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カテゴリ:景気物価動向( 283 )

原油価格が約3年ぶりの水準に上昇した要因とは。次のターゲットは80ドルか

 原油価格がここにきて再び上昇してきた。指標となっているWTI先物5月限は、4月11日に一時67.45ドルと約3年ぶりの高値をつけてきた。

 11日に原油先物が大きく買われた要因としては、米国のトランプ大統領がシリアに対しミサイルが飛んでいくぞとツイッターに書き込み、シリアに対するミサイル攻撃を強く示唆したことで中東での地政学的リスクが意識された。

 また、サウジアラビアがイエメンで活動する武装組織フーシ派が首都リヤドなどに向け発射した弾道ミサイル3発を迎撃したと発表したことも、原油価格の上昇要因となっていた。

 しかし、そのような目先的な要因ばかりでなく、原油価格は上昇しやすい状況にあったことで、そのきっかけとなったにすぎないとの見方もできる。実際に12日にはトランプ大統領のツイッターを受けて、米国によるシリアへの差し迫った軍事攻撃はないとの見方から、米国市場ではリスク回避の巻き戻しが起きていたが、原油先物は前日比で上昇していた。

 原油価格が上昇しやすい背景としては、世界的な景気拡大による原油への需要の拡大がある。それとともに、原油価格の下落を防ぐためにサウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)諸国とロシアなどが協調して減産してきたことも要因となる。

 10日にも原油先物は大きく上昇していたが、この背景にサウジアラビアが80ドル近くへの原油価格上昇を望んでいると伝わったことも要因としてあった。

 WTIは2014年7月から2015年1月あたりにかけて急落し、その急落相場から立ち直りかけているところである。チャート上からはWTIは66ドルあたりを上抜けると100ドルあたりまで節目らしい節目はない。

 その66ドル近辺でいったん上値が重くなっていたが、ここを抜けてくれば、ひとまずサウジアラビアの目標値でもある80ドルあたりが次の節目となる。もし80ドル近辺までの上昇があるとすれば、それは当然ながら物価にも影響を与えることになる。


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by nihonkokusai | 2018-04-13 09:35 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀短観が景気や株価の目先のピークアウトを示す

 2日に発表された日銀短観ではヘッドラインとして注目される大企業製造業DIがプラス24となり、前回の2017年12月調査のプラス26から悪化した。悪化したのは8四半期ぶりとなる。先行きについてもプラス20とさらなる悪化を見込んでいる。

 大企業非製造業DIもプラス23と前回のプラス25から悪化し、先行きもプラス20とさらなる悪化を見込んでいる。

 素材業種を中心に原料高が押し下げ要因となったと指摘されている。

 過去の動きをみると、日銀短観の大企業製造業DIのトレンド変化と日経平均のトレンド変化が重なることが多い。

 今回の日銀短観の短観での悪化によって、大企業製造業DIがいったんピークアウトした格好となった。日経平均の動きをみると今年の1月23日を目先のピークとして、2月に入っての米国株式市場の大幅調整もあり、すでに目先のピークアウトを迎えている。

 これは米国株式市場の影響が大きく、外的要因によるものとみられていたが、今回の短観を見る限り、国内経済についてもこの期間中にいったんピークアウトしていたとの見方ができるかもしれない。そうなると日経平均が、なかなか戻り切れないのも企業の景況感の変化も影響している可能性がある。

 また、事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)が2018年度のドル円で109円66銭と、足元の106円近辺あたりからは円安に想定されていることも、不透明要因となっているのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2018-04-03 09:17 | 景気物価動向 | Comments(0)

消費者物価指数の前年比が上昇、その背景にあるものとは

 3月23日に発表された2月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比プラス1.5%となった。そして、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合(コア)では前年同月比プラス1.0%となり、14か月連続でのプラスとなるとともに、消費増税の影響を除いたベースで、2014年8月のプラス1.1%以来3年6か月ぶりの上昇率となった。

 生鮮食品を含む総合のプラス1.5%というのは消費増税の影響を除いたベースで2014年6月のプラス1.6%以来3年8か月ぶりの水準となった。こちらは生鮮食料品の一部、キャベツやミカン、マグロなどの高騰が背景となっていた。

 コア指数については電気代やガソリンなどエネルギー品目が引き続き押し上げた格好となった。

 ちなみに生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)は前年比プラス0.5%と、こちらもじわりじわりと前年比を拡大させている。

 この消費者物価指数の動きをみると、ここにきてやっと日銀の大胆な緩和策が奏功して物価が上がってきたようにみえなくもない。しかし、それには5年近くのラグが必要だということになるというのであろうか。

 現在の日銀は調節目標を量から金利に変えて、長短金利操作付き量的・質的緩和策を行っている。イールドカーブをコントロールというか、国債の利回りを抑えつける政策を行っているが、果たしてこれがどのような経路で物価上昇に働きかけているのであろうか。

 ここにきての日本の消費者物価指数の前年比が拡大してきた背景としては、生鮮食品を含む総合については生鮮食料品の高騰が大きく影響していた。そして、その生鮮食料品を除いたコア指数は、原油価格の回復が押し上げ要因となっている。

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)も前年比プラス0.5%となっているが、こちらも原油価格の上昇による石油製品に絡んだ値上げ等の影響もあるとみられ、世界的な景気拡大による息の長い景気の回復も少なからず影響はしていよう。その意味では日銀の金融緩和効果がまったくなかったわけではないかもしれないが、今回の消費者物価指数の上昇要因をみても、それが直接大きな影響を与えてはいるとは考えづらい。

 日銀は副総裁が入れ替わった事で新体制がスタートした。今後も現在の大胆な緩和策を物価目標達成まで継続するとしているが、これまでの異次元と呼ばれた緩和策とそれによる物価への影響についてもう一度、検証してみることも必要ではなかろうか。無理に出口に向かう必要はないかもしれないが、頑なに物価目標を達成しなければならないとの姿勢を微調整し、もう少し柔軟な政策にモデルチェンジすることも必要なのではなかろうかと思う。


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by nihonkokusai | 2018-04-02 09:37 | 景気物価動向 | Comments(0)

物価は原油価格に左右されやすいと言う事例

 米労働省が13日に発表した今年2月の米国の消費者物価指数(CPI)は、季節調整済みで前月比0.2%の上昇となった。上昇率は前月の0.5%から鈍化したが、市場予測と一致した。前年同月比では2.2%の上昇となった。ガソリンや燃料価格の下落でエネルギー価格は前月比0.1%上昇にとどまった。食品価格は横ばい。全体から食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比で0.2%、前年同月比では1.8%上昇した(日経新聞電子版の記事より引用)。

 市場ではFRBによる年3回以上の利上げ観測も燻っており、その観測が今回のCPIの伸び率鈍化を受けてやや後退した。

 日銀の物価目標は消費者物価指数(除く生鮮)であるが、FRBの物価目標はPCEデフレーターであり、消費者物価指数ではない。それでも物価の指標としてCPIはFRBも当然ながら参考にしている。

 日本の消費者物価指数のコア指数は生鮮食料品を除いたものであるが、米国のコア指数は全体から食品とエネルギーを除いたものである。つまり日本のコア指数にはエネルギーが含まれている。それも除いたものはコアコア指数と呼ばれている。それだけ物価にはエネルギー価格の影響が大きいといえる。

 そこで手元にある米国の消費者物価指数(食品とエネルギーを含む全体)と原油先物のグラフを作ってみた。

 エネルギを含む消費者物価指数は原油価格の影響を受けやすいことは、2008年から2009年にかけてWTIが急騰後、急落した際の動きに米国の消費者物価指数が連動していたことからも明らかで、これは日本の消費者物価指数(除く生鮮)もほとんど同じような動きとなっていた。

 さらに2014年10月あたりからはWTIの下落によって、米消費者物価指数も前年比が落ち込み、2015年1月には一時前年比でマイナスとなっていた。当然ながら日本の消費者物価指数もこの原油価格の落ち込みに影響を受けて、2015年2月のコアCPIはゼロ%となっていた。

 日銀は2014年10月31日に量的・質的緩和の拡大を決定した。これは日本のコアCPIが2014年4月に前年比プラス1.5%をつけたあと、上昇幅が縮小してきたことで、サプライズ的に追加緩和策を実施したといえる。

 実はこの決定の少し前の10月4日の講演で、黒田総裁はコアCPIについて、しばらく1%台で推移した後、2%に向けて上昇するとの見通しを示し、1%を割り込むのではないかとの市場の見方を一蹴していた。しかし、それが難しくなる可能性が出てきたことで、追加緩和を決定した可能性がある。

 とはいっても原油価格の下落を日銀の金融政策で止めることはできない。このため、サプライズ緩和による円安効果を狙った可能性があったが、すでに円安に向かうエネルギーもそれほど蓄積されておらず、円安も一時的なものとなった。そうなると日銀の金融政策が物価に波及する経路がなくなることで、日本のコアCPIは再びマイナスに落ち込むことになった。いったい日銀の異次元緩和とは何であったのであろうか。


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by nihonkokusai | 2018-03-15 09:44 | 景気物価動向 | Comments(0)

1月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比0.9%増と伸び悩み

 2月23日に1月の全国消費者物価指数が発表された。全国結果の公表はこの1月分から1週間早期化している。東京都区部の2月分の速報値についてはこれまで通りとなり、こちらの公表は3月2日となる。

 1月の全国消費者物価指数の総合は前年比プラス1.4%、生鮮食品を除く総合でプラス0.9%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合でプラス0.4%となった。

 総合が昨年12月の前年比プラス1.0%からプラス幅を大きく増加させた背景には、野菜などを中心とした生鮮食料品の値上がりが大きく影響している。日銀の物価指数は元々はこの総合においていたことで、もしそのまま総合を使っていれば物価目標達成に近づいたことになる。

 しかし、現在はコア指数と呼ばれる生鮮食品を除く総合に変更されている。コア指数の前年比のプラス幅は拡大してきていたが、昨年11月以降はプラス0.9%となっており、ブレーキが掛かった格好となっている。

 1月分でみるとガソリン,灯油などの上昇幅が縮小し、エネルギーにより総合の上昇幅が0.06ポイント縮小したが、それを生鮮食品を除く食料などがカバーした格好となった。

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合がじりじりと前年比の上昇幅を拡大させていることからも、物価は緩やかながらも上昇基調となっていることは確かである。コア指数については原油価格の動向もかなり影響するが、WTIの動きからも少なくとも下押し要因にはなりづらいか。

 日銀が物価目標をコア指数に置いていることで、コア指数の動向を見る必要があるが、なかなか1%を超えられない。生鮮食料品の値上がりが一服すれば、総合でみても前年比が2%に届くこともいまのところは想定しにくい。

 日銀が大量の国債を買い、イールドカーブをコントロールすれば、どのようにして消費者物価指数が上昇するのか、その仕組みは謎だが、いずれにしても物価目標にはまだ距離があり、日銀としては表面上は出口は封印せざるを得ない。ここにきては総裁と副総裁人事も絡んでいることで、当面は現在の政策を維持し、市場に妙な思惑を抱かせないようにするものと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-02-25 10:32 | 景気物価動向 | Comments(0)

GDPは8四半期連続のプラスに、日本の景気拡大は続く

 14日に発表された2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は実質で前期比0.1%増、年率換算で0.5%増となった。事前予想は下回り、前回7~9月期の2.2%増に比べると小幅な伸びに止まったものの、プラスは8四半期連続となり、1980年以降では約28年ぶりの長さとなった。

 自動車の売れ行きや外食が好調だったことなどから個人消費は0.5%増と2四半期ぶりのプラスに。また設備投資も0.7%増と5四半期連続でプラスとなった。それに対して住宅投資は2.7%減。公共投資は0.5%減となっていた。

 物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.0%の上昇。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.5%の上昇となった。

 GDPは過去の数字でもあり市場への影響は限定的となっていた。しかし、日本の景気拡大が継続していることを確認できた格好となっている。ただし、物価は引き続き抑えられている。

 ここにきての東京株式市場は米国株式市場の調整を受けて、下落トレンドとなっているが、今回のGDPをみてもわかるように、景気の落ち込みや新たなリスクの顕在化などが調整要因となっているわけではない。むしろ、世界的な景気拡大により、物価への上昇圧力も強まり、米長期金利の上昇などが調整のきっかけとなっている。しかし、いまのところはファンダメンタルに基づいた金利上昇ともいえることで、これが景気に水を差すことは考えづらい。もちろん米国債の発行増などによる需給悪化懸念はあるものの、それでもいまのところ米長期金利は3%にも届いていない(14日に2.92%まで上昇)。

 米国株はひとまず下げ止まりともなりつつあり、ここからはあらためて世界的な景気拡大を材料に戻りを試すことも予想される。為替の動きなど気になるところではあるものの、ゴルディロックス(適温)経済は継続していることがあらためて意識されて、次第に底堅い動きとなってくるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-02-15 09:59 | 景気物価動向 | Comments(0)

12月のコアCPIはプラス0.9%と足踏み状態

 1月26日に発表された12月の全国消費者物価指数は総合が前年比プラス1.0%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合が前年比プラス0.9%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合が前年比プラス0.3%となった。

 消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、以下コア指数)は11月も前年比プラス0.9%となっており、とりあえず1.0%手前での足踏み状態。引き続きガソリンや灯油などエネルギー価格上昇の影響が押し上げ要因となっている。

 同時に発表された2017年の全国のコア指数は前年比0.5%上昇となり、2年ぶりにプラスとなった。総合も0.5%上昇となり、やはり2年ぶりのプラスとなった。

 原油価格はここにきても上昇基調となっており、WTI先物は一時66ドル台をつけ、2014年12月以来の高値となっている。このトレンドは当面維持されると見込まれる。

 石炭や原油、液化天然ガスの輸入価格が上昇した影響により、電力大手10社と都市ガス大手4社は3月に全社が値上げする。電力・ガス大手の全社が値上げするのは2017年6月以来9か月ぶりとなる。

 このように原油価格の上昇から今後もコアCPIに上昇圧力は加わりそうだが、外為市場ではここにきてやや円高基調となっており、こちらは物価には上昇抑制要因となる。この為替動向次第の面はあるものの、物価の上昇基調は継続するとみている。

 ただし、欧米の物価動向をみてみると、29日に発表されたFRBの物価目標ともいえる12月のPCEデフレーターが前年同月比で1.7%上昇と伸び率が縮小していた。また、30日に発表されたドイツの1月のCPI速報値が前年比1.4%増となり、予想に届かずとなるなど、なかなか物価が上昇しづらい状況にあることも確かのようである。

 さすがに日銀の物価目標水準に一時的にせよ到達するのは並大抵のことではない。景気の拡大が続き、原油価格が上昇してきても物価の上昇は鈍い状況が続いているが、これは日銀の緩和が足りないためではない。

 ちなみに全国消費者物価指数の結果の公表は2018年1月分から1週間早期化されるそうである。全国1月分公表日は2月23日(金曜日)となっている。


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by nihonkokusai | 2018-02-01 09:27 | 景気物価動向 | Comments(0)

今後の物価上昇シナリオもありうるか

 12月26日に発表された11月の全国消費者物価指数は総合指数が前年比プラス0.6%と10月のプラス0.2%からプラス幅を拡大させた。日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合は前年比プラス0.9%と10月の0.8%から小幅拡大させた。生鮮食品及びエネルギーを除く総合も前年比プラス0.3%と10月のプラス0.2%から拡大させた。

 ガソリン価格の前年比値上げ幅が拡大したほか、食品や外国パック旅行費などが指数を押し上げた格好となった。電気代やガス代、携帯電話料金は押し下げ要因となっていた。

 物価はじりじりと前年比プラス幅を拡大させているものの、日銀の物価目標の2%にはまだ距離があり、これによって日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策が調整されることはないというのが一般的な見方になろうか。

 26日には10月30、31日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨の発表もあったが、このなかで以下の記述があった。

 「一人の委員は、資本および労働市場の双方において過大な供給余力が残存していると見込まれるほか、2019年の消費税率の引き上げを踏まえ、現時点で追加緩和策を講じ、「物価安定の目標」の早期達成への確度を高めるべきであると主張した。」

 上記の発言は片岡審議委員によるものと思われるが、ここで注意したいのは追加緩和についてではなく、「2019年の消費税率の引き上げ」の部分である。

 前回の消費税の引き上げは2014年4月であったが、消費者物価指数(除く生鮮)は2013年4月の日銀の量的・質的緩和政策の導入時の前年比マイナス0.3%から、消費増税の引き上げが実施された2014年4月にはプラス1.5%にまで上昇した。

 しかし、2014年4月以降の消費者物価指数(除く生鮮)の前年比はプラス幅を縮小させ、2015年2月にはゼロ%となっていた。

 これは一見、日銀の異次元緩和が効果を発揮して物価を前年比1.5%まで押し上げたが、消費増税によって個人消費が低迷し、人々の予想物価も低下し、その結果物価はゼロ%を下回ってしまった、かに見えなくもない。そうであれば、片岡委員の発言に意味はありそうにみえるが、本当にそうであろうか。

 そもそも2013年4月の日銀による異次元緩和導入時から消費増税時までの物価の上昇は、急激な円安、それによる株高と株高による地合の改善、そもそもの円高株安の大規模な調整の背景にあった世界的規模のリスクの後退、それによる欧米の景気の回復、さらには消費増税前の駆け込み需要と便乗値上げ等によって説明ができるのではなかろうか。

 消費増税後の物価の低迷は原油価格の下落も大きな要因となった。消費増税が実施された2014年4月に100ドル程度で推移していた原油先物(WTI)は2015年入り50ドルを割り込んでいた。消費者物価指数は原油価格に大きな影響を受けているのは言うまでもない。

 前置きが長くなってしまったが、結果として何が言いたいのかといえば、2019年10月の消費税の引き上げに向けて今後、物価が上昇していく可能性があるという点である。片岡委員は消費増税後の事を心配しているのかもしれないが、その前に消費者物価指数は日銀の物価目標に再び接近する可能性もある。

 これには原油価格が上昇気味に推移し、日米の金利差なども意識しての円安ドル高なども想定し、そこに今回も駆け込み需要や便乗値上げが絡むといった想定も必要となる。むろん、これも日銀の異次元緩和の影響によるものではなく、外部要因によるものではあるが、そんなシナリオも描けるのではなかろうか。これで日銀が出口に向かうのかはさておくが。


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by nihonkokusai | 2017-12-27 10:39 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀短観は改善続く

 12月15日に発表された12月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断指数(DI)がプラス25となり、前回9月調査のプラス22から3ポイント改善した。2006年12月のプラス25以来11年ぶりの高水準となった。5四半期(1年3か月)連続の改善となる。

 先行きについてはプラス19と伸び悩む予想となっているが、9月調査での3か月先の見通しも足元のプラス22からブラス19に落ち込む見通しとなっていた。企業の先行き見通しは外部要因などに不透明材料もあり、慎重となっているが、景気の拡大基調は維持される可能性は十分ありうる。

 2017年度の事業計画の前提となる想定為替レート(ドル円)は大企業・製造業で110円18銭と、実勢レートより円高ドル安となっている。ちなみに9月時点での想定為替レートは109円29銭となっていた。

 製造業の中堅企業は足元DIがプラス19、先行きプラス14。中小企業が足元プラス15、先行きプラス11となっていた。

 非製造業については大企業が足元DIがプラス23、先行きプラス20。中堅企業は足元DIがプラス20、先行きプラス14。中小企業が足元プラス9、先行きプラス5。

 人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いた雇用人員判断DIは大企業・全産業がマイナス19となり、前回のマイナス18から低下した。これは1992年3月のマイナス24以来のマイナス幅となり、先行きもマイナス20となっている。人手不足が継続していることを示している。

 2017年度の設備投資計画(ソフトウェア・研究開発を含む設備投資額、除く土地投資額)は大企業・全産業が前年度比7.4%増となっていた。

 大企業・製造業の販売価格判断DIはプラス1と、前回のゼロから1ポイント上昇となった。プラスとなるのは2008年9月のプラス11以来9年ぶりだそうである(日経QUICKニュースより)。

 日銀短観は総じてしっかり。海外経済の回復を背景に、輸出が引き続き堅調に推移し、設備投資も好調となっている。先行きについては、北朝鮮問題、英国のEU離脱問題、米政権の先行き不透明感等々の懸念材料はあるものの、いまのところ景気に悪影響を及ぼすようなものとはなっていない。雇用の改善も継続しており、欧米の景気動向も物価上昇は伴わないものの、回復基調が継続している。

 この日銀短観を見る限り、日本の経済実態は非常に好調としか見えないのであるが、日銀の金融政策をみると、何故か非常時の異次元緩和が続いている。こちらの方が異常に見えてしまうのだが。


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by nihonkokusai | 2017-12-16 12:06 | 景気物価動向 | Comments(0)

FRBの物価目標のPCEデフレータ、5月はプラス1.4%

6月30日に発表された5月の米個人消費支出(PCE)コアデフレータは、前年比プラス1.4%と5月のブラス1.5%から縮小した。これによる米債への影響は限られた。FRBのイエレン議長がここにきての物価の低迷は一時的との発言も影響していたためとみられる。

FRBの物価目標(正確には目安か)は、市場が注目しているPCEの食料とエネルギーを除いたコアデフレータではなく、総合指数の方である。ただし、こちらも5月分は前年比プラス1.4%となっていた。今年に入ってからの総合とコアのPCEデータは下記の通り(1月から5月分)。

PCE               1.9 2.1 1.8 1.7 1.4

PCE, excluding food and energy 1.8 1.8 1.6 1.5 1.4

米商務省が発表している個人所得(Personal income)、個人消費支出(Personal consumption expenditures)、PCEデフレータ(Personal Consumption Expenditure Deflator)についてもう少し説明を加えてみたい。

これは米国の個人の所得と消費について調査した指標であるが、このうち個人所得とは、社会保険料を控除し実際に個人が受け取った所得のこととなる。この個人所得は消費動向を決定付ける大きな要因ともみられている。賃金給与・賃貸・利子配当等といった所得の構成項目や、可処分所得・貯蓄率なども同時に発表される。

個人消費支出(PCE)とは1か月間に実際に米国の個人が消費支出した金額について集計したものであり、米国のGDPの7割を占める個人消費の動向は米経済にも大きな影響を与えることで注目されている。特に名目個人消費支出の前月比などが注目される。

名目個人消費支出(名目PCE)を実質個人消費支出(実質PCE)で割ったものが、個人消費支出(PCE)物価指数もしくはPCEデフレータと呼ばれるものであり、これも同時に発表される。PCEデフレータ変化率がプラスであれば物価上昇、マイナスであれば物価下落と捉える。

特に価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたものを「コアPCEデフレータ」と呼び、FRBが物価指標の中で最も重要視している指標のひとつとなっている。その理由としては消費者物価指数に比べて、バイアスが生じにくいためといわれている。 FRBはコアPCEでみた物価見通しも公表している。

実は日銀の物価目標も当初は消費者物価指数の総合の前年比での2%であったが、展望レポートでの予測は消費者物価指数(除く生鮮)、つまり日本版コア指数で行っていた。2016年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を決定、物価目標を総合からコアに置き換えて統一させている。

ということで今後のPCEデフレータがイエレン議長の言うように一時的なものなのかによっては今後の利上げスケジュールに影響を与える可能性もある。ただし、その数値が常に2%を超えていなければ利上げは無理というのではなく、2%近くにいれば利上げの支障とはならないとみられる。


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by nihonkokusai | 2017-07-04 09:58 | 景気物価動向 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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