牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:債券市場( 720 )

債券市場の機能低下が心配と言うのであれば、長期金利操作そのものを止めるべき

「日本銀行が量的緩和策の長期化で低迷する国債取引を活性化するため、実施日の非公表化など市場が予想しにくい買い入れオペの手法に変えていくとの見方が浮上している。」とブルームバーグが伝えた。

 これは本末転倒とも言わざるを得ない。財務省の国債入札や日銀のオペレーションなどは債券市場参加者への情報の透明度を強めるために、事前のスケジュールの公表や、結果発表時間の繰り上げ等の工夫が行われてきた。これが当然の流れかと思う。

 日銀は量的・質的緩和で物価が上がらなかったために、いろいろと創意工夫というか手当たり次第に新たな政策をくっつけて、「長短金利操作付き量的・質的緩和」というペンとアップルをくっつけたような政策まで打ち出した。

 日銀が大量に国債を買い入れるだけでなく、市場で決まるべき長期金利そのものまでコントロールしようとした。その結果、債券市場の機能は低下してしまい、債券市場でファンダメンタルに応じた適正な利回り形成ができないだけでなく、財政への警戒信号の役割もできず、市場機能そのものをなくしてしまった。

 世界第二位の規模を誇る日本の債券市場が機能不全となり、金利変動という経験が債券市場参加者の若手に与えられず、市場そのものの衰退で債券関係者そのものも減少しつつある。

 それならば、市場の活性化を促すと言う目的で、日銀の買入でこれまで事前に通達していたオペ日程を非公表化に戻そうなどということは、透明度を高めるという流れに逆行し、市場の不安要因を増加させ、市場への参加意欲をさらに後退させかねない。

 もしそれほど債券市場の機能低下が心配というのであれば、いますぐにでも長期金利操作、イールドカーブコントロールを止めるべきである。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-10-11 09:51 | 債券市場 | Comments(0)

9月の米雇用統計受けて米株は大幅続落、物価上昇観測による米長期金利の上昇を警戒

 FRBのパウエル議長は3日、「中立的な金利水準へとわれわれは徐々に向かっている」と指摘。「われわれは中立を超えるかもしれない。しかし、現時点では恐らく中立金利まで長い道のりがある」と述べた(ブルームバーグ)。

 9月26日のFOMCにおいて、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を年1.75~2.00%から2.00~2.25%に0.25%引き上げることを、投票メンバー9人の全員一致で決定した。FOMC参加者の金融政策見通しによると、今年の利上げ回数は4回と前回予測と変わらず。2019年は計3回、2020年は1回。2021年はゼロとの予測となっていた。FRBは長期の中立金利を3%とみているようで、来年までにあと0.25%の4回程度の利上げによって中立金利に達することになる。

 米10年債利回りは4日に一時3.2%台に上昇した。この背景にはFRBの正常化にともなう利上げとともに、物価上昇圧力が意識された。米国債券市場では物価が比較的安定しているなか、正常化に伴う利上げによって長期と短期の金利差が縮小していた。しかし、今後は物価動向も意識されて、この長短スプレッドが拡大してくる可能性もある。

 いまのところ米国の足元の物価は落ち着いているようにみえる。しかし、原油価格の上昇による影響、さらには中国からの輸入品に関税を課すことによる消費財の値上がりが予想されている。アマゾンが米国内の約25万人の従業員と、約10万人の季節従業員の最低賃金を引き上げるなどの動きも出ており、賃金上昇による物価の上昇圧力が加わることも予想される。

 5日に発表された9月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は13.4万人増と予想の18.5万人増を下回り、注目された平均時給は前年比2.8%増と8月の2.9%増からは伸びが鈍化していた。しかし、失業率は3.7%と1969年12月以来の低水準となったことで、労働需給の引き締まりが物価上昇圧力につながるとの見方から、この日の米10年物国債利回りは一時3.24%に上昇した。この長期金利上昇が嫌気されて、ダウ平均は180ドル安となった。

 物価上昇圧力が加わり、それがFRBの想定ペースを上回るようなことになると、これまで抑制されていた長期金利にさらなる上昇圧力が加わることが予想される。緩やかな上昇であれば、市場への影響も軽微となろうが、節目を抜けたこともあり、米長期金利がさらに大きく上昇してくる可能性もありうる。

 日本では長期金利を日銀がコントロールしている格好ながら、これは極めて異例の措置であり、FRBは長期金利をコントロール下に置いているわけではない。しかし、米長期金利が荒れた動きとなれば、FRBも慎重な対応を行う必要も出てこよう。また、日本ではどこまで長期金利がコントロールできるのかを試されることもいずれ予想される。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-10-06 10:54 | 債券市場 | Comments(0)

米国の長期金利が3.2%台に急上昇、市場は警戒モードに

 3日の米国債券市場では、米10年債利回りが3.18%と、前日の3.06%から大きく上昇した。4日には一時、3.23%まで上昇し、2011年5月以来の水準に上昇した。米10年債利回り(長期金利)は3%がひとつの壁となっていた。今年4月24日に3%台をつけて、5月17日に一時3.11%まで上昇したことで、ここがあらたな壁と認識された。9月18日に再び3%台に乗せたあと、3.10%近くまで上昇したが抜けきれなかった。しかし、その後は3%台をキープしていたことで、3.11%の壁を突破するタイミングを睨んでいたようにも思われる。

 3日の米国債券市場では、いくつか複合的な材料が出たことで、3.11%の壁を一気に突破したともいえた。イタリアのコンテ首相が今後3年間で債務を圧縮する方針を明らかにしたことで、イタリアの財政懸念が後退し、リスク回避の巻き戻しによる動きとなったこと、9月のADP全米雇用リポートで非農業雇用者数の増加幅が市場予想を上回り、9月ISM非製造業景況指数が公表開始以来の最高を記録したことなど米景気の回復を示す経済指標が相次いだこと、原油価格が大きく上昇したことによる物価への影響も意識された。さらにパウエルFRB議長による中立金利水準を超えて利上げを進める可能性あるとの発言も影響した可能性がある。

 ただ、このうちのどれかが大きく材料視されたというよりも、ヘッジファンドなどが米債を売るきっかけとして使われたように思われる。利上げ圧力が強まったというよりも、なかなか抜けきれなかった水準を抜いてきたことで、テクニカル的な売り圧力が加わり、米債は売られ、3.2%台までに米長期金利は上昇したのである。

 チャートからは次の米10年債利回りのメドは3.5%あたりとなる。FRBのパウエル議長からは「とりわけ輝かしい局面にある米経済」との発言もあり、足元の米国のインフレ圧力は加わっていないものの、今後は物価上昇圧力が掛かってくる可能性もありうる。

 FRBの利上げは今年はあと1回、来年も3回程度が見込まれており、この利上げペースに応じた長期金利の上昇もあっておかしくはない。ただし、米長期金利の上昇ピッチが早まると、それは景気の阻害要因にもなりかねない。3日の米国株式市場は米10年債利回りの上昇を好感して金融株が買われ、当初は買い材料となっていた。ところが、その後は金利上昇によるマイナスの影響も意識されてダウ平均の上値を重くさせた。4日には金利上昇が警戒されてダウ平均は200ドル安と大きく下げていた。

 米10年債利回りは、3.5%あたりを見据えて、緩やかな上昇トレンドを描くことになれば、米景気に対する影響を軽減させるのではないかと思うが、市場が今後、動揺してくる可能性はある。今年2月5日に米国株式市場でダウ平均は一時1597ドル安となり、取引時間中として過去最大の下げ幅を記録したきっかけも、米長期金利の上昇とされた。

 また、米10年債利回りの上昇による日本の債券市場への影響も意識しておく必要はありそうである。4日に日本の10年債利回りは0.155%と8月2日の0.145%を超えてきた。超長期債と呼ばれる20年、30年、40年の国債利回りも大きく上昇してきている。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-10-05 10:05 | 債券市場 | Comments(0)

将来の日本の国債市場を見据えて、物価目標の再考を

 7月30、30日の日銀金融政策決定会合の議事要旨には次のような指摘があった。

 「何人かの委員は、わが国の国債市場では、このところ長期金利の変動幅がさらに縮小し、取引高の減少傾向が目立っていると指摘した。」

 7月31日の金融政策決定会合では、金融緩和策の柔軟化というか弾力化が図られた。現在の金融緩和の持続性を強化する措置として、「長期金利の変動幅として、これまでの概ね±0.1%の幅から、上下その倍程度に変動しうることを念頭に置くことが大方の委員の合意となるのであれば、本日の議長による記者会見でこれを明らかにしてはどうかと提案した。」とある。実際に31日の黒田総裁の記者会見では、「上下その倍程度」という認識が示された。

 これを受けて8月2日に日本の10年債利回りは0.145%まで上昇した。これに対して日銀は急激な金利変動を抑制するためとして、臨時の国債買入をオファーした。これは指し値オペではなかったものの、市場は0.150%以上の金利上昇までは容認していないのかとして、ここで10年債利回りの上昇はいったんストップした。

 その後の債券市場は再び7月31日以前の膠着相場に戻りつつある。

 9月25日の債券市場では、債券先物は8月3日以来の150円割れとなった。超長期債と呼ばれる残存20年、30年、40年の国債も売られた。

 この理由としては9月21日の日銀による国債買入で残存25年超の買入予定額を100億円減額したことが挙げられる。減額幅はわずか100億円といえども、米10年債利回りが3%を超えてきたり、ドル円が113円台をつけ、日経平均も13000円に迫るなか、債券売りはきっかけ待ちとなっていたともいえる。日銀の買入減額はちょうど良い売りのきっかけとなり得たといえる。

 しかし、それにより超長期債が年初来の最高利回りを更新したといっても、売買高そのものは限られた。25日の10年債カレントは前場に出合いはなく、中期ゾーン、つまり残存2年や5年の国債が日本相互証券で15時までに売買がないという異例の事態となっていた。債券先物も150円割れとなったといっても、日中値幅はわずかに8銭しかなかった。

 日銀が多少、長期金利の変動幅の拡大を容認しようとも、債券市場の機能低下に対しては根本的な解消要因とはならない。イールドカーブのスティープは市場参加者にとっては歓迎されようが、売買が盛り上がらない以上、債券市場への魅力は後退するばかりとなってしまう。

 こういったなか動かない債券市場の参加者が更に減っていくことも予想される。国債利回りが大きく動いたことを経験した我々世代はすでに引退世代入りしており、金利変動を経験した人も市場から自然といなくなってしまう。債券市場の機能回復には日銀の大きな政策変更という大きな壁があるのかもしれないが、達成できることは考えづらい物価目標達成というお題目のために、大きなものが失われかねない。それが将来の日本の国債市場に大きな影響を与えてしまうことも認識すべきときではなかろうか。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-09-27 09:30 | 債券市場 | Comments(0)

米長期金利が再び3%超え、ドル円や日本の長期金利の上昇圧力に

 9月18日の米国市場において米10年債利回り(米長期金利)は3.05%となり3%を再び超えてきた。

 18日の日本時間の朝方、にはトランプ政権が2000億ドル相当の中国製品への追加関税を24日から課すと発表し、これを受けて中国も報復措置として600億ドル相当の米国製品に関税を24日から課すと発表した。

 これに対して18日の東京株式市場は寄り付きこそ日経平均はマイナスとなったが、その後プラスに転じ、300円を超す上昇となった。中国株も同様に上海総合指数などは上昇していた。

 18日の米国株式市場もダウ平均は184ドル高、ナスダックも60ポイントの上昇となった。17日に売られていたハイテク株などに買い戻しの動きが入り、米長期金利の上昇から金融株が買われ、原油先物が上昇したことで石油関連株も買われた。

 トランプ大統領はさらなる追加関税も示唆したが、市場では米中を主体とした貿易戦争に対して冷めた目で見始めたとも言えるのかもしれない。税率が思ったよりも低いといった面もあったかもしれないが、そもそもこれによる米国経済への影響は限定的との見方もある。

 FRBのパウエルFRB議長は8月24日のジャクソンホールでの講演で、米経済の力強い成長が続くなかで、利上げペースを速めない姿勢を示唆していた。これもあり、米長期金利8月24日以降、じりじりと上昇し節目とされる3%を再び超えてきたと言える。

 さらに米長期金利の上昇を促すような材料も出てきた。日経新聞は19日、「米国内にインフレ圧力 対中関税5700品目追加で」という記事を伝えている。

 「トランプ米政権が示した対中制裁の第3弾では家具やカバンなどの消費財が多く加わった。また多くの自動車部品や電子部品、化学品も含まれ、米国内で完成品として生産される家電や自動車などもコスト上昇圧力にさらされる。」(日経新聞)

 今回の追加関税を受けての物価上昇圧力なども米長期金利がこれから織り込み始めるとなれば、米長期金利の3%という大きな壁から上抜けてくる可能性はないとはいえない。FRBも当面、利上げを続ける姿勢を示していることも米長期金利の上昇圧力ともなりうる。

 ただし、米国の足元の物価は落ち着いている。たとえば8月の米国の消費者物価指数は、変動の大きい食品・エネルギーを除くコア指数が市場予想に反して伸びが鈍化していた。これが米長期金利の上昇を抑制していた面もある。しかし、今後物価に上昇圧力が加わると、状況が変わる可能性がある。

 米長期金利の上昇は日米の長期金利差からみるとドル円にとっては上昇圧力となる。ドル円もここにきてじりじりと上昇してきているのも、米長期金利の上昇も影響していよう。そうなると、米長期金利の動き次第では、ドル円もあらためて戻りをトライする可能性もある。また、日本の長期金利もあらためて日銀のレンジの上限を試すようなことも予想される。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-09-20 09:13 | 債券市場 | Comments(0)

日本の国債市場の機能が再び低下

 9月に入ってからの日本の債券市場の動きを確認してみたい。9月3日の現物債はカレント(直近発行された国債)が、2年、5年、10年、20年、30年、40年ともに一本値となっていた。この日の先物の日中値幅(前後場のみ)は9銭。

 4日に日銀は3年超5年以下の国債買入を月額ベースで減少させたが、この日の2年債と5年債、そして10年債カレントは一本値となっていた。先物の値幅は11銭。

 5日の10年国債入札は順調名結果となり、10年債カレントは久しぶりに動いたもののレンジは0.110~0.115%。5年債は一本値、2年債カレントは出合いなし。先物の値幅は10銭。

 6日に今度は日銀は5年超10年以下の国債買入を月額ベースで減額させた。この日の10年債カレントは一本値、2年債と5年債カレントも一本値。先物の値幅は10銭、

 7日は2年、5年、10年、40年カレントは一本値。先物の値幅は10銭。

 10日は月曜日で先物は中心限月の移行を控えていたこともあるが、2年と40年カレントは出合いなし。ほかのカレントは10年債含めて一本値。先物9月限の値幅は5銭となっていた。

 11日の30年債入札は順調な結果となっていたが、落札結果発表時間が何故か遅れていた。ただし市場への影響は限られ、2年と5年のカレントの出合いなく、10年と20年のカレントは一本値。先物値幅は実質的に中心限月となった12月限が7銭となっていた。

 12日は2年、5年のカレントは出合いなく、10年と20年カレントは一本値。先物の値幅は8銭。

 日銀は7月31日に政策の弾力化というか柔軟化を行った。それを受けて一時的に債券相場は動いたものの、再び膠着相場に戻りつつある。8月27日に債券先物の日中値幅が3銭と過去最低に並んだ。それ以降は10銭程度の値幅となっていたが、動きが乏しいことに変わりはない。

 現物債も2年と5年のカレントが出合わない日が多くなり、10年債カレントもかろうじて値がついている状況となっている。10年債カレントが出合わないとなれば一般のニュースともなってしまう懸念があり、なんとかそれは免れている格好となっている。

 日銀は長期金利の目標レンジをこれまでの±0.1%から±0.2%に拡げたとされる。さらに月額ベースの買入を減少させることで、10年債カレントの流動玉もそれなりに出てくることが予想されている。

 このように需給面では多少は緩和されているものの、それでも需給はタイトな状況に変わりなく、ある意味動きようがなくなっている。外部環境をみても米国10年債利回りが3%近くまで上昇してきたが、それもいまのところ材料視されず。10年債利回りはこの水準が居心地が良いのか、それとも中間決算期末なども意識して動きたくはないのか。ただし、このまま膠着相場が続くとも思えないのだが。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-09-14 09:36 | 債券市場 | Comments(0)

再び過疎化が進む債券村

 8月27日の債券先物の日中値幅はわずかに3銭となってしまい、6月28日以来の過去最低値幅となってしまった。この日は月曜日ということもあったのかもしれない。それでもこの日の日経平均は200円を超す上昇となるなど、夏休みモードからは脱していたにもかかわらず、7月31日の日銀の政策微調整以前の相場に逆戻りしてしまった感がある。

 28日の債券先物の値幅は5銭。現物債は2年、5年、40年債カレントの出合いが日本相互証券で15時現在でなかった。

 29日の債券先物の値幅は4銭。高値150円45銭をつけたのは8時45分10秒、安値の150円41銭をつけたのは8時45分30秒だったそうで、寄付き後30秒でできたレンジが当日レンジとなってしまった。この日も現物債は2年、5年、40年債カレントの出合いが日本相互証券で15時現在でなかった。この日の10年債は7月4日以来のカレントの出合いなしとなった。この日、日本相互証券で出合ったカレントは20年債と30年債だけとなってしまった。

 日銀は7月31日の金融政策決定会合で、長期金利の操作目標をそれまでの±0.1%から±0.2%に引き上げたとされる。8月2日に10年債の利回りで0.145%まで上昇したタイミングで、日銀は指し値ではなく通常のオペながら予定にない臨時オペをオファーした。これを受けて10年債は売りづらくなるとともに、米債が買われていたこともあり、そこから利回りはむしろ低下した。

 しかし、買い方も次第に慎重となっていたこともあり、債券市場は再び膠着相場に戻ってしまった。日銀の大規模な国債買入は続いていることも国債の需給をタイトにさせており、それも膠着感を強める要因となっている。

 日銀は多少の柔軟化を決定したものの、タイトルを「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」にし、政策金利のフォワードガイダンスを導入するなど、緩和後退とは見せない工夫もしたが、それも一層売り方を慎重にさせている面もあろう。

 債券村の過疎化は日銀の長短金利操作付き量的質的緩和政策そのものの方針を大きく変えない限り、続く可能性がある。いったんシャッター街となってしまった駅前の復活は難しいように、過疎化してしまった債券村に人がいなくなってしまうリスクは継続する。ただし、その村が支えているはずの債券市場は世界第二位の規模を誇っているのだが。



[PR]
by nihonkokusai | 2018-08-31 09:31 | 債券市場 | Comments(0)

長期金利が0.2%を付けに行くことは、なかなか難しい

 日銀は7月31日の金融政策決定会合で「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決定した。フォワードガイダンスを導入するなど緩和強化にも見えるが、その実、長期金利の誘導レンジを±0.1から±0.2%に拡大させることが主眼となっていた。

 長期金利、つまり10年債カレントの利回りは、31日の決定会合後でフォワードガイダンスを導入したことなどから、一時0.045%まで急低下してしまった。

 しかし翌8月1日には、債券は改めて下値を探るような動きとなった。10年債利回りはじりじりと上昇し0.120%を付けた。

 1日の米10年債利回りが6月13日以来の3%超えとなったこともあり、2日の日本の10年債利回りは朝方に0.145%まで上昇した。

 この日の14時に日銀は臨時の国債買入をオファーした。5年超10年以下4000億円オファーしたのである。当日入札のあった351回は対象外としたが、これは財政ファイナンスと認識されることを避けたためとの見方もあった。

 2日に日銀が指し値オペではなく通常の形式ながら臨時のオペを打ってきたのは何故か。これは31日の決定会合の公表文の補足にも書かれていたように、「金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施」したためとみられる。指し値オペで長期金利上昇を止めるのではなく、通常オペを使って、金利上昇にブレーキを掛けることが目的であった。

 2日の債券市場では、この日の10年国債入札が低調な結果となったにも関わらず、このオペが入る前に先物は買い戻しの動きを強めていた。

 長期金利はファンダメンタルズと呼ばれる景気や物価動向、さらに海外の金利動向などによって決定される面もあるが、なんといっても需給によって決定されているともいえる。その需給面からみると、10年債カレントはかなりの部分、日銀に吸い上げられている。

 通常オペだけでなく、7月30日の指し値オペによって1.6兆円も日銀は10年債を買い入れていた。これは業者が1兆円を超す空売りを仕掛けたとの見方もあり、8月2日の10年国債入札を使ってその多くをカバーしたとされる。つまりこの分も日銀が吸い上げ、さらに2日にも10年債を4000億円吸い上げている。

 これらを見る限り、10年債は需給バランスからみて売りづらい。米10年債利回りも低下してきた上に、トルコリラの急落により世界的なリスク回避の動きも出てきたことで、ますます日本の10年債は売りづらい状況にある。

 日銀は長期金利の0.2%までの上昇は容認した格好ながらも、現実には0.2%まで上昇するのは10年国債の需給面で見る限り、なかなか難しい状況にあることも確かである。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-08-18 10:29 | 債券市場 | Comments(0)

6月の公社債売買高より投資家動向を探る

 7月20日に日本証券業協会は6月の公社債投資家別売買高を発表した。この6月分から発表の形式が変わった。日本証券業協会によると新たに、国債以外についても、投資家別の売買状況を発表することとし、「公社債種類別店頭売買高」、「公社債投資家別売買高」、「国債投資家別売買高」を「公社債店頭売買高」に統合している。

 統合されたものから、いままでみていた現先と短期債を除いた一般売買での数値を確認してみたい。これは日本証券業協会のサイトにアップされた「公社債店頭売買高」のExcelファイルの「(K)一般差引」の2016年6月分の数字から、国債の国庫短期証券を除くことによって数字が得られる。

 これによると短期債を除いた数値で、都銀は9678億円の売り越しとなっていた。国債の内訳でみると都銀は、中期債は5633億円売り越し、長期債も4065億円の売り越しとなっていた。

 これに対して海外投資家は2兆2653億円の買い越しとなり、最大の買い越し主体となっていた。海外投資家は中期債を1兆2495億円買い越し、長期債を7182億円買い越し、超長期債を2173億円買い越していた。

 生保・損保は3050億円の買い越し。「その他」は1兆8871億円の売り越しとなっていた。

 6月の債券相場は上旬は下落トレンドとなり、下旬は戻り基調となり、いわゆる行ってこいのような展開となっていた。方向感に乏しい展開となり、現物債の商いも低迷し、債券先物は値幅が10銭に満たない日も多くなっていた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 9678(100、4065、5633)

地方銀行 150(-207、527、10)

信託銀行 -310(-1750、-784、1795)

農林系金融機関 -1165(-1243、-16、579

) 第二地銀協加盟行 354(186、-62、90)

信用金庫 -965(77、350、0)

その他金融機関 -1354(48、114、-510)

生保・損保 -3050(-2854、539、176)

投資信託 -1263(-649、110、-4)

官公庁共済組合 33(110、-46、0)

事業法人 -1495(48、-219、-10)

その他法人 -1137(-48、-194、-133)

外国人 -22653(-2173、-7182、-12495)

個人 260(1、116、7)

その他 18871(5884、-857、17949)

債券ディーラー 523(-130、647、58)


[PR]
by nihonkokusai | 2018-07-27 09:56 | 債券市場 | Comments(0)

債券市場の機能をさらに低下させたきっかけとは

 債券市場の機能低下は今年に入り顕著に現れている。今年に入り、日本相互証券で10年債の直近発行された国債(カレント物)が出合わなかった日が3月13日、5月28日、同31日、6月11日、同13日、7月4日とすでに6回あった。これまでの年間の最多回数2回であり、これをすでに上回っている。2年債と5年債のカレントに至っては、出合わない日が普通になりつつある。

 債券先物もここにきての値幅は5銭前後が多く、10銭を超える日がほとんどなくなってきている。なぜ債券市場はこのように急激に機能が低下してしまったのであろうか。

 その背景には日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策がある。日銀が年間の新規国債の発行額を国債買入でほぼ吸い上げ、流動玉が枯渇している。さらに長期金利コントロールによって、10年債利回りがほぼゼロに抑え込まれ、動く余地がほとんどなくなってきている。

 5月から始まったT+1と呼ばれる国債の約定日から決済日までの間が1営業日に短縮されたことも影響している。国債の入札日の翌営業日には日銀が新発債をオペで買いにくる。利払い月も10年債などはT+1となり、期間リスクが後退し、債券先物はヘッジ機能も失いつつある。

 しかし、その債券先物も今年の3月2日には60銭も動いていた。正確に言うと日中、高値から60銭下落した。10年債利回りでも0.040%から0.080%に上昇するなど波乱含みの展開となっていたが、この日の債券先物の急変が、それ以降の債券市場の動きを鈍くさせたとは言えまいか。

 3月2日の債券下落のきっかけとなったのが、日銀の黒田総裁は衆院の所信聴取である。「2019年度ごろ出口を検討していること間違いない」と発言したことが伝わり、これを受けて債券先物は一気に下落した。ただし、これは想定通りに物価が上昇していればの話であった。ところが「金融緩和や引き締めは、無限に続くわけではない」との発言もその前にあったこともあり、海外ヘッジファンドなどが仕掛け売りを入れたか、「黒田」、「出口」という単語にコンピュータ使った自動取引、いわゆるHFTが反応したのではないかともされた。

 いずれにしても海外投資家が債券先物で仕掛け的な動きを見せた可能性は高い。結局はこのショートも買い戻せざるを得なかった。これを機会に海外投資家による仕掛け的な動きは影を潜めた。まったく参入していないわけではないかもしれないが、海外の短期筋が日本の債券先物からいったん手を引いた感もあり、それ以降、相場がさらに膠着し、現物債の売買も低迷ししてまったように思える。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-07-23 09:27 | 債券市場 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー