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特例公債法案の成立の目処立たず

 東日本大震災の復旧費を盛り込んだ総額4兆153億円の2011年度第一次補正予算が5月2日の参院本会議で成立した。

 今国会の会期末は6月22日となっており、岡田幹事長ら民主党執行部は今年度当初予算を執行するために必要な特例公債法案を成立させて国会を終えて、8月下旬以降に臨時国会を開いて二次補正を処理する案を検討と3日の日経新聞は伝えている。

 しかし、一次補正予算は賛成に回った野党各党は「菅政権への協力は一次補正まで」との立場を明確にするなど、特例公債法案が成立する目処は立っていない。もし、6月あたりまでに特例公債法が成立しなければ、その後、必要経費が賄えなくなる事態が発生しもその際には政府機関の一時封鎖(シャットダウン)の可能性すら出てくる。

 米国でも財政再建を巡って与野党が対立している結果、2011年度の暫定予算を巡っての攻防が続いている。いまのところ米国では政府機関のシャットダウンという事態は回避されているが、日本でも与野党の攻防はぎりぎりの線で進められる可能性があり、危ない賭けに出ているとも言える。

 それでなくても、震災があり通常以上に政府の役割は重要なものとなっている。震災復興に向けて与野党一丸となり対応しなければならない時に、党利党略を重視すべき時ではない。だからこそ一次補正は通したのかもしれないが、それは今年度予算そのものの財源についても同様に考えるべきであろう。

 連休明けからは、野党は特例公債法をカードに菅直人首相の退陣を迫る構えと伝えられている。しかし、今はそれを急ぐべき時なのであろうか。震災により解散・総選挙の機運はむしろ後退している。震災復興にある程度の目処が立ってから、あらためて与野党それぞれの主張を元に対決姿勢を見せて国民に問うことをすれば良いのではなかろうか。

 このまま今年度予算の財源が確保できない事態が想定されるようなことになれば、それは与野党ともに責任が生じる。特例公債法案が年度内に成立しなかった場合、6月末あたりまでは資金のやり繰りは可能と思われるが、その先はかなり厳しい状況になる。国民生活への影響も大きいであろう。さらに国債への信認にも影響が及ぶ可能性も考慮しておくべきである。


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by nihonkokusai | 2011-05-07 09:11 | 国債 | Comments(0)

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by nihonkokusai | 2011-05-06 11:33 | 国債 | Comments(0)

西村副総裁の独自案の謎

 4月28日に開催された日銀の金融政策決定会合では、西村副総裁が、資産買入等の基金を5兆円程度増額し、45兆円程度とする議案を提出したが、これは反対多数で否決された(賛成:西村委員、反対:白川委員、山口委員、野田委員、中村委員、亀崎委員、宮尾委員、森本委員、白井委員)。

 金融政策そのもの(無担保コールレートを、0~0.1%程度で推移するよう促す)は全員一致で現状維持となったが、副総裁が独自提案を出したのは1998年の新日銀法施行後初めてのことである。

 これについて白川総裁は28日の会見で次のように発言している。

 「なお、会合では、西村委員より、震災等の影響が長期化し、企業や消費者マインドの悪化を通じて実体経済への悪影響が強まることを防ぐ観点から、資産買入等の基金を5兆円程度増額する議案が提出されました。これに対し、その他の委員は、現在は、3月に思い切った金融緩和を行っており、増額した基金による買入れを着実に進め、その効果を点検していくことが適当との考え方から反対しました。」

 2007年2月の会合で0.5%への追加利上げが決定された際に、岩田副総裁(当時)が反対票を投じたことがある。執行部の意見が別れたのはこの時が初めてであった。しかし、今回は議長案に反対するのではなく、独自案を出している点に注意したい。つまり、執行部の意見割れという見方を回避しながら、若干の意見の違いを示した格好となる。

 何故に西村総裁はこのタイミングで独自案を出したのか。その謎解きのひとつは4月21日の西村副総裁の講演・会見にあるかと思う。たとえば西村副総裁は会見でサプライチェーンの問題について、「特に自動車のように複雑で、3~3.5万点という部品があり、その部品の一つ一つが様々なカスタマイゼーション・エレクトロニクスを土台としているような場合には、自動車産業がどうだという明快なお答えはできないだろうと思います。」との発言があった。細かい数字を出すなど危惧感が伺える発言である。

 そして、「概していえることは、1つは、不確実性は依然として高く先行きの見通しは難しいということ」(西村副総裁)として、6月か7月くらいにはサプライチェーンの制約は解消していくだろうと期待している、とした白川総裁(4月7日の会見より)との意見との微妙な違いを示している。

 独自案を出した理由は、このように総裁などよりもやや悲観的に震災への実体経済の影響を見ていたためもあろう。ただし、これまでもこのような微妙な意見の食い違いはあったはずである。何故、このタイミングで副総裁が独自案を出し、議長案には反対はしなかったのか、その理由はまた別にありそうである。

 ここからの見方はあくまで個人的な憶測であるが、これには3月末で須田委員が退任したことによる影響と、日銀人事、特に企画局長が5月2日付けで変わることなども微妙に影響していた可能性がありそうである。

 日銀の金融政策決定会合には透明性を高めるためにも反対意見は必要である。委員会制度上、常に議長案に賛成するというのであれば、そもそも委員会制度をとっている金融政策決定会合の意味を無くするものでもある。それぞれ専門分野を持ち、それに基づいて自らの意見を出すことも重要である。10年間の任期の中で、政策が大きく変わるタイミングで何度も反対票を投じた須田委員の行動は、決定会合がスリーピングボードではないことを示すものでもあった。少数意見が存在することにより、金融政策決定会合における討議のプロセスがより明確化され、それは金融政策の透明性も高めることにもなる(3月31日の牛熊コラムより)。

 つまり須田委員の退任により、このような反対意見が出にくくなることも予想されていた。そこで、その役割を西村副総裁が担ったのではないかとも憶測されるのである。これには決定会合がスリーピングボードとなることを危惧する日銀内部での懸念などが反映されていた可能性も否定できない。今回、議長案には反対しなかったことを見ても、総裁・副総裁間の意見割れを意識させるようなことをせずに、金融政策の透明性向上を意識した動きのようにも見えるためである。

 また、今回の西村副総裁の独自案により、日銀は今後の景気動向次第では追加緩和に踏み切る姿勢を示したことにもなる。日銀は今回、「中長期的な物価安定の理解」について、「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、中心は1%程度である。」とし、 昨年4月の「委員の大勢は1%程度を中心と考えている」から大勢との表現を削っている。これには須田委員の退任による影響もあろう。また、震災による影響もあり、日銀がより緩和的なスタンスを強めてきていることも確かなように思われる。


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by nihonkokusai | 2011-05-03 07:44 | 日銀 | Comments(0)
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