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カテゴリ:金融( 51 )

ドル円は110円の壁を抜け、米長期金利は3%の節目を抜けてきた。日本国債への影響は?

 5月15日の米国市場では、米10年債利回り(以下、米長期金利)は一時3.09%と2011年7月以来の水準に上昇し、3%の壁を上抜けた。15日に発表された4月の米小売売上高は前月比0.3%増えたことが要因とされたが、数字は予想通りであり、それほどインパクトのあるものではない。すでに15日の東京時間で米債は売られており、3%という水準を試すような動きとなっていたことで、節目の3%を抜いてテクニカル的に米債売りを誘うような動きと言えた。16日に米長期金利は一時3.10%まで上昇した。

 米長期金利の上昇要因としては、もうひとつ原油価格の上昇もあった。イランを巡る中東情勢が不透明感を強めなか、15日の原油先物市場でWTI先物6月限は35セント高の71.31ドルとなった。こちらも70ドルが目先の節目となっていたが、ここを抜いてサウジアラビアの目標ともされる80ドルへの上昇の可能性も見えてきた。16日のWTI先物6月限は18セント高の71.49ドルとなった。

 15日の米国株式市場は米長期金利の上昇を嫌気して売られたとされるが、この解釈も難しいところがある。地合が良いときには、これまで米長期金利が上昇すると金融機関の業績改善が意識されて銀行株など買われ、買い材料ともなっていた。3%という水準を上回ると想定外との面もあるのか、米国株式市場はやや警戒して売られた面はある。しかし、米長期金利上昇の背景には米国経済の拡大とそれによるFRBの利上げがある。一概に売り要因とは言えない面もあり、ダウ平均は14日まで8連騰となっていただけに、調整売りも入りやすかった面もあるのではなかろうか。実際に16日の米国株式市場では、米長期金利がさらに上昇したものの、ダウ平均は反発し62ドル高、ナスダックも46ポイントの上昇となっていた。

 米長期金利の上昇によって外為市場では、これも大きく節目とされたドル円の110円を突破してきた。直近でも一時的に110円を超す場面はあったが、すぐに押し戻されていた。しかし、15日には110円半ばまで上昇したことで目先の壁となっていた110円を破ってきた。これにより次のターゲットは113円近辺となり、ドル円は上昇トレンドが再開するものと思われる。ただし、北朝鮮が米朝首脳会談の中止を警告するなどしたことで、リスク回避の円買いも入り、ドル円の上昇基調はいったんブレーキが掛かっている。

 米長期金利、原油先物そしてドル円とそれぞれ節目、ターゲットとみられていた水準を抜いてきた。これらは円債にとっては本来であれば売り要因ともなる。円債は米債に連動しやすく、原油価格の上昇は物価の上昇要因となり、円安も同様である。16日の債券先物は売られたものの、150円60銭台と大きく崩れたわけではない。円債の下値が限られる背景にあるのが、日銀による国債の大量買入とイールドカーブコントロールである。しかし、今後は次第にファンダメンタルズや海外の金利動向との乖離が大きくなってくる可能性がある。その際に生じる歪みが、何らかの影響を円債市場に与える可能性も出てくるかもしれないので注意も必要になりそうである。


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by nihonkokusai | 2018-05-17 09:55 | 金融 | Comments(0)

メガバンクがATMを共通化と報じられたが、その目的とは

 5月11日に共同通信が「三菱UFJ銀行など3メガバンクが、現金自動預払機(ATM)の開発や管理を共通化する検討に入ったことが11日、分かった」と報じた。長引く低金利で経営環境の厳しさが増しており、ATM業務を合理化するそうである。

 これはもちろんATMの設置費用、メンテナンス費用を軽減化させることが目的と思われるが、何故、このタイミングなのか。

 日銀の異次元緩和は長引いて、金利は低位に抑えつけられ、2016年にはマイナス金利まで導入してしまったことから、金融機関はかなり苦しい経営環境に置かれていることは間違いない。金融機関にとってはシステム管理の費用がかなり負担となっており、ATMについても窓口の人件費の節約となっても、設置費用やメンテナンス費用は巨額の負担となっている。

 これを共通化することによって、負担を軽減できることは確かである。日本ではなかなかキャッシュレス化が進まないが、その理由のひとつに現金への信用度や利用度の高さが上げられている。利用度については銀行のATMの普及度も一役を担っているため、ATMへの投資はどうしても必要となる。

 もちろんキャッシュレス化についてメガバンクも手を拱いているわけではない。三菱東京UFJ、三井住友、みずほのメガバンク3行が、スマートフォンなどで手軽に支払いができるQRコード決済で規格を統一し、連携する方針を固めたと報じられている。

 メガバンク3行がキャッシュレス化に向けて連携するだけでなく、ATMについても共通化するとの動きは歓迎したい。できれば利用者目線でも考慮していただき、メガバンクのATMであれば、他行でも手数料負担を軽減するなどしてもらえるとうれしい。

 今後はメガバンクだけでなく、これをきっかけに、この動きが他の銀行にも波及してほしいようにも思う。国内銀行の多くがATMを共通化するとともに、QRコード決済で規格を統一するとなれば、国内でのキャッシュレス化が一気に普及する可能性もある。そうなればATMの設置負担も今後軽減されることも考えられる。我々利用者としてもいったんATMで現金を引き出して物を買うより、銀行口座から代金が直接引き落とされたほうが便利であり、現金保有のリスクも軽減される。


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by nihonkokusai | 2018-05-11 11:09 | 金融 | Comments(0)

経済産業省はキャッシュレス・ビジョンを策定、日本でキャッシュレス化を進めるにはどうしたら良いのか

 経済産業省は「キャッシュレス・ビジョン」を策定した。検討会では、大阪・関西万博(2025年)に向けて、「支払い方改革宣言」として「未来投資戦略2017」で設定したキャッシュレス決済比率40%の目標を前倒しし、より高い決済比率の実現を宣言する。さらに将来的には、世界最高水準の80%を目指していくとしている(経済産業省のサイトより引用)。

 経済産業省によると、キャッシュレスの推進は、消費者にとっては多額の現金を持たずに買い物が可能になることや、紛失等のリスクが現金に比べて軽減されること、事業者にとっては現金管理コストの削減による生産性向上など、様々なメリットが期待されるとしている。また、「キャッシュレス推進協議会(仮称)」において、オールジャパンの取組として産官学が連携して進めていくとしている

 日銀の雨宮副総裁は、4月16日のIMF・金融庁・日本銀行共催 FinTechコンファレンスにおける挨拶で次のような発言をしている。

 「中央銀行がデジタル通貨を自ら発行するとなると、単純化していえば、一般の家計や企業が中央銀行に直接口座を持つことになります。そうなると、只今申し述べた通貨制度の二層構造や、民間銀行を通じた資金仲介などに、大きな影響を及ぼす可能性があります。」

 スウェーデンやエストニアなどでは中央銀行がデジタル通貨の発行を検討しており、ウルグアイではデジタル通貨の試験運用を開始している。日銀もデジタル通貨の基盤技術の研究など進めているようだが、日銀が自らデジタル通貨を発行することに対しては積極的ではない。そもそも日銀に国民全部の口座を設けことは無理がある。

 ここにきてキャッシュレス化に関するニュースがいくつか出てきている。たとえばセブンーイレブンが、スマートフォンで支払いができる独自の決済サービスを来年春をめどに導入する。イオンとビザ・ワールドワイド・ジャパンはキャッシュレス決済で連携した。また、少し前だが、メガバンク3行が、スマートフォンなどで手軽に支払いができるQRコード決済で規格を統一し、連携する方針を固めたとも伝えられている。

 しかし、このままではバラバラにモバイル決済が導入されることになり、これでは現金が使いやすい日本で普及を進めるのは難しい面がある。これに対し、スウェーデンのように大手行などが共同で開発して単一のモバイル決済の仕組みを作れば、日本でもモバイル決済が普及する可能性がある。中国のモバイル決済も「アリペイ」などに集中している。日本でも普及させるとなれば、経済産業省などが主導するなどして単一のモバイル決済の仕組みを作る必要があるのではないかと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-04-22 10:09 | 金融 | Comments(0)

トランプ大統領に振り回される米国市場、いつまで続くのか

 米国のトランプ大統領が対中制裁関税の1千億ドル積み増しを検討するとしたのに対し、6日に中国も必ず反撃するとして対抗措置を取る姿勢を示した。ムニューシン米財務長官が貿易戦争になる可能性はあると指摘したことも嫌気して、米国株式市場は中国事業の比率が高い建機のキャタピラーなど主体に下落し、6日のダウ平均は572ドル安となった。やられたらやり返す、倍返しではないが、貿易戦争への懸念が強まった。

 ところが、トランプ政権の幹部らから貿易戦争を回避する時間は十分にあるとの発言があり、9日の米国株式市場では、米中の貿易摩擦を巡る過度な警戒が後退し、ダウ平均は一時400ドルを超す上昇となった。しかし、今度はFBIが9日にトランプ大統領の顧問弁護士の事務所を捜査したと報じられ、上げ幅を縮小させてダウ平均は46ドル高となった。

 中国の習近平国家主席は10日、中国海南省で開催中の博鰲(ボアオ)アジアフォーラムで演説し、「開放の新たな段階」を約束した。 演説は新政策をほとんど提示しなかったが、輸入促進や製造業の外資保有制限緩和、知的財産権の保護拡大に向けた提案を確認ないし膨らませた。これを受けてトランプ大統領はツイッターで、「関税や自動車障壁に関する中国の習主席の丁重な言葉に深く感謝する」と述べ、「知的財産と技術移転に関する見識」にも謝意を示し、「われわれは共に大きく前進する」とツイートした。これを受けて米中貿易戦争に対する懸念が後退し、11日の米国株式市場ではダウ平均は428ドル高となった。

 そして今度は、12日にトランプ大統領はシリアに対しミサイルが飛んでいくぞとツイッターに書き込み、シリアに対するミサイル攻撃を強く示唆した。これに加え、トランプ大統領はシリアのアサド政権を支援しているロシアを批判。米国とロシアの関係悪化も危惧され、米国市場はあらためてリスク回避の動きを強め、12日のダウ平均は218ドル安となった。

 ところが今度は、トランプ大統領はシリアをいつ攻撃するかを言ったことは一度もないとツイッターに書き込み、これを受けて米国によるシリアへの差し迫った軍事攻撃はないとの見方が強まった。13日の米国市場はリスク回避の巻き戻しといった動きとなり、ダウ平均は293ドル高となった。

 このように、ここにきての米国株式市場は連日のようにトランプ大統領によって振り回されている。そして今度は、トランプ大統領はTPP復帰検討を指示と複数の米メディアが伝えていた。こちらは中国絡みの面もあるが、中間選挙を控えて米国内の農業関係者に配慮するためとの見方もある。トランプ大統領はあらたな材料をまた投下した。

 いずれにしても、トランプ大統領の周辺が騒がしい上に、外交上の問題に対して、自ら真っ先にツイッターに投稿することで、市場は過度に警戒心を強め、それをあとでフォローする格好となることで、米国の株式市場や債券市場は日替わりメニューのごとく上げ下げとなり、振り回されてしまっている。

 むろん、トランプ大統領に絡んだ要因だけでなく、別の要因も市場に影響を与えてはいようが、なにぶんトランプ大統領絡みの動きは、貿易だけでなく軍事的な衝突まで意識させる内容なので、無視できない状況にある。このような相場はトランプ政権が続く限り、今後も継続するというのであろうか。



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by nihonkokusai | 2018-04-14 10:03 | 金融 | Comments(0)

セブンイレブンが独自のスマホ決済を導入するそうだが

 コンビニ最大手のセブンーイレブンが、スマートフォンで支払いができる独自の決済サービスを来年春をめどに導入することになったそうである(NHK)。

 スマホを使った独自の決済サービスには、たとえば「Google Pay」、「Apple Pay」、「楽天ペイ」、「LINE Pay」、「モバイルSuica」などがある。しかし、現状ではスマホを使っての決済は特に日本ではそれほど普及してはいない。

 NHKニュースでは「コンビニ最大手のセブンーイレブンで、スマホを使った決済が本格的に導入されることで、キャッシュレスの動きが加速しそう」と指摘していたが、またひとつ新たなスマホ決済が増えるだけのような気がする。これがnanacoカードのように使えるところが限られものであれば、幅広く普及することは考えづらい。すでにnanacoカードを保有している人が、スマホの決済に買えるインセンティブもあまりない。

 スマホの決済を日本で普及させるには、現金のようにいつでもどこでも手軽に使えるものでなければならない。日本での現金主義の背景はいろいろと指摘されているが、安全性や流動性、治安の良さなどに加えて、ATMで現金が引き出せる利便性なども影響している。

 日本人にはスマホで決済する事に対しての壁みたいなものも存在している面もあるのではなかろうか。クレジットカードの普及によってカードに対する信頼性は多くの人が持っているとみられ、小銭入れにはクレジットカードだけでなく、多種多様なカードが入っている。しかし、それをスマホのアプリに置き換える人はそれほど多くはないのではなかろうか。

 スマホ決済に対する信頼度を現金利用のように高め、普及を促すには、それを使っても安心であり、特定の場所ではなく、日本全国いたるところで使えるものにしなければならない。ポイントなども大事かもしれないが、それは上記のようなセブンーイレブンのサービスの利用などにまかせて、普及させるためのスマホ決済サービスは、ほぼ現金と同じ利用とすべきである。それには利用者とともに店舗などでの手数料もかなり抑える必要がある。日銀券の利用に対して日銀は特に手数料などは徴収はしていない(ATM利用の場合に手数料は発生するケースはあるが)。

 そうであれば、メガバンク主導のモバイル決済の規格統一のほうが期待は持てるように思われる。日本ではデビットカードの利用はあまり普及していない。これは少額取引は現金かプリペイドカード、高額取引はクレジットカードを利用することで、デビットカードの出る幕がなかったためとみられる。

 スマホで自分の口座の現金を直接利用して決済する方式で、利用できる箇所が少なくともクレジットカードが利用できるところ程度は存在し、決済に対する時間がクレジットカード程度かそれ以下で、店側としての費用負担も極めて低いとなれば、スマホでの決済が国内でも普及する可能性はある。ただし、その普及にはスマホでの決済への信用度を高める工夫も求められるかもしれない。



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by nihonkokusai | 2018-04-11 09:59 | 金融 | Comments(0)

米国が中国に追加関税?米国株式市場に対して火に油を注ぐトランプ大統領

 中国は4日に米国からの輸入品約500億ドル相当に25%の追加関税を課す計画を発表した。対象には大豆や自動車、化学品、航空機などが含まれた。米国のトランプ政権が打ち出した関税措置への対抗策といえる。

 これを受けて4日の米国株式市場は急落し、これに驚いたの米政府高官は中国を批判しつつも、交渉を通じて制裁発動を避ける可能性に言及した。国家経済会議(NEC)のクドロー委員長はテレビで「市場は過剰反応しないでほしい」と呼びかけ、今後数か月の交渉を通じて最終的に関税発動を見送る可能性は「ある」とまで指摘。ロス商務長官もテレビのインタビューで「米市場がこんなに驚くこと自体が驚きだ」と語った。

 米政府高官が火消しに走ったことも好感し、4日の米国株式市場は、急速に買い戻されてダウ平均は230ドル高で引けた。5日のダウ平均も240ドル高となっていた。

 これに気をよくしたのか、それとも金融市場の動向などはおかまいなしなのか、トランプ大統領は5日に声明文を公表し、「中国の不当な報復を踏まえて」1000億ドルの対中追加関税の検討を通商代表部(USTR)に指示したことを明らかにした。自分で仕掛けておきながら、やられたらやり返す、まさに貿易戦争を仕掛ける気なのか。

 中国との貿易戦争拡大となれば、こちらも米株の上昇に大きく貢献してきたボーイングやキャタピラーなど中国依存度の高い企業に対しても当然、影響が出てくる。

 さらにトランプ大統領はこれまでアマゾン・ドット・コムが米郵政公社(USPS)に非常に安い料金で商品を配送させているうえに、税金を十分に支払っていないとして、同社への攻撃を繰り返していた。これについては、ホワイトハウス内では規制など具体的な議論はされていないと報じられるなど、やはり米政府高官が火消しに走っていた。しかし、そんなことはおかまいなく、トランプ米大統領は5日、ネット通販大手アマゾン・ドット・コムを巡り真剣に政策を検討する考えを示した。

 フェースブックによる個人情報の流失問題などから、これまで米国市場の上げを先導してきたIT関連株が不安定な動きを見せてきているが、それもやっと収まってきたかと思われるタイミングで今回のアマゾンに対する発言も火に油を注ぐことになる。

 どうやらトランプ大統領は自国の株価を下落させたがっているようにしか見えないのであるが。ちなみに6日の米国株式市場では米中の貿易摩擦を警戒してダウ平均は572ドル安となっていた。


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by nihonkokusai | 2018-04-07 09:35 | 金融 | Comments(0)

米国株式市場が乱高下した要因を探る

 金融市場の動きは波にも例えられる。漣が長期にわたり続くことがあり、それが突然変化して大波が襲い、しばし荒れ狂う波が押し寄せる。これはボラティリティという言葉でも表現される。ボラティリティとは金融資産の価格の変動の大きさを示すパラメータである。これが小さいと値動きが小さいことを示し、大きくなると荒れた値動きとなる。

 4月4日の米国株式市場はまさにボラティリティの大きな相場展開となった。中国は4日に米国からの輸入品約500億ドル相当に25%の追加関税を課す計画を発表した。対象には大豆や自動車、化学品、航空機などが含まれた。米国のトランプ政権が打ち出した関税措置への対抗策といえる。

 これが発表されたのは、米国株式市場が開く前であったが、24時間取引されているグローベックス(CMEグループが運営する24時間稼働の電子取引システム)で、米株先物が急落していた。また、商品取引で大豆が急落するなどしていたことで、市場が動揺を示していた。

 このため4日に米国株式市場が開始されると売りが殺到し、特に中国に関係する企業、たとえば中国の売上比率が高い航空機のボーイングなどが大きく売られ、ダウ平均は寄り付き直後に500ドル超下げる場面があった。

 これに驚いたのが米国政府であったようである。トランプ大統領は選挙公約もあり、異例の輸入制限措置を発動したものの、貿易戦争を起こす気はなく、水面下では中国と交渉していたとされている。しかし、中国の関税措置への対抗策をみて、とくに米国内の影響も大きい大豆なども含まれていたことに、市場は動揺を示した。

 このため米政府高官は中国を批判しつつも、交渉を通じて制裁発動を避ける可能性に言及した。国家経済会議(NEC)のクドロー委員長はテレビで「市場は過剰反応しないでほしい」と呼びかけ、今後数カ月の交渉を通じて最終的に関税発動を見送る可能性は「ある」とまで指摘した(日経新聞電子版)。

 ロス商務長官もテレビのインタビューで「米市場がこんなに驚くこと自体が驚きだ」と語ったようだが、米政権と市場との対話が進んでいなかったことのほうが驚きであったように思われる。

 4日の米国株式市場はこれら政府関係者による発言を受けて、急速に買い戻されてダウ平均は230ドル高で引けた。5日も続伸となっている。

 なぜこれほどまでに値動きが荒くなったのか。これには相場の地合が2月以降に変化し、市場参加者がかなり神経質となっており、その結果として日々のボラティリティが大きくなっていたことがひとつの要因となっている。また、アルゴと呼ばれるシステム系の売買が更に値動きを大きくしている側面もある。

 いずれにしてもこのような相場変動を抑えるためには、今回の関税の問題では米経済に与える影響等に配慮している姿勢をはっきり示し、透明度を高める必要もあろう。しかし、トランプ大統領によるつぶやきが市場を混乱させる要因ともなっていることで、市場の疑心暗鬼は当面続くことも予想される。


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by nihonkokusai | 2018-04-06 07:47 | 金融 | Comments(0)

米国株式市場に大きな影響を与えているFAANG

 ここにきて米国の株式市場が荒れた動きをみせているが、この背景にFAANG銘柄が関係している。FAANGとはフェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、そしてグーグル(上場はアルファベット)の頭文字をとった造語である。

 2015年あたりからFANGと称されていたが。これにはアップルが除かれていたようなのでFANGのほうが一般的かもしれないが、ここではアップルを加えたFAANGとしてみてみたい。

 米国株式市場では今年に入ってからもキャタピラーやボーイング、スリーエムなどに加えて、FAANGを中心としたハイテク株が買い進まれ、ダウ平均、ナスダックともに過去最高値を更新し続けていた。

 ところが2月5日にダウ平均は一時1597ドル安となり、取引時間中として過去最大の下げ幅となり、引け値も1175ドル安となって引け値の前日比でも過去最大の下げ幅を記録した。米長期金利の上昇などがきっかけとされるが、じりじりと上昇相場が長期にわたり続いてきたことで、その反動が一気に現れたものと考えられる。

 これをきっかけに米国株式市場はいったん調整局面となっていた。しかし、2月9日からFAANG銘柄を主体に主要ハイテク株を中心に切り返してきたことで、ナスダックは3月9日に過去最高値を更新した。

 その後、牽引役となっていたFAANG銘柄を主体にハイテク株が売られ、再び下落基調となった。

 そして19日にはFAANGの一角のフェイスブックの約5000万人分の会員情報が2016年の米大統領選でトランプ陣営キャンペーンに関与した英データ分析会社に不正に利用されていたと伝わったことを受け、フェイスブック株を主体にハイテク株が急落した。

 さらに28日にはトランプ大統領がアマゾン・ドット・コムへの課税強化や反トラスト法違反で提訴することなどを検討していると報じられたことで、FAANG銘柄のアマゾンが大幅続落となっていた。

 米国株式市場の牽引役となっていたFAANG銘柄に悪材料が相次いだこともあり、米国株式市場は乱高下を繰り返すような状況となっている。もちろんトランプ政権が鉄鋼製品などへの異例の輸入制限措置を発動したことも材料視され、こちらも牽引役となっていたキャタピラーやボーイングなどグローバル企業の株価も影響を受けていた。ただ、ここにきてのFAANG銘柄に悪材料が相次いできたことも、米国株式市場の先行きを不透明にさせつつある。

 28日に発表された10~12月期米GDP確報値は年率2.9%増と改定値から上方修正されたように、米国景気そのものは好調さを持続させているが、株式市場はなかなか素直に買えるような状況にはなっていない。むしろ不安定さが増しているように思われる。


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by nihonkokusai | 2018-03-30 09:33 | 金融 | Comments(0)

トランプ・リスク再び、市場はリスク回避の動きを強める

 米国のトランプ大統領は、中国による知的財産の侵害などを理由に通商法301条に基づき、中国からの幅広い輸入品に高い関税を課す制裁措置を発動することを決めた。また、トランプ政権は、知的財産の侵害に関連して中国をWTOに提訴する方針で、中国からアメリカへの投資の規制も検討するとしている(NHK)。

 それに加えて、トランプ大統領は22日、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するマクマスター大統領補佐官を交代させ、後任にボルトン元国連大使を起用するとツイッターで明らかにした。トランプ大統領は予定されている北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談を控え、国家安全保障チームの多くを交代させており、すでにティラーソン国務長官を解任し、後任に保守系で強硬派のポンペイオCIA長官を指名していた。北朝鮮に対し厳しい姿勢を示す保守強硬派として知られているボルトン氏の大統領補佐官の起用により、北朝鮮との首脳会談を前にして、北朝鮮に対して厳しい姿勢で臨む構えを示した格好となった。

 異例の輸入制限措置を発動により、中国との貿易摩擦の強まりとともに、北朝鮮と米国の緊張が再度高まる懸念も出てきたことで、金融市場ではリスク回避の動きを急速に強めた。

 米国と中国の貿易摩擦が強まり、世界経済に悪影響を及ぼすという懸念が強まり、22日の米国株式市場では、キャタピラーやボーイング、スリーエムなどグローバル企業主体に売られ、23日のダウ平均は724ドル安となった。24日も続落となり、ダウ平均は424ドル安となった。

 FRBのパウエル議長は2月5日に就任したが、この日にダウ平均は一時1597ドル安となり、取引時間中として過去最大の下げ幅となり、引け値も1175ドル安となって引け値の前日比でも過去最大の下げ幅を記録していた。そして、今度は議長として初めて望んだFOMCで利上げを決定した翌日の3月21日にダウ平均が724ドル安となるなど、パウエル議長は今回の下落相場の要因ではないものの、タイミングが悪かったようにも思える。

 外為市場では円高が進み、23日の東京時間でドル円は105円を大きく割り込んだ。日経平均も大きく下落し一時1000円を超す下げとなった。

 20日に日銀の副総裁が入れ替わり、総裁は変わらないことで実質的に新体制のスタートとなったが、こちらも新体制に変わったタイミングで円高が進行するなど、なかなか厳しい船出となった。ただし、23日に発表された2月の全国消費者物価指数(除く生鮮)については前年比1.0%増となり、3年6か月ぶりの1%台乗せとなっていた。

 いろいろ悪材料が重なったことで、複合的な要因によるリスク回避の動きとなっている。ダウ平均や日経平均、さらにドル円のチャートなどからみると、再度下値を試す動きとなり、どこまで下げてくるのか予測が難しい状況となっている。ドル円は100円近辺まで下落する可能性もあり、日経平均も20000円の大台割れの可能性が出てきた。今後の動きに注意する必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2018-03-24 11:02 | 金融 | Comments(0)

戦国時代に使われていた大量のコインが見つかる

 埼玉県埋蔵文化財調査事業団は9日、蓮田市の「新井堀の内遺跡」にある、戦国時代の武士の館跡で、15世紀前半の常滑焼の大甕に入った大量の埋蔵銭が出土したと発表した。中国から輸入された銅銭が約26万枚入っている可能性があり、一つの甕に納められた量としては国内最大級の埋蔵銭となる可能性がある。確認できただけでも19種類あり、永楽通宝が多かった(日経、毎日、NHKなどの記事より引用)。

 当時の貨幣の貯蓄法としては、もちろん銀行などはなかったことから、このようなかたちで貯蔵されていた。しかし、それにしても大量のタンス預金となるが、伝承によるとこの館跡の戦国時代の主は岩付城主・太田資正の家臣・野口多門とされている。

 岩付城主・太田資正はその後、北条氏に通じた嫡男に岩槻城を奪われ、常陸の佐竹義重を頼って客将となり、片野城を与えられたとされている。片野城は比較的我が家からも近いところで、どこか親近感を覚える。果たして家臣の野口多門はどちらに付いたのかはわからないが、それにしては大量の資金を保有していたようである。

 当時の日本国内で通用する通貨は室町幕府が発行したものではなかった。銅銭の中でも明の永楽帝の時代の1411年から作られた永楽通宝(永楽銭)が、室町時代中期に大量に輸入されており、それが国内の通貨として主に使われていた。

 当時の日本では貨幣経済が急速に発展していたにもかかわらず、幕府による鋳造は行なわれず、中国銭貨への需要が高まることになる。日本との貿易のために永楽通宝が鋳造されることになったのである。永楽通宝を中心とする明銭は当初、貨幣として受け入れられなかった。このため室町幕府は明銭の使用を奨励した撰銭禁止令を公布するなどしていた。

 銅銭の質的な劣化や、渡来銭を真似て鋳造され私鋳銭の流通も増大し、15世紀後半以降、銭貨をその質的優劣にしたがって良銭と悪銭に区分し、悪銭については受け取りを拒否したり、もしくは割り増しをつけて受け取るという「撰銭(えりぜに)」という行為が行われるようになっていた。

 ただし、永楽通宝そのものは質が良く、関東地方を中心とする東日本では、素材価値が安定的で形状や品質がほぼ一定していたことで基準銭貨として使われるようになっていた。今回の甕のなかの通貨に永楽通宝が多かったのはこのためと思われる。

 唐や宋の時代の古銭を貨幣として重視していた西日本では、明では貨幣としても通用していなかったことから永楽通宝はあまり使われなかった。しかし、16世紀半ばから次第に永楽通宝の地位が高まり、全国的に永楽通宝が基準貨幣として普及していった。

 そして、貨幣による経済の発展を強く意識した武将が織田信長であり、その旗印に貨幣(永楽通宝)の図柄を取り入れたのである。


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by nihonkokusai | 2018-03-16 09:51 | 金融 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


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