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カテゴリ:金融( 52 )

家計保有の投信の金額が30兆円以上も過大計上されていた

 日銀が四半期毎に発表している資金循環統計において、家計が保有する投資信託の金額が統計作成時の誤りで30兆円以上も過大計上されていた。

 これについては自分でも何故、すぐに大きな数字の変化に気がつかなかったのかと反省している。四半期毎の資金循環統計の発表があると毎回、その数字を基にして国債の投資家別の保有状況を算出している。これに関するコラムを書く際には、個人の金融資産についても毎回触れている。今年の3月と6月に私がコラムにアップしたものを比較してみたい。

 今年3月、「日銀は3月19日に資金循環統計(10~12月期速報値)を発表した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.5%増の約961兆円となった。株式等が同17.3%増の約211兆円、投資信託も13.1%増の約109兆円となっていた。」

 今年6月、「日銀は6月20日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で2.3%増の約961兆円となった。株式等が同11.7%増の約199兆円、投資信託も1.4%増の約73兆円となっていた。」

 明らかに投資信託の数字がおかしい。3月の数字から36兆円も減少していたのである。なぜ、これに気がつかなかったのかという反省はひとまず置いて、いったい何か起きていたのか。

 資金循環統計では年1回調査方法を見直す改定を行っており、今年6月下旬発表分の改定値を算出する際に過剰計上が見つかったとされる。この改訂により、2017年12月末の家計の投信保有額が、改定前の109.1兆円から約33兆円少ない76.4兆円に修正されたのである。

 家計の保有額は投信の総額から、金融機関など他部門の保有額を差し引くことで算出しているそうで、日銀が改定作業を行う際、ゆうちょ銀の保有分でこれまで「外国債券」としていた資産の一部が実は「投信」だったことが判明。改定後はその分だけ金融機関の投信保有額が膨らみ、逆に家計保有分は減額された(毎日新聞)。

 これにより、個人金融資産に占める投信の割合も修正され、2017年は4.1%となり、改定前の5.8%に比べ大きく低下した。家計保有の投信が数字上からは増加していたことで、「貯蓄から投資へ」が進行していたとの見方もあったが、現実にはそれほど進んではいなかった。

 それと注意すべきは、少なくとも30兆円以上の投資信託をゆうちょ銀行が保有しているという点にもある。ゆうちょ銀行が含まれる中小企業金融機関等の投信保有額は6月末で47兆円規模となっていた。


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by nihonkokusai | 2018-07-30 10:04 | 金融 | Comments(0)

日経平均は年初水準を回復、調整は終了か

 7月18日にドル円は113円台を回復し、年初の水準を回復させた。東京株式市場では日経平均が23000円に接近している。前日のニューヨーク株式市場では、ナスダックが過去最高値を更新。欧州市場ではイタリアの国債が買い進まれている。

 これらの動きからは総じてリスク回避の巻き戻しのようにみえるが、相場の地合そのものが良い状況があらためて確認されたもの見ている。

 日経平均株価のこれまでの最高値は1989年12月末大納会につけた38915円となる。ここがピークとなり、いわゆるバブル崩壊が始まる。そのバブル崩壊後の安値が、2009年3月10日の7054円となった。38915円から7054円下落の半値戻しが、22984円となる。つまり日経平均で抜けそうで抜けなかったのは23000円というよりも、この半値戻しの水準と言えた。

 今年1月に日経平均はこの23000円を抜けて24000円台まで上昇したが、そこでいったんピークアウトしてしまった。1月24日にムニューシン米財務長官はスイスのダボスで開かれている世界経済フォーラムで、明らかに弱いドルは我々にとって良い、と述べた。このあたりをきっかけにドル円は下落し、日経平均も調整局面入りした。

 2月5日にダウ平均は一時1597ドル安となり、取引時間中として過去最大の下げ幅となり、引け値も1175ドル安となって引け値の前日比でも過去最大の下げ幅を記録した。米国株式市場では今年に入ってからもキャタピラーやボーイング、スリーエムなどに加えて、FAANGを中心としたハイテク株が買い進まれ、ダウ平均、ナスダックともに過去最高値を更新し続けていた。これはゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていたが、その反動売りが入り、これも日経平均を押し下げる要因となった。

 その後、いわゆるトランプリスクが顕在化し、米中の貿易摩擦拡大懸念が生じた。イタリアの政局への懸念などもあって、リスク回避の動きからなかなか日経平均は戻り切れず、23000円が上値の壁となっていた。

 これに対してドル円は3月につけた104円台が底となり、じりじりと回復基調となっていた。米中の貿易摩擦拡大懸念はなくなったわけではないものの、それよりも地合の良さが表面化しつつある。いずれ再びトランプリスクが顕在化する恐れはあるものの、ひとまず調整局面はまもなく終了してくる可能性がありそうである。

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by nihonkokusai | 2018-07-19 09:28 | 金融 | Comments(0)

株やドル円、原油価格などの先行きを値動きから占ってみた

 今後の金融市場の動きをファンダメンタルズやイベントリスクなどをいったん無視して、純粋に価格の動きだけ、つまりチャートから占ってみたい。

 日本の株式市場について日経平均の最近の動きを確認してみると、今年1月に24000円台に乗せたあと3月に20000万円近くまで下落し、そこがいったん底となった。5月に23000円台を回復してから、再び22000円割れとなったところで切り返し、再度23000円に接近した。その後再度売られ、21500円をいったん割れ込んで、ここにきて下げ止まりつつある。日足チャートでみると23000円のところでダブルトップを形成したようにみえたが、ここにきての相場上昇でそれが崩れる可能性が出てきた。これにより日経平均は再度23000円を試し、ここを抜けてくる可能性がある。

 それをフォローしそうなのが、ドル円の動きか。ドル円は今年初めの113円台から、3月にかけて下落基調となり、104円台まで下落した。その後は上昇トレンドを形成し、7月18日には113円台に上昇している。今年初めの水準に戻ってきたことで、ひとまず115円を試しにくる可能性がある。これは日経平均の押し上げ要因となりうる。

 更に米株も日経平均のフォローとなりうる。ここにきてナスダックが切り返しており、再び過去最高値を更新してきた。米中の貿易摩擦拡大の懸念等はあるものの、ナスダックはチャートからみて地合そのものは悪くはない。S&P500もあらためて1月末につけた高値を取りに行く可能性がある。これに対してダウがなかなか抜け切れない格好となっている。

 米長期金利の動向をみてみると、ひとます低下基調トレンドから2.8%台での足踏み状態となりつつある。今後、戻りを試し、2.9%あたりをつけてくる可能性はある。2.9%台に乗せると物価動向など次第では3%が再び見えてくるが、こちらもなかなか抜けきれない。

 物価の押し上げ要因となりそうなのが、原油価格の動向となる。WTIは一時75ドル台に上昇した。トランプ大統領は原油価格の引き下げを望んでいるようだが、サウジアラビアなどはWTIで80ドル台への上昇を見込んでいるとされる。ただし、75ドルを付けてからは、いったん達成感も出たのか売りに押されて、70ドルを割り込んできている。これで上昇トレンドが終了とみるのは、まだ早計か。ただし、今回の調整はやや長引くかもしれない。

 世界的な景気拡大が続くとの前提に立つと、いずれWTIが80ドルを突破し、それが米長期金利の上昇を促し、米長期金利の上昇によって日米の長期金利差が拡大し、ドル円も上昇してくると言うシナリオもありうるか。

 日米金利差については、米国の長期金利の動向次第となる。日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策が続く限りは、日本の長期金利はゼロ%近辺に抑えられる。ただし、債券市場の機能低下などの副作用が見え始めており、何かしらの金融政策の微調整は今後ある可能性も。ただし、それでも日本の長期金利の上昇は限られよう。


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by nihonkokusai | 2018-07-18 09:52 | 金融 | Comments(0)

日本のキャッシュレス化に必要なのは、仮想通貨などではなくデビット決済の普及か

 ビットコインなど仮想通貨が出現し、ネット上で生み出された仮想通貨が法定通貨に置き換わり、これにより日本でもキャッシュレス社会が到来するのではとの見方が出ていた。しかし、仮想通貨の価格が乱高下したことにより通貨としての機能が疑問視された上に、巨額の不正流出事件などもあり、それが法定通貨に置き換わる可能性はないとみた方が良い。

 ケネス・S・ロゴフの「現金の呪い」などから、日本でも高額紙幣を廃止すべきとの声も出ていた。Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせたFintechという造語も生み出され、日本の高額紙幣廃止議論にIT技術を絡めて、キャッシュレス化を進めるべき議論と仮想通貨への期待が混ざり合い、日本でどのようにしてキャッシュレス化を進めるべきかという議論が置き去りにされてしまった感がある。

 そもそも高額紙幣廃止議論とキャッシュレス化は特に日本では議論の本質が異なる。犯罪防止のために日本で高額紙幣を廃止すべきという議論はロゴフ氏の著書にもあったが、あまりに日本の現金利用が多いのは犯罪に使われているに違いないとの認識が前提にあったように思う。これについては税金等に絡んでまったくないとは言い切れないが、たとえば日本円が巨額のマネーロンダリングに利用されているようなことは考えづらい。

 ここですべき議論は、日本が海外に比べて特に小額取引のキャッシュレス化が遅れているように見えるが、それは何故なのかという点ではなかろうか。そもそもキャッシュレス化は店舗側を含めて使う人達に利便性はあるのかと言う議論から始めなければならないと思う。

 なぜ日本で現金利用比率が高いのかについては、日本円への信頼度の高さ、ATMなどを使った利便性の高さ、偽札の少なさ、治安の良さなど挙げられているが、日銀を中心に現金を使える高度のインフラが整備されているためである。

 中国などが現金を飛び越えてスマホ決済の普及が拡大したのは、自国通貨の使いにくさがむしろ背景にあった。一般電話の普及が遅れていたところが、家庭電話でなく携帯電話が一気に普及したようなものである。

 それでは日本でもキャッシュレス化は必要なのかと問われれば、費用の問題も含めて必要だと思われる。ただし、キャッシュレス化の浸透については国ごとに理由も異なる事は確かである。それでは何が日本でのキャッシュレス化を阻んでいるのか。ここに面白い事例がある。オランダである。ユーロ圏ではスウェーデンなどの北欧に次いでキャッシュレス化が進んでいる。

 オランダも日本と同様にデビット決済の普及が進んでいなかった。ちなみにデビット決済とは自分の銀行口座に紐付けされたカードなどで、口座の資金を店舗での支払いに充てることができるものである。

 オランダではデビット決済を普及させるため、銀行間の提携が図られ、さらに特に店舗側で、現金利用よりもデビット決済の方が費用が軽減できることを中央銀行での議論などを通じて広めた。これらをきっかけに急速にデビット決済の普及が進み、それがオランダでのキャッシュレス化普及の原動力となった。

 日銀はレポートで日本においてデビットカードの利用が広まっていない理由として次のような説明をしていた。

 「米国では銀行業界が、大量の小切手処理に伴うコスト削減の観点から、小切手を代替するデビットカードの普及に努めたのに対し、日本ではもともと小口決済において小切手の利用が普及していなかったことや、クレジットカードの発行に伴う審査が諸外国に比べ厳しくなく、比較的多くの人々がクレジットカードを持てること、さらには、このようなクレジットカードが利用される際、一回払いが選択される場合が多く、機能的にはもともとデビットカードに類似した使われ方がなされていることなどが挙げられる。」(日銀レポートより)

 たしかにこのような理由もあろうが、そもそもデビット決済に馴染みがないことも大きい。中国やスウェーデン、さらに韓国のキャッシュレス化をみても、そのキーとなっているのがデビット決済を主体とした銀行と紐付けされた決済となっている。日本でスマホ決済を主体としてキャッシュレス化を浸透させるためには、デビット決済のような銀行と紐付けされた決済が必要になる。

 そのためにはオランダの事例のように銀行間の提携と、店舗側に対してデビット決済が費用面などで有利なことを認識してもらうこと、その有利さを出すためには多種多様の方式ではなく、単一の決済方式に集約することなどが求められるのではなかろうか。

 スマホ決済などの利用については、その利用状況そのものが利用価値の大きな情報データとなりうることで、このあたりも注意しながら、政府や中央銀行などが先導役となり、進めて行く必要もあるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-07-09 15:40 | 金融 | Comments(0)

中国でのスマホ決済事情からみた日本のキャッシュレス化に必要なこと

 中国では支付宝(アリペイ)などスマホ決済を手掛ける事業者に対し、利用者が前払いしたお金のすべてを、中国人民銀行(中央銀行)に預けるよう義務づけると4日の日経新聞が報じた。アリババ集団とスマホ決済市場を二分する騰訊控股(テンセント)の両社にとって影響は避けられない見通しとなった。

 これは何が問題となっているのか。アリババ集団のAlipay(支付宝)とテンセントのWeChat Pay(財付通)が中国でのスマホ決済の2強とされる。中国でのスマホ決済の普及はこの両社が競って拡がった面もあるが、それぞれ銀行ではない。それではどのような形式で両社は決済を行っているのか。

 アリババは電子商取引サイトなどを通じて多数のユーザーを獲得し、中国版のLINEとされるメッセンジャーサービスのWeChatも中国で高いシェアを誇っていたが、こちらもネットを通じた電子商取引を行っていた。

 2002年に金融企業「銀聯」が設立されたが、これは中国の銀行カード産業の発展を目的としている。クレジットカードというよりも多くはデビットカードとして発行されている。銀聯は店舗に銀聯カードが使えるように、POS連動可能なカード読取機を貸し出し、カードは急速に普及することになる。これにより中国でのキャッシュレス化が進むわけだが、中国政府はさらに第三者決済機関に精算業務への参入を認可することになる。

 これを受けてアリババ集団のAlipayとテンセントのWeChat Payが店舗での決済業務に進出することができるようになった。しかも銀行と紐付けすることによって登録したカードの口座から即座に引き落とすことが可能となった。さらにプリペイドカードのようにアプリ内に事前にチャージした金額から支払うことが可能となったのである。今回、問題となったのが後者のチャージである。

 アリババやテンセントは、前払い金を預かっても利用者への利息はゼロである一方、滞留資金を銀行に預けるなどして金利収入を得ていた。アリババなどが受け取っている金利は市場推定で1%台半ばとされる。滞留資金は現時点で5000億元(約8兆3000億円強)規模にのぼり、年換算で1000億円超の金利収入を得ている計算となる。これが2019年以降、この利息収入はほぼゼロになる見込み(前述の日経新聞の記事より)。

 AlipayやWeChat Payを利用する際に、店舗側が支払う手数料は原則ゼロとされているようである。これは滞留資金による利息収入などにより利益を挙げていたためとみられ、今回の措置によりこのビジネスモデルが崩れる可能性がある。

 ちなみに日本ですでに行われているスマホ決済については、決済に関しては主にクレジットカードが使われている。これでは精算から決済に至るまで数社が絡むことになり、費用負担も大きくなり、店舗側の負担も大きくなってしまうことになる。日本でのキャッシュレス化を普及させるにはスマホ決済が鍵となりそうだが、それには店舗側の費用負担の軽減も課題となる。

 スウェーデンのスマホ決済のSWISHは携帯電話の電話番号とBank IDと呼ばれる番号を利用することにより銀行と紐づけされることによって決済が可能となる。今後の日本でのスマホ決済の普及については、この銀行との紐付けがひとつのポイントとなるのではなかろうか。ただし、銀行と紐付けされることについては、どうして日本ではデビットカードの普及が進まなかったのかということも検討課題となりそうである。


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by nihonkokusai | 2018-07-06 09:50 | 金融 | Comments(0)

キャッシュレス化を普及させために必要なのは政府主導での決済アプリの単一化か

 以前に日本の現金利用率の高さには何かしらの原因があるため、電子マネーへの移行を促進する必要があるとの主張があった。現金保有の高さの原因として、マネーローンダリングや脱税に使われているためとの見方があった。

 マネーローンダリングや脱税に全く使われていないとは確かに断言はできない。持ち主不明の多額の現金が見つかることもある。ただし、これは年配者がその存在そのものを忘れていたというケースもあるとみられ、一概に脱税のための現金とは言えない。

 そもそも日本の現金保有率の高さの原因としては、その使い勝手の良さが挙げられる。治安が良いこと、偽札が少ないこと、日本全国どこでも利用できることなど利便性の良いところが、日本人による現金利用の高さの背景にある。

 ただし、小額利用については今後、中国などのようにQRコード決済を使った電子決済が普及してくる可能性がある。日本のキャッシュレス化を推進するために経済産業省はQRコードを使った決済の規格統一に乗り出すとされている。

 ただし、すでにヤフーや楽天やOrigamiなどはQRコード決済サービスを展開し、セブンイレブンも独自のスマホ決済を導入。NTTドコモ、KDDI、JCB、さらにメガバンクなどもQRコード決済サービスを進める計画とされており、すでに様々な形式のサービスが登場しつつある。

 このままだと利用者にとっては、各種のQRコード決済のアプリを使い分けなくてはならず、財布のなかのポイントカードのごとく、スマートフォンにアプリが溢れてしまうような事態にもなりかねない。

 中国では「Alipay」、「WeChat Pay」が、スウェーデンでは大手行などが共同で開発した単一のモバイル決済アプリ「スウィッシュ」が、キャッシュレス化が進行する要因となっていた。台湾でも台湾政府が主導して生まれた「台湾Pay」が昨年スタートしている。台湾Payの誕生の背景には、国内のデータが海外アプリの普及によって流出されるのを防ぐことも目的とされている。

 日本でこのまま多種多様のQRコードを使ったモバイル決済アプリが存在するとなれば、それはむしろモバイル決済の普及を妨げる可能性もあるのではなかろうか。とはいえ、ここまで多種多様のアプリがすでに生まれていることもあり、経済産業省が率先してQRコードの決済方式だけでなく、アプリの単一化を進めるのも難しいのかもしれない。ある程度は市場原理に委ねる必要もある。

 それでも日本でキャッシュレス化を普及させるためには、スウェーデンや台湾のように、国内データの流出を防ぐためにも、ある程度政府主導の上で、ひとつのアプリに集約させることが必要になるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-07-01 18:02 | 金融 | Comments(0)

キャッシュレス化のキーとなるQRコードにセキュリティ上の弱点が見つかる

 電子決済や広告などに広く利用されている「QRコード」に、偽の情報を仕込むことができるセキュリティ上の弱点があることが、神戸大学のグループの研究でわかったとNHKが伝えた。

 QRコードとは、1994年にデンソーの開発部門(現在はデンソーウェーブ)が開発したマトリックス型の二次元コードである。QRコードはデンソーウェーブの登録商標となっているが、特許権者のデンソーウェーブは、規格化された技術に対し特許権を行使しないと宣言していることから、様々な分野に利用されている。

 QRコードを使った電子決済に関しては、中国系のAlipay、WeChat Payが一気に普及させ、日本でもLINE Pay、楽天ペイ、Origamiといったサービスが登場したが、いまのところそれほど普及は進んでいない。

 しかし、ヤフーもQRコードを使った決済サービスを開始し、セブンイレブンも独自のスマホ決済を導入すると報じられ、NTTドコモ、KDDI、JCB、さらにメガバンクなどもQRコード決済サービスを進める計画を発表した。そして、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGはQRコードの規格を統一することで合意したと伝えられている。

 ただし、規格が分かれたまま普及が進むと、消費者や小売店の利便性を損ねると判断した経済産業省はQRコードを使った決済の規格統一に乗り出すとも伝えられている。

 このようにキャッシュレス化のキーとなるQRコードではあるが、当然ながらそのセキュリティにも注意を払う必要がある。

 このQRコードのセキュリティについて、神戸大学の森井昌克教授らのグループが検証したところ、コードを作成する際に不正な操作を加えると、本来の情報に加えて、偽の情報を仕込むことができることがわかったそうである(NHK)。

 QRコードは一見しただけでは内容がわからないため、誘導された先が正しいかどうかチェックを強化する必要があると森井教授はコメントしている。中国では改ざんしたQRコードを正しいコードの上から貼り付ける手口で、代金をだまし取られる被害も出ているそうである。

 今後、日本でもQRコードを使った電子決済が急速に拡大する可能性があり、このようなセキュリティ上の弱点が存在することも意識しておく必要がありそうである。


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by nihonkokusai | 2018-06-26 15:57 | 金融 | Comments(0)

キャッシュレス化に向けて、経済産業省が動く

 6月7日付けの日経新聞によると、経済産業省はQRコードを使った決済の規格統一に乗り出すそうである。

 規格が分かれたまま普及が進むと、消費者や小売店の利便性を損ねると判断した。経産省は6月中にも大手銀行や楽天、NTTドコモ、KDDIが加わる「キャッシュレス推進協議会」(仮称)を立ち上げる。「Japan連合」(仮称)といった統一のロゴマークをつくり、店舗がQR決済を受け入れやすいよう返金や返品の手順もそろえる(日経新聞)。

 すでにいくつかの企業がQRコード決済に向けて動いており、経済産業省の規格統一の動きはタイミングとしてはやや遅いぐらいであったかと思われる。

 経済産業省は「キャッシュレス・ビジョン」を策定し、大阪・関西万博(2025年)に向けて、「支払い方改革宣言」として「未来投資戦略2017」で設定したキャッシュレス決済比率40%の目標を前倒しし、より高い決済比率の実現を宣言するとしている。さらに将来的には、世界最高水準の80%を目指していくとしている(経済産業省のサイトより引用)。

 このように政府は現金を使わない決済の比率を40%に高めるという目標を掲げているが、日本でのキャッシュレス化の鍵を握るのが、このQRコード決済とみられる。

 ヤフーは5日にQRコードを使った決済サービスを月内にも始めると発表した。すでに楽天やOrigamiなどはQRコード決済サービスを展開している。セブンイレブンも独自のスマホ決済を導入すると報じられた。

 NTTドコモ、KDDI、JCB、さらにメガバンクなどもQRコード決済サービスを進める計画となっており、様々な形式のサービスが混在する可能性が出てきたことから、経済産業省が規格統一に乗り出したと思われる。

 中国のアリババ集団の電子決済「アリペイ」の急速な普及や、スウェーデンの大手行などが共同で開発して単一のモバイル決済などが、中国やスウェーデンのキャッシュレス化を進める要因となっていた。

 日本でも当然ながらスマートフォンの普及は進んでおり、SuicaなどJRのカードやnanacoなどのコンビニのカードを使うことで、普及は進んでいる。しかし、決済方式がバラバラで、単一のシステムがない分、現金に置き換わるほどのものではなかった。

 これが単一の方式となれば、日本でも普及が一気に進む可能性はある。どこでも使えるQRコード決済サービスができれば、経済産業省の立てた目標に向かって前進する可能性はある。

 日経新聞によると、経産省は統一規格に沿ったQRコードの開発などに補助金を出すことも検討するそうである。QRコードを使える店舗を増やすため、加盟店が支払う手数料を1%未満に抑え、普及に弾みをつけたい考えだとか。クレジットカードの場合は加盟店が支払う手数料が平均3%前後とされるそうだが、これを引き下げることにより、加盟店側としても多額の現金を取り扱わない事によるリスク軽減なども考慮すれば、採算に合うものとなるのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-06-09 10:46 | 金融 | Comments(0)

AIを使って株や為替の動きを予測するのは可能なのか

 私のような昭和生まれにとって、昔と比べて天気予報が良く当たるようになったと思うことがある。そもそも天気予報は天気占いではないので、当たるとか外れるとの表現はどうかと思うが、昔は占いでもあったかのように天気予報は外れることも多かった。

 しかし、最近の天気予報はかなり正確になっている。これまでのデータの積み重ねと、雲の動きなどが的確に予想できるだけのスーパーコンピューターによる演算能力の向上などによって、かなり正確な予報が可能になってきたものと思われる。

 それではいわゆるAIと呼ばれる技術を使って、株や為替、債券といった金融市場の動きを的確に予測することはできないのか。

 天気といった自然現象は観測地点を広げ、物理学の法則などに基づけば、より正確な予測はそれほど困難とはならないのではなかろうか。はやぶさ2が小惑星リュウグウにピンポイントでたどり着けるのも物理学などの法則にもとづくものと思われる。

 それでは、はやぶさ2をリュウグウに着陸させるのと同様に物価の番人とされる中央銀行は果たして金融政策により、ピンポイントで物価目標を達成させられるかといえば、ここにきての5年間の日銀の苦労をみれば、困難であることも明らかである。

 日銀の金融政策は金融市場を通じて行われる。今回の日銀の異次元緩和によって、条件が整えば短期金利だけでなく、長期金利もピンポイントでコントロールが可能ということは示された。しかし、金利をコントロールし、市中に出回る資金量を調節したところで、それがピンポイントで物価を動かすことにはならなかった。

 日銀は否定しているが、異次元緩和は通貨安もある程度想定していたものと思われた。こちらは金利ほどコントロールはできていなかった。これにはむろん通貨は相手国もあり、また金融政策だけで通貨はコントロールできるものではなかったためである。

 日本の長期金利は国債への信認が強いこともあって、いまのところ日銀のコントロール下に置かれているようにみえるが、条件が異なってくれば、長期金利も市場で決定されるだけにアンコントローラブルに陥る可能性は十分ある。

 この国債への信認度合いとかが国債市場には大きな影響を与える。ここにきてのイタリア国債の荒れた動きの原因もそうである。ただし、その信認度合いがどのように変化し、さらに市場のポジションの方向き度合いがどのようなものであり、結果として目先はどう反応し、それもひとつの要因となって、どのようなトレンド形成が成されるのかを予測することは難しい。

 物理特性に応じた動きであれば予測は可能かもしれないが、人の心理状態とポジションの傾き度合いが相まって相場は形成される。株や為替、債券などはいろいろな材料をどのように捉え、それが結果としてどう値動きに反映されるのか。長年ディーラーとして相場に四六時中向値動きと合っていると、何となく相場の動きが見えてくるものの、それがどのような理由で動いているのかを的確に説明はできない。

 相場が動いている理由も的確に説明できないとなれば、予測はさらに困難となる。相場の先行きを正確に予測するのは、過去の膨大データをもとにし、人間心理をそこに加えたとしても、困難に近いのではなかろうか。ポジションを抱えた、もしくは抱えようとしている人達の立場、状況は十人十色となっている。

 しかも、テールリスクと呼ばれるものの多くは自然現象だけでなく、人が絡んでいる。リーマン・ショックやギリシャ・ショックもまさにそうであり、ブラックマンデーなどはポジションも絡んでいた。これらのリスクを分析して的確に相場を予測することは、AIという技術がどんなに発達しても難しいのではなかろうか。


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by nihonkokusai | 2018-06-07 09:38 | 金融 | Comments(0)

メガバンクが規格統一で合意したQRコード決済(BankPay)はキャッシュレス化への本命か

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGはQRコードの規格を統一することで合意したと日経新聞が伝えた。

 QRコードと呼ばれるものは、1994年にデンソーの開発部門(現在はデンソーウェーブ)が開発したマトリックス型の二次元コードである。QRコードはデンソーウェーブの登録商標となっているが、特許権者のデンソーウェーブは、規格化された技術に対し特許権を行使しないと宣言していることから、様々な分野に利用されている。

 今回の「BankPay(バンクペイ)」と呼ばれるメガバンクが規格統一で合意したQRコード決済とは、小売店や飲食店でQRコードにスマートフォンをかざすだけで、現金を使わずに支払える決済方式となる。基本的に全てのアンドロイド端末やiPhoneで利用できる。

 中国系のAlipay、WeChat Payが、QRコードを使った決済を一気に普及させ、日本でもLINE Pay、楽天ペイ、Origamiといったサービスが登場したが、それほど普及は進んでいない。

 しかし、バンクペイについては普及が一気に進む可能性がある。3メガバンクを合わせた個人預金口座数は合計で9千万を超えるとされる。メガバンクのQRコード決済が普及すれば、ATMでお金を下ろす、クレジットカードを使う、といった手間が省けて、自分の口座から直接代金支払いが可能となる。

 あくまで個人的な感想ではあるが、これまでの国内でのLINE Pay、楽天ペイ、Origamiなどは、自分の口座を持つ銀行以外の第三者を通じて決済を行うことにやや抵抗があった。しかし、取引銀行と直接やりとりできるのであれば安心感も違う。

 膨大なメガバンクの口座にひも付いたバンクペイが広がれば、このシステムを基盤に国内系のQR決済が1つにまとまる可能性も出てくる(日経新聞)。

 注意すべきは、メガではなくギガバンクとも呼ばれているゆうちょ銀行の動向か。すでにゆうちょ銀行はQRコードを使ったスマートフォン決済サービス(ゆうちょPay)を来年2月から始めると発表している。「バンクペイ」と「ゆうちょPay」が規格統一できれば、普及は一気に進む可能性がある反面、それぞれの規格を進めるとなると利用者にとっては不便なものとなりかねない。日本のキャッシュレス化を進行させるためには、統一性が必要になるのではなかろうか。



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by nihonkokusai | 2018-05-24 08:57 | 金融 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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