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カテゴリ:景気物価動向( 289 )

日銀短観にみる日本経済の現状と先行き

日銀が10月1日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)では、ヘッドラインとして注目される大企業製造業DIがプラス19となり、前回6月のプラス21から悪化した。3四半期連続での悪化となり、先行きについてはプラス19と現状維持を見込んでいる。

 全産業でみてみると9月のDIはプラス15となり、6月のプラス16から悪化、先行きについてもプラス13とさらなる悪化を見込んでいる。

 原油先物価格はすでに4年ぶりの水準に上昇しており、この原油高による原材料の価格高騰による影響も出ているようである。さらには西日本豪雨や、台風21号による影響、北海道での地震などの自然災害による影響なども大きいとみられる。また、人手不足による影響もあろう。

 米国と中国を中心とした貿易摩擦への懸念も大きい。日本車を巡り、トランプ政権が検討していた追加関税は、日米が新たな通商協議入りすることで、ひとまず回避されたが懸念は残る。11月の米国の中間選挙に向けてトランプ政権が更に揺さぶりをかけてくる懸念もありうるか。

 ただし、注意すべきは日銀短観での事業計画の前提となっている想定為替レートが2018年度で107円40銭となっている点である。通常でも慎重に、実勢よりは円高においている数字ではあるが、ドル円は10月2日に114円台を回復しており、7円近く想定を上回っている。円安による日本経済への影響は昔ほどは大きくはないにしても、想定以上の円安による好影響を受ける可能性はありうる。

 さらに米国株式市場の動きをみると、米中の貿易摩擦が懸念されているにもかかわらず、上昇トレンドを形成していた。米トランプ政権の保護主義政策については、いまのところ米経済には大きな影響は与えていないとの見立てなのか。日本の企業経営者のほうがやや悲観的に見ているとの見方もできるかもしれない。

 短観の大企業製造業DIと日経平均株価はトレンドの変化が似たようなタイミングで起きることが良くある。しかし、今回は短観の数字と日経平均はトレンドとしては方向が異なっている。米国株式市場の上昇とドル円の上昇などを背景に、日経平均は約27年ぶりにバブル崩壊後の高値を更新した。

 果たして日銀短観の大企業製造業DIと日経平均のトレンドの違いはいずれどのように修正されていくのか。あまり楽観視はいけないかもしれないが、短観の数字がやや慎重すぎるのではないかと個人的には見ているのだが。


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by nihonkokusai | 2018-10-09 10:45 | 景気物価動向 | Comments(0)

日本の携帯電話料金は高すぎるのか、物価に直接的な影響も

 菅官房長官は21日の札幌市での講演で、大手携帯電話会社は巨額の利益を上げているとしたうえで「競争が働いていないと言わざるを得ない」とし、「携帯電話料金は、今より4割程度下げる余地がある」と言及した(ロイター)。

 携帯料金の引き下げ自体は、個人的には歓迎であるが、この発言についてはいくつか疑問がある。

 ひとつはアベノミクスと呼ばれた物価2%達成を目指した政策と相反するという点である。アベノミクスの前提にあるのは、物価目標は日銀の金融政策で可能であるという意見を鵜呑みにした政策であったが、結局は物価目標は達成できていない。これはつまり金融政策で物価を自由にコントロールすることは困難であるということをむしろ示したものとなる。

 消費増税によって物価は上がらなかったというのであれば、金融政策の効果を増税が簡単に阻害してしまうということになってしまう。そうであれば、アベノミクスの金融政策は万能という前提も崩れることになるのではなかろうか。

 もし携帯料金が40%値下げ、一律に引き下げが実施されたと仮定した場合、最大でコアCPIを約0.9%ポイント押し下げるとの試算もあるそうである(ロイター)。

 そうであれば金融政策ではなく、携帯料金を大きく引き上げればあっさり2%は達成できたのではないのか。金融政策は万能薬でも何でもない。物価は現場で上げ下げされる。

 アベノミクスとはいったい何であったのか。我々はあらためてそれを考えることも必要ではなかろうか。アベノミクスは効果があったという人も多いが、海外要因を除いた国内要因だけでみて、果たして日銀による大量の資金供給がダイレクトな効果を生み出したといえるのか。むろん、そういう環境のお膳立てをしたとの見方はできる。それが本来の金融政策の効果であるからだが、それ以上の効果が果たしてあったのか。

 菅官房長官の携帯料金の引き下げ発言については、どれだけ現状を理解されているのかという疑問もある。すでに格安スマホというものも出ており、大手キャリアでも割安プランもある。中古市場も以前よりは整備されている。安く済まそうとすれば、それは可能である。それはあくまで国民の選択によるものではなかろうか。

 そもそも日本で携帯料金が高い要因は、現在では10万円台となっているiPhoneなど新品のスマートホンの価格が高すぎることに理由があるのではなかろうか。

 特に日本では新型iPhoneの人気が高く、10万円もの製品を2年ごとに買い換えるとなれば、その負担は大きい。大手キャリアはその負担が軽減されたかのように、通話料金にスマホ価格を組み込むかたちで高い料金体系にせざるをえない面もあるのではなかろうか。そうであれば、携帯会社ではなく、国民に対して新品の高級スマホは買い手控えてほしい、ということになってしまうのではないかと思うのだが。


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by nihonkokusai | 2018-08-29 11:33 | 景気物価動向 | Comments(0)

物価が低迷している謎を解き明かせるのか

 日銀は7月30、31日に開催される金融政策決定会合で、物価動向を再検証する。雨宮副総裁は朝日新聞のインタビューで、「もう一度物価が上がりにくい理由、物価観の形成の仕方などを点検する。物価動向について何が起きているのかをきちんと詰める」と語っていた。今回は検証ではなく点検という位置づけである。

 このインタビューで雨宮副総裁は、物価の伸び悩みは先進国に共通するとし、「『アマゾン・エフェクト』と呼ばれるネット販売の物価引き下げ効果」などを理由に挙げた。日本では人手不足でも賃上げは非正規雇用が中心で、正規雇用では雇用安定を重視する傾向が強いとも指摘。「労働需給の引き締まりが賃金上昇に及ぶのに時間がかかる」と述べていた。

 日銀はアマゾンなどのインターネット通販の拡大に伴って、消費者物価指数(除く生鮮食品、エネルギー)の伸び率が0.1~0.2%程度押し下げられるとする試算結果を公表している。ネット通販との競合度が高いとみられる日用品や衣類には、0.3%程度の押し下げ効果があるとの結果も出している。

 日経新聞の記事によるとドラッグストアーが医薬品だけでなく食品でも安値をけん引していることで、消費者物価指数を0.1%ほど押し下げているとの試算も出ていた。

 企業業績が上向いているにも関わらず、それが賃上げには回りづらくなっていることも確かで、例えば日銀が27日に発表した資金循環統計(速報)によると、2017年度の民間企業(金融を除く)の資金余剰が27兆6672億円となり、2016年度から10兆円あまり増え、7年ぶりの高水準となった(日経新聞)。

 世界経済の拡大基調が寄与して国内企業の業績も伸びてはいるものの、余剰資金は賃上げや設備投資には向かわず、今後のリスクも意識してか内部にため込まれている。日本企業は自力で収益を上げているというよりも、欧米を主体とする景気拡大という他力によって、業績が向上していることもいえることで、無理に勝負に出ることはせずに、国内でのポール回しに徹しているようにもみえる。

 これらの状況を打破するために、果たして日銀の異次元緩和はどれだけ有効なのか。そして、グローバルスタンダードとされる物価目標の2%という数字は適切なのかも本来であれば、再検証する必要はないのか。

 日銀が2013年4月に異次元緩和を決定してからの物価の動向も検証する必要があろう。日銀の緩和策が強力に物価に働きかけるのであれば、他の要因によってそれが阻害されることは考えづらい。2014年4月の消費増税が物価低迷の要因と指摘する声も出ているが、これについても検証してほしいところではある。


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by nihonkokusai | 2018-07-08 15:07 | 景気物価動向 | Comments(0)

欧州や日本での炭酸ガス不足でビールやコーラ、ドライアイスへの供給に影響が

 地球温暖化により問題視されている炭酸ガス(CO2)であるが、欧州において供給不足が発生し、サッカー・ワールドカップ開催中という需要期にビールや炭酸飲料の供給に影響がでる可能性がでてきた。

 FTによると、食品に利用する炭酸ガスで、欧州最大の供給源の一つとなってきたのがアンモニアプラント。炭酸ガスの不足は、欧州北部各地にある少なくとも5つのガス生産会社が初夏の数カ月間、メンテナンスで工場を閉鎖しているためだとしている。

 CNNも欧州では全土で炭酸ガス不足が深刻化して、食品製造業を脅かしていると伝えた。欧州で複数の大手アンモニア工場がメンテナンスのために操業を停止したことから、炭酸ガスの不足につながったとしている。

 欧州でのビールや炭酸飲料のメーカーにとって今回の炭酸ガス不足は、夏の暑さとワールドカップ開催で需要が急増する最悪のタイミングと重なった(CNN)。英国ではビール供給が割り当て制になっているとか。

 同じようなタイミングで、日本ではドライアイスの深刻な品不足が発生し、メーカーが大規模な出荷制限に動き出した。ドライアイスについては、原油を精製してガソリンなどを生産する過程で生じる炭酸ガスから製造している。29日の日経新聞によると、今年は製油所で小規模なものも含めて30件前後のトラブルが発生し、炭酸ガスの供給が減ったとされる。

 欧州と日本で、同じようなタイミングで、炭酸ガスの供給に支障がでたということなのであろうか。しかも、日本でのドライアイス不足も夏本番を迎え、宅配や食品業界への影響が懸念されている。ドライアイスは6月末からお盆にかけて需要の6割が集中するとされている。

 ドライアイスの供給が集中するのは一時期ということもあり、供給不足が値上げには結びついていないようだが、関係者からは今後は値上げのお願いもあり得るとの声もでているとか。

 ここにきて原油先物価格が再び上昇してきており、28日にWTI先物8月限は73.45ドルと2014年11月以来の高値をつけてきた。今後はガソリン価格の上昇も予想され、こちらは物価に直接影響を与える可能性がある。

 炭酸ガスの供給不足による物価や個人消費への直接的な影響はいまのところそれほど大きくはないかもしれないが、タイミングがやや悪いこともあり、このまま炭酸ガスの供給不足が続くとなれば、影響が拡がる恐れもあり、注意も必要か。


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by nihonkokusai | 2018-07-01 18:16 | 景気物価動向 | Comments(0)

アマゾンが米国で医薬品事業に本格参入、新たな物価引き下げ要因(アマゾン・エフェクト)に

 アマゾン・ドット・コムは28日、処方薬のインターネット販売を手掛けるピルパックを買収すると発表した。これにより医薬品の販売に本格参入する。ピルパックは全米への医薬品配送を規制当局から許可されており、ネットで処方箋を受け付け、1回の服用分を小分けに包装して配送している。米小売り最大手のウォルマートもピルパック買収に関心を示していたが、アマゾンが競り勝ったようである。

 28日の米国株式市場では、これを受けて26日にダウ平均の構成銘柄に採用されたばかりのドラッグストアー大手、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの株価が大きく下落し、この一銘柄だけで、ダウ平均を44ドルあまり押し下げた。買収によりアマゾンがハワイを除く49州で処方箋薬を販売できるようになることなどが警戒されたようである。

 ちなみに28日の米国株式市場では、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどが買われ、アマゾンなどハイテク株にも押し目買いが入ったことからダウ平均は98ドル高となっていた。

 日銀の雨宮副総裁は朝日新聞の単独インタビューで、物価の伸び悩みは先進国に共通するとし、「アマゾン・エフェクト」と呼ばれるネット販売の物価引き下げ効果などを理由に挙げた。

 また日銀はアマゾンなどのインターネット通販の拡大に伴って、消費者物価指数(除く生鮮食品、エネルギー)の伸び率が0.1~0.2%程度押し下げられるとする試算結果を公表している。ネット通販との競合度が高いとみられる日用品や衣類には、0.3%程度の押し下げ効果があるとの結果も出している。

 そして日本でのドラッグストアーであるが、日経新聞の記事によると医薬品だけでなく食品でも安値をけん引していることで、消費者物価指数を0.1%ほど押し下げているとの試算が出ているそうである。

 日本でアマゾンが米医薬品事業に本格参入することはいまのところは考えづらい。しかし、可能性がまったくないわけではない。

 物価の押し下げ要因となっているドラッグストアーにとって、今度はアマゾンが脅威となり、アマゾン・エフェクトによって物価はさらに押し下げられるといった構図も生まれそうである。

 米国のトランプ政権は先月に薬価引き下げ計画を公表したものの、これまでに発言に見合った成果をほとんど挙げていない。しかし、それをトランプ大統領の宿敵とされるベゾス氏率いるアマゾンが実施しそうという皮肉な結果となりつつある。


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by nihonkokusai | 2018-07-01 18:10 | 景気物価動向 | Comments(0)

アマゾンが日本の物価を引き下げている?

 日銀は6月5日に「インターネット通販の拡大が物価に与える影響」というレビューをサイトにアップした。

 日本に限らず、欧米の物価もなかなか上昇してこない。米国は消費者物価指数などがやっと2%台に乗せてきたものの、イエレン前FRB議長は物価の低迷について、これを「謎」と称した。その理由のひとつにIT化による影響が考えられる。特にアマゾンを中心としたインターネット通販が物価の押し下げ要因になっている可能性がある。

 日銀のレビューでも次のような指摘がある。

 「アマゾンなどのインターネット通販の急速な拡大が、スーパーなど既存の小売企業が直面する競争環境を厳しいものにし、値下げ圧力にもつながっているという声が多く聞かれるようになってきている。」

 実店舗を持たず人件費も節約可能なインターネット通販での価格は、確かに実店舗の表示価格に比べて安いことが多い。以前には特に家電商品でみられ、ネットで調べた価格を店頭の商品購入の際に提示して、価格の引き下げ交渉をするといった光景も見られた。

 しかし、アマゾンなどのネット販売の拡大は、家電だけでなく広範囲の商品についても価格の引き下げを可能にしつつある。アマゾンではプライム会員などを主体に送料も無料化するなどしており、種類豊富な選択肢があり、実店舗より安い価格の商品が、家に直接届く仕組みになっている。

 それではこのアマゾンなどのインターネット通販の拡大がどのような経路で物価に影響を与えているのか。日銀のレビューは下記のように解説している。

 「わが国の消費者物価指数(CPI)においては、原則としてインターネット販売価格は価格調査の対象となっていない。このため、インターネット販売価格の変動自体がCPIに直接影響を与えるわけではない。」

 「しかし、インターネット通販の拡大を受けて競争環境が変化すれば、既存の小売企業の一部が対抗措置としての値下げを行うことで、結果的にCPIで計測される物価が下押しされる可能性はある。」

 家電では昔、ヤマダ電機の価格がひとつのベンチマークとなっていたと言われたことがあった。現在ではアマゾンの価格がひとつのベンチマークとなっているとしてもおかしくはない。結果としてそれが物価の下押し要因となっている可能性は否定できない。これは日本国内だけでなくグローバルで起きていることでもある。



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by nihonkokusai | 2018-06-21 09:46 | 景気物価動向 | Comments(0)

原油価格が約3年ぶりの水準に上昇した要因とは。次のターゲットは80ドルか

 原油価格がここにきて再び上昇してきた。指標となっているWTI先物5月限は、4月11日に一時67.45ドルと約3年ぶりの高値をつけてきた。

 11日に原油先物が大きく買われた要因としては、米国のトランプ大統領がシリアに対しミサイルが飛んでいくぞとツイッターに書き込み、シリアに対するミサイル攻撃を強く示唆したことで中東での地政学的リスクが意識された。

 また、サウジアラビアがイエメンで活動する武装組織フーシ派が首都リヤドなどに向け発射した弾道ミサイル3発を迎撃したと発表したことも、原油価格の上昇要因となっていた。

 しかし、そのような目先的な要因ばかりでなく、原油価格は上昇しやすい状況にあったことで、そのきっかけとなったにすぎないとの見方もできる。実際に12日にはトランプ大統領のツイッターを受けて、米国によるシリアへの差し迫った軍事攻撃はないとの見方から、米国市場ではリスク回避の巻き戻しが起きていたが、原油先物は前日比で上昇していた。

 原油価格が上昇しやすい背景としては、世界的な景気拡大による原油への需要の拡大がある。それとともに、原油価格の下落を防ぐためにサウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)諸国とロシアなどが協調して減産してきたことも要因となる。

 10日にも原油先物は大きく上昇していたが、この背景にサウジアラビアが80ドル近くへの原油価格上昇を望んでいると伝わったことも要因としてあった。

 WTIは2014年7月から2015年1月あたりにかけて急落し、その急落相場から立ち直りかけているところである。チャート上からはWTIは66ドルあたりを上抜けると100ドルあたりまで節目らしい節目はない。

 その66ドル近辺でいったん上値が重くなっていたが、ここを抜けてくれば、ひとまずサウジアラビアの目標値でもある80ドルあたりが次の節目となる。もし80ドル近辺までの上昇があるとすれば、それは当然ながら物価にも影響を与えることになる。


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by nihonkokusai | 2018-04-13 09:35 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀短観が景気や株価の目先のピークアウトを示す

 2日に発表された日銀短観ではヘッドラインとして注目される大企業製造業DIがプラス24となり、前回の2017年12月調査のプラス26から悪化した。悪化したのは8四半期ぶりとなる。先行きについてもプラス20とさらなる悪化を見込んでいる。

 大企業非製造業DIもプラス23と前回のプラス25から悪化し、先行きもプラス20とさらなる悪化を見込んでいる。

 素材業種を中心に原料高が押し下げ要因となったと指摘されている。

 過去の動きをみると、日銀短観の大企業製造業DIのトレンド変化と日経平均のトレンド変化が重なることが多い。

 今回の日銀短観の短観での悪化によって、大企業製造業DIがいったんピークアウトした格好となった。日経平均の動きをみると今年の1月23日を目先のピークとして、2月に入っての米国株式市場の大幅調整もあり、すでに目先のピークアウトを迎えている。

 これは米国株式市場の影響が大きく、外的要因によるものとみられていたが、今回の短観を見る限り、国内経済についてもこの期間中にいったんピークアウトしていたとの見方ができるかもしれない。そうなると日経平均が、なかなか戻り切れないのも企業の景況感の変化も影響している可能性がある。

 また、事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)が2018年度のドル円で109円66銭と、足元の106円近辺あたりからは円安に想定されていることも、不透明要因となっているのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2018-04-03 09:17 | 景気物価動向 | Comments(0)

消費者物価指数の前年比が上昇、その背景にあるものとは

 3月23日に発表された2月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比プラス1.5%となった。そして、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合(コア)では前年同月比プラス1.0%となり、14か月連続でのプラスとなるとともに、消費増税の影響を除いたベースで、2014年8月のプラス1.1%以来3年6か月ぶりの上昇率となった。

 生鮮食品を含む総合のプラス1.5%というのは消費増税の影響を除いたベースで2014年6月のプラス1.6%以来3年8か月ぶりの水準となった。こちらは生鮮食料品の一部、キャベツやミカン、マグロなどの高騰が背景となっていた。

 コア指数については電気代やガソリンなどエネルギー品目が引き続き押し上げた格好となった。

 ちなみに生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)は前年比プラス0.5%と、こちらもじわりじわりと前年比を拡大させている。

 この消費者物価指数の動きをみると、ここにきてやっと日銀の大胆な緩和策が奏功して物価が上がってきたようにみえなくもない。しかし、それには5年近くのラグが必要だということになるというのであろうか。

 現在の日銀は調節目標を量から金利に変えて、長短金利操作付き量的・質的緩和策を行っている。イールドカーブをコントロールというか、国債の利回りを抑えつける政策を行っているが、果たしてこれがどのような経路で物価上昇に働きかけているのであろうか。

 ここにきての日本の消費者物価指数の前年比が拡大してきた背景としては、生鮮食品を含む総合については生鮮食料品の高騰が大きく影響していた。そして、その生鮮食料品を除いたコア指数は、原油価格の回復が押し上げ要因となっている。

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)も前年比プラス0.5%となっているが、こちらも原油価格の上昇による石油製品に絡んだ値上げ等の影響もあるとみられ、世界的な景気拡大による息の長い景気の回復も少なからず影響はしていよう。その意味では日銀の金融緩和効果がまったくなかったわけではないかもしれないが、今回の消費者物価指数の上昇要因をみても、それが直接大きな影響を与えてはいるとは考えづらい。

 日銀は副総裁が入れ替わった事で新体制がスタートした。今後も現在の大胆な緩和策を物価目標達成まで継続するとしているが、これまでの異次元と呼ばれた緩和策とそれによる物価への影響についてもう一度、検証してみることも必要ではなかろうか。無理に出口に向かう必要はないかもしれないが、頑なに物価目標を達成しなければならないとの姿勢を微調整し、もう少し柔軟な政策にモデルチェンジすることも必要なのではなかろうかと思う。


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by nihonkokusai | 2018-04-02 09:37 | 景気物価動向 | Comments(0)

物価は原油価格に左右されやすいと言う事例

 米労働省が13日に発表した今年2月の米国の消費者物価指数(CPI)は、季節調整済みで前月比0.2%の上昇となった。上昇率は前月の0.5%から鈍化したが、市場予測と一致した。前年同月比では2.2%の上昇となった。ガソリンや燃料価格の下落でエネルギー価格は前月比0.1%上昇にとどまった。食品価格は横ばい。全体から食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比で0.2%、前年同月比では1.8%上昇した(日経新聞電子版の記事より引用)。

 市場ではFRBによる年3回以上の利上げ観測も燻っており、その観測が今回のCPIの伸び率鈍化を受けてやや後退した。

 日銀の物価目標は消費者物価指数(除く生鮮)であるが、FRBの物価目標はPCEデフレーターであり、消費者物価指数ではない。それでも物価の指標としてCPIはFRBも当然ながら参考にしている。

 日本の消費者物価指数のコア指数は生鮮食料品を除いたものであるが、米国のコア指数は全体から食品とエネルギーを除いたものである。つまり日本のコア指数にはエネルギーが含まれている。それも除いたものはコアコア指数と呼ばれている。それだけ物価にはエネルギー価格の影響が大きいといえる。

 そこで手元にある米国の消費者物価指数(食品とエネルギーを含む全体)と原油先物のグラフを作ってみた。

 エネルギを含む消費者物価指数は原油価格の影響を受けやすいことは、2008年から2009年にかけてWTIが急騰後、急落した際の動きに米国の消費者物価指数が連動していたことからも明らかで、これは日本の消費者物価指数(除く生鮮)もほとんど同じような動きとなっていた。

 さらに2014年10月あたりからはWTIの下落によって、米消費者物価指数も前年比が落ち込み、2015年1月には一時前年比でマイナスとなっていた。当然ながら日本の消費者物価指数もこの原油価格の落ち込みに影響を受けて、2015年2月のコアCPIはゼロ%となっていた。

 日銀は2014年10月31日に量的・質的緩和の拡大を決定した。これは日本のコアCPIが2014年4月に前年比プラス1.5%をつけたあと、上昇幅が縮小してきたことで、サプライズ的に追加緩和策を実施したといえる。

 実はこの決定の少し前の10月4日の講演で、黒田総裁はコアCPIについて、しばらく1%台で推移した後、2%に向けて上昇するとの見通しを示し、1%を割り込むのではないかとの市場の見方を一蹴していた。しかし、それが難しくなる可能性が出てきたことで、追加緩和を決定した可能性がある。

 とはいっても原油価格の下落を日銀の金融政策で止めることはできない。このため、サプライズ緩和による円安効果を狙った可能性があったが、すでに円安に向かうエネルギーもそれほど蓄積されておらず、円安も一時的なものとなった。そうなると日銀の金融政策が物価に波及する経路がなくなることで、日本のコアCPIは再びマイナスに落ち込むことになった。いったい日銀の異次元緩和とは何であったのであろうか。


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by nihonkokusai | 2018-03-15 09:44 | 景気物価動向 | Comments(0)
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