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カテゴリ:景気物価動向( 278 )

GDPは8四半期連続のプラスに、日本の景気拡大は続く

 14日に発表された2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は実質で前期比0.1%増、年率換算で0.5%増となった。事前予想は下回り、前回7~9月期の2.2%増に比べると小幅な伸びに止まったものの、プラスは8四半期連続となり、1980年以降では約28年ぶりの長さとなった。

 自動車の売れ行きや外食が好調だったことなどから個人消費は0.5%増と2四半期ぶりのプラスに。また設備投資も0.7%増と5四半期連続でプラスとなった。それに対して住宅投資は2.7%減。公共投資は0.5%減となっていた。

 物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.0%の上昇。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%の上昇となった。

 GDPは過去の数字でもあり市場への影響は限定的となっていた。しかし、日本の景気拡大が継続していることを確認できた格好となっている。ただし、物価は引き続き抑えられている。

 ここにきての東京株式市場は米国株式市場の調整を受けて、下落トレンドとなっているが、今回のGDPをみてもわかるように、景気の落ち込みや新たなリスクの顕在化などが調整要因となっているわけではない。むしろ、世界的な景気拡大により、物価への上昇圧力も強まり、米長期金利の上昇などが調整のきっかけとなっている。しかし、いまのところはファンダメンタルに基づいた金利上昇ともいえることで、これが景気に水を差すことは考えづらい。もちろん米国債の発行増などによる需給悪化懸念はあるものの、それでもいまのところ米長期金利は3%にも届いていない(14日に2.92%まで上昇)。

 米国株はひとまず下げ止まりともなりつつあり、ここからはあらためて世界的な景気拡大を材料に戻りを試すことも予想される。為替の動きなど気になるところではあるものの、ゴルディロックス(適温)経済は継続していることがあらためて意識されて、次第に底堅い動きとなってくるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-02-15 09:59 | 景気物価動向 | Comments(0)

12月のコアCPIはプラス0.9%と足踏み状態

 1月26日に発表された12月の全国消費者物価指数は総合が前年比プラス1.0%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合が前年比プラス0.9%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合が前年比プラス0.3%となった。

 消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、以下コア指数)は11月も前年比プラス0.9%となっており、とりあえず1.0%手前での足踏み状態。引き続きガソリンや灯油などエネルギー価格上昇の影響が押し上げ要因となっている。

 同時に発表された2017年の全国のコア指数は前年比0.5%上昇となり、2年ぶりにプラスとなった。総合も0.5%上昇となり、やはり2年ぶりのプラスとなった。

 原油価格はここにきても上昇基調となっており、WTI先物は一時66ドル台をつけ、2014年12月以来の高値となっている。このトレンドは当面維持されると見込まれる。

 石炭や原油、液化天然ガスの輸入価格が上昇した影響により、電力大手10社と都市ガス大手4社は3月に全社が値上げする。電力・ガス大手の全社が値上げするのは2017年6月以来9か月ぶりとなる。

 このように原油価格の上昇から今後もコアCPIに上昇圧力は加わりそうだが、外為市場ではここにきてやや円高基調となっており、こちらは物価には上昇抑制要因となる。この為替動向次第の面はあるものの、物価の上昇基調は継続するとみている。

 ただし、欧米の物価動向をみてみると、29日に発表されたFRBの物価目標ともいえる12月のPCEデフレーターが前年同月比で1.7%上昇と伸び率が縮小していた。また、30日に発表されたドイツの1月のCPI速報値が前年比1.4%増となり、予想に届かずとなるなど、なかなか物価が上昇しづらい状況にあることも確かのようである。

 さすがに日銀の物価目標水準に一時的にせよ到達するのは並大抵のことではない。景気の拡大が続き、原油価格が上昇してきても物価の上昇は鈍い状況が続いているが、これは日銀の緩和が足りないためではない。

 ちなみに全国消費者物価指数の結果の公表は2018年1月分から1週間早期化されるそうである。全国1月分公表日は2月23日(金曜日)となっている。


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by nihonkokusai | 2018-02-01 09:27 | 景気物価動向 | Comments(0)

今後の物価上昇シナリオもありうるか

 12月26日に発表された11月の全国消費者物価指数は総合指数が前年比プラス0.6%と10月のプラス0.2%からプラス幅を拡大させた。日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合は前年比プラス0.9%と10月の0.8%から小幅拡大させた。生鮮食品及びエネルギーを除く総合も前年比プラス0.3%と10月のプラス0.2%から拡大させた。

 ガソリン価格の前年比値上げ幅が拡大したほか、食品や外国パック旅行費などが指数を押し上げた格好となった。電気代やガス代、携帯電話料金は押し下げ要因となっていた。

 物価はじりじりと前年比プラス幅を拡大させているものの、日銀の物価目標の2%にはまだ距離があり、これによって日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策が調整されることはないというのが一般的な見方になろうか。

 26日には10月30、31日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨の発表もあったが、このなかで以下の記述があった。

 「一人の委員は、資本および労働市場の双方において過大な供給余力が残存していると見込まれるほか、2019年の消費税率の引き上げを踏まえ、現時点で追加緩和策を講じ、「物価安定の目標」の早期達成への確度を高めるべきであると主張した。」

 上記の発言は片岡審議委員によるものと思われるが、ここで注意したいのは追加緩和についてではなく、「2019年の消費税率の引き上げ」の部分である。

 前回の消費税の引き上げは2014年4月であったが、消費者物価指数(除く生鮮)は2013年4月の日銀の量的・質的緩和政策の導入時の前年比マイナス0.3%から、消費増税の引き上げが実施された2014年4月にはプラス1.5%にまで上昇した。

 しかし、2014年4月以降の消費者物価指数(除く生鮮)の前年比はプラス幅を縮小させ、2015年2月にはゼロ%となっていた。

 これは一見、日銀の異次元緩和が効果を発揮して物価を前年比1.5%まで押し上げたが、消費増税によって個人消費が低迷し、人々の予想物価も低下し、その結果物価はゼロ%を下回ってしまった、かに見えなくもない。そうであれば、片岡委員の発言に意味はありそうにみえるが、本当にそうであろうか。

 そもそも2013年4月の日銀による異次元緩和導入時から消費増税時までの物価の上昇は、急激な円安、それによる株高と株高による地合の改善、そもそもの円高株安の大規模な調整の背景にあった世界的規模のリスクの後退、それによる欧米の景気の回復、さらには消費増税前の駆け込み需要と便乗値上げ等によって説明ができるのではなかろうか。

 消費増税後の物価の低迷は原油価格の下落も大きな要因となった。消費増税が実施された2014年4月に100ドル程度で推移していた原油先物(WTI)は2015年入り50ドルを割り込んでいた。消費者物価指数は原油価格に大きな影響を受けているのは言うまでもない。

 前置きが長くなってしまったが、結果として何が言いたいのかといえば、2019年10月の消費税の引き上げに向けて今後、物価が上昇していく可能性があるという点である。片岡委員は消費増税後の事を心配しているのかもしれないが、その前に消費者物価指数は日銀の物価目標に再び接近する可能性もある。

 これには原油価格が上昇気味に推移し、日米の金利差なども意識しての円安ドル高なども想定し、そこに今回も駆け込み需要や便乗値上げが絡むといった想定も必要となる。むろん、これも日銀の異次元緩和の影響によるものではなく、外部要因によるものではあるが、そんなシナリオも描けるのではなかろうか。これで日銀が出口に向かうのかはさておくが。


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by nihonkokusai | 2017-12-27 10:39 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀短観は改善続く

 12月15日に発表された12月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断指数(DI)がプラス25となり、前回9月調査のプラス22から3ポイント改善した。2006年12月のプラス25以来11年ぶりの高水準となった。5四半期(1年3か月)連続の改善となる。

 先行きについてはプラス19と伸び悩む予想となっているが、9月調査での3か月先の見通しも足元のプラス22からブラス19に落ち込む見通しとなっていた。企業の先行き見通しは外部要因などに不透明材料もあり、慎重となっているが、景気の拡大基調は維持される可能性は十分ありうる。

 2017年度の事業計画の前提となる想定為替レート(ドル円)は大企業・製造業で110円18銭と、実勢レートより円高ドル安となっている。ちなみに9月時点での想定為替レートは109円29銭となっていた。

 製造業の中堅企業は足元DIがプラス19、先行きプラス14。中小企業が足元プラス15、先行きプラス11となっていた。

 非製造業については大企業が足元DIがプラス23、先行きプラス20。中堅企業は足元DIがプラス20、先行きプラス14。中小企業が足元プラス9、先行きプラス5。

 人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いた雇用人員判断DIは大企業・全産業がマイナス19となり、前回のマイナス18から低下した。これは1992年3月のマイナス24以来のマイナス幅となり、先行きもマイナス20となっている。人手不足が継続していることを示している。

 2017年度の設備投資計画(ソフトウェア・研究開発を含む設備投資額、除く土地投資額)は大企業・全産業が前年度比7.4%増となっていた。

 大企業・製造業の販売価格判断DIはプラス1と、前回のゼロから1ポイント上昇となった。プラスとなるのは2008年9月のプラス11以来9年ぶりだそうである(日経QUICKニュースより)。

 日銀短観は総じてしっかり。海外経済の回復を背景に、輸出が引き続き堅調に推移し、設備投資も好調となっている。先行きについては、北朝鮮問題、英国のEU離脱問題、米政権の先行き不透明感等々の懸念材料はあるものの、いまのところ景気に悪影響を及ぼすようなものとはなっていない。雇用の改善も継続しており、欧米の景気動向も物価上昇は伴わないものの、回復基調が継続している。

 この日銀短観を見る限り、日本の経済実態は非常に好調としか見えないのであるが、日銀の金融政策をみると、何故か非常時の異次元緩和が続いている。こちらの方が異常に見えてしまうのだが。


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by nihonkokusai | 2017-12-16 12:06 | 景気物価動向 | Comments(0)

FRBの物価目標のPCEデフレータ、5月はプラス1.4%

6月30日に発表された5月の米個人消費支出(PCE)コアデフレータは、前年比プラス1.4%と5月のブラス1.5%から縮小した。これによる米債への影響は限られた。FRBのイエレン議長がここにきての物価の低迷は一時的との発言も影響していたためとみられる。

FRBの物価目標(正確には目安か)は、市場が注目しているPCEの食料とエネルギーを除いたコアデフレータではなく、総合指数の方である。ただし、こちらも5月分は前年比プラス1.4%となっていた。今年に入ってからの総合とコアのPCEデータは下記の通り(1月から5月分)。

PCE               1.9 2.1 1.8 1.7 1.4

PCE, excluding food and energy 1.8 1.8 1.6 1.5 1.4

米商務省が発表している個人所得(Personal income)、個人消費支出(Personal consumption expenditures)、PCEデフレータ(Personal Consumption Expenditure Deflator)についてもう少し説明を加えてみたい。

これは米国の個人の所得と消費について調査した指標であるが、このうち個人所得とは、社会保険料を控除し実際に個人が受け取った所得のこととなる。この個人所得は消費動向を決定付ける大きな要因ともみられている。賃金給与・賃貸・利子配当等といった所得の構成項目や、可処分所得・貯蓄率なども同時に発表される。

個人消費支出(PCE)とは1か月間に実際に米国の個人が消費支出した金額について集計したものであり、米国のGDPの7割を占める個人消費の動向は米経済にも大きな影響を与えることで注目されている。特に名目個人消費支出の前月比などが注目される。

名目個人消費支出(名目PCE)を実質個人消費支出(実質PCE)で割ったものが、個人消費支出(PCE)物価指数もしくはPCEデフレータと呼ばれるものであり、これも同時に発表される。PCEデフレータ変化率がプラスであれば物価上昇、マイナスであれば物価下落と捉える。

特に価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたものを「コアPCEデフレータ」と呼び、FRBが物価指標の中で最も重要視している指標のひとつとなっている。その理由としては消費者物価指数に比べて、バイアスが生じにくいためといわれている。 FRBはコアPCEでみた物価見通しも公表している。

実は日銀の物価目標も当初は消費者物価指数の総合の前年比での2%であったが、展望レポートでの予測は消費者物価指数(除く生鮮)、つまり日本版コア指数で行っていた。2016年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を決定、物価目標を総合からコアに置き換えて統一させている。

ということで今後のPCEデフレータがイエレン議長の言うように一時的なものなのかによっては今後の利上げスケジュールに影響を与える可能性もある。ただし、その数値が常に2%を超えていなければ利上げは無理というのではなく、2%近くにいれば利上げの支障とはならないとみられる。


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by nihonkokusai | 2017-07-04 09:58 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀の物価目標は2%で本当に良いのか

26日に「金融政策決定会合における主な意見(2017年6月15、16日開催分)」が公表された。このなかで「金融政策運営に関する意見」について確認してみたい。

「物価の伸びが鈍い背景には、人々の将来不安や適合的期待形成などやや構造的な要因もある。ごく短期間で「物価安定の目標」を達成することは容易でなく」(主に意見より)

2013年4月に「量的・質的緩和」の導入を決定した際には、日銀は「消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と明確に表明していた。それが2年でできなかったことを日銀自ら証明した格好だが、その言い訳として上記の文言が果たしてふさわしいものといえるであろうか。言い訳にしか聞こえないのだが。

「2%の「物価安定の目標」の達成には未だ距離があるが、「量的・質的金融緩和」は、雇用の改善、消費の継続的な増加、財政状況の改善という成果を上げている。」(主に意見より)

これについては2013年4月に黒田総裁が波及経路として次ぎのような説明がなされていた。

「物価安定目標の早期実現を約束し、次元の違う金融緩和を継続することにより、市場や経済主体の期待を抜本的に転換する効果が考えられます。先ほどお話ししたデフレ期待の払拭です。予想物価上昇率が上昇すれば、現実の物価に影響を与えるだけでなく、実質金利の低下などを通じて民間需要を刺激することも期待できます」(2013年4月12日の黒田日銀総裁の講演より)

予想物価上昇率は上昇せず、現実の物価に影響を与えられていないにも関わらず、どのような経路によって「雇用の改善、消費の継続的な増加、財政状況の改善」という結果が出ているのか。たしかに実質金利の低下による効果がなかったとはいえないものの、金融政策以外の要因、たとえば世界的なリスクの後退などによる海外初の要因が大きく影響していたとはいえまいか。

「2%「物価安定の目標」は、消費者物価指数の上方バイアス、金融政策の対応余地、グローバル・スタンダードの観点から堅持することが重要である」(主に意見より)

日米の消費者物価指数の過去推移などみてみると、基準となりそうな物価水準は明確に異なっている。2006年の量的緩和解除の条件に消費者物価指数のゼロ近傍というのがあったが、それは日本特有の消費者物価指数の水準を意識したものであったはず。グローバル・スタンダードを持ち込む必要があったのかも再確認する必要はあるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2017-06-27 10:02 | 景気物価動向 | Comments(0)

原油先物価格が再び下落傾向に、物価への影響も注意

21日の原油先物市場では、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)8月物が一時、42.05ドルと期近物として2016年8月11日以来ほぼ10か月ぶりの安値をつけた。今年1月に55ドル台をつけていたが、50ドル台で次第に上値が重くなり、米在庫増が嫌気されて3月に50ドルを割り込んだ。

その後いったん買い戻されて53ドル台まで回復。しかし、米国内での増産が続いていることなどを嫌気して4月に再び50ドル割れとなり、主要産油国が減産しても需給改善につながりにくいとの見方から5月5日に43ドル台に下落した。

そこから再び切り返したが、52ドルあたりまで。5月25日のOPECと非加盟の主要産油国がOPEC総会後の閣僚会合において協調減産を2018年3月まで9か月間延長することで合意したにも関わらず、利益確定売りに押され50ドル割れとなった。そこからダウントレンド入りし5月5日の直近安値を下回ってきた。

ここにきての原油先物の下落には、これといって材料が出ているわけではない。今回の下げのきっかけが、予想通りの減産合意によるものであったことをみても、原油先物の上値の重さが伺える。これには米国の増産が続いていることや、ナイジェリアやリビアなどで供給拡大の動きなどもあり、根強い供給過剰懸念が原油先物の下落の背景にあるとみられる。

今回は中国など新興国の景気動向などを背景とした原油先物の下げでなく、需給そのものが反映された格好の下落であるため、急落は考えづらい反面、大きな戻りも期待しづらい。次の下値のポイントは昨年8月1日につけた39ドル台、つまり40ドルを割り込むかどうか焦点となりそうである。

原油価格の動向は直接、物価に反映されることから、日銀にとってはさらに物価目標が遠のくことも予想され、FRBの今後の利上げペースにも影響してくる可能性がある。


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by nihonkokusai | 2017-06-23 09:56 | 景気物価動向 | Comments(0)

FRBが物価目標としているPCEデフレーターが4年10か月ぶりに2%の目標越え

31日に発表された2月の個人消費支出(PCE)で、PCEデフレーターは前年同月比2.1%の上昇となり、上昇率はFRBの目標である2%を4年10か月ぶりに上回った。ただし、エネルギー・食品を除くコア指数は1.8%上昇となり、前月と変わらずとなった。

ここであらためてFRBが物価目標としているはPCEデフレーターとは何かを確認してみたい。

2012年1月25日のFOMCの終了後に発表された「長期目標と政策戦略」という声明文において、FRBは物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置くこととし、それをPCEの物価指数(PCEデフレーター)の総合指数の2%とした。 

米商務省が発表している個人所得(Personal income)、個人消費支出(Personal consumption expenditures)、PCEデフレーター(Personal Consumption Expenditure Deflator)は米国の経済指標の中にあって、注目されるもののひとつである。

これは米国の個人の所得と消費について調査した指標であるが、このうち個人所得とは、社会保険料を控除し実際に個人が受け取った所得のこととなる。この個人所得は消費動向を決定付ける大きな要因ともみられている。賃金給与・賃貸・利子配当等といった所得の構成項目や、可処分所得・貯蓄率なども同時に発表される。

個人消費支出(PCE)とは1か月間に実際に米国の個人が消費支出した金額について集計したものであり、米国のGDPの7割を占める個人消費の動向は米経済にも大きな影響を与えることで注目されている。特に名目個人消費支出の前月比などが注目される。

名目個人消費支出(名目PCE)を実質個人消費支出(実質PCE)で割ったものが、個人消費支出(PCE)物価指数もしくはPCEデフレーターと呼ばれるものであり、これも同時に発表される。PCEデフレーター変化率がプラスであれば物価上昇、マイナスであれば物価下落と捉える。

特に価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたものを「コアPCEデフレーター」と呼び、FRBが物価指標の中で最も重要視している指標のひとつとなっている。その理由としては消費者物価指数に比べて、バイアスが生じにくいためとされている。

しかし、FRBが目標とするのはコア指数ではなく総合指数である。これは足下物価動向を見るにはコア指数が良いが、長期的に見ると総合指数が適切と判断したものとされている。ただし、過去の事例をみるとFRBはコアPCEデフレーターが2%を越えてくると段階的に利上げを行っていた。

参考までに日銀も2013年1月に2%の物価目標の導入を決定したが、この場合の物価目標は全国消費者物価指数の総合指数の前年同月比であった。ところが2016年9月の金融政策決定会合で長短金利操作付き量的・質的緩和を決定した際、この目標とする物価を総合から生鮮食料品を除くコア指数に置き換えている。


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by nihonkokusai | 2017-04-04 09:47 | 景気物価動向 | Comments(0)

日本の消費者物価指数(除く生鮮)がプラスに転じ、金利は上がるのか

 3月3日に総務省が発表した1月の全国消費者物価指数は、日銀の物価目標である生鮮食品を除く総合で、前年同月比0.1%の上昇となった。プラスとなったのは2015年12月以来、13か月ぶりとなる。総合は前年同月比プラス0.4%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)は同プラス0.2%となった。

 ガソリンの前年同月比がプラスに転じたほか、灯油、電気代などの下落幅が縮小するなど、エネルギー価格の回復が押し上げた格好となった。今後はコアCPIで前年比プラス0.5%あたりまでの上昇が予想されている。

 EU統計局が2日に発表した2月のユーロ圏消費者物価指数速報値は前年同月比2.0%の上昇となり、4年ぶりの高水準を記録した。2%をやや下回る水準というECBの中期目標も上回ったことになる(ロイター)。こちらもエネルギー価格の上昇が寄与している。

 米国の1月の消費者物価指数もガソリン価格の上昇などを受けて、総合CPIは前年比では2.5%上昇、コアCPIは前年比2.3%の上昇となっていた。FRBの物価目標となっているPCEデフレーターの前年同月比の伸び率は1.9%と前月から0.3ポイント高まった。

 FRBはこの物価上昇も背景に今月14、15日のFOMCでの利上げを検討するとみられている。また、ECBにとっては今月のオランダの総選挙や4、5月のフランス大統領選挙という不透明要因を抱えているものの、物価面から見る限り、「超」がつく金融緩和政策の縮小も検討する必要も出てこよう。

 そして日銀であるが、目標とするコアCPIがプラスに転じたとはいえ、まだ前年比プラス0.1%に過ぎない。今後もプラス0.5%あたりまでの上昇予想はあっても、2%の目標達成にはほど遠い状況にある。このため現在の長短金利操作付き量的・質的緩和を継続していくことが予想される。

 しかし、米国が正常化に向けて政策を進め、欧州も政治が落ち着けばいずれ超緩和策からの出口を探る必要が出てくる。イングランド銀行も近いうちに利上げに踏み切るべきという意見が、MPCメンバーから出ている。欧米ではこれにより長期金利についても再び上昇圧力が加わる可能性もある。

 日本でも物価がプラスに転じたこともあり、これによりより長いところの金利にもじわりじわりと上昇圧力が加わることも予想される。果たして短い金利のマイナスをいつまで続けられるのか、長期金利の目標をゼロ%のまま維持することができるのか。今後はこのコントロールがより困難になってくることも予想されるのである。


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by nihonkokusai | 2017-03-04 07:22 | 景気物価動向 | Comments(0)

改善を示す日銀短観と株価の関係

 日銀が14日発表した12月の短観では、ベンチマークとなっている大企業製造業DIはプラス10となった。前回調査のプラス6から4ポイントの改善となった。改善は6四半期ぶりとなる。

 しかし、3か月先の業況判断DIは大企業製造業がプラス8と慎重な見方となった。事業計画の前提となる想定為替レートが大企業製造業で2016年度が104円90銭と前回の107円92銭よりも円高ドル安方向に修正されたことが影響した。

 大企業製造業DIは日経平均のトレンド変化と歩調を合わせることが多い。今回の6四半期ぶりの改善は日経平均のトレンド変化を裏付けるものとなるのではないかと考えられる。

 今回の短観の回答期間は11月14日~12月13日で、回答基準日は11月28日だった。つまり11月8日の米大統領選挙でのトランプ氏の勝利とその後のトランプ相場も確認したものではあった。しかし、為替についてはかなり慎重な見方をしている。すでに足元でドル円は117円台をつけるなどしており、3か月先については想定よりも改善してくる可能性がある。

 業況判断DIについては大企業ばかりでなく、中堅、中小企業も改善を示しており、非製造業を含む全体でも2ポイントの改善となった。

 ただし、2016年度の設備投資計画は大企業全産業(除くソフトウェア投資額)が前年度比5.5%増と9月調査の6.3%増から下方修正された。

 このあたりはやや気掛かりながらも、今後は円安なども背景に今後は想定以上の改善が見込まれる可能性がある。業種別では自動車や電気機械などが改善し、これらは為替の影響を受けやすい。原油価格の底打ちもあり、石油・石炭製品や非鉄金属が大幅に改善している点も注意したい。

 もちろんトランプ相場の継続性に疑問は残る面もあるが、企業のマインドも少なからず変化している兆しはある。今回の株高の背景は米国発のように見えるが、国内の実態経済も改善をみせており、それを背景にトランプ旋風によってさらに株価が押し上げられている、そのような解釈も可能なのではなかろうか。

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by nihonkokusai | 2016-12-15 09:47 | 景気物価動向 | Comments(0)
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