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ダイアモンド氏はFRB理事候補を辞退か

 2010年のノーベル経済学賞を受賞したピーター・ダイアモンド・マサチューセッツ工科大学教授は、FRB理事候補を辞退する考えを明らかにしたと報じられた。ニューヨーク・タイムズに掲載された同氏の「ノーベル賞が十分でない場合」と題したコラムで、「ホワイトハウスに伝えるつもりだが、辞退する時だと思う」との考えを示したそうである。

 ダイアモンド氏のFRB理事就任は、上院銀行委員会で承認されたものの、シェルビー上院議員(共和党)などの反対で上院本会議での承認が拒否されている。理事就任の反対理由としてシェルビー上院議員は、同氏が金融政策分野での経験が浅いと批判しているようである。

 日本でも2008年3月に日銀総裁の後任人事を巡り、ねじれ国会による民主党の反対により福井総裁の任期満了までに次期日銀総裁が決まらず総裁空席という異常事態を引き起こした。米国でも同様に、ねじれ国会の影響により、ノーベル経済学賞を受賞した教授がFRB理事候補を辞退するような事態を招いたようである。

 もちろんノーベル賞を取ったからといってFRB理事として適任であるかどうかの判断は難しい。金融政策分野での経験の乏しさもマイナス要因かもしれないが、ダイアモンド氏は失業問題の権威であり金融政策にも十分に、その力を発揮できるのではないかと思われる。

 2008年3月での武藤副総裁の総裁就任に対する反対理由として、当時、民主党の鳩山氏は「一言で言えば、日銀の独立性という観点だ。武藤氏はミスター財務省だ」などと語り、「財政と金融の分離」の観点から昇格は受け入れられない立場を説明していた。その民主党内から日銀の独立性を脅かすような発言をする議員が出ているが、そっちの方が問題であろう。それはさておいても財務省出身だから反対するというのは、あまり理由にはならない。財務省と日銀はある程度の連携も必要であり、その意味で武藤氏の就任はむしろ適切であったように思う。今更ではあるが。

 ダイヤモンド氏は自らのFRB理事就任を巡る政治上のゴタゴタに嫌気が差して、自ら身を引くことにしたのであろうか。これでまだノーベル賞は受賞していないバーナンキ氏(現FRB議長)もホッとしている、なんていうことはないと思うが、ノーベル賞受賞者の理事というのも見てみたかった気がする。

 ちなみに、連邦準備制度理事会(FRB)は、14年任期の理事7人によって構成されている。理事の中から議長・副議長が4年の任期で任命される。議長・副議長・理事は大統領が上院の助言と同意に基づいて任命する。ちなみに1935年の銀行法制定の際に連邦準備委員会は、現在の連邦準備制度理事会と名称が改められたが、現在使われている米1ドル札はこの1935年から発行されている。

 2011年の理事会メンバーはバーナンキFRB議長、イエレンFRB副議長、デュークFRB理事、ラスキンFRB理事、タルーロFRB理事である。ウオーシュFRB理事が3月末で辞任したことで、現在の空席は2つとなっている。

 連邦公開市場委員会 (FOMC) は、FRBが定期的に開く会合で、FRB理事7人(現在は5人、空席2人)と連邦準備銀行総裁5人(ニューヨーク連銀総裁と、持ち回りで選ばれる地区連銀の総裁4人)で構成される。本来ならば数の上ではワシントンの理事会メンバーだけで過半数の票が取れることで理事会の意向が反映されやすいとされているが、現状は数の上だけで見ると拮抗しており、そのような状況にはなっていない。ただし、バーナンキ議長の意向がかなり反映されていることは確かであると思われる。


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by nihonkokusai | 2011-06-07 08:21 | 国債 | Comments(0)

沈静化していない日銀による国債引き受け論

 復興国債の日銀引受に関する報道が一時期、あちこちで見られたが、それについては野田財務大臣や枝野官房長官による、政府では検討していないとの発言によりいったん収まった。それをマスコミに流したとされる政府関係者からも結局、日銀の国債引受に関する慎重論が出ていた。しかし、それが完全に収まったようには思えない。

 また、これまで日銀による国債引受には慎重論を唱えていたとみられる人たちからも、日銀引受を行っても良いのではないかとの意見も垣間見れるようになってきたとも聞く。そのひとつとして、5月26日の大機小機の「無利子国債の日銀引受」がある。

 ところがこのコラムの中では、10兆円規模の復興国債を発行し、それは「非常事態への対応策として、無利子国債の形式で日銀引き受けとすべきである」としている。「使途の特定、償還期限の順守を必須とすれば、この方策も十分配慮に値する」とある。

 そもそも10兆円程度の国債をなぜ日銀に引受させなければいけないのか。今後も毎年度50兆円規模の新規国債の発行が予想されているのに、今の状況で10兆円の国債が民間で消化できないはずはない。もしも、消化できなかったならば、それこそ大きな問題となる。

 しかし、この日銀による国債引受については、国債を良く知る人たちからも主張がなされている。国会議員にも日銀の国債引受を主張する者もおり、金融市場にも精通しているはずの国会議員から政府紙幣の発行を求めるような声も出ているという。

 これまで格下げなどにより日本国債が売られるようなことはなかった。国内で消化できていたことももちろん要因であるが、それは日本国債への市場への信認が厚かったためでもある。しかし、日銀が国債を引受けることにより財政規律の弛緩が意識され、その信認が崩れたら何が起きるのか。これはやってみなければわからないものではあるが、ギリシャの例を見る限りリスクは大きすぎる。国債格下げにも敏感となり、国債利回りは急騰することが予想される。

 ギリシャと日本では経済規模などからは比較にならないとの見方もあるかもしれないが、国債発行が「信認」に基づいて行われていることに変りなく、むしろ信認が失われても日本国債は安泰と考える事のほうが難しい。さらに国債残高の大きさを考えると、日本の長期金利が数%上昇するとそれだけで金利負担が膨大なものとなり、財政はさらに悪化するなどその状況はあまり想像したくはない。

 大機小機での真和氏は「使途の特定、償還期限の順守を必須とすれば、この方策も十分配慮に値する」している。たとえ政府がそれを明確に打ち出したとしても、それ以降、国債引受が継続されるリスクの方が高い。そもそも国債を日銀に引受させるという行為そのものが財政規律を乱すものであり、いったん初めてしまえば、歯止めなど掛けたところでそれが守られると考える事のほうが困難である。


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by nihonkokusai | 2011-06-06 19:32 | 国債 | Comments(0)

日銀による国債引受けに関する白川日銀総裁発言

 日本銀行の白川方明総裁は5月28日開催された日本金融学会2011年度春季大会における、「通貨、国債、中央銀行 ―信認の相互依存性―」と題する講演の内容を再び見てみたい。

 白川総裁は中央銀行と国債の役割に関することに触れ、「日本銀行は金融調節に当たって国債を大いに活用していますが、中央銀行による国債買入れオペは、銀行券の供給や金融政策の運営のために行われているものであり、財政ファイナンスや国債金利の安定を目的として行われているものではありません。仮に中央銀行による国債買入れオペが財政ファイナンスや国債金利の安定を目的として行われていると受け止められるようになると、リスク・プレミアムが高まり、長期国債金利は上昇します。」

 このあたり、理解しづらい人もいるのかもしれない。リフレ派と呼ばれる人たちは理解しようともしていないように感じられる。日銀による国債の買入れも、国債の直接引受も結果から見れば、日銀の資産に国債が加わり、その分、市中にお金が出ていくことになんら変わりはない。だから、これはあくまで日銀は何のために国債を買い入れているのかが問題にされる。

 日銀による国債の買入れはあくまで金融調節のひとつの手段であり、日銀は銀行券の発行残高を上限として、保有長期国債が将来にわたってその範囲に収まるように、買入れを行っている。いわゆる日銀券ルールを設けている。これは日銀が設けた行内ルールであり、それに縛られずにもっと買入れを増やすべきとの意見も聞かれる。

 総裁は「多額の国債を買入れている中央銀行が、その買入れに当たっての基本原則も明らかにせずに行動すると、不確実性が増大し、リスク・プレミアムが発生する」ことを懸念している。現在の銀行券の発行残高は約 81兆円であり、現時点では長期国債の保有額60兆円は銀行券の発行残高を下回っているものの将来に向けては両者が接近してくるとみられており、国債の買入れそのものに慎重である。

 ただし、日銀は包括的な緩和政策にて、この日銀券ルールに縛られないかたちでの国債買入れも行うなど、見方によればリスク・プレミアムが発生してもおかしくはない手段も講じている。しかし、これについてもある程度の規律に基づくものであり、しかも財政ファイナンスではないとの認識から、リスク・プレミアムが発生するようなことはなかった。いずれにしても、あくまで市場が日銀の行動をどのように受け止めているのか。最も重要なのはその点である。

 そして、白川総裁は「日銀による国債引受け」の議論について、日銀の考えを説明している。

 欧州では、中央銀行の国債引受けが明示的に禁止されているほか、新興国 を含め世界の多くの国で、中央銀行による国債引受けは認められておらず、日本でも財政法5条により日本銀行による国債引受けを禁じている。ちなみに米国も同様に連邦法14条(a)にて連銀による国債引受を禁止している。

 これは「一旦中央銀行による国債引受けを始めると、初めは問題はなくても、やがて、通貨の増発に歯止めが効かなくなり、激しいインフレを招き、国民生活や経済活動に大きな打撃を与えたという歴史の教訓」が元になっている。

 その教訓のひとつとして、高橋財政期の日本銀行による国債引受けについて触れているが、それに関して当時と現在の金融経済情勢はそもそも大きく異なっている事実について以下のような説明があった。

 国債引受けの始まる前は金融引き締め期であり当時のコールレ-トは6.6%と高い水準であったのに対し、現在は 0.07%と極めて低い水準になっている。長期金利も当時の5.9%に対し、現在は1.1%台。高橋財政が始まる直前の国債発行残高の対GNP比率は 47.6%と、現在の対GDP比率の181.9%とは比較にならないほどの健全財政の状態にあった。

 当時の国債引受けは資本移動規制の強化を伴い、これに対し現在は当時とは比較にならないほどに金融市場や経済のグローバル化が進んでおり、金融政策や財政政策が通貨の信認を壊すような方向で運営されると、長期金利にすぐ跳ね返る状況になっている。

 当時の国内金融市場は現在に比べて規模が小さく、国債市場が発達していなかった。当時の国債発行は、民間金融機関が引受けシンジケート団を組成して引き受けるか、郵便貯金等を原資とする預金部が引き受けるかたちが中心であった。

 そして、これはよく知られているように「当時、日本銀行は国債を引き受けても最初の数年間、すなわち高橋是清蔵相の存命中は速やかに売却をしており、日本銀行による国債の保有残高やマネタリーベースが大きく増加した訳ではない」。

 高橋蔵相は軍部の予算膨張に歯止めをかけようとして凶弾に倒れ、結局はインフレを招いた。ただし、偶々軍部の予算膨張を抑えられなかったのではなく、「市場によるチェックを受けない引受け」という行為自体が最終的な予算膨張という帰結をもたらした面もあったのではないかと白川総裁は指摘している。つまり、引受けという「入り口」が予算膨張の抑制失敗という「出口」をもたらしたと解釈すべきではないかという。

 高橋財政期の日銀による国債引受けはあくまでも「一時の便法」として始まっている。高橋蔵相は帝国議会での演説で、引受けによる国債の発行は一時的なものであることを述べているが、その後の歴史はこれが一時的なものではなかったことを示している、この点が非常に重要である。

 中央銀行による国債の引受けは、初めは問題がなくてもやがて通貨の増発に歯止めが効かなくなり、激しいインフレを起こすことによって国民生活や経済活動を破壊する。日銀による国債引受については麻薬に例えられることも多い。

 さらに財政バランスの改善は、インフレによって達成される課題ではないことも指摘している。完全にリフレ派を意識した総裁発言である。

 財政バランスの改善には、歳出、歳入の見直しと成長率の引上げも重要である。そこで言う成長率の引上げとは実質成長率の引上げである。

「この点に関しては、しばしば名目成長率の引上げが必要だと言われますが、この言い方はややミスリーディングです。この言い方ですと、実質成長率の引上げでも物価上昇率の引上げであっても、全く同じように財政バランスが改善するかのような印象を与えますが、単に物価が上昇するだけでは財政バランスは改善しません。何よりも必要なことは実質成長率の引上げに向けた地道な努力です。」

 まさしく正論であろう。日銀による国債引受では何ら問題は解決されない。それどころか、日本経済そのものを破壊する行為ともなりうる。さらに信用を失うことでインフレを招くことになれば、それに対するブレーキは効かない。インフレターゲットを設定してもインフレを止める手段、つまり信用を回復することができなければインフレは加速する。その結果、ハイパーインフレが生じて日本の債務問題が国民犠牲の上に解消する可能性はある。

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by nihonkokusai | 2011-06-05 10:00 | 国債 | Comments(0)

個人向け国債がリニューアル?

 6月3日から夏の個人向け国債の募集が開始された(6月30日まで)。今回から10年変動タイプの適用利率の算式がこれまでの「基準金利-0.80%」から、「基準金利×0.66」に変更されることもあり、いろいろとリニューアルが図られたようである。

 財務省の個人向け国債のサイトを見ると、サイトそのものがリニューアルされている。また、そこではマウンテン変動10年、ゴーイング固定5年、マンスリー固定3年と個人向け国債にリングネームならぬニックネーム(愛称)がつけられていた。

 ただし、商品性そのものは10年変動の利率の算式以外に変更はない。ちなみに固定5年物については、2012年4月から発行から2年間は中途換金できないルールを改めて、発行後1年経過すれば換金できるようになる予定である。

 まずは、そのニックネーム(愛称)について見てみたい。マウンテン変動10年のマウンテンはどうやら金利の上り下りに利率が影響を受けることからきているようである。ゴーイング固定5年のゴーイングは想像するに、5年間利率が変わらずそのままということを示しているのであろうか。マンスリー固定3年のマンスリーは、四半期ごとに発行されるマウンテンやゴーイングとは違い、毎月発行されているためであろう。

 テレビでも個人向け国債の新しいコマーシャルがスタートしている。さらにツイッターでも1日から「コクサイ先生」がつぶやきを開始している。このようにいろいろとリニューアルが図られた個人向け国債であるが、ここにきての販売低迷に対してテコ入れとなるかどうか。それはやはり利率次第とも言える。

 今回の夏の個人向け国債の適用利率は、変動10年第35回債の初回の利子の適用利率が 年率0.77%(税引後0.616%)となる。基準金利は、1日の10年国債の入札結果から算出された金利1.17%であり、これまでの利率の方式ならば0.37%であったので、それに比べてかなり有利となる。

 固定5年第23回債の利率は年率0.41%(税引後0.328%)、固定3年第13回債年率0.20%(税引後0.160%)であり、10年変動の有利性が目立つことで、今回は特にこのマウンテン変動10年の売れ行きに注目したい。

 ちなみに、前回4月の際の個人向け国債の発行額は10年変動(初回利率0.51%)が126億円、5年固定(利率0.52%)が1434億円であった。


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by nihonkokusai | 2011-06-04 09:17 | 国債 | Comments(1)

ムーディーズ、日本国債の格付を引下げ見通しに

 格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは31日、日本政府の自国通貨建てと外貨建ての債務格付「Aa2」を引き下げ方向で見直しの対象にしたと発表した。ちなみに4月に格付会社S&Pは日本のアウトルックを「ネガティブ」に変更している。

 報道によると、ムーディーズのシニアバイスプレジデント、トーマス・バーン氏は31日の記者会見で、格付けの見直しは3か月以内に完了するとし、こうした見直しの大半は格下げといった結果につながっていると語り、3か月以内での日本国債の格下げの可能性を示唆した。

 ちなみにS&Pにしろムーディーズにしろ、国債の格付は依頼されているものではなく、勝手につけている勝手格付と呼ばれるものである。しかし、ギリシャなど欧州の債務問題ではこの格付会社の動きが大きな影響を与えるなどしており、関係者のみならずマスコミなども注目している。しかし、日本の場合には市場への影響、特に肝心要の日本国債がこの格付に関する動きでは、ビクともしないため、マスコミ以外での注目度は低いように感じる。

 今回の日本国債の格付見通し変更の理由としては、日本政府が掲げる成長率目標ではプライマリーバランスの赤字解消に十分でないとし、赤字を解消するためには、新たな財政改革が必要となることは必至と指摘していたが、それは今に始まったことではない。むしろ、震災を受けたにもかかわらず、政府は税と社会保障の一体改革に向けた集中検討会議に、消費税の段階的な引き上げを打ち出した報告書を提出するなど、財政再建に向けた動きを進めようとしているぐらいである。

 それにもかかわらず、なぜこのタイミングでムーディーズは見通し変更を発表したのか。穿った見方をすれば、自民党と公明党が菅政権に対する内閣不信任決議案を昨日、提出する方針を固めたことにより、政局が大きなヤマ場を迎えることが予想されるためとも見えなくもない。

 マスコミは自らの報道が、結果として社会に対して大きな反響・影響を及ぼすことは大きな目的ともなっていよう。そして格付会社にとり、適切な格付情報を提供することにより、市場に対して注意を喚起するということは重要であろう。しかし、欧州の国債などの格付変更の際には、その発表のタイミングによっては、格下げそのものが材料となり、市場の警戒心を強めさせ、相場変動を加速させることも多い。つまり火のついている相場に油をかける状態に陥りさせることがある。

 格付会社に向けた批判のようになってしまったが、格付そのものは債券市場にとり大変重要な役割を果たしていることは確かである。それはソブリン格付に関しても言えよう。これまでの日本国債の格下げに関しても、日本の財政状態を広く意識させる意味でも、それなりの役割を果たしている。ただし、格付会社の行動そのものが市場を動かすことも多いことで(除く日本国債)、発表のタイミングについても慎重に選ぶことも重要ではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2011-06-02 08:21 | 国債 | Comments(0)

政局の行方と債券相場

 自民党と公明党は菅政権に対する内閣不信任決議案を今日にも提出する方針を固めたことにより、政局は大きなヤマ場を迎えることになる。

 民主党内では小沢一郎元代表のグループは対決姿勢をさらに強めており、党分裂の可能性も出てきた。対する自民党内でも中堅・若手には早期の不信任案提出に慎重論も多く、一枚岩ではないという。

 不信任案の可決には与党内から、少なくとも81人以上の賛成が必要になる。小沢グループの動向次第では可決される可能性は全くないとは言えない。小沢氏は不信任案に賛成することを示唆するような発言もしている。

 見えないところでの駆け引きも行われていると思われ、政治の世界だけに、どのように転ぶかは予想が難しい。ただし、これにより与党民主党の動向に変化が生じる可能性がある。政局の行方そのものが読みづらく、それによる債券相場への影響も予想が難しい面もあるが、注意すべき点だけを上げておきたい。

 財務省と内閣府は30日に、税と社会保障の一体改革に向けた集中検討会議に、消費税の段階的な引き上げを打ち出した報告書を提出した。政府はこれを参考に税率や増税時期など具体策の検討を進めるとしているが、現時点でも民主党内には増税への反対派も多い。政局が混乱すれば今回もまた消費税増税は絵に描いた餅になってしまう可能性も高い。これはすぐに影響するものではないが、今後の日本の債務持続性に影響を与える可能性がある。

 そして、これは先行きというよりも目下の問題となるが、いまだ成立していない特例公債法案の行方にも影響が出る可能性がある。完全に政争の具とされた感もあり、政局が混迷すればさらに成立が遅れる懸念もある。解散総選挙となればなおさらである。いまのところなんとか8、9月、場合によれば11月あたりまではやり繰り可能とみられているが、早期に成立させないと、いずれ政府の資金繰りに支障も出る。それをきっかけに日本国債への信認が低下するようなことになれば、大きな問題が発生する。

 東電の処理に関しても先行き不透明となっていることで、東電債などに影響を与える可能性がある。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは30日に東電の長期会社格付けを「B+(シングルBプラス)」に5段階引き下げ、長期優先債券格付けは2段階引き下げ「BB+(ダブルBプラス)」とした。いずれも従来は「BBB(トリプルB)」であった。この格下げの理由として、政府による損害賠償支援の内容や正式決定の時期などが依然として不透明である点も指摘された。

 内閣不信任案の行方、さらに税と社会保障の一体改革に向けた動きなどによっては、日本国債に関する格付に影響が出る可能性もある。実際に昨日、格付会社ムーディーズは日本政府の自国通貨建てと外貨建ての債務格付「Aa2」を引き下げ方向で見直しの対象にしたと発表した。もちろん日本国債が格下げされても、今回も相場そのものへの影響は限定的とみている。

 債券相場は5月6日あたりから債券先物の中心限月で140円50銭から141円のレンジ内での動きが続いている。昨日、発表された鉱工業生産指数は、足元4月の数字は前月比プラス1%となり予想を下回ったが、製造工業生産予測指数は5月が前月比プラス8.0%、6月が同プラス7.7%となっていた。まさにV字型回復となることが予想され、これを受けて昨日の債券先物は直近レンジの上限近辺をいったんつけてから、売りに押され下限を試す展開となっている。

 このレンジ相場はあらたな材料が出ない限りはなかなか抜けだしそうにない。ただし、米債の動向などに加えて、日本の政局の動向がその材料になる可能性もあるだけに、今後の政局の行方にも、注意が必要となりそうである。


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by nihonkokusai | 2011-06-01 10:02 | 債券市場 | Comments(0)
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