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「日銀支店長会議総裁開会挨拶要旨」


 本日、日銀の支店長会議が開催された。日銀のホームページにアップされた総裁開会挨拶要旨を前回4月の分と比較してみたい。

最初に国内経済について。

(7月)わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響などから、減速している。輸出は、「足もと幾分鈍化しつつも」増加を続けている。企業収益は、「交易条件の悪化等を背景にこのところ減少している」。そうしたもとで、設備投資は増勢が鈍化している。個人消費は、雇用者所得の緩やかな増加を背景に、底堅く推移している。生産は、横ばい圏内の動きとなっている。景気の先行きについては、当面減速が続くものの、その後緩やかな成長経路をたどると予想される。

(4月)わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響などから、減速している。輸出は増加している。企業収益は高水準ながら伸び悩んでおり、企業の業況感もこのところ慎重化している。そうしたもとで、設備投資は増勢が鈍化している。雇用者所得の緩やかな増加を背景に、個人消費は底堅く推移している。「この間、住宅投資は、回復に向けた動きがみられるが、なお低水準となっている」。生産は、やや強めに推移した昨年後半の反動もあって、このところ横ばい圏内の動きとなっている。景気の先行きについては、当面減速が続くものの、その後緩やかな成長経路をたどると予想される。

7月の「」内が前回分と違いがあった箇所である。輸出に関して足元鈍化傾向が意識されている。企業収益については日銀短観でも明らかになったように、4月の「伸び悩み」から「減少している」となっている。また4月にあった「住宅投資」に関する記述が7月には含まれていない。これを見る限り、足元景気については下方リスクをより意識したものとなっているとみられるが、先行き見通しについては「その後緩やかな成長経路をたどると予想される」との見方に変化はない。

海外経済情勢について

(7月)国際金融資本市場においては、米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発した不安定な状態が続いている。「また、米国経済は停滞しており、金融市場・資産価格・実体経済の負の相乗作用が、いつ、どのように収束に向かうのか、不確実性が大きい。国際商品市況の高騰が続くなど、世界的にインフレ方向のリスクは高まっている。海外経済や国際金融資本市場を巡る不確実性」、エネルギー・原材料価格高の影響などに、引き続き注意する必要がある。

(4月)国際金融資本市場においては、米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発した不安定な状態が続いている。また、原油価格をはじめとする国際商品市況の高騰や米国経済の下振れリスクなど、世界経済についての不確実性が高まっている。したがって、国際金融資本市場や世界経済の動向、エネルギー・原材料価格高の影響については、引き続き注意する必要がある。

海外経済情勢については7月に「米国経済は停滞しており、金融市場・資産価格・実体経済の負の相乗作用が、いつ、どのように収束に向かうのか、不確実性が大きい」として4月に較べてより警戒感を強めていることがわかる。また7月には明確に「世界的にインフレ方向のリスクは高まっている」としている。

国内の物価について

(7月)物価面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、当面、上昇を続ける可能性が高い。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が概ねバランスした状態で推移するもとで、石油製品や食料品の価格上昇などから、「プラス」を続けていくと予想される。

(4月)物価面では、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、3か月前比でみて、当面、上昇を続ける可能性が高い。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が概ねバランスした状態で推移するもとで、石油製品や食料品の価格上昇などから、プラス基調を続けていくと予想される。

大きな文面の違いはないものの消費者物価(除く生鮮食品)の前年比「プラス基調」から「プラス」と表記が変化しており、より強めの見方となっている。

総括

(7月)日本銀行は、経済・物価の見通しとその蓋然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて機動的に金融政策運営を行っていく方針である。

(4月)日本銀行は、経済・物価情勢を丹念に点検しながら、見通しの蓋然性とそれに対するリスクを見極めた上で、それらに応じた適切な金融政策運営を行っていく所存である。

7月には「上下両方向のリスク要因を丹念に点検」や「機動的」という言葉が入っている。これらは最近の白川総裁などの会見などで使われている表現でもある。リスクについては景気については下振れ、物価については上昇リスクを意識し、今後の金融政策については「機動的」な運営を行なうとしている。機動的というのはどのような動きを意味するのかは、今後の日銀の動向によって次第に明らかとなっていくものとみられる。
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by nihonkokusai | 2008-07-07 10:39 | 日銀 | Comments(0)

「ECBの利上げと米雇用統計」


 欧州中央銀行(ECB)は、3日の定例理事会で政策金利を0.25%引き上げ、年4.25%にすることを決定した。6月のユーロ圏15か国の消費者物価上昇率(速報値)が前年同月比で4.0%となり1999年の通貨統合後の最高水準を更新するなど、「インフレは安定水準を上回っている」とのトリシェECB 総裁の発言もあったがインフレ抑制のための利上げとなった。注目された今後の金融政策の運営に対してトリシェ総裁は、「先行きの金融政策に関しバイアスはない」とコメントし」追加利上げに関しては明言せず、これによりECBによる追加利上げ観測はいったん後退した。

 今回のECBの利上げにより、欧米の金利差は2.25%となり1999年のユーロ導入以来最大となり、ドル安への懸念なども強まっていたが、ECBによる追加利上げ観測の後退でドル売りは一服となった。トリシェ総裁とポールソン財務長官と事前に会合を開くなどしていた経緯もあったことで米国に対して一定の配慮を示したともみられる。さらに、トリシェ総裁は欧州の経済成長リスクは下向きとの発言もあったように、域内景気も意識されたのではないかともみられる。

 もうひとつ注目された6月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月比6.2万人減と6か月連続で前月比減少となったが、これはほぼ事前予想に近い数字ともなった。4月の雇用者数も2.8万人減から6.7万人減に、5月も4.9万人減から6.2万人減にそれぞれ悪化の方向で修正された。

 そして6月の失業率は5.5%と前月比横ばいに。5月の米失業率が前月比+0.5%も跳ね上がっていたことで、その水準が維持されているのかどうか注目されていた。結局、前月比横ばいとなったことで引き続き米雇用情勢は悪化していることを示した。FRB高官からも物価上昇よりも景気減速を意識するような発言もあったようだが、失業率の発表を受けてFRBによる利上げ観測はさらに後退したものとみられる。

《HK》
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by nihonkokusai | 2008-07-04 09:21 | 国際情勢 | Comments(0)

「昭和40年不況時に並ぶ日経平均10日続落という記録」


 昨日、東京株式市場では日経平均は10日続落となり、これは1956年の2月19日から3月2日以来の実に43年ぶりの記録となった。40年不況と呼ばれた当時の様子を拙著「日本国債は危なくない」(文春新書)の原稿から振り返ってみたい。

 「昭和38年(1963年)は、東京オリンピックを控えて公共投資が活発化した。夢の超特急といわれた東海道新幹線や首都高速道路、東京モノレール、そして黒四ダムといった大型の公共工事が次々に行われてきたのである。しかし、東京オリンピックが始まった昭和39年(1964年)10月ごろから景気は急速に冷え込みはじめ、後退局面に入った。すでに昭和36年(1961年)ごろから中小企業の倒産が増加しており、株価も下落していた。企業収益も減りつつあったのだが、それが顕在化したのが昭和39年(1964年)の後半であった。昭和40年(1965年)に入ると、サンウエーブや山陽特殊製鋼など大手企業の破綻が相次いだ。株価も急落し続け、信用不安も広がりをみせていた。信用不安に対しては、山一證券への日銀法25条にもとづく無担保・無制限の特別融資(日銀特融)が実行されたことでなんとか収まったのだが、株価の下落はさらに続いた。これが「40年不況」と呼ばれ、金融緩和も効果がなく、財政面からの公共事業が促進されることになり、戦後初めてとなる「国債発行」が準備されることとなったのである。」「日本国債は危なくない」(文春新書)の原稿より

 40年不況と現在の状況を較べると、現在は景気の減速懸念は強まっているものの当時のような不況下にあるわけではない。当時と現在を直接比較することはあまり意味のないことかもしれないが、10日も続落していた背景は意識しておく必要があるかもしれない。原油先物価格の上昇などを背景にした物価上昇懸念、米金融不安の拡大、そして米経済の減速がじわりじわりと世界経済に影響を及ぼしている状況。日銀も物価上昇も気になるものの、景気の下振れリスクもかなり意識しているともみられ、今後の日本経済の動向にもより注意が必要となりそうである。
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by nihonkokusai | 2008-07-03 10:42 | 投資 | Comments(0)

「日銀食堂のメニュー一斉値上げの影響は」


 本日の日経新聞によると、日銀は1日に発表された日銀短観の結果などを踏まえ、今月14日から15日にかけて開催される金融政策決定会合において実施される展望レポートの中間点検において2008年度の景気見通しについて、下振れとの表現を盛り込み下方修正する方向と伝えている。

 展望レポートの中間点検においては物価についても上振れのリスクを強調する見通しとも伝えられているが、もしかすると日銀内部では今月に入り物価上昇を意識する空気が広がる可能性があるかもしれない。それというのも日銀食堂のランチやコーヒーなどが7月に入り一斉に値上げされたそうなのである。これまで一杯140円となっていたのコーヒーは、前回の値上げ時期がわからないぐらい値上げは行なわれてこなかったとか。物価の番人の本拠地食堂の値上げは、果たして日銀の金融政策にも微妙に影響を与えるのかどうか。
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by nihonkokusai | 2008-07-02 10:04 | 日銀 | Comments(0)

「物価か景気か」


 6月25日のFOMCにおいて、米FRBは政策金利を現行の2.00%に据え置くことを決定し、これにより昨年9月以降の利下げはいったん休止となった。

 FOMC終了後に発表された声明文は、「経済成長の下振れリスクは幾分か縮小している半面、インフレおよびインフレ期待の上振れリスクは上昇している」とややインフレの上振れリスクを意識したものとなってはいたが、市場が警戒していたほど利上げを意識させるような内容ではなかった。このため、米FRBによる早期の利上げ観測は後退した。さらに米国では景気への不安とともに金融機関の損失等についても再び懸念が強まってきた。

 欧州では6月30日に発表された6月のユーロ圏15か国の消費者物価上昇率(速報値)が前年同月比で4.0%となり1999年の通貨統合後の最高水準を更新した。これにより7月3日のECB理事会で0.25%の利上げが実施されることがほぼ確定的となったが、さらなる追加利上げの可能性も出てきた。

 日本国内を見ると、27日に発表された5月全国消費者物価指数(除く生鮮)は、前年比+1.5%とほぼ10年ぶりの高い水準になった。暫定税率が復活したことでガソリンが値上げされ、さらに食品の値上がりなども進行したことが影響した。当面CPIはこのまま上昇基調を続けるとみられ、いずれ 2.0%あたりまでの上昇もあるとみられる。この物価上昇も気になるが、物価安定の目安の上限でもある2.0%を大きく上回ってくることがない限りは、物価上昇にそれほど神経質になる水準でもない。

 市場でもここにきて物価よりも景気動向を気にするようになってきている。7月1日に発表された6月調査の日銀短観は、ヘッドラインとして注目される大企業製造業・業況判断DIは+5と市場予想の+3を上回った。また、2008年度全産業設備投資計画は例年通り3月の見通しに較べて上方修正され+2.4%となり、市場予想も上回る結果となったが、一時期に較べて低水準であることも確かである。さらに2008年度大企業製造業経常利益計画が -9.9%となるなど気になる数字も出ており、原油高などの影響を含めて今後の景気動向には注意も必要となりそうである。価格判断DIは原材料価格の高騰を受けて販売、仕入れともに1980年以来の高さとなった。

 景気動向について日銀短観そのものは予想されていたほど悲観的な内容ではなかったものの、足元の景気減速を確認し、先行きについては不透明感も強いものとなっている。日本国内においては当面、物価よりも景気動向が注視されてくるものと思われる。
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by nihonkokusai | 2008-07-01 13:06 | 景気物価動向 | Comments(0)

「日銀短観」


 6月調査の日銀短観はヘッドラインとして注目される大企業製造業・業況判断DIは+5と市場予想の+3を上回った。同9月予測は+4となり先行きもさほど低下を見込んではいない結果ともなり、これを受けて1日の債券先物は寄り付きから大きく下落した。

 2008年度全産業設備投資計画は例年通り3月の見通しに較べて上方修正され+2.4%となり、市場予想も上回る結果となったが、一時期に較べて低水準であることも確か。さらに2008年度大企業製造業経常利益計画が-9.9%となるなど気になる数字も出ており、原油高などの影響を含めて今後の景気動向には注意も必要となりそうである。価格判断DIは原材料価格の高騰を受けて販売、仕入れともに1980年以来の高さとなった。
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by nihonkokusai | 2008-07-01 10:16 | 景気物価動向 | Comments(0)
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