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カテゴリ:国債( 858 )

国債はこうして誕生した

 漠然とした日本国債への関心はあっても、その本質を理解している人は少ないように思われる。国債のことを理解しようとしても、そのような機会も多くはない。大学などで学ぶ機会も限られよう。

 新年度入りして、金融機関などに勤めている人のなかには、国債など債券に接した方もいるかと思う(某中央銀行の政策の影響もあって債券村の人口はだいぶ少なくなったようではあるが)。今回は国債はどのように誕生したのかについて歴史から探ってみたい。

 国債の歴史は債券の歴史であり、また有価証券そのものの歴史でもある。国債は国・政府の借金であるが、これは国王や皇帝による個人の借金とは異なる。

 中世ヨーロッパの国王は、領地などを担保に商人たちからお金を借り入れていたが、国王に直接お金を融資するにはリスクが伴った。借金を踏み倒される恐れや、国王には寿命もあるため債務が引き継がれるのかどうかもわからないためである。そのため、国王の借金は商人の借金よりも高い金利が求められていた。

 12世紀の中頃、ベネチア、ジェノバなど北イタリア諸都市において本格的な政府による債務の調達が開始された。これが国債の起源と言われているものである。たとえば、ジェノバでは議会が元利返済のため税収を他の歳入から分離し、その徴税権を担保に出資債券を発行し国に融資したのである。

 この仕組みを取り入れて、国債制度を確立させたのが16世紀におけるオランダである。ハプスブルグ家のカール五世はフランスとの戦争のために巨額の資金が必要となり、領地であったネーデルランド連邦ホラント州の議会に元利金の返済のための税収を与え、その議会への信用を元にして国債の発行制度を確立したのである。

 つまり国王の借金ではなく、政府が税収を担保にして永久機関とみなされる議会の信用を元にして発行されたものが国債なのである。そのためには議会を中心として強い徴税権を持った国家の樹立も必要不可欠となる。北イタリア諸都市からオランダ、そしてオランダの制度を取り入れて、それをさらに充実させたイギリスといったように近代国家の形成とともに国債制度が育まれていったのである。


by nihonkokusai | 2019-04-04 10:24 | 国債 | Comments(0)

昨年12月末の投資家別の国債保有額

 日銀は3月19日に資金循環統計(2018年10~12月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は昨年12月末時点で約1830兆円となり、6月末の約1859兆円からは減少した。これはリーマン・ショックがあった2008年末以来、10年ぶりの前年末比減となったようである。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で1.6%増の約984兆円となっていたのに対し、株式等が同15.3%減の約175兆円、投資信託は12.4%減の約67兆円となっていた。欧州や中国を主体とした世界経済の先行き減速懸念などによる年末にかけての株価の下落が影響したとみられる。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は466兆1179億円、46.0%のシェアとなった。前期比(速報値)からは11兆4829億円の増加となる。

 残高2位の保険・年金基金は238兆1289億円(23.5%)、5兆3437億円増。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で152兆9809億円(15.1%)、1兆2855億円減。

 残高4位が海外投資家で64兆7628億円(6.4%)、5兆6526億円増。

 残高5位が公的年金の45兆5028億円(4.5%)、1996億円増。

 残高6位が家計の12兆9637億円(1.3%)、1057億円増。

 その他が32兆6420億円(3.2%)、3兆2297億円減となっていた。

 2018年9月末に比べ国債(短期債除く)の残高は18兆2693億円増の1013兆990億円となった。昨年の6月末に短期債を除いた国債残高が1000兆円に迫ったが1000兆円を超えることはなかった。手元の数字ではあるが、短期債を除いた国債残高がこの資金循環統計からはじめて1000兆円を超えてきた(こちらの国債残高は時価ベース)。

 9月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは4割を上回っている。今回、前期比で減少したのは預金取扱機関(都銀や地銀など)。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1111兆円となり、日銀が約478兆円で43.0%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約134兆円と短期債を含めると国債全体の12.1%のシェアとなっていた。


by nihonkokusai | 2019-03-25 09:44 | 国債 | Comments(0)

日銀は実質的に長期ゾーンの国債買入を減額

 3月6日に日銀は予定通りに国債買入をオファーした。注目されていたのはそのオファー額となっていた。

 2月28日に日銀が公表した「当面の長期国債等の買入れの運営について」では、残存5年超10年以下のいわゆる長期債の買入の部分に修正が入っていた。2月のオファー金額は3000~6000億円程度が5回であったものが、3月の予定はオファー金額が3000~6500億円程度に修正された上で、回数が4回に減らされていた。

 このような修正においては、修正された金額の中値あたりが実際のオファー額となっていた。つまり3000~6500億円の中値は4750億円となる。しかし、50億円刻みということはなかったので、この場合4700億円、もしくは4800億円となる。

 ただし、年度が替わる4月以降の国債発行額はカレンダーベースで減額されることもあり、それに応じた減額を想定すると4500億円程度に買入額を引き下げてくる可能性もあった。

 6日に提示された残存5年超10年以下の買入のオファー額は4800億円となった。前回までの5年超10年以下のオファー額は4300億円となっていたことで、2月の4300億円の5回分の2兆1500億円から、3月は4800億円の4回の1兆9200億円となることが予想され、実質的に減額となる(途中での金額修正の可能性はゼロではない)。

 どうやら、この4800億円がコンセンサスともなっていたようで、このオファー額を確認後、6日の債券先物は買い戻しの動きを強めた。

 5日の債券市場では引け後に10年国債カレントの利回りがプラスに転じるなど、やや仕掛け的な動きがあり、ナイトセッションの先物も米債安などもあって出来高を伴って売られていた。その買い戻し的な動きが6日に起きたものともみられる。

 残存5年超10年以下の買入についてはいずれ再度の減額修正も予想される。


by nihonkokusai | 2019-03-08 09:54 | 国債 | Comments(0)

日銀による国債買入で長期ゾーンは実質減額か

 日銀は2月28日の17時に「当面の長期国債等の買入れの運営について」を公表した。これは翌月、つまり3月の日銀による国債買入の予定表ともいえるものである。

 ここで注目すべきものは、当面の月間買入予定の年限別の「1回当たりオファー金額」のレンジと、現時点で予定している日程の部分、特にその回数となる。

 残存期間については1年以下の短期債、1年超5年以下の中期債(さらに1年超3年以下と3年超5年以下に分かれる)、5年超10年以下の長期債、10年超の超長期債(こちらも10年超25年以下、25年超に分かれる)。そして、物価連動債、変動利付債に区分されている。

 今回、回数に修正が入ったのが、5年超10年以下の長期債の部分となった。2月のオファー金額は3000~6000億円程度が5回であったものが、3月の予定はオファー金額が3000~6500億円程度に修正された上で、回数が4回に減らされていた。

 オファー金額はレンジとなっているものの、一回あたりのオファー額は毎回動くようなことはなく、前回までの5年超10年以下のオファー額は4300億円となっていた。これがいくらになるのかは、次回の5年超10年以下の買入予定の3月6日に実際のオファー額を確認するまでわからない。しかし、トータルでみて、2月の4300億円の5回分の2兆1500億円からは減額されることが予想される。

 たとえば4500億円の4回で1兆8000億円、もしくは4700億円の4回で1兆8800億円などが予想される。

 新年度入りする4月から10年国債の毎月の発行額が2兆1000億円と1000億円減額される。これを意識しての減額となることが予想される。切りの良いところで一回あたり4500億円にするのではないか。

 ちなみに10年債は今回も入札日の3月5日の翌日の6日に5年超10年以下の長期債の買入が予定されている。

 28日の夕方の「当面の長期国債等の買入れの運営について」の公表を受けて、債券先物は売られたようだが、米債安の影響もあっての28日のナイトセッションの下落でもあったことで、それほどサプライズとして売られたわけではないと思われる。


by nihonkokusai | 2019-03-02 16:35 | 国債 | Comments(0)

日銀の国債引受と財政拡大が招いた悲劇、1936年の二・二六事件

 83年前の2月26日、クーデター未遂事件「二・二六事件」が起きた。その犠牲者となったひとりが高橋是清(当時の蔵相)であった。

 高橋是清の行った高橋財政は金輸出解禁による円安放置政策、日銀引受による国債発行と財政支出の拡大、大きな低金利政策が柱となっていた。景気対策という側面からみると、井上デフレと呼ばれた深刻な不況から脱するために、積極財政と低金利政策により有効需要の拡大を計り、その意味ではケインズ的な政策であったとの指摘もある。ところが、高橋財政の柱のひとつである財政支出の拡大は、農村救済のための時局匡救事業ではあったものの、軍事費の拡大が最大の要因となっていた。

 放漫財政とも呼ばれた拡大財政について高橋是清は、比較的短期間のうちに歳出規模は再び収縮し、景気回復に伴う税収増と相まって財政収支は均衡を回復するとの認識でいたようだが、これはやや楽観的すぎた。

 1934年度の予算編成のころとなると、さすがに高橋是清も財政膨張の抑制、国債増額の是正に取り組みはじめた。1934年4月に高橋蔵相は次のように発言をしている。

 「赤字公債が年々増えることは良くない。政府は決して之を安心して、何時までも続け得るものとは思って居らぬ。併し一昨年以来の我が国の一般経済界、産業界の有様を見たとき、先ず政府が刺激剤を与えるより外に手段はなかった」

 1932年以降の政府支出の拡大要因は軍事費の拡大が主要因となったことで、財政政策の転換は簡単にはいかなかった。1935年に高橋蔵相は軍備拡張を強引に要求する軍部と対立する。それがきっかけとなり高橋財政は悲劇的な結末を迎えた。軍事予算の縮小を図ったところ軍部の恨みを買い、1936年の二・二六事件において暗殺されたのである。

 高橋財政のリスクとしては、財政拡大の主因が軍事費であったことに加え、日銀による国債引受があった。これについて高橋是清は「一時の便法」と称していたが、それはある意味、パンドラの箱を開けてしまったとも言えよう。

 高橋蔵相は当初、「日本国民の通貨に対する信用は非常に強固なものがある」ため「通貨の信用ということについてはあまり気にする必要はない」という理由で公債漸減主義は考えていなかったが、その後日銀の深井副総裁の度重なる進言と、第一次世界大戦後におけるドイツ・インフレーションに関する調査物を読んで、その心境に変化が生じたそうである。


by nihonkokusai | 2019-02-27 10:06 | 国債 | Comments(0)

日銀は国債買入を減額、来年度の国債発行額の減額を睨んだ動きか

 12日の日銀による国債買入で、残存10年超25年以下の買入額をこれまでの2000億円から1800億円に減額した。残存25年超は500億円のまま据え置かれた。

 いずれ減額はあるだろうとの予想はあったが、このタイミングというのはややサプライズとなった。これによる債券市場への影響は限定的とみられる。12日の債券先物は16銭安の152円67銭の安値引けとなったが、値動きを見る限り、これは円安による株高などの影響とともに、ここにきて買い進まれていたことによる反動という側面が大きかったとみている。

 日銀の金融政策は現在、量から従来の金利に戻しているが、金融政策決定会合における公表文では下記の表現を残している。

 「買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。」

 しかし、80兆円という数字そのものは有名無実化しており、「弾力的な買入れを実施する」ということが重視されている。

 財務省の来年度の国債発行計画では2年、5年、10年、20年の国債発行額をそれぞれ1.2兆円ずつ減額する予定となっている。これに合わせて日銀は国債の買入額も需給バランスを睨んで減額する方向で検討しているとみられ、今回の減額もその一環か。

 ここにきて長期金利が低下していたことも減額がしやすい状況になっていた。8日に10年債利回りはマイナス0.035%に低下し、超長期と呼ばれる20年債、30年債、40年債の国債利回りも大きく低下していた。

 債券相場の過熱感を冷やすというより、このタイミングでの200億円程度の減額は、債券市場を取り巻く地合が良かったこともあり、市場参加者にさほど動揺を与えないとの読みも働いたのではなかろうか。

 最近の国債利回りの低下は、欧州や中国などを主体とした世界的な景気減速が背景となっている。FRBは利上げを停止した可能性があり、ECBも年内利上げは難しくなりつつある。このような環境下、日銀としてはある程度の緩和の修正も睨んでいた可能性があったが、それも難しくなりつつある。今回の量の調整はあくまで国債の需給を睨んだもので、そういった調整の一環ではない。しかし、本来であれば、金融機関の収益を圧迫し景気への悪影響ともなりうるマイナス金利の撤廃など模索すべきと考えるが、いまの政治を含めた情勢下ではなかなか困難な状況にある。


by nihonkokusai | 2019-02-13 09:48 | 国債 | Comments(0)

9月末の投資家別の国債保有額

 日銀は12月21日に資金循環統計(7~9月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は9月末時点で約1859兆円となり、6月末の約1848兆円からは増加した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で1.9%増の約968兆円となった。株式等が同8.4%増の約209兆円、投資信託は0.8%増の約74兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は454兆6350億円、45.7%のシェアとなった。前期比(速報値)からは8兆7003億円の増加となる。他のセクターは家計を除いて国債の保有額を削減させていた。

 残高2位の保険・年金基金は232兆7852億円(23.4%)、4兆4616億円減。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で154兆2664億円(15.5%)、4兆5727億円減。

 残高4位が海外投資家で59兆1102億円(5.9%)、2兆3474億円減。

 残高5位が公的年金の45兆3032億円(4.6%)、6552億円減。

 残高6位が家計の12兆8580億円(1.3%)、2430億円増。

 その他が35兆8717億円(3.6%)、1兆8292億円減となっていた。

 2018年6月末に比べ国債(短期債除く)の残高は4兆9228億円減の994兆8297億円となった。6月末は短期債を除いた国債残高が1000兆円に迫ったが、今回は減少していたことで1000兆円を超えることはなかった(ちなみにこちらの国債残高は時価ベース)。

 6月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは4割を上回っている。今回、前期比で大きく減少したのは預金取扱機関(都銀や地銀など)と保険・年金で、海外も減少させていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1092兆円となり、日銀が約469兆円で43.0%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約126兆円と短期債を含めると国債全体の11.6%のシェアとなっていた。


by nihonkokusai | 2018-12-22 09:37 | 国債 | Comments(0)

海外投資家が日本国債を大量に購入、その背景とは

 財務省が13日に発表した12月2日~12月8日の対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、対内中長期債投資は1兆7175億円の買い越しとなった。買い越しは3週連続となり、2005年1月までさかのぼる財務省のデータによると、これは過去最高となるそうである(ロイターとブルムバーグの記事参照)。

 財務省の対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)をあらためて確認すると、12月2日~12月8日は短期債も1兆9616億円買い越しており、短期債も加えると3兆6791億円もの買い越しとなっていた。

 日本の債券市場は10月下旬あたりから上昇基調となっているが、この背景にはこのような海外投資家による根強い買いとともに、米国債の上昇があった。さらに債券先物はナイトセッションの出来高も多くなっていることから、海外投資家は債券先物にも仕掛け的な買いを入れていたように思われる。

 海外投資家が中短期債を主体に日本国債を購入しているのは、ドル円ベーシススワップの上乗せ金利が拡大していたことが背景にあった。ドルを円に替えて投資すると上乗せ金利が発生し、多少のマイナス金利でも利ざやが稼げるという仕組みとなっている。

 これに対して日本国内の投資家にとっては、すでに10年近い金利がマイナスとなっていることで、10年未満の国債で満期資金運用するとマイナスの収益となってしまう。このため、日銀担保などの用途以外ではマイナス金利となっている中短期債には投資しづらい環境にある。

 かろうじてプラスの金利となっている10年を超える国債の利回りでも、ここにきての急速な利回り低下で、さらに運用しづらい環境となっている。しかし、海外投資家は上乗せ金利が発生する限りは、積極的な日本国債の購入が可能となっている。

 念のため、これは政治的な何かしらの意図を持った買いではないとみられる。日本国債を政治目的で大量に保有してもあまり意味をなさないように思われる。

 そもそも最も日本国債を保有しているのは日本銀行であることで、海外投資家による買い占めといったことは起こりえない。それでも日本国債の保有者はかなり偏りつつあることも確かである。

 日本銀行による国債の大量買入が永遠に続くことは考えづらい。実際に日銀は14日に残存5年超10年以下の国債買入額を減額するなど買入額を減少させつつある。来年度の国債発行額は20年以下が減額される見込みともなっているため、日銀はさらに減額させてくるとみられるものの、それでもその存在感は大きい。

 日銀の日本国債の大量買入と状況次第では売り方に回りかねない海外投資家の日本国債の保有額の増額は、今後の出口政策をさらに困難にさせかねない。


by nihonkokusai | 2018-12-18 09:41 | 国債 | Comments(0)

ロクイチ国債の暴落

 読売新聞が国債に関する特集を組んでおり、28日に「JGB編 金利上昇、国債暴落の悪夢」との記事が読売新聞のサイトにもアップされた。

 「ロクイチ国債の暴落――。1978年度に発行された表面利率6.1%の10年物国債は、1980年に額面100円の価格が70円台まで下がった。直接の引き金となったのは日本銀行による利上げだ。」

 このあたり、私なりに少し解説してみたい。国債の流動化があまり進んでいなかったころに、国債は一度大きな暴落を経験した。それが、ロクイチ国債と呼ばれた国債の暴落である。1978年は当時とすれば低金利局面であり、4月にそれまで発行された10年国債の最低利率である利率6.1%(通称、ロクイチ国債)の国債が発行された。繰り返すが6%でも当時は超低金利となっていたのである。

 当時の国債発行はこの10年債が主体である。1979年6月に2年債が初めて発行されたが、これは個人向けを意識したものであった。20年債の発行は1986年10月からである。

 ただし、その10年債もそれほど流動性があったわけではない。当時の債券市場といえば電電公社(のちのNTT)や電力債、金融債の取引が多かった。それでも10年国債の利回りは長期金利としての指標の役割を担っていたと思われる。

 1979年4月以降、本格的な金利上昇局面となり、国債価格は大きく下落した。景気拡大や原油価格の上昇により、6月にロクイチ国債の利回りは9%を超えてきた。この国債の下落を受けて、国債市況対策として国債整理基金による国債の市中買入れがはじめて実施された。現在は日銀が大量の国債を保有しているが、これ以降、国債整理基金の国債保有額が大きくなっていく。12月には金融機関の保有国債の評価法が、従来の低価法から原価法または低価法の選択性となった。

 1980年に日銀は2月、3月と立て続けに公定歩合を引き上げ、長期金利も大きく上昇し、ロクイチ国債は暴落した。4月にロクイチ国債の利回りが12%台にまで上昇し、金融機関がパニック状況に陥ったのである。

 その後、米国金利の急激な低下などにより債券市況は急回復したが、ロクイチ国債の暴落は大蔵省(現財務省)の国債管理政策にも大きな影響を与えたと言われる。

 ちなみに私が債券市場に関わるようになったのは1986年であり、ロクイチ国債暴落の話は先輩に聞いた程度で、その場に接してはいなかった。債券市場の流動性が確保されるようになったのは、1985年に金融機関によるフルディーリング開始、同年の債券先物の上場がきっかけとなっている。


by nihonkokusai | 2018-11-29 09:31 | 国債 | Comments(0)

来年度の国債発行計画に対する議論

 11月20日に開催された国債市場特別参加者会合(第78回)議事要旨が財務省のサイトにアップされた。今回は来年度の国債発行計画についての意見交換を行ったようだが、それにあたって10月に開催された国の債務管理の在り方に関する懇談会における議論が紹介されていた。

 在り方懇での財務省側からの説明で、注目すべきポイントは下記あたりか。

 「近年の債務の長期化の結果、発行残高が増えているにも関わらず、借換債の発行額は減少しており、国債発行総額も減少。また、30年度補正予算において、建設国債が0.7兆円増額され、今年度の歳入となる国債発行総額も同額増加しているが、併せて来年度の借換債の前倒し発行を同額減額することとしたため、カレンダーベース市中発行額は変わらない。」

 「国債発行計画について、計画時点の見積もりと実績を比較すると、要調達額については、28年度のように、年度途中に経済対策があれば資金調達額が上振れるが、そうでなければ、計画時点で保守的な見積もりがなされるため、税収の上振れや歳出の不用等が生じ、実際に必要となる資金調達額は少なくて済むことが多い。」

 その結果として、前倒債の発行額は26年度末の28.8兆円から昨年度末の49.4兆円に増加している。カレンダーベース市中発行額についても、前倒債を活用してある程度抑制していくことが必要としている。つまりは50兆円規模のバッファーが存在することで、来年度のカレンダーベース市中発行額については減額が想定される。

 その減額について、国債市場特別参加者会合で議論されたわけであるが、総じて20年債以下の減額の余地ありとの見方が多くなっていた。

 「10年債、20年債を中心に発行を減額し、それに呼応する形で日銀買入オペが減額されることにより、マーケットの流動性が回復し、価格発見機能が強化されると考える。」

 上記のように日銀の国債買入の減額も加われば、多少なり市場流動性が回復するのではとの期待も出ていた。20年、10年、5年、2年あたりが減額対象となりそうである。

 「30年債、40年債は投資家需要に支えられており、発行額を減額した場合に日本銀行が買入額を減らせる余地が少ないため、発行額は維持してほしい。」

 上記の意見などもあり、30年と40年の減額は見送られるとみられる。

 ただし、「中期ゾーン、特にマイナス金利の5年債への需要が薄い。」との意見も出ていた。日銀によるマイナス金利政策の解除だけでも、かなり国債市場の機能は改善するとみられるのであるが。


by nihonkokusai | 2018-11-22 09:41 | 国債 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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