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カテゴリ:国際情勢( 174 )

英国のEU離脱は延期の可能性高まる

 英国のメイ首相は26日に議会で、3月29日に予定通り離脱を実現できるようEUと合意に達するべく努力を続ける意向だと表明。それができなかったとしても、議会の同意なく合意なしの離脱に踏み切ることはないとし、「3月29日に合意なしでEUを離脱するのは、議会の明確な同意があった場合だけだ」と言明した(ブルームバーグ)。

 これはどういうことであるのか。24日にエジプトでEUのトゥスク大統領とメイ首相が会談した際に、トゥスク氏は「合意なき離脱」の回避には離脱延期が「合理的」とし、メイ氏と「延期による影響」を話し合ったとされる。EU側から延期の可能性を打診され、メイ氏が離脱期日を最長で2か月延長する案を検討していると報じられた。

 その結果として、遅くとも3月12日までに、EUとの間で修正に向けた協議を続けている離脱協定案について議会で採決を行う。もし否決された場合には、翌日に今度は「合意なき離脱」の是非について採決する。議会が「合意なき離脱」の回避を求めた場合、14日に離脱の延期について議会に諮るとしている。

 離脱協定案は否決される可能性が高い。しかし、議会としても混乱を招きかねない「合意なき離脱」は回避させたい。「合意なき離脱の回避」について賛成票が多数となれば、14日に離脱の延期について議会に諮る。ここで延期が決定されると延長後の新たな離脱日は遅くとも6月末となる可能性が高いとされている。ただし、延期したとしても1回かぎりとしている。

 「合意がまとまらなければ、延期をしても『合意なき離脱』の可能性が消えるわけではない」とメイ首相は主張しているように、いまのところこれは時間稼ぎに過ぎず、具体的な解決策には至らない。

 そもそも英国民のなかでも離脱派と離脱反対派に分かれており、両者の妥協点を探るにも、良いとこ取りはEU側が了承しないであろう。事態が改善するとすれば、どこかが折れる必要があるが、それはそれで反発を招きかねない。

 これを受けて26日の外為市場で一時ポンドが買われたが、不透明感が拭えたわけではない。


by nihonkokusai | 2019-02-28 10:00 | 国際情勢

欧州の景気低迷などから、株式市場はゴルディロックス相場(適温相場)が終焉か

 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は7日、イタリアやドイツをはじめ域内主要国の経済成長率予想を軒並み下方修正した。今年のユーロ圏経済の成長率を1.3%の予想とし、昨年11月時点の1.9%の予想から下方修正した。また、2020年の成長率予想も1.6%と従来の1.7%から下方修正された(ブルームバーグの記事より)。

 イタリアでの政治上の問題やそれに絡んでの財政悪化、フランスではデモ隊による抗議運動が続いている。ここにきて今度はイタリアとフランスの関係が悪化しつつある。ドイツでは自動車産業が規制変更により回復が遅れているとされている。また米中の貿易摩擦も絡んでの中国の景気減速など外部要因による影響も出ているとみられる。

 欧州委員会は今年のユーロ圏のインフレ見通しも1.4%と従来の1.8%から引き下げた。欧州の中央銀行のECBは、夏以降の利上げの可能性を探っていたとみられるが、ユーロ圏の経済・物価動向が改善しない限り、年内の利上げは難しい。FRBの利上げ停止観測なども影響を与えそうである。

 7日に英国の中央銀行であるイングランド銀行は、金融政策を決めるMPCで政策金利を年0.75%で据え置くことを決定した。同時に公表した四半期インフレ報告では、2019~20年の経済成長見通しを下方修正した。

 英国ではEU離脱の行方が不透明となっていることで、これも英国経済の足かせとなっており、欧州の景気動向にも影響を与えているようである。

 これまで米国を中心として、ほどよい景気回復が続き、株式市場も景気が過熱も冷え込みもしない適度な状況にあるゴルディロックス相場と呼ばれる状態が続いていた。それが昨年あたりから変調を来すようになってきた。

 米中の貿易摩擦が中国の景気をさらに悪化させ、それが米国や欧州にも跳ね返ってきた。英国やフランス、イタリアでは国内で問題を抱えていたが、それがあらためて表面化してきた。ドイツもすでに盤石とはいえない。

 今後は世界的な景気の低迷が意識されるとみられ、株式市場では急落はなくても、反ゴルディロックス相場のような状況になる可能性がある。これは当然ながらも日本経済にも影響を与えるものと思われる。


by nihonkokusai | 2019-02-09 10:35 | 国際情勢

米中の貿易協議に過度な期待も禁物か

 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は22日、米中両政府が月末に開く閣僚級の貿易協議をめぐり、トランプ米政権が予備協議の開催を拒否したと伝えた。中国は次官級を今週米国に派遣し、閣僚協議に向けた準備会合の開催を提案していた。技術移転の強要など中国の構造問題で意見が対立していることが背景にあるという(日経新聞電子版)。

 これに対して米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は22日、CNBCとのインタビューで、今月末のワシントンでの劉鶴副首相との会合が「非常に重要」であり、「決定的」なものになるだろうと発言した。

 これによりクドロー委員長は貿易準備会合が中止されたとの報道を否定した格好ながら、協議の難しさも示したような格好となった。

 ちなみにクドロー委員長は、ムニューシン財務長官などと同様に、中国との関係も対話を進めることで解決への糸口を探ろうとしている、いわゆる穏健派である。ただし、トランプ政権内にあっては少数派とされる。

 技術移転の強要など中国の構造問題で意見が対立していることは確かとみられ、これはトランプ政権内での強行派とされるロス商務長官やライトハイザーUSTR代表などが、強硬姿勢を見せているためではなかろうか。

 トランプ大統領は株式市場への影響も意識して、中国との対話を進める姿勢は見せているものの、中国側が余程妥協しない限り、関税などを巡り強硬姿勢を崩すことも考えづらい。

 中国政府は米国に対して6年間かけて輸入を増やす計画を提案したとされる。しかし、1月30~31日に閣僚級協議では、貿易不均衡の是正だけでなく、中国の知的財産侵害や不適切な産業補助金など構造問題についても中国側に対応を求めるとみられ、今回のトランプ米政権が予備協議の開催を拒否との報道も、中国側に対するプレッシャーの一環ではないかとも推測される。

 米中が3月1日までに合意できなければ、米国は2千億ドル分の中国製品に対する関税の税率を10%から25%に引き上げる予定となっている。もし関税引き上げが実施されるとなれば、米中の貿易摩擦がさらに強まることが予想され、結果として世界経済の減速傾向を強めることになろう。これは米国株式市場ではリスク要因となる。米株の大幅な下落もトランプ大統領は嫌がっているようだが、中国への強硬姿勢を崩さない限り、市場でのリスクが後退するようなこともないとみられる。


by nihonkokusai | 2019-01-24 09:57 | 国際情勢

米政府機関閉鎖の解決の糸口が見えず

 2018年12月22日から続く米国連邦政府機関の一部閉鎖は、1月20日で30日目に入った。これまでの連邦政府機関閉鎖の最長はクリントン政権時の21日間で、今回は最長期間を更新し続けている。

 米国での予算が成立しないことによる政府機関の閉鎖は過去何度か起きていた。直近では2013年10月にオバマ前政権の医療保険制度改革法(オバマケア)向け支出を巡り、ねじれ状態となっている米国議会で次年度予算が成立せず、与野党の対立が解けないまま、およそ18年ぶりとなる政府機関の一部が閉鎖される事態が発生した。

 この際の16日に及ぶ米政府機関の一部閉鎖による経済への影響については、第4四半期の成長率に対し0.2%から0.8%の影響が及ぶとの予測数値が金融機関などから出ていたが、実際にはそれほどの影響はなかったとの見方もあった。

 とはいえ、今回の政府機関の閉鎖の継続にあたって、全く影響が出ないということも当然ながら考えにくい。長引けば長引くほどそれによる影響が拡大する恐れがある。ひとつの例として、各地の空港でセキュリティーチェックを受ける乗客の列が日に日に長くなっていることが挙げられている。

 トランプ大統領としては、公約でもあった壁の建設に固執せざるを得ない面もあろうし、それが2020年の大統領選挙の行方にも影響してくるのではとの危惧もあるかもしれない。しかし、メキシコとの国境の壁建設予算をめぐってのトランプ大統領と民主党の対立は妥協点を見いだすのが困難とみられる。

 トランプ大統領は19日にホワイトハウスで演説し、過去最長となっている政府機関の一部閉鎖を解消するため、移民規制を緩和する代わりに、メキシコ国境での壁建設予算57億ドルを野党・民主党に認めるよう求める妥協案を示した(読売新聞)。しかし、民主党は難色を示し、閉鎖は継続されている。

 英国のEU離脱の行方についても不透明が強いが、米国の壁問題も解決の糸口が見いだせない。トランプ大統領と民主党のどちらも妥協しないとなれば、最終的には大統領選挙も睨んだ世論が解決策を導くかもしれない。しかし、それにも時間が掛かることは確かである。

 いまのところ米中の貿易交渉などが市場では大きく材料視されていることで、政府機関の一部閉鎖による影響はそれほど材料視されていないように思われる。しかし、これにより少しずつリスクが増幅されているようにも思われるため、今後の市場の動向にも注意が必要となろう。


by nihonkokusai | 2019-01-21 09:39 | 国際情勢

英国のEU離脱問題で英国債はどちらに向かうのか

 英国の議会下院は日本時間16日早朝に欧州連合(EU)と合意したEU離脱案を採決し、投票結果は賛成202票、反対432票となり、政府の離脱案は歴史的大差で否決された。野党労働党のコービン党首はメイ政権に対して内閣不信任案を提出したが、こちらも否決された。メイ首相は、期間が限られるなかあらためて合意なき離脱に向けた道筋を探ることになる。

 英国がどのようなかたちでEUを離脱するのか。3月29日の離脱期日までに議会での承認を得られるのか、それとも離脱期日の延期を探るのか、場合によると合意なき離脱となってしまう可能性もありうる。

 このような英国のEU離脱を巡る不透明感が強まるなか、英国債は果たしてどのような動きを示すのか。

 EU離脱案は否決されるであろうとみられていた15日の英国の10年債利回りは1.25%と前日の1.29%から低下していた。実際に否決されたことを確認しての16日の英国の10年債利回りは1.31%と前日の1.25%から今度は上昇していた。

 市場では合意なき離脱の可能性が後退したことで、外為市場ではポンドが買い戻されていた。このポンド高によって16日のロンドン株式市場は輸出関連株主体に下落していた。16日には同時に英国債も売られた格好ながら、動きはややチグハグにみえる。

 英国債そのものは米国やドイツなどの国債と同様に信用度は高い。このため、自国のリスクが増大しても、リスク回避の動きにより買われやすい。この動きは日本国債も同様にあった。英国そのものの信用が大きく毀損されない限り、英国債は基本的にはリスク時に買われやすいものといえる。また、同様の理由から米国債の動きに連動しやすい面もある。

 とはいえ、一時的にせよ英国売りが生じた際には状況が変わる可能性はある。1992年のヘッジファンドが大量のポンド売りマルク買いを仕掛けた、いわゆるポンド危機の際には、イングランド銀行は日中に当時の政策金利であった公定歩合を2度引き上げるなどの対抗手段を取っていた。当時のような状況に陥る可能性は低いとみられるものの、状況次第では英国債が一時的に大きく売られるという事態もないとは限らない。


by nihonkokusai | 2019-01-18 09:43 | 国際情勢

英議会はEU離脱案を否決、金融市場への影響は

 英国議会下院は日本時間16日早朝に欧州連合(EU)と合意したEU離脱案を採決、投票結果は賛成202票、反対432票となり、政府の離脱案は歴史的大差で否決された。労働党のコービン党首はメイ政権に対して内閣不信任案を提出すると表明したが、こちらも否決されるとみられる。

 これにより英政局の混迷がさらに深まることになるものの、最悪の事態となりうる合意なき離脱については、以前に比べて可能性は後退しているとみなされているようである。それでは今回の英国議会で離脱案が否決された場合に、3月29日とされている離脱期日までにどのような手段が残されているのであろうか。

 ここにきての複数の世論調査で、残留を求める声が離脱論よりも多くなってきていることから、2度目の国民投票を求める声が強まっている。しかし、3月末までに国民投票を行うにはスケジュール的に無理がある。離脱期日の延期についても、よほどの事態とならない限りはEU側が認めないと思われる。

 しかしながら、混乱を避けるために多少ながらEU側が譲歩するかたちで、議会での2回目の採決に向かう可能性も指摘されている。英国がEU予算を分担することで単一市場へのアクセスを保てる欧州経済領域(EEA)加盟という手段の可能性もありうるか。しかし、これも英国議会が承認するかとなれば疑問は残る。

 いずれにしても英国市場は比較的冷静となっている。英国債も多少買われたがそれほど大きな動きはない。ポンドも現状は比較的しっかりしている。また欧州市場や米国市場も同様で、今回の英議会でのEU離脱案の否決は織り込み済みか。今後はメイ首相の次の一手に注目が集まるのではないか。ただし、合意なき離脱の可能性が強まることになれば、金融市場ではリスク回避の動きを強める可能性はある。


by nihonkokusai | 2019-01-16 09:44 | 国際情勢

英国のメイ首相の迷走は続く

 12日に英国の与党・保守党はメイ党首に対する不信任投票を行うことを明らかにした。党の下院議員が1922年委員会委員長に提出した首相不信任の書簡が、規定の48通に達したため、不信任案投票が行われることとなった(BBC)。

 本来であれば11日に欧州連合(EU)離脱案の議会採決を行うはずが、それが通ることが難しいと判断してメイ首相は大敗を避けるために採決を先延ばしした。これに反対派が勢いづいた格好となった。

 メイ首相が保守党下院議員315人のうち過半数の158人から支持を得ることが出来ないと、党首は不信任になると後任を決める党首選に再立候補できないため、首相交代もあり得る事態となった。

 一時的に党を離れていた議員も含め317人が投票した結果は、信任200、不信任117で、メイ氏の信任が決まった。

 これを受けて外為市場では英国のポンドが買い戻され、欧米の株式市場は上昇した。リスク回避の巻き戻しの動きで、英国債は売られていた。

 メイ首相は投票に先立ち、2022年5月に見込まれる次期総選挙の前に退任する考えを表明しており、自らの退任と引き換えに離脱合意案への党内の支持を呼び掛けた格好となった。

 まさに背水の陣のなったわけではあるが、合意なき離脱は回避したいとの意向も今回の投票結果には反映されているとみられる。今回はEUからの決別も辞さない強硬離脱派の議員を中心に書簡が集まったことで、これは離脱回避に向けた動きではなく、ソフトブレグジット路線を目指すメイ党首の動きを批判する動きともいえた。ただし、議員のなかには国民投票の再実施を求めるEU残留派などもいることで、これも問題を複雑化している。

 英国のEU離脱まであと100日余りに迫る中、こんなことで時間を取られている場合ではないとの見方もあった。今回の不信任案投票はなんとか乗り切った格好のメイ首相ではあるが、党内の亀裂は予想以上に大きいとされ、これで欧州連合(EU)離脱案の英国議会での承認を得られるというわけでもなく、まだまだハードルは高いようにみえる。この難局をメイ首相はどのように乗り切るのか。メイ首相の迷走は続く。


by nihonkokusai | 2018-12-14 09:36 | 国際情勢

混迷する英国のEU離脱(ブレグジット)問題

 英国のメイ首相は11日に予定していた欧州連合(EU)離脱案の議会採決を延期すると表明した。英議会では離脱案への反発が強く、メイ政権は大敗を避けるために採決を先延ばししたとされる。

 ある程度予想された事態が発生した。このまま採決に持ち込めば、反対多数となることが予想され、無秩序な離脱の可能性が強まることになる。

 メイ首相の欧州連合(EU)離脱計画が議会の承認を得られず無秩序な離脱に至る場合、英経済は少なくとも第2次世界大戦以降で最悪の不況に陥る恐れがあると、イングランド銀行が28日公表した報告書で厳しい警告を発していた。

 とはいえ、解決策も見いだせない。そもそも論として離脱するならきっぱりと離脱すべきだが、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間での国境管理という問題が存在する。

 離脱案では、問題が解決するまでの安全策として「英国をEUとの関税同盟に残す」という安全策などを盛り込んだそうだが、これにはきっぱり離脱すべき派が、うんとは言わない。さらに議会は果たして国民が選択した離脱を選択しようとしているのかにも疑問が残る。

 アイルランドの国境問題が引っかかっていることで、メイ首相も将来、安全策から確実に抜け出せる妙案も示せないでいる。しかし、これはあくまでひとつの理由である。これまでのような欧州連合(EU)に残ることで得ていた利点を失いたくはないというのも大きな要因とみられる。

 EUのトゥスク大統領は10日、採決延期を受け、ツイッターに「英国との離脱案の再交渉には応じない」と投稿した。一方で「英議会の承認を容易にする方法を議論する用意はある」と述べ、メイ首相との対話には応じる考えを示した(日経新聞電子版)。

 メイ首相が苦境に立たされていることは十分承知ながら、安易な妥協も当然できない。このままでは英国を主体とした金融経済危機が生じる懸念もある。EU内ではフランスの状勢もやや怪しくなってきている。米中の貿易摩擦への懸念も再度強まるなか、あらたなリスクが欧州から生じる可能性もありうるため、今後の状勢も慎重に見ていく必要がありそうである。


by nihonkokusai | 2018-12-12 09:37 | 国際情勢

米中貿易戦争は一時的な休戦条約を締結、しかし市場のマインドは大きくは変わらずか

 1日にブエノスアイレスで開かれた米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談では、米国が来年1月に予定していた対中制裁関税の強化を猶予することを決定した。

 米中貿易摩擦の発端はトランプ政権の発端にあるものの、いずれこれほど極端なかたちではなくても、米中の貿易摩擦が起こるのは必然ともいえた。それだけ中国の存在力が高まっていたともいえる。

 トランプ大統領はこの決定に対して、「米中首脳による素晴らしいディール(取引)になった。」と自画自賛したようだが、今回の決定はあくまで一時的な猶予期間を設けたに過ぎない。それでも会談にこぎ着けたこと自体は多少なり評価しなければならないかもしれない。

 米中貿易戦争は一時的な休戦条約を締結した格好だが、貿易戦争を仕掛けたトランプ政権内で、主戦派と和平派が存在していることで、終戦に至る見込みはたっていない。

 今回のディールのお膳立てをしたのが、和平派というか国際協調派のムニューシン財務長官やクドロー国家経済会議(NEC)委員長などとされる。米中貿易摩擦を睨んだ株価の動きなども当然意識したものとなっていよう。

 これに対して首脳会談にも臨席したライトハイザー通商代表部(USTR)代表やナバロ大統領補佐官らは主戦派、つまり対中強硬派は中国に対する批判を弱めていない。

 米国は、中国が米国の先端技術を不当に奪って次世代産業を育成し米国の覇権を脅かそうとしている、との危機感を抱いているとされている(3日付毎日新聞)。

 90日の停戦の間に知的財産権の保護など5分野で協議を続けるそうだが、90日で協議がまとまるとも思えない。90日以内に合意できなければ、米国は制裁関税強化に踏み切るとされている。

 トランプ大統領のディールはあくまで一時的な時間稼ぎに過ぎない。それでも市場はこれをいったん好感した。しかし、問題を先送りされたに過ぎないことで、これをきっかけに相場のマインドが大きく変わることは期待しにくいのではなかろうか。


by nihonkokusai | 2018-12-04 09:42 | 国際情勢

欧州を巡るリスクが幾分か緩和

 英国のEU離脱を巡る協議の進捗状況やイタリアの2019年予算を巡るEUとの対立の行方に変化の兆しが見え始めた。

 欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長は11月25日、臨時招集した欧州理事会において、英国のEU離脱(ブレグジット)問題に関する離脱協定草案について承認したと発表した。

 この離脱協定の鍵となっていたのが、英国とアイルランドとの国境の厳格な管理を避ける「バックストップ」(安全策)とされている。結局、英国のメイ政権が14日に了承した離脱協定案は、英・EUの将来の関係が固まるまで、北アイルランドだけでなく英国全体が関税同盟に残留する方針が盛り込まれた。2020年末までの移行期間中にアイルランド国境問題で合意できなくても、関税ゼロなど英・EU間の現状の通商関係を保つ内容となる(15日付け日経新聞)。

 今後は同協定を英国議会が承認するかどうかが焦点となる。英国議会が承認すれば、来年の欧州議会で承認される見通しとなっているようである。ただし、いまのところ、英国下院での賛成派は少数のようで、支持が得られるかどうかはいまのところかなり不透明となっている。

 ブルームバーグによると、欧州連合(EU)が臨時首脳会議で正式決定した英国との離脱協定案と政治宣言案を巡り、英議会の承認を得るための採決が12月11日に実施されることが決まったそうである。

 そして、イタリアのサルビーニ副首相(連立与党、同盟の党首)は2019年財政赤字目標の見直しに寛容な姿勢を示唆した。イタリアが修正に応じれば、欧州連合(EU)による制裁発動を回避するための協議が進展する可能性がある。

 欧州委は21日、イタリアの予算案がユーロ圏の財政規律を順守していないとして、是正措置を求める過剰財政赤字是正手続き(EDP)に入ることを勧告した。ユンケル欧州委員長は24日にイタリアのコンテ首相と予算案について協議し、ユンケル委員長はこの協議で、EDP入りを回避したいならば、財政赤字目標を少なくとも0.3~0.4ポイント引き下げるように政府を説得することをコンテ氏に求めたとされている(26日付け朝日新聞)。

 英国のブレグジット問題については最終障壁となる英国議会で承認されるかどうかという問題はあるものの、可能性も多少なり開けてきた。

 そして、イタリアの予算案の問題についても、イタリア政府がさすがに妥協し始めてきたといえる。とはいえ政権内での意見を集約できるのか、不透明感は残る。しかし、それでも欧州を巡るリスクがこれで幾分か後退したようにも思える。


by nihonkokusai | 2018-11-28 09:51 | 国際情勢
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