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カテゴリ:国債( 835 )

今年度の国の予算と国債の発行計画を再確認

 3月28日に2018年度予算は政府案どおり成立した。昨年12月22日に出された2018年度予算政府案とそれにともなう2018年度の国債発行計画を再確認したい。

 2018年度予算案は一般会計の総額で97兆7128億円程度と、2017年度の当初予算を2581億円程度上回り、過去最大となった。歳入のうちの税収は59兆790億円、その他収入は4兆9416億円、公債金(新規国債発行で補われるもの)が33兆6922億円となる。歳出では国債費(国債の利払い償還)が23兆3020億円、一般歳出が58兆8958億円、地方交付税交付金等が15兆5150億円となっている。

 新規国債(建設国債と赤字国債)の発行額は33兆6922億円となり、昨年度当初予算からは6776億円の減額となり、三次補正後では1兆8624億円の減額となる。

 2018年度の国債総発行額は149兆8856億円となり、これは昨年度当初からは4兆778億円の減額、三次補正後でみると6兆2395億円の減額となる。新規国債が昨年度の当初から6776億円減額され、復興債が5582億円の減額、借換債は2兆8420億円減額される。

 国債総発行額の149兆8856億円のうち、入札等で発行されるカレンダーベースの国債発行額は134兆2000億円となる。昨年度当初に比べると7兆円の減額。発行総額とカレンダーベースの差額は個人向け国債発行や日銀乗り換え分となる。個人向け国債については0.05%という最低保証利回りが功を奏して人気化していることで、今年度は3兆3000億円の発行予定となっている。昨年度当初に比べ3000億円の増加。また日銀乗り換えは2兆5000億円と昨年度の3兆円から5000億円の減額となっている。日銀乗り換えとは、日銀が保有している国債が満期償還を迎えると、1年間に限って現金償還を延長し、現金の代わりに短期国債を発行し、それを日銀が引き受けるというもの。

 今年度の前倒債の発行限度額は55兆円(昨年度の56兆円から減額)。前倒債とは借換債の弾力的な発行などを可能にするため、会計年度を越えて発行される借換債のこと。このように限度額が決められているが、その範囲内で金融情勢などに応じた発行が可能となっている。これはいわば何かあったときのバッファーともいうべきもので、何かの事情で国債入札ができなくなった際にもこの範囲内で調整が利くことになる。

 カレンダーベースの年限別の国債発行額をみてると、40年債が今年度は4000億円6回と昨年度当初の5000億円6回から減額される。30年債は7000億円が12回と昨年度の8000億円12回から減額。20年債は1.0兆円12回と変わらず、10年債は2.2兆円が12回と昨年度の2.3兆円12回から減額され、5年債は2.0兆円12回と昨年度の2.2兆円12回から減額され、2年債は2.1兆円12回と昨年度の2.2兆円12回から減額される。1年物短期国債も都合2.2兆円減額となる。10年物物価連動国債は変化なし。日銀の大量の国債買入の影響を受けている市場に配慮して流動性供給入札は1.8兆円増額となる。

 これらはほぼ国債市場特別参加者会合などでの参加者からの意見を組み入れた格好となる。日銀による大量の国債買入が継続されるなか、国債発行額が減額されることにより、今年度の国債の需給はさらにタイトになることが予想される。


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by nihonkokusai | 2018-04-04 09:59 | 国債 | Comments(0)

1月に中国による米国債保有額が減少した理由とは

 中国政府は米通商法301条に基づいた対中制裁に報復する意向を示し、米国を強くけん制した。崔天凱・駐米大使は23日に米国債の購入減額について「あらゆる選択肢を検討している」と含みを持たせた。つまり、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段を講じる可能性を示した。

 現実に中国が政治目的で米国債の購入を減額することが可能なのかはさておき、米財務省が公表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)をもとに、中国などによる米国債の保有状況を確認してみたい。

 これによると、昨年1月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっている。1月時点の中国の米国債保有額は1兆1682億ドルとなり、昨年12月に比べて167億ドル減少していた。1月に中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられた。その影響かとの見方ができるかのような数字ながらも、その後中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道は否定している。中国人民銀行によると、2月末の外貨準備高は13か月ぶりに減少していたこともあり、この1月に関しては意図的に減らしていたわけではないと思われる。

 これに対して今回も2位となっていた日本は1月の米国債保有額は1兆658億ドルとなり、前月比では43億ドルの増加となっていた。これにより中国との保有額との差が12月末に比べて縮小した。

単位、10億ドル、()内は前年比増減

中国(China, Mainland)1168.2、-16.7

日本(Japan)1065.8、+4.3

アイルランド(Ireland)327.5、+1

ブラジル(Brazil)265.7、+8.9

スイス(Switzerland)251.1、+1.5

英国(United Kingdom)243.3、-6.7

ケイマン諸島(Cayman Islands )241.9、-3.9

ルクセンブルグ(Luxembourg )220.9、+3.3

香港(Hong Kong)194.1、-0.6

台湾(Taiwan)175.4、-5.5

 中国と日本の2強に変化はないが、12月に比べてそれ以外の順位が多少入れ替わっている。外為市場などの影響とともに、年末要因等によるものと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-03-29 09:58 | 国債 | Comments(0)

個人向け国債の売り上げが好調な理由とは

 2月28日に財務省で開催された国の債務管理の在り方に関する懇談会の議事要旨に次のような発言が記述されていた。

 「個人向け国債の売り上げが好調なのは、現在、銀行にとって預金がコストとなっており、預金から個人国債に振り替える動きが出ていることによるもの。金利水準が戻れば、個人国債の売り上げも元に戻るのではないか。」

 銀行にとって預金がコストとなっているというのは、日銀のマイナス金利政策により、残存が9年近くまでの国債利回りがマイナスとなっているためである。預金者にはマイナス金利を課すことは控えられているなか、国債の利回りは残存9年近くまでマイナスとなっており、資金運用がかなり難しくなっている。

 個人の資金を預金ではなく個人向け国債の購入に振り向ければ、販売する金融機関には手数料が支払われる。昨年4月発行分からこの個人向け国債の手数料が引き下げられ、固定3年で額面100円あたり20銭、固定5年で額面100円あたり30銭、変動10年で額面100円あたり40銭となった。これは購入者負担ではなく、販売額に応じて金融機関に財務省が支払う手数料である。手数料が引き下げられても10年変動では40銭もある(50銭からの引き下げ)。

 この手数料の引き下げもあり、販売する金融機関は手数料引き下げ前の昨年3月に個人向け国債のキャンペーンを張り、販売額は全体で9315億円となった、翌4月発行分は2030億円に落ち込んだが、7月には3000億円台を回復し、2018年に入ってからは毎月3000億円を超す販売が続いている。これは預金から個人向け国債に振り向ける動きもないとはいえないが、個人による個人向け国債へのニーズが強いことも要因と思われる。

 個人向け国債には0.05%という最低保証利回りがついている。日銀のマイナス金利政策などの影響もあり、この0.05%がいつの間にか銀行などの預金金利を上回ったことで、利回りとして魅力化したのである。

 日銀は現在、長短金利操作付き量的・質的金融緩和策という政策を行っている。これは短期の金利をマイナスに誘導するとともに、長期金利もゼロ%近辺に誘導するというもので、これまでのオペの動向などから長期金利は0.11%以下に抑えようとするものである。

 日銀の黒田総裁の続投も決まり、日銀は現在の金融緩和政策を物価目標達成まで進めるつもりのようである。日銀の政策に変化が出ない限りは、わずかな金利ではあるものの、個人向け国債の優位性は維持され、販売する金融機関にとっても手数料が得られることにより、個人向け国債の販売好調は継続すると思われる。

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by nihonkokusai | 2018-03-19 14:38 | 国債 | Comments(0)

米国債保有高、昨年11月も中国がトップ

 中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられ、これを受けて1月10日の米国の10年債利回りは一時2.6%近くまで上昇した。しかしその後、中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道について、誤った情報に基づいている可能性があるとの見解を示した。

 17日に米10年債利回りはあらためて2.59%まで上昇しており、中国の米国債への購入姿勢に関わらず、米10年債利回りは上昇地合となっていたといえる。それでも米国債の最大の保有国である中国の動向は気になるところではある。その動向を見る上でも、参考になるのが米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)である。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」

http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 17日に発表された最新版によると、11月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっていた。ただし、保有額そのものは減少していた、これは2位の日本も同様であった。

単位、10億ドル、()内は前月比増減

中国(China, Mainland)1176.6、-12.6

日本(Japan)1084.1、-9.9

アイルランド(Ireland)328.7、+16.3

ケイマン諸島(Cayman Islands )269.4、-0.5

ブラジル(Brazil)265.3、-4.7

スイス(Switzerland)250.9、-3.1

英国(United Kingdom)237.9、+12

ルクセンブルグ(Luxembourg )218.3、+0.4

香港(Hong Kong)194.9、+2.6

台湾(Taiwan)179.9、-1.8

 これだけでは中国が政策的に米国債保有額を減少させているとは言えない。11月には人民元と円がともに対ドルで上昇していたことも要因として指摘されている。また、中国と日本の減少分を、アイルランドと英国がそれ以上の規模で前月増加させている点も興味深い。このため全体は11月が6343.1、10月が6349.5となっており、それほど大きな減少とはなっていなかった。


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by nihonkokusai | 2018-01-19 10:05 | 国債 | Comments(0)

中国政府は米国債投資の見直しを巡る報道を否定

 昔、日本の首相が「米国債を売ろうという誘惑に駆られたことはある」と発言し、これを受けて米国株式市場が急落したことがある。これは1997年6月23日に橋本龍太郎首相が、米コロンビア大学での講演を終えた後の質疑応答でのコメントであった。

 1998年末の運用部ショックと呼ばれた日本国債の急落に際し、生保などが日本国債の下落による損失を穴埋めするため米国債を売ってくるとの懸念を当時のルービン米財務長官が示し、その結果というか金利上昇抑制策として打ち出されたのが日銀による1999年2月のゼロ金利政策である。

 当時は日本が最大の米国債の保有国であったことで、米国市場への影響力が大きかったことが、これらによっておわかりいただけるかと思う。しかし、現在の米国債の最大保有国は中国である。正確には中国と日本がほぼ肩を並べ、他の国を大きく引き離しているのが現状である。

 その中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられ、これを受けて10日の米国の10年債利回りは一時2.6%近くまで上昇した。

 これを報じたブルームバーグによると「中国の外貨準備を見直す当局者らが米国債の購入を減らすか停止することを勧告したと、事情に詳しい関係者が述べた。」そうである。

 「同問題について公に発言する権限がないとして匿名を条件に語った関係者によると、中国当局者らは米国債が他の資産との比較で魅力が低くなったとみているほか、米国との貿易摩擦が米国債購入を減額したり停止したりする理由になるかもしれないと考えている。」ブルームバーグ

 特にここにきて米国債が他の資産との比較で魅力が低くなったということは考えづらい。もしかするとトランプ政権の中国への姿勢に対する警告との意味合いもあったのかもしれないが、現実には中国が大量に保有しているドルを米国債以外の資産に大きな規模で振り向けることも考えづらい。ドルの運用先として安全性、流動性等を考えれば特に中短期の米国債が対象となるのは必然である。それをたとえば欧州の国債に振り向けるとなれば、為替リスクも掛かる上、流動性という面では米国債には劣る。  

 政治的な要因があるのかどうか。それ以前に本当に中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討しているのかどうかは、かなり懐疑的な面があった。実際にその後、中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道について、中国政府筋は誤った情報に基づいている可能性があるとの見解を示した。

 ここにきて債券王と呼ばれたビル・グロース氏は債券の弱気相場入りを宣言し、新債券王と呼ばれるダブルライン・キャピタルの共同創業者ガンドラック氏も米国債券相場は弱気相場に本格的に入ると指摘していた。

 両者に指摘されるまでもなく、米10年債利回りは今回、節目とされる2.6%に接近し、チャート上ではここを大きく抜けると3%あたりまで上昇する可能性が出ている。そのようなタイミングでの今回の報道だけにいったいどこからそのような観測が出ていたのかも興味深い。

 ちなみに10日の米国債券市場では一時2.59%まで上昇した米10年債利回りは、当日の10年債入札が好調だったこともあり、前日比変わらずの2.55%まで戻していた。そして11日には2.53%に低下しており、それほど影響があったわけでもなかった。


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by nihonkokusai | 2018-01-12 09:55 | 国債 | Comments(0)

国債発行額が予定より上振れしている理由

 11月22日に開催された国債市場特別参加者会合の議事要旨が財務省のサイトにアップされた。内容その1は「平成30年度国債発行計画について」となっていた。

 ここではまず、10月18日に開催された「国の債務管理の在り方に関する懇談会」での議論の紹介があった。ここでは、「中長期的な需給動向を分析し、供給側では近年、低金利環境の下で、将来の金利上昇リスクを抑制するため、短中期債の発行額を減額し、超長期債の発行額の増額を行ってきた」とあった。

 そして「近年、銀行が国債保有残高を減少させてきた一方、生命保険会社は超長期債の保有残高を増加させてきたことが、結果として、供給側の超長期債の残高の顕著な増加等と整合していたが、今後この構図が変化する可能性がある」との財務省からの指摘があった。

 国債市場特別参加者会合の議事要旨では「年限別の需要動向については、意見が分かれた。人口動態の変化に伴う投資家の需要変化の可能性等を踏まえ、超長期債を増額し中・短期債を減額してきた従来方針を見直す必要を指摘する見解が出された一方、超長期債への継続的な需要の存在や債務の長期化を継続する意義を指摘する意見もあった」とされているが、要するに今後は「短中期債の発行額を減額し、超長期債の発行額の増額」していた方針にブレーキを掛ける必要があるとの認識であると思われる。

 これについて国債市場特別参加者会合のメンバーからいろいろと意見が出されていた。財務省としては30年と40年の発行額の減額を意識しているとみられ、参加メンバーからも同意する意見が多くみられていた。

 さらに平成30年度国債発行計画の策定に当たって留意すべき点として以下の指摘が財務省から指摘されていた。

 「通常の入札による国債発行分を示す「カレンダーベース市中発行額」が2.7兆円上振れており、これが、結果として、「年度間調整分」の下振れ、すなわち前倒債の発行増の要因となっている。これは、カレンダーベース市中発行額を額面での発行を前提として積算してきたことによるもの。30年度計画においては、見積もりの適正化の観点から、オーバーパー発行となる分を見込んでカレンダーベース市中発行額を積算し、収入実績の上振れを抑制することが必要」

 これは何を指摘しているのかといえば、カレンダーベースの国債発行額が、当初見込んでいた金額より上振れしていたということを示している。カレンダーベースの発行額とは何ぞやとなるとさらに説明が必要だが、とにかくも入札によって発行される今年度の国債の額が当初見込みを2.7兆円上回ってしまっているということである。

 国債発行計画の見積もりは額面ベースで行っているが、実際の発行金額は落札価格によって異なってくる。もし発行価格が額面を上回ればその分、当初計画の発行金額を上回ることになる。日銀の異次元緩和による日銀の大量の国債買入やイールドカーブコントロールによって、オーバーパー、つまり額面を上回る発行が多くなっている。10年国債でみると2015年10月以降は額面を超える価格で応札されている。その分が、2.7兆円の上振れとなっているのである。

 この分は当初予定外の分であるために、前倒債の発行増として処理されるが、予想外の前倒し債の発行増となってしまうことになる。これを避けるために、「オーバーパー発行となる分を見込んでカレンダーベース市中発行額を積算」する必要性があるとしているのである。

 利付国債の最低利率が0.1%であることで、日銀のイールドカーブコントロールによって10年債利回りが0.1%以下に抑制されており、それにより必然的に10年債の価格が100円を超えてしまうことなどを想定して、市中発行額を積算する必要があるとの指摘であろう。


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by nihonkokusai | 2017-11-26 18:20 | 国債 | Comments(0)

個人向け国債の販売が好調持続の理由

 財務省のサイトには個人向け国債のページがあり、その中に「個人向け国債の発行額の推移」をクリックすると発行額のデータがエクセルファイルで確認することができる。

 個人向け国債は今年3月の発行額が9315億円となり、ここがいったんピークとなり、4月の発行額は2030億円に落ち込んでいたが、これには販売する金融機関側の事情もあった。

 個人向け国債は証券会社やゆうちょ銀行を含む銀行などが販売している。その際に販売額に応じて、財務省は金融機関に募集発行事務取扱手数料を支払っている。それが2017年4月発行分(3月募集分)から下記のように引き下げられた。このため金融機関は、個人向け国債が人気化しているタイミングで、しかも手数料が高いうちに積極的に大量に販売しようと、現金を贈呈するといったキャンペーンを強化したものとみられる(キャンペーンの原資は下記手数料となる)。

固定3年額面100円あたり40銭が20銭に

固定5年額面100円あたり50銭が30銭に

変動10年額面100円あたり50銭が40銭に

 2016年度の個人向け国債の発行予定額は3種類合計で4兆5556億円となり、2015年の2兆1367億円から倍増し、2007年度の4兆6617億円以来、9年ぶりの高い水準となっていた。

 2008年度以降、低迷し続けていた個人向け国債の発行額が何故、2016年度は大きく増加したのか。個人向け国債の発行額が低迷していた最大の理由が利率の低さにあった。利率の低い状態は2016年度も続いたが、日銀が2016年1月にマイナス金利政策を導入したあたりから状況が変わってきた。

 さすがに預貯金金利はマイナスになることはなかったものの、0.01%程度に低下したままとなっていた。周りの金利が下がったことで、個人向け国債の最低保証金利の0.05%が相対的に魅力的なものとなったのである。これが個人向け国債発行額増加の最大の理由となろう。

 今年の4月以降も日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和策は継続しており、預金金利は低位のまま推移している。今年の4月の個人向け国債の販売額は3月の反動もあり、大きく減少し、5月も1895億円と減少していたが、ボーナス月となる6月募集の7月発行分は3256億円と3000億円台を回復していた。

 日銀による長短金利付き量的・質的緩和政策を受け、特に10年変動タイプに影響する10年債利回りは当面、ゼロ%近辺に押さえ込まれることになる。預貯金金利も0.01%近辺のまま推移するとなれば、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、相対的な優位さは継続する。このため金融機関の販売に対するインセンティブは手数料の引き下げで多少後退しても、個人投資家によるニーズの強さに変化はないとみられる。

 今回の衆院選挙の与党圧勝により、日銀の異次元緩和はさらに継続される見込みとなっている。低金利が継続され、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、個人向け国債の人気は継続するとみられる。来年度の国債発行計画のなかでも、個人向け販売分は今年度計画の3兆円程度になると予想される。


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by nihonkokusai | 2017-10-25 09:50 | 国債 | Comments(0)

個人向け国債の販売が好調持続の理由

 財務省のサイトには個人向け国債のページがあり、その中に「個人向け国債の発行額の推移」をクリックすると発行額のデータがエクセルファイルで確認することができる。

 個人向け国債は今年3月の発行額が9315億円となり、ここがいったんピークとなり、4月の発行額は2030億円に落ち込んでいたが、これには販売する金融機関側の事情もあった。

 個人向け国債は証券会社やゆうちょ銀行を含む銀行などが販売している。その際に販売額に応じて、財務省は金融機関に募集発行事務取扱手数料を支払っている。それが2017年4月発行分(3月募集分)から下記のように引き下げられた。このため金融機関は、個人向け国債が人気化しているタイミングで、しかも手数料が高いうちに積極的に大量に販売しようと、現金を贈呈するといったキャンペーンを強化したものとみられる(キャンペーンの原資は下記手数料となる)。

固定3年額面100円あたり40銭が20銭に

固定5年額面100円あたり50銭が30銭に

変動10年額面100円あたり50銭が40銭に

 2016年度の個人向け国債の発行予定額は3種類合計で4兆5556億円となり、2015年の2兆1367億円から倍増し、2007年度の4兆6617億円以来、9年ぶりの高い水準となっていた。

 2008年度以降、低迷し続けていた個人向け国債の発行額が何故、2016年度は大きく増加したのか。個人向け国債の発行額が低迷していた最大の理由が利率の低さにあった。利率の低い状態は2016年度も続いたが、日銀が2016年1月にマイナス金利政策を導入したあたりから状況が変わってきた。

 さすがに預貯金金利はマイナスになることはなかったものの、0.01%程度に低下したままとなっていた。周りの金利が下がったことで、個人向け国債の最低保証金利の0.05%が相対的に魅力的なものとなったのである。これが個人向け国債発行額増加の最大の理由となろう。

 今年の4月以降も日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和策は継続しており、預金金利は低位のまま推移している。今年の4月の個人向け国債の販売額は3月の反動もあり、大きく減少し、5月も1895億円と減少していたが、ボーナス月となる6月募集の7月発行分は3256億円と3000億円台を回復していた。

 日銀による長短金利付き量的・質的緩和政策を受け、特に10年変動タイプに影響する10年債利回りは当面、ゼロ%近辺に押さえ込まれることになる。預貯金金利も0.01%近辺のまま推移するとなれば、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、相対的な優位さは継続する。このため金融機関の販売に対するインセンティブは手数料の引き下げで多少後退しても、個人投資家によるニーズの強さに変化はないとみられる。

 今回の衆院選挙の与党圧勝により、日銀の異次元緩和はさらに継続される見込みとなっている。低金利が継続され、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、個人向け国債の人気は継続するとみられる。来年度の国債発行計画のなかでも、個人向け販売分は今年度計画の3兆円程度になると予想される。


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by nihonkokusai | 2017-10-25 09:50 | 国債 | Comments(0)

中国による米国債への買い越し続く

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、8月の国別の米国債保有高のトップは中国が3か月連続のトップとなった。さらに中国の米国債の買い越しは7か月連続となった。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 8月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆2005億ドルとなった。2位は日本で1兆1017億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1200.5

日本(Japan)  1101.7

アイルランド(Ireland)  307.2

ブラジル(Brazil)  273.6

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 260.0

スイス(Switzerland)  248.3

英国(United Kingdom) 225.4

ルクセンブルグ(Luxembourg )213.4

香港(Hong Kong)  197.3

台湾(Taiwan) 180.4

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、8月も2位のままとなった。中国は7月から345億ドル増加させたが、日本は114億ドル減少させていた。

 中国の外貨準備高は7か連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、8月末の外貨準備高は3兆915億ドルとなっていた。7月から108億ドル増え、7か月連続で増加した。これも中国による米国債買入の原資のひとつとなっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 米10年債利回りの推移をみると8月ほぼ一環して低下傾向となり(価格は上昇)、9月8日頃に2%近くまで低下していた。8月の利回り低下は中国による買いも影響していたとみられるが、日本は利回りが低下する過程で利益確定売りを入れていたようである。


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by nihonkokusai | 2017-10-24 09:35 | 国債 | Comments(0)

壊されたJGBアラート、財政規律を無視するな

 9月22日に財務省で国債市場特別参加者会合が開催された。国債市場特別参加者とは、いわゆるプライマリー・ディーラーであり、まさに国債市場の専門家集団ともいえる。今回はこの会合の議事要旨から、「最近の国債市場の状況と今後の見通しについて」との意見のなかから特に財政規律に関する発言をピックアップしてみた。

 「(国債の)価格発見機能については、財政拡大という話が出た際に、本来、利回りが上がって、そういった動きをけん制する機能があったところ、現在のマーケットの中には見られない。こうした状況が長期化するに従って、本来あるべき価格との乖離が大きくなっていく。こうした事態をこのまま見過ごしていいのかという懸念は絶えず持っている。」

 「足元、政府が本来よりもはるかに安い金利でファンディングできる環境にあり、この間に財政健全化を進めること、金融政策の正常化が進められた場合に十分に対応できるよう市場環境を整備すること、年限毎の国債発行残高の構成を検討すること等の政策を是非積極的に実施してほしい。」

 「昨日に中国の国債の格付が引き下げられたが、将来的に日本国債の大幅な格下げがあると、金融機関の外貨ビジネスの活路が断たれてしまう。財政健全化に向けた動きは緩めるべきではない。」

 「市場の発信機能の低下が挙げられる。本来、財政規律、景気の好不調、今後の経済見通し等に対して、市場は様々なサインを発信するが、ボラティリティが低下していることによって、市場の発信機能が低下している。金融当局及び発行当局は、市場からのサインを見て政策判断を行っていくことが望ましいが、発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている。」

 安倍首相は25日の午後6時から記者会見を開き、28日召集の臨時国会の冒頭で衆院を解散する考えを表明した。消費税の増収分の使途変更を表明した上で、2兆円規模の新たな経済対策を年内に策定する意向を示した。

 アベノミクスと呼ばれたリフレ政策は国債そのものが道具にされた。日銀が国債を大量に買い入れることで物価上昇を狙ったが、そんな簡単に物価が上がるものではなく、国債市場の機能不全と実態経済に即しない長期金利の押さえ込まれた状態が続いている。

 このような状況は非常時に行うべきものであるはずなのにも関わらず、日本の景気は「いざなぎ」を超えた可能性が高いそうである。これが日銀の異次元感のおかげと判断するのは勝手だが、それならそれで結果が出ているのであれば日銀の異次元緩和を緩めても良いのではなかろうか。

 今回の選挙はそんな歪んだ状況を修正してくれる選挙になるのではとの期待があった。しかし、台風の目となりそうな希望の党も景気が実感を伴って回復するまでの消費増税の凍結を打ち出している。そうなると現在の日銀の異次元緩和ありきの政策が想定される。これがどのようなリスクを含んでいるのかは、上記の国債市場参加者の発言をみればわかろう。財政リスクはないのではなく、力尽くで見せなくしているだけである。国債の価格発見機能も日銀によって押さえ込まれている。

 発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている、との指摘があったが、今回の選挙でも政策判断を間違える可能性は十分にありうる。この前提にあるのが国債市場がおとなしくしてくれていれば、ということになろう。そうしたいのであれば、まずは財政規律を維持することを重視すべきで、それを最も重視しているのが、リフレ政策を採用していた安倍首相という皮肉な状態となっている。


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by nihonkokusai | 2017-09-27 09:51 | 国債 | Comments(0)
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