人気ブログランキング |

牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:債券市場( 730 )

日本でも期間50年の債券が発行されるとか

 日本で償還までの期間が最も長い50年という社債を、大手不動産会社、三菱地所が発行することになったとNHKや日経新聞が報じた。

 国債は期間40年のものが発行されているが、これまでは社債を含めて40年を超える期間の通常の債券は発行されておらず、今回の三菱地所の社債が最も償還までの期間が長い債券となる。

 少し古いデータとなってしまうが、海外では50年を超す期間の債券は国債を主体に発行されていた。

 たとえばフランスでは、オランダにおける年金基金の制度改正など年金に関する制度改革などにともなって、超長期債のニーズ増大に応えることを目的とし、2005年2月に50年固定利付債をシンジケート方式にて発行した。

 50年以上の国債は、他にポーランドで50年債、スイスでも50年債、中国では100年債が発行されていた。

 英国では「利払負担の軽減」を目的として、2005年5月に50年固定利付債を入札方式にて発行している。ちなみに英国では永久債と呼ばれる償還期限を定めない方式の債券を発行していたが、それらは統合されて2015年に償還されている。

 米国では50年債の社債が発行された事例もあるとか。

 その米国では長短金利が逆転したことが話題となったが、通常の債券は期間が長いほど利回りは高くなる。それだけ保有期間のリスクがあるためである。日本でも10年国債利回りはマイナスだが、40年債の利回りは0.5%台となっている。

 社債の利回りは最も安全性の高い国債の利回りに上乗せされて決定するが、そもそも50年の国債がない。このためイールドカーブを推計で延長するようなかたちで金利を決定するとみられるが、今回の三菱地所の50年債の利回りは、格付けも高いことも加味された上で、1%台になる見込みのようである。

 日銀の大胆な金融緩和やそれによる長期金利コントロール、さらには物価が「低位で安定」していることもあり、期間の長めの国債利回りも歴史的な低位にある。このため、発行する企業としては、金利負担を抑えて、長めの資金を調達することができる。債券を購入する側からすれば、期間10年の国債までマイナスの利回りとなっているなか、少しでも高い利回りを求めており、そのニーズに応えるものとなる。


by nihonkokusai | 2019-04-05 10:09 | 債券市場 | Comments(0)

日米欧の長期金利はどこまで低下するのか

 ECBのドラギ総裁は、必要なら利上げをさらに遅らせる用意があると述べたことに加え、マイナス金利の副作用を和らげる措置を検討する方針を示した。これはつまり金融緩和策を継続させるための措置とも受け取られ、27日のドイツの10年債利回りはマイナス0.08%に低下した。このドイツの10年債利回りの低下もあって、27日の米10年債利回りも2.3%台まで低下した。そして、日本の10年債利回りも28日にマイナス0.1%に低下した。まるでドイツと日本の長期金利が競い合うように低下している。

 米国の10年債利回りは10月に3.2%台まで上昇したあと低下基調となった。米10年債利回りのチャートからは、上昇トレンドが崩れた格好となった。チャートから見ての次の節目は2.05%あたり、つまり2%が大きな壁となることが予想される。現状は上昇トレンドのスタート地点ともいえる2016年7月の1.3%台あたりまで低下することは考えづらいが、ないとも言えない。

 すでにドイツの10年債利回りはマイナス0.1%に接近している。これは2016年9月あたり以来の水準となっている。ちなみにドイツの10年債利回りは2016年7月にマイナス0.18%あたりまで低下した。

 日本の10年債利回りは、2016年9月の長短金利操作付き量的・質的緩和の際に設定されたとされる長期金利のレンジ±0.1%の下限に到達した。ただし日銀は昨年7月に長期金利の許容範囲を拡大させ、±0.2%としている。これにより、マイナス0.1%は通過点との見方もできる。しかし、来年度の国債発行の減額に合わせる格好で国債買入の金額なりを修正してくる可能性はありうるか。

 チャートからみると日本の10年債利回りはマイナス0.1%という心理的な壁を突破するとなれば、2016年7月28日につけたマイナス0.29%あたりが次の節目となる。もし日本の10年債利回りがマイナス0.2%を下回ってきた際に日銀は動くのか、動くとすれば何をしてくるのか、それを市場が試しにくることも環境次第ではありうるか。


by nihonkokusai | 2019-03-30 11:10 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物の相場操縦でシティに課徴金が課せられる

 証券取引等監視委員会は25日、日本国債の先物取引で相場操縦をしたとして米金融大手シティグループに1億3337万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告する方針を固めたと日経新聞などが報じた。

 証券取引等監視委員会のサイトには「シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッドによる長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について」がアップされており、ここに経緯等が詳しく記載されている。

「シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッドによる長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について」

 昨年7月29日に証券取引等監視委員会は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社に対し、長期国債先物に係る相場操縦を行ったとして、2億1837万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告したと発表した。これが証券会社による長期国債先物を対象にした相場操縦は初めてとなる。また、デリバティブ(金融派生商品)に限ると、過去最大の課徴金となった。

 今回はこれに続くものとなる。上記の証券取引等監視委員会のサイトによると、2018年10月26日午後7時45分頃から同月27日午前1時11分頃までの間及び同月29日午後7時16分頃から同月30日午前1時2分頃までの間に行われたようである。

 手元のデータによると2018年10月26日と29日の長期国債先物のナイトセッションは1.1兆円の売買高があり、これはナイトセッションの売買高としてはかなり多く、値動きも10銭以上となっていた。そもそもナイトセッションは日中の取引に比べ参加者は少なく、売買高は通常は5000億円程度できれば多いほう。さらに何かしらの材料でもない限り10銭以上動くことはまれである。2018年10月26日と29日には特に大きな材料はなかったものの、26日の日中から出来高が膨らんでいたことも確かであった。

 私も長期国債先物(債券先物)のディーラーの経験が15年程度あったが、債券村と呼ばれるように日本の債券市場はプロの機関投資家同士が相場勘を競い合うような場所で、個人投資家などの入り混む余地は少ない。このため、債券先物での見せ玉など私がディーラー当時(17年前あたり)は日常茶飯事であった。この見せ玉に対しては、何をしているのだといつも思っていたものの、プロ同士の売買の場でもあるためなのか、それはやっても良いといった暗黙の了解があったようにも感じられた(個人の感想です)。

 とはいえ証券取引等監視委員会のサイトに詳しい経緯が示されているように、株式市場と同様の見せ玉については、相場操縦と見なされてもいたしかたない。そして、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社にすでに課徴金が課せられた事例もわかっていたはずなので、今回の関係者は少し配慮がなさすぎた。ちなみに今回の相場操縦で得た利益は約275万円だったそうである。275万円を得るために見せ玉をして1億3000万円も会社が支払うというたいへん馬鹿らしい商いをしたといえる。

 もちろん日銀による異常な金融緩和政策によって国債市場が機能不全に陥っており、債券市場での収益チャンスは特にディーラーにとってはほとんど閉ざされてしまっているため、たいへんな状況にいることは理解できる。このため致し方なく見せ玉をしてしまったと言えなくもないかもしれない。ただし、私の個人的な意見を言わせてもらえば、見せ玉をしている人達はそれで楽しんでいるようにすら思えていた。今回も見せ玉やそれによる値動きで、HFTなども誘い込ませることで、多少なりの稼ぎを狙っていたのかもしれない。いずれにしてもそれは、いくら日銀のせいで相場が動かないとしても、やはりやってはいけないことである。あらたに課徴金が課されることがないよう今後、債券先物での見せ玉は極力、控えるべきであろう(そもそもやってはいけない)。


by nihonkokusai | 2019-03-28 10:04 | 債券市場 | Comments(0)

米国では長短金利が逆転、ドイツの長期金利はマイナスに、日本の長期金利も低下、何が起きているのか

 20日のFOMCにおいて、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25~2.50%に据え置くことを全会一致で決定した。FOMCメンバーの政策金利見通し分布(ドット・チャート)では、年内の利上げ回数はゼロとなり、年内の利上げ観測が後退した。パウエル議長は記者会見で、「資産縮小は5月から減速し、9月には完全に停止する」と発言した。具体的には5月から縮小ペースを減速し、保有国債の毎月の縮小ぺースは最大300億ドルから最大150億ドルに半減させる。

 これを受けて20日の米債は買い進まれ、2.5%台に低下し、21日には一時2.5%割れとなった。22日には3月の米製造業PMI速報値が予想を下回ったことや、ドイツの10年債利回りがマイナスとなったことなどから、米10年債利回りは2.41%まで低下した。これに対して、短期の金利の代表ともいえる3か月物の米財務省証券(TB)の利回りは、FRBの政策金利に影響を受けやすいことで2.45%近辺と高止まりしていたことで、それを10年債利回りが下回った。つまり2007年以降初めてとなる米長短金利の逆転が生じた。

 長期金利が短期金利の水準を下回ることは「逆イールド」とも呼ばれ、過去に逆イールドが生じた際は景気減速期が多かった経験もあってか、22日の米国株式市場はこれも嫌気されて、ダウ平均は460ドル安と大きく下落した。

 英国を除く欧州連合(EU)首脳27カ国は21日、英国のEU離脱の延期を巡り協議した。英下院が3月最終週に予定する採決で、メイ政権とEUが合意した離脱案を可決できなかった場合、4月12日まで離脱を延期したうえで、英国に長期延長に応じるか「合意なき離脱」を選ぶかを決断するよう求めた(22日付日経新聞電子版)。

 EU首脳らは離脱日が目前に迫っても、離脱方針を巡って分断する英政治の混迷に態度を硬化させているとされる。フランスのマクロン大統領は、英国議会が離脱案を否決すれば、延期を認めることはできず、「合意なき離脱になる」との認識を示した。

 英国の合意なき離脱も懸念されて、欧州の国債も総じて買い進まれ、ドイツの10年債利回りはゼロ%近くに低下していた。さらに22日に発表されたドイツの3月の製造業PMI速報値が好不況の分かれ目となる50を3か月連続で下回ったこともあって、22日のドイツの10年債利回りは2016年10月以来となるマイナスとなった。

 22日に発表された日本の2月の消費者物価指数は、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合が前年同月比プラス0.7%と1月のプラス0.8%から上昇幅が縮小された。

 22日の日本の債券市場では、10年債利回りがマイナス0.060%まで低下し、2016年11月9日以来の水準で取引を開始した。その後マイナス0.075%まで低下した。ちなみに2016年6月に日本の10年債利回りはマイナス0.2%台まで低下していた。

 日銀の物価目標達成は見通せず、欧米の長期金利は低下その要因ともなっているFRBの正常化路線の停止見通しとその背景となっている欧米を含めた世界的な景気減速への懸念、そして英国のブレグジットを巡る懸念の強まり、加えて米中の通商交渉の行方も見通せず、リスク回避の動きも相まって、日米欧の長期金利は低下したといえる。

 今後は事態に大きな改善がみられるなり、世界的な景気減速観測が後退するといったことがなければ、日本の10年債利回りはひとまずマイナス0.1%あたりを伺うことが予想される。


by nihonkokusai | 2019-03-23 09:56 | 債券市場 | Comments(0)

債券先物の中心限月の引け値が4日連続で同値という珍事

 債券先物の中心限月の引け値が2月19日から22日にかけて4日連続で152円90銭で引けていた。4日連続というのは記憶になかったため、とりあえずすぐにチェックできる手元のエクセルのデータで確認してみた。

 手元のものが1991年1月からであったため、それ以前のものがすぐには検証できず、またすべてのデータは手入力で行っていたため、誤入力の可能性もある。このため、あくまで暫定的なデータということでみてほしいが、チェックしたところ2日連続はかなりあったが、3日連続となると下記の例のみであり、4日連続はなかった。

 3日連続は、1991年7月8日から10日の3日間連続で95円10銭、2012年6月6日から8日の3日連続の143円59銭、2014年10月29日から31日の3日連続で146円53銭、2015年11月17日から19日の3日連続の148円54銭、2016年5月27日、30日、31日の3営業日連続での152円03銭、2017年9月1日、4日、5日の3営業日連続での151円22銭、

 つまり4日連続の同値引けは債券先物史上で初である可能性が高い。少なくとも値動きがあったにも関わらず4日連続の同値引けはまさに珍事といえよう。

 日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策によって日本の債券市場の流動性が低下していることは確かである。それでも債券先物は一定の出来高は維持し、値動きも多少なりある。だからこそ引け値の同値が続く例が少なかったともいえる。

 今回の4日連続の同値引けは、たまたまそうなってしまったといえるが、それだけ相場の膠着感を示したものともいえるかもしれない。欧州や中国を主体とした景気減速懸念で債券は買われているものの、高値警戒感もあり米中通商交渉の進展への期待も上値を抑えているというか様子見姿勢を強めさせている。


by nihonkokusai | 2019-02-26 09:40 | 債券市場 | Comments(0)

10年債利回りが再びゼロ%に

 21日から24日にかけて米国株式市場は大幅続落となり、25日の日経平均株価は1000円を超す大幅な下げとなった。米債も買い進まれた。これを受けて25日の債券市場では10年債利回りが一時2017年9月11日以来のゼロ%をつけた。

 米10年債利回りは11月初旬に3.2%台に上昇していたが、その後はじりじりと低下し、2.7%台となっている。リスク回避の動きとともに、米長期金利の低下もあり、ドル円も11月末の114円台からここにきて110円台に下落してきた。

 25日に10年債利回りはゼロ%をつけたものの、この日の日本相互証券での現物債の売買高は3000億円台と少なかった。積極的な買いが入ったというよりも、打診買いのような動きになっていた。

 25日の債券先物も買われたものの、中心限月の3月限の日中高値は152円66銭までとなり、19日につけた152円84銭には届かなかった。25日は商いそのものも低迷しており、19日に6兆円を超す売買があったのに、25日は1.6兆円程度しかなかった。

 この動きが示しているのは、19日あたりまでの仕掛け的な動きがやや異常であったということではなかろうか。債券先物の中心限月の移行のタイミングを見計らって、チーペストの品薄感などもあり、先物主導の踏み上げ相場を仕掛けていたとみられる。

 債券先物の動向や動いた時間帯を見る限り、この仕掛け的な動きは海外勢であったとみられる。特に債券先物はナイトセッションでの出来高が増加するなどしていた。しかし、この動きは19日につけた152円84銭でピークアウトした。

 19日にFRBは追加利上げを決定した。もしかするとこのFOMCまでの仕掛け的な動きであったのかもしれない。米債もこの間に上昇しており、米債と円債先物を同時に仕掛けていた可能性もある。

 25日の東京時間での債券先物の出来高は薄く、さらにこの日のナイトセッションはクリスマスということもあるが、わずか397枚だけとなっていた。

 これによって仕掛けていた海外勢が完全に手を引いたといえるのかどうかはわからない。しかし、10年債利回りのマイナス化は特に国内の市場参加者は望んでいないことも確かであり、ここからの買い仕掛けもやりづらい。それでも株式市場や米債などの動向如何ではリスク回避の動きもともない、円債がさらに買い進まれる可能性もないとはいえない。


by nihonkokusai | 2018-12-27 10:08 | 債券市場 | Comments(0)

日本国債は日銀の手の平のなかで動いている孫悟空か

 大阪取引所に上場している日本の債券市場のベンチマークともいえる長期国債先物(以下、債券先物)は、10日のナイトセッションで151円89銭まで上昇した。今回の債券先物の上昇の起点は10月23日あたりで、この日の引けは150円29銭の高値引けとなっていた。これ以降、ほぼ一本調子の上昇となっていた。債券先物の出来高も次第に増加し、株安などを背景とした仕掛け的な動きが強まりつつあった。

 その後の債券先物の上昇の原動力となったのは米国債の上昇といえるが、こちらは少しタイムラグを置いて11月8日あたりから上昇基調となっていた。米債の上昇の背景となっていたのは、米中貿易摩擦を巡る懸念、英国のEU離脱問題などの国際情勢を受けたリスク回避の動きもあったが、来年の世界的な景気減速懸念も背景となっていた。FRBの利上げペースを巡る思惑なども次第に強まってきた。

 この米債高もあり、債券先物は日々の値動きも大きくなってきた。出来高も多い状態が続いたが、なかでもナイトセッションの出来高の多さが目立っていた。これは10月あたりから始まっており、ナイトセッションの出来高が1兆円を超す日も出てきていた。これは時間帯からみて海外投資家の動き、もしくは一部ディーラーがデイトレードを増加させていた可能性がある。

 ただし、現物債の商いはそれほど多くはない。10年債利回りは0.10%どころか0.05%も割り込んできたものの、これは債券先物に引っ張られたともいえる。

 12月13日の債券先物12月限の最終売買日に向けた中心限月の移行も睨み、踏み上げ圧力も意識されて、10日のナイトセッションで直近の高値を取りに来た格好となった。日銀の大量の国債買入でチーペストと呼ばれる債券先物と連動する銘柄の品薄感などから、先物は買い戻しが入りやすい。今回は米債高もあり債券先物の踏み上げ圧力が強まったと言える。

 債券先物の中心限月が実質的に3月限となってからも、相場は米債の動き次第となるとみられる。特に米債も動いている時間帯のナイトセッションの仕掛け的な動きはまだ続く可能性はある。

 これによって債券の機能が回復しているように見えなくもない。現物債市場が動きが取りづらい分、債券先物を使ったディーリング的な商いが増えることは好感したいが、それでも日銀の手の平のなかで動いている孫悟空に過ぎないことも確かである。昔のように自由に空を飛べない限り、本来の意味での債券市場の機能が回復したとはいえない。


by nihonkokusai | 2018-12-13 09:56 | 債券市場 | Comments(0)

米国での逆イールドの発生は景気減速の兆候なのか

 3日の米国債券市場では、3年債利回りが5年債利回りを上回り、2007年以来の逆転となり、米2年債と10年債の利回り較差も約10年ぶりの水準に縮小した。5日には2年債利回りが5年債利回りを上回った。

 縦軸を債券の金利、横軸を債券の期間として期間ごとの利回りをプロットすると曲線が描かれる。これがイールドカーブである。イールドカーブは通常、右肩上がりになりやすい。これは順イールドと呼ばれる。右肩上がりの傾斜がきつくなることをスティープ化と呼んでいる。

 これに対して短い期間の債券の金利が長い期間の債券の金利を上回るようなカーブが描かれることがある。これを逆イールドと呼んでいる。長い期間の金利と短い期間の金利の較差が縮小することをフラット化と呼んでいる。

 通常は長い期間の債券のほうが所有期間リスクが高くなることで、その分のリスクプレミアムが金利に上乗せされる。このため、イールドカーブはスティープ化していることが多い。

 ここに何らかの要因が加わって、フラット化が進み、逆イールドとなるケースがある。過去に逆イールドとなった際は景気後退局面が多かったこともあり、イールドカーブが逆イールドとなるのは景気後退を示唆しているとの見方がある。

 ただし、注意すべきは短期金利と長期金利は同じ金利ながらも、変動要因が異なる場合があることである。短期金利と長期金利のスプレッドだけをみて、それが景気後退を意味すると採るのはやや早計な見方となる。

 今回の長短金利のスプレッドの縮小について、特に短期金利の上昇の背景は明確である。短期金利は中央銀行の金融政策によって決定されるものであり、FRBが正常化にむけた利上げを行ってきたことで短期金利が上昇した。それが中期ゾーンの金利にも影響を与えている。

 しかし、長期金利は利上げにも関わらず上昇は限られたものとなっていた。これは景気後退によるものではないはずである。もしそうであれば、利上げを進められる環境にはないということになる。米長期金利が短期金利に比べて上昇速度が鈍っていたのは、景気の回復が比較的緩やかで、長期金利にも影響を与える物価の上昇も鈍く、インフレを連想させるようなものとなっていなかったことによる。

 さらに米長期金利、つまり米10年債の利回りになるが、その米10年債は何かしらのリスクが発生した際にリスク回避として買われることがある。もちろんその際は10年債だけでなく中期債なども買われようが、FRBの利上げによる短期金利の水準も意識されることで、長期債ほど買い進まれないということも考えられる。

 結果としては今回の米国でのイールドカーブの逆イールドの形成と、世界的な景気減速が同時進行する可能性はある。しかし、米国のイールドカーブの動きは少なくとも、11月あたりまでは景気というよりFRBの利上げや物価動向の影響を受けていたとみるべきではなかろうか。

 ただし、ここにきての米長期金利の低下が、景気減速を背景としたリスク回避の動きであるとすれば、逆イールドというか、ここにきてのイールドカーブの平坦化は、目先的に世界経済の減速を見越したものとの見方もできなくはない。


by nihonkokusai | 2018-12-06 09:38 | 債券市場 | Comments(0)

10年債利回りが0.1%割れとなった背景

 19日の債券市場では10年債利回りが0.090%まで低下し、8月28日以来の0.1%割れとなった。10年債利回りの0.1%という水準は市場でもかなり意識されている。

 7月の日銀の金融政策決定会合において、「金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし」との微修正を行い、指し値オペの水準レンジを拡げることを示した。この水準は黒田総裁の会見から、これまでの「倍」との表現がでており、つまりマイナス0.1%からプラス0.1%とのレンジが、マイナス0.2%からプラス0.2%ということになる。

 この微修正の目的は債券の市場機能を少しでも回復するためとみられ、その見方からすれば長期金利が0.1%以内に抑え込まれるのではなく、0.2%までの変動を容認するということになる。つまりは0.1%を超えた動きを期待というか、想定してのものと見方もできる。このため、0.1%がひとつの抵抗線として意識されていた。

 ただし、レンジ拡大の背景には少しでもファンダメンタルズや海外金利動向などにも影響を受けやすくさせる狙いもあるとみられ、今回の10年債利回りの0.1%割れは米債の動きなどにも影響を受けた素直な低下ともいえる。

 原油先物価格の下落などから、世界的な景気減速懸念が出ており、それがアップルなどを主体に米株の下落トレンドを形成しつつある。米中の貿易摩擦や英国のEU離脱問題、イタリアの財政問題などのリスク要因も金利低下要因となりつつある。原油価格の下落そのものも物価の低下要因となり、金利にとっても低下要因となる。

 18日の米長期金利の低下は、これらのリスク要因も念頭に置いた上で、今後の利上げ減速を示唆したFRBのクラリダ副議長の発言が材料視された格好となった。

 これに加え、19日の引けあとに報じられた、財務省は2019年度の国債発行計画で満期20年以下の固定利付債について全て減額対象の候補とする方針との観測も19日の日本の国債の利回り低下に影響していたかもしれない。

 ここにきての日本の国債利回りの低下により、日銀は今後、国債買入の調整を行ってくる余地が生まれる。超長期ゾーンの減額観測が出ているが、長期ゾーンのさらなる減額もありうるか。

 ただし、世界的なリスク回避の動きにより、これまでのゴルディロックス(適温)相場といわれた相場が終焉することも想定される。そうなると米国の金利の上昇も頭討ちになる可能性がある。これはつまり日銀による現在の緩和策の本格的な修正がより難しくなるともいえる。


by nihonkokusai | 2018-11-21 09:37 | 債券市場 | Comments(0)

シャッター街化する日本の債券市場、これを阻止するには日銀の異次元緩和を止めるべき

 10月22日の日本の債券市場は、まれにみる商いの細さとなった。業者間での現物債の取引を行っている日本相互証券で、前場に現物債の取引がゼロとなっていた。これは長期債だけでなく短期債も含めてであり、過去にシステム障害などを除いて、前場に取引量がゼロというのは、30年以上債券市場を見てきた私にも記憶にない。

 結局、22日は15時あたりまでの日本相互証券で商いは300億円程度となり、後場に出合ったカレントは20年の5億、40年の15億のみ。10年債のカレント含めて、2年、5年、30年カレントは日中出合いなしとなった。

 22日の債券先物の日中出来高は1.1兆円程度あり、値幅は6銭となっていた。なぜか先物は現物債がこのような状態でもそこそこ商いがある。これも不思議ではあるものの、裏を返せば、もし債券先物も完全に動きがなくなってしまうと、日本の債券市場はまさに開店休業となり、完全にシャッター街化する。

 22日の債券市場が何故、異常なほど低迷していたのかといえば、いくつかの要因が絡んでいた。月曜日は週初ということもあり、会議などを行っているところも多いとみられるなど特に材料がない限り、他の曜日にくらべて相対的に商いは少ない。

 この日は国債入札や決定会合などは予定されておらず、日銀の国債買入も予定されていなかった。これも商いが低迷するひとつの要因となる。膠着相場となっている債券市場にとって数少ないイベントが日銀の国債買入である。

 その日銀の国債買入に絡んで、23日に日銀で「市場調節に関する懇談会」が開催される。ここで日銀の国債買入について何らかの修正が出てくるのではとの思惑が出ていた。このため動きづらくなっていた面もある。この懇談会で国債買入に関して量や日程などについての修正が出てくるのではないかとの見方が出ていた。なにせ日本の債券市場は日銀の強力な国債買入とイールドカーブコントロールによって、封じ込められてしまっているため、その細かな修正にすら気を配らなくてはいけない状態となっている。ただし、実際には懇談会において、特に新たな発表などはなかったようである。

 そもそも非常時対応のはずの異常な金額の国債買入と、結果として戦時下のような長期金利の抑圧、さらには必要のないマイナス金利そのものが、日本の債券市場を機能不全状態に追い込んでいる。こちらを修正しない限りは日本の債券市場が活性化することはない。


by nihonkokusai | 2018-10-24 09:52 | 債券市場 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30