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牛さん熊さんブログ

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牛さん熊さんの本日の債券

熊「ご無沙汰しております」
牛「7月はまったく顔を出さなかったことで、ついてに牛熊コンビは解散説も流れたようやが」
熊「強気と弱気が解散しちまったら、相場にならねえだろうが」
牛「しかし、いつの間にやら、日本の長期金利は1%を割り込んでいたようや」
熊「8月4日に10年309回債の利回りは0.995%をつけて、2003年8月以来の長期金利の1%割れだとか」
牛「7年ぶりというのは、惑星探査機のはやぶさが打ち上げられて地球に帰ってきたのも7年ぶり」
熊「そのはやぶさのカプセルを作者は昨日、つくばで見てきたそうだが、本当に良く帰ってきたなあ」
牛「ついでにデフレもまた帰ってきてしまったかのような、長期金利の1%割れとなったが」
熊「さすがに2003年には、VARショックと言われた国債価格の急落もあったことで」
牛「1%割れまでにはそれなりの時間も掛かり、1%割れそのものも一時的なものとなった」
熊「投資家さんもかなりの慎重姿勢であったしみられるけど、まだ過熱感といったものもなく」
牛「さすがにいったんは利益確定売りに押され、今日は1.060%に利回りは上昇していたようやが」
熊「1%割れは、はやぶさのイトカワへの着陸のようにワンタッチ、いや着陸は2回あったので、ツータッチとなるのかどうか」
牛「それには、意外と米国債の動向が焦点となる可能性がある」
熊「2003年に長期金利が0.43%まで低下した背景には、米国債が買われたことも大きな要因となっており」
牛「その後の相場急落のひとつのきっかけが、FRBによる追加緩和観測の後退による米債の反落があった」.
熊「来週には、日銀の金融政策決定会合とともに10日にはFOMCも開催される」
牛「追加緩和観測というか期待もあるようだが、とりあえず今日発表される米雇用統計を確認しないと」
熊「ということもあってか、今日の東京市場、日経平均先物そして債券先物は10時半あたりに、仕掛け的な動きがあった」
牛「日経平均先物にはまとまった買いが入り、債券先物にはまとまった売りが入った」
熊「雇用統計前でいったん、ヘッジファンドなどがポジションをアンワインドさせてきた可能性もある」
牛「その後、債券先物は後場に入りさらに下げる場面もあったが、大きくは崩れず」
熊「日経平均は再度下げ幅を拡大した場面もあったが、前日引け近くまで値を戻してきた」
牛「日経平均は前日比11.80円安の9642.12円での引け、そして債券先物は14銭安の141円87銭で引けている」
熊「今日の米雇用統計、来週の日銀の決定会合に、FOMC、そして米債の入札」
牛「日本でも5年国債の入札も予定されているが、こちらは銀行さんのニーズもあって特に問題はなさそうやが」
熊「来週はお盆休みを取る市場参加者も多いとみられ、東京市場は閑散に売りなしとなるのか」
牛「それは株式市場なのか、債券市場なのか」
熊「さて、どっちだろうか」
猫「iPhone4向けSIMカードが発売されると、ドコモ回線で利用可能になるそうね」
熊「作者はこのニュースを見て、ピクっとしていたぞ。どうやら、海外で販売されているiPadも利用可能となるとか」
猫「それよりも、おひさしゅうございます。作者さんは、ふたたびぼちぼちと登場させたいとお申しており」
牛「今後の牛さん熊さんの動向にもご注目いただければと存じます」
by nihonkokusai | 2010-08-06 15:53 | 債券市場

「7年ぶりに帰ってきたはやぶさと日本のデフレ対策」

昨日5日に、筑波宇宙センターにて開催されている「はやぶさ」特別展で、小惑星探査機「はやぶさ」の回収カプセルの一部を見てきた。2日から始まった展示でヒートシールドは2日と3日だけの公開であったが、インスツルメントモジュールと搭載電子機器部、そしてパラシュートの実物を見ることができた。混んでいるとの情報もあったが、4日はあまり待ち時間がないとの情報もあったことで、夕方4時頃に行ったのだが、待ち時間はゼロであり、じっくりと見ることができた。はやぶさの帰還については、日本の技術を世界に知らしめるなど驚異的なものであり、よくぞ戻ってきたというのが実感である。カプセルを打ち出したあと、本体が燃え尽きる姿はまさに感動的なものがあった。

さて、このはやぶさが打ち上げられたのが2003年5月9日である。5月9日の債券相場を振り返ってみると、当日30年国債が1%をつけるなど軒並み過去最低利回りを更新していた。10年債利回りは0.580%と1%をはるかに下回っていた。

7年ぶりに、はやぶさが地球に帰還するとともに、日本の長期金利も7年ぶりに1%を割り込んだということは、つまりはやぶさが苦労して飛行を続けていた7年もの間、日本のデフレは結果として解消されることなく、長期金利は低位安定し続けていたこととなる。

はやぶさはイトカワへの着陸後、行方不明になり、またエンジンのトラブルにも見まわれながら、もしものことを見通して作っておいたバックアップシステムなどが功を奏し、粘り強い管制により、無事に帰還させている。このミッションそのものを日本のデフレ対策にも応用できないものであろうか。

民主党のデフレ議連などの動向を見る限り、デフレ対策を日銀な押し付けているかのように思われる。その半面、日銀は需給不足を原因とすることで金融政策には限界があるとしている。政府と日銀は協力してデフレへの対応を行っているとしているが、お互いの様子を伺いながらでの姿勢のようにしか見えない。

はやぶさのミッションとデフレ対策を同じように考えることは無理もあろうが、それでもデフレ対策をひとつのミッションとして、政府・日銀・財界さらに学識研究者などを総動員して、一度、具体的な対応策を検討してみてはどうであろうか。たまたま今回は7年ぶりという区切りでもあったことで、今後7年間の間でデフレを解消すべき手段を公の場で検討し、そのミッション成功に向けての具体策を講じてはどうであろうか。もちろん財政再建に向けてのミッションと併用である必要もあるのだが。
by nihonkokusai | 2010-08-06 11:01 | 景気物価動向

「2003年の1%割れ後の債券急落を振り返る」

昨日、アップさせていただいたコラム「長期金利が1%割れに」へのブログへのアクセス数が、3068人といきなり大きく急増した。これは長期金利の低下に対しての関心度の高さを示すとともに、過去にあった1%割れの際のその後の状況を知りたい方が多かったためと思う。そこで、今回はあらためて2003年の債券急落について、過去の債券の暴落時の様子とともに当時の状況をもう少し詳しく振り返ってみることにする。

国債の流動化があまり進んでいなかったころに、国債は一度大きな暴落を経験している。それが、「ロクイチ国債」と呼ばれた国債の暴落である。1978年は、当時とすれば低金利局面であり、4月には利率6.1%(通称、ロクイチ国債)の国債が発行された。それまで発行された10年国債の最低利率であったこともあり、金利上昇に伴う価格下落が懸念された。1979年4月以降は、本格的な金利上昇局面となり、国債価格は大きく下落した。5月には国債価格下落を防ぐために、国債整理基金による公開入札形式の国債買い入れが実施されたにもかかわらず、景気拡大や原油価格の上昇により、6月にはロクイチ国債の利回りは上昇し9%を超えてきた。1980年、日銀は2月、3月と立て続けに公定歩合を引き上げた。このため、長期金利も大きく上昇し、ロクイチ国債は暴落した。4月にロクイチ国債の国債の利回りが12%台にまで上昇し、金融機関がパニック状況に陥ったのである。その後、米国金利の急激な低下などによって市況は急回復したが、このロクイチ国債の暴落は大蔵省(現、財務省)の国債管理政策にも大きな影響を与えたとされている。

2003年の国債急落とロクイチ国債を比較できるものではないが、2003年のときも極端なまでに利率が引き下げられた国債が入札されたことが急落のきっかけになっている点は類似している。2003年6月17日に実施された20年国債の入札において、超長期国債としては初めて利率が1%を割り込み0.8%となった。

2002年9月20日を基点に国債の金利は下げ続けていった。日銀による時間軸効果によって、中短期債から利回りが低下し、最後には超長期ゾーンへの積極的な買いが入った。先行きの相場上昇期待が極端に強まった。10年の利回りは0.3%とか0.2%まで低下するとの見方も出ていた。ほぼ一方的な上昇相場であり、債券の値動きも小さくなっていたことで、リスク管理上大きな要因にもなるボラティリティも低下し続けていった。債券への投資環境としては文句ない状況が続いていたのである。

しかし、それが長く続くわけでもないことは、ある意味当然ともいえる。上がったものはいつかは下がる。当初、米国債が下げ始めた。米国株式市場の上昇に影響され、東京株式市場は出来高を伴なって上昇してきた。また、債券先物は限月が6月11日から9月限に変わってから様相が変わってきた。大手銀行が6月限を大量に現引きし、中期主体にポジション整理に動き始めたとも言われた。そんな最中に20年国債の入札が実施されたのである。

落札結果自体は決して悪くはなかった。しかし、買い手が大きく変化していた。これまだ大量に超長期を買っていた大手生命保険会社が買いを控えたことが明らかとなった。また、中期を売っていた銀行が超長期を買うとの期待もあったが、それもなかった。結局、落札した業者は先物でヘッジせざるを得なくなり、これが急落の要因ともなった。

7月3日に10年国債の入札が行われた。利率は前回の0.5%から0.9%へと大きく引き上げられたが、結果はかなり不調なものとなり、10年国債の利回りはついに一時1%台に乗せ1.125%にまで上昇したのである。さらに4日には10年251回債は一時1.400%まで利回りが上昇し6月11日につけた0.43%からは1%近い利回り上昇となったのである。この日、先物も137円76銭とストップ安近くまで急落した。ところが、大手の機関投資家が数千億円とも思われる買いを10年主体に入れてきたことで今度は相場は急反発した。先物は140円38銭まで上昇し、一日の値幅が2円62銭となり債券先物としては、1985年11月1日に次いで二番目の記録となったのである。
by nihonkokusai | 2010-08-05 09:10

「長期金利が1%割れに」

日本の長期金利が2003年以来7年ぶりの1%割れとなった。2003年6月に長期金利は0.430%にまで低下した。このときの長期金利の低下要因は、日本のデフレの長期化観測が根幹にあり、その上、欧米でもデフレへの懸念が強まったことで金融緩和期待から長期金利が低下し、それが日本にも影響を及ぼした。つまりは今回の日本の長期金利低下の背景と酷似している。

ただし、2003年の際の長期金利低下には銀行のリスク管理手法に大きく影響を受けた。長期金利の低下、つまり国債価格の上昇の際には大きな価格変動を伴わなかったこともあり、リスク許容度が増加したことから金融機関の国債保有が大きく増加し、デュレーションが長期化した。みんなで買えば怖くないといった状況となり、行き過ぎたと思った際には今度は売り手一色となってしまい、急落を招いたのである。

この急落を佐野一彦氏は「VARショック」と名付けた。この「VARショック」の経験もあってか、今回の長期金利の低下の動きは慎重のようにも見える。しかし、結果として銀行などの買いにより、長期金利が1%割れとなり、再び2003年の債券相場の急落が頭をよぎる。

2003年6月の相場の反落の際には、堅調だった米国債がFRBによる大幅な利下げ期待の後退で売られたことや、米国株式の上昇を受け日経平均が9000円台に乗せるなどやや外部環境が変化したことがひとつの要因となっていた。

また、当時も超長期ゾーンに対しての投資層が拡大し、都銀ばかりか地銀なども参入してきていた。相場がほぼ一本調子の上昇であったことで、証券会社などの業者も在庫を抱えてもヘッジをすることが少なくなってきた。つまりそれだけ先物のヘッジ機能が失われつつあったと思われる。国債の入札時なども、とりあえずノーヘッジで問題はなく、むしろヘッジをかけたときの損失の方が気になるくらいであった。まさに総強気が蔓延していた。

実はこういったときが一番危険だということは、相場を長く経験していた者ならば理解できよう。ただ、それでも流れに乗るためには、当時も今回も買うしかなかったのも事実である。気をつけるべきはそのターニングポイントである。

2003年6月の相場の際のターニングポイントは17日の20年国債の入札であった。20年国債の利率が0.8%にまで下がり、大手生命保険が買いを控えていたことがわかり、これをきっかけに相場は急落したのである。

今回の債券相場の上昇には、さほど過熱感もない。しかし、1%割れとなったことで相場上昇が仮に加速されるような結果となった際には、2003年6月の際と同様のことが起きる可能性も意識しておく必要がある。
by nihonkokusai | 2010-08-04 10:10 | 債券市場

「長期金利はなぜ低位安定しているのか(その2)」

さて、白書では2008年度の財政収支悪化について、循環的要素、つまり景気悪化要因によるところが大きいが、それとともに景気対策などの裁量的財政政策による収支悪化も大きいとしている。2002年度以降の構造的基礎的財政赤字はGDP比で減少してきたものの、2008年度には、急速な景気悪化に対応するため、裁量的支出等が拡大し構造的財政赤字は再び拡大した。その上、2009年度はさらに急速な悪化が見込まれている。

財政赤字の拡大はいずれ長期金利の上昇圧力となるのは確かである。市場における国債需給の悪化懸念がその要因となろうが、国内に潤沢な「貯蓄」があれば、財政赤字のファイナンスに対する懸念が生じないことも考えられると白書は指摘している。

潤沢な国内貯蓄を有する国では、長期金利の動向が景気状況や財政状況に左右される程度は低い傾向にある。日本の場合も、国内の貯蓄超過の存在によって、財政状況が悪化しても長期金利が低く抑えられている面があると考えられる。しかしながら、今後さらに高齢化が進展すると、これまでのような貯蓄超過が続かない可能性も高い。すでに日本の貯蓄率が低下傾向にある点には注意が必要であり、長期金利の先行きについては当然ながら楽観することはできない。

興味深いことに白書では、日本の長期金利の低さの要因として、国債の国内保有比率の高さについては否定的な見方をしている。日本における国債の国内保有比率は9割を超え、5割程度のアメリカや6割程度の英国など欧米諸国に比べると高い。国内資金でそのほとんどが賄われていることで日本国債の価格は安定しているとの見方がある。しかし、国内の貯蓄超過と国債の国内保有比率の高さは連動し、必ずしも国内保有比率の高さそれ自体が長期金利を押下げているわけではないとも考えられる。

これについて、国債の国内保有比率と長期金利に明確な関係は見られない点を海外との比較で示している。例えば、ドイツやイタリアはアメリカよりも国債の国内保有比率が低いが、長期金利はアメリカよりも低い傾向にある。日本は他国よりも突出して国債の国内保有比率が高いが、過去の動きを見ても常に長期金利が最も低いとはいえないことも確かである。また、アメリカについては、国債の国内保有比率は50%程度から80%程度まで年によって変化しているが、国内保有比率が高い時期の方が長期金利は高い傾向さえ見られる。これは裏をかえせば、日本国債はその9割以上を国内資金で賄っているから必ずしも安全だとは言い切れないことを示している。

日本やドイツのような経常黒字国は他国に比べて長期金利が低い傾向にあり、潤沢な国内貯蓄が長期金利の抑制要因になっていることが示唆される。

長期金利は国債の需給にも当然ながら影響される。長期金利の抑制に重要なのは貯蓄という資金フローが潤沢にあることであり、発行済の国債を誰が保有しているかというストック面での保有構造とは直接的な関係が薄いとも理解できようと白書は指摘している。

結論とすれば、日本の長期金利の低位安定の最大の要因は、経済成長率と物価上昇率が低いことにある。つまりはデフレの状況下にあっては、長期金利そのものの上昇は考えづらい。

しかし、財政悪化により長期金利に財政リスクプレミアムが上乗せされる懸念があり、白書ではすでにそれが生じつつあるとの指摘である。それでも潤沢な国内貯蓄がある限りは長期金利の抑制要因ともなることで、現実の長期金利は低位安定を続けている。

この白書の分析では、国債の国内保有比率と長期金利に明確な関係は見られない点を指摘しているが、仮に国内資金が賄えなくなった場合には、日本の長期金利の上昇圧力になる可能性がある。日本と米国、さらにドイツ国債との利回り格差はかなり縮小してきてはいるが、まだ開きがある。海外投資家が日本国債の投資を行う際には、米債やドイツ連邦債と比較してある程度の利回りを求めてくるとみられ、それが日本の長期金利の上昇圧力になる可能性はある。

ただし、もし仮に日本国債が国内資金で賄えないということが、現実化するようなことがあれば、すでに国債市場では先を見越してのパニック的な売りが入り、長期金利が大幅に上昇している可能性もある。

確かに現状の日本の長期金利は経済白書の指摘のように低位安定し、それが大きく上昇することはファンダメンタルズなどから見ても考えにくい。しかし、いつまでも財政リスクプレミアムを抑えこむことも難しく、このまま低位安定し続けるとも言い切れないことも確かなのではなかろうか。
by nihonkokusai | 2010-08-03 18:23 | 債券市場

「菅首相のインフレターゲット発言」

菅直人首相は衆院予算委員会で、現在の日本のデフレ状況について「何とか長年続くデフレ状況から脱却しなければ(ならない)。日本の経済(成長)、財政再建はここからスタートすることが重要」との認識を示し、「デフレ脱却議連の提示している考え方は、基本的に私自身と共通の考え方だ」と語った。

デフレ脱却議連は提言の中で、政府が2─3%の間で消費者物価指数(CPI)の上昇率目標を設定し、日銀が目標の上下1%以内にCPIを維持するインフレ目標の導入を掲げているが、これについて菅首相は「インフレターゲットの設定を政府が行い、手段は日銀に任せるという考え方は確かにある」としながら、「現実には、政府と日銀がかなり議論しており、この間、ほぼ同一の目標で行動している」と指摘。「日銀には、ある程度の自主性が認められているが、政府と協調してやっていくと理解しており、現実に協調してやってもらっている」と政府と日銀の協調姿勢をアピールした(以上、ロイターより)。

日銀法第4条に、「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」とある。ただし、第3条には「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。」ともあり、菅首相の「ある程度の自主性が認められているが、政府と協調してやっていくと理解」はその意味では正しい。

「インフレターゲットの設定を政府が行い、手段は日銀に任せるという考え方」への言及については、インフレターゲットを採用しているイングランド銀行を意識したものであろう。1998年のイングランド銀行法の施行により、金融政策委員会は、政府が設定するインフレ率を達成できるように金融政策を行っている。

しかし、イングランド銀行は1998年のイングランド銀行法施行以前までは、伝統的に政策金利などの決定そのものを大蔵省(財務省)が行っていたことで、政府からの独立性を高めたものの、インフレターゲットの設定は政府に残ったかたちとなったものである。世界的に中銀は政府からの独立性を高める流れとなっている中で、菅首相の発言では、日銀はむしろ独立性を弱める方向となる。つまり中央銀行をめぐっての時代の流れに日本だけが逆行するかのようである。

以前に日銀の白川総裁は「今回の金融危機を通じて、インフレターゲットについても反省気運が生まれてきている。物価の動向だけに過度の関心が集まり、蓄積しつつあった金融経済の不均衡を見逃し、金融危機発生の一因になったのではないかという問題意識が以前より高まっている」と述べている。また、武藤前日銀副総裁も「インフレ目標を掲げたらどうかという指摘があるが、私はこれを採用すればデフレを脱却できるとは全く考えていない」と述べたとも伝わった。

民主党のデフレ議連だけでなく、みんなの党もインフレターゲット導入を意識した動きを見せている。インフレ目標を掲げその目標に対して、手段は日銀に任せるというのは、目標そのものが金融政策で限界がある以上、かなりの無視を強いてくることになる。それはそれで大きなリスクを伴ってくる。日銀も昨年12月の臨時の金融政策決定会合あたりから、より政府の意向を意識し、デフレとの認識を強めた上での政策変更を行ってきている。これは日銀が政府と協調している姿勢を強めたようにも見えるが、そこには日銀の独立性に対しての疑問を呈する政府の一部の動きを意識したものでもあったのではなかろうか。
by nihonkokusai | 2010-08-02 12:37 | 日銀
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