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カテゴリ:国債( 850 )

ロクイチ国債の暴落

 読売新聞が国債に関する特集を組んでおり、28日に「JGB編 金利上昇、国債暴落の悪夢」との記事が読売新聞のサイトにもアップされた。

 「ロクイチ国債の暴落――。1978年度に発行された表面利率6.1%の10年物国債は、1980年に額面100円の価格が70円台まで下がった。直接の引き金となったのは日本銀行による利上げだ。」

 このあたり、私なりに少し解説してみたい。国債の流動化があまり進んでいなかったころに、国債は一度大きな暴落を経験した。それが、ロクイチ国債と呼ばれた国債の暴落である。1978年は当時とすれば低金利局面であり、4月にそれまで発行された10年国債の最低利率である利率6.1%(通称、ロクイチ国債)の国債が発行された。繰り返すが6%でも当時は超低金利となっていたのである。

 当時の国債発行はこの10年債が主体である。1979年6月に2年債が初めて発行されたが、これは個人向けを意識したものであった。20年債の発行は1986年10月からである。

 ただし、その10年債もそれほど流動性があったわけではない。当時の債券市場といえば電電公社(のちのNTT)や電力債、金融債の取引が多かった。それでも10年国債の利回りは長期金利としての指標の役割を担っていたと思われる。

 1979年4月以降、本格的な金利上昇局面となり、国債価格は大きく下落した。景気拡大や原油価格の上昇により、6月にロクイチ国債の利回りは9%を超えてきた。この国債の下落を受けて、国債市況対策として国債整理基金による国債の市中買入れがはじめて実施された。現在は日銀が大量の国債を保有しているが、これ以降、国債整理基金の国債保有額が大きくなっていく。12月には金融機関の保有国債の評価法が、従来の低価法から原価法または低価法の選択性となった。

 1980年に日銀は2月、3月と立て続けに公定歩合を引き上げ、長期金利も大きく上昇し、ロクイチ国債は暴落した。4月にロクイチ国債の利回りが12%台にまで上昇し、金融機関がパニック状況に陥ったのである。

 その後、米国金利の急激な低下などにより債券市況は急回復したが、ロクイチ国債の暴落は大蔵省(現財務省)の国債管理政策にも大きな影響を与えたと言われる。

 ちなみに私が債券市場に関わるようになったのは1986年であり、ロクイチ国債暴落の話は先輩に聞いた程度で、その場に接してはいなかった。債券市場の流動性が確保されるようになったのは、1985年に金融機関によるフルディーリング開始、同年の債券先物の上場がきっかけとなっている。


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by nihonkokusai | 2018-11-29 09:31 | 国債 | Comments(0)

来年度の国債発行計画に対する議論

 11月20日に開催された国債市場特別参加者会合(第78回)議事要旨が財務省のサイトにアップされた。今回は来年度の国債発行計画についての意見交換を行ったようだが、それにあたって10月に開催された国の債務管理の在り方に関する懇談会における議論が紹介されていた。

 在り方懇での財務省側からの説明で、注目すべきポイントは下記あたりか。

 「近年の債務の長期化の結果、発行残高が増えているにも関わらず、借換債の発行額は減少しており、国債発行総額も減少。また、30年度補正予算において、建設国債が0.7兆円増額され、今年度の歳入となる国債発行総額も同額増加しているが、併せて来年度の借換債の前倒し発行を同額減額することとしたため、カレンダーベース市中発行額は変わらない。」

 「国債発行計画について、計画時点の見積もりと実績を比較すると、要調達額については、28年度のように、年度途中に経済対策があれば資金調達額が上振れるが、そうでなければ、計画時点で保守的な見積もりがなされるため、税収の上振れや歳出の不用等が生じ、実際に必要となる資金調達額は少なくて済むことが多い。」

 その結果として、前倒債の発行額は26年度末の28.8兆円から昨年度末の49.4兆円に増加している。カレンダーベース市中発行額についても、前倒債を活用してある程度抑制していくことが必要としている。つまりは50兆円規模のバッファーが存在することで、来年度のカレンダーベース市中発行額については減額が想定される。

 その減額について、国債市場特別参加者会合で議論されたわけであるが、総じて20年債以下の減額の余地ありとの見方が多くなっていた。

 「10年債、20年債を中心に発行を減額し、それに呼応する形で日銀買入オペが減額されることにより、マーケットの流動性が回復し、価格発見機能が強化されると考える。」

 上記のように日銀の国債買入の減額も加われば、多少なり市場流動性が回復するのではとの期待も出ていた。20年、10年、5年、2年あたりが減額対象となりそうである。

 「30年債、40年債は投資家需要に支えられており、発行額を減額した場合に日本銀行が買入額を減らせる余地が少ないため、発行額は維持してほしい。」

 上記の意見などもあり、30年と40年の減額は見送られるとみられる。

 ただし、「中期ゾーン、特にマイナス金利の5年債への需要が薄い。」との意見も出ていた。日銀によるマイナス金利政策の解除だけでも、かなり国債市場の機能は改善するとみられるのであるが。


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by nihonkokusai | 2018-11-22 09:41 | 国債 | Comments(0)

8月に中国の米国債保有額が減少したのは、政治的な要因ではないと思われる理由

今年8月現在の米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)が米国の財務省のサイトにアップされた。

米国債国別保有高(米財務省)

 これによると、引き続きトップは中国で日本は2位となっている。8月の中国による米国債の保有額は1兆1651億ドルとなり、7月の1兆1710億ドルに比べて59億ドル減少し、昨年12月の1兆1682億ドル以来の低水準となっている。

 7月に米国のトランプ大統領は中国からの輸入品340億ドルへの追加関税を発動した。この対抗措置として中国は米国債を売却したのでは、との思惑も出ていたようだが、これについては疑問である。

 2位となっていた日本も8月は1兆299億ドルと7月の1兆355億ドルから56億ドル減少させていた。水準とすれば5月の1兆304億ドルを下回り、ここ1年で最も少なかった。日本が特に米国に何かしら対抗措置を取ることは考えづらい。

 中国の外貨準備高は8月に小幅ながら減少した。中国では米国債投資の原資ともなる外貨準備高と米国債残高がある程度連動している。

 8月の米国債の値動きをみると7月下旬あたりにかけて下落していたものの、8月は総じて価格は上昇基調となっており、このタイミングで中国や日本は利食い売りを入れてきたとの見方もできる。

 たしかにロシアによる米国債保有高については、3月の961億ドルから4月の487億ドル、5月には149億ドルに急減していた。8月現在にはランク外ともなっており、こちらは政治的な意味合いがあった可能性はある。

 しかし、今回の中国の米国債保有高の減少については、外貨準備高や米国債相場そのものによるものとみておいたほうが良さそうである。

 ちなみにサウジアラビアは1695億ドルの米国債を保有しており、第10位となっている。


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by nihonkokusai | 2018-10-18 09:44 | 国債 | Comments(0)

6月末の投資家別の国債保有額、国内銀行が大きく残高を削減

 日銀は9月20日に資金循環統計(4~6月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は6月末時点で約1848兆円となり、3月末の約1829兆円からは回復した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.0%増の約971兆円となった。株式等が同8.8%増の約203兆円、投資信託は0.9%増の約73兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は445兆9347億円、44.6%のシェアとなった。前期比(速報値)からは8兆6566億円の増加となる。3月末から6月末の増加額10兆435億円に比べると増加額は減少していた。

 残高2位の保険・年金基金は237兆2468億円(23.7%)、7903億円増。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で158兆8391億円(15.9%)、12兆4434億円減。

 残高4位が海外投資家で61兆4576億円(6.1%)、1兆9265億円増。

 残高5位が公的年金の45兆9584億円(4.6%)、9275億円減。

 残高6位が家計の12兆6150億円(1.3%)、2327億円増。

 その他が37兆7009億円(3.8%)、5兆8377億円増となっていた。

 2018年3月末に比べ国債(短期債除く)の残高は4兆719億円増の999兆7525億円となった。短期債を除いた国債残高が1000兆円に迫った。3月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは4割を上回っている。今回、前期比で大きく減少したのは預金取扱機関(都銀や地銀など)で12兆円も削減していた。内訳で見ると国内銀行が9兆9087億円減少となっており、都銀などが大きく削減させたとみられる。その他は5兆8377億円増となったが、内訳で見るとディーラー・プローカーが5兆9385億円の増加させていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1100兆円となり、日銀が約465兆円で42.3%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約126兆円と短期債を含めると国債全体の11.5%のシェアとなっていた。


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by nihonkokusai | 2018-09-21 09:57 | 国債 | Comments(0)

ロシアは米国債保有国のランク外に

 米国の財務省が公表した米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、ついにランキング(31位以内)からロシアが姿を消していた。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」

http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 これによると6月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっていた。6月時点の中国の米国債保有額は1兆1787億ドルとなった。

 今回も2位となっていた日本による3月の米国債保有額は1兆304億ドルとなっていたが、これは2011年10月以来の低水準となるようである。

 さて問題のロシアによる米国債保有高であるが、3月の961億ドルから4月の487億ドル、5月には149億ドルに急減していたが、今回はランキング(31位以内)そのものから姿を消していた。

 ここに来て大量売却に踏み切った背景には米国が打ち出した厳しい追加制裁とされる。ロシアによる米国債の大量売却は制裁強化で米国債の取引が制限されるのを警戒し、打撃を防ぐ狙いとみられる(7月19日日本経済新聞)。

 ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は米国債売却の狙いについて、外貨準備を多角化する政策の一環と発言していたようだが、政治的な要因が大きいように思われる。

 米国が最も圧力をかけている中国に関しては、保有する米国債を売却するとの観測が出ていたものの、いまのところそのような動きはない。しかし、ロシアのようにいずれ中国が保有する米国債を売却してくる可能性もありうるか。

単位、10億ドル、()内は前年比増減

トップ10

中国(China, Mainland)1178.7

日本(Japan)1030.4

ブラジル(Brazil)300.1

アイルランド(Ireland)299.6

英国(United Kingdom)274.0

スイス(Switzerland)236.5

ルクセンブルク(Luxembourg)219.7

ケイマン諸島(Cayman Islands)197.2

香港(Hong Kong)196.1

サウジアラビア(Saudi Arabia)164.9


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by nihonkokusai | 2018-08-17 09:44 | 国債 | Comments(0)

長期金利の上昇を受けて、個人向け国債(変動タイプ)の利子も上昇

 日銀が7月31日に金融政策の微調整を行ったことにより、思わぬところに影響が出ていた。個人向け国債の10年変動タイプの初期利子が、これまで最低保障の0.05%にへばりついていたものから、0.09%(税引き前)に上昇したのである。

 10年変動タイプの初期利子が最低保障利回りの0.05%から上昇したのは、2016年2月の0.17%以来となる。

 2016年1月の金融政策決定会合で日銀はマイナス金利付き量的・質的緩和の導入を決定した。これで長期金利は抑え込まれ、同年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の決定によって、完全に長期金利はゼロ近辺に押しつぶされてしまった。

 これにより国債市場の流動性が後退し、市場機能が低下した。これを危惧して日銀は7月31日の金融政策決定会合で、長期金利のプラス0.2%あたりまでの上昇を容認することになったのである。

 長期金利、つまり日本の10年債利回りは8月2日に0.145%まで上昇した。ちょうどこの日は10年国債の入札日であった。

 個人向け国債の10年物変動金利タイプは、10年国債の流通利回りによって利子が変動する。今回の8月募集分については8月2日の10年国債の入札結果に応じて初期利子が決定される仕組みとなっていた。ただし、8月募集分の個人向け国債を購入してすぐに利子がもらえるわけではなく、半年先に払われる利子がこの入札結果で決定される。

 8月2日の10年国債の入札での平均落札利回りは0.126%。ここから算出された個人向け国債の初期利子が0.09%(税引き前)となった。ちなみに7月3日の10年国債入札における平均落札利回りは0.037%となっており、この時点で最低保障利回りの0.05%に届いていなかった。

 個人向け国債は通常の国債のように利回り変動に応じて価格は変動しない。つまり国債利回りの上昇によって価格が下落することはない。10年変動タイプは10年国債の入札時の利回りに応じて利子が変わる仕組みになっており、上昇すればするほど得られる利益が高くなる。

 ただし、3年固定、5年固定については今回も最低保障利回りの0.05%のままである。今回の日銀の政策の微調整で長期金利は上昇したものの、短期金利はそのままであった。5年国債の利回りは依然としてマイナスのままとなっている。

 今後も10年債利回りについては0.1%を超えて推移する可能性は高いとみられる。それでなくとも元本保証、最低保障金利が設定されている有利な金融商品といえる個人向け国債の優位性がさらに高まる可能性がある。


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by nihonkokusai | 2018-08-15 09:36 | 国債 | Comments(0)

1兆円を超える過去最大級の日本国債の空売りの背景

 日銀は7月30、31日の金融政策決定会合で「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決定した。フォワードガイダンスを導入するなど緩和強化にも見えるが、長期金利の誘導レンジを±0.1から±0.2%に拡大させることが主眼となっていた。

 日銀が金融政策の柔軟化を検討していることが、20日の夜11時頃に時事通信やロイターが報じ、債券市場はこれを受けて臨戦態勢に入った。それまで一日に数銭しか動かなかった債券先物が20日のナイトセッション(夜間取引)で57銭も動いた。これは主に海外投資家による動きとみられたが、23日の東京市場でも債券先物は38銭動き、国内の市場関係者も日銀による長期金利操作レンジ引き上げに向けてシフト体制を講じてきた。

 これに対し日銀は決定会合前であり、あくまで観測が出ているだけでともいえることで、思惑的な動きを封じる構えをみせた。23日に10年債カレントの水準の0.11%で「指し値オペ」をオファーした。このときの指し値オペの応札額は、長期金利の上昇が0.09%止まりとなっていたことでゼロであった(利回りが0.11%以上でなければ日銀に売却する必要はない。市場で売った方が良い)。

 27日にはあらためて10年債利回りの上限を試すような動きとなり、10年債利回りは前場に0.105%まで上昇した。これを受けて、この日の14時に日銀は10年債カレントで「0.11%」ではなく「0.10%」で指し値オペをオファーした。この際の応札額は940億円あった。0.11%ではなく0.10%にしたことで応札があったわけではあるが、0.10%にしたのは指し値オペは可変であると示したのではないかとも憶測された。

 決定会合初日となる30日にも市場は10年債利回りの上限を試すことになる。後場に入り13時26分に日本相互証券で10年債利回りが0.110%に上昇した。0.110%を付けたのは昨年2月以来となる。14時に日銀は10年債カレント利回りの0.100%水準で指し値オペをオファーした。このときの応札額、つまり指し値オペは全額落札されるので応札額・落札額は、なんと1兆6403億円もあったのである。

 これはいったい何か。それについては、やはり日銀のオペレーションで明らかになる。

 31日に日銀は「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決定。このタイトルと「フォワードガイダンス」に反応してしまったのか、10年債利回りはこの日0.090%から0.045%に低下した。つまり大きく買い戻された。債券先物も安値の150円24銭から150円80銭まで買い戻された。

 30日の1.6兆円もの指し値オペの応札は、売り手となる業者のショート(空売り)ではないかとも観測され、こういったショートのカバー(買い戻し)が入ったとの見方があった。私はむしろ債券先物でHFTと呼ばれる取引手法での買い戻しの動きが主体ではないかと見ていた(実際にどうであったのかは手口情報が開示されていないのでわからない)。

 注目すべきは、31日の日銀による国債補完供給(国債売現先)の結果であった。日銀による国債補完供給オペとは、日銀による大量の国債買入により流動性に支障が出る懸念があり、1日に限り、日銀が国債を現先方式で貸し出すというものである。

 31日の国債補完供給(国債売現先)では1兆4246億円もの応札があり、そのうち10年債では349回1634億円、350回3766億円、351回7964億円落札された。むろんこのような大きな金額での国債補完供給はレアケースである。

 つまりこれは31日に1兆円以上も指し値オペで応札した市場参加者(業者?)が、やはりショート(空売り)していたということになる。ちなみにこの際の指し値オペは349回、350回、351回が該当していた。これはつまり、日銀の国債補完供給を使って、次の10年国債の入札日までショートを繋ごうとしていたことになる。

 1兆円を越す日本国債の現物債での空売りがあったとすれば過去最大級となる。日銀の政策調整により、10年債利回りの上昇に賭けたトレードということになろう。

 8月1日の国債補完供給では、10年349回1215億円、350回2273億円、351回7306億円の落札額となっていた。ショートした参加者は少し市場から買い戻しを入れていたことがわかる。それでもまだ大きなショートは残っていた。

 そして8月2日には10年国債の入札が行われた。このとき入札されたのはリオープン(再発行形式の発行)の351回であり、7000億円規模の351回のショートはこの入札によってカバー(買い戻し)されたとみられる。

 2日の国債補完供給の10年債は340回が470億円、349回805億円、350回2076億円、351回7152億円となっていた。ちなみに2日の入札された351回債の発行日は3日である。この日までショートを繋ぐ必要があった。

 3日の国債補完供給はトータルで2444億円となっていた。10年債は339回50億円、340回399億円、342回16億円、346回8億円、349回603億円、350回1308億円。351回は入札でカバーしたものの、349回と350回はまだカバーしきれていなかったようである。

 このように、どこかの業者?が今回の日銀の政策修正を睨んで大規模な空売りを仕掛けていたようである。これに対して日銀は、国債補完供給の利用を前提とした国債買入の応札はしないように業者に向けて注意を促したようである。

 業者とよばれる証券会社が1兆円を越す空売りを仕掛けていたとして、なぜそのような規模の空売りが可能となったのか。国債の発行額が巨額となっていることに加え、日銀による長短金利操作付き量的・質的緩和で国債の値動きが抑えられていたこともあり(ボラティリティの低下)、大手証券などは数兆円規模の国債保有が可能となっているとみられる。このため、1兆円を越す取引もできるようになっているのではないかと推測されるのである。


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by nihonkokusai | 2018-08-10 09:56 | 国債 | Comments(0)

3月末現在の日本国債の最大保有者は日銀、海外は残高が減少

 日銀は6月20日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は3月末時点で約1829兆円となり、株価の上昇傾向などを背景に過去最高を更新した12月末時点からは減少した。12月末比でみると1月から3月にかけて日経平均は下落しており、その影響を受けたとみられる。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.3%増の約961兆円となった。株式等が同11.7%増の約199兆円、投資信託も1.4%増の約73兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は437兆2791億円、43.9%のシェアとなった。前期比(速報値)からは10兆435億円の増加となる。

 残高2位の保険・年金基金は236兆4565億円(23.7%)、2兆8786億円増。

 残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で171兆2825億円(17.2%)、5兆193億円増。

 残高4位が海外投資家で59兆5311億円(6.0%)、2737億円減。

 残高5位が公的年金の46兆8859億円(4.7%)、1兆343億円増。

 残高6位が家計の12兆3823億円(1.2%)、85億円減。

 その他が31兆8632億円(3.2%)、11兆1856億円減となっていた。

 2017年12月末に比べ国債(短期債除く)の残高は7兆5079億円増の995兆6806億円となった。短期債を除いた国債残高が1000兆円に迫っている。12月末に比べて大きく増加したのは、国債を大量に買い入れている日銀で、シェアは4割を上回っている。今回、前期比で大きく減少したのはその他の11兆1856億円減となった。内訳で見るとディーラー・ブローカーが11兆3913億円の減少となっていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1097兆円となり、日銀が約459兆円で41.8%のシェアとなっていた。海外勢の残高は約120兆円と短期債を含めると国債全体の10.9%のシェアとなっていた。海外の長期債保有が減少しており、こちらの今後の動向にも注意したい。


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by nihonkokusai | 2018-06-28 09:28 | 国債 | Comments(0)

4月のロシアによる米国債の保有高が前月から半減したのは政治目的なのか

 米国の財務省が先日公表した米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、4月にロシアが保有している米国債を大量に売却し、保有額が半減していた。ちなみに中国による米国債の保有額については小幅な減少に止まっていた。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」

http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 これによると4月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国。4月時点の中国の米国債保有額は1兆1819億ドルとなり、3月の1兆1877億ドルから58億ドル減少していた。

 今年1月に中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられたが、その後中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道は否定した。3月に中国の駐米大使が米国債の購入減額について「あらゆる選択肢を検討している」と含みを持たせた。つまり、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段を講じる可能性を示した。

 中国による米国債の保有高は今年1月は昨年12月に比べて減少していたが、2月と3月は「増加に転じ」昨年12月の水準に戻した。4月にやや減少させていたものの、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段は講じられてはいない

 中国の3月末の外貨準備高は前月比90億ドル増の3兆1430億ドルと再び増加に転じていた。しかし、4月は再び減少し3兆1200億ドルとなっていたことで、4月の中国による米国債保有高の減少はこれで説明がつきそう。

 今回も2位となっていた日本による3月の米国債保有額は1兆312億ドルと2月の1兆435億ドルから123億ドルの減少となっていた。

 さて問題のロシアによる米国債保有高であるが、4月は487億ドルと3月の961億ドルから474億ドルの減少となっていた。日経QUICKニュース(NQN)によると、「米国がロシアのアルミ大手ルサールへの経済制裁を打ち出すなど、2016年の米大統領選への介入疑惑やシリア問題を巡り米ロ関係が急速に悪化した時期と重なる」とされる。

 しかし、政治的な配慮によってロシアによる米国債保有高を減少させたとなると、さらに米国とロシアの関係悪化に火が付きかねない。日経QUICKニュース(NQN)の記事でも指摘されていたが、ロシア政府がルーブル買い・ドル売りの原資確保を目的に主に米債で運用する外貨準備の一部を取り崩したとみるのが現実的か。

単位、10億ドル、()内は前年比増減

トップ10

中国(China, Mainland)1181.9、-5.8

日本(Japan)1031.2、-12.3

アイルランド(Ireland)300.4、-17.5

ブラジル(Brazil)294.1、+8.1

英国(United Kingdom)262.7、-1.0

スイス(Switzerland)242.2、-3.2

ルクセンブルク(Luxembourg)213.9、-7.7

香港(Hong Kong)194.0、-2.2

ケイマン諸島(Cayman Islands)180.7、-15.2

台湾(Taiwan)168.1、-2.0

22位

ロシア(Russia)48.7、-47.4


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by nihonkokusai | 2018-06-20 09:51 | 国債 | Comments(0)

イタリアの国債の動きにみる市場参加者のマインド変化

 6月5日と6日の欧米市場の動きは、金融市場の気まぐれというか、揺れ動く市場参加者のマインドがどのように変わってくるのかを見るのに良い事例となりそうである。これを参考に相場の動きの違いは何で判断できるのかを私なりに解説してみたい。

 5日と6日にイタリアの国債は大きく売られた。しかし、その背景については別なものであった。ちなみに5日のイタリアの10年債利回りは2.76%と前日の2.50%から大きく上昇し(国債価格は急落)、6日のイタリアの10年債利回りは2.90%に上昇していた。

 これだけをみるとイタリアの政治情勢が要因とみられておかしくはない。イタリアでコンテ首相率いるポピュリズム政権が発足したことで、積極的な財政政策を行う可能性があり、ユーロ離脱に向けた動きを取る懸念が存在する。コンテ首相が所信表明演説で国民に急進的な変革をもたらすと約束したことで、新政権はもう少し慎重な対応をとるのではとの期待が後退し、5日のイタリアの国債が急落したのは確かである。

 それでは6日のイタリア国債の下落も同じ要因によるものではないかと言えば、もちろん全く影響がなかったわけではないものの、それ以外の要因によるものと見ざるを得なかった。

 それが良くわかるのが、同じユーロ圏の他の国の国債の動きとなる。5日にドイツの10年債利回りは0.36%と前日の0.41%から低下した。イタリアの国債が売られ、中核国のドイツの国債が「買われた」というのは、いわゆるリスク回避の動きといえる。

 ところが6日のドイツの10年債利回りは0.46%と前日から大きく上昇(国債価格は下落)していたのである。これはオランダやフランスの国債も同様の動きをしていた。イタリアの国債と一緒にドイツの国債なども売られていたのである。これは違う要因が働いたと見ざるを得ない。

 それを確認するとECBが絡んでいた。6日にイタリアやドイツの国債が売られたのは、ECBのプラート専務理事が、来週14日のECB理事会において、資産買い入れ策を年内に終了させるかどうか討議すると述べたことがきっかけであった。ドイツの連銀総裁も年末までに資産買い入れプログラムを終了させるとの観測は妥当と述べていた。

 実は5日にもECB当局者の発言として、14日のECB理事会で資産買い入れの終了時期を公表する可能性があるとすでに報じられ、外為市場ではユーロがドルなどに対して買われていたが、5日のユーロ圏の国債市場は、それよりもイタリアの政治情勢を重視していたと思われる。

 ところがECB関係者という匿名希望ではなく、プラート専務理事やドイツのバイトマン連銀総裁、オランダのクノット中銀総裁らが相次いで年内の資産買入終了の検討を示唆したことで、市場が大きく反応した。これは市場に対してECB当局者が念を押したことで、市場にその可能性を浸透させようとし、市場もそれに反応したといえる。

 もうひとつ、ここにきて欧米市場のマインド変化にも注意する必要がある。特に世界の金融市場への影響も大きい米国の株式市場、特にナスダックがここにきて過去最高値を更新するなどしてきた。イタリアは確かに政治リスクを抱え、スペインも同様である。しかし、それよりもECBの動きの方に市場の視線がより集まったのは、米株の動きからみてもイタリアのリスクについては材料としてかなり織り込み、あらたな動きが出ない限りは、リスク回避とは違う要因の方に比重を傾けてきたといえる。

 今回の金融市場の動きが何によって動いているのかは、他の市場の動きを組み合わせてみることで、何か変わってきたな、ということがわかる。ユーロ圏の中核国と周辺国の国債の動き、外為市場でのユーロや円の動き、この場合の円の動きとはリスク回避なのか、リスクオンなのかを区別するのにも目安となる。そして、欧米の株式市場、特に米国の株式市場の動きなどになる。それぞれが勝手に動いていることもあるものの、関連して動くことも当然多く、今回のユーロ圏の国債のように1日違いでまったく違った動きをみせたときなどは、市場の関心が違う方向に移ってきたのではと考える必要がある。



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by nihonkokusai | 2018-06-08 09:36 | 国債 | Comments(0)
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