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カテゴリ:日銀( 1172 )

再び日本の長期金利がマイナスに、これでどのような効果が得られると言うのか

 今年の金融市場は波乱の幕開けとなった。年末年始での米株やドル円の下落を受けて、大発会となった4日の東京株式市場は売りが先行し、日経平均は一時700円を超す下げとなった。

 世界的な景気減速懸念などから、年末年始に米債は買い進まれたことから、4日の日本の債券市場では10年債利回り(以下、長期金利)は一時マイナス0.050%に低下した。

 4日の米雇用統計で非農業雇用者数が予想を大きく上回った上に、FRBのパウエル議長が、正常化について大幅に変更することをためらわないと述べたことが好感されて、4日の米国株式市場は大幅に反発。米債はリスク回避の巻き戻しから売られた。

 7日の日本の債券市場も米債安から売りが先行したが、地合が大きく改善することは考えにくく、このまま長期金利のマイナス化が定着する恐れがある。

 FRBの利上げペースが後退というか、今年の利上げ見送りあたりまでは市場でもある程度は想定できていた。それがFRBのパウエル議長の発言で裏付けられた格好となった。それはつまり世界的な景気減速への懸念は引き続き強まっているということにもなる。

 米中の通商問題の行方も混沌としている。トランプ大統領そのものが市場でのリスク要因となっているが、壁の建設を巡っての民主党との対立も解決の糸口も見えていない。

 世界的な景気減速への懸念や米国を主体としたリスクの高まり、そのリスク回避による米債高や円高の動きは、日本の国債にとっては買い要因となる。さらに日銀のマイナス金利政策と長期金利コントロールによって、長期金利のある程度(マイナス0.2%?)あたりまでのマイナス化は容認される格好となり、これらの金利低下要因が長期金利のマイナスを深掘りさせる可能性も出てきている。

 この長期金利のマイナス化でいったい誰が喜ぶと言うか、得をするというのであろうか。しかも背景が景気後退を意識したリスク回避ということであれば、株式市場は下落傾向となり、円高が進行することにもなりかねない。これにより企業の借り入れ需要が後退する可能性がある。

 そもそも長期金利がマイナスとなっても貸出金利がマイナスになることは考えづらく、少なくとも企業や個人にとっての恩恵はなく、むしろ滞留している資金への利子が付かない、もしくは国債での運用時(個人向け国債は除く)ではマイナスとなってしまう事態ともなる。それは見えないところでの我々の損失とも言えよう。

 むろん長期金利のマイナス化によって助かっているところはある。それが大きな債務を抱えた国となる。財政悪化を見えにくくさせている。国債を大量に保有している日銀も評価上は助かるかも知れないが、ここから株式市場が下落すると、保有するETFなどが評価上はマイナスとなる可能性もある。

 マイナス金利政策とはいったい何であったのか。それを行っても、いっこうに物価は上がってこないどころか、日銀は物価の予想を下方修正するとの観測も出ている。マイナス金利政策により負担を負っているのは我々である。それによる効果は出てこないのであれば、マイナス金利政策そのものを止めてしかるべきではないか。しかし、リスク回避の動きを強めるような状況下、それも困難になりつつあることも確かである。


by nihonkokusai | 2019-01-08 09:37 | 日銀 | Comments(0)

平時に非常時の緩和を続けたツケが回ってくる懸念

  12月19日、20日に開催された日銀の金融政策決定会合における主な意見が公表された。12月に入り、米国株式市場を中心に東京株式市場を含めて、世界的に株価が調整局面となっていた。この背景には世界的な景気の減速懸念があったが、日銀は足元の景気動向や今後についてどのような認識となっているのかを、この「主な意見」から探ってみたい。

 経済情勢に関しては、さすがに慎重な見方がでてきている。「わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している」との発言は黒田総裁のものとみられる。「先行きも緩やかな拡大を続けるとのメインシナリオは維持されている」との発言が続き、7~9月期の実質GDPのマイナス成長については、一時的なものとみているが、「米中間の通商問題をはじめ世界経済の不確実性が高まる中、先行きの下振れリスクは強まっている」との声が出ている。

 「景気の先行きについては、米中貿易摩擦を背景に慎重な見方が増えているため楽観視はできない」との意見もある反面、海外経済について総じてみれば着実な成長を続けると考えられるとの意見もある。

 「経済に対するリスクは下方に強まっている」との意見が何人かから出ている。特に中国経済の先行きに関して減退を示している可能性があるとの指摘があった。米国経済よりも中国経済の動向の方が注視されているようにも思われる。

 これに対しての金融政策に関する議論では、7月の金融政策決定会合で決定した金融市場調節や資産の買入れをより弾力的に運営することによる成果などが意見として出されていたが、「政策の効果と副作用を慎重に点検しつつ、現行の金融緩和を続けることが肝要である」との意見に集約されているようにも思われる。

 ただし、「7月の枠組み強化に沿って、長期金利が一時的にマイナスになることも許容すべきである」との意見もあった。実際に10年債利回りは28日にマイナスとなっていた。

 「この状況で、金利を元に戻すようなオペレーションを行えば、むしろ金融を現状より引き締めることになってしまう」との意見も出ている。このあたりが日銀にとっては悩ましいところとなろう。

 米国の株式市場が調整局面入りし、ここにきて乱高下してきている。この背景には米国のトランプ大統領の言動も大きいというか、ポピュリズム政策の負の側面が大きくなっていることが挙げられる。金融緩和の後退が主因との見方もあるが、FRBの正常化は今年に入ってから始まったわけではない。

 今後については景気の減速感が強まることも予想され、株式市場や外為市場の動向次第では、日銀に対して金融緩和への期待感が強まる可能性がある。しかし、日銀は数字上は際限なく金融緩和は可能であるとしているものの、その副作用など考慮するとすでに緩和余地はほとんど残されていない。平時なのに非常時の緩和を続けたツケが回ってくる懸念が今後強まることも予想されるのである。


by nihonkokusai | 2018-12-29 09:43 | 日銀 | Comments(0)

日銀の金融政策の軌道修正は不可能なのか

 日銀は物価目標の達成を待たずに現在の異次元緩和と呼ばれる金融政策を軌道修正するのではないかとの観測が債券市場関係者を主体に出ていた。しかし、ここにきての米国を含む世界的な経済減速への懸念、それによるFRBの利上げ停止観測などもあり、それでなくても困難とされる日銀の軌道修正がさらに困難になるのではとの観測も強まっている。

 日銀の金融政策の軌道修正とは、まずはマイナス金利政策の解除であり、長期金利ターゲットの引き上げなども含まれる。本来であれば、長期金利コントロールの解除も行う必要があると思われるが、日銀の金融政策の目標が金利となっている以上、これは利上げと認識される可能性もあり、こちらはなかなか難しい。

 もちろんマイナス金利政策の解除も金利引き上げに映るかもしれないが、あくまでマイナス金利は日銀への準備預金の一部に掛かるものであり、解除しても影響は限定的な上に、マイナス金利が解消されると銀行などにとっては収益改善に繋がる。

 しかしこれすらも現状は解除が難しいのも確かである。ここにきて黒田日銀総裁もストック効果という言葉を使っているが、すでにある日銀の巨額の保有資産によるストック効果でも十分緩和効果はあるとの認識を広めれば、多少なりの軌道修正も可能ではなかろうか。

 それでもそれを可能とさせる環境としては外為市場への影響などを考慮し、FRBの正常化、つまり利上げが続いているタイミングがベストとなる。さらにECBも正常化に舵を取っているタイミングが良い。しかし、すでにそれを可能とさせるタイムリミットが近づきつつあるように思われる。

 今後もし世界的に景気が悪化するような事態になり、世界的なリスクが強まるなどすると日銀は追い込まれかねない。追加緩和を行うにしても、現在の金融政策の対象が金利となっていることで、マイナス金利政策の深掘りは効果は見えないどころか、金融機関の収益環境をさらに悪化しかねない。長期金利をマイナスにしたところで、それによる効果よりも債券市場の機能をさらに後退させかねない。金利を量に戻すにしても、ここからさらに巨額の国債買入を行うにも無理がある。

 本来であれば経済や物価環境に合わせた正常化をすべきであったが、それができないならば多少なり軌道修正を行った上で、現在の緩和策というかストック効果を維持させるだけでも十分な緩和効果が出ることをアピールする必要があろう。ただし、これ以上のコミットメントの強化などはさらに自らを縛りつけることにもなりかねず、そういったものは避けて、調整の余地を残すような対応が望まれよう。


by nihonkokusai | 2018-12-17 09:24 | 日銀 | Comments(0)

日銀の金融緩和これくしょんの行く末

 艦隊これくしょん(艦これ)というゲームがある。元々はパソコンのプラウザゲームであったが、現在ではスマートホンでもできる。ユーザー数は200万人を突破し、人気ゲームといえる。実は私もこのゲームをしており、先日、ユーザーのオフ会に参加した。その席での会話のなかで、面白い事実が明らかとなった。

 艦隊これくしょんのブラウザ版のサービスを開始したのが、2013年4月23日であった。つまり開始して5年以上経過している。このゲームは太平洋戦争における日本海軍の艦隊がモデルになっている。その太平洋戦争は1941年12月8日の真珠湾攻撃に始まり、1945年8月15日に終戦を迎えた。

 つまり太平洋戦争の日本海軍の艦隊がモデルとなってゲームが、太平洋戦争の期間を超えてきたのである。それだけ人気を博しているともいえる。私自身、このゲームを通じてこれだけの数の戦争に投じられた船が存在し、多くの海戦があったことを思い知らされた。日本海軍がどのようにして負けていったのかもこのゲームを通じてあらためて知るようになった。

 ちなみに私は横須賀生まれだが、父親が親戚の元海軍将校を頼って横須賀に住んでいたことを、父の死後だいぶ経ってから知った。

 それはさておき、その面白い事実というのは、2013年4月に、やはりこれほど長く続くと予想されていなかったものが始まっていたのである。日銀は2013年4月4日に量的・質的緩和政策、いわゆる異次元緩和策を決定した。これは2年で2%の物価目標を達成するためとして、非常に大胆な非常時対応ともいえる緩和策を講じた。

 太平洋戦争も山本五十六など現実には米国を相手にまともに戦えるとは思っていなかったようで、短期決戦で講和条約に持ち込むことが目的であったとされる。しかし、初戦では戦果を挙げてもミッドウェー海戦あたりから状勢は変わり、泥沼化する。

 日銀の異次元緩和も当初1年間は順調に見えた。しかし、日銀が目標とする消費者物価指数は2014年4月の前年比プラス1.5%まで上昇した後は低迷する。これをこのタイミングでスタートした消費増税による影響が大きかったためとする意見がある。まったく影響はなかったとは言わないまでも、それよりも大胆な緩和策が物価に波及する経路そのものが見いだされていないなか、他の要因を含めた一時的な物価上昇ではなかったのかとの見方ができる。

 結局、日銀の金融政策もそれから泥沼化する。緩和の総動員となり、結果として「長短金利操作付き量的・質的緩和策」となり、現在に至る。まさに金融緩和これくしょん(緩これ?)とも言える状況にある。しかし、いまだ物価目標は達成されていない。現在ではこの異次元の金融緩和策をどのようにして続けられるのかを模索しているような状況にも映る。

 現在の日銀の金融政策の末路が太平洋戦争のようになると言うわけではないものの、両者ともに予想された戦果は上がらず、出口政策が取れなくなってしまったという状況は似ている。始めてしまった以上、負けを負けとして認められないというのはわからなくはない。しかし、それにより大きな犠牲を生んでしまう懸念はある。このあたり歴史に習うことも必要ではないかと思うのである。


by nihonkokusai | 2018-12-11 09:43 | 日銀 | Comments(0)

日本国債の急変動に備え、墓場まで持っていってもらっては困る情報

 先日、元日銀関係者と話をする機会があった。金融政策の決定にも関わっていた人であり、話のなかで「墓場まで持っていく」という表現が気になった。その話の内容については当然ながら話してはくれなかったが、察するに日銀の金融政策の変遷において議事要旨どころか議事録にも載らない話というものが存在していることに、あらためて気付かされた。

 政治家や大手企業経営者のみならず、その立場によっては、墓場まで持っていかざるを得ない情報というか、守秘義務が生じる情報を明らかにしないまま消えてしまったものは多数あると思う。

 なぜそんなことを考えていたのかというと、現在の日銀による異次元の緩和策からは、いずれ出口に向かわざるを得なくなると思ったためである。日銀の出口戦略により何が起きるのか、そのためにはどのような準備をしておく必要があるのかを考えておくことも必要であろう。もちろん想定されるのは、日銀の出口戦略による債券市場への影響となる。

 外為市場や株式市場も無関係ではいられないが、現在の日銀の金融政策は長期金利コントロールが含まれており、いわゆる国債の官製相場からの脱却が見込まれ、それによる債券市場の動揺は免れない。もし市場がオーバーシュートしたならば、どのような対処が必要なのか。

 債券市場のクラッシュの事例はそれほど多くはない。また同じようなクラッシュになると想定することがそもそもおかしいこともわかってはいる。それでも例えば1998年末の「資金運用部ショック」では何が要因となり、どのような対処がされ、市場はどのような動きとなっていたのかを各方面からスポットをあてて探ることで、クラッシュ時の状態を再現することも必要になるのではなかろうかと思うのである。

 ちなみに運用部ショックは、当時、現在の日銀のように国債を大量に保有し、市場から日銀のオペのような買入も行っていた資金運用部が、国債引受を削減させるとか、国債買入を停止するとのアナウンスがひとつのきっかけとなっていた。

 運用部ショックに関わる情報については、各方面がそれぞれ秘密裏に抱え込んでいることで、実態を明らかにすることはかなり難しいと言わざるを得ない。たとえば現実に誰が国債を大量に売ったのか、また債券先物を売ったのは誰か。具体的な手口情報は当事者や取引所関係者などしか入手できない。クラッシュに対して財務省や日銀はどのような動きを具体的にしていたのかについても当事者でなければわからない。我々が知っているのは新聞記事に載ったもの、市場での噂などによる情報、実際の価格の動きでしかなかった。

 運用ショックの分析が果たして日銀の出口戦略に行かせるかどうかはわからない。それでも債券市場の現実のクラッシュがどのようにして起き、どのようにして収縮していったのかを明らかにしておくだけでも事前準備にはなるのではなかろうか。そのためには墓場まで持っていってもらっては困る情報が多数あるように思われたのである。


by nihonkokusai | 2018-12-09 18:06 | 日銀 | Comments(0)

日銀は実質的に超長期国債の買入を減額

 11月30日の夕方5時に日銀が公表した「当面の長期国債等の買入れの運営について」によると、12月の国債買入で10年超の超長期と呼ばれる国債の買入の回数が11月の5回から4回に削減された。

 これは12月という年末であり、カレンダー上に無理があったためとかではなく、将来の需給を見据えた実質的な減額といえる。

 来年度の国債発行では今年度の減額がなかった20年債を主体にカレンダーベースの発行額が削減されると予想されており、それもあって今回、超長期ゾーンの買入回数を削減することで月額の買入額も減少させてくるとみられる。

 今回は買入額そのものが中長期ゾーンに比較して超長期債は大きくないこともあり、一回あたりのオファー金額のレンジの修正はなかった。レンジは10年超25年以下は1500~2500程度、25年超が100~1000程度となっている。

 前回の10年超の国債買入は11月30日に行われ、10年超25年以下は1800億円、25年超は500億円となっていた。

 11月の10年超25年以下は1800億円が月額では5回で9000億円、25年超が500億円が5回で2500億円となっていた。

 これが12月は10年超25年以下は2000億円が4回でトータル8000億円、25年超は600億円が4回で2400億円あたりになると予想していたが、5日にオファーされた金額は10年超25年以下は2000億円であったが、25年超は500億円と前回と変わらずとなっていた。結局、この金額で4回の買入となれば、月額で10年超25年以下は1000億円減、25年超は500億円減となる。

 結果として実質的な減額となるが、これは国債の先行きの需給に応じた措置といえる。すでに日銀の金融政策の操作対象は国債買入などの量から、金利に戻しており、このため国債買入の減額は日銀の金融政策の変更などを意味するものではない。


by nihonkokusai | 2018-12-05 10:24 | 日銀 | Comments(0)

日銀の金融政策修正に向けて具体的に想定される事態

 日銀の物価目標は達成しておらず、現状では出口政策は封じ込まれている状況ながら、いずれ出口政策に向きを変えざるを得ないと思われる。2%という物価目標の達成はさておき、何かしらの外部環境等の変化によって出口政策を進めることになるのではないかと予想されるが、いまのところその予兆もない。それでも出口政策に向けた準備をする必要はある。具体的に想定される事態を考えてみたい。

 現状の異次元緩和の修正の手始めとして、マイナス金利政策の解除が必要となる。金融政策上のマイナス金利は準備預金の一部に掛かっているものであり、この部分のマイナス金利解消による影響は限定的というか、金融機関はむしろ歓迎しよう。これによって短期金利だけでなく、中期ゾーンあたりまでの国債利回りのマイナス化も解消される。債券市場でみれば、通常の状態に戻るだけではあるものの、実質利上げのような動きとなることで、スムーズに国債の利回りがプラスに転じられるのか。このあたりは市場参加者の意向次第の面もある。

 貸出金利等でのマイナス化はなかったことで、これによる借り入れ依存度の高い企業への影響も限定的とみられる。物価への影響も限定的であろう。市場への織り込み方次第ではあるが、最近の日銀の動きに対する反応などをみても、外為市場などへの影響はそれほど大きくはないとみられる。

 次に長期金利コントロール解除も必要となる。長期金利はかなり抑え込まれていたことで、ある程度の跳ね上がりは避けられない。ただし、日本国債や円の信認が低下するというわけではなく、物価や景気動向に応じた長期金利の形成が意識されることで、市場は落ち着きどころを模索するような動きとなるのではなかろうか。

 そうはいっても債券市場の動きが長らく封じられていたような状況となっていたことで、通常の状態に戻すには時間も掛かるし、ある程度の変動も避けられない。債券先物などには仕掛け的な動きも入りやすくなり、ボラティリティをどのように抑えるのかも課題となりそうである。国債入札などが順調に実施されていけば、ある程度の金利上昇は金融機関にとっては好材料となり、金融機関による日本国債保有の復活も期待されることから、それほどのパニックに陥ることはないかもしれない。

 長期金利上昇によるドル円などへの影響をみても、そもそも米長期金利は数度の利上げもあり、3%台に上昇しており、多少なり日米の長期金利差が縮小しようとも、これによって急激な円高圧力が掛かることも想定しづらい。

 これらによっていわゆるゼロ金利政策が復活することになり、異常な緩和策からの脱却が達成される。長期金利もいわゆる自由化が復活し、市場機能の回復が見込める。借り入れ依存度の高い企業などへの影響も危惧されるものの、そもそも4割の企業が実質無借金企業となっており、その多くが優良企業とされており、金利の変動による企業業績への影響も以前に比べると低下しているとみられる。


by nihonkokusai | 2018-11-19 10:08 | 日銀 | Comments(0)

日銀のマイナス金利政策は速やかに止めるべき

 日銀の黒田総裁は11月5日の名古屋での講演において以下のように述べていた(講演要旨から引用)。

 「かつてのように、デフレ克服のため、大規模な政策を思い切って実施することが最適な政策運営と判断された経済・物価情勢ではなくなっています。」

 日銀が掲げた物価目標の2%は達成されてはいない。しかし、「既にわが国は、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっています。」との黒田総裁のコメント通り、デフレという状況下にはない。

 これは日銀の金融政策の大きな方向転換を示すものと見ざるを得ないと以前に書いた「日銀は異常な緩和策からの軌道修正を行うべき」とのコラムで指摘した。

 ただし、この講演後の会見では、次のようにも述べている。

 「依然として大幅な金融緩和を粘り強く続けて、2%の物価安定の目標をできるだけ早期に達成しようとしていることには全く変わりはないということです。」

 つまり2%の物価目標が達成されない限り、大幅な金融緩和を粘り強く続けて行く方針、つまりは現在の政策を維持させていくことを繰り返していた。

 現在、金融街・大手町で異例の売れ行きとなっている本がある。その本は前日銀総裁の白川方明氏の著書「中央銀行」である。本来の中央銀行やその金融政策はどうあるべきなのか、金融業界の関係者を主体にあらためて見直しが入ってきており、そのひとつとしてこの総ページ数700ページを超え、本体価格4500円という本を求めているビジネスマンが多くいるということではなかろうか。

 また、マイナス金利の撤廃を提言した日銀の論文が市場に波紋を広げているという記事も日経新聞に掲載されている。政策決定と直接かかわりを持たない日銀の金融研究所が出したものだが、なぜこのタイミングでとの憶測も出ている。

 頑なな姿勢も良いが、それは頑固な姿勢とも捉えられる。すでに異次元緩和を始めて5年以上経過している。それによる副作用も次第に顕著になっている。量的・質的緩和によってGDPを超える資産を中央銀行が保有するという事態となっている。その量に限界が見えたから採ったものがマイナス金利政策と長期金利コントロールである。すでに量はこれだけ積み上がっている以上、そのストック効果を維持させることで、ついでとも言えるマイナス金利政策と長期金利コントロールは速やかに止めるべきであると考える。


by nihonkokusai | 2018-11-17 11:13 | 日銀 | Comments(0)

日銀は異常な緩和策からの軌道修正を行うべき

 NHKのサイトに「退任から5年半 白川前日銀総裁が思うのは」というタイトルの特集がアップされていた。

NHK「退任から5年半 白川前日銀総裁が思うのは」 https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2018_1106.html

 白川前日銀総裁は10月に「中央銀行」という著書を出版している。私も購入したが厚くて重そうなので電子版で購入し読み始めている。日銀の金融政策に興味のある方は是非読んで欲しい本である。

 NHKでのインタビューのなかで、白川氏は何故この本を出版しようと思い立ったのかについて次の用に語っている。

 「金融政策をめぐって内外でいろんな議論が行われ、意見が鋭く対立するケースが過去にもありました。なぜ意見の違いが生じるのかと考えると、中央銀行の役割について、人々の理解のしかたが違うことに起因していると感じたのです」(白川氏)

 遠回しながらもこれはリフレ派と呼ばれる人達に向けて、その考え方は果たして正しいのかと説いているようにも思われる。そして金融緩和については次の用なコメントをしている。

 「金融緩和策とは、経済に大きなショックが加わったときに、できるだけ経済の変動を小さくするために行う政策です。この政策自体は本質的には将来の需要を現在に持ってくるという政策なんですね。需要の先食いですから数年間は頼れるけれど、ずっとは頼れないのです」

 特に大胆な金融緩和策は、安倍首相の言うところのリーマン並みのショックが起きたときに行うべきものであり、歴史的なショックが解消しつつあるようなタイミングでおこなうべきものではなかったはずである。

 大胆な緩和で物価上昇を目指そうとしても、それが適わなかったからといってさらに追加緩和なり緩和の修正を行ってきたこの5年間はいったい何だったのであろうか。

 白川氏のいうところの需要の先食いを大胆にしてしまったことで、それは将来に対する不安を生じさせかねないものとなる。いまだ追加緩和を主張する審議委員もいるようだが、それに何の意味があるのか。しかもそれでうまくいく保証もなければ、需要の先食いをさらに行うこととなり、そのあとの処理をさらに困難にさせかねない。

 そろそろというか、なるべく早く日銀は、平時にも関わらず行ってしまっている非常時対応のはずの異常な緩和策からの軌道修正を行うべきではないかと思う。


by nihonkokusai | 2018-11-08 09:52 | 日銀 | Comments(0)

日銀の異次元緩和の修正シミュレーション

 日銀が異次元緩和と呼ばれた量的・質的緩和を決定したのが2013年4月。あれから5年と半年が経過した。当初、2年で2%の物価目標を達成するとしていたが、物価は目標には届かず、日銀の異次元緩和はさらに踏み込み、長短金利操作付き量的・質的緩和となって現在にいたる。しかし、日銀の物価目標となっている消費者物価指数(除く生鮮食料品)の前年比は直近発表の9月分で前年比プラス1.0%と2%にはまだ距離がある。

 大胆な緩和策を5年続け、マイナス金利や長期金利コントロールまで加えたこともあり、金融機関の収益悪化や債券市場の機能低下などの副作用の懸念も強まってきている。

 海外をみてみるとFRBはいち早く大規模な緩和策からの脱却を目指し、正常化に向けて着々と歩みを進めている。イングランド銀行も歩みは遅いながらも正常化に向けた動きとなっている。ECBは年内にも新規の資産買入を停止する見込みで、来年には利上げも視野に入れつつある。

 このようななか、日銀は2%という絶対的な物価目標を置いてしまったことで、景気そのものの拡大基調は継続しても、身動きが取れない状況となっている。しかし、そろそろ日銀は物価目標を長期的な目標とすることで、より柔軟な政策に方向転換すべきかと思われる。

 雇用については9月の有効求人倍率が1974年1月以来の高水準となり、この好環境はまた継続するとみられている。賃金がなかなか上がらず、これも物価が上がらない要因となっているが、雇用の回復を阻害しない程度に、異次元緩和の修正は進められないものであろうか。

 たとえば、現在の日銀の保有資産はすでに名目GDPを上回っている。この量による効果から異次元の緩和効果を維持させることをアピールする。マイナス金利政策を止めて短期金利もプラスとし、短期金融市場を活性化させる。さらに長期金利のコントロールも止めることで債券市場の機能も回復させ、金利が動くことによって企業の設備投資などにも刺激を与える。

 これは緩和策からの後退ではなく、大規模な緩和効果は維持しつつ、金利がファンダメンタルに応じた動きに戻すことが目的とする。利上げは当面行うことはないと強調し、正常化という表現には距離を置くことで、外為市場などでの急激な円高などを防ぐ。

 これでもかなり市場の動意を抑えるのは難しいかもしれない。これは実質的に出口政策にほかならないものの、そのあたりは強調せずに押し進める必要もあろう。そろそろ、このような異次元緩和の修正シミュレーションを実行に移すタイミングではないかと考える。


by nihonkokusai | 2018-11-05 09:31 | 日銀 | Comments(0)
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