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カテゴリ:債券市場( 706 )

日本国債の動かなさが、半端ない!

 16日にNHKは「国債の取り引き 不成立相次ぐ 日銀の大量購入で品薄に」と言うタイトルのニュースを流していた。日本国債がNHKニュースに取りあげられることが珍しいが、ここにきての日本の債券市場の流動性の低下が市場関係者以外からも危惧されてきた現れではなかろうか。

 NHKニュースでは「国債の取り引きを仲介する日本相互証券によりますと、取り引きが成立しない日は、去年は1年間で2日でしたが、ことしはすでに5日と2倍以上に増えています。」と指摘していた。

 自分でカウントしていなかったが、今年に入っての10年債を主体にカレント(直近に発行した銘柄)の出合いのない日がこれまで以上に多いことは感じていた。特にマイナスの利回りとなっている2年と5年の中期ゾーンのカレントは出合いのない日が多い。

 日銀は21日に、債券市場参加者会合(6、7日開催分)の議事要旨を公開した。ここでは「前回会合以降、円債市場の機能度・流動性の状況に大きな変化はみられない」との意見も出ていたが、国債の価格発見機能が失われている点も指摘されていた。さらに「各社とも円債の部署に人材を投入しなくなっている」、「証券会社を中心に市場参加者が減少し始めている」との指摘が市場関係者から指摘された。

 市場の厚みが失われているだけでなく、債券市場の人材の厚みも縮小されている。それでなくても債券市場は債券村と呼ばれるように、やや専門性が高い市場であり、市場で価格が動かず、国債の価格発見機能が失われ、その結果、市場動向の読みといった経験も機会も失われていることは危惧する必要がある。

 市場参加者からは次のような要望が日銀に寄せられていた。

 「将来の「出口」を念頭に置くと、市場参加者のノウハウが失われるような事態は避けるべきだと思う。そうした観点からも、金利がある程度動くような柔軟な調節運営を行ってほしい。」

 私は先日、メディアの取材を受け、債券市場が大きく動いていたときの経験談を話させてもらった。金利は動くときは動く。どのように動いてきたのか。それに対処するにはどうすれば良いのか。そこには経験が物を言うという主張をしたが、いまはその機会が失われている。

 デフレの期間について、安倍政権と日銀は1989年から2013年までとしたようだが、長期金利から見れば1989年から2%以内での推移が続いて、2013年からは今度は人為的にゼロ%近くまで抑え込まれている。物価目標を達成するためとして、我々が本来受け取れるはずの利子が押さえ込まれ、結果としてその分、政府の財政を助ける格好となっている。この期間に失われたのは金利だけでなく、金利を決める債券市場の機能そのものであり、市場参加者の経験も失わせ、人材そのものも消失しようとしている。このような環境が続くなり、さらに悪化するなどした場合には、日銀が出口政策など取れるものではない。


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by nihonkokusai | 2018-06-23 07:37 | 債券市場 | Comments(0)

日本の国債市場が静かな悲鳴を上げている、日銀の国債買入減額もこれへの配慮か

 6月13日の日本の債券市場では、国債のベンチマークとも言える10年国債の直近に発行された銘柄(市場ではカレント物と呼称している)が、日本相互証券(BB)で取引が成立しなかった。

 日本の国債を中心とする債券の売買は、主に相対取引で行われている。その多くは業者と呼ばれる証券会社などと投資家が直接相対で取引する。これについては外部から、つまり当事者以外には見えない。売買高などは証券業協会などに報告されることで、月次での売買高はのちほどわかっても、リアルタイムではわからない。

 ただし、証券会社などの業者は自らのポジション調整等のために日本相互証券などを通じて業者間で売買を行っている。それは日本相互証券の端末を持つ業者ならばリアルタイムで把握できる。13日の10年国債カレントの出合いがなかったというのは、日本相互証券での取引のことである。

 このため実際には業者と投資家の間で取引があった可能性はある。しかし、業者のポジション調整の場として、もしくは思惑的な理由からポジションを保有する目的でも使われる日本相互証券で、現物債のベンチマークといえる10年債カレントが出合わないというのは、それだけ流動性が枯渇していると見ざるを得ない。

 もちろん6月13日に初めて10年債カレントが日本相互証券で出合わなかったわけではない。6月11日には10年債だけでなく、2年債と5年債のカレントまでもが出合いがなかった。こちらは極めて異例と言える。

 日銀は6月14日に3年超5年以下の国債買入を前回6日の3300億円から3000億円に減額した。1月31日に日銀は3年超5年以下を3000億円から3300億円に300億円増額していた。これは欧米の長期金利上昇を背景に日本の10年債利回りが0.1%に接近したことに加え、1月9日に超長期ゾーンを減額した際の影響を打ち消す意味もあった可能性もあり、シグナル効果を意図したようなオペレーションとなった。

 今回はこのタイミングで再び3000億円に戻した。国債の利回りがここにきて特に低下していたわけではない。13日にFRBは利上げを決定し、米長期金利に上昇圧力が掛かりやすいタイミングでもあった。もちろん米長期金利が上昇すればドル円も上昇する可能性があり、円安圧力が強まることも予想され、外為市場への影響を軽減できるというタイミングも意識されたのかもしれない。

 しかし、それ以上に国債の流動性も意識された可能性がある。現物債市場は、ほぼ日銀により独占されてしまっているような状況にあり、それが国債の流動性を枯渇させている。それを多少なり緩和させるための減額とも言えなくもない。ただし、300億円減額したからといって今の状況が大きく変わるわけでもない。


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by nihonkokusai | 2018-06-15 09:21 | 債券市場 | Comments(0)

イタリア・ショック前の4月に日本の投資家はスペインやイタリアの債券を買い越しに

 8日に財務省は4月の国際収支状況(速報)を発表した。この中で、財務省のサイトにアップされた付表3にある対外・対内証券投資のうちの対内証券投資(地域別内訳)から日本の投資家がどのような海外資産を購入していたのかを確認してみたい。

「国際収支状況」財務省 http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/release_date.htm

 対外証券投資で日本国内の投資家は、4月に海外の中長期債をネットで2兆2888億円買い越しとなっていた。これを地域別内訳で確認してみたい。

 米債については7026億円の買い越し、ドイツ債については6722億円の売り越し、フランス債を2980億円の買い越し、オランダ債を3060億円の買い越しとなっていた。そして、イタリア債を1691億円の買い越し、スペイン債を3499億円の買い越しとなっていたのである。

 昨年10月以降、日本の投資家はドルヘッジコストの高騰を嫌気して、欧州債へのシフトを進めてきたとされる(ロイター)。日本の投資家がユーロを介して欧州の国債などを購入すると一定の利回りが確保できたためとも言える。特にイタリアやスペインなど周辺国の国債利回りは、ドイツなど中核国の国債の利回りに比べて高い。

 米債は6か月連続での売り越しとなっていたこともあり、ひとまず利回り上昇が落ち着いたところで押し目買いを入れてきたとみられる。ドイツについては2月以降の利回り低下がいったん落ち着いていたことで、利益確定売りか。

 スペイン債については、利回り低下が落ち着いたとみられる状況で押し目買いを入れてきたとみられる。また、イタリア債も同様か。

 しかし、その後、イタリアやスペインでは政治リスクが強まり、イタリア国債が急落したのはご承知の通り。スペイン国債も同様に下落し、これにより国内投資家は多少ながら影響を受けた可能性がある。

 念のため1月以降の日本の投資家によるイタリア債とスペイン債への投資動向を確認すると下記のとおりとなる。(単位、億円)

スペイン債、1月+829、2月+519、3月+2821

イタリア債、1月+443、2月+51、3月-665


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by nihonkokusai | 2018-06-12 10:14 | 債券市場 | Comments(0)

4月に都銀は超長期国債を大量売り越し、期初の売りか

 5月20日に発表された4月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は1兆3560億円の売り越しとなった。3月の1796億円の買い越しから大量の売り越しに転じた。国債の投資家別売買高をみると都銀は、中期債は917億円買い越していたが、長期債は682億円の売り越し、そして超長期債は1兆3923億円もの売り越しとなっていた。4月ということもあり、いわゆる期初の益出しの売りとみられる。

 これに対して海外投資家は4月も2兆1923億円の買い越しとなり、引き続き最大の買い越し主体となっていた。3月は1兆7688億円の買い越し、2月は9769億円の買い越しとなっていた。海外投資家は4月に中期債を1兆1230億円買い越し、長期債を7463億円買い越し、超長期債を2106億円買い越していた。

 信託銀行は6303億円の売り越し、農林系金融機関も6912億円の売り越しとなっていたが、こちらも都銀と同様に益出しのための売りかと思われる。「その他」は今回も売り越していたが7419億円と、3月の2兆477億円の売り越し。2月の2兆2128億円の売り越し、1月の2兆2640億円売り越しからみて売り越し額は減少した。

 債券相場は今年に入り1月の下落基調から、2月は回復基調となった。その後、3月以降は債券先物で150円台後半主体のもみ合い相場が現在まで続いている。債券先物は151円台に乗せる場面はあっても戻り売りに押され、方向感に乏しい展開となっている。現物債の商いも低迷し、債券先物は値幅が10銭に満たない日も多くなってきている。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 13560(13923、682、-917)

地方銀行 -4647(-656、-2701、-260)

信託銀行 6303(24、-313、5515)

農林系金融機関 6912(-1102、7788、-19)

第二地銀協加盟行 -997(-183、-428、50)

信用金庫 -1034(-237、895、39)

その他金融機関 342(254、1203、317)

生保・損保 -2264(-2309、772、325)

投資信託 -1130(-589、-841、903)

官公庁共済組合 -337(-278、0、0)

事業法人 -755(2、-247、0)

その他法人 1275(928、-189、926)

外国人 -21923(-2106、-7463、-11230)

個人 209(1、22、2)

その他 7419(4218、5690、1907)

債券ディーラー -756(234、-749、-199)


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by nihonkokusai | 2018-05-25 09:35 | 債券市場 | Comments(0)

機能停止状態に陥りつつあった日本の債券市場

 5月に入り、債券市場が膠着感をより強めてきた。そのひとつの要因が5月1日からの国債の決済のT+1始動がある。特にレポ市場への影響などを見極めたいとして、市場参加者が売買を控え、様子見気分を強めた面はあった。

 ただし、その国債の決済のT+1がスタートした大型連休の狭間でもある5月1日と2日の債券先物の出来高が両日とも2.9兆円程度出来ており、値幅は1日が16銭、2日が15銭となっていた。現物債の商いも1日が3500億円程度、2日には6500億円程度あった。それほど多いわけでもないが、先物もそこそこ動いて、現物債もそこそこ出合いがあったといえる。

 ところが、大型連休明けとなった5月7日の債券先物の出来高は1.5兆円程度に減少し、値幅は6銭しかなく、現物債の出合いは1100億円程度しかなかった(15時現在)。通常の休み明けとなる月曜日は閑散相場となることが多く、個人的に「月曜相場」と呼んでいる。これが大型連休明けということで、投資家にとっては会議等が入り、商いが細くなるのはいたしかたないと見ていた。ところがである。

 翌8日の債券先物の出来高も2.1兆円程度、値幅6銭、現物商いは2200億円程度しかなかった。9日の債券先物の出来高1.9兆円程度、値幅7銭、現物商いは1900億円程度。10日にいたっては先物出来高1.4兆円程度、値幅6銭、現物商い2400億円。11日は先物出来高1.4兆円程度、値幅5銭、現物商い3000億円程度。

 そして週が変わって14日の現物債は、前場にカレントと呼ばれる直近発行された2年、5年、10年、20年、30年、40年の新発国債がすべて出合いなしという異例の事態となった。この日の債券先物の出来高は1.2兆円程度、値幅6銭、現物債の商いは1600億円程度となっていた。15日はやや増えて債券先物の出来高は2.8兆円程度、値幅9銭、現物債の商いは500億円程度となっていた。

 日銀の異次元緩和により、国債が大量に日銀在庫として積み上がり、イールドカーブコントロールまで導入して、長期金利をコントロールするという異例の政策によって、債券市場の機能は低下しつつあったが、ここにきてそれが顕著に現れてきたようにも思われる。

 今年度入りした4月から国債の市中での発行額が減額されているが、日銀の買入ペースは変わらず、それが市場での流通玉を減少させている面もある。かろうじて商いが続いていた日本の債券市場が、このまま干上がってしまう懸念すらある。

 黒田総裁の会見等をみても、日銀としては意地でも物価目標の看板は下ろすつもりはないようであるが、物価目標達成の前に債券市場の機能停止が先に達成してしまう可能性もある。そこまでして物価目標を達成する必要があるのか。そもそも国債市場を機能停止状態にしてまで中央銀行が国債を買い入れて、それで本当に日本経済にとって良い物価上昇に繋がる保証があるのか。ここにきての債券市場の機能低下は、もしかすると債券市場参加者が気付かぬうちにストライキ行動を起こしていると言えるのかもしれない。


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by nihonkokusai | 2018-05-16 09:51 | 債券市場 | Comments(0)

米長期金利が3%台乗せ、いずれ4%も視野か

 4月24日に米10年債利回りは3.00%と2014年1月以来、4年3か月ぶりの3%台乗せとなった。25日には3.03%まで上昇している。米5年債利回りも一時、2009年8月以来の2.85%を付け、米2年債利回りは、2008年9月以来の水準となる2.50%を付けた。

 米10年債利回り、つまり米長期金利の3%台への上昇の背景については、いろいろな要因が絡んでいようが、ここでは単純に米10年債利回りのチャートから、今後の動きの目処を探ってみたい。

 2014年1月に米10年債利回りは3.041%までの上昇となっており、ひとまずここを抜けてくるかどうかに注目したい。

 2014年1月の3.041%を上回っていたのは、さらに遡り2011年7月の3.223%となる。そうなると3.04%を抜けてくると3.22%あたりまでは節目らしい節目はない。2011年4月に3.6%台、1月には3.7%台をつけていた。このまま米10年債利回りが上昇基調を強めるとなれば、4%あたりが次の目標値となる。

 FRBは今年も年3回程度の利上げを見込み、2019年も3回程度の追加利上げを見込んでいる。その結果、政策金利を長期の中立金利見通しである3%に達成させるという利上げシナリオを維持している。そうなれば今後の米金利のイールドカーブ次第の面はあるものの、長期金利の4%台乗せというのもありうるか。

 外部環境の違いで必ずしも過去との連動性があるわけではない。あくまで参考ながらも、FRBの政策金利を3%まで引き上げるとすれば、2008年2月以来となる。そして米10年債利回りの4%台乗せはそこまで遡らず、2010年4月に達成している。

 あくまでチャート上から見てではあるが、米10年債利回りが3.04%、3.22%あたりを上回ってくるとなれば、4%あたりまでの上昇も想定しておく必要があるかもしれない。


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by nihonkokusai | 2018-04-27 10:21 | 債券市場 | Comments(0)

米長期金利は3%台に上昇、ドル円も108円の節目突破

 4月24日に、米10年債利回り(長期金利)は大きな節目となっている3%台に上昇した。米長期金利が3%台に乗せたのは4年3か月ぶりとなる。目先の目標達成でいったんここで足踏みする可能性もある。

 23日に米長期金利は3%に接近していたが、この日は米国の長期金利だけでなく、アジアやオセアニア、北米、南米、そして欧州諸国の長期金利が総じて上昇していた。同様のことが4月19日にも起きていたが、これを見る限り、それぞれ個別要因で動いていたというよりも、特に米国の長期金利の上昇を受けて、各国の長期金利も影響を受けたともいえる。つまり米国で長期金利が上昇する要因に他国も影響を受けていたともいえる。

 そうとなれば、やはり今回の世界的な長期金利の背景として考えられるのは、原油価格やアルミやニッケルの価格上昇など商品価格の動向であろう。これによって今後インフレ圧力が強まるとの見方かと思われる。

 原油価格の上昇の背景にはOPECなどによる減産も影響しているが、世界的な景気拡大による需要拡大も影響している。アルミやニッケルが急騰しているのはロシアのUCルサールに対する米国の制裁措置によるものとみられるが、景気の拡大も寄与していよう。ただし、これについては注意も必要で、対ロシア追加制裁の対象となっているアルミニウム大手のルサールから供給を受けている米企業に対し、米財務省が制裁措置への対応期限の延期を表明しており、これを受けて、アルミニウム価格が急落していた。

 世界的な景気拡大と世界的なリスクの後退によって、米国の中央銀行であるFRBは正常化を進めており、それを受けて特に中短期債の金利が上昇した。しかし、物価の低迷もあって長期金利の上昇は限られ、長短金利差が大きく縮小していた。今回はその反動が起きたともいえる。

 そして、日銀は依然として異次元緩和を続けざるを得ないことで、イールドカーブコントロールも緩められず、日本の長期金利はほぼゼロ%に張り付いている。となれば米国の長期金利の動向がそのまま日米の長期金利差となり、いまのドル円などはこの金利差に敏感になっている面もあるため、ドル円も節目とされた108円を抜いてきた。こうなるとドル円は110円が視野に入る。

 原油価格の上昇に対してトランプ大統領は人為的だと批判した。今後ドル円が上昇してくれば、日本の長期金利も人的に抑え込んでいると批判がくる可能性もある。それで日銀が動くとは思えないが、日本の政局等次第では日銀の異次元緩和政策を取り巻く環境が今後変化してくる可能性もある。日本の長期金利が果たしてこのまま低位で抑えつけていられるのか。いずれ試されよう。


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by nihonkokusai | 2018-04-25 09:22 | 債券市場 | Comments(0)

3月も海外投資家が日本国債を大量買い越し

 4月20日に発表された3月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は1796億円の買い越しとなった。2月の8099億円の買い越し、1月の2兆3756億円の買い越しに比べると買越額は減少しつつある。国債の投資家別売買高をみると都銀は、中期を2591億円売り越していたが、長期は4207億円の買い越しに転じ、超長期も573億円の買い越しとなっていた。

 これに対して海外投資家は3月は1兆7688億円の買い越しとなり、2月の9769億円の買い越しからさらに買い越し額を膨らませた。海外投資家の短期債を除いたものとしての1月の売り越しは2014年6月以来となっていたが、これは一時的な売り越しとなっていたようである。海外投資家は3月に中期債を9899億円買い越し、長期債を5593億円買い越し、超長期債を1568億円買い越しとなっていた。

 「その他」は今回も2兆477億円の売り越しとなった。2月の2兆2128億円の売り越し、1月の2兆2640億円と同様に2兆円を超す大幅売り越しとなっていた。今回も中期債を1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 債券相場は1月の下落基調から、2月は回復基調となっていた。米株はボラティリティが低い状態で長らく上昇基調が継続しており、これはゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていたが、その反動が起きた。日本の株式市場も動揺し、日本の債券はリスク回避のような動きともなって上昇基調となった。しかし、その債券相場の反発も3月に入りブレーキが掛かってきた。3月2日には黒田日銀総裁による「2019年度ごろ出口を検討していること間違いない」とも発言で乱高下したが、その後は落ち着きを取り戻した。債券先物は151円台に乗せる場面はあっても戻り売りに押され、方向感に乏しい展開となって期末を迎えた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -1796(-573、-4207、2591)

地方銀行 2517(-628、1905、81)

信託銀行 -4125(-2664、1538、-2517)

農林系金融機関 -1920(-2020、96、0)

第二地銀協加盟行 1276(561、299、0)

信用金庫 1781(984、1209、5)

その他金融機関 -1314(75、206、-320)

生保・損保 -4345(-3733、172、317)

投資信託 -1261(-1046、313、-259)

官公庁共済組合 -175(-134、6、0)

事業法人 -823(-25、-174、0)

その他法人 -1079(-109、-103、31)

外国人 -17688(-1568、-5593、-9899)

個人 250(1、24、3)

その他 20477(1973、6028、15657)

債券ディーラー -1125(147、-1144、-37)


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by nihonkokusai | 2018-04-24 09:39 | 債券市場 | Comments(0)

欧米主体に世界的に長期金利が上昇、その背景とは

 4月19日の金融市場ではなかなか珍しいことが起きていた。欧米を中心として世界的に長期金利が上昇していたのである。香港、シンガポール、インドやオセアニア、そして英国を中心としてスイスなども含めて欧州の長期金利も軒並み上昇し、米国の長期金利も上昇していた。

 これだけ一斉に上昇するのは珍しい。それぞれ個別にいろいろな要因も指摘されていた。たとえば米長期金利の上昇のひとつの背景に、長短金利スプレッドが大きく縮小していたが、その反動が起きて、これまで比較的低位となっていた長期金利が上昇したというものである。

 欧州では特に英国の長期金利が上昇していた。この日、イングランド銀行のカーニー総裁は英国が今後数年間に数回の利上げを準備すべきと発言したが、5月の利上げが既定路線ではないとも示唆しており、カーニー発言が大きく影響したようには思えない。

 欧州では英国を含め、フランスやスペインの国債の発行が影響との見方もあるが、それだけでここまで金利が動くことも考えづらい。

 今回の動きはたまたまであった可能性もあるが、これだけ同じに動いたとなれば、やはり何らかの要因もあった可能性も否定できない。その要因と考えられるものに商品市況があった。

 原油価格の指標のひとつとなっているWTIは18日に68ドル台に上昇してきた。サウジアラビアが原油価格を80~100ドル近辺に引き上げたい意向だと報じられたが、節目を抜けてきているだけに80ドルあたりまで上昇してくる可能性はチャート上伺える。

 この原油価格の上昇だけでなく、アルミやニッケルが急騰している。これはロシアのUCルサールに対する米国の制裁措置によるものとの見方がある。

 ブルームバーグによると、アルミニウム価格は6年ぶり高値、ニッケルは2009年以来の大幅高を記録。アルミニウム生産に必要な原料であるアルミナは過去最高値に達したそうである。

 このように原油だけでなく、米国の保護貿易主義などを受けて、アルミニウムなど商品価格の高騰が物価の上昇要因となり、それが世界の長期金利にも影響を及ぼしている可能性がある。そうであれば今回の世界的な金利上昇の要因となりうるのではなかろうか。

 世界的な長期金利上昇のなかにあって、日本の長期金利は引き続き低位安定となっている。これは日銀が強引に抑え込んでいるからともいえるが、このまま他国の長期金利が上昇基調となった際に、日銀がどこまで長期金利を抑え込めるのか。それをいずれ試しにくることも予想される。


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by nihonkokusai | 2018-04-21 10:36 | 債券市場 | Comments(0)

4月以降の金融市場動向を占う

 今年に入ってからの金融市場は波乱含みの様相を強めている。米国株式市場は米ボラティリティが低い状態で長らく上昇基調が継続し、これはゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていたが、その反動が2月あたりから起きている。

 一度、ボラティリティ(相場の変動率)が大きくなると、その状態がある程度継続する。このため、ちょっとした材料で振れが大きくなりやすい。米国ではトランプ大統領が異例の輸入制限措置を発動したことなどで火に油を注ぐ格好となった。これまで上昇相場を支えていたハイテク株の一角に悪材料が出たことも波乱相場の要因となった。

 米債については米株の大きな調整もあり、リスク回避の動きから10年債利回りは3%を前にして反落している。ただし、基調としてはまだ上昇トレンドは描いているように思われる。

 外為市場でのドル円の動きをみると、こちらもリスク回避の動きなどから円買いドル売りが進み、ドル円は1月の113円台から3月に入り104円台にまで下落している。ユーロ円も2月の137円台から3月に128円台に下落していたことで、円高が進行していた。

 4月以降の相場を占う上での注意すべきものに北朝鮮の動向がある。4月27日に南北首脳会談が開催される。そのあと5月には米朝首脳会談も予定されている。北朝鮮がこれらの会議でどのような姿勢をみせるのかは不透明ながら、北朝鮮の地政学的リスクが後退してくる可能性がある。

 米国株式市場はトランプ政権そのものがリスク要因となっているようにみえるが、中国との貿易摩擦については水面下での交渉も進んでいるようで、いまのところエスカレートする気配はない。米国の景気そのものも拡大基調は継続してくると思われる。荒れた相場ではあるが、時間の経過とともに落ち着きを取り戻してくる可能性もあり、落ち着きどころを探る展開となるのではないかと思われる。

 米債については10年債利回りが3%手前で跳ね返された格好ながら、FRBの利上げ基調に変化が見られない限りは、大きく低下することも考えづらい。リスク回避による金利低下にも限度はありそうで、いずれ再び3%を伺うような動きとなるのではなかろうか。

 原油価格が今後さらに上昇してくる可能性もあり、物価が緩やかながらも上昇してくると、米金利上昇をフォローしてくる格好になるのではなかろうか。

 ドル円についてはリスク回避による円買いの動きはそろそろブレーキが掛かるのではなかろうか。日銀が出口政策を封じ込めていることも円を買いにくくさせるとみられる。ただし、4月の金融政策決定会合からは新たな副総裁に代わることで、何かしらの変化が出てくるのかもしれない。

 東京株式市場は米株やドル円などの動向次第ながら、底堅い動きとなるのではなかろうか。

 円債については日銀の出口封じ込め政策により膠着相場が継続するとみられる。ただし、安倍政権の動向次第では動きに変化が出てくる可能性もあるため注意したい。


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by nihonkokusai | 2018-04-01 09:12 | 債券市場 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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