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債券相場の波乱は小休止ながら、財政問題が足かせに

 先週の債券市場では、15日に現物5年債の利回りが0.6%まで上昇し、また、10年債利回りは1.295%と1.3%近くに上昇。さらに20年債利回りも2.1%近くに上昇した。

 この債券利回り上昇の最大の要因は米国債の利回り上昇であったのは明らかである。円債に押し目買いが入り戻りかけても、米国市場で米債の利回りが上昇してしまい、翌日の日本の債券市場はさらに下値を試すような展開が続いた。

 そして、もうひとつ円債の上値を重くさせていたものに短期国債の利回り上昇など短期金利が上昇していたことも要因であった。15日の1年物短期国債入札の応札倍率が1.81倍と過去最低を記録するなど、やや異常なほど不安定な状況にあったためである。

 しかし、この大きな2つの懸念材料は次第に落ち着きを見せてきた。米債については先週末にかけて長期債主体に利回りは大きく低下した。さらに短期国債についても落ち着きを取り戻しており、その結果として0.2%台で高止まりしていた2年債の利回りも0.2%を割込んできている。

 これを受けて債券相場は大きく切り返し、10年債の利回りは再び1.2%を割り込み、また債券先物も一時140円台を回復した。ここにきて波乱含みとなったいた債券相場は小休止してくるものとみられる。

 ただし、このまま長期金利が再び低下基調となることも考えづらい。確かにファンダメンタルズを見る限り、日銀短観も悪化しつつあるなど景気の先行きへの懸念も強い。また、物価も上昇する気配はなく、デフレも簡単に解消に向かうことも考えづらい。しかし、日銀による追加緩和期待が強まるような状況でもない。

 それには外為市場で円高が一服したことも大きいと思われる。これにより日銀に対しての外部からのプレッシャーがかなり緩和されつつある。また、FRBについてはQE2後の長期金利上昇によって追加緩和、特に国債買入増額という手段については、かなり慎重にならざるを得ないと思われるため、日銀も早期に動く必然性がない。

 そして、日米ともに財政の問題もクローズアップされやすくなっている。これは欧州でも同様か。これも長期金利低下を阻害する要因ともなりうる。米国については減税策の継続などによる債務悪化、日本については抜本的な税制改革等の見送りなど一向に進められない財政再建、そして欧州については周辺国に対する支援により比較的財政が健全な国に対する財政への懸念が出てきている。

 日米欧とも中銀の政策の軸は、国債買入に傾いているが、それはそもそも先進国の財務体質が悪化しつつあることの裏返しとも言える。日銀による国債買入は財政ファイナンスではないとしているが、結果としては日本の債務悪化による債券市場への悪影響に対するクッションの役割をしていることも確かである。今後、中銀が国債買入を増加すればするほど、国債需給の緩和などよりも、その国の財政悪化が意識されやすくなる可能性もある。

 さらに日本では民主党政権の雲行きがかなり怪しくなってきている。民主党が分裂をするようなことがあれば、大規模な政界再編が起こる可能性がある。それにより、財政再建を積極的に進められるような若々しい政権が誕生することが望ましいが、あまり期待はできそうにもない。しかし、それに一抹の望みを託する以外に、日本の債務悪化を食い止める手段も考えづらいことも確かである。


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by nihonkokusai | 2010-12-21 09:00 | 債券市場 | Comments(0)

「2010年9月末時点の日本国債と政府短期証券の保有者」


 12月17日に日銀が発表した2010年7~9月資金循環勘定速報によると、家計の金融資産は2010年9月末現在で1441兆7865億円(速報値)となった。6月末の1444兆7385億円(確報値)から減少した。減少は2期連続となる。

 この2010年7~9月資金循環勘定速報を元に、国債の保有者別のシェアを算出してみた。ちなみに国債の総額は728兆1781億円となっている。この場合の国債とは、普通国債(建設国債と特例国債)と財投債を合計したものであり、政府短期証券は含まれていない。また、金額は時価ベースとなっている。

 このうち銀行など民間預金取扱機関は278兆8460億円で38.3%、民間の保険・年金は175兆3423億円で24.1%となり、銀行や生損保で6割を越えている。これにはゆうちょ銀行やかんぽ生命の保有分も含まれている。

 次に多いのが公的年金で77兆9585億円の10.7%、そして日本銀行の57兆3658億円の7.9%、投信など金融仲介機関の40兆3168億円の5.5%と続く。

 海外投資家と家計(個人)の比率については海外が36兆6646億円の5.0%、家計が34兆763億円の4.7%となっている。6月末のシェア(速報値)は海外が4.6%、家計が4.8%となっており、海外シェアがやや持ち直した格好となった。

 そして財政融資資金が1兆2325億円で0.2%、その他が26兆3753億円の3.6%となっている。

 参考までに政府短期証券に関しても同様に保有者別に集計したところ総額で151兆5360億円のうち、銀行など民間預金取扱機関が77兆9131億円の51.4%、海外が20兆8414億円の13.8%、中央銀行が21兆1372億円の13.9%、投信など金融仲介機関が7兆6783億円の5.1% 、民間の保険・年金が3兆5788億円の2.4%、その他が20兆3871億円の13.5%となっている。このその他のうち19兆5810億円が中央政府の保有分である。


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by nihonkokusai | 2010-12-20 08:58 | 国債 | Comments(0)

「社会保障と財政問題」

 日本における皆保険、皆年金が誕生したのは1961年であり、来年で50周年となる。1961年に国民健康保険制度が完全普及され、また国民年金制度が発足したことにより、国民皆保険・国民皆年金が実現した。

 現在の日本の財政を考える上では、歳出に大きな割合を占めるこの社会保障の問題を避けるわけにはいかない。特に少子化とともに高齢化が進む日本では、高齢者増加による医療費の増額などとともに、それを負担する生産年齢人口の減少が問題となる。すでに今年度は一般歳出の半分を社会保障費が超えており、この社会保障費が自然増で毎年1兆円ずつ増えていくという状況となっている。

 11月8日に行われた財政制度等審議会の財政制度分科会の議事録が財務省のサイトにアップされているが、この中でも社会保障改革に対していろいろと意見が出されている。この中で、財政の問題、社会保障の問題、大きなデザインを描く必要があると指摘されているが、まさにそのとおりであろう。社会保障費そのものの削減については、いろいろとその手段については意見もあろうが、まず具体的な削減の数字を政府が示し、それに向けた議論の積み重ねも重要ではなかろうか。

 この議事録の中で、社会保障のサスティナビリティを危惧する発言もあったが、それ以前に社会保障費の増加は日本の財政そのもののサスティナビリティを危うくさせうる。ただし、危ない危ないと言われた日本国債はいっこうに暴落の兆しを見せないのではないかとの指摘もあろう。しかし、そのリスクは巨額の財政赤字が継続する限り危険なレベルへと高まりつつあることも明白である。

 英国などでは若手の政治家主導で、財政再建に向けて積極的な姿勢を見せている。しかし、日本では選挙で消費税アップがタブー視されるなど、積極的な財政再建を進めようとする気配すら感じさせていない。もちろん消費税を上げれば済むような問題でもないが、それを組み込んでの社会保障改革であったはずであるのに、それすら出来ていない現状が問題なのである。

 坂の上の雲ではないが、国民は日露戦争の際のような臥薪嘗胆を求められても困るというのも本音であろう。しかし、もし日本の財政が立ち行かなくなくなれば、その負担は国民に一気に振りかかる。また、日銀が国債を引き受ければ済むといった考え方は、アリとキリギリスの話に例えれば、まさにキリギリス的な考え方であり、将来背負うであろう大きなリスクを何ら意識していない。

 今後の日本の財政問題を考える上では、この社会保障費をどうするのかが大きな課題となる。日本の財政問題を真摯に受け止め、将来の国民の安心を導いてくれるような政治家が求められる。このためには、つまらない小競り合いに明け暮れているようなベテラン政治家たちは置いといて、海外のように若手政治家による奮起を期待したいところである。


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by nihonkokusai | 2010-12-17 10:27 | 国債 | Comments(0)

長めの金利上昇に働きかけてしまった日銀

 債券相場の下落が止まらない。ここに来ての債券相場は下がるかなと思うと米債がしっかりで、翌日反発してみたり、また不安定ながらも底打ちするかと期待すると、米債が急落するなど、債券市場関係者にとり、非常にやりにくい相場展開が続いている。

 今回の債券相場の下落要因については、以前にも何度か指摘したが、大きな要因としては米債安があり、それに絡んだ銀行によるリスク管理上からのポジション調整の動きが大きいとみられる。

 結論から言って、米債は11月のQE2を確認してから本格調整に入り、円債に関しては10月の包括緩和政策決定を受けてから債券相場は下落基調を続けている。

 FRBは米国債の買入の増額を行ない長めの金利低下を促して、その結果として物価の安定、景気の回復とそれによる雇用の回復をはかろうとした。日銀もこれまでの国債買入とは別枠で1~2年の国債を買い入れ、さらに時間軸政策も組み入れて、やはり長めの金利低下をはかろうとした。

 しかし、長めの金利は低下するどころか反対に上昇し、日本の2年債の金利は10月の包括緩和決定のころの0.1%から、現在は0.2%台に上昇している。期間1年物の短国までも0.2%近くに金利が上昇しているのである。

 これを見る限り、どうやら日米の中央銀行は長めの金利の低下ではなく上昇に働きかけをしてしまったようである。もちろんそれぞれ、先に金利が大きく低下してしまった反動といった面も大きい。

 特にFRBに関しては数ヶ月かけてじっくりとQE2に向けての宣伝を行なってきたことで、利回りが下がるところまで下げてしまった感もある。日銀にしても、2年債が0.1%程度まで下げたことで、やはりピークアウト感も出てしまったものとみられる。

 しかし、その後の金利上昇に関しては日米の中央銀行はそれほど懸念しているような素振りはない。それには日米ともに株価が上昇し、日本では円高の動きが止まったことなども大きい。日本では今日発表された短観などみてそれほどでもないが、米国では発表される経済指標によっては景気の改善を示すものも出始めている。

 日米の中銀にとり、長めの金利低下に働きかけるというのは、最終的な目標ではない。それにより景気や物価に働きかけようとするものであり、たとえ長期金利が上昇しようとも、景気に回復の兆しがみえればそれはそれでよしとなる。

 景気回復を阻害するほどの金利上昇となれば懸念も出ようが、ピッチのほどはさておき、この程度の金利上昇はまだ許容範囲ということでもあろうか。つまり買われすぎの反動程度と捉えれば、金利上昇をむやみに抑えこむ必要はない。

 円高一服、株価の上昇となれば、混沌としている政局の中なあっても、政治家などからの日銀へのプレッシャーも緩む。日銀としてもこの長期金利の上昇抑制のための追加緩和といった手段を取ることはまず考えづらい。このため、結果としては長めの金利の上昇に働きかけてしまったかにみえる日銀ではあるが、当面は様子見のスタンスで望むものと思われる。

 ただし、注意すべきは債券相場の地合いが不安定になる中、あらためて財政への不安などからさらに国債が売り込まれるような事態になることである。いわゆる悪い金利上昇は避けなければならない。長期金利が1.5%あたりまで上昇しても、それほど悪影響を及ぼすことは考えづらい。しかし、それが2.0%を目指すようなことになれば話は違ってきてしまう。日銀の包括緩和は金利のアンカーになっていることも確かで、そのアンカーが外れてしまったような動きとなった際は危険な兆候となる。いづれ債券相場は下げ止まると思われるが、どのあたりで止まるのかも確認しておく必要があろう。
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by nihonkokusai | 2010-12-16 08:40 | 債券市場 | Comments(0)

「国債の知識、財投債の発行根拠法」

 2001年度から特別会計に関する法律(第62条第1項)を発行根拠法とした財政融資資金特別会計国債、一般には財投債と呼ばれる国債が新たに発行されている。

 2001年4月に財政投融資改革によって、大蔵省(財務省)の資金運用部は廃止され、郵便貯金及び年金積立金の預託義務が廃止された。郵便貯金や簡易保険、年金積立金で集められた資金は、それまで大蔵省(現財務省)の資金運用部に集められ、運用されていた。資金運用部はこの資金を旧住宅金融公庫・旧国民生活金融公庫をはじめとする公的金融機関や、旧日本道路公団などの公共事業実施機関、国の特別会計、地方自治体などに貸し出していたのである。

 しかし、財政投融資改革、いわゆる財投改革によって、資金運用部に預託する義務が廃止され、郵便貯金や簡易保険で集められた資金は郵政事業庁(後に、郵政公社を経由してゆうちょ銀行・かんぽ生命)、公的年金は厚生労働省の年金基金運用基金(後に、年金積立金管理運用独立法人)が、それぞれ独自で運用することとなったのである。

 財政投融資制度は、社会資本整備等により日本経済の発展に一定の貢献を果たしてきたといわれている。しかし、その規模が大きく膨らみ特殊法人等の事業の肥大化を招いたとの批判が出てきた。予算のチェックをあまり受けることなく、資金運用部から自動的に巨額の資金が特殊法人に流入されていた。自主的な資金調達を行う必要がないことで、市場のチェックを受けることがなく、特殊法人の経営そのものも不透明との指摘もあった。

 これらの点を踏まえて市場のチェックを受け、特殊法人等の改革・効率化にも寄与するために行なわれたのが財政投融資改革である。

 財政投融資改革により資金を必要とする財投機関は、市場から新たに資金を調達しなければならなくなった。このために発行されるのが、財投機関債、政府保証債、投融資特別会計国債(財投債)である。

財投機関債
 独力で資金調達できる法人が発行する政府保証がつかない債券

政府保証債
 独力では資金調達することが困難な法人が、財務省の厳正なる審査を受けた上で政府保証が付与され発行する債券。

財投債(財政融資資金特別会計国債)
 財投機関債、政府保証債のいずれでも資金調達が困難な場合に、財務省が発行する国債。そこで調達した資金を財投機関に融資する。発行根拠法は特別会計に関する法律。

 財投債は国がその信用に基づいて発行するものであるため、建設国債や特例国債と同様に発行限度額について国会の議決を必要とする(「特別会計に関する法律第62 条第2 項」)。財投債の発行収入は財政投融資特別会計の歳入の一部となる。

 財投債の発行に際し経過措置として、2001年から7年間は、市場に配慮して郵貯、公的年金、簡保積立金が財投債の一部を直接引き受けていたが、その期間が過ぎた現在はこの直接引受けは行なわれていない。

 また、財投債はその償還や利払が財政融資資金による独立行政法人などへの貸付回収金により行われていることから、将来の租税を償還財源とする建設国債・特例国債とは異なる性質を持っている。このため普通国債残高(建設国債と借換国債の残高)と財投債残高は区分して示されている。
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by nihonkokusai | 2010-12-15 08:28 | 国債 | Comments(0)

債券の波乱相場の要因

ここにきての債券相場は連日のように先物が大きく上げ下げするなど波乱含みの展開となっている。これにはいくつかの要因が重なっているものと考えられる。

その要因のひとつは米国債券市場の不安定さであろう。米10年債利回りは上げ下げを繰り返しながらも結果として3.%台に乗せて、さらに上昇している。日本の債券市場も押し目買いが入っても、米債の下落などで押し返されるような動きが続いている。米債の下落要因としてはQE2に向けた買いの反動売りもあり、これには6月以降、米国債を大量に購入した邦銀からの売りも影響していたとみられる。

10月の日銀による包括緩和政策の決定時には0.1%近辺にあった2年国債の利回りが0.2%台での高止まりが続いている。これについても大手銀行の中期ゾーンへの売りが影響していた。日米国債の邦銀による合わせ切りの動きは、厳格なリスク管理などが影響しているのではないかとの観測もある。

また、超長期ゾーンの買い手となっている生保の動きも思いのほか鈍いものとなっている。この生保の動きの鈍さの背景には、すでに今年に入りある程度の買いを進めてしまったことで、あまり焦って買う必要はないためとの見方もある。

円高が一服し株式市場が戻り基調となっていることも、債券相場の上値を抑える要因となっている。日米ともに足元景気については予想されていたほど悪い状況にない。また、米国市場では予想を上回るような経済指標に反応しやすくなっていることもある。

さらに財政そのものへの不安が日米の債券相場の上値を抑えている可能性がある。格付け会社のムーディーズは、ブッシュ減税や失業保険の延長案により、向こう2年間における米国格付けに対する見通しの変更の可能性を示した。ムーディーズが自国の国債の格下げを行うことは考えづらいものの、こういった可能性が指摘されるほど米国の財政の先行きについては懸念が強い。米国は日本型デフレに落ち込むのではないかとの見方もあるが、同様に米国が日本のような債務膨張に陥る可能性もありうる。

そして、日本国内では政局の先行き不透明感も潜在的な要因となっている。特に政権与党である民主党に分裂の危機が迫り、来年度予算編成などにも影響する可能性がある。政局不安は国債需給への不安要因ともなる。それ以上に、財政再建に向けた積極的な動きもなく、将来に向けた国債需給悪化の懸念は強まるばかりとも言える。

以上の要因などがいくつか重なりあって、債券相場の変動を大きくさせるとともに、基調としては下値を試すような動きになっている。この流れがどこまで続くのかは予想しづらいところではあるが、まだブレーキがかかるような状況でもなさそうである。
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by nihonkokusai | 2010-12-14 10:27 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物の中心限月の個性

12月9日は長期国債先物12月限の最終売買日となり、この日に先物の中心限月は2011年3月限に移行した。参考までに先物の中心限月とは、最も出来高の多い限月のことを指し、長期国債先物(以下、債券先物)に関してはそれはほぼ期近の限月となる。ほぼと言うのは、期近の限月の最終売買日を迎える前に、期先の限月と出来高が逆転し中心限月が交代したケースが以前にはあったためである。こと債券先物についてはいったん中心限月が移行してしまうと、出来高が再逆転するというケースはこれまでにない。

今年で上場してから25年を経過した債券先物取引は、日本で最初の金融先物取引である。過去の債券先物の動きを見てみてみると、中心限月にはそれぞれ個性のようなものが見受けられる。大人しい限月であったり、値動きの荒い限月であったり、ほぼ一方的に上昇するような限月であったり、その反対の動きの限月もあった。

昨日で売買最終日となった2010年12月限については、前半はほぼ一方的な上げ相場であったのが、後半はやや荒々しく下げるような展開となり、日足チャートは「へ」の字型となった。

そして、昨日中心限月となった2011年3月限については、初日から急騰急落するなど、かなり波乱に満ちた動きを見せている。この限月ごとの性格の違いには、チーペスト銘柄がやや影響していることもある。

債券先物は日経平均先物などとは違い、現引き現渡しが可能となっている。長期国債先物に関しては10年物の国債の中で残存7年以上11年未満のものが受渡し適格銘柄となっている。さらに債券先物は、その受渡し適格銘柄のうち最割安銘柄、これはチーペスト銘柄とも呼ばれるが、に連動する仕組みになっている。

現在の金利の環境では、このチーペスト銘柄は最も残存期間の短いものがなることが多い。昨日が最終売買日となった2010年12月限のチーペスト銘柄は289回債であり、この銘柄はリオープンが2回重なったことで、通常の銘柄に比べて3倍の発行量を持っている。これに対して、2011年3月限のチーペスト候補となる銘柄は利率の異なる3つの銘柄に分散される。このため、チーペストは3銘柄の中で最も割安なものとなる。

つまり、チーペスト銘柄の発行量が多ければ空売りなどが容易になるものの、チーペストの発行量が少ないと、その銘柄の需給次第では、空売りがしづらくなる場合も考えられる。このため踏み上がるようなケースも多くなることで、値動きそのものが荒くなる可能性がある。

もちろん債券先物を動かす要因は、現物全般の需給であったり、米国債など海外市場動向であったり、もちろん景気や物価情勢であったりするわけで、それにより債券先物の個性が出てくることも確かである。

はたして初日から大暴れした債券先物2011月3月限はいったい今後、どのような動きを見せるのか。その動きの個性にも注目してみたい。
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by nihonkokusai | 2010-12-13 10:28 | 債券市場 | Comments(0)

「債券相場の地合いはさらに悪化、注意信号灯るか」

 今回の日本の債券市場は、かなり重症そうな雰囲気が漂ってきた。今日は5年国債入札が実施されたが、これを無難に通過すれば、先物は買戻しも入り、相場の地合いも少し良くなって、現物も押し目買いが入りしっかりと予想していた。実際に途中までのそのシナリオ通りの展開となった。

 昨日8日のユーロ圏での債券市場ではドイツ連邦債が売られ、10年債利回りは3%台に上昇し、米国市場では昨日の東京時間から売られていた米国債は、10年債が一時3.33%まで利回りが上昇した。このため、本日から中心限月となる債券先物3月限は、やや売りが先行し前日比15銭安の139円05銭で寄り付いた。LIFFEでは139円割れとなっていたが、前場の安値は139円01銭までとなり、その後、先物はじりじりと切り返す展開となっていたが、現物債は前場先物に比べ上値が重くなっていた。このあたりもやや気になるところではあった。10年債利回りは前日比2毛甘の1.250%の出合い後に、朝方は1.265%まで上昇していたのである。

 本日入札される5年国債は利率が前回から0.2%引き上げられ、0.5%となったがこれは予想通り。ここにきての債券相場の急落により、この入札への懸念も出ていたものの、その入札の結果は最低落札価格99円64銭、平均落札価格99円68銭と懸念されていたほどは悪くはなかった。ただし、テールは4銭と前回の1銭から伸びて、応札倍率も2.78倍と前回の3.97倍から低下していたがもそれなりのニーズがあったのではないかと推測された。

 とにかくも無事に入札というイベントも通過したことで、先物はショートカバーが入り、債券先物は、前日比77銭高の139円97銭まで大きく上昇した。買戻しは予想されたものの、ちょっと行き過ぎという感じも受ける戻りではあったが下げも大きかった分、戻るののも速いということか。3月限のチーペストの発行量が12月限より少ないことでの思惑もあったようである。この先物の戻りを見て、朝方1.265%まで売られた10年債も、さすがに買いが入り前日比5.5毛強の1.185%に利回りが低下した。5年債利回りも0.475%に低下した。ただし、2年債の利回り低下は0.210%までにとどまっていた。このあたりも注意すべきところであったのかもしれない。

 現物債にもそれなりに買いが入り、これでとりあえず今日のところは下げ一服かと思われた矢先、その10年債利回りは2時過ぎあたりから急速に上昇し、再び1.260%と朝方の水準に戻ってしまった。5年債も一時0.475%まで買われたのに、引けにかけては2.5毛甘の0.540%に。債券先物も引け際に139円02銭と朝方つけた安値に接近し、大引けは8銭安の139円12銭となったのである。急速に戻り過ぎた反動とも思われ、また東京時間で米10年債の利回りがじりじりと上昇していたこともあった。しかし円債は押し目買い待ちというよりも、戻り売り待ちの参加者がいたということでもある。また、5年新発債のセカンダリーニーズが思いの外見えなかった可能性もあり、ポジション調整の売りが入った可能性もある。

 結局、戻った分、帳消しになり、10年債は引けあと1.270%まで打たれた。これでは地合いが好転どころか、むしろ悪化してしまったようにも思われる。いったいこの円債の上値の重さの要因は何なのか。米債の下げの影響とそれによる銀行などのポジション調整ということで片付けられれば、さほど問題はないものの、別な要因が絡んでいるようだと、注意する必要がある。この場合の別の要因とは、たとえば日本国債そのものへの需給への懸念といったものではあるが、今のタイミングでそれが問題視されるとも考えづらいことも確かである。しかし、その懸念も払拭できないような債券相場の地合いとなり、当面、注意信号が灯りそうな予感がする。もちろん米債の今後の動きにも注意する必要がある。
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by nihonkokusai | 2010-12-09 16:21 | 債券市場 | Comments(0)

「債券相場急落の背景」

 12月8日の債券相場は、前日の米国債券市場で米10年債利回りが前日の2.93%近辺から3.13%近辺に大きく上昇したことをきっかけに、急落の展開となった。この米債の下落要因としては、ブッシュ減税の延長や米3年債入札が低調となったことが要因とされるが、地合いそのものの悪化により、こういった売り材料に敏感になっている可能性がある。

 米国債ばかりでなく、安全資産として買われていたドイツ連邦債も長い期間の債券主体に売り圧力を強めている。欧州周辺国の債務悪化により、EUによる支援策が協議されており、ドイツやフランスなどがそのために財政が悪化するのではないかとの懸念が背景にある。

 また、米国債も減税策などによる財政への懸念や、将来のインフレ懸念などが材料となっているようであるが、それよりも足元の需給悪化がその要因となっている可能性もある。

 いずれにせよ、この米国債やドイツ連邦債の下落が、日本国債の下げの大きな背景となっていることは確かであろう。国内銀行などは今年に入り米国債を10兆円以上購入しており、11月に2兆円程度外したがまだ残高があったとみられ、今回の米国債の下げを受けて、リスクを減らすために米国債、そして日本国債も一緒にポジションを外す動きを強めた可能性もある。また、日本国債に対しては12月1日、6日にそれぞれ5年債、10年債に銀行からと見られる買い仕掛けが入っていたが、結局、5年債で0.4%割れは一時的なものにとどまった。

 本日の債券相場は先物が明日の12月限の最終売買日を控え、本来ならばロールオーバーの動きが主体になるところではあるが、その先物にはヘッジ売りも入ったものとみられ、債券先物12月限は一時、前日比1円14銭安となる140円07銭まで下落した。そして、10年債利回りは1.245%と6月16日以来の水準に上昇した。また、明日の入札を控えた5年債利回りも0.515%と0.5%台に乗せた。

 昨日の30年国債入札動向を見ても生保などの投資家がかなり押し目買いに慎重となっていることも、地合い悪化のひとつの要因となっている。この慎重姿勢の背景には何があるのか。

 債務問題となれば、当然ながら先進国で最も債務比率の高いのは日本である。今回の円債の下落の背景は、いまのところは海外要因と言えるものの、実際には今後の日本国債の需給がそれとなく意識されつつある懸念もないとは言えない。長期金利からみて、金利が上昇したとは言っても1.2%台の半ばというのはまだまだ低位安定していると言われる水準にある。長期金利の1%割れが異常であり、それが平時に戻っただけとも言える。しかし、チャートから見てここで下げ止まるとも思えない。もしここからさらに長期金利が上昇基調を強めてくるようだと注意も必要になってこよう。
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by nihonkokusai | 2010-12-08 14:51 | 債券市場 | Comments(0)

「1997年の韓国での教訓」

1997年5月にタイの通貨バーツの暴落を皮切りに、アジアの新興諸国の通貨が連鎖的に暴落し、東アジア全域の経済が大混乱に陥った。いわゆるアジア危機である。東アジア各国の株は急落し、成長率は軒並みマイナスとなり、企業倒産や失業が急増したのである。

韓国では起亜自動車の倒産を皮切りに経済状態が悪化し、金融部門が大きな不良債権を抱えた。また、格付け会社のムーディーズは、1997年7月に韓国の格付けをA1からA3まで引き下げ、さらに11月にはBaa2にまで引き下げた。韓国の抱えていた民間短期対外債務残高は320億ドルあったが、通貨防衛のための為替介入により、韓国の使用可能な外貨準備高は1997年10月末の223億ドルから12月2日には60億ドルまで減少していた。こうして韓国はデフォルト寸前の状況にまで追い込まれたのである。

11月21日に韓国政府は国際通貨基金(IMF)に200億ドルの緊急支援を要請した。これにより、韓国はIMFの管理下に入ったのである。IMFは12月3日に史上最大規模となる210億ドルの融資の実施を決定し、現代グループなどに対して財閥解体が行われた。

その後、海外からの証券投資に対する規制が緩和され、対外証券投資の流入が促進された。韓国の国際収支は安定を取り戻し、韓国は通貨危機を受けたアジア諸国の中でもいち早く危機克服に向かったのである。

しかし、2008年後半に金融危機は韓国に波及し、アジア通貨危機の再来かという不安感が高まった。ただし、2008年9月にIMFは、対外債務増加と自国通貨安に見舞われた韓国経済について、1997年のアジア金融危機時に比べずっと強いとの認識を示していた。

2008年9月のリーマン・ショック直後から短期金融市場での流動性が低下し、韓国から海外への資金流出も重なり、ウォン相場は一気に不安定化した。この事態に対して韓国政府は、米国、中国に続いて日本との間で2国間の通貨スワップ協定の拡充、韓国の国内銀行の対外借入に対する政府保証の付与表明等、一連の危機対応を講じて市場の鎮静化に努め、景気対策として財政出動や金融緩和を実施した。これらにより韓国経済は、2009年第1四半期以降は景気回復トレンドが継続している。

これを見る限り、1997年の危機の経験が活かされたことに加え、構造改革などの進展により企業の体質が強化されるなどしたことで、今回の危機による韓国経済へのの影響は、1997年ほどの深刻さはなかったものとみられる。

1997年の韓国の経済危機を乗り越えたことにより、韓国企業は硬直化した組織をスリム化して意思決定のスピードを上げるなど経営の効率化を図り、国際競争力を高めた。1997年のアジア通貨危機にサムスンなども大変危険な状態を迎えたが、これを契機にグローバリゼーションを図ったと言われる。また、ウォン安もサムスン、LGなどの輸出産業にとり追い風となったことも確かである。

いまの日本にとり、この1997年の韓国の教訓を活かすべきではなかろうか。このまま政府債務が膨れ上がると、日本もいずれ1997年の韓国のような危機を迎える可能性がある。その際にはあまりに債務が大きすぎて、IMFの支援は金額的にも難しいものとなろう。そういった事態に追い込まれる前に、積極的な財政再建策を、まだ余裕のあるうちに取っておく必要がある。政府・企業ともに積極的な構造改革を進めることにより、日本のデフレからの脱却も可能になると思われる。
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by nihonkokusai | 2010-12-08 10:13 | 国債 | Comments(0)
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