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カテゴリ:為替( 22 )

北朝鮮リスクの後退で、リスク回避の巻き戻しが強まるか

 これを書いている時間に(27日午前)、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長による南北首脳会談が、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設、「平和の家」で始まった。

 会談では、非核化と平和定着を巡って集中的な議論が交わされる見通しで、史上初の米朝首脳会談を見据えて、キム委員長の非核化の意思を、共同宣言などの形でどれだけ明文化できるのかが焦点となるとされる(NHKニュース)。

 何故、北朝鮮は攻撃的な態度をあらため融和的な態度に変化してきたのか。これは極めて政治的な問題であり、ここで憶測を入れるつもりはないが、この流れから見る限り、北朝鮮側は史上初の米朝首脳会談を成功させたいと思われる。ちなみに米朝首脳会談が行われる場所についても憶測が飛んでいるが、板門店の可能性が高くなったのではなかろうか。

 それはさておき、今年に入ってからの外為市場における円高の動きは、北朝鮮の核開発やミサイルの試射を巡っての北朝鮮の地政学的リスクによるリスク回避の動きだけであったわけではない。ドルが売られ、円が買われる、それぞれの要因はいくつかあった。しかし、2月あたりからはユーロなどに対しても円が買われており、(リスク回避として)円が買われやすい地合であったことも確かではなかろうか。

 その円高の流れに変化が出てきたのは、2月の平昌での冬期オリンピックを経て、韓国と北朝鮮が首脳会談を開くことで合意したとのニュースが飛び込んできたあたりからとなっていた。こにきてのドル円の反発には、リスク回避の巻き戻しと言った動きもあったとみられ、その意味では北朝鮮の地政学的リスクの後退も影響していたとみておかしくはない。

 もちろん米長期金利の3%台乗せなどもドルの上昇を促したが、円だけでなく米国債もリスク回避によって買われやすいものであり、つまり米長期金利の上昇もファンダメンタルや需給面だけでなく、リスク回避の巻き戻しとみれば、北朝鮮の地政学的リスクの後退による影響は皆無であったとは言い切れない。

 そうであれば、このまま史上初の米朝首脳会談がスムーズに開催され、核問題等で何かしらの成果が出るとなれば、さらに北朝鮮リスクが後退するとともに、アジア状勢に変化が生じることも考えられる。少なくともドル円が年初の水準ともなる113円台あたりまで戻してきたとしても何ら不思議ではない。

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by nihonkokusai | 2018-04-28 10:07 | 為替 | Comments(0)

北朝鮮リスクの後退で、リスク回避の巻き戻しが強まるか

 これを書いている時間に(27日午前)、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長による南北首脳会談が、軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)の韓国側の施設、「平和の家」で始まった。

 会談では、非核化と平和定着を巡って集中的な議論が交わされる見通しで、史上初の米朝首脳会談を見据えて、キム委員長の非核化の意思を、共同宣言などの形でどれだけ明文化できるのかが焦点となるとされる(NHKニュース)。

 何故、北朝鮮は攻撃的な態度をあらため融和的な態度に変化してきたのか。これは極めて政治的な問題であり、ここで憶測を入れるつもりはないが、この流れから見る限り、北朝鮮側は史上初の米朝首脳会談を成功させたいと思われる。ちなみに米朝首脳会談が行われる場所についても憶測が飛んでいるが、板門店の可能性が高くなったのではなかろうか。

 それはさておき、今年に入ってからの外為市場における円高の動きは、北朝鮮の核開発やミサイルの試射を巡っての北朝鮮の地政学的リスクによるリスク回避の動きだけであったわけではない。ドルが売られ、円が買われる、それぞれの要因はいくつかあった。しかし、2月あたりからはユーロなどに対しても円が買われており、(リスク回避として)円が買われやすい地合であったことも確かではなかろうか。

 その円高の流れに変化が出てきたのは、2月の平昌での冬期オリンピックを経て、韓国と北朝鮮が首脳会談を開くことで合意したとのニュースが飛び込んできたあたりからとなっていた。こにきてのドル円の反発には、リスク回避の巻き戻しと言った動きもあったとみられ、その意味では北朝鮮の地政学的リスクの後退も影響していたとみておかしくはない。

 もちろん米長期金利の3%台乗せなどもドルの上昇を促したが、円だけでなく米国債もリスク回避によって買われやすいものであり、つまり米長期金利の上昇もファンダメンタルや需給面だけでなく、リスク回避の巻き戻しとみれば、北朝鮮の地政学的リスクの後退による影響は皆無であったとは言い切れない。

 そうであれば、このまま史上初の米朝首脳会談がスムーズに開催され、核問題等で何かしらの成果が出るとなれば、さらに北朝鮮リスクが後退するとともに、アジア状勢に変化が生じることも考えられる。少なくともドル円が年初の水準ともなる113円台あたりまで戻してきたとしても何ら不思議ではない。

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by nihonkokusai | 2018-04-28 10:07 | 為替 | Comments(0)

ドル円がここにきて反発してきた理由

 外為市場では、ここにきて円高の修正のような動きとなっている。ドル円は3月22日の104円60銭台あたりが目先のボトム(底)となり、じりじりと反発し20日に107円後半あたりまで上昇している。ユーロ円も3月22日に一時129円を割り込んだが、そこから反発し19日に133円に接近している。

 ユーロ円は133円台を抜けてくるとチャート上からは、135円あたりまであっさりと上昇してくる可能性がある。また、ドル円も108円台あたりを抜けてくると110円あたりまで上昇してくる可能性が出てきた。

 今年に入りドル円は113円台あたりから下落トレンドとなり、3月22日に104円60銭台まで下落した。1月のドル円の下落の背景としては、日銀による国債買入の縮小、ムニューシン財務長官によるドル安を歓迎する発言、黒田日銀総裁による、(物価が)ようやく目標に近い状況にあると思うとの発言があった。市場が日銀の政策に過敏になっていた面もあるが、米国政府の本音が垣間見えたことで円高が進んだ。

 日銀は1月31日に中期ゾーンの国債買入を増額した。そして、2月に入りダウ平均は5日に記録的な下げとなりゴルディロックス相場(適温相場)が変調をきたし、米国を主体に株式市場が一時的な調整局面を向かえた。これによりリスク回避の動きを強め、円高が進行した。日銀は2月28日に超長期国債の買入を減額した。

 3月1日にトランプ大統領は、中国の過剰生産によって安く輸入されている鉄鋼製品が米国の安全保障の脅威になっているとして、25%の高い関税を課す異例の輸入制限措置の発動を正式に決める意向を明らかにした。これを受けて米中の貿易摩擦への懸念が強まり、リスク回避の動きから円高が進む。

 ドイツの政党の連立交渉、イタリアの総選挙などもリスク要因となったが、韓国と北朝鮮が首脳会談を開くことで合意したとのニュースが飛び込んできた。このあたりからやや地合が変化してきたように思われる。

 ただし、異例の輸入制限措置の発動により、中国との貿易摩擦の強まりとともに、北朝鮮と米国の緊張が再度高まる懸念も出てきたことで、金融市場ではリスク回避の動きを急速に強めたのが3月22日となった。

 米中がそれぞれ報復措置をとるなど貿易摩擦が激化するのではとの懸念が強まったが、トランプ政権の幹部らから貿易戦争を回避する時間は十分にあるとの発言との発言に加え、中国の習近平国家主席が昨日の講演で、自動車の関税引き下げや金融市場の開放、年内に一部製品の輸入関税を引き下げる方針を表明したことで貿易摩擦の懸念が後退。このあたりから円高圧力も後退してきたように思われる。

 今回の日米首脳会談でも為替に関してはそれほど強い表現はなく、米株も回復基調となったことなどもあり、さらに北朝鮮の地政学的リスクが後退かとの見方も強まったことで、過度なリスク回避の動きは後退してきた。さらに米長期金利の上昇なども手伝って、ここにきての円高修正の要因となっているとみられる。ここからの動きの鍵のひとつとなりそうなのが、北朝鮮との首脳会談も控えたトランプ政権の動向かと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-04-20 15:57 | 為替 | Comments(0)

年初からの円高ドル安の要因を探る

 ドル円の日足チャートをみると昨年の11月9日あたりと今年の1月10日あたりを起点にして相場の地合が変化していたように思われる。

 昨年の11月9日は日経平均が一時400円以上上昇していたが、株式相場のボラティリティーが上昇し、コンピュータープログラムを使ったシステム取引の参加者などから利益確定の売りが出たようで今度は急落し日経平均は300円を超す下落となり、高値からは800円を越す下げとなるなど高値波乱となった。この株価の変動も嫌気されたのか、ドル円も114円近辺から一時113円50銭割れとこちらも大きく変動した。

 日経平均の上昇基調は11月9日あたりでいったんピークアウトし、方向感に乏しい展開となる。これに対しドル円は下落トレンドとなり、一時111円割れとなった。11月24日に日銀は超長期ゾーンの国債買入を減額していた。しかし、11月末あたりから、再びドル円は切り返し、12月半ばあたりに113円台の後半まで上昇したが、ここが戻り高値となった。

 東京株式市場は昨年末の米株の上昇などを受けて、今年に入り大発会で日経平均は741円高の高値引けとなった。北朝鮮の金正恩委員長が韓国との対話に柔軟な姿勢を示唆し、平昌冬季五輪に選手団を派遣する可能性について検討する姿勢も示したことで、北朝鮮の地政学的リスクの後退なども材料視か。ただし、ただしドル円の動きは鈍く、112円半ばあたりでの動きになっていた。このあたりから、日経平均が上昇するとドル円も上昇するパターンに変化が生じている。

 1月9日に日銀は超長期の買入をさらに減額してきた。このため、指し値オペや買入増額への思惑、減額への懸念も出ていた。中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道について、中国政府筋は11日、誤った情報に基づいている可能性があるとの見解を示した。

 1月10日あたりを起点にドル円は再び下落トレンド入りする。2月2日に日銀は指し値オペと国債買い入れを増額した。しかし、ドル円の戻りは限られ、2月16日には105円台半ばまで下落した。この間の日経平均は米株がしっかりしていたこともあり、26日に22000円台を回復している。ドル円も2月21日に107円台後半まで戻すが、107円台を維持できずにいる。

 ドル安の背景のひとつとして、米国の通貨政策もあろう。1月24日にムニューシン米財務長官はスイスのダボスで開かれている世界経済フォーラムで、明らかに弱いドルは我々にとって良い、と述べた。これに対してトランプ大統領はテレビのインタビューに答えるかたちで、「米国経済は非常に力強い。絶好調だ。それゆえドルはどんどん強くなるだろう。最終的に私は強いドルを好む」と答えた。

 トランプ大統領は自らの発言でムニューシン財務長官によるドル安容認発言を否定したが、ドラギECB総裁がユーロは誰かのコメントのせいで上昇した面もあると発言したり、IMFのラガルド専務理事がムニューシン財務長官に説明を求められたりしたとも伝えられていたが、何らかの力が働いてのトランプ大統領の発言であった可能性もある。

 結局、ムニューシン発言は米国の本音が出たのではないかとの思惑も手伝ってドルの上値を重くさせているとも考えられる。また、FRBの利上げペースも維持されるとみられ、米長期金利が一時2.95%まで上昇したものの、ドル円の戻りは鈍い。こちらも連動性を失っているが、これも米政権の意向などが意識されての動きなのか。

 いまのところ何故、ドル円が下落トレンド入りしているのか、具体的な材料は見えてこない。しかし、何かしらドル円の上値を重くさせている要因もあるはずである。平昌オリンピック後の北朝鮮による地政学的リスクの再燃なども意識されているのかもしれない。今後のドル円の動向にも要注目となりそうである。


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by nihonkokusai | 2018-02-27 09:59 | 為替 | Comments(0)

ムニューシン財務長官によるドル安容認発言をトランプ大統領が否定するドタバタ

 米国政府はこれまで為替政策に関しては一般的に発言を控えるか、「強いドルは国益に適う」として、表面上はドル高を歓迎するかのような発言をしていた。この発言は1995年頃に当時のルービン財務長官が言い出したもののようで、それがこれまで主に基軸通貨を有する米国の財務長官の発言として受け継がれてきた。

 ところが24日にムニューシン財務長官は、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)の記者会見で、「明らかにドル安はわれわれにとり良いことだ。貿易や各種機会に関わるからだ」と述べ、ドル安を歓迎する姿勢を示した(ロイター)。

 たしかに、1985年のプラザ合意などを見るまでもなく、米国としては本音を言えばドル安歓迎というところではあろう。この発言を受けて、外為市場ではドルが全面安の展開となった。

 ムニューシン財務長官はこれに加えて「長期的には強いドルは米国経済力を映す。ドルは主たる準備通貨である」とバランスを取る発言もしていた。さらにロス商務長官は、このムニューシン財務長官のドル安容認とも取れる発言について、長年にわたる強いドル政策の転換を表明したわけではないと述べ、火消しに走った格好となった。しかし、市場は今回のムニューシン財務長官による発言はドル安容認と取らざるを得なかった。

 トランプ政権が米国第一主義を取っているとは言っても、「「米国第一は各国と協力しないという意味ではない」(ムニューシン財務長官)。つまり、為替政策に関しては相手国のこともことも考慮する必要がある。これについてロス商務長官は、貿易相手国の不適切な行動が、米国の対応を引き起こしたと主張した。ロス氏は、多くの国は、自由貿易を語っているが、実は非常に保護主義的な行動をとっている、との見方を示した(ロイター)。

 このロス長官の発言もトランプ政権の意向を反映したものと言えた。なかなか言えなかった本音がトランプ大統領も出席するダボス会議で、財務長官や商務長官から出てきたことは注意すべきで、トランプ大統領からも同様の趣旨の発言が出てくることも予想された。

 ところがである。トランプ大統領はダボス会議ではなく、米CMBCテレビのインタビューに答えるかたちで、「米国経済は非常に力強い。絶好調だ。それゆえドルはどんどん強くなるだろう。最終的に私は強いドルを好む」と答えたそうである。その前にこのインタビューでTPP交渉の再検討も示唆していたのである。

 ムニューシン財務長官によるドル安容認発言の真意は、トランプ大統領の露払いとの見方もあり、その可能性は否定できなかった。ルービン時代から続いていた形式だけの表明は止めて、本音を出してきたとも言えるが、これは相手国、つまり日本などにとっては難しい対応を迫られることになる。つまり、円高要因となりうるような行動が取りづらくなる。

 ところが、トランプ大統領は自らの発言でムニューシン財務長官によるドル安容認発言を否定した。ドラギECB総裁がユーロは誰かのコメントのせいで上昇した面もあると発言したり、IMFのラガルド専務理事がムニューシン財務長官に説明を求められたりしたとも伝えられていたが、何らかの力が働いてのトランプ大統領の発言であった可能性もあるが。よくわからない。これがトランプ政権のやり方なのであろうか。


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by nihonkokusai | 2018-01-26 10:28 | 為替 | Comments(0)

英国のメイ首相の総選挙前倒し発言受けて、何故ポンドが買われ株は売られたのか

英国のメイ首相は18日、ロンドンの首相官邸で緊急会見を行い、2020年に予定されていた総選挙を前倒し、今年6月8日に実施したい意向を明らかにした。総選挙を前倒しして実施するには、議会の3分の2の賛成が必要となるが19日の英国議会下院では、最大野党の労働党も賛成したことで採決の結果、必要な3分の2を超える支持を得て、総選挙の前倒しが決まった。メイ首相の総選挙前倒しの意図とは何か。その前にメイ首相の発言を受けての金融市場の動きを確認してみたい。

外為市場では、ポンドが主要通貨に対して大きく「上昇」した。英国は昨年6月の国民投票でEU離脱を決定した。今年3月にメイ首相がEUに離脱を通知し、原則2年間の交渉に入っていた。この間、ポンドはドルなどに対して下落した。これにはメイ首相のハードブレグジット(英国がEUから完全に離脱する強硬路線)・リスクが影響していたと思われる。

ハードブレグジットとは移民抑制などを優先し、単一市場からの離脱もいとわない政策のことであり、リスク回避の動きとしてポンド売りとなったが、ロンドン株式市場はポンド安、つまり自国通貨安を好感して上昇するという現象も起きていた。為替市場と株式市場では英国の将来に対しての認識の違いもあったのかもしれない。

今回のメイ首相の総選挙前倒し発言を受けてポンドが買われたのは、政権基盤が強固されるため不透明感の払拭も意識されていたようである。しかし、ロンドン株式市場は下落したがもこれはポンド高によるものとされた。つまり2012年11月の東京市場での円高株安修正のように大きなポジションの巻き返しが起きた可能性がある。また今回の外為市場やロンドン株式市場の動きを見ると、ハードブレグジットリスクの後退を意識させるものとも見えなくもない。

ここで問題となりそうなのが、メイ首相が総選挙を前倒しをしたい理由となる。日本の2012年12月の総選挙は民主党政権が追い込まれて実施したものであったが、今回の英国の総選挙の前倒しはメイ首相が起死回生を狙ったものといえる。与党勢力を伸ばして政権基盤の安定を図ることが目的となろう。これでハードブレグジット路線をより強固なものにしたいものとみられる。ただし、現実路線(ソフトブレグジット)ら向けた修正を図っている可能性も指摘されている。

元々メイ首相はソフトブレグジット路線を探っていたものの、EU側の強固な姿勢もあってハードブレグジットを選択せざるを得なくなった。このため与党保守党内でも分裂が生じた。またスコットランドでは独立の是非を問う2度目の住民投票の可能性も指摘されている。このタイミングで総選挙に打って、とりあえず勢力基盤の安定を図るにはチャンスとみていたと思われる。

英国債の動きをみると今回は買い進まれ、18日の英国の10年債利回りは一時1.0%割れとなった。選挙は水物でもあり、英国の政治の先行き不透明感の強まりを考慮すると、リスク回避により英国債は売るべきか買うべきかは悩ましいところであろう(19日の英国債は売られている)。フランス国債は大統領選挙に向けた不安もあって売られる場面もあった。18日の英国債が買われた理由としては、リスク回避というよりも政権安定を意識した買いの可能性もある。

ただし、18日のメイ首相の総選挙前倒し発言受けた市場の動きは一時的なものとなることもあるため、今後のポンドやロンドン株式市場、英国債の動向も注意したい。ちなみに英国債や米国債が買われたことで、19日に日本の10年債利回りはゼロ%に低下した。


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by nihonkokusai | 2017-04-20 09:32 | 為替 | Comments(0)

ムニューシン米財務長官の強いドルは良いことだとの発言の意図

「強いドルは国益にかなう」という米国が伝統的に受け継いできた為替政策は、トランプ政権に変わってからも続いているようである。ムニューシン米財務長官は、17日のフィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「長期的に見て強いドルは良いことだ」と語った。

ムニューシン米財務長官は就任後、ドルの長期的な強さについて、米経済にとって最大の利益であり、世界の基軸通貨としての信頼を反映しているとの見解を繰り返し示していた。しかし、トランプ大統領が12日のウォールストリート・ジャーナルのインタビューでドル相場に関して強すぎるとの認識を示したことで、市場はトランプ政権はドル安誘導を意識しているのではないかと警戒し、北朝鮮などの地政学的リスクも相まって、ドル円は一時108円台前半にまで下落(円高が進行)していた。

ムニューシン米財務長官は、FTとのインタビューで、「トランプ大統領は短期的なドルの強さについて事実に基づく発言を行った」と述べていた。つまり、トランプ大統領とムニューシン財務長官との間に、為替政策に対して意見の相違はなく、あくまで短期的にみるか、長期的に見るかとの違いに過ぎないことを強調した。

米財務省は14日に公表した外国為替報告書で、中国を為替操作国として認定することを見送った。その理由についてトランプ大統領は北朝鮮を抑え込むために中国政府の協力を得られるためだと説明した。今回、為替操作国として認定した主要貿易相手国・地域はなかったが、同省は「監視リスト」に前回と同じく中国と韓国、日本、台湾、ドイツ、スイスの6か国・地域を指定した。

「強いドルは国益にかなう」という米国の伝統的に受け継いできた為替政策については、本音は違うところにあるものの、表面上のスタンスはそのように見せざるを得ないというのが実情ではないかと思う。それは米国が為替操作国もしくは監視リストにいくつかの国を指定するとなれば、そもそも米国そのものが為替操作国ではないという前提でないとおかしいことになる。

1985年のプラザ合意を持ち出さずとも米国はかなり自国のための為替操作を行ってきた国だと言える。それが結局、急激な円高ドル安を招くことになり、「有事のドル高」がいつの間にか「有事の円高」に変わったひとつの要因であろう。しかし、基軸通貨国としては、それを公に認めるわけにはいかない。このためムニューシン米財務長官から、強いドルは良いことだとの発言が出てきたものとみられる。


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by nihonkokusai | 2017-04-19 09:43 | 為替 | Comments(0)

北朝鮮への懸念で近隣国の日本の通貨が買われる不思議

昔の相場の格言に「有事のドル買い」というのがあった。これは戦争などが起こった場合、いわゆる有事の際に外国為替市場においてドルが買われやすいことを意味する。軍事大国でもある米国の通貨のため、安全性が高いとされる上に、ドルは最も流動性が高く、ほかの通貨よりも信用リスクや流動性リスクが低いことで、有事の際には買われやすいことを意味していた。しかし、この有事のドル買いという言葉は最近ではあまり通用しなくなった。地政学的リスクの強まりによりドルが買われる場面はあるが、こと円に対してはドルが下落することが多い。

6日に米軍がシリアに向けてミサイル攻撃を行った。そして間髪入れずに今度は、8日に原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群がシンガポールから朝鮮半島に向けて出航した。米国のトランプ大統領は11日、ツイッターで「中国が北朝鮮問題を解決すれば、米国とより良い貿易取引ができるだろうと中国の習近平国家主席に説明した」と投稿した。さらに「中国が協力を決断するなら、それはすばらしいことだ。そうでなければ、中国抜きでわれわれが問題を解決する」とも投稿しており、中国が行動しないのであれば、米国が単独で対応する用意があるという考えを改めて示した。

海上自衛隊が朝鮮半島の近海に向けて航行中の米空母カール・ビンソンと共同訓練を検討しているとも伝えられており、これも北朝鮮を刺激する可能性がある。今月は金日成主席の誕生日を15日に迎えるなど、北朝鮮で記念日が続くことで北朝鮮が新たな挑発行為に出る懸念もあり、一触即発のリスクも高まっている。

金融市場動向をみると特に欧米の株式市場などでは、それほど大きな動揺を示していないが、外為市場ではじわりじわりと円高が進行し、「ドルは強すぎる」とのトランプ大統領の発言も加わって、ドル円は一時109円割れとなった。リスク回避の動きから金の先物も買われ、ニューヨーク金先物相場は5か月ぶりの高値をつけている。

金が買われるのは何となくわかるが、地政学的リスク回避の動きだからといって円が買われるというのは理屈に合わない。今回のリスク回避の動きの背景にはシリアという中東の国の問題というより、地理的に日本と非常に近い北朝鮮の影響が大きい。何かしらの有事が発生した場合に、米国と日本への影響やそのリスクを考えると日本に対する影響の方が大きくなるはずである。それにも関わらず何故、円がドルに対しても買われるのであろうか。

リスク回避の円買いは、理屈で動くというよりも長きにわたり市場で形成されてきた条件反射的な動きに思える。たしかに先進国のなかで政治は安定しているようにみえる。しかし、安倍首相以前は毎年のように首相が替わっていた国であった。しかも膨大な政府債務を抱え、中央銀行はやや無謀とも言える政策を続けている国である。これらは日本国債の潜在的なリスクを高めているともいえる。それでも円が買われるのは、日本への信認が維持されている裏返しでもあるのかもしれない。しかし、それでも北朝鮮における地政学的リスクの高まりによる円買いに対しては、違和感を持たざるを得ない。


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by nihonkokusai | 2017-04-13 09:43 | 為替 | Comments(1)

為替を巡る日米の見解の相違

 20日から21日にかけて仙台の温泉地である秋保で開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議は何事もなく無事に閉幕した。歓迎レセプションで、鏡開きをする様子や仙台城跡で記念撮影が財務省のサイトのフォトライブラリーで見ることができる。仙台城跡の伊達政宗像の前での記念撮影の一枚には、麻生財務相、黒田総裁、ルー財務長官、イエレン議長など皆笑顔のなかで一人だけ、むっとしているドラギ総裁がいた。たまたまそのタイミングで撮ってしまったと思われるが、もしや何か思うところがあったのだろうか。

 それはさておき、今回のG7財務大臣・中央銀行総裁会議では本当に何事もなかった。注目ポイントのひとつとみられた日米政府の外為市場の見解の相違に関しては、互いへの強い批判は避けた格好となった。

 日経新聞によると「ここ数週間をみれば、10日間で8円とか9円とか振れるのは秩序だった動きとはいえない」との麻生財務相の発言に対し、「相場は無秩序とはいえない状況だろう」とルー財務長官は発言するなど平行線のままではあった。21日朝に開いた日米財務相会談でも麻生財務相は「ルー長官と特に激論があったわけではない」と発言している。日米とも今年は選挙を控え、それぞれの立場も意識し、米国としても開催国の日本に配慮していた可能性もある。

 それでも根本的な見解の相違が存在していることは確かである。日本としては急激な円高に対しては介入という手段があることを市場に認識させておきたい意向はあるであろう。米国としては為替介入などもってのほかとのスタンスは継続しよう。しかし、ドル円そのものがここにきて105円台から110円円台に戻すなどしていたことで、それほど神経質にはなっていないことも確かである。

 ただし、ここからあらためて円高が進むような事態になると状況が変わる可能性がある。今週は伊勢志摩サミットも控えている。6月にFRBが利上げをする可能性も高まっている。日銀の今後の動向も念のため確認しておく必要もある。

 もうひとつ注目されていた協調しての財政出動に関しては、英国やドイツの慎重姿勢に変化はなく見送られた。これに関しての一連の議論は伊勢志摩サミットに引き継がれるようだが、やはり合意は難しいと思われる。

 意外にサプライズとなるかもしれないのは日本の消費増税の行方となるかもしれない。市場は見送りと読んで、これをかなり織り込んでいただけに、予定通り実施されるとなると株式市場などがやや動意を示す可能性はある。個人的には財政規律を維持させるためにも消費増税は予定通り実施されるべきであると思っているが。

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by nihonkokusai | 2016-05-24 09:31 | 為替 | Comments(0)

日本政府による為替介入の可能性

 麻生太郎財務相は5月9日の参院決算委員会で、ドル・円相場の急激な変動は望ましくないとして「介入する用意があるということを申し上げる」との見解を示した。米財務省が外国為替報告書で中国と日本、ドイツ、韓国、台湾を監視リストに入れたことについては、「為替政策は今、制約を受けるというわけでもない」とも述べた(ブルームバーグ)。

 この「当然介入の用意がある」と発言した理由について麻生財務相は、「急激な為替変動が経済に好影響を与えないことはG7、G20でも合意されており、一方的な偏った状況が続くなら介入する用意があるため」と説明した。最近の為替動向は「一方的に偏しており、さらにこの方向に進むのは断固として止めねばならない」と強調した(ロイター)。

 米財務省は4月29日に貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書において、対米貿易黒字が大きい日本や中国、ドイツなど5か国・地域を監視リストに指定した。米当局は相手国が不当な通貨切り下げなどを強めれば、対抗措置がとれるとしている。年明け以降の円高・ドル安については、市場は秩序的だと評価し、日本の円売り介入を改めてけん制した格好となった。

 このあたり日米の見解の相違がある。米国は年初からの円高ドル安について秩序的だと評価しているのに対し、麻生財務相は一方的に偏していると評している。この見解の相違はいまに始まったことではなく、4月14日から15日にかけてワシントンで開催されたG20の前後においてもルー財務長官と麻生財務相が同じようなやり取りをしている。

 ただし問題は為替の動きが秩序的なのか、一方的に偏しているかとの認識ではなく、今回の円高に対して日本が為替介入を行うことが現実に可能かどうかということになるのではなかろうか。

 日本の認識では為替介入は可能ということになろうが、それを行えば相手国となる米国の批判を浴びることは目に見えている。5月の伊勢志摩サミットも控えて米国との対立は避けたいであろうし、さらに米国の大統領選挙も控えている。仮に日本が為替介入を行えば、大統領候補は米国民の賛同を得るために日本を攻撃の矛先に加える懸念がある。

 そもそも為替介入で円安となるのかという問題もある。円売りドル買いであれば、日本政府はいくらでも資金を調達することができるから負けるわけないとの指摘が以前あったが、円売りであろうと円買いであろうと市場に勝てる保障はまったくない。むしろ個人的には負ける可能性が強いと思っている。すでに金融緩和での通貨安もできない状況下、力尽くでの介入は市場の敵対心を煽るだけとなる可能性もありうる。

 それでも為替介入やそれに先んじてのレートチェックはいつでも出来ると市場に認識されておかないとならないというのが日本政府の意向でもあろう。しかし、それすらも市場で見透かされると、むしろ円買い圧力を強め、介入の可能性を試すようなことも考えられる。

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by nihonkokusai | 2016-05-15 10:38 | 為替 | Comments(0)
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