牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:国債( 832 )

米国債保有高、昨年11月も中国がトップ

 中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられ、これを受けて1月10日の米国の10年債利回りは一時2.6%近くまで上昇した。しかしその後、中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道について、誤った情報に基づいている可能性があるとの見解を示した。

 17日に米10年債利回りはあらためて2.59%まで上昇しており、中国の米国債への購入姿勢に関わらず、米10年債利回りは上昇地合となっていたといえる。それでも米国債の最大の保有国である中国の動向は気になるところではある。その動向を見る上でも、参考になるのが米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)である。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」

http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 17日に発表された最新版によると、11月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっていた。ただし、保有額そのものは減少していた、これは2位の日本も同様であった。

単位、10億ドル、()内は前月比増減

中国(China, Mainland)1176.6、-12.6

日本(Japan)1084.1、-9.9

アイルランド(Ireland)328.7、+16.3

ケイマン諸島(Cayman Islands )269.4、-0.5

ブラジル(Brazil)265.3、-4.7

スイス(Switzerland)250.9、-3.1

英国(United Kingdom)237.9、+12

ルクセンブルグ(Luxembourg )218.3、+0.4

香港(Hong Kong)194.9、+2.6

台湾(Taiwan)179.9、-1.8

 これだけでは中国が政策的に米国債保有額を減少させているとは言えない。11月には人民元と円がともに対ドルで上昇していたことも要因として指摘されている。また、中国と日本の減少分を、アイルランドと英国がそれ以上の規模で前月増加させている点も興味深い。このため全体は11月が6343.1、10月が6349.5となっており、それほど大きな減少とはなっていなかった。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-19 10:05 | 国債 | Comments(0)

中国政府は米国債投資の見直しを巡る報道を否定

 昔、日本の首相が「米国債を売ろうという誘惑に駆られたことはある」と発言し、これを受けて米国株式市場が急落したことがある。これは1997年6月23日に橋本龍太郎首相が、米コロンビア大学での講演を終えた後の質疑応答でのコメントであった。

 1998年末の運用部ショックと呼ばれた日本国債の急落に際し、生保などが日本国債の下落による損失を穴埋めするため米国債を売ってくるとの懸念を当時のルービン米財務長官が示し、その結果というか金利上昇抑制策として打ち出されたのが日銀による1999年2月のゼロ金利政策である。

 当時は日本が最大の米国債の保有国であったことで、米国市場への影響力が大きかったことが、これらによっておわかりいただけるかと思う。しかし、現在の米国債の最大保有国は中国である。正確には中国と日本がほぼ肩を並べ、他の国を大きく引き離しているのが現状である。

 その中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられ、これを受けて10日の米国の10年債利回りは一時2.6%近くまで上昇した。

 これを報じたブルームバーグによると「中国の外貨準備を見直す当局者らが米国債の購入を減らすか停止することを勧告したと、事情に詳しい関係者が述べた。」そうである。

 「同問題について公に発言する権限がないとして匿名を条件に語った関係者によると、中国当局者らは米国債が他の資産との比較で魅力が低くなったとみているほか、米国との貿易摩擦が米国債購入を減額したり停止したりする理由になるかもしれないと考えている。」ブルームバーグ

 特にここにきて米国債が他の資産との比較で魅力が低くなったということは考えづらい。もしかするとトランプ政権の中国への姿勢に対する警告との意味合いもあったのかもしれないが、現実には中国が大量に保有しているドルを米国債以外の資産に大きな規模で振り向けることも考えづらい。ドルの運用先として安全性、流動性等を考えれば特に中短期の米国債が対象となるのは必然である。それをたとえば欧州の国債に振り向けるとなれば、為替リスクも掛かる上、流動性という面では米国債には劣る。  

 政治的な要因があるのかどうか。それ以前に本当に中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討しているのかどうかは、かなり懐疑的な面があった。実際にその後、中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道について、中国政府筋は誤った情報に基づいている可能性があるとの見解を示した。

 ここにきて債券王と呼ばれたビル・グロース氏は債券の弱気相場入りを宣言し、新債券王と呼ばれるダブルライン・キャピタルの共同創業者ガンドラック氏も米国債券相場は弱気相場に本格的に入ると指摘していた。

 両者に指摘されるまでもなく、米10年債利回りは今回、節目とされる2.6%に接近し、チャート上ではここを大きく抜けると3%あたりまで上昇する可能性が出ている。そのようなタイミングでの今回の報道だけにいったいどこからそのような観測が出ていたのかも興味深い。

 ちなみに10日の米国債券市場では一時2.59%まで上昇した米10年債利回りは、当日の10年債入札が好調だったこともあり、前日比変わらずの2.55%まで戻していた。そして11日には2.53%に低下しており、それほど影響があったわけでもなかった。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-01-12 09:55 | 国債 | Comments(0)

国債発行額が予定より上振れしている理由

 11月22日に開催された国債市場特別参加者会合の議事要旨が財務省のサイトにアップされた。内容その1は「平成30年度国債発行計画について」となっていた。

 ここではまず、10月18日に開催された「国の債務管理の在り方に関する懇談会」での議論の紹介があった。ここでは、「中長期的な需給動向を分析し、供給側では近年、低金利環境の下で、将来の金利上昇リスクを抑制するため、短中期債の発行額を減額し、超長期債の発行額の増額を行ってきた」とあった。

 そして「近年、銀行が国債保有残高を減少させてきた一方、生命保険会社は超長期債の保有残高を増加させてきたことが、結果として、供給側の超長期債の残高の顕著な増加等と整合していたが、今後この構図が変化する可能性がある」との財務省からの指摘があった。

 国債市場特別参加者会合の議事要旨では「年限別の需要動向については、意見が分かれた。人口動態の変化に伴う投資家の需要変化の可能性等を踏まえ、超長期債を増額し中・短期債を減額してきた従来方針を見直す必要を指摘する見解が出された一方、超長期債への継続的な需要の存在や債務の長期化を継続する意義を指摘する意見もあった」とされているが、要するに今後は「短中期債の発行額を減額し、超長期債の発行額の増額」していた方針にブレーキを掛ける必要があるとの認識であると思われる。

 これについて国債市場特別参加者会合のメンバーからいろいろと意見が出されていた。財務省としては30年と40年の発行額の減額を意識しているとみられ、参加メンバーからも同意する意見が多くみられていた。

 さらに平成30年度国債発行計画の策定に当たって留意すべき点として以下の指摘が財務省から指摘されていた。

 「通常の入札による国債発行分を示す「カレンダーベース市中発行額」が2.7兆円上振れており、これが、結果として、「年度間調整分」の下振れ、すなわち前倒債の発行増の要因となっている。これは、カレンダーベース市中発行額を額面での発行を前提として積算してきたことによるもの。30年度計画においては、見積もりの適正化の観点から、オーバーパー発行となる分を見込んでカレンダーベース市中発行額を積算し、収入実績の上振れを抑制することが必要」

 これは何を指摘しているのかといえば、カレンダーベースの国債発行額が、当初見込んでいた金額より上振れしていたということを示している。カレンダーベースの発行額とは何ぞやとなるとさらに説明が必要だが、とにかくも入札によって発行される今年度の国債の額が当初見込みを2.7兆円上回ってしまっているということである。

 国債発行計画の見積もりは額面ベースで行っているが、実際の発行金額は落札価格によって異なってくる。もし発行価格が額面を上回ればその分、当初計画の発行金額を上回ることになる。日銀の異次元緩和による日銀の大量の国債買入やイールドカーブコントロールによって、オーバーパー、つまり額面を上回る発行が多くなっている。10年国債でみると2015年10月以降は額面を超える価格で応札されている。その分が、2.7兆円の上振れとなっているのである。

 この分は当初予定外の分であるために、前倒債の発行増として処理されるが、予想外の前倒し債の発行増となってしまうことになる。これを避けるために、「オーバーパー発行となる分を見込んでカレンダーベース市中発行額を積算」する必要性があるとしているのである。

 利付国債の最低利率が0.1%であることで、日銀のイールドカーブコントロールによって10年債利回りが0.1%以下に抑制されており、それにより必然的に10年債の価格が100円を超えてしまうことなどを想定して、市中発行額を積算する必要があるとの指摘であろう。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-11-26 18:20 | 国債 | Comments(0)

個人向け国債の販売が好調持続の理由

 財務省のサイトには個人向け国債のページがあり、その中に「個人向け国債の発行額の推移」をクリックすると発行額のデータがエクセルファイルで確認することができる。

 個人向け国債は今年3月の発行額が9315億円となり、ここがいったんピークとなり、4月の発行額は2030億円に落ち込んでいたが、これには販売する金融機関側の事情もあった。

 個人向け国債は証券会社やゆうちょ銀行を含む銀行などが販売している。その際に販売額に応じて、財務省は金融機関に募集発行事務取扱手数料を支払っている。それが2017年4月発行分(3月募集分)から下記のように引き下げられた。このため金融機関は、個人向け国債が人気化しているタイミングで、しかも手数料が高いうちに積極的に大量に販売しようと、現金を贈呈するといったキャンペーンを強化したものとみられる(キャンペーンの原資は下記手数料となる)。

固定3年額面100円あたり40銭が20銭に

固定5年額面100円あたり50銭が30銭に

変動10年額面100円あたり50銭が40銭に

 2016年度の個人向け国債の発行予定額は3種類合計で4兆5556億円となり、2015年の2兆1367億円から倍増し、2007年度の4兆6617億円以来、9年ぶりの高い水準となっていた。

 2008年度以降、低迷し続けていた個人向け国債の発行額が何故、2016年度は大きく増加したのか。個人向け国債の発行額が低迷していた最大の理由が利率の低さにあった。利率の低い状態は2016年度も続いたが、日銀が2016年1月にマイナス金利政策を導入したあたりから状況が変わってきた。

 さすがに預貯金金利はマイナスになることはなかったものの、0.01%程度に低下したままとなっていた。周りの金利が下がったことで、個人向け国債の最低保証金利の0.05%が相対的に魅力的なものとなったのである。これが個人向け国債発行額増加の最大の理由となろう。

 今年の4月以降も日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和策は継続しており、預金金利は低位のまま推移している。今年の4月の個人向け国債の販売額は3月の反動もあり、大きく減少し、5月も1895億円と減少していたが、ボーナス月となる6月募集の7月発行分は3256億円と3000億円台を回復していた。

 日銀による長短金利付き量的・質的緩和政策を受け、特に10年変動タイプに影響する10年債利回りは当面、ゼロ%近辺に押さえ込まれることになる。預貯金金利も0.01%近辺のまま推移するとなれば、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、相対的な優位さは継続する。このため金融機関の販売に対するインセンティブは手数料の引き下げで多少後退しても、個人投資家によるニーズの強さに変化はないとみられる。

 今回の衆院選挙の与党圧勝により、日銀の異次元緩和はさらに継続される見込みとなっている。低金利が継続され、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、個人向け国債の人気は継続するとみられる。来年度の国債発行計画のなかでも、個人向け販売分は今年度計画の3兆円程度になると予想される。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-10-25 09:50 | 国債 | Comments(0)

個人向け国債の販売が好調持続の理由

 財務省のサイトには個人向け国債のページがあり、その中に「個人向け国債の発行額の推移」をクリックすると発行額のデータがエクセルファイルで確認することができる。

 個人向け国債は今年3月の発行額が9315億円となり、ここがいったんピークとなり、4月の発行額は2030億円に落ち込んでいたが、これには販売する金融機関側の事情もあった。

 個人向け国債は証券会社やゆうちょ銀行を含む銀行などが販売している。その際に販売額に応じて、財務省は金融機関に募集発行事務取扱手数料を支払っている。それが2017年4月発行分(3月募集分)から下記のように引き下げられた。このため金融機関は、個人向け国債が人気化しているタイミングで、しかも手数料が高いうちに積極的に大量に販売しようと、現金を贈呈するといったキャンペーンを強化したものとみられる(キャンペーンの原資は下記手数料となる)。

固定3年額面100円あたり40銭が20銭に

固定5年額面100円あたり50銭が30銭に

変動10年額面100円あたり50銭が40銭に

 2016年度の個人向け国債の発行予定額は3種類合計で4兆5556億円となり、2015年の2兆1367億円から倍増し、2007年度の4兆6617億円以来、9年ぶりの高い水準となっていた。

 2008年度以降、低迷し続けていた個人向け国債の発行額が何故、2016年度は大きく増加したのか。個人向け国債の発行額が低迷していた最大の理由が利率の低さにあった。利率の低い状態は2016年度も続いたが、日銀が2016年1月にマイナス金利政策を導入したあたりから状況が変わってきた。

 さすがに預貯金金利はマイナスになることはなかったものの、0.01%程度に低下したままとなっていた。周りの金利が下がったことで、個人向け国債の最低保証金利の0.05%が相対的に魅力的なものとなったのである。これが個人向け国債発行額増加の最大の理由となろう。

 今年の4月以降も日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和策は継続しており、預金金利は低位のまま推移している。今年の4月の個人向け国債の販売額は3月の反動もあり、大きく減少し、5月も1895億円と減少していたが、ボーナス月となる6月募集の7月発行分は3256億円と3000億円台を回復していた。

 日銀による長短金利付き量的・質的緩和政策を受け、特に10年変動タイプに影響する10年債利回りは当面、ゼロ%近辺に押さえ込まれることになる。預貯金金利も0.01%近辺のまま推移するとなれば、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、相対的な優位さは継続する。このため金融機関の販売に対するインセンティブは手数料の引き下げで多少後退しても、個人投資家によるニーズの強さに変化はないとみられる。

 今回の衆院選挙の与党圧勝により、日銀の異次元緩和はさらに継続される見込みとなっている。低金利が継続され、個人向け国債の最低保障利回りの0.05%の見直し等がない限りは、個人向け国債の人気は継続するとみられる。来年度の国債発行計画のなかでも、個人向け販売分は今年度計画の3兆円程度になると予想される。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-10-25 09:50 | 国債 | Comments(0)

中国による米国債への買い越し続く

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、8月の国別の米国債保有高のトップは中国が3か月連続のトップとなった。さらに中国の米国債の買い越しは7か月連続となった。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 8月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆2005億ドルとなった。2位は日本で1兆1017億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1200.5

日本(Japan)  1101.7

アイルランド(Ireland)  307.2

ブラジル(Brazil)  273.6

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 260.0

スイス(Switzerland)  248.3

英国(United Kingdom) 225.4

ルクセンブルグ(Luxembourg )213.4

香港(Hong Kong)  197.3

台湾(Taiwan) 180.4

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、8月も2位のままとなった。中国は7月から345億ドル増加させたが、日本は114億ドル減少させていた。

 中国の外貨準備高は7か連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、8月末の外貨準備高は3兆915億ドルとなっていた。7月から108億ドル増え、7か月連続で増加した。これも中国による米国債買入の原資のひとつとなっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 米10年債利回りの推移をみると8月ほぼ一環して低下傾向となり(価格は上昇)、9月8日頃に2%近くまで低下していた。8月の利回り低下は中国による買いも影響していたとみられるが、日本は利回りが低下する過程で利益確定売りを入れていたようである。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-10-24 09:35 | 国債 | Comments(0)

壊されたJGBアラート、財政規律を無視するな

 9月22日に財務省で国債市場特別参加者会合が開催された。国債市場特別参加者とは、いわゆるプライマリー・ディーラーであり、まさに国債市場の専門家集団ともいえる。今回はこの会合の議事要旨から、「最近の国債市場の状況と今後の見通しについて」との意見のなかから特に財政規律に関する発言をピックアップしてみた。

 「(国債の)価格発見機能については、財政拡大という話が出た際に、本来、利回りが上がって、そういった動きをけん制する機能があったところ、現在のマーケットの中には見られない。こうした状況が長期化するに従って、本来あるべき価格との乖離が大きくなっていく。こうした事態をこのまま見過ごしていいのかという懸念は絶えず持っている。」

 「足元、政府が本来よりもはるかに安い金利でファンディングできる環境にあり、この間に財政健全化を進めること、金融政策の正常化が進められた場合に十分に対応できるよう市場環境を整備すること、年限毎の国債発行残高の構成を検討すること等の政策を是非積極的に実施してほしい。」

 「昨日に中国の国債の格付が引き下げられたが、将来的に日本国債の大幅な格下げがあると、金融機関の外貨ビジネスの活路が断たれてしまう。財政健全化に向けた動きは緩めるべきではない。」

 「市場の発信機能の低下が挙げられる。本来、財政規律、景気の好不調、今後の経済見通し等に対して、市場は様々なサインを発信するが、ボラティリティが低下していることによって、市場の発信機能が低下している。金融当局及び発行当局は、市場からのサインを見て政策判断を行っていくことが望ましいが、発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている。」

 安倍首相は25日の午後6時から記者会見を開き、28日召集の臨時国会の冒頭で衆院を解散する考えを表明した。消費税の増収分の使途変更を表明した上で、2兆円規模の新たな経済対策を年内に策定する意向を示した。

 アベノミクスと呼ばれたリフレ政策は国債そのものが道具にされた。日銀が国債を大量に買い入れることで物価上昇を狙ったが、そんな簡単に物価が上がるものではなく、国債市場の機能不全と実態経済に即しない長期金利の押さえ込まれた状態が続いている。

 このような状況は非常時に行うべきものであるはずなのにも関わらず、日本の景気は「いざなぎ」を超えた可能性が高いそうである。これが日銀の異次元感のおかげと判断するのは勝手だが、それならそれで結果が出ているのであれば日銀の異次元緩和を緩めても良いのではなかろうか。

 今回の選挙はそんな歪んだ状況を修正してくれる選挙になるのではとの期待があった。しかし、台風の目となりそうな希望の党も景気が実感を伴って回復するまでの消費増税の凍結を打ち出している。そうなると現在の日銀の異次元緩和ありきの政策が想定される。これがどのようなリスクを含んでいるのかは、上記の国債市場参加者の発言をみればわかろう。財政リスクはないのではなく、力尽くで見せなくしているだけである。国債の価格発見機能も日銀によって押さえ込まれている。

 発信機能が低下していくことによって、結果として政策判断を間違えるリスクが高まっている、との指摘があったが、今回の選挙でも政策判断を間違える可能性は十分にありうる。この前提にあるのが国債市場がおとなしくしてくれていれば、ということになろう。そうしたいのであれば、まずは財政規律を維持することを重視すべきで、それを最も重視しているのが、リフレ政策を採用していた安倍首相という皮肉な状態となっている。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-09-27 09:51 | 国債 | Comments(0)

日銀は日本国債の4割を保有

 日銀は9月21日に資金循環統計(4~6月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は6月末時点で約1832兆円となり、株価の上昇傾向などを背景に過去最高を更新した。3月末時点では約1808兆円となっていた(改定値)。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が「前年比」で2.6%増の約945兆円となった。株式等が同22.5%増の約191兆円、投資信託も15.6%増の約100兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は401兆8899億円、41.3%のシェアとなった。前期比(速報値)からは15兆1143億円の増加。残高2位の保険・年金基金は233兆2975億円(24.0%)、6999億円減。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で182兆1565億円(18.7%)、7兆8609億円減。4位が海外投資家で57兆3831億円(5.9%)、8147億円増。5位が公的年金の46兆8594億円(4.8%)、2兆1544億円減。6位が家計の12兆2544億円(1.3%)、2719億円減。その他が39兆586億円(4.0%)、3096億円増となっていた。

 2017年3月末に比べ国債(短期債除く)の残高は5兆2515億円増加し、972兆8994億円となった。

 3月末に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀でシェアは4割を上回っている。今回も前期比で増加したのは「海外」と「その他」となっていた。

 3月末に比べて大きく減少したのは国内銀行で3兆7886億円の減少となっていた。また、中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)も減少させており、3兆5881億円の減少となった。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1085兆円となり、日銀が約437兆円で40.3%のシェアとなっていた。短期債を含めたもので40%を超えたのははじめてとなった。そして海外勢の残高は約117兆円と短期債を含めると国債全体の10.8%のシェアとなっていた。海外については、世界最大の政府系ファンドが日本国債の保有額を削減するとしており、今後保有シェアが後退する可能性がある。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-09-23 15:22 | 国債 | Comments(0)

米国債保有高、中国がトップをキープ

 米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、7月の国別の米国債保有高のトップは2か月連続のトップとなり、日本は2位のままとなった。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 7月の中国(China、Mainland)の米国債保有高は1兆1660億ドルとなった。2位は日本で1兆1131億ドルの保有高となった。上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)

中国(China, Mainland)  1166.0

日本(Japan)  1113.1

アイルランド(Ireland)  310.8

ブラジル(Brazil)  271.9

ケイマン諸島(Cayman Islands ) 259.2

スイス(Switzerland)  244.8

英国(United Kingdom) 229.7

ルクセンブルグ(Luxembourg )213.0

香港(Hong Kong)  199.1

台湾(Taiwan) 182.5

 ベスト10の顔ぶれは前回と同じで順位にも変化はなかった。日本は昨年10月に中国を抜いて米国債保有額でトップとなっていたが、今年6月に再び中国に抜かれ、7月も2位のままとなった。日本も中国も6月からそれぞれ2230億ドル、1950億ドル増加させたが順位に変動はなかった。

 中国の外貨準備高は6か連続で増加し、7月には3兆ドルを突破し、3兆800億ドルに達した。これが中国による米国債買入の原資となっていることは確かである。為替介入(ドル売り元買い)が減少してきたことも影響しているようである。

 米10年債利回りの推移をみると7月7日の2.4%近辺をピークに低下(価格は上昇)傾向となり、9月8日頃に2%近くまで低下していた。このため、8月も引き続き米国債の保有額を日本、中国ともに増やしている可能性がある。問題は金利が上がりだした9月の動向になると思われる。


[PR]
by nihonkokusai | 2017-09-20 09:50 | 国債 | Comments(0)

財政リスクを見えづらくさせている日銀の長期金利操作

 財務省は2018年度の概算要求で、国債の元利払いに必要な想定金利を1.2%に設定する。17年度予算の概算要求時点から0.4%引き下げる。国債費は足元で国の一般会計の4分の1を占める巨額な歳出項目で、社会保障費に次ぐ。現段階での国債費の見込み額は、23兆8214億円(日本経済新聞の記事より)。

 日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和により、長期金利も日銀のコントロール下に置かれた。2%の物価目標を達成させるためのひとつの手段とし、その10年物国債金利(長期金利)がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行うとしている。

 長短金利操作付き量的・質的緩和の導入以降の長期金利の動向とそれに対応した日銀による指し値オペなどを含む買入状況をみると、このゼロ%程度というのはマイナス0.1%あたりからプラス0.1%あたりのレンジとなっていると予想されている。

 金融政策の目標となっている消費者物価指数(除く生鮮食料品)の前年比は直近に発表された6月の数字でプラス0.4%となり、2%には届いていない。2%程度に達する時期について、2018年度頃になる可能性が高いと日銀は指摘している(7月発表の経済・物価情勢の展望より)。

 物価目標は来年度中に達成する見込みがないことを日銀が示している以上は、今後は何かしらの変動要因が生じるようなことがない限り、長期金利は0.1%以下に抑えられる可能性が高いともいえる。

 これを反映して財務省は国債の元利払いに必要な想定金利を1.2%に引き下げた。それでもまだ高い水準にはある。これは、あらかじめ想定金利を高めに設定することで「余裕財源を確保する」という目的も意識か(日経新聞の記事より)。

 また、日銀が長期金利をコントロールしているとはいえ、長期金利が市場で決定されている以上はブラックスワンリスクも存在し、日銀が抑えきれなくなる事態も可能性は極めて低いながらも存在する。

 原油価格の急騰といった何かしらの事態で物価そのものが跳ね上がる可能性もまったくないわけではない。このためある程度、実勢に比べて余裕を持ち高めに設定しているものと思われる。

 長期金利が極めて低い水準で抑えられていることで、結果として利払い費も抑えられている。今後長期金利が上昇してくるとなれば、国債残高が過去最高水準を更新続けている現状下、大きな負担になることも予想される。

 国債残高が膨れあがる過程で、長期金利はじりじりと低下基調となっていることで、国の予算のなかでの国債の利払い費は抑えられている。ここで長期金利が上昇してくるとなれば、じわりじわりと国の予算を圧迫する事態も予想される。日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和はそういったリスクも見えなくさせており、この点も注意しておく必要は当然あろう。



[PR]
by nihonkokusai | 2017-08-24 10:08 | 国債 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー