが存在する。もちろん銀行としての内規みたいなものもあろうが、それとは別に金融政策に関する日銀内部の取り決めが存在している。

 そのひとつに日銀券ルールがある。日銀が保有する長期国債の保有残高を日銀券発行残高以内に抑えるというものである。ただし、これは資産買入等の基金による国債保有額には適用されない。

 そしてもうひとつ有名な自主ルールとして、ブラックアウトという期間を設けている。これは「金融政策に関する対外発言についての申し合わせ」事項であり、その内容は次の通りである。

 「各金融政策決定会合の2営業日前(会合が2営業日以上にわたる場合には会合開始日の2営業日前)から会合終了当日の総裁記者会見終了時刻までの期間は、国会において発言する場合等を除き、金融政策及び金融経済情勢に関し、外部に対して発言しない。」(日銀のサイトより)

 これは「政策委員会議事規則等」に含まれているものであり、このルールに縛られるのは金融政策を決定する立場にある政策委員、つまり日銀の総裁、副総裁、そして審議委員と思われる。ちなみに米国のFRBは、FOMCが開催される前の週の火曜日から開催週の金曜日までがブラック・アウト期間と呼ばれ、関係者は一切の発言を禁じられている。

 また、日銀の金融政策決定会合に際しては携帯電話の持ち込み禁止など細かな自主ルールなども設けられているようである。

 ただし、これはあくまで日銀の内規であるため、日銀関係者以外には適用されないことになる。しかし、そうはいってもブラックアウトルールは事前に金融政策の動向を明らかにさせないためのものであり、また携帯電話の持ち込み禁止も議事の進行状況などが外部に漏れないようにするためのもと思われ、たとえ外部の人間であっても、そのルールを守ることが求められるはずである。

 日銀の金融政策決定会合には、日本銀行法第19条により財務大臣および経済財政政策担当大臣(経済財政政策担当大臣が置かれていないときは、内閣総理大臣)、またはそれぞれの指名する職員の出席が認められている。つまり政府関係者が出席している。

 この政府からの出席者は議決権を有しないが、必要に応じ、会合で意見を述べること、金融調節事項に関する議案を提出すること、次回会合まで金融調節事項に関する議決を延期することを求めることができる。特に最後の部分は議決延期請求権と呼ばれ、2000年8月のゼロ金利解除の際に一度行使されている。

 政府からの出席者としては大臣が出席することは希で、副大臣などが出席することが多い。前回2月14日の会合には藤田幸久財務副大臣と石田勝之内閣府副大臣が出席している。

 金融政策についてのブラック・アウトや細かな内規などについては、日銀関係者のみならず、政府関係者も遵守すべきものであると思われる。このため決定会合に参加しうる立場にある政府関係者も少なくともブラックアウト期間中には、金融政策についてはなるべくコメントを控えるようにしてほしいと思う。


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by nihonkokusai | 2012-03-14 09:52 | 日銀 | Comments(0)

日銀の株が上がる

昨日の日銀の動向と外為市場の動向は興味深い。
昨日の日銀の金融政策決定会合は、いつもより終了時間が遅かった。

2月14日に大きなバレンタイン・プレゼントをしたことで、
そのバレンタイン効果を見定めるであろうと、今回の追加緩和期待はさほどなかったかに思えた。
しかし、前回もインフレ目標設定はさておき、追加緩和までの予想は少ないところに追加があった。

このため、今回もやや疑心暗鬼になったのか、我慢しきれずに
円売りや債券先物買いを入れた投機筋があった模様である。

ドル円は82円半ばあたりまで上昇したが、
決定会合の結果は、現状維持で、すぐさまドル円は売られ82円割れに。

ところが、ここからドル円は切り返してきた。
しかも、日銀総裁の会見内容が伝わると、ドル円は82円80銭近辺に上昇したのである。

バーナンキ議長の発言で、ドルが大きく動くことはあるものの、
日銀総裁の会見内容を好感して、円がこれほど売られるというのはあまり見たことがない。
ちなみに白川総裁は、会見でデフレ脱却に向けて強い姿勢を示したようである。

2月14日に日銀はどのように変わったのか、それを一言で示せば「能動的」になったことである。
実質的なインフレ目標を設定したということは、デフレ脱却に向けて日銀が前のめりになったということである。
日銀総裁のコメントにも能動的という表現が用いられているように、日銀はアグレッシブな対応に変化している。
これが現在の円安・株高の促進剤となっていることは、今回の動きを見ても確かであろう。

つまり市場参加者からみて、まさに日銀の株は上がったと思われる。
これは言葉の上だけではなく、実際の日銀の株価も2月以降、上昇しているのである。
まさに日銀の株は上がっている。

その日銀は今後、どのような対応を示すのかも興味深い。
昨日の会合では、宮尾委員が動きを見せているが、このあたりも注意深く見ておく必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2012-03-14 08:15 | 日銀 | Comments(0)

円安株高となっても債券が売られない理由

 3月9日に日経平均は一時1万円台を回復し、12日の日経平均も1万円台でのスタートとなった。また外為市場ではドル円は82円台を回復するなど、歴史的な円高局面はここにきて後退しつつある。

 この円安・株高の背景には、ギリシャの債務問題を中心とした欧州の信用不安が後退してきたことが大きい。市場心理を計る具体的な指標はないが、昨年から今年にかけて、市場参加者の心理は悲観から楽観へと変化していたものと思われる。

 この背景としては、ギリシャの債務問題をなんとか解決しようとしている欧州諸国の努力もあるが、市場では日欧米の中央銀行による積極的な金融緩和策が功を奏しているとの認識である。

 欧州ではECBによる3年物の資金供給オペ(LTRO)の効果が発揮されている。ECBは二度に渡る3年物資金供給オペで総額1兆ユーロに上る流動性を供給した。これによりユーロ圏内の銀行の資金繰りが楽になり、金融システム不安が後退するとともに、その資金が周辺国の国債にも向かうであろうとの期待もあり、イタリアやスペインの国債利回りが低下した。それが欧州の信用不安の後退を印象づけた格好となった。

 米国では1月25日のFOMCにおいてFRBは物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置くこととし、それをPCEの物価指数(PCEデフレーター)の2%とした。これはFRBが実質的なインフレ目標を採用したこととなり、大きな政策変換であったと思われる。

 このあたりターゲットではなくゴールとの表現など、過去にバーナンキ氏が議長就任前に持論であったインフレ・ターゲットをそのまま採用したというものでもない。大枠として物価を目標とすることではあるが、かなりフレキシブルな政策の余地を残すものであり、これはバーナンキ氏が学者ではなく現場のトップとしてこの選択を行ったことは適切なものであったかと思う。

 そして、このFRBの政策変更は日銀にも大きな影響を与えたと思われる。米国の動きにうまく便乗し、それにより政治的な圧力にも対応することにもなった。それにしても白川日銀はなかなか思い切った政策変換を2月14日に行ってきた。さらに資産買入等の基金をこれまでの55兆円程度から65兆円程度に10兆円増額することも決定し、緩和効果(心理的なものを含め)を強めることとなった。  日銀が2月の会合で買入を決定した対象は長期国債(期間1~2年)であった。つまりこれにより、2年債あたりまでの金利が0.1%に張り付くこととなり、それが5年債あたりまでの金利低下も招き、5年債利回りは0.3%近辺に低下した。

 日銀が今後、物価のゴールに対して能動的な金融政策を行うとなれば、今後いずれ国債の買入などを増額してくる可能性がある。そして、日銀は物価安定の領域として「消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラス」としたうえで、「当面は1%を目途とする」ことを明確にした。つまり現在のコアCPIは前年比マイナスであり、それがプラス1%に達するまではそれなりの期間も要するとの認識が市場で強まれば、いわゆる時間軸効果により、より長い期間の国債の利回りの低下圧力ともなる。

 金利を低位で抑え、積極的な資金供給とともにデフレ脱却に向けてこれまで以上に能動的な姿勢を見せてきた日銀に対し、市場はそれを好感し円安や株高の動きを加速させた。この日銀の動きは当面、金利の抑制圧力となり、実際にデフレ脱却の目処が見えるようにならなければ、長期金利そのものは上昇することは考えづらい。つまり現状の円安株高、そして長期金利の低位安定という状況がこれにより生まれている。

 もしデフレ脱却が見える前に債券が大きく売られる、つまり長期金利が上昇してくるとなれば、それは日銀の金融政策やファンダメンタルズとは別な要因が働いた場合となろう。何かしらの需給要因、もしくは何かしらのリスクプレミアムがオンされるような場合が想定される。そういった動きは現状、見出せず、当面の債券相場は高値圏でのもみ合い小動きが続くことが予想される。


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by nihonkokusai | 2012-03-13 09:54 | 債券市場 | Comments(1)

日銀による追加緩和の可能性

 3月8日のECB理事会では、主要政策金利であるリファイナンス金利を1.00%に据え置くとともに、下限金利の中銀預金金利も0.25%に、上限金利の限界貸出金利も1.75%に、それぞれ据え置いた。

 理事会後の記者会見でドラギ総裁は、ECBが実施した2月末の3年物資金供給5300億ユーロのオペに関し、オペが成功したことに疑問の余地はないとし、リスク環境は大幅に改善したとコメントした。

 8日にはイングランド銀行のMPCも開催されたが、こちらも政策金利は据え置き。総額3250億ポンドの量的緩和策についても、現状維持となった。

 そして13日にはFOMCが開催される。今後のFRBの金融政策について、WSJはFRBの当局者の話として、「景気てこ入れへ新たな措置が必要と数カ月先に判断される場合に備え、将来のインフレに対する懸念を抑える形で債券購入を行う新たな種類のプログラムを検討している」と伝えている。

 これはFRBの長期債購入で供給された資金に対し、リバースレポを実施することで実質的に縛りをかけるとか。QEが将来のインフレにつながる懸念を和らげることが目的だそうである。

 FRBは現在、ツイストオペを実施しているが、買うものは市場にかなり存在していても、売るものについてはFRBの保有分に限られる。このため今後は、長期国債を購入し、それで市場に流出した資金を吸い上げるというECBのような政策を考慮に入れているように思われる。このあたりについて13日のFOMCで何らかの示唆があるかもしれない。

 そして12日から13日にかけて日銀の金融政策決定会合も開催される。日銀は前回の会合において、実質的なインフレ目標を設定した。さらに緩和強化をはかるため、基金の増額も行った。 資産買入等の基金をこれまでの55兆円程度から65兆円程度に10兆円増額し、その増額対象は長期国債(期間1~2年)とすることを決定した。資産買入の中での長期国債の買入額は従来の9兆円から19兆円に増額された。  これにより2年債の利回りは0.1%近辺に低下した。超過準備につく金利が0.1%であり、2年債の利回り低下は限界にきている。また日銀が基金オペで残存1~2年の国債を吸い上げるにも市場で流通しているものには限度もあろう。このため、基金オペの買入対象となる国債の期間を長期化するのではとの見方もある。

 いずれその可能性はあると思われるが、今回の決定会合ではそのような追加的な政策は決定されず、今回は現状維持となると思われる。前回で決定した追加緩和の効果を見極める必要があるためである。期末ということはあるが、特にここで追加緩和をしなくてはならないような状況にあるわけでもない。ただし、成長基盤強化を支援するための資金供給の期間の延長などを行ってくる可能性はある。

 日銀が実質的なインフレ目標を採用したものの、消費者物価指数は前年比マイナスの状態にある。この状況下、いずれ日銀は追加緩和を行う可能性は高い。それでも、基金オペの買入対象となる国債の期間の長期化については、通常の国債買入にある日銀券ルールのような歯止めがない分、慎重になってくることも予想される。このあたり、どのように判断してくるのかも見極めたい。

 また、日銀については4月4日が任期満了となる中村清次審議委員と亀崎英敏審議委員の後任人事についても気になるところである。

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by nihonkokusai | 2012-03-12 09:53 | 日銀 | Comments(1)

単月での経常収支の赤字の影響は限定的か

 財務省は3月8日に1月の国際収支(速報)を発表した。これによると経常収支は、4373億円の赤字となった。単月の経常収支の赤字は、リーマン・ショック後の2009年1月以来となり、単月での経常収支の赤字幅としては過去最大となった。

 これは貿易赤字の増加が影響しており、海外景気の下ぶれ等を受けて輸出減少し、原発事故による影響から液化天然ガスなどの輸入が増えたことで、貿易赤字は1兆3816億円の赤字となったことが大きい。サービス収支も930億円の赤字となっていた。所得収支は1兆1326億円の黒字となったものの、貿易収支の赤字はカバーできず、その結果、経常収支が赤字となった。

 日本の経常収支の赤字転落の縮小傾向は気になるものの、これは一時的との見方も強いことで、それほど気にする必要はないとみられる。以前に経常収支と国債の関係についてみたように、海外諸国の事例を見ても、経常収支と国債需給にそれほど因果関係がなく、経常収支の動向だけを見て、国債市場に大きな影響が出るということは考えづらい。

 国際収支の発表には、付表として対外・対内直接投資、対外・対内証券投資も発表されている。このうち1月の対外・対内証券投資を確認してみたい。

 この中で主要国・地域ソブリン債への対外証券投資を見てみると、米国のソブリン債への投資は、1月はネットで1兆1167億円の取得増となっている。ちなみに昨年12月は4370億円の増加、11月は1兆3887億円の減少、10月は9143億円の増加となっていた。

 ユーロ圏の国債についてみてみると、ドイツのソブリン債への投資はネットで1月は4538億円の増加となった。12月は1162億円の減少、11月は1641億円の増加となっている。

 フランスへのソブリン債の投資を見ると、ネットで1月は1572億円の増加となった。12月は80億円の増加、11月は4880億円の減少となっていた。S&Pは1月13日に、フランスを含むユーロ圏9か国の格付けを一斉に引き下げたが、これによる日本の投資家への影響は限定的であったようである。

 そしてイタリアへのソブリン債の投資については、ネットで1月は664億円の減少となっていた。12月は12億円の増加、11月は5102億円の減少となっていた。S&Pは1月13日に、イタリアの格付けを2段階引き下げたが、やはり影響は限定的であったように思われる。

 これに対して、日本の国債に対する対内証券投資を見てみると、1月はネットで4169億円の増加となっていた。このうち短期債が4447億円の増加。昨年12月はネットで1兆8716億円の増加、このうち短期債が1兆8838億円の増加。11月はネットで2兆2967億円の増加、このうち短期債が2兆9405億円の増加となっていたように、日本の国債に対する対内海外からの投資は、ここにきて減少傾向にある。

 対内証券投資の地域別内訳を見ると、目立つのが英国からの動きである。1月は5兆3758億円の買越しとなり、12月が5兆7121億円の買越し額とそれほど変化はなかった。ちなみに11月は7兆5965億円の増加、10月5兆1453億円増となっていた。

 1月の日本の短期債からの資金流出が大きかったのは米国の1兆2155億円の減少(12月は1305億円減)、フランスの1兆1474億円の減少(12月は9714億円減)、ルクセンブルグ5161億円の減(12月は7905億円減)。

 英国からの日本の短期債への資金流入そのものの勢いはあまり衰えてはいなかったが、米国などからのネットでの売り越しにより、全体では短期債への買越額が減少していた。欧州の信用不安の高まりにより、リスク回避の資金が海外から日本の短期債に流入する動きは、とりあえず今年に入りブレーキが掛かった格好か。


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by nihonkokusai | 2012-03-09 10:24 | 債券市場 | Comments(0)

西村日銀副総裁によるボルカー・ルールに関する発言より

 日銀の西村副総裁がワシントンで行った講演の内容が日銀のサイトにアップされた。この中でボルカー・ルールについてのコメントがあった。

 ボルカー・ルールとは、2010年7月に米国で成立した米金融改革法(ドッド・フランク法)の柱となるルールのことである。施行は今年7月の予定となっている。これは1933年銀行法、いわゆるグラス・スティーガル法に比肩する包括的な金融規制改革とも評されている。

 これについて西村副総裁は、ボルカー・ルールの背景にある基本的な考え方については、大いに賛同しているとしているが、下記の注意点を指摘している。

 「ユーロ圏危機が続く下では、各国の政策当局者は新たなルールを導入する際、これがもたらし得る意図せざる影響については、特に現在の局面において海外ソブリン債市場に及ぼす影響という側面からも、十分に注意することが求められます。加えて、中央銀行にとって、ソブリン債市場は金融政策の主要なトランスミッション・メカニズムの中核であり、その流動性の問題には留意することが求められます。 」

 つまりはこの規制により、ソブリン債、つまりは国債などの流動性に影響を与える可能性への影響を指摘し、それはつまり国債が中央銀行の金融政策の中核的な役割を担っているため、こちらにも影響を与えかねないと指摘している。

 ボルカー・ルールは「銀行による、短期の利得獲得を狙った自己勘定でのトレーディングを制限することを狙い」としているが、「どのように関連規則が書かれ、どのように運用されるかによって、このルールは、マーケットメイク活動や市場流動性に重大な影響を及ぼし得ます。」と西村副総裁は危惧している。

 「現時点での規制案によれば、米国債および多くの米国エージェンシー債はこのルールの適用から除外されています。このことは、明らかに米国当局が、これらの債券の円滑な取引の確保、およびそのためのマーケットメイク活動の重要性を、十分認識しておられることを示しているように思います。」

 これはつまり、このルールの規制案で米国債を除外したのは、国債の流動性等が非常に重要なものであり、それに支障が出ると金融システムそのものにも影響を与えかねないためであろう。

 「市場の流動性は、言うまでもなく、米国債以外の国債にとっても重要です。しかしながら、現状の規制案は、日本やカナダ、欧州諸国などの国債は適用除外としていません。したがって、仮にボルカー・ルールが字句通り厳格に施行されれば、海外ソブリン債市場の流動性を損なう可能性もあると考えられます。」

 もし日本国債も除外されなければ、日本国債を保有する米国の金融機関に影響を与えかねず、それは日本の国債市場にも大きな影響を与えかねない。これは日本だけでなく、カナダや欧州諸国も同じ危惧を抱いていると思われる。

 もう一つの問題として、西村副総裁は短期の為替スワップへの規制の可能性についても次のように危惧している。

 「短期の為替スワップが、現状の規制案ではボルカー・ルールの適用対象となり得ることも挙げられます。このことは、為替スワップを通じた金融機関の外貨流動性調達が、より困難となるリスクを孕んでいます。このことも、とりわけ外貨流動性の調達環境が世界的にタイト化している状況では、多くの金融機関にとっての関心事となり得ます。 」

 西村総裁は「市場参加者の一部は、ボルカー・ルールがどのようにソブリン債市場や資金調達環境に影響を及ぼすのかについて、不確実性を払拭しきれていないように伺われます。」とコメントしているが、市場にとってこれはかなりの不安材料にもなりかねない。

 「とりわけ、欧州ソブリン債市場の緊張が高まっている中、ドッド=フランク法の施行が、海外のソブリン債市場や金融機関の資金調達に及ぼす影響を、十分慎重に見極めることが重要です。」(西村日銀副総裁)

 日本だけでなくカナダや欧州にも大きな影響を及ぼしかねないことから、適用除外の対象を日本国債などにも拡大することが求められる。ただし、もし拡大されるとしても、その適用対象のラインをどこにするのかといった問題も残り、今後の行方についても注目しておく必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2012-03-08 09:58 | 国債 | Comments(0)
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