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カテゴリ:日銀( 1164 )

日銀は異常な緩和策からの軌道修正を行うべき

 NHKのサイトに「退任から5年半 白川前日銀総裁が思うのは」というタイトルの特集がアップされていた。

NHK「退任から5年半 白川前日銀総裁が思うのは」 https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2018_1106.html

 白川前日銀総裁は10月に「中央銀行」という著書を出版している。私も購入したが厚くて重そうなので電子版で購入し読み始めている。日銀の金融政策に興味のある方は是非読んで欲しい本である。

 NHKでのインタビューのなかで、白川氏は何故この本を出版しようと思い立ったのかについて次の用に語っている。

 「金融政策をめぐって内外でいろんな議論が行われ、意見が鋭く対立するケースが過去にもありました。なぜ意見の違いが生じるのかと考えると、中央銀行の役割について、人々の理解のしかたが違うことに起因していると感じたのです」(白川氏)

 遠回しながらもこれはリフレ派と呼ばれる人達に向けて、その考え方は果たして正しいのかと説いているようにも思われる。そして金融緩和については次の用なコメントをしている。

 「金融緩和策とは、経済に大きなショックが加わったときに、できるだけ経済の変動を小さくするために行う政策です。この政策自体は本質的には将来の需要を現在に持ってくるという政策なんですね。需要の先食いですから数年間は頼れるけれど、ずっとは頼れないのです」

 特に大胆な金融緩和策は、安倍首相の言うところのリーマン並みのショックが起きたときに行うべきものであり、歴史的なショックが解消しつつあるようなタイミングでおこなうべきものではなかったはずである。

 大胆な緩和で物価上昇を目指そうとしても、それが適わなかったからといってさらに追加緩和なり緩和の修正を行ってきたこの5年間はいったい何だったのであろうか。

 白川氏のいうところの需要の先食いを大胆にしてしまったことで、それは将来に対する不安を生じさせかねないものとなる。いまだ追加緩和を主張する審議委員もいるようだが、それに何の意味があるのか。しかもそれでうまくいく保証もなければ、需要の先食いをさらに行うこととなり、そのあとの処理をさらに困難にさせかねない。

 そろそろというか、なるべく早く日銀は、平時にも関わらず行ってしまっている非常時対応のはずの異常な緩和策からの軌道修正を行うべきではないかと思う。


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by nihonkokusai | 2018-11-08 09:52 | 日銀 | Comments(0)

日銀の異次元緩和の修正シミュレーション

 日銀が異次元緩和と呼ばれた量的・質的緩和を決定したのが2013年4月。あれから5年と半年が経過した。当初、2年で2%の物価目標を達成するとしていたが、物価は目標には届かず、日銀の異次元緩和はさらに踏み込み、長短金利操作付き量的・質的緩和となって現在にいたる。しかし、日銀の物価目標となっている消費者物価指数(除く生鮮食料品)の前年比は直近発表の9月分で前年比プラス1.0%と2%にはまだ距離がある。

 大胆な緩和策を5年続け、マイナス金利や長期金利コントロールまで加えたこともあり、金融機関の収益悪化や債券市場の機能低下などの副作用の懸念も強まってきている。

 海外をみてみるとFRBはいち早く大規模な緩和策からの脱却を目指し、正常化に向けて着々と歩みを進めている。イングランド銀行も歩みは遅いながらも正常化に向けた動きとなっている。ECBは年内にも新規の資産買入を停止する見込みで、来年には利上げも視野に入れつつある。

 このようななか、日銀は2%という絶対的な物価目標を置いてしまったことで、景気そのものの拡大基調は継続しても、身動きが取れない状況となっている。しかし、そろそろ日銀は物価目標を長期的な目標とすることで、より柔軟な政策に方向転換すべきかと思われる。

 雇用については9月の有効求人倍率が1974年1月以来の高水準となり、この好環境はまた継続するとみられている。賃金がなかなか上がらず、これも物価が上がらない要因となっているが、雇用の回復を阻害しない程度に、異次元緩和の修正は進められないものであろうか。

 たとえば、現在の日銀の保有資産はすでに名目GDPを上回っている。この量による効果から異次元の緩和効果を維持させることをアピールする。マイナス金利政策を止めて短期金利もプラスとし、短期金融市場を活性化させる。さらに長期金利のコントロールも止めることで債券市場の機能も回復させ、金利が動くことによって企業の設備投資などにも刺激を与える。

 これは緩和策からの後退ではなく、大規模な緩和効果は維持しつつ、金利がファンダメンタルに応じた動きに戻すことが目的とする。利上げは当面行うことはないと強調し、正常化という表現には距離を置くことで、外為市場などでの急激な円高などを防ぐ。

 これでもかなり市場の動意を抑えるのは難しいかもしれない。これは実質的に出口政策にほかならないものの、そのあたりは強調せずに押し進める必要もあろう。そろそろ、このような異次元緩和の修正シミュレーションを実行に移すタイミングではないかと考える。


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by nihonkokusai | 2018-11-05 09:31 | 日銀 | Comments(0)

日銀による国債買入の修正点、中期ゾーンの買入は実質減額に

 10月31日の17時に日銀が発表した「当面の長期国債等の買入れの運営について」では、いくつかの修正が加えられた。

 1年超5年以下の国債買入の回数が10月の5回から11月は4回に削減された。その上で、1回当たりオファー金額のレンジが、1年超3年以下の分で、10月の2000~4000億円程度から11月は2500~4500億円程度に増額された。3年超5年以下は、10月の2500~4500億円程度から3000~5500億円程度程度に増額された。

 直近の1年超5年以下の国債買入は10月30日に行われており、この際には残存期間1年超3年以下の買入額は3000億円、残存期間3年超5年以下の買入額は3500億円となっていた。それぞれ3000億円が5回の1兆5000億円、3500億円が5回の17500億円となる。これが4回となればそれぞれ一回当たりは3750億円、4375億円となる。

 日銀は9月の国債買入の回数を中期と長期ゾーンについて、8月までの6回から5回に減らした。その上で月額ベースでの買入額を縮小しており、今回も同様に一回当たりの買入額は3750億円、4375億円から削減されることが予想される。これは2日の同ゾーンの買入額で確認したい。ということで2日の国債買入オファーにて確認したところ、残存期間1年超3年以下の買入額は3500億円、残存期間3年超5年以下の買入額は4000億円となり、月額ベースでは実質減額となる見込み。

 そしてもう一点、日程について変更が加えられた。10月の国債入札スケジュールと日銀の国債買入をみてみると10月2日の10年国債入札の翌日3日にその10年債新発も該当銘柄となる5年超10年以下の買入が行われた。同様に11日の30年国債入札の翌12日に超長期ゾーンの買入が行われ、16日の5年国債の入札日の翌17日に中期ゾーンの買入と、国債の入札日の翌日に入札された銘柄を含む国債買入が組まれていた。

 これに対して11月1日の10年国債の入札に関しては、翌2日に該当銘柄となる5年超10年以下の買入が予定されているものの、それ以降については、13日の30年債入札日のあとは翌日の14日ではなく16日に超長期の買入が予定されている。15日の5年国債の入札日のあと19日に中期ゾーンの買入が組まれるなど、これまでの翌日の国債買入というパターンがなくなった。

 11月1日の10年国債の入札日の翌日の買入に関しては、入札が発表日翌日ということが配慮されたのではないかと思われる。12月からは10年国債についても翌日買入というパターンではなくなるのではなかろうか。

 これらの国債買入の修正は事前にある程度報じられていたこともあり、これを受けて債券先物は少し売られたがそれほど大きく崩れたわけではない。これにより実質的な国債買入減額とともに、タイトなスケジュールがやや緩和されるような格好となるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-11-02 10:18 | 日銀 | Comments(0)

日銀の国債買入の修正観測への疑問

 朝日新聞は27日の「国債取引、活性化策を検討」という記事で、「日銀が緩和で国債を買い占めているため、国債の取引が乏しくなっている事態に対応し、今後買い入れ方法の見直しを検討する。」と報じた。

 そして、29日にロイターも「日銀オペ弾力化、国債入札翌日の買入後ずれも 金利自律形成促す」と報じた。

 ロイターの記事によると、「日銀は市場機能の改善に向けて、国債買い入れオペレーションの一段の弾力化策を模索している。具体策として、国債入札日の翌日の当該年限の買い入れを翌々日以降に後ずれさせることが、有力な選択肢の1つに浮上しているようだ。複数の関係筋が明らかにした。」

 さらにロイターは下記のようにも報じている。

 「入札日程の公表を取りやめるのではないか、との声も一部の市場参加者から出ているが、現時点で日銀は慎重なスタンスを維持しているもようだ。」

 入札日程の公表を取りやめについては、市場機能の回復を目的とした市場活性化のためとして、不確実性や不透明性を増して市場を不安定化させるというのは本末転倒といわざるを得ない。

 そして、今回有力とされている「国債入札日の翌日の当該年限の買い入れを翌々日以降に後ずれさせること」についても疑問は残る。

 そもそも論として、国債入札日の翌日に入札で発行された国債を大量に中央銀行が買い入れるということに大きな問題があった。いったん入札で証券会社など業者が買い入れて、それを金融政策の一環として日銀が買い入れるとの理屈であるが、入札日の翌日に中央銀行が買い入れるとなれば、極めて財政ファイナンスに近い行為と言えよう。

 ただし、入札日から少し日を置いて該当国債を日銀が買い入れるとなれば、長期債は短期債などに比べて、その期間における価格変動リスクが発生する。

 「入札から買い入れまでの期間を空けることで、市場の自律的な金利形成を促すことが狙い。」(ロイター)

 上記の狙いもわからなくもないが、そもそも自立的な金利形成を阻害しているのは日銀による異常な量の国債買入とイールドカーブコントロールによるものであり、それを修正しなければ本来の自立的な金利形成などありえない。

 「もっとも、現在の市場は日銀トレードを前提に入札が行われ、金利が形成されている一面があることも事実。・・・入札翌日のオペを行わないことで、市場が不安定化する可能性も否定できない。」(ロイター)

 不安定化させることである程度市場を活性化させようということも、わからなくはない。しかし、入札日程の公表を取りやめについてと同様に、市場機能の回復を目的とした市場活性化のためとして、いまになって期間リスクを増して市場を不安定化させるというのはやはり本末転倒といえるのではなかろうか。

 入札に応じている証券会社を中心としたいわゆる業者にとっても期間リスクが発生することで、先物などのデリバティブ取引でヘッジする必要も出てくる。これはこれで市場の厚みが増加する面もあるが、これまでに比べて業者にとってコストが掛かる上に期間リスクによる損失リスクも生じる。

 たしかに業者にとってもこのようなリスクを負うことは、少なくともイールドカーブコントロール導入以前はあたりまえであったことではある。しかし、金利形成に対する日銀への依存度があまりに高すぎることによって、ファンダメンタルズなどに応じた金利形成とは異なる市場となっている面もある。日銀の動きにあまりに縛られすぎている現在の市場で、このような業者へのリスク分の負担についても、個人的には疑問が残るといわざるを得ない。結論からいえば長期金利を自由に形成できる状態に戻すこと、それに尽きる。


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by nihonkokusai | 2018-10-31 09:38 | 日銀 | Comments(0)

物価目標の2%という数字にそれほど固執する必要は本当にあるのか

 19日に発表された9月の全国消費者物価指数は総合が前年同月比プラス1.2%となり、8月の同1.3%から伸び率が低下した。日銀の物価目標ともなっている生鮮食品を除く総合は同プラス1.0%となり、こちらは8月のプラス0.9%から伸び率が上昇し、今年2月以来の1.0%となった。生鮮食品及びエネルギーを除く総合は0.4%とこちらは8月と変わらず。

 総合の前年比伸び率が縮小したのは、生鮮食品による上昇幅が0.12ポイント縮小したことが影響した。台風などの影響により生鮮食品が値上がりしていたが、それが少し落ち着いてきたものと思われる。

 それに対して生鮮食品を除く総合の前年同月比の上昇幅が0.1ポイント拡大したのは、ガソリン,電気代などの上昇幅が拡大したことで、エネルギーにより総合の上昇幅が0.05ポイント拡大、生鮮食品を除く食料、教養娯楽用耐久財(テレビ・音響映像機器・パソコン・カメラ・楽器・学習机など)、外国パック旅行費などが寄与していた。

 原油価格のベンチマークともいえるWTI先物は9月に入り70ドル台を回復するなど上昇してきたことによるエネルギー価格の寄与が大きかった。教養娯楽用耐久財の寄与などは良い物価上昇の現れとも思われるものの、それでもコア指数は前年比でプラス1.0%に止まる。

 価格変動の大きい生鮮食品及びエネルギーを除いてしまうと(コアコア)、前年比ではプラス0.4%に止まる。

 これは日本の景気が悪化しており、それが物価に反映されているのかといえば、当然ながらそうではない。日銀がかなり無理な金融緩和を続けているものの、それが物価に反映されているようにも思えない。

 18日の日銀支店長会議での黒田総裁の挨拶は次のような発言が冒頭にあった。

 「わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。先行きについては、緩やかな拡大を続けると考えられる。」

 景気は拡大基調にある。それならば何故物価はグローバルスタンダードの2%に距離があるのか。それは日銀の緩和策が足りないからなのか。現在の日本の景気に見合った物価が現在でも形成されているとの見方はおかしいのか。

 物価目標の2%という数字にそれほど固執する必要は本当にあるのか。いまはデフレで危険な状態なのか。あらためて問いたいところである。


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by nihonkokusai | 2018-10-22 09:32 | 日銀 | Comments(0)

金利上昇を望む声

 日本経済新聞社が実施した秋の「地域経済500調査」(対象は全国104の地域金融機関の経営者)で、日銀の金融政策への要望を複数回答で聞いたところ「短期金利の上昇」と「長期金利の上昇容認」がいずれも5割に上った(日経新聞電子版)。

 日銀の量的・質的緩和政策により、大量の国債が日銀によって買入られることになり、金融機関は国債での資金運用がしづらくなり、他の資産での運用を迫られた。その量的・質的緩和策はさらに拡大され、さらにそこにマイナス金利政策も加えられた。それだけに止まらず、長期金利コントロールも加えられたことにより、銀行などの金融機関は利ざやで稼ぐことが難しくなった。

 大手の金融機関はまだ体力が温存されているとはいえ、地方の金融機関などはかなり厳しい経営環境にあることは確かである。これを打開するには、ある程度の金利の存在がどうしても必要となる。むろん、長期金利の上昇により保有する国債の価格が下落することになるが、それでも金融機関にとっては金利の利ざやが収益元であり、一時的な損失もいたしかたないとの認識であろう。

 このため、このようなアンケート調査でも、短期金利の上昇というか、少なくともマイナス金利政策の撤廃、さらには長期金利の上昇容認というよりも長期金利コントロールそのものの停止を望んでいると思われる。

 日銀の異次元緩和は2%と言う物価目標を達成するために行ってきたものであるが、日銀としては2年程度で達成できるとしていたところが、実際には5年以上過ぎても達成できていない。これにより金融機関の収益悪化だけでなく債券市場の機能低下という副作用が顕在化しつつある。

 今回のアンケートは全国104の地域金融機関の経営者へのものであったことで、このような回答結果が出たものと思われる。果たして同様のアンケート調査を金融機関ではない企業や個人に行ったとしたらどうであろうか。

 企業としては借り入れなどによるコストが抑えられているという面もありながら、余剰資金を多く抱えている企業も多い。個人にとっては住宅ローン金利が抑えられている面もありながら、預金金利などはほとんど付かない状況が続いている。果たしてこのような状況が2%に設定した物価目標が達成できないということで、企業も個人も続けて良いと考えているのであろうか。

 日銀も副作用を気にして微調整に動いているが、それは債券市場の機能回復などの根本的な解決にはならない。来年の消費増税も予定されていることで、日銀としても大きな政策変更は難しいと思われる。それでもある程度、金利が付くような環境に戻すことも考慮する必要はあるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-10-20 10:35 | 日銀 | Comments(0)

強力な金融緩和によって物価は上がるのか

 9月21日に発表された8月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比プラス1.3%、生鮮食品を除く総合で同プラス0.9%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合で同プラス0.4%となった。

 日銀が物価目標としている生鮮食品を除く総合、いわゆるコア指数は6月の前年比プラス0.8%。7月のプラス0.8%からわずかながら上昇している。

 また総合指数は6月の前年比ブラス0.7%、7月のプラス0.9%から8月はプラス1.3%と大きく上昇している。天候不順よるトマトなど生鮮野菜が値上がりや、さんまなど生鮮魚介の価格も上がったことによる影響が大きかったようである。

 また、コア指数の押し上げにも寄与したのがガソリンなどエネルギー価格の上昇となっていた。原油価格はWTIでみると70ドル近辺で推移しており、原油価格が堅調となっていることも物価の押し上げ要因となっている。

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合もプラス幅がやや拡大しているのも、エネルギー価格の上昇などが間接的に影響しているとみられる。

 ただし、9月6日には平成30年北海道胆振東部地震が発生し、台風による被害も大きく、9月の消費者物価指数にはこれらによる影響が出てくる可能性がある。

 日本の物価は一時期の前年比でのマイナスが続くような状況からは脱してきてはいる。その意味ではデフレからは脱却しつつあることは確かであろう。しかし、これが果たして日銀による量的・質的緩和から始まり、長短金利操作付き量的・質的緩和政策と修正が加えられてきた大胆な緩和策が効果を発揮したものと言えるのであろうか。

 それとも別な要因による影響、たとえば米国を主体とする世界的な景気回復による影響、さらにその景気拡大も背景した原油価格の上昇による影響などが大きかったのか。

 中央銀行の金融緩和による物価への影響はタイムラグがあるとの見方もあったが、それについても日本の事例で見る限り、具体的な影響は見えていない。日銀が何度か緩和策を強化してきたのも、物価が思うように上がらなかったことによるものであろう。

 果たして中央銀行の大胆な金融緩和によって、経済全体の需給ギャップや中長期的な予想物価上昇率が改善されて物価が上昇するというシナリオは本当に正しいものであるのか。

 少なくとも大胆な緩和で2%に置いた物価目標は達成されていないことは確かである。それは何故なのか。大胆な緩和策が日本の債券市場の機能低下を引き起こすなど副作用も出てきている。このあたりもう一度しっかり検証する必要はないだろうか。


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by nihonkokusai | 2018-10-01 09:40 | 日銀 | Comments(0)

根強いデフレマインドって何?

 9月18、19日に開催された日銀金融政策決定会合における主な意見が28日に公表された。この際に金融政策の変更はなかったことで注目度はそれほど高くはなかったが、念のため確認したい。

 金融経済情勢に関する意見には次の用なものがあった。

 「貿易摩擦への懸念が高まり、国内では自然災害が相次ぐ中、いくつかの景気先行指標が軟調になるなど、先行きの経済・物価を巡る不確実性が増しており、注視する必要がある。」

 米中の貿易摩擦問題、さらには台風や地震で大きな被害が出ており、これによる影響なども当然ながら意識する必要はある。ただし、ここにきての株価の上昇などをみても、それほど深刻な影響は出ていないように思われる。

 「少子高齢化等の人口動態や労働生産性の動向等と相俟って、自然利子率には先行き低下圧力がかかることが想定される。技術革新の一層の推進により自然利子率を下支えしていくことが重要である。」

 こちらの意見であるが、言いたいことはわかるものの、それに金融政策がどう絡んでくるのか問いたい。

 「需給ギャップの改善を起点とする物価上昇のモメンタムは維持されているが、それが人々の物価観を変えて、フィリップスカーブの上方シフトにつながるには、まだ相当時間がかかるとみておくべきである。」

 日銀の大胆な緩和策が物価に影響を与えるとされる経路について、経路そのものに問題があるような、いつもの意見である。そもそもこの理論そのものに誤りはないのであろうか。

 「物価上昇の遅れは、単純な需要不足ではなく、根強いデフレマインドに加え、供給面の拡大による生産性向上など様々な要因に影響を受けることが判ってきており、先行きの物価を巡る不確実性は一頃より高まっている。」

 こちらも毎度のご意見ではあるが、そもそも「根強いデフレマインド」とは何なのか。高度成長期、景気の上昇とともに物価も上がり、当然のように賃金も毎年のように上がった時期があった。しかし、私のような引退世代ですら、そういった経験はわずかである。何故、そうなってしまったのか。日銀の緩和が足りなかったのか、いやそうではないであろう。

 「根強いデフレマインド」という言葉が一人歩きして、日銀の緩和策の効果を阻んでいるかのような説明であるが、日本が2%という世界標準と日銀が言うところの物価水準を達成できていないのは、日本でも2%という数値が適切なのかという問題とともに、バブル崩壊あたりから雇用体系も変化し、高度成長期と同じような状況ではなくなっており、社会経済構造の変化が大きかったはずである。

 根強いデフレマインドがあるとされるが、割高な一部スマートフォンが売れているなど、高くてもほしいものは購入している。ほしい物にはお金を使うが、そもそもほしいものが生み出されておらず、普段購入する物に対してはなるべく価格が安いものを求めるのは消費者心理であろう。これをデフレマインドと言ってしまうと、デフレマインドのない世の中というものが想像できないのであるが。


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by nihonkokusai | 2018-10-01 09:40 | 日銀 | Comments(0)

日銀は何故7月に金融政策の調整を行ったのか

 7月30、31日に開催された日銀の金融政策決定会合議事用意が公開された。31日に何故、金融政策の調整を行ったのか、その理由をこの議事要旨から探ってみたい。

 金融政策の基本的な運営スタンスに関して次の用な発言があった。

 「何人かの委員は、強力な金融緩和をさらに継続していくためには、これに伴う副作用にも十分配慮し、その影響を可能な限り軽減すべく、政策枠組みに見直しの余地がないかどうか、点検することが必要であると述べた。」

 ここでのポイントは「強力な金融緩和をさらに継続していくため」として、副作用に配慮した政策枠組みに見直してはどうかとの意見である。金融機関の収益力の低下のみならず、債券市場の機能低下が顕著となってきており、日銀としてはこの副作用の軽減措置が必要と認識していたものとみられる。そのための理由付けとしては緩和を継続させるためとするのではないかと私も想定していた。

 「これに対し、一人の委員は、物価上昇率が伸び悩んでいる現状では、金融緩和を息長く続けるための対応ではなく、息長くならないように金融緩和自体を強化すべきであると述べた。 」

 これは片岡委員による発言であろう。一見するとこちらが正論にみえる。ただし、大胆な緩和が物価上昇に本当に結びつくのかという前提そのものに問題があるのだが。

 そのあとに「強力な金融緩和をさらに継続していくにあたって」点検すべき課題について議論がされていた。  「ある委員は、海外中銀の例にもあるような、将来に向けて政策金利を低位に維持することを約束するフォワードガイダンスを導入することを検討してはどうか、と述べた。」  

 7月の修正では「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」と言うタイトルとともに、フォワードガイダンスの設定は個人的に想定外となった。しかし、リフレ派の委員というよりも、黒田総裁に修正案を飲んでもらうには、これらが必要となったのではないかと個人的には見ている。

 「何人かの委員は、この先、金融緩和をさらに継続していく際は、金融市場調節や資産の買入れをより弾力的に運営するなどして、緩和の長期化に耐え得る枠組みを構築していく必要があるとの認識を示した。」

 「ある委員」ではなく「何人かの委員」というのがひとつのポイントともなりそうである。つまり賛同者はすでに複数人いたことが示されている。

 「この委員は、「ゼロ%程度」という操作目標等の骨格は維持したうえで、実際の長期金利は、上下双方向にある程度変動しうることを示してはどうか、との意見を述べた。何人かの委員は、そうした長期金利操作の弾力化は、市場機能の維持・向上に資するとして、この意見を支持した。」

 この委員が果たして雨宮副総裁であったのかは議事録が出るまではわからないものの、今回の調整は雨宮副総裁が主導してのものであったと思われる。

 「一人の委員は、現状より金利が幾分上昇するようなことがあっても、経済・物価への影響は限定的とみられる一方、金融仲介機能への累積的な影響の軽減と政策の持続性強化に効果が見込まれるとの認識を示した。。そのうえで、この委員は、主要国の最近の長期金利の動きを参考にすると、わが国でも、±0.25%程度の変動を許容することが適切であると述べた。」

 「別のある委員は、イールドカーブ・コントロール導入後の金利変動幅である概ね±0.1%をベースとしつつ、上下その倍程度に変動しうることを念頭に置くことが適切であると述べた。」

 前者の意見は雨宮副総裁か。後者は黒田総裁の可能性があり、長期金利のレンジの幅に関しては若干の意見の違いがあったようだ。結局、後者の「上下その倍程度に変動しうる」に落ち着いたようである。個人的には特に海外投資家には刻み幅の0.25という数字が利上げと認識されかねないのではと思っており、その意味では0.20%の方が良かったと思っている。別に0.3%でも良かったのだが。


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by nihonkokusai | 2018-09-26 09:51 | 日銀 | Comments(0)

日銀によるETFの購入について再考の必要はないのか

 日銀はETFと呼ばれる上場投資信託を購入するかたちで日本の株式を購入している。これが決められたのは、2010年10月5日の決定会合においてであった。これは包括緩和とも呼ばれたが、資産買入等の基金を創設し、「国債、CP、社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)など多様な金融資産の買入れと固定金利方式・共通担保資金供給オペレーションを行うため、臨時の措置として、バランスシート上に基金を創設することを検討するとした。

 10月28日の決定会合において、指数連動型上場投資信託を0.45兆円程度、不動産投資信託を0.05兆円程度という買入限度額を設定した。11月5日には買入対象の詳細や信託銀行を受託者とする買入方式などの具体的な運用を定める買入基本要領等を決定。2010年12月から買入が開始された。

 その後日銀は金融緩和の強化として、ETFおよびJ-REITを含めて買入額を増加させてきた。2013年4月の量的・質的緩和策、いわゆる異次元緩和を決定した際には、ETFおよびJ-REITの保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行うとした。

 その後も追加緩和によって買入金額は増加した。現在では保有残高はそれぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行うとしている。

 ただし今年7月31日の決定会合では、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとするとしている。

 日銀が国債を大量に買い入れ、長期金利を抑えつけることによる弊害が債券市場の機能低下という格好で起きている。いまのところ日銀によるETFを通じた株式購入が、株式市場の機能低下を招くといった弊害は目に見えるかたちではおきてはいない。しかし、株式市場における日銀依存度が高まっていることは確かであり、適正な価格形成という市場機能にも影響を与えている。

 実質的に日銀が筆頭株主になっているような企業も多い(実際には筆頭株主に日銀の名前が出てくることはない)。さらにETFを日銀が購入する際に組成した金融機関に支払う手数料なども一部で問題視されている。

 そもそも日銀がETFを通じて、2%の物価上昇をもたらす経路が良くわからず、追加緩和という名目で買入金額だけが増加されていることに疑問はなかったのか。市場への影響がこれ以上大きくなる前に日銀によるETFなどの買入についても再考する必要があるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-09-23 10:26 | 日銀 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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