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カテゴリ:国際情勢( 158 )

米国の中間選挙の行方が金融市場にも影響か

 米国では今年11月6日に中間選挙が実施される。米国議会選では435の下院全議席と上院33議席(総議席は100)が改選される。米国の下院議員の任期は2年、上院議員の任期は6年となっている。上院議員は2年ごとに3分の1が改選されることから、大統領任期4年の2年目に選挙が行われ、これが中間選挙と呼ばれている。

 与党・共和党が上下両院で過半数を維持できるかがひとつの焦点となっている。上院は共和51、民主49(無所属含む)で拮抗している。もし中間選挙で与党・共和党が敗れるようなことになるとトランプ政権の今後の政策運営にも影響を与えることとなる。

 つまりこの中間選挙によってトランプ政権のこれまでの政策の是非が国民に問われる。トランプ大統領にとって初めての全米規模の信任投票ということになり、次の大統領選挙にも影響を与えよう。

 このためトランプ政権は公約を果たすために、税制を改革し、中国を中心に貿易戦争を仕掛けるなどしている。これが米国株式市場を揺るがす事でトランプ・ショックとも呼ばれた。ただし、これにより米国株式市場の地合いが大きく悪化するようなことはなく、トレンドはしっかりしている。

 中間選挙で注目すべきは拮抗している上院の行方か。トランプ米大統領の支持率が就任初期の水準まで回復したという調査結果も出ているそうだが、いまのところはトランプ大統領の貿易面での強攻策、ロシア、中国そして北朝鮮との外交政策についても、大きなミスは犯していないとの認識を米国民は持っているのかもしれない。

 いずれにしてもこの中間選挙の結果は金融市場も大いに注目せざるをえない。上院で共和党が過半数を割り込むことになると、事態は大きく変わってくる。米国株式市場や為替市場でのドルの地合いがこれによって変化する可能性もある。もちろんトランプ政権がこの選挙で確固たる信任を得たとしても、トランプ・リスクは残るわけではあるのだが。


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by nihonkokusai | 2018-07-20 10:07 | 国際情勢 | Comments(0)

英国の外相辞任でも英国市場は動揺せず

 サッカーのワールドカップロシア大会のベスト4には、フランスとベルギー、クロアチアとイングランドが進出し、準決勝は10日(日本時間11日)と11日(同12日)に行われる。イングランドは1990年のイタリア大会以来7大会ぶりの4強入りとなったが、準々決勝の試合会場には、英国の閣僚や英国王室メンバーの姿はなかった。

 これは英国南西部のソールズベリーでの元ロシア人スパイの毒殺未遂事件を受け、ワールドカップへの閣僚などのボイコットを決めたためである。しかし、イングランドが準決勝まで進んだことで、ボイコットを決めたメイ首相への風当たりも強まっている。

 もともとメイ首相はあまりサッカーには関心はなかったともされているが、政治的にもメイ首相はいま英国を離れるわけにはいかないような状況に追い込まれている。

 メイ首相が欧州連合(EU)離脱を巡って、EUとの関係を重視する穏健離脱の方針を打ち出したことに反発し、強硬派とされ、EUとの交渉の責任者であるデービスEU離脱担当相が8日に辞任した。9日にはやはり強硬派とされるジョンソン外相が辞任した。

 これを受けて外為市場ではポンドがドルに対して下落した。しかし、その下落も落ち着き、いまのところ英国発の金融市場でのリスクオフといった動きにはなってはいない。それどころかロンドン株式市場では、ポンド安を「好感」し、代表的な株価指数であるFTSE100種は続伸となっていた。ただし、英国債は買われ、10年債利回りは1.25%と先週末の1.27%から低下しており、多少はリスクオフの動きが出ていた可能性もある。

 確かに外相辞任により、英国のEU離脱の先行きが不透明になるものの、いまのところ離脱支持派の議員らはメイ首相に退陣を迫るようなことはなく、首相に対する不信任投票の動きも出ていない。

 現実として英国はメイ首相の穏健路線を取らざるを得ないと思われ、むしろ閣僚から強硬派の二人が辞任したことで、穏健路線を進めるきっかけになる可能性はある。ジョンソン外相の後任に指名されたジェレミー・ハント保健・社会福祉相は、元々はEU残留派だった。

 ただ、メイ首相にとってロシアとの関係悪化がなければ、ワールドカップの貴賓席に座り、イングランドチームの躍進を自らの追い風にできるチャンスもあったはず。もしこのままイングランドが決勝に進むようなことがあれば、国民の支持を得るためとして、ボイコットの方針を覆す必要が出てくるかもしれない。


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by nihonkokusai | 2018-07-11 09:54 | 国際情勢 | Comments(0)

株式市場を動揺させるトランプ・トラップ、投資制限については米政権内での対立も

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙が24日、トランプ米政権が中国の知的財産侵害への対策を強化するため、中国資本が25%以上の企業を対象に対米投資を制限する検討に入ったと報じた。ITなど先端技術の流出も規制すると伝えた(日経新聞電子版)。

 これを受けて24日の東京株式市場では日経平均が下げ幅を拡大させ、早朝に110円台にあったドル円は109円台半ばまで下落した。25日の米国株式市場では、IT技術の流出規制の影響を受けやすい半導体株などを主体に売られ、ダウ平均は一時500ドル近くまで下落した。

 ところが、通商政策を担当し対中強硬派で知られるナバロ大統領補佐官が米CNBCに出演し「対米投資の制限は今のところ検討していない」と述べたことから、ダウ平均はやや下げ幅を縮小させて328ドル安、ナスダックは160ポイントの下落となった。

 ドル円はナバロ大統領補佐官の発言を受けて、109円30銭台あたりから、一時110円台に切り返した。

 トランプ政権が中国製品への追加関税の発動を表明したのに対し、中国も米国製品に対し同じ規模、同じ強さの追加関税措置を出すと応じ、これにより、米中の貿易摩擦が激化するのではとの懸念が強まり、市場は動揺した。それが少し落ち着いてきたかに思えたタイミングで、トランプ大統領はあらたなトラップを仕掛けてきたかに思われる。

 ナバロ大統領補佐官は25日に「中国の問題に関してムニューシン財務長官が29日に大統領に報告する」とも述べていた。ナバロ氏は「報告は中国以外の国とは全く関係ない」とも語った。一方、ムニューシン氏は投資制限について「中国だけを特定したものではなく、われわれの技術を盗もうとする全ての国が対象となる」とツイッターに投稿した。米政権内では対中通商政策をめぐり路線対立があるともされており(共同)、今後もあらためてこの問題が蒸し返される可能性がある。

 米国株式市場でナスダックはじりじりと上昇して、20日には再び過去最高値を更新していた。しかし、ここにきての下落により、チャート上は上昇トレンドが崩れつつある。ダウ平均も24000ドルを割り込むようなことになると、下落トレンド入りする懸念がある。

 トランプ政権が株式市場を全く無視しているわけではないと思うが、いまの市場はトランプリスクに怯えている。今度はどのようなトラップを仕掛けてくるのか。果たしてそれは自国経済にとって本当にプラスになるものなのかどうか。米国景気の拡大基調がこのまま崩れるようなことになると、自ら仕掛けたトラップに米国自体がはまってしまうというリスクも警戒する必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2018-06-27 09:48 | 国際情勢 | Comments(0)

北朝鮮リスクの後退により、市場のリスク選好ムードが強まるか

 6月12日の歴史的な米朝首脳会談を経て、政治面からみるとアジアのパワーバランスに大きな変化をもたらす可能性が出てきた。北朝鮮と中国、ロシアのこれまでのややベールに閉ざされていた関係に、韓国と米国も加わることによって、あらためて北朝鮮のベールが剥がされる可能性がある。ここに日本がどのような形で北朝鮮との関係を構築するのか、拉致問題という課題を抱えながら、日本政府にも大きな課題が与えられることになる。

 金融市場ではリスク回避の巻き戻しというか、リスク選好型の動きが強まることが予想される。北朝鮮リスクが金融市場を萎縮させるほど影響していたわけではないものの、北朝鮮によるミサイル試射や核開発によって地政学的リスクが市場でもそれなりに織り込まれていたことも確かである。その巻き戻しも起きてこよう。さらに今後、北朝鮮がアジア経済にどのような影響を与えるのかというあらたな見方も必要となってくる。

 いまさらながら米国と北朝鮮は冷戦状態にあったことを今回の日米首脳会談は気付かせてくれた。その状態が緩和されるとなれば、アジアは政治バランスだけでなく、経済バランスにも影響を与える可能性がありうる。米国と北朝鮮の緊張緩和により、北朝鮮への経済制裁も緩んでくることが予想される。北朝鮮と米国などとの貿易関係がどのようになっていくのかも不透明ながら、ネガティブな見方よりもポジティブな見方も今後、必要になってくるのではなかろうか。

 そこに日本がどのようなかたちで関与しうるのか。霧に隠れていたマーケットが出てくる可能性もある。むろん北朝鮮の経済実態はかなり悪化しているとの見方もあることで、経済格差といった問題も露見するかもしれない。

 これらは日本経済にも大きな影響与えかねず、それは金融市場にも当然ながら影響を与えることになる。株式市場がこれをポジティブに捉えれば、日経平均が3万円の大台に向けて上昇するきっかけとなる可能性もある。

 金融市場でリスク選好ムードが強まり、FRBが着々と正常化を進め、ECBも正常化に向けた舵を切るとなれば、日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和の行方にも微妙ながらも影響を与える可能性がある。むろん物価そのものが目標に向けて上昇しない限り、日銀にとっては現在の緩和策の修正は難しいのかもしれないが、リスク選考ムードの強まりによる為替や株の動向如何では、その修正も可能となるかもしれない。



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by nihonkokusai | 2018-06-18 09:55 | 国際情勢 | Comments(0)

歴史的な米朝首脳会談の前に、市場では円安などリスク選好の動きが進んだ理由

 6月12日に米朝首脳会談が予定通りに実施された。まさに歴史的な日となるものと思われる。12日の東京市場ではドル円は110円台に上昇し、日経平均株価は一時23000円台を回復した。

 米朝首脳会談が実現されたことにより、朝鮮半島の非核化、さらには休戦状態にある朝鮮戦争の終結が実現する可能性が出てきた。これは北朝鮮を巡る地政学的リスクの後退とも捉えることができることで、いわゆる金融市場でのリスク回避の巻き戻しの動きが出ていたとしてもおかしくはない。

 ただし、11日にすでに欧米市場ではリスク回避の巻き戻しの動きが起きていた。これは米朝首脳会談に先回りして動いたというよりも、イタリアの政治情勢の行方に焦点が当てられていたといえそうである。

 それを端的に示していたのが、欧州の国債の動きであった。欧州の債券市場では、イタリアの国債が買い戻され、イタリアの10年債利回りは2.82%と先週末の3.11%から大きく低下していた。周辺国の国債も連れ高となったが、中核国の国債は総じて売られ、ドイツの10年債利回りは0.49%と先週末の0.44%から上昇し、フランスやオランダの国債も売られていた。昨日の欧州株式市場は、イタリア株など主体に買われて反発しており、この動きはまさにリスク回避の巻き戻しといえる。

 外為市場でもリスク回避の巻き戻しの動きから、円がドルやユーロに対して売られ、ドル円が110円台を回復し、ユーロ円は12日の東京時間に130円台を一時回復していた。

 この動きのきっかけとなったのは、イタリアのトリア経済・財務相が9日掲載の現地紙のインタビューで、同国が単一通貨ユーロを離脱する可能性を明確に否定したことによるものであった(日経新聞電子版の記事より)。

 イタリアでは5月にポピュリズム政党の「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」が連立政権樹立に向けた政策で合意したものの、2党が選んだユーロ懐疑派の経済・財務相候補の起用をマッタレッラ大統領が拒否し、ポピュリスト2党の指導者は組閣を断念。五つ星のディマイオ党首はムーディーズの格下げが組閣を妨害したと批判し、大統領を弾劾する提案を検討していると指摘している。「同盟」のサルビーニ書記長は謀略の存在をほのめかし、再選挙を呼び掛けた。これがイタリア・ショックを引き起こし、欧州主体にリスク回避の動きを強めた。

 その後、イタリアの五つ星運動は政権樹立の争点となっていた経済相の人選でも妥協点を探り、ユーロ懐疑派のサボナ氏擁立を断念する構えを示し、あらためて新政権樹立を模索する動きを示した。五つ星運動と同盟は連立政権樹立で合意し、経済・財務相のポストに経済学教授のジョバンニ・トリア氏を起用することで、ジュセッペ・コンテ氏が首相に再指名された。これによりイタリア・リスクはいったん後退した。しかし、新政権がユーロ離脱に動く懸念はその後も存在した。

 それを今回、焦点ともなっていたイタリアの経済・財務相が明確に否定したことで、市場はひとまず安堵した格好となったのである。

 そして、今回の米朝首脳会談の行方を市場はどのように判断するのかであるが。それは今後の金融市場の動向に影響を与えるものとみられる。円高や株安となるリスクオフというよりも、素直に円安や株高要因となるリスクオンの動きを強めるのではないかと予想される。


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by nihonkokusai | 2018-06-13 10:21 | 国際情勢 | Comments(0)

イタリアとスペインの政治リスクがひとまず後退、世界的にリスク回避の巻き戻しの動きに

 イタリアのマッタレッラ大統領は31日に大学教授のジュセッペ・コンテ氏を次期首相に任命した。同氏が提出した閣僚人事を大統領が承認。コンテ氏を次期首相に推薦していたポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右「同盟」による連立政権が近く正式に発足する(日経新聞)。

 イタリアの五つ星運動は政権樹立の争点となっていた経済相の人選でも妥協点を探り、ユーロ懐疑派のサボナ氏擁立を断念する構えを示し、あらためて新政権樹立を模索する動きを示した。五つ星運動と同盟は連立政権樹立で合意し、経済相のポストに経済学教授のジョバンニ・トリア氏を起用することで、ジュセッペ・コンテ氏が首相に再指名され、サボーナ氏は欧州担当相に就く見込みとされている。

 これを受けて約3か月にわたるイタリアでの政治空白が解消されることになる。市場ではリスク要因としていた総選挙の可能性も後退した。連立政権はひとまずユーロ離脱に向けた動きを封印するとみられるが、財政拡大への懸念は残る。現実的な政策を取ることができるのかという不安はあるが、いったんイタリアの政局への懸念は後退した。

 そして1日にスペインの下院、国民党のラホイ政権に対する内閣不信任案の採決があり、賛成多数で可決された。最大野党の中道左派・社会労働党のサンチェス書記長が首相に就き、7年ぶりの政権交代となった。

 イタリアの新政権同様にスペインの新政権も積極財政で反緊縮とされ、サンチェス書記長が政治的に親EUの姿勢を取ると見られているものの、イタリア同様に財政面を巡ってEUと対立する懸念はある。また、選挙で選ばれた政権ではないため、いずれ総選挙が実施されるであろうとみられる。

 新興中道右派「シウダダノス(市民党)」も早期選挙の実施を訴えている。これはシウダダノスがカタルーニャ自治州の独立に強硬反対することで支持が急増したためであり、ほかの政党にとっては総選挙では議席数を減らす懸念もあるため、あまり積極的ではないとされる。このため、総選挙には時間を置く可能性もあり、ひとまずスペインでもリスクは回避されたとみられる。

 4日のイタリアの国債利回りは2.50%に低下した。5月29日にイタリアの10年債利回りは3.13%まで急上昇しており、ひとまずイタリア国債の利回り上昇にはブレーキが掛かった。

 今後のイタリアやスペインを巡るリスクの有無は、それぞれの新政権の動向に掛かってくる。EU内のリスクとしての火種は残る格好だが、その火種が再び炎上するのか、それとも火種を抱えながらも、リスクが顕在化させないような行動を取るのか。これは今後の金融政策にも影響を与えかねないECBとしても注意が怠れない。


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by nihonkokusai | 2018-06-05 09:34 | 国際情勢 | Comments(0)

イタリアの政局の行方はECBのドラギ総裁にとっても懸念要因に

 イタリアの政局が世界の金融市場に大きなリスク要因となってきている。イタリアの長期金利が3%台に上昇し、ギリシャを発端とした欧州の信用不安が再来かとの懸念も出てきた。ギリシャ・ショックの際にもユーロというシステムが崩壊するのではとの危惧が大きな不安要因となったが、今回も焦点となりそうなのはこれをきっかけにイタリアがユーロ離脱に向けて動いてくるのかどうかと言う点となる。格付け会社がこの動きを助長したところも、前回のユーロ危機を彷彿とさせた。

 イタリアの五つ星運動は政権樹立の争点となっている経済相の人選でも妥協点を探っているとし、ユーロ懐疑派のサボナ氏擁立を断念する構えを示し、あらためて新政権樹立を模索する動きが出てきた。ロイターによると、「五つ星運動」と極右「同盟」は連立政権樹立で合意し、経済相のポストには経済学教授のジョバンニ・トリア氏を起用すると伝えられた。ジュセッペ・コンテ氏をが首相に再指名され、サボーナ氏は欧州担当相に就く見込みと伝えられた。

 新政権樹立への動きから市場ではいったんリスク回避の動きを強めた。果たして連立政権はユーロ離脱に向けた動きを封印するのか、それともそれをいずれ前面に押し出してくるのか。これはある意味、イタリア国民の意向といったものも大きく反映してくるものと思われる。

 今回のイタリア国債の価格の急落は、それを保有する欧州の銀行にも影響を与えることから、イタリア株は銀行株など主体に大きく下落した。イタリアの国債価格は戻してはいるが、この動きに気が気でないのがECBではなかろうか。

 ECBの債券買入額は今年1月からこれまでの月600億ユーロから300億ユーロに減額した。債券買入は少なくとも今年9月末まで継続するとしている。ただし、必要に応じて9月以降も延長するとしている。そして、インフレ率の2%近辺という物価目標に向けた調整の進展を確認したところで買入は停止するとした。

 このECBの正常化に向けたロードマックが今回のイタリアの政局によって修正される可能性もありうるか。イタリア国債価格の下落にブレーキが掛かれば問題はないが、今後もさらに下落し、イタリアの長期金利が上昇基調となれば、ECBの債券買入期間の延長なども考慮する必要がある。

 イタリア大統領がユーロ懐疑派の財務相候補を忌避した裏にはイタリア出身のドラギECB総裁からの助言があったともされているが、金融政策の行方ばかりでなく、ユーロ崩壊へのリスクはECBとしても極力軽減させたいところであろう。

 今回のイタリアの問題についてはイタリアの債務問題も絡んでいる。ユーロ圏にいる限り、財政赤字には制限が加わり、積極的な財政政策は取りづらい。その不満がポピュリズム(大衆迎合主義)政党の台頭を許し、政権を握ろうとしている。イタリアの問題はむしろこれから正念場を迎える可能性もあり、その動向次第では、ECBの金融政策ばかりでなく、ユーロというシステムそのものにも影響を与えかねないことも確かである。


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by nihonkokusai | 2018-06-01 10:06 | 国際情勢 | Comments(0)

原油価格はピークアウトしたのか

 5月25日のニューヨーク原油先物市場では、主要産油国のサウジアラビアとロシアのエネルギー担当相が協調減産の緩和を巡り協議したことが伝わったことから、WTI先物の7月限は前日比2.83ドル安の67.88ドルと急落した。また、29日にはイタリアの政局への警戒などからのリスク回避の動きを強めたこともあり、WTI先物7月限は1.15ドル安の66.73ドルと大幅続落となった。

 WTI先物は21日に72ドル台に乗せ、約3年半ぶりの高値をつけたが、これは米国によるイラン制裁再開に加え、米国がベネズエラに対し制裁を発動する確率が高まったとの観測も影響した。イランもベネズエラも主要な産油国であり、これにより供給が減少し、原油価格の上昇が意識された。

 これに対して、サウジアラビアとロシアが協調減産の緩和を巡り協議したのは、あくまで部分的緩和によって、原油価格の急騰を回避するためであり、これまで原油価格の上昇を促していた協調減産の方針を変えるわけではない。

 ここにきての原油先物価格をみると、今年2月あたりから上昇トレンドを形成していた。原油価格の上昇の背景には、価格下落を危惧した石油輸出国機構(OPEC)諸国とロシアなどが昨年初めから協調して減産したことによる影響が大きい。

 サウジアラビアの政府高官は、原油価格について「サウジアラビアには上昇を止める意向は一切ない」と発言しているようだが、サウジアラビアは今年、原油価格を少なくとも1バレル80ドルに押し上げようとしているとされる。この方針にも変化はないとみられる。

 しかし、WTIのチャートをみると久しぶりの大きな調整が入った格好となっている。ここで上昇トレンドが終了したかどうかは今後の動向次第とはなるが、ひとまずWTIでは70ドル台乗せ、北海ブレント原油価格が2014年以来初めて80ドルに上昇したこともあり、目先の達成感のようなものも出てきいる。

 サウジアラビアもロシアも原油価格の緩やかな引き上げを引き続き望んでいることも確かであり、余程の事態が生じなければ、再び上昇トレンドを形成する可能性は高いとみている。ただし、原油価格の上昇には世界的な景気拡大も背景にある。イタリアやスペインの政局の先行き不透明感も手伝い、ユーロ圏の景気減速への懸念なども出ていることから、このあたりでいったんピークアウトする可能性もないわけではない。


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by nihonkokusai | 2018-05-30 10:32 | 国際情勢 | Comments(0)

欧州リスクが再燃か? イタリアとスペインに火種

 5月25日から28日にかけて、欧州の債券市場では、いわゆる中核国と呼ばれるドイツ、フランス、オランダなどの国債が買われたが、周辺国と呼ばれるイタリア、スペイン、ポルトガルなどの国債は売られた。この背景にあるもののひとつが、イタリアやスペインの政治情勢である。

 米格付け会社のムーディーズは25日に、イタリアのソブリン格付け「Baa2」を引き下げ方向で見直すとの方針を明らかにした。その理由として、イタリアの次期政権が歳出拡大に走る可能性を指摘した(ロイター)。

 イタリアでは、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」が連立政権樹立に向けた政策で合意したものの、2党が選んだユーロ懐疑派の財務相候補の起用をマッタレッラ大統領が拒否し、ポピュリスト2党の指導者は組閣を断念した。五つ星のディマイオ党首はムーディーズの格下げが組閣を妨害したと批判し、また、大統領を弾劾する提案を検討していると指摘している。「同盟」のサルビーニ書記長は謀略の存在をほのめかし、再選挙を事実上呼び掛けたそうである(ブルームバーグ)。

 これにより、イタリアでは大統領とポピュリズム2党の対立色が強まったことで、政治的な混迷が一段と深まった。さらに再選挙となれば、ポピュリズム政党が勢力を一段と拡大させる懸念も強まり、市場ではリスク回避の動きを強めた格好になった。

 そして、スペインではラホイ首相の元側近が汚職事件で有罪判決を受けたことを踏まえ、最大野党の社会労働党がラホイ首相に対する不信任決議案を提出した。ラホイ首相は25日、不信任決議案を否決に持ち込み、4年の任期を全うする考えを示したが、先行き不透明感は強まりつつある。ラホイ首相に対する不信任決議は6月1日に採決される見通しで、解散総選挙が実施される可能性も出てきた。

 さらにECBが24日に公表した4月26日の理事会の議事要旨によると、ユーロ圏は成長がさらに減速する恐れがあるとの指摘があった。これもユーロ圏のリスク回避の動きの要因となっていた。ユーロ圏の景気減速の背景としては、昨年後半の急成長の反動に加え、トランプ政権による保護主義の影響を受ける恐れも指摘されている。イタリアやスペインの政治情勢の不透明感なども今後、景気の足を引っ張る懸念も出てきた。

 さすがに2010年のギリシャ・ショックのようなことが起きることは考えづらいが、ここにきて不安要因がいくつか重なって出てきたことにも注意する必要はありそうである。


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by nihonkokusai | 2018-05-29 09:58 | 国際情勢 | Comments(0)

イタリアの連立政権のリスク

 イタリアでは、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」が連立政権樹立に向けた政策で合意した。

 両党は15%の均一税率や新たな社会保障の導入のほか、不評な年金改革を撤回することを提唱している。

 また、政府の政策草案とされているものによると、加盟国にユーロ離脱を認める域内での手続き導入が提案されているほか、2500億ユーロ(約32兆5300億円)のイタリア政府の債務を帳消しにするよう欧州中央銀行(ECB)に要請する方針が盛り込まれていた(WSJ)。

 イタリア政府の債務帳消しについてはのちに否定されたが、これとは別に共通政策議題として政府短期債発行が含まれていた。これは「mini-BOT」と呼ばれる短期政府債で、1ユーロから500ユーロまでの小額の額面となり、国債と言いながらも利息は支払われず、償還期限もない。また額面を政府が保証するという、いわば政府紙幣となる。

 ただし、ユーロ圏の法定通貨を発行できるのは欧州中央銀行(ECB)だけであることから、これは法定通貨ではないとしており、これは国債であっても政府債務には含まれず、財政赤字の3%ルールには該当しないというような、かなり強引な主張をしている。

 もちろんこれらの構想の背景にはイタリアの財政拡大が意識されている。そのためにはユーロ加盟国に財政赤字を3%以内に抑えるよう求められているルールや、ユーロ圏の法定通貨を発行できるのはECBだけというルールまですり抜けようとしているように思われる。

 日本でも一時政府紙幣の発行が取りざたされたことがあった。しかし、政府紙幣の発行となれば、政府の信用毀損による国債価格の暴落に繋がりかねない。過去の歴史を振り返れば、政府紙幣はいったん発行されればその信認を意識しての発行とはならず、乱発しての財政拡大によるインフレを招くことは必然となる。そもそも国債という借金を増やしたくないという責任逃れの発行ともなり、いったん発行されてしまうと財政規律などが意識されること自体考えられなくなる。

 イタリアの国債利回りが5月7以降に急上昇したのは、「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」が連立政権樹立に向けた政策を意識したものであり、その象徴ともいえる「mini-BOT」の発行構想であったと思われる。

 政府紙幣の実現可能性はさておき、イタリアで誕生する新政権は、ユーロ圏に緊張を与えかねず、イタリアのユーロ離脱の懸念も強まる恐れもある。

追記

 両党は政策で合意したものの、2党が選んだユーロ懐疑派の財務相候補の起用をマッタレッラ大統領が拒否し、ポピュリスト2党の指導者は組閣を断念した。



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by nihonkokusai | 2018-05-28 10:06 | 国際情勢 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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