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カテゴリ:景気物価動向( 292 )

米国の長期金利の3%割れと原油先物の50ドル割れの背景は共通、世界経済の減速の兆候

 11月29日の米国債券市場では、28日のパウエルFRB議長の発言を受けて、早期打ち止め観測が強まり、米10年債利回りは一時3%を割り込んだ。米長期金利の3%割れは9月18日以来となる。

 やや腑に落ちないのは、28日の米国債券市場の動きであった。同日の米株式市場では、パウエル議長の発言を受けて利上げ打ち止めが近いとの思惑が広がり、ダウ平均は素直に617ドル高となっていた。しかし、同日の米国債券市場では何事もなかったかのように3.06%と前日比とほぼ変わらずとなっていたのである。

 この日は原油先物も大きく下落しており、米債は買われていてもおかしくなかったが、買われなかった。ところが、29日の東京時間に米債はあらためて買い進まれ、29日の米国時間の早朝に一時3%割れとなった。結局、この日の米10年債利回りは3.03%と前日の3.06%から低下した。

 この米債の動きをみると10年債利回りで3%が大きな抵抗線になっているようにみえなくもない。ただし、29日に発表されたコアPCEデフレータが予想を下回るなど、外部環境は国債の買い方優位にみえる。3%はそれほど強い抵抗線ではなくなるのではなかろうか。

 そして、29日にはサウジのエネルギー産業鉱物資源相がサウジ単独での減産は行わないと表明したことや、28日に発表されたEIAの週間在庫統計で米原油在庫が予想以上に増加したことから、原油先物の指標となっているWTI先物は一時50ドル割れとなった。

 先日、チャートの月足ベースでみると10月と11月のWTI先物の下落は、2014年に100ドルを超えていたWTIが急落し、2015年1月に50ドルを割り込んだ相場の当初の動きにも似ていると指摘した。このときの調整は2016年1月あたりまで続き、WTI先物は30ドルを割り込んでいる。

 チャート上からも50ドルは心理的名節目となっているとみられる。これに対して、産油国であるロシアのプーチン大統領が28日に原油価格について同国としては60ドルなら満足できるとの見解を示した上で、「OPECとは連絡を取り合っており、必要に応じて共同の取り組みを続ける用意がある」と言及した(ロイター)。

 このプーチン発言等を受けて、来週開かれるOPEC総会で協調減産が決定されるのではないかとの期待が広がり、原油先物に買い戻しが入って、29日のWTI先物1月限は結局、1.16ドル高の51.45ドルとなった。

 原油先物価格のここにきての下落は、トランプ大統領が原油価格は高過ぎると表明したことも一因となっていた。そのトランプ大統領はG20で予定していたロシアのプーチン大統領との会談を中止すると明らかにした。ロシアがウクライナの艦船を拿捕した事件が背景にあるそうだが、原油価格を巡っても米国とロシアの対立色が見え隠れしている。

 注意すべきは、FRBの利上げ早期打ち止め観測による米長期金利の一時3%割れと、原油在庫増などを受けたWTI先物の一時50ドル割れの要因としては、米国を含む世界経済の景気減速懸念があることである。

 あくまでいまのところ懸念ではあるものの、世界経済の減速の兆候が経済指標等に現れてくれば、この流れを人為的に止めることは難しくなる。


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by nihonkokusai | 2018-12-01 10:28 | 景気物価動向 | Comments(0)

石油先物価格が急落、世界経済の減速懸念も背景に

 13日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で原油先物相場は12日続落となった。12日続落は過去最長の模様。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)12月物は前日比4.24ドル安の1バレル55.69ドルで引けた。WTI先物の1日の下落率としては、ここ3年で最大となったようである。

 下落要因はさておき、チャートから見た、いわゆるテクニカルによる分析からは、これだけの下げはそうそう起きるものではない。仕掛け的な売りも当然入っていようが、買い方の投げが主要ともいえそうな動きとなる。

 13日の大幅下落の要因としては、減産を検討しているサウジアラビアなどに対して12日に米国のトランプ大統領が減産しないよう要求し、「原油価格はもっと低いはず」と主張したことがひとつの要因とされた。

 また、OPECが13日発表した月報で、世界経済の減速や非加盟国の予想以上の増産により2019年には供給過剰になる可能性があると指摘したことも下げ要因になった。

 それにしてはWTIの4ドルもの下げというのは、下げ方が大きすぎると言える。チャートを意識したテクニカル的な売りも入っていたと推測される。

 ただし、OPECも指摘していたように中国を主体とした世界的な景気減速観測もあることで、買い方の不安を助長させて、下げが加速された面もあったかもしれない。

 WTIが60ドルを割り込んだことで、チャート上からは下値が見えなくなってきた。上昇相場の出発点となった30ドル台あたりまで下落する可能性もチャート上からはありうるか。

 もちろんWTIで70ドル台を維持させたいとするサウジアラビアなどが、あらためて減産等を行ってくる可能性はある。しかし、それはあくまでそれなりの需要があることが前提となる。現実に世界経済が後退局面となれば、原油価格を高値で維持することは難しくなる。


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by nihonkokusai | 2018-11-15 09:39 | 景気物価動向 | Comments(0)

原油先物価格の上昇トレンドが崩れる。世界的な景気減速の兆候なのか

 原油先物のベンチマークといえるWTI先物のチャートをみてみると、今年7月3日に75ドル台まで上昇したあと調整売りが入り、8月中旬に65ドル近辺まで下落した。これには米国による対中追加関税措置の発動なども影響していたと思われる。中国が米国産原油に関税を課すことなどへの懸念も出ていた。

 しかし、その後は米国株式市場の上昇に歩調を合わせるような格好となり、原油先物もじりじりと回復し、WTI先物は70ドル台を回復した。10月3日に77ドルに接近したところでピークアウトした。米国株式市場のダウ平均も10月3日に27000ドルに接近したところで同じくピークアウトしている。

 その後のWTI先物はダウ平均と同様に下落し、10月23日に66ドル台に下落した。チャート上からは、このあたりが正念場となっていた。8月につけた65ドル近辺を大きく割り込むようであれば、上昇トレンドがいったん崩れる格好となる。

 上記は10月に書いた「原油先物価格にみる適温相場の変調」から引用したものだが、足元のWTI先物は60ドル台に下落しており、チャートからは上昇トレンドが崩れたかたちになっている。

 ここにきて原油先物価格が下落していたのは、イラン産原油の供給混乱に対する懸念が後退したことなどが指摘されている。しかし、原油そのものの需要が後退している可能性もあるのではなかろうか。また、サウジアラビアと米国の関係悪化など政治上の問題も絡んできている可能性もある。

 米中間選挙という大きなイベントが終了し、米国の株式市場が大きく戻してるが、この原油先物価格の動きを見る限り、再び米国株の上昇トレンドが回復するかどうかは疑わしい面もある。

 来年は世界経済を牽引していた米国経済についても減速してくるのではとの見方も出てきている。米国と中国との貿易摩擦による影響も次第に出てくることも予想される。株価の復活シナリオが完全になくなったわけではないものの、原油価格の動きを見る限り、リスクシナリオも意識しておいた方が良いのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2018-11-09 09:33 | 景気物価動向 | Comments(0)

日銀短観にみる日本経済の現状と先行き

日銀が10月1日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)では、ヘッドラインとして注目される大企業製造業DIがプラス19となり、前回6月のプラス21から悪化した。3四半期連続での悪化となり、先行きについてはプラス19と現状維持を見込んでいる。

 全産業でみてみると9月のDIはプラス15となり、6月のプラス16から悪化、先行きについてもプラス13とさらなる悪化を見込んでいる。

 原油先物価格はすでに4年ぶりの水準に上昇しており、この原油高による原材料の価格高騰による影響も出ているようである。さらには西日本豪雨や、台風21号による影響、北海道での地震などの自然災害による影響なども大きいとみられる。また、人手不足による影響もあろう。

 米国と中国を中心とした貿易摩擦への懸念も大きい。日本車を巡り、トランプ政権が検討していた追加関税は、日米が新たな通商協議入りすることで、ひとまず回避されたが懸念は残る。11月の米国の中間選挙に向けてトランプ政権が更に揺さぶりをかけてくる懸念もありうるか。

 ただし、注意すべきは日銀短観での事業計画の前提となっている想定為替レートが2018年度で107円40銭となっている点である。通常でも慎重に、実勢よりは円高においている数字ではあるが、ドル円は10月2日に114円台を回復しており、7円近く想定を上回っている。円安による日本経済への影響は昔ほどは大きくはないにしても、想定以上の円安による好影響を受ける可能性はありうる。

 さらに米国株式市場の動きをみると、米中の貿易摩擦が懸念されているにもかかわらず、上昇トレンドを形成していた。米トランプ政権の保護主義政策については、いまのところ米経済には大きな影響は与えていないとの見立てなのか。日本の企業経営者のほうがやや悲観的に見ているとの見方もできるかもしれない。

 短観の大企業製造業DIと日経平均株価はトレンドの変化が似たようなタイミングで起きることが良くある。しかし、今回は短観の数字と日経平均はトレンドとしては方向が異なっている。米国株式市場の上昇とドル円の上昇などを背景に、日経平均は約27年ぶりにバブル崩壊後の高値を更新した。

 果たして日銀短観の大企業製造業DIと日経平均のトレンドの違いはいずれどのように修正されていくのか。あまり楽観視はいけないかもしれないが、短観の数字がやや慎重すぎるのではないかと個人的には見ているのだが。


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by nihonkokusai | 2018-10-09 10:45 | 景気物価動向 | Comments(0)

日本の携帯電話料金は高すぎるのか、物価に直接的な影響も

 菅官房長官は21日の札幌市での講演で、大手携帯電話会社は巨額の利益を上げているとしたうえで「競争が働いていないと言わざるを得ない」とし、「携帯電話料金は、今より4割程度下げる余地がある」と言及した(ロイター)。

 携帯料金の引き下げ自体は、個人的には歓迎であるが、この発言についてはいくつか疑問がある。

 ひとつはアベノミクスと呼ばれた物価2%達成を目指した政策と相反するという点である。アベノミクスの前提にあるのは、物価目標は日銀の金融政策で可能であるという意見を鵜呑みにした政策であったが、結局は物価目標は達成できていない。これはつまり金融政策で物価を自由にコントロールすることは困難であるということをむしろ示したものとなる。

 消費増税によって物価は上がらなかったというのであれば、金融政策の効果を増税が簡単に阻害してしまうということになってしまう。そうであれば、アベノミクスの金融政策は万能という前提も崩れることになるのではなかろうか。

 もし携帯料金が40%値下げ、一律に引き下げが実施されたと仮定した場合、最大でコアCPIを約0.9%ポイント押し下げるとの試算もあるそうである(ロイター)。

 そうであれば金融政策ではなく、携帯料金を大きく引き上げればあっさり2%は達成できたのではないのか。金融政策は万能薬でも何でもない。物価は現場で上げ下げされる。

 アベノミクスとはいったい何であったのか。我々はあらためてそれを考えることも必要ではなかろうか。アベノミクスは効果があったという人も多いが、海外要因を除いた国内要因だけでみて、果たして日銀による大量の資金供給がダイレクトな効果を生み出したといえるのか。むろん、そういう環境のお膳立てをしたとの見方はできる。それが本来の金融政策の効果であるからだが、それ以上の効果が果たしてあったのか。

 菅官房長官の携帯料金の引き下げ発言については、どれだけ現状を理解されているのかという疑問もある。すでに格安スマホというものも出ており、大手キャリアでも割安プランもある。中古市場も以前よりは整備されている。安く済まそうとすれば、それは可能である。それはあくまで国民の選択によるものではなかろうか。

 そもそも日本で携帯料金が高い要因は、現在では10万円台となっているiPhoneなど新品のスマートホンの価格が高すぎることに理由があるのではなかろうか。

 特に日本では新型iPhoneの人気が高く、10万円もの製品を2年ごとに買い換えるとなれば、その負担は大きい。大手キャリアはその負担が軽減されたかのように、通話料金にスマホ価格を組み込むかたちで高い料金体系にせざるをえない面もあるのではなかろうか。そうであれば、携帯会社ではなく、国民に対して新品の高級スマホは買い手控えてほしい、ということになってしまうのではないかと思うのだが。


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by nihonkokusai | 2018-08-29 11:33 | 景気物価動向 | Comments(0)

物価が低迷している謎を解き明かせるのか

 日銀は7月30、31日に開催される金融政策決定会合で、物価動向を再検証する。雨宮副総裁は朝日新聞のインタビューで、「もう一度物価が上がりにくい理由、物価観の形成の仕方などを点検する。物価動向について何が起きているのかをきちんと詰める」と語っていた。今回は検証ではなく点検という位置づけである。

 このインタビューで雨宮副総裁は、物価の伸び悩みは先進国に共通するとし、「『アマゾン・エフェクト』と呼ばれるネット販売の物価引き下げ効果」などを理由に挙げた。日本では人手不足でも賃上げは非正規雇用が中心で、正規雇用では雇用安定を重視する傾向が強いとも指摘。「労働需給の引き締まりが賃金上昇に及ぶのに時間がかかる」と述べていた。

 日銀はアマゾンなどのインターネット通販の拡大に伴って、消費者物価指数(除く生鮮食品、エネルギー)の伸び率が0.1~0.2%程度押し下げられるとする試算結果を公表している。ネット通販との競合度が高いとみられる日用品や衣類には、0.3%程度の押し下げ効果があるとの結果も出している。

 日経新聞の記事によるとドラッグストアーが医薬品だけでなく食品でも安値をけん引していることで、消費者物価指数を0.1%ほど押し下げているとの試算も出ていた。

 企業業績が上向いているにも関わらず、それが賃上げには回りづらくなっていることも確かで、例えば日銀が27日に発表した資金循環統計(速報)によると、2017年度の民間企業(金融を除く)の資金余剰が27兆6672億円となり、2016年度から10兆円あまり増え、7年ぶりの高水準となった(日経新聞)。

 世界経済の拡大基調が寄与して国内企業の業績も伸びてはいるものの、余剰資金は賃上げや設備投資には向かわず、今後のリスクも意識してか内部にため込まれている。日本企業は自力で収益を上げているというよりも、欧米を主体とする景気拡大という他力によって、業績が向上していることもいえることで、無理に勝負に出ることはせずに、国内でのポール回しに徹しているようにもみえる。

 これらの状況を打破するために、果たして日銀の異次元緩和はどれだけ有効なのか。そして、グローバルスタンダードとされる物価目標の2%という数字は適切なのかも本来であれば、再検証する必要はないのか。

 日銀が2013年4月に異次元緩和を決定してからの物価の動向も検証する必要があろう。日銀の緩和策が強力に物価に働きかけるのであれば、他の要因によってそれが阻害されることは考えづらい。2014年4月の消費増税が物価低迷の要因と指摘する声も出ているが、これについても検証してほしいところではある。


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by nihonkokusai | 2018-07-08 15:07 | 景気物価動向 | Comments(0)

欧州や日本での炭酸ガス不足でビールやコーラ、ドライアイスへの供給に影響が

 地球温暖化により問題視されている炭酸ガス(CO2)であるが、欧州において供給不足が発生し、サッカー・ワールドカップ開催中という需要期にビールや炭酸飲料の供給に影響がでる可能性がでてきた。

 FTによると、食品に利用する炭酸ガスで、欧州最大の供給源の一つとなってきたのがアンモニアプラント。炭酸ガスの不足は、欧州北部各地にある少なくとも5つのガス生産会社が初夏の数カ月間、メンテナンスで工場を閉鎖しているためだとしている。

 CNNも欧州では全土で炭酸ガス不足が深刻化して、食品製造業を脅かしていると伝えた。欧州で複数の大手アンモニア工場がメンテナンスのために操業を停止したことから、炭酸ガスの不足につながったとしている。

 欧州でのビールや炭酸飲料のメーカーにとって今回の炭酸ガス不足は、夏の暑さとワールドカップ開催で需要が急増する最悪のタイミングと重なった(CNN)。英国ではビール供給が割り当て制になっているとか。

 同じようなタイミングで、日本ではドライアイスの深刻な品不足が発生し、メーカーが大規模な出荷制限に動き出した。ドライアイスについては、原油を精製してガソリンなどを生産する過程で生じる炭酸ガスから製造している。29日の日経新聞によると、今年は製油所で小規模なものも含めて30件前後のトラブルが発生し、炭酸ガスの供給が減ったとされる。

 欧州と日本で、同じようなタイミングで、炭酸ガスの供給に支障がでたということなのであろうか。しかも、日本でのドライアイス不足も夏本番を迎え、宅配や食品業界への影響が懸念されている。ドライアイスは6月末からお盆にかけて需要の6割が集中するとされている。

 ドライアイスの供給が集中するのは一時期ということもあり、供給不足が値上げには結びついていないようだが、関係者からは今後は値上げのお願いもあり得るとの声もでているとか。

 ここにきて原油先物価格が再び上昇してきており、28日にWTI先物8月限は73.45ドルと2014年11月以来の高値をつけてきた。今後はガソリン価格の上昇も予想され、こちらは物価に直接影響を与える可能性がある。

 炭酸ガスの供給不足による物価や個人消費への直接的な影響はいまのところそれほど大きくはないかもしれないが、タイミングがやや悪いこともあり、このまま炭酸ガスの供給不足が続くとなれば、影響が拡がる恐れもあり、注意も必要か。


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by nihonkokusai | 2018-07-01 18:16 | 景気物価動向 | Comments(0)

アマゾンが米国で医薬品事業に本格参入、新たな物価引き下げ要因(アマゾン・エフェクト)に

 アマゾン・ドット・コムは28日、処方薬のインターネット販売を手掛けるピルパックを買収すると発表した。これにより医薬品の販売に本格参入する。ピルパックは全米への医薬品配送を規制当局から許可されており、ネットで処方箋を受け付け、1回の服用分を小分けに包装して配送している。米小売り最大手のウォルマートもピルパック買収に関心を示していたが、アマゾンが競り勝ったようである。

 28日の米国株式市場では、これを受けて26日にダウ平均の構成銘柄に採用されたばかりのドラッグストアー大手、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの株価が大きく下落し、この一銘柄だけで、ダウ平均を44ドルあまり押し下げた。買収によりアマゾンがハワイを除く49州で処方箋薬を販売できるようになることなどが警戒されたようである。

 ちなみに28日の米国株式市場では、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどが買われ、アマゾンなどハイテク株にも押し目買いが入ったことからダウ平均は98ドル高となっていた。

 日銀の雨宮副総裁は朝日新聞の単独インタビューで、物価の伸び悩みは先進国に共通するとし、「アマゾン・エフェクト」と呼ばれるネット販売の物価引き下げ効果などを理由に挙げた。

 また日銀はアマゾンなどのインターネット通販の拡大に伴って、消費者物価指数(除く生鮮食品、エネルギー)の伸び率が0.1~0.2%程度押し下げられるとする試算結果を公表している。ネット通販との競合度が高いとみられる日用品や衣類には、0.3%程度の押し下げ効果があるとの結果も出している。

 そして日本でのドラッグストアーであるが、日経新聞の記事によると医薬品だけでなく食品でも安値をけん引していることで、消費者物価指数を0.1%ほど押し下げているとの試算が出ているそうである。

 日本でアマゾンが米医薬品事業に本格参入することはいまのところは考えづらい。しかし、可能性がまったくないわけではない。

 物価の押し下げ要因となっているドラッグストアーにとって、今度はアマゾンが脅威となり、アマゾン・エフェクトによって物価はさらに押し下げられるといった構図も生まれそうである。

 米国のトランプ政権は先月に薬価引き下げ計画を公表したものの、これまでに発言に見合った成果をほとんど挙げていない。しかし、それをトランプ大統領の宿敵とされるベゾス氏率いるアマゾンが実施しそうという皮肉な結果となりつつある。


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by nihonkokusai | 2018-07-01 18:10 | 景気物価動向 | Comments(0)

アマゾンが日本の物価を引き下げている?

 日銀は6月5日に「インターネット通販の拡大が物価に与える影響」というレビューをサイトにアップした。

 日本に限らず、欧米の物価もなかなか上昇してこない。米国は消費者物価指数などがやっと2%台に乗せてきたものの、イエレン前FRB議長は物価の低迷について、これを「謎」と称した。その理由のひとつにIT化による影響が考えられる。特にアマゾンを中心としたインターネット通販が物価の押し下げ要因になっている可能性がある。

 日銀のレビューでも次のような指摘がある。

 「アマゾンなどのインターネット通販の急速な拡大が、スーパーなど既存の小売企業が直面する競争環境を厳しいものにし、値下げ圧力にもつながっているという声が多く聞かれるようになってきている。」

 実店舗を持たず人件費も節約可能なインターネット通販での価格は、確かに実店舗の表示価格に比べて安いことが多い。以前には特に家電商品でみられ、ネットで調べた価格を店頭の商品購入の際に提示して、価格の引き下げ交渉をするといった光景も見られた。

 しかし、アマゾンなどのネット販売の拡大は、家電だけでなく広範囲の商品についても価格の引き下げを可能にしつつある。アマゾンではプライム会員などを主体に送料も無料化するなどしており、種類豊富な選択肢があり、実店舗より安い価格の商品が、家に直接届く仕組みになっている。

 それではこのアマゾンなどのインターネット通販の拡大がどのような経路で物価に影響を与えているのか。日銀のレビューは下記のように解説している。

 「わが国の消費者物価指数(CPI)においては、原則としてインターネット販売価格は価格調査の対象となっていない。このため、インターネット販売価格の変動自体がCPIに直接影響を与えるわけではない。」

 「しかし、インターネット通販の拡大を受けて競争環境が変化すれば、既存の小売企業の一部が対抗措置としての値下げを行うことで、結果的にCPIで計測される物価が下押しされる可能性はある。」

 家電では昔、ヤマダ電機の価格がひとつのベンチマークとなっていたと言われたことがあった。現在ではアマゾンの価格がひとつのベンチマークとなっているとしてもおかしくはない。結果としてそれが物価の下押し要因となっている可能性は否定できない。これは日本国内だけでなくグローバルで起きていることでもある。



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by nihonkokusai | 2018-06-21 09:46 | 景気物価動向 | Comments(0)

原油価格が約3年ぶりの水準に上昇した要因とは。次のターゲットは80ドルか

 原油価格がここにきて再び上昇してきた。指標となっているWTI先物5月限は、4月11日に一時67.45ドルと約3年ぶりの高値をつけてきた。

 11日に原油先物が大きく買われた要因としては、米国のトランプ大統領がシリアに対しミサイルが飛んでいくぞとツイッターに書き込み、シリアに対するミサイル攻撃を強く示唆したことで中東での地政学的リスクが意識された。

 また、サウジアラビアがイエメンで活動する武装組織フーシ派が首都リヤドなどに向け発射した弾道ミサイル3発を迎撃したと発表したことも、原油価格の上昇要因となっていた。

 しかし、そのような目先的な要因ばかりでなく、原油価格は上昇しやすい状況にあったことで、そのきっかけとなったにすぎないとの見方もできる。実際に12日にはトランプ大統領のツイッターを受けて、米国によるシリアへの差し迫った軍事攻撃はないとの見方から、米国市場ではリスク回避の巻き戻しが起きていたが、原油先物は前日比で上昇していた。

 原油価格が上昇しやすい背景としては、世界的な景気拡大による原油への需要の拡大がある。それとともに、原油価格の下落を防ぐためにサウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)諸国とロシアなどが協調して減産してきたことも要因となる。

 10日にも原油先物は大きく上昇していたが、この背景にサウジアラビアが80ドル近くへの原油価格上昇を望んでいると伝わったことも要因としてあった。

 WTIは2014年7月から2015年1月あたりにかけて急落し、その急落相場から立ち直りかけているところである。チャート上からはWTIは66ドルあたりを上抜けると100ドルあたりまで節目らしい節目はない。

 その66ドル近辺でいったん上値が重くなっていたが、ここを抜けてくれば、ひとまずサウジアラビアの目標値でもある80ドルあたりが次の節目となる。もし80ドル近辺までの上昇があるとすれば、それは当然ながら物価にも影響を与えることになる。


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by nihonkokusai | 2018-04-13 09:35 | 景気物価動向 | Comments(0)
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