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カテゴリ:債券市場( 712 )

6月の公社債売買高より投資家動向を探る

 7月20日に日本証券業協会は6月の公社債投資家別売買高を発表した。この6月分から発表の形式が変わった。日本証券業協会によると新たに、国債以外についても、投資家別の売買状況を発表することとし、「公社債種類別店頭売買高」、「公社債投資家別売買高」、「国債投資家別売買高」を「公社債店頭売買高」に統合している。

 統合されたものから、いままでみていた現先と短期債を除いた一般売買での数値を確認してみたい。これは日本証券業協会のサイトにアップされた「公社債店頭売買高」のExcelファイルの「(K)一般差引」の2016年6月分の数字から、国債の国庫短期証券を除くことによって数字が得られる。

 これによると短期債を除いた数値で、都銀は9678億円の売り越しとなっていた。国債の内訳でみると都銀は、中期債は5633億円売り越し、長期債も4065億円の売り越しとなっていた。

 これに対して海外投資家は2兆2653億円の買い越しとなり、最大の買い越し主体となっていた。海外投資家は中期債を1兆2495億円買い越し、長期債を7182億円買い越し、超長期債を2173億円買い越していた。

 生保・損保は3050億円の買い越し。「その他」は1兆8871億円の売り越しとなっていた。

 6月の債券相場は上旬は下落トレンドとなり、下旬は戻り基調となり、いわゆる行ってこいのような展開となっていた。方向感に乏しい展開となり、現物債の商いも低迷し、債券先物は値幅が10銭に満たない日も多くなっていた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 9678(100、4065、5633)

地方銀行 150(-207、527、10)

信託銀行 -310(-1750、-784、1795)

農林系金融機関 -1165(-1243、-16、579

) 第二地銀協加盟行 354(186、-62、90)

信用金庫 -965(77、350、0)

その他金融機関 -1354(48、114、-510)

生保・損保 -3050(-2854、539、176)

投資信託 -1263(-649、110、-4)

官公庁共済組合 33(110、-46、0)

事業法人 -1495(48、-219、-10)

その他法人 -1137(-48、-194、-133)

外国人 -22653(-2173、-7182、-12495)

個人 260(1、116、7)

その他 18871(5884、-857、17949)

債券ディーラー 523(-130、647、58)


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by nihonkokusai | 2018-07-27 09:56 | 債券市場 | Comments(0)

債券市場の機能をさらに低下させたきっかけとは

 債券市場の機能低下は今年に入り顕著に現れている。今年に入り、日本相互証券で10年債の直近発行された国債(カレント物)が出合わなかった日が3月13日、5月28日、同31日、6月11日、同13日、7月4日とすでに6回あった。これまでの年間の最多回数2回であり、これをすでに上回っている。2年債と5年債のカレントに至っては、出合わない日が普通になりつつある。

 債券先物もここにきての値幅は5銭前後が多く、10銭を超える日がほとんどなくなってきている。なぜ債券市場はこのように急激に機能が低下してしまったのであろうか。

 その背景には日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策がある。日銀が年間の新規国債の発行額を国債買入でほぼ吸い上げ、流動玉が枯渇している。さらに長期金利コントロールによって、10年債利回りがほぼゼロに抑え込まれ、動く余地がほとんどなくなってきている。

 5月から始まったT+1と呼ばれる国債の約定日から決済日までの間が1営業日に短縮されたことも影響している。国債の入札日の翌営業日には日銀が新発債をオペで買いにくる。利払い月も10年債などはT+1となり、期間リスクが後退し、債券先物はヘッジ機能も失いつつある。

 しかし、その債券先物も今年の3月2日には60銭も動いていた。正確に言うと日中、高値から60銭下落した。10年債利回りでも0.040%から0.080%に上昇するなど波乱含みの展開となっていたが、この日の債券先物の急変が、それ以降の債券市場の動きを鈍くさせたとは言えまいか。

 3月2日の債券下落のきっかけとなったのが、日銀の黒田総裁は衆院の所信聴取である。「2019年度ごろ出口を検討していること間違いない」と発言したことが伝わり、これを受けて債券先物は一気に下落した。ただし、これは想定通りに物価が上昇していればの話であった。ところが「金融緩和や引き締めは、無限に続くわけではない」との発言もその前にあったこともあり、海外ヘッジファンドなどが仕掛け売りを入れたか、「黒田」、「出口」という単語にコンピュータ使った自動取引、いわゆるHFTが反応したのではないかともされた。

 いずれにしても海外投資家が債券先物で仕掛け的な動きを見せた可能性は高い。結局はこのショートも買い戻せざるを得なかった。これを機会に海外投資家による仕掛け的な動きは影を潜めた。まったく参入していないわけではないかもしれないが、海外の短期筋が日本の債券先物からいったん手を引いた感もあり、それ以降、相場がさらに膠着し、現物債の売買も低迷ししてまったように思える。


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by nihonkokusai | 2018-07-23 09:27 | 債券市場 | Comments(0)

国内投資家は5月に米国債主体に外債を売り越しに

 9日に財務省は5月の国際収支状況(速報)を発表した。この中で、財務省のサイトにアップされた付表3にある対外・対内証券投資のうちの対内証券投資(地域別内訳)から日本の投資家がどのような海外資産を購入していたのかを確認してみたい。

「国際収支状況」財務省 http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

 対外証券投資で日本国内の投資家は、海外の中長期債をネットで1兆4543億円の売り越しとなっていた。売り越しは2月以来となる。ちなみに4月は2兆2888億円買い越しとなっていた。これを地域別内訳で確認してみたい。

 米債については2兆710億円の売り越しとなり、4月の7026億円の買い越しから売り越しに。ドイツ債については7121億円の売り越し、4月も6722億円の売り越しとなっていた。フランス債は1571億円の売り超し、4月は2980億円の買い越し、オランダ債は1329億円の買い越し、4月は3060億円の買い越しとなっていた。そして、イタリア債は854億円の売り越し、4月は1691億円の買い越し。スペイン債を387億円の買い越し、4月は3499億円の買い越しとなっていた。英国債は3971億円の買い越し、4月は196億円の買い越し。

 昨年10月以降、日本の投資家はドルヘッジコストの高騰を嫌気して、欧州債へのシフトを進めてきたとされる(ロイター)。日本の投資家がユーロを介して欧州の国債などを購入すると一定の利回りが確保できたためとも言える。特にイタリアやスペインなど周辺国の国債利回りは、ドイツなど中核国の国債の利回りに比べて高い。

 5月にはイタリアの政情不安が意識され、リスク回避の動きを強めた。米国債やドイツ国債などが買い進まれたことで、利益確定売りを国内投資家が行っていたものとみられる。

 6月の対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、居住者が外債(中長期債)を1兆591億円買い越していた。6月に入り米債はいったん売られていたことで、そのタイミングで国内投資家は押し目買いを入れてきた可能性がある。


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by nihonkokusai | 2018-07-12 10:05 | 債券市場 | Comments(0)

米長期金利は低迷し、3%台回復は遠のくのか

 米労働省が6日に発表した6月の雇用統計では、非農業雇用者数が前月比21.3万人増と予想の19.5万人増を上回った。失業率は18年ぶりの低水準である前月の3.8%から4.0%に上昇したが、雇用環境の改善により、多くの人が職を探し始めたことが要因となった。1時間当たりの賃金は前月から0.2%上昇と5月の0.3%から伸びがやや鈍化した。

 6日に米政府は340億ドル規模の中国製品に対する追加関税を予定通り発動し、中国商務省はその直後に声明を発表し、直ちに対抗せざるを得ないと表明し同額相当の米製品に関税を課すことを示唆した。

 貿易戦争が拡大してきたわけだが、6日の米国株式市場はこれについては比較的冷静に反応したようである。これはすでに予定されていたことで株価にはある程度織り込まれていたためとみられる。市場は予想されていたことについては、噂で売って事実で買い戻すような動きを示す。今後注意すべきは、市場の予想を超えて貿易戦争が拡大するようなことであるが、これについては予想も難しい。

 6日の米国債券市場では、米雇用統計を受けての米景気拡大が意識されての株高を嫌気したものの、賃金の伸び率鈍化により、インフレ拡大の懸念が後退したことで、むしろ買われて米10年債利回りは2.82%と前日の2.83%から小幅低下していた。

 米10年債利回りの推移をみると、5月半ばに一時3%台に乗せてから、その後低下して現在は2.8%台にいる。米長期金利の低下の要因としては、米国と中国など貿易相手国に対する関税の発動とそれに対する対抗措置による貿易摩擦拡大の懸念があった。また、イタリアでの五つ星運動と同盟による連立政権が発足も懸念材料とされた。

 6月13日のFOMCでは予想通り、政策金利を年1.50~1.75%から1.75~2.00%に引き上げられた。また、今年の利上げ回数の見通しは、これまでの3回から計4回となった。しかし、これによる米長期金利への影響も限定的であった。

 米商務省が6月29日に発表した5月の個人消費支出(PCE)価格指数で、FRBの物価の目安としている、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月2.0%の上昇となり、6年ぶりにFRBの物価目標である2%を達成した。しかし、これに対しての米長期金利の反応も限られていた。

 さらに物価に影響を与える原油価格もあらためて上昇しつつあり、7月に入りWTI先物8月限は一時75ドル台に上昇した。しかし、これによる米債への影響もいまのところ限定的となっていた。

 トランプ政権がさらにいろいろと仕掛けてくる可能性もあり、先行きが不透明な分、米長期金利の戻りが抑制されている面はあるかもしれないが、それにしても米長期金利の戻りは鈍く、それはドル円の上値も重くさせている。

 もう少し様子を見る必要はあるものの、米長期金利の低迷はいつまで続くのか。3%への戻りは今後、かなり厳しくなるのか。もし米長期金利がこのままの状態が続き、FRBの利上げが継続すると、さらに米国の長短金利のスプレッドは縮小することになる。


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by nihonkokusai | 2018-07-10 09:38 | 債券市場 | Comments(0)

長期国債先物を対象にした相場操縦で2億円を超える課徴金、いったい何があったのか

 証券取引等監視委員会は29日、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社に対し、長期国債先物に係る相場操縦を行ったとして、2億1837万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告したと発表した。

 証券会社による長期国債先物を対象にした相場操縦は初めてとなる。また、デリバティブ(金融派生商品)に限ると、過去最大の課徴金額になるそうである。

 さすがにこれはびっくりした。私自身、長期国債先物(債券先物)に関わりたくて債券ディーラーとなったぐらいであり、1985年の債券先物の上場以来、15年程度は直接関わり、その後も間接的ながら関わってきた。

 はっきり言って、何を今更という気がしなくもない。私が債券ディーラー時代には、今回の処罰の対象となった「見せ玉」のようなものは、ある意味日常茶飯事であったように思う。寄り付き前とかに大きな板を入れたり、出したりするのが普通にあった(と思う)。

 それでもこれまで今回のような相場操縦の疑いで課徴金が課せられることがなかったのは、それがプロ同士の世界であったからだと勝手に解釈していた。ところが、債券先物が上場して33年目にして、見せ玉による相場操縦で課徴金が課せられたというのは、いったい何があったのか。

 しかも、それが三菱UFJモルガン・スタンレー証券ということで二度びっくりである。取引所での債券先物については株の取引と異なり、銀行が準会員として取引に参加している。それだけ都銀を中心とした銀行は債券市場に大きな影響力を持っている。そのなかでも特に三菱銀行は一目置かれた存在ともいえた。その三菱銀行(いまは三菱UFJ銀行)の系列の証券会社に課徴金が課せられたのである。

 証券取引等監視委員会がサイトにアップした「三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社による長期国債先物に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について」によると、相場操縦が行われたのは昨年8月25日午後6時34分頃から同日午後7時9分頃までの間。

 債券先物は前後場と呼ばれる日中の商いが終了したあと、ナイトセッションという取引が15時半から翌日の5時半まで行われている。今回、見せ玉が行われたのは売買高が少ないナイトセッションで行われたものである。

 手元のデータによると8月25日のナイトセッションの債券先物の売買高は5426億円となっていた。ちなみに25日の日中の商いは2兆4731億円となっており、ナイトセッションの売買高の少なさがわかろう。値動きも日中は150円95銭から151円10銭と15銭動いていたのに対し、ナイトセッションは151円07銭から151円17銭と10銭しかなかった。

 現在のほうが債券先物は日中3銭しか動かないなど、さらに膠着相場となっているが、昨年8月あたりも15銭しか動かない、との感覚であったろうと思う。

 それで動かなさに嫌気が差して?見せ玉を使って、151円13銭で177枚ショート(売)して、151円12銭で見せ玉を使って158枚をカバー(買い戻し)したのであろうか。158枚を1銭抜いたので158万円の利益である。どうやらこれを行ったのは一人のディーラーだったようで、見せ玉で商いを作って、158万円の利益のために、結果として2億円を超える課徴金が課せられたことになる。


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by nihonkokusai | 2018-07-01 18:09 | 債券市場 | Comments(0)

日本の国債市場の機能低下に対する市場からの悲痛な声

 25日に開催された国債市場特別参加者会合の議事要旨が財務省のサイトにアップされている。国債市場特別参加者はプライマリー・ディーラーとも呼ばれ国債入札に参加する主要な業者となる。


 国債市場特別参加者会合での「最近の国債市場の状況と今後の見通しについて」に関しては次のような意見が出されていた。


 「市場機能が落ちてきていると言わざるを得ないとの認識を持っている。また、入札後のパフォーマンスがよくない中で、証券会社の体力が落ちており、市中での売買もかなり減少している。このような状況がこのまま継続してしまうことに危機感を抱いている。


 「市場機能が失われ、市場参加者が減ってしまうと、何かイベントが起きたときに、受け皿になるような参加者がいなくなり、大きなボラティリティを生み出すのではないかと懸念している。市場機能をいかに残していくのかということを真剣に考えていかなくてはならないとの問題意識を持っている。」


 「ボラティリティが非常に低い状況がこのまま続いていくと、債券部門における収益が低下し、同部門に割り当てられるバランスシートの金額も減少する。こうした低金利・低ボラティリティ・低収益の状況が続くことにより、金利が動いたときの受け皿となるマーケットの深みが失われることを懸念しており、当局においても注視してほしい。」


 「外部環境に関係なく、日銀買入オペに依存した取引が中心になっており、マーケットとして重要な価格発見機能が失われていると考えている。また、ファンダメンタルズからかけ離れた低金利と低ボラティティの長期化によって、収益性が乏しくなった国債売買への興味が大きく低下しており、市場参加者も減少している。」


 「業者間のカレント銘柄の売買がほとんど行われておらず、このような状況が続くことによって、収益性が低下し、バランスシート・資本・人員といった面で債券部門への割り当てを考え直さざるを得なくなってきている。」


 これをみてもわかるように市場参加者は国債市場の機能低下に対してかなりの危機感を抱いている。2年国債や5年国債のカレントは出合いのない日も多く、10年国債カレントも出合っても1本値という状態が続いている。28日の債券先物の日中値幅はわずか3銭しかなく、記録的な小ささとなってしまっている。


 この状態が続くと投資先としての国債の魅力が失われ、国債市場への関心も後退することで、ますます日銀の出口政策をやりにくくさせかねない。日銀は異次元緩和策の枠内で、もう少し長期金利が動くようにレンジを調節するなりの対応が求められよう。しかもできるだけ早く。それほど国債の市場機能は低下してしまっていると言わざるを得ない。



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by nihonkokusai | 2018-07-01 18:06 | 債券市場 | Comments(0)

日本国債の動かなさが、半端ない!

 16日にNHKは「国債の取り引き 不成立相次ぐ 日銀の大量購入で品薄に」と言うタイトルのニュースを流していた。日本国債がNHKニュースに取りあげられることが珍しいが、ここにきての日本の債券市場の流動性の低下が市場関係者以外からも危惧されてきた現れではなかろうか。

 NHKニュースでは「国債の取り引きを仲介する日本相互証券によりますと、取り引きが成立しない日は、去年は1年間で2日でしたが、ことしはすでに5日と2倍以上に増えています。」と指摘していた。

 自分でカウントしていなかったが、今年に入っての10年債を主体にカレント(直近に発行した銘柄)の出合いのない日がこれまで以上に多いことは感じていた。特にマイナスの利回りとなっている2年と5年の中期ゾーンのカレントは出合いのない日が多い。

 日銀は21日に、債券市場参加者会合(6、7日開催分)の議事要旨を公開した。ここでは「前回会合以降、円債市場の機能度・流動性の状況に大きな変化はみられない」との意見も出ていたが、国債の価格発見機能が失われている点も指摘されていた。さらに「各社とも円債の部署に人材を投入しなくなっている」、「証券会社を中心に市場参加者が減少し始めている」との指摘が市場関係者から指摘された。

 市場の厚みが失われているだけでなく、債券市場の人材の厚みも縮小されている。それでなくても債券市場は債券村と呼ばれるように、やや専門性が高い市場であり、市場で価格が動かず、国債の価格発見機能が失われ、その結果、市場動向の読みといった経験も機会も失われていることは危惧する必要がある。

 市場参加者からは次のような要望が日銀に寄せられていた。

 「将来の「出口」を念頭に置くと、市場参加者のノウハウが失われるような事態は避けるべきだと思う。そうした観点からも、金利がある程度動くような柔軟な調節運営を行ってほしい。」

 私は先日、メディアの取材を受け、債券市場が大きく動いていたときの経験談を話させてもらった。金利は動くときは動く。どのように動いてきたのか。それに対処するにはどうすれば良いのか。そこには経験が物を言うという主張をしたが、いまはその機会が失われている。

 デフレの期間について、安倍政権と日銀は1989年から2013年までとしたようだが、長期金利から見れば1989年から2%以内での推移が続いて、2013年からは今度は人為的にゼロ%近くまで抑え込まれている。物価目標を達成するためとして、我々が本来受け取れるはずの利子が押さえ込まれ、結果としてその分、政府の財政を助ける格好となっている。この期間に失われたのは金利だけでなく、金利を決める債券市場の機能そのものであり、市場参加者の経験も失わせ、人材そのものも消失しようとしている。このような環境が続くなり、さらに悪化するなどした場合には、日銀が出口政策など取れるものではない。


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by nihonkokusai | 2018-06-23 07:37 | 債券市場 | Comments(0)

日本の国債市場が静かな悲鳴を上げている、日銀の国債買入減額もこれへの配慮か

 6月13日の日本の債券市場では、国債のベンチマークとも言える10年国債の直近に発行された銘柄(市場ではカレント物と呼称している)が、日本相互証券(BB)で取引が成立しなかった。

 日本の国債を中心とする債券の売買は、主に相対取引で行われている。その多くは業者と呼ばれる証券会社などと投資家が直接相対で取引する。これについては外部から、つまり当事者以外には見えない。売買高などは証券業協会などに報告されることで、月次での売買高はのちほどわかっても、リアルタイムではわからない。

 ただし、証券会社などの業者は自らのポジション調整等のために日本相互証券などを通じて業者間で売買を行っている。それは日本相互証券の端末を持つ業者ならばリアルタイムで把握できる。13日の10年国債カレントの出合いがなかったというのは、日本相互証券での取引のことである。

 このため実際には業者と投資家の間で取引があった可能性はある。しかし、業者のポジション調整の場として、もしくは思惑的な理由からポジションを保有する目的でも使われる日本相互証券で、現物債のベンチマークといえる10年債カレントが出合わないというのは、それだけ流動性が枯渇していると見ざるを得ない。

 もちろん6月13日に初めて10年債カレントが日本相互証券で出合わなかったわけではない。6月11日には10年債だけでなく、2年債と5年債のカレントまでもが出合いがなかった。こちらは極めて異例と言える。

 日銀は6月14日に3年超5年以下の国債買入を前回6日の3300億円から3000億円に減額した。1月31日に日銀は3年超5年以下を3000億円から3300億円に300億円増額していた。これは欧米の長期金利上昇を背景に日本の10年債利回りが0.1%に接近したことに加え、1月9日に超長期ゾーンを減額した際の影響を打ち消す意味もあった可能性もあり、シグナル効果を意図したようなオペレーションとなった。

 今回はこのタイミングで再び3000億円に戻した。国債の利回りがここにきて特に低下していたわけではない。13日にFRBは利上げを決定し、米長期金利に上昇圧力が掛かりやすいタイミングでもあった。もちろん米長期金利が上昇すればドル円も上昇する可能性があり、円安圧力が強まることも予想され、外為市場への影響を軽減できるというタイミングも意識されたのかもしれない。

 しかし、それ以上に国債の流動性も意識された可能性がある。現物債市場は、ほぼ日銀により独占されてしまっているような状況にあり、それが国債の流動性を枯渇させている。それを多少なり緩和させるための減額とも言えなくもない。ただし、300億円減額したからといって今の状況が大きく変わるわけでもない。


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by nihonkokusai | 2018-06-15 09:21 | 債券市場 | Comments(0)

イタリア・ショック前の4月に日本の投資家はスペインやイタリアの債券を買い越しに

 8日に財務省は4月の国際収支状況(速報)を発表した。この中で、財務省のサイトにアップされた付表3にある対外・対内証券投資のうちの対内証券投資(地域別内訳)から日本の投資家がどのような海外資産を購入していたのかを確認してみたい。

「国際収支状況」財務省 http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

 対外証券投資で日本国内の投資家は、4月に海外の中長期債をネットで2兆2888億円買い越しとなっていた。これを地域別内訳で確認してみたい。

 米債については7026億円の買い越し、ドイツ債については6722億円の売り越し、フランス債を2980億円の買い越し、オランダ債を3060億円の買い越しとなっていた。そして、イタリア債を1691億円の買い越し、スペイン債を3499億円の買い越しとなっていたのである。

 昨年10月以降、日本の投資家はドルヘッジコストの高騰を嫌気して、欧州債へのシフトを進めてきたとされる(ロイター)。日本の投資家がユーロを介して欧州の国債などを購入すると一定の利回りが確保できたためとも言える。特にイタリアやスペインなど周辺国の国債利回りは、ドイツなど中核国の国債の利回りに比べて高い。

 米債は6か月連続での売り越しとなっていたこともあり、ひとまず利回り上昇が落ち着いたところで押し目買いを入れてきたとみられる。ドイツについては2月以降の利回り低下がいったん落ち着いていたことで、利益確定売りか。

 スペイン債については、利回り低下が落ち着いたとみられる状況で押し目買いを入れてきたとみられる。また、イタリア債も同様か。

 しかし、その後、イタリアやスペインでは政治リスクが強まり、イタリア国債が急落したのはご承知の通り。スペイン国債も同様に下落し、これにより国内投資家は多少ながら影響を受けた可能性がある。

 念のため1月以降の日本の投資家によるイタリア債とスペイン債への投資動向を確認すると下記のとおりとなる。(単位、億円)

スペイン債、1月+829、2月+519、3月+2821

イタリア債、1月+443、2月+51、3月-665


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by nihonkokusai | 2018-06-12 10:14 | 債券市場 | Comments(0)

4月に都銀は超長期国債を大量売り越し、期初の売りか

 5月20日に発表された4月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は1兆3560億円の売り越しとなった。3月の1796億円の買い越しから大量の売り越しに転じた。国債の投資家別売買高をみると都銀は、中期債は917億円買い越していたが、長期債は682億円の売り越し、そして超長期債は1兆3923億円もの売り越しとなっていた。4月ということもあり、いわゆる期初の益出しの売りとみられる。

 これに対して海外投資家は4月も2兆1923億円の買い越しとなり、引き続き最大の買い越し主体となっていた。3月は1兆7688億円の買い越し、2月は9769億円の買い越しとなっていた。海外投資家は4月に中期債を1兆1230億円買い越し、長期債を7463億円買い越し、超長期債を2106億円買い越していた。

 信託銀行は6303億円の売り越し、農林系金融機関も6912億円の売り越しとなっていたが、こちらも都銀と同様に益出しのための売りかと思われる。「その他」は今回も売り越していたが7419億円と、3月の2兆477億円の売り越し。2月の2兆2128億円の売り越し、1月の2兆2640億円売り越しからみて売り越し額は減少した。

 債券相場は今年に入り1月の下落基調から、2月は回復基調となった。その後、3月以降は債券先物で150円台後半主体のもみ合い相場が現在まで続いている。債券先物は151円台に乗せる場面はあっても戻り売りに押され、方向感に乏しい展開となっている。現物債の商いも低迷し、債券先物は値幅が10銭に満たない日も多くなってきている。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 13560(13923、682、-917)

地方銀行 -4647(-656、-2701、-260)

信託銀行 6303(24、-313、5515)

農林系金融機関 6912(-1102、7788、-19)

第二地銀協加盟行 -997(-183、-428、50)

信用金庫 -1034(-237、895、39)

その他金融機関 342(254、1203、317)

生保・損保 -2264(-2309、772、325)

投資信託 -1130(-589、-841、903)

官公庁共済組合 -337(-278、0、0)

事業法人 -755(2、-247、0)

その他法人 1275(928、-189、926)

外国人 -21923(-2106、-7463、-11230)

個人 209(1、22、2)

その他 7419(4218、5690、1907)

債券ディーラー -756(234、-749、-199)


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by nihonkokusai | 2018-05-25 09:35 | 債券市場 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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