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「内外情勢調査会における白川日銀総裁講演より」


 内外情勢調査会における講演において、日銀の白川総裁は、エネルギー・原材料価格の上昇という供給ショックに対して金融政策運営面でどう対応すべきかの考え方を示している。

 白川総裁は1970年代の石油ショックの経験なども踏まえて、先進国中央銀行間で共有されているオーソドックスな考え方として2つのポイントを指摘している。

 「第1に、供給要因に基づく輸入コストの一時的な上昇に対しては、金利引き上げで抑え込むことは適切ではない、第2に、インフレ予想の上昇などを通じて二次的効果が発生する惧れがある場合には、金利引き上げで対応すべきである」

 今回の商品市況の上昇は、中国やインドなど新興諸国を中心とした世界的な需要増加によるものであり一時的なものではない。このためインフレ予想などを通じての二次的効果( second-round effect)が発生するかどうかが注目点となるとしている。

 そして白川総裁は輸入コスト上昇の下での金融政策運営という点で3つの判断ポイントを指摘している。

 第1、原材料価格の高騰に伴う所得流出による内需の減少と、新興国・資源国を中心とする世界経済の強さを背景とした輸出の増加という2つの異なる方向の力が、日本の景気に及ぼす影響をどうみるか、

 第2、そうした景気情勢が物価に与える影響をどう評価するか、

 第3、国際商品市況の上昇やその下での現実の物価上昇が、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動をどう変化させるか

 この3つの判断ポイントを指摘した上で白川総裁は次のように述べている。

 「現在のような経済情勢の下での金融政策運営について、よく「景気・物価の両睨み」という表現が使われます。しかし、単に両者のバランスをとるという折衷的アプローチではありません。景気と物価が異なる動きを示す際、金融政策運営上の判断基準が必要ですが、日本銀行を含め多くの中央銀行は、上述の第3のポイント、すなわち、予想インフレ率の安定が確保されているかどうかを重視しています。」

 つまり物価の上昇リスクと景気減速のリスクが高まる中にあり、それぞれのリスクを注視する必要があるが、金融政策の運営にあたっては「予想インフレ率の安定が確保」されているかどうかがポイントとしている。「現状、、賃金の伸び率は前年比1%前後と落ち着いており、他のデータと併せて考えると、二次的効果が発生している訳ではないと思います。」と白川総裁は指摘している反面、「日本の経済主体のインフレ予想が変化する可能性も否定できません」としており、そのリスクもないとはいえない。しかし、そのリスクが顕在化するまでは「利上げ」という選択肢は選びにくい半面、そのリスクを完全に否定できない限りは景気を重視しての「利下げ」という選択肢も取りにくい。以上のことから、当面の日銀の金融政策運営は「様子見姿勢」ということになるのであろうか。
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by nihonkokusai | 2008-07-22 10:05 | 日銀 | Comments(0)

「金融政策決定会合議事要旨(6月12~13日分)より」


 「何人かの委員は4月の実質輸出の前月比が大きくマイナスとなったことは、為替換算や季節調整など技術的な要因による振れである可能性が高いとの認識を示した。」

 「ある委員は、幅広い地域に向けて増加という基本的な判断を変える必要はないが、さすがにこれまでと比べて増加ペースは鈍ると考えられると述べた。」

 4月の前月比マイナスは特殊要因によるものが大きく、5月の実質輸出は前月比+2.8%と持ち直してきているが、原油価格の上昇により世界経済が減速基調となっていることから、輸出が鈍化傾向にあることも確か。

 「国内民間需要について、委員は、エネルギー・原材料価格高の影響などから、企業収益はこのところ減少しており、設備投資は増勢が鈍化しているとの認識で一致した。」

 「個人消費について、委員は、底堅く推移しており、先行きについても、雇用者所得の緩やかな増加を背景に、底堅く推移する可能性が高いとの認識を共有した。ある委員は、最近の物価上昇が家計の実質購買力を低下させていると指摘した。」

 「住宅投資について、委員は、緩やかに回復しているが、先行きについては、回復の動きが徐々に一巡していくとの見方を共有した。ある委員は、不動産業者への金融機関の融資姿勢の慎重化、マンション在庫の増加などが、住宅投資の回復にどのような影響を与えるか留意が必要であるとの見方を示した。」

 「別の委員は、生産全体が落ち込むことは当面考えにくいが、中小企業においては労働投入量がこのところ減少しており、交易条件悪化の影響をより強く受けている、との見方を示した。」

 景気に対しての認識は総じて弱めとなっているようである。7月15日の白川総裁の会見においても、足許景気がさらに減速しているとの判断を示している。

 「複数の委員は、わが国においては、賃金が目立って上昇しておらず、これまでのところ、石油製品や食料品の価格上昇が2次的な物価上昇に結びつく動きはみられていないと述べた。ある委員は、需要面からの価格上昇圧力は強くなく、現在のところ、値上げのモメンタムは、エネルギーや食料品など比較的限定的な範囲に止まっていると指摘した。」

 「委員は、国際商品市況の高騰が進む中、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動を含め、先行きの物価動向について、より注意深くみていく必要があるとの認識を共有した」

 物価上昇リスクについては、より注意深くみていく必要があるとしているものの、賃金上昇が伴ってないことなどから物価上昇はいまのところ限定的な範囲に止まっているとしている。

 「複数の委員は、需要が旺盛で賃金上昇圧力が強い国と異なり、わが国の現在の局面においては物価面のリスクよりも景気の下振れリスクを重視すべきであると述べた。」

 この複数の委員に果たして白川総裁も含まれているのかどうか。その後の白川総裁の会見の内容などを確認しても、物価面のリスクよりも景気の下振れリスクをより重視しているようにも伺える。

 「複数の委員は、金融政策が効果を発揮するには長いラグを伴うため、中央銀行としては、足もとの物価動向よりもやや長い目でみた基調的な物価動向に注意を払うべきであり、そうした観点から、人々の中長期的な物価観に変化が生じるかが、政策判断を行う際の重要なポイントの一つになる、との認識を示した。」

 物価に関しては、インフレ懸念が強まるのかどうか、ある程度長い目で見ての物価感の動向に注視している姿勢を示している。

 「ある委員は、世界的なインフレ傾向が強まる中で、わが国もそれと無縁であることはなく、インフレ予想が高まることを未然に防ぐ観点から、物価安定のもとでの持続的な成長パスを辿っていることにある程度の確信を得られれば、漸進的かつ早めに政策対応する必要があると述べた。」

 とはいうものの、状況によっては利上げも漸進的かつ早めに行なう必要性を強調している委員が少なくとも一人はいるようである。
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by nihonkokusai | 2008-07-18 10:45 | 日銀 | Comments(0)

「白川総裁からのメッセージ」


 15日の日銀金融政策決定会合後の白川総裁の会見の内容が日銀のホームページにアップされている。この中から、気になるところをピックアップしてみたい。

 まずはスタグフレーションの局面に入ったのかとの質問に対しては、総裁は入ったとは判断していないとしているが、こうした見通しには不確実性が大きい点もコメントしている。

 また、原油価格の先行き見通しについて、総裁は予想を述べることは適当ではなくあまり意味もない点を指摘している。相場の決定要因は複雑に絡み合い先行きの的確な予想は困難に近い。ただ原油需要に支えられ国際商品市況は先行きも高水準で推移すると想定していることも示している。また原油価格に関しては「敢えて強いポジションは取らずに、現在の高い水準で推移するということでまずシナリオを立ててみるということが、責任ある当局としての予測の立て方だと思います。」とも指摘している。

 景気について足許はさらに減速をし、暫くこの局面が続くが、その後は徐々に緩やかな成長経路に復していくという判断。一方、物価については先行き上がっていくが、その後はまた低下していくというシナリオからは、現在ここで金利水準を調整する必要はないとの判断を示した。

 先行き物価に関しては「足許エネルギー価格、原材料価格が上がってきていますので、この先、消費者物価上昇率は暫く上がっていくとみています」との発言もあった。ただし、「セカンド・ラウンド・エフェクト(二次的効果)、つまり輸入コストの上昇により物価が上がった結果、先々の予想インフレ率も上がり、それが賃金の設定を始めとした色々な賃金・物価形成に組み込まれていき、さらに物価が上がっていくという効果が起きているかというと、現在のところそうしたものは起きていないように見えます。」とも指摘している。このため「セカンド・ラウンド・エフェクトがこの先起きてこないかどうかは丹念にみていく必要があると思っています。現在は起きていないということですので金融政策で対応しなければならないということではないと思っています。」としている。このため物価上昇を意識しての利上げといったものも現状は考えづらいとも言える。

 ただし、「インフレ・リスクについて言いますと、中央銀行は決してインフレのリスクに対して鈍感ではなく、先ほど申し上げたような意味において十分注意深くみている、という情報は常に発信していく必要があると考えています。」とも指摘しインフレ・リスクを全く無視しているわけではない点も指摘している。

 そして、足許景気がさらに減速していることの一番大きな原因として、交易条件の更なる悪化を示し、その結果、設備投資にも影響が出て、短観などから中小企業あるいは非製造業に設備投資の増勢鈍化の傾向がより明確に出てきている点を示している。また個人消費の伸び鈍化の要因については、雇用者所得の伸びと交易条件の悪化による購買力の低下という2つの要因を指摘した。

 また設備投資に関して、1~3月が前期比小幅のマイナス、4~6月は6月の予測計数を前提にするとやはり小幅のマイナスと減少基調との点も言及。「こうした動きは、今回景気が更に減速しているということを裏付けるひとつの材料として認識しています。」としている。

 物価上昇と景気減速のリスクに対して、白川総裁はバランスを取れた発言をしてするようにも思えるが、現在の物価上昇がインフレを招くものといった印象ではなく、景気減速に関しては設備投資などの増勢鈍化などもあってより警戒心を強めているようにも伺えることで、やや景気に対して軸足を置いているようにも思われる。

そして、各国中銀との政策協調に対して総裁は次のように発言している。

 「政策協調についてですが、各国が政策金利を同じ方向に動かすという意味での政策協調は、これまで各国がやってきたわけではありませんし、またそうした政策が望ましいとも思いません。かつてプラザ合意の後にいわゆる政策協調という議論が盛んな時期があったことは事実です。しかし、現在は中央銀行間および学界においても、いわゆる政策協調は望ましくないというのが、どちらかというと多数説だと思います。これは、金利を一斉に各国が調整するという意味での政策協調を否定する議論ではありますが、各国が意思疎通を図るということの重要性を否定するものではありません。十分に意思疎通を図っていくということは非常に大事であり、そういう意味で協調という言葉を使うとすれば、協調は格段に強化されているというのが私の実感です。」

 いまだに協調利上げや協調利下げといった思惑が市場で出ることがあるが、すでにそういった見方が時代錯誤的なものであるのは、この白川総裁の発言からも確かなものであろう。
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by nihonkokusai | 2008-07-17 10:13 | 日銀 | Comments(0)

「日銀の情報発信の拡充」


 15日に日銀は金融政策決定会合において、「金融政策運営の枠組み」のもとでの情報発信の充実するための措置を実施することを決定した。その措置の目的とは「金融政策の効果の波及にはタイムラグがあることなどを踏まえ、経済・物価の現状と先行きおよびリスク要因について、枠組みに沿って、適時かつ丁寧に、説明する体制を整える」としている。

 この措置のひとつは、「これまで、会合後の公表文では、政策変更の場合には決定内容とその背景を、また、現状維持の場合には決定内容のみを公表してきた。今後は、毎回の会合後に、決定内容に加え、その背景となる経済・物価情勢の評価を2つの柱に基づいて整理して示すとともに、先行きの金融政策運営の考え方について公表することとする」ことである。

 これまでは下記のように簡潔な内容であった。「日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.5%前後で推移するよう促す。」

 これに対して7月15日に発表された「当面の金融政策運営について」(http://www.boj.or.jp/type /release/adhoc/k080715.pdf)では、決定事項とともに景気物価の現状と見通し、4月の「展望レポート」の見通しとの比較、そして今後の「リスク要因」、先行きの金融政策運営の考え方がまとめられている。

 これに伴い、金融政策決定会合の結果発表日に発表されていた「金融経済月報の基本的見解」の発表がなくなり、翌日発表される全文のみの発表となる。

 また、展望レポートの見通し期間を延長することになり、展望レポートで、これまで、当該年度および翌年度の見通しを公表してきたが、今年の10月の展望レポートからはこれに加え、翌々年度の見通しも公表することになった。

 さらに、政策委員の見通し計数を4月と10月の展望レポート発表時だけでなく、1月と7月の中間レビュー発表時にも公表するとともに、今年 4月の展望レポートで掲載したリスク・バランス・チャートも引き続き公表することになり、こちらも中間レビューの際にも参考資料として公表される。

 加えて、これまで会合の日程に応じて次回または次々回の会合で承認してきた決定会合の議事要旨は、今後は次回会合で承認の上公表することとすることになった。

 以上が日銀が発表した「日銀の情報発信の拡充」の内容であるが、会合後の公表文の変更により米国のFOMC後のStatementに近い内容となる(6月25日分のStatement、http://www.federalreserve.gov/newsevents/press /monetary/20080625a.htm)。さらに、FRBも景気物価見通しを年4回発表し、その中で当該年度および翌年度とともに翌々年度の見通しも公表している(7月発表分、http://www.federalreserve.gov/boarddocs/hh/2008/july /0708mpr_part4.htm)が、日銀の展望レポートにおいても同様に翌々年度の見通しが加わることとなった。
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by nihonkokusai | 2008-07-16 10:14 | 日銀 | Comments(0)

「リスクの知識」


 最近、地域の集会に参加したり、親戚が集る機会などがあり、いろいろな人と話をしていると金融市場に関係ない人が、米サブプライム問題や原油価格の上昇などについてかなり詳しいことがわかった。ニュースなどで報じられていることもあるが、投資信託や株式、そして個人向け国債などを通じて金融市場に関心を持つ人が増えてきていることも確かなのであろう。

 ただし、実際の金融商品のリスクについては、それほど詳しい知識は持ってはいないのではなかろうか。銀行や証券会社、ゆうちょ銀行などでの窓口を通じ、担当者の説明は聞くものの、結局、その担当者の言っていることを信頼して購入するといったことも多く、リスクに関して話しを聞いてもそれを完全に理解しているわけでもないようである。

 金融商品にどれだけのリスクが内在されているかは現実には計りようがない。その計りのひとつであるはずの格付会社の格付が正確にリスクを示しているのかどうかは、米サブプライム問題で疑問符が生じただけでなく、日本国債への格付などを見ても疑問である。格付はあくまでひとつの専門調査機関のリスク判断に過ぎないと見ておく必要がある。

 価格変動リスクに関しては、さすがに現場で相場に張り付いて経験すれば、そのリスクを肌で感じることができよう。市場関係者だけでなくデイトレーダーと呼ばれる個人投機家もその恐さとともに面白さも理解しているものと思われる。

 金融商品のリスクは現実に相場を経験しないとはっきりわからないものでもある。クルマを運転していると事前に何かを察して交通事故を防いだという経験を持った人も多いのではなかろうか。視野に入ったものに何かしら違和感なり、通常ではない気配を察することがあるのは、ある種の経験によるものだと考えられる。金融のリスクも同様でなかろうか。これを知識だけで理解しようというのにも無理があるのかもしれない。
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by nihonkokusai | 2008-07-14 14:08 | 投資 | Comments(0)

「ファニーメイとフレディーマックに対する支援策」


 本日の日本時間の早朝、米国時間の夕方に米財務省とFRBは緊急声明を発表した。その内容とは米政府系住宅金融機関2社、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸し付け抵当公社(フレディーマック)の支援策である。

 米財務省はファニーメイとフレディーマックに対する信用枠を一時的に拡大し、必要なら米財務省はファニーメイとフレディーマックの株式を所得する一時的な権限を保有する。また米連邦制度理事会(FRB)も声明を発表し、両社に対して緊急融資を実施する権限をニューヨーク連銀に付与し、必要なら公定歩合貸出を認可とも伝えられた。以前にファニーメイとフレディーマックは国有化もとの報道もあったが、それに対しては、現在の株式会社形態を維持すべきとのホワイトハウスからの発表もあった。

 ファニーメイとフレディーマックはともにGSE(Government Sponsored Enterprises)と呼ばれる米国における住宅や農業関連の政府後援企業の機関でひとつある。ファニーメイ(Fannie Mae)とは連邦住宅抵当公庫(Federal National Mortgage Association)のことで、フレディーマック(Freddie Mac)とは連邦住宅貸し付け抵当公社(Federal Home Loan Mortgage Corporation)のことである。それぞれの株式はニューヨーク証券取引所などに上場されている。

 それぞれ名称、設立時期(ファニーメイ1938年、フレディーマック1970年)は異なるものの事業内容は、住宅ローン市場に安定的に資金を供給するために、民間金融機関からローン債権を買い取り、それを証券し市場で住宅ローン担保証券を発行するというものである。また、発行した証券を自己勘定でも保有しており、証券化した商品の元利金支払いの保証なども行なっている。

 両社ともに政府系機関ではあるものの民間企業であり、米国連邦政府の公的保証は受けていない。しかし、両社が大量に発行している住宅ローン担保証券は、政府機関債として米国国債に次ぐ信用力を持つとされている。またファニーメイとフレディマックが保有もしくは保証する債券は5兆2千億ドルと日本円で約550兆円程度にもなり日本のGDP並みの金額となっている。

 サブプライムローン問題の影響により、この両社の経営悪化が伝えられ、6月11日の米株式市場では一時両社の株が前日比50%安となるなど異常な事態となり、政府やFRBはこのように異例の支援策発表となったとみられる。
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by nihonkokusai | 2008-07-14 10:22 | 債券市場 | Comments(0)

「中国、インドの経済動向に注意が必要か」


 中国の税関総署が発表した今年1-6月期の貿易黒字は、前年同期に比べ11.8%の減少となった。日経新聞の報道などによると、原油価格の上昇などにより輸入が31.0%増加した反面、米国など世界経済の減速で輸出の伸びが17.6%に止まったことで、貿易黒字が大きく減少した。特にこの輸出の減速は注意が必要となりそうである。特に6月以降、対米輸出の伸びが鈍化し、今後も予想以上に貿易黒字の減少が進む可能性がある。

 また、日経が報じたところによると香港紙が消息筋の話として17日ごろに発表予定の4-6月期の中国のGDP伸び率が9.8%に止まると報じているとか。これが事実となれば2005年10-12月期以来の1桁成長となる。それでもまだ10%近い成長とも言えるが、トレンドとして伸び率鈍化の方向に転じてくる可能性もあり、特に北京オリンピック後に伸び率鈍化が顕著となってきたとしてもおかしくはない。

 インドでもインフレ圧力の強まりなどもあり、新車販売が減速するなどこちらもこれまでの高成長を維持してくるのが難しくなってくる可能性がある。米国経済の減速、さらに日本も景気減速が顕著となりつつあり、アジア地域の新興国経済だけが高成長を維持することも難しい状況となりつつある。

 中国やインドの景気減速が明らかになると、今度は世界的な原油需要の後退懸念によって、やや投機的な動きも入っている原油先物価格だが、投機筋が先を読んで急落するといった事態も今後は考えられる。これはこれでインフレ圧力が抑えられることになるが、今度は原油価格など商品市況の上昇により、ある意味原油バブルに潤っていた資源国がその利益を享受できなくなるとなれば、いずれあらたな問題も出てくることも考えられる。今後の世界経済の動向にも細かな注意も必要となりそうである。
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by nihonkokusai | 2008-07-11 08:59 | 景気物価動向 | Comments(0)

「さくらレポートの設備投資に関する記述」


 7月7日に公表された日銀の地域経済報告(さくらレポート)の総括判断は、「足もとの景気は、地域差はあるものの、エネルギー・原材料価格高の影響などから、全体として引き続き減速している」として基調判断は据え置かれた。

 しかし、全9地域のうち東北は現状維持としていたが、その他の8地域は個人消費に弱めの動きがみられること等からやや下方修正されている。ちなみに4月時は北海道以外の8地域がやはり下方修正となっていた。

 このさくらレポートの中の設備投資に関する部分を見てみると、「設備投資は、交易条件の悪化等により企業収益が減少していることなどを背景に、増勢が鈍化しているないしは、高水準ながら横ばいとなっているといった報告が目立っている」となっている。

 最近の企業の設備投資動向として「交易条件の悪化による企業収益の減少や先行きの需要に対する不透明感の高まりを背景に、増勢が鈍化している。こうした中で、企業の規模や業種等の違いによる投資スタンスのばらつきが一段と鮮明化している」と指摘している。

 特に大企業・製造業では、投資抑制の動きが一部にみられるものの、先行きの市場成長が見込まれる分野に対しての投資は着実に実施するとのスタンスが維持されている。しかし、大企業・非製造業は、グローバル需要の取り込みが難しことや、消費の先行きに対する不透明感などで、大企業製造業ほど設備投資に対し積極的ではない点が伺える。

 今後の動向により注意が必要なのは、中小企業の設備投資へのスタンスか。中小企業では業種に関わらず抑制的な投資スタンスが広がりつつあり、「リスクの大きい投資を見合わせたり、必要最低限の投資に絞り込もうとする動きが目立ち始めている」とレポートは指摘している。

 ただし、「高い技術力を持つオンリーワン企業やニッチ分野における需要の取り込みに成功した先等では、積極的な投資スタンスを維持している」として、中小企業間でも投資スタンスの「ばらつき」が鮮明化している点をレポートは指摘している。

 「今後の企業収益や内外経済の動向次第では、中小企業の抑制スタンスが一段と強まるのみならず、大企業の中長期的な戦略に基づく投資計画にも少なからず影響が及び、こうした下支え効果が剥落するリスクには留意する必要があると考えられる。」とレポートでは今後の設備投資の動向に関しての注意を促している。

 7月の決定会合では4月に発表した展望レポートの中間レビューが実施されるが、今後の設備投資動向を含めて、経済見通しについてはより慎重な見方となる可能性が高いとみられている。
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by nihonkokusai | 2008-07-10 09:48 | 日銀 | Comments(0)

「夏の個人向け国債販売額は、合計で9952億円に」


 2008年6月に募集された夏の個人向け国債の販売額は、10年変動タイプと5年固定タイプの合計で9952億円と前回の春の分の販売額の約3倍に増加した。10年変動タイプの販売額は1010億円と1000億円台を回復し、5年固定タイプは8942億円となった。

 4月以降、米サブプライム問題による金融市場の混乱が3月のベア・スターンズの救済などをきっかけに沈静化し、さらに原油高などを受けて世界的なインフレ懸念の強まりなどから欧米での利上げ観測なども手伝い欧米の長期金利が上昇基調を強め、日本の長期金利も上昇したことで、変動の初期利子、固定の利率ともに前回から引き上げられたことが好感されたとみられる。個人は利子の変化に対してはかなり敏感であり、利子が引き下げられていた前回の募集額を大きく上回ったものとみられる。

 ただし、その後の長期金利は低下基調となっている。物価上昇を意識してECBは7月に利上げを行なったが今後についてはバイアスはないと明言せず、FRBは物価よりも景気減速を意識していることで利上げ観測が後退したことが背景にある。また、日銀も国内景気の減速を意識しており、物価上昇圧力も強まっていることで当面利上げにも利下げにも動けない状況にある。6月16日に長期金利は物価上昇背景に1.895%まで上昇したが、その後は景気が意識され1.6%台に低下しており、当面は1.6%から1.8%あたりでの動きを予想しているが、次回の個人向け国債の条件決定日(9月の10年国債入札日)の長期金利の予測をすることは難しい。

 これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と税引き前の初期利子(固定は利率)は下記の通り

第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第14回変動10年(2006年4月)8,285億円(うち郵便局1,491億円)、0.85%
第15回変動10年(2006年7月)9,813億円(うち郵便局995億円)、1.10%
第16回変動10年(2006年10月)7,323億円(うち郵便局997億円)、0.92%
第17回変動10年(2007年1月)4,334億円(うち郵便局938億円)、0.84%
第18回変動10年(2007年4月)3,479億円(うち郵便局642億円)、0.87%
第19回変動10年(2007年7月)3,713億円(うち郵便局736億円)、1.01%
第20回変動10年(2007年10月)1,933億円、0.85%
第21回変動10年(2008年1月)1,316億円、0.68%
第22回変動10年(2008年4月)622億円、0.57% 第23回変動10年(2008年7月)1010億円、1.00%

第1回固定5年(2006年1月)1兆1,285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
第2回固定5年(2006年4月)9,883億円(うち郵便局1,490億円)、1.01%
第3回固定5年(2006年7月)1兆2,430億円(うち郵便局996億円)、1.30%
第4回固定5年(2006年10月)8,584億円(うち郵便局998億円)、1.13%
第5回固定5年(2007年1月)10,730億円(うち郵便局998億円)、1.20%
第6回固定5年(2007年4月)8,326億円(うち郵便局1,311億円)、1.13%
第7回固定5年(2007年7月)1兆5,964億円(うち郵便局1,545億円)、1.50%
第8回固定5年(2007年10月)7,691億円、1.15%
第9回固定5年(2008年1月)4,196億円、0.94%
第10回固定5年(2008年4月)2,919億円、0.81% 第11回固定5年(2008年4月)9,952億円、1.22%
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by nihonkokusai | 2008-07-09 09:58 | 国債 | Comments(0)

「さくらレポート」


7月7日に公表された日銀の地域経済報告(さくらレポート)の内容を確認してみたい。

総括判断としては、「足もとの景気は、地域差はあるものの、エネルギー・原材料価格高の影響などから、全体として引き続き減速している」として基調判断は据え置かれたものの、全9地域のうち、東北は現状維持としていたが、その他の8地域は個人消費に弱めの動きがみられること等からやや下方修正されている。ちなみに4月時は北海道以外の8地域がやはり下方修正となっていた。

このさくらレポートの中で、今回は設備投資に関して見てみたい。総括としては「設備投資は、交易条件の悪化等により企業収益が減少していることなどを背景に、増勢が鈍化しているないしは、高水準ながら横ばいとなっているといった報告が目立っている。」としている。

そして、最近の企業の設備投資動向として「交易条件の悪化による企業収益の減少や先行きの需要に対する不透明感の高まりを背景に、増勢が鈍化している。こうした中で、企業の規模や業種等の違いによる投資スタンスのばらつきが一段と鮮明化している」としている。

「交易条件の悪化による企業収益の減少」は今後の国内景気動向を見る上でのひとつのポイントとなりそうだが、設備投資においての「投資スタンスのばらつきが一段と鮮明化」している点も興味深い。

特に大企業製造業では、投資抑制の動きが一部にみられるものの、先行きの市場成長が見込まれる分野に対しての投資は着実に実施するとのスタンスが維持されている。これは「企業が財務体質の改善強化を進めてきた結果、経営環境の悪化に対する耐性を強めている」点も指摘している。また、エネルギー・原材料コスト増に対応するための合理化や省力化投資に対する関心も強まり、「環境関連投資や被災リスクへの対応、食品の安全性向上などに向けた投資に取り組む動きが目立ちはじめているのも最近の特徴である」としている。

大企業非製造業は、グローバル需要の取り込みが難しことや、消費の先行きに対する不透明感などで大企業製造業ほどは積極的ではないとみられる。

注意が必要なのは、中小企業の投資へのスタンスかと思われる。中小企業では業種に関わらず抑制的な投資スタンスが広がりつつあり、大企業に比べ投資余力や価格交渉力、技術力・販売力に乏しい先が多いことで「リスクの大きい投資を見合わせたり、必要最低限の投資に絞り込もうとする動きが目立ち始めている」としている。ただし、「高い技術力を持つオンリーワン企業やニッチ分野における需要の取り込みに成功した先等では、積極的な投資スタンスを維持している」として、中小企業間でも投資スタンスの「ばらつき」が鮮明化している点をレポートは指摘している。

そしてレポートでは、「今後の企業収益や内外経済の動向次第では、中小企業の抑制スタンスが一段と強まるのみならず、大企業の中長期的な戦略に基づく投資計画にも少なからず影響が及び、こうした下支え効果が剥落するリスクには留意する必要があると考えられる。」としている。

7月1日に発表された日銀短観では、2008年度全産業設備投資計画は例年通り3月の見通しに較べて上方修正され+2.4%となり、市場予想を上回る結果となったが、一時期に較べて低水準であることも確かである。設備投資について今後はばらつきがより一掃鮮明化した上で、全体として抑制的な投資スタンスが広がる可能性もあることで、先行きの動向には注意が必要となりそうである。
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by nihonkokusai | 2008-07-08 09:31 | 日銀 | Comments(0)
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