牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:中央銀行( 291 )

FRBの今後の利上げペースの予想

 11月8日に開かれたFOMCでは、全員一致で金融政策の現状維持を決定した。つまり、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を2.00~2.25%のレンジで維持することを決定した。

 これは市場でも予想されていたことで、市場への影響は限られた。注目は12月のFOMCで予想通りの利上げが実施されるかどうかという点であった。これについては会合後に発表された声明で、一段の利上げが正当化されるとの表現を維持しており、12月のFOMCで利上げは実施されるであろうとの見方が強い。

 何故、11月ではなく12月のFOMCで利上げを行うと予想されているのか。もちろんリーマン並みの世界的なショック等が発生すれば別ではあるが、FRBはある程度のスケジュール観を持って正常化を進めているとみられているためである。

 これは正常化を進めるにあたり、あまり場当たり的な政策変更は行わず、市場での利上げ等の金融政策修正の織り込みを重視していたためである。特に注意していたのは説明責任と思われ、正常化に向けた政策変更時は、常に議長会見が予定されているFOMCとなっていた。このため議長会見のない11月は現状維持、そして今年は年4回の利上げを市場では認識していたことで、12月に利上げが実施されるであろうとの読みとなった。

 ただし、注意すべきは来年のFRBの動向となる。来年からはすべてのFOMCで議長会見が予定されているためである。つまり議長会見のないFOMCは今回で最後ということになる。

 今後についてはあと3回か4回の利上げの可能性はありうる。そして今年のように四半期毎といったペースも守られるのではないかと予想される。

 トランプ大統領からの圧力も気になるところではある。ただし、米国の景気拡大が続く限り、それに沿った利上げは、トランプ氏個人の意見はさておき、米政府はある程度容認してくるのではないかと思われる。それでも世界的な景気減速への懸念はあるため、場合によると利上げがペースが修正されたり、場合によっては利上げそのものが打ち止めとなる可能性もありうるか。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-11-11 11:30 | 中央銀行 | Comments(0)

中央銀行の独立性の問題

 イタリアのディマイオ副首相は26日、ドラギ総裁がイタリアに欧州連合(EU)との対決姿勢を弱めるよう呼び掛けるなどした件で、「雰囲気を悪化」させたと批判した。連立政権の一翼を担う「同盟」の有力上院議員、アルベルト・バニャイ氏はこれに先立ち、ドラギ総裁がイタリアの銀行の健全性について懸念を示したことは「不適切」との考えを示した(朝日新聞)。

 ドラギ総裁は26日の講演で、自身の発言にイタリア連立政権内から反発の声が相次ぐ中、「中銀が財政、政治従属の影響を受けず、使命を達成するため最も適切な手段を自由に選べる姿が望ましい」と述べた(朝日新聞)。

 ECBのドラギ総裁の出身国はイタリアである。イタリアのポピュリスト政権幹部らがドラギ総裁への批判を強めている。

 今回のイタリア政権から出た批判は、ECBの金融政策に対する直接的な不満ではないものの、年内にも資産買入の停止を行い、来年の利上げも視野に入れつつあるECBに対する不満が高まっているようにも思われる。

 米国では公然とトランプ大統領がFRBというか自ら議長に選んだパウエル議長に対しての批判を強めている。11月6日の米国の中間選挙を睨んだパフォーマンスともみえるが、いまのところそれがFRBの政策に直接的な影響を与えているようには思えない。米政権は中央銀行の独立性に配慮していることがうかがえる。

 これに対して我が国の中央銀行はどうであろう。何度も繰り返すが、日銀が2%の物価目標を設定し、政府とアコードらしきものを結び、そして非常時でもないにも関わらず異次元緩和を行っているのは、政権の意向が強く反映されている。

 政権は中央銀行の独立性を尊重と重視する姿勢を示そうが、そもそも日銀法改正までちらつかせて日銀を無理矢理な政策に追い込んだことは確かである。その結果はどうであろうか。物価は上がることなく副作用だけが問題化しつつある。このあたりもう少し我々は認識をあらためる必要もあるのではなかろうか。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-10-30 09:30 | 中央銀行 | Comments(0)

トランプ大統領のクレームも意に介さず、利上げを続けるFRB

 17日に公表された9月25、26日に開催のFOMC議事要旨によると、「数人の参加者は、政策が当面やや抑制的になる必要があるとの見解を示し、他の幾人かはフェデラルファンド金利を当局が予想する中長期的なレベルを上回る水準へ一時的に引き上げることが必要になると判断した」との記述があった(ブルームバーグ)。

 FOMCメンバーの直近の予測では、当局者らは中長期的な中立水準を3%程度と推定している。9月のFOMCではFF金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き上げ2%から2.25%とした。市場ではあと何回利上げが行われるかを注目している。

 9月のFOMCにおける参加者メンバーの金融政策見通しによると、今年の利上げ回数は4回と前回予測と変わらず。2019年は計3回、2020年は1回。2021年はゼロとの予測となっていた。

 3%にはあと4回程度の0.25%の利上げで届くことになる。今年の12月のFOMCで利上げが実施されれば、来年の3回程度の利上げにより、中長期的な中立水準に届く。果たしてそれにむけて利上げペースを落としてくるのかも焦点となろう。

 11月の中間選挙を控え、米長期金利の上昇が株式市場の大幅調整の要因となっていたこともあり、トランプ大統領はFRBの利上げに対しての批判を強めている。

 10日にトランプ大統領は、「FRBは間違いを犯している。彼らは引き締めすぎている。FRBはクレージーだと思う」と記者団にコメントした。さらに16日にはインタビューで、「連邦準備制度が進めている金利引き上げはペースが速過ぎる」とトランプ大統領は語っていた。

 批判の発言はあっても、いまのところはトランプ政権がFRBに直接的な圧力などを加えている形跡はない。独立性を後退させかねない日銀法の改正までちらつかせて、結果的に物価目標の達成はできなかった大胆な金融緩和策を実施させたところもあったと思うが、いまのところは米国のほうが中央銀行の独立性に配慮しているようにみえる。

 FRBは淡々と利上げを継続させることが予想されるが、ここにきて株式市場が調整局面となっているなどいわゆるゴルディロックス(適温)相場が変調を来す懸念も出ている。米国の物価は比較的安定していることもあるが、来年以降の利上げペースについては、トランプ大統領の意向等に関わらず、慎重になってくることも予想される。

[PR]
by nihonkokusai | 2018-10-19 09:42 | 中央銀行 | Comments(0)

米国の利上げはいつまで続くのか

 9月7日に発表された8月の米雇用統計では、非農業雇用者数は20.1万人増となり、事前予想を上回った。失業率は3.9%で前月と変わらず。そして、平均時給は前年比で2.9%増と2009年6月以来の高い伸びとなり、これを受けて9月25~26日に開催されるFOMCでの追加利上げがほぼ確実視された。

 ただし、雇用統計がよほど悪化しない限りは、9月のFOMCでの利上げはほぼ規定路線となっていた。これにより2018年は3月、6月のFOMCに続いて3回目の利上げとなる。さらに今年は9月に加え、12月のFOMCでの年内4度目となる利上げも予想されている。

 ただし、12月の利上げに関してはやや不透明な部分もある。米国のトランプ大統領は8月17日に共和党の資金集めのイベントで、あらためてFRBの利上げに不満を漏らしたとされる。トランプ大統領があからさまに利上げ阻止に動く可能性は少ないながらせも、11月の中間選挙の結果次第では米国の政局が変化してくる可能性もある。このため12月の利上げについてはやや流動的な面もあろう。

 仮に12月に利上げがあったとすれば、今年は議長会見の開かれるFOMCすべてで利上げが決定されることになる。昨年までも利上げが決定されたのは議長会見のあるFOMCにおいてであった。

ただし、FRBのパウエル議長は2019年1月のFOMCから毎回、記者会見を開くと表明している。このため来年の利上げに関しては、3月、6月、9月、12月のいずれかというパターンからは外れることも予想される。その分、利上げ決定のタイミングについてFRBの自由度が増すような格好となる。

 それではFRBはこれからあと何回利上げをする予定なのか。このままのペースが継続されると、2019年の2回程度の利上げで中立金利に到達することになる。ここでいったん利上げは終了となるとの見方が強い。

 そもそも今回のFRBによる利上げは、米国の景気や物価の過熱を阻止するためのものではない。非常時対応ともいえた異常な金融緩和策から正常モードへの移行が目的となっている。現在の米国の物価をみてもインフレ圧力が強まっているようには見えず、正常化が達せられたのならば、いわゆる金融引き締めとされるゾーンにまで踏み込むことは考えづらい。

 正常モードに移行したあとは、経済物価動向を見ながらの調節という本来の中央銀行の金融政策に戻ることが予想される。あまり糊代という言葉は使いたくはないものの、米国経済がピークアウトした際にもFRBは利下げという手段も取れることになり、これにより政策の自由度が大きくなることは確かである。

[PR]
by nihonkokusai | 2018-09-17 10:24 | 中央銀行 | Comments(0)

トルコ中銀はエルドアン大統領の意に反して大幅利上げを実施

 トルコ中央銀行は13日、政策金利である1週間物レポ金利を6.25ポイント引き上げ24%とした。利上げはそのものは市場で予想されていたようだが、市場予想は3.25ポイントの利上げとなっており、実際には予想の倍の幅での利上げとなった。

 チェティンカヤ総裁率いるトルコ中央銀行の金融政策委員会は、ある意味危ない賭けに出たともいえる。トルコのエルドアン大統領は政策金利引き上げ発表の2時間ほど前に、金利を引き下げるべきだと発言していた。

 エルドアン大統領は今年の選挙前に、金融政策への関与を強める意向を表明したことから、トルコ中銀の独立性は疑問視されてきた。

 エルドアン大統領は同国政府系ファンド(SWF)の経営陣全員を更迭し、自らを会長に指名するなど独裁色を強めるような動きを見せていた。このような状況下、トルコ中銀のチェティンカヤ総裁はエルドアン大統領の意向は無視し、ある意味リスクを冒してまでインフレ退治に躍起になったといえる。

 米国でもトランプ大統領はFRBの利上げに対して懸念を示したとされるが、パウエル議長率いるFRBはそれを意に介さず、淡々と利上げを行う姿勢を示している。

 トルコ中銀とエルドアン大統領の対立色は今後さらに強まることも予想される。利上げによって簡単に物価上昇が抑えられるわけでもなく、トルコと米国との対立という根本的な問題、さらにはエルドアン大統領そのものがリスク要因となっていることで、トルコを巡る問題は根深いものとなっている。

 ただし、今回の事例をみても物価安定のためには為政者の意向を無視してでも、政府からは独立した組織として、断固たる処置を行うことは、ある意味中央銀行が行うべき姿かと思われる。

 これに対して政権の意向に強く支配されて、それが必要とされるタイミングではないにも関わらず、さらにそれによって物価上昇という効果が出るという保証もない異次元の金融緩和策を取らざるを得なかった中央銀行が存在する。非常時の緩和策というべきものをすでに5年以上も続けて、副作用も目に見えるようになっている。中央銀行は政府からは独立した組織であることをあらためて示すことも、トルコの例ではないが重要ではなかろうか。そろそろ軌道修正をしっかり行わないと、市場機能が債券だけでなく、いずれは株式市場も含めて失われかねない。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-09-16 10:21 | 中央銀行 | Comments(0)

物価指数を金融政策の羅針盤とするのに疑問を呈したパウエル議長

 今年のジャクソンホールは注目度が低いとのコラムを書いたら、トランプ大統領が注目度を上げてくれた。

 トランプ大統領は17日にニューヨーク州ロングアイランドで開かれたイベントで、FRBが実施している利上げに不満を示したと複数の関係者が明らかにした。これにより24日に予定されていたパウエル議長講演がにわかに注目を集めた。

 24日にパウエル議長はカンザスシティー連銀が主催する経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演し、米経済の成長基調が続くなら「政策金利の一段の緩やかな引き上げが適切になりそうだ」と従来の方針を繰り返した(日経新聞)。

 トランプ大統領は利上げに不満を示したものの、パウエル議長は現在の正常化を進めるスタンスに変化はないことを示した。今回のパウエル議長の発言に対して市場は「利上げペースを速めない姿勢を示唆」と受け止めたようで、24日の米国市場では米国債が買われ、ダウ平均も上昇し、ナスダックに至っては過去最高値を更新した。

 興味深いのはFRBの利上げペースなどよりも、今回のジャクソンホールでの一連の会議のなかで、パウエル議長が示したある問いかけであった。

 「インフレはもはや最良の指針でないかもしれない」とパウエル氏は会議で述べたとされる。パウエル議長は、物価指数を金融政策の「羅針盤」とする従来の考え方に疑問を提示と日経新聞が報じている。

 パウエル氏は中銀が強みとする経済推計の手法も自ら疑問視したとされる。たとえば「自然失業率」の推計などである。

 日経新聞は今回のパウエル議長の発言等について下記のような要因を指摘している。

 「パウエル氏が物価指数や雇用推計の不確かさを指弾したのは、数値に沿って機械的に判断する「ルールベース」の金融政策から、時々の情勢に応じて利上げも利下げも柔軟に決める「実務ベース」の政策運営へと修正するためだ。年4回だった記者会見を19年から年8回に増やし、3か月おきの利上げという現在の機械的な政策運営を変える布石を打っている。」

 パウエル氏は法律専門家であり、金融や経済を専門とする学者ではない。このあたりが前任のイエレン氏やバーナンキ氏と異なるところとなり、ある意味、より実務的な見方をしているのではないかと思われる。

 物価指数そのものに不確かさがあり、物価指数を金融政策の羅針盤とする従来の考え方に疑問を提示したとの姿勢には、かなり共感を覚える。金融政策を数値に沿って機械的に判断して決定することに疑問を感じるのは当然と言えば当然であろう。

 物価目標の2%にどのような意味があるのか。そして、例えば日本の消費者物価指数そのものについての不確かさ等はないのか。機械的に政策を行うことによるリスクはないのか。ぜひパウエル議長には日銀というか現政権にも問いかけてほしいと思うのだが。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-08-28 09:46 | 中央銀行 | Comments(0)

来年のECB総裁人事の行方はやや不透明

 ドイツの経済紙のハンデルスブラットによると、メルケル首相は、来年中にもトップが交代する欧州委員会委員長と欧州中央銀行(ECB)総裁について、ドイツ出身者が獲得できる可能性としては欧州委員長ポストの方が高いと認識し、優先的に働きかけを行っているという(ロイター)。

 金融市場では来年任期満了となるECBのドラギ総裁の後任の方が注目されるが、政治上では当然ながら欧州委員会委員長も重職である。

 欧州委員会委員長とは、欧州連合の政策執行機関である欧州委員会のトップであり、 欧州連合の役職では最も強力な権限を持つとされている。現職は2014年11月に就任したジャン=クロード・ユンケル(前ルクセンブルグ首相)。任期は5年で再任も可能。

 欧州委員会委員長には初代が西ドイツのヴァルター・ハルシュタイン氏となっていたが、その後12代目のユンケル委員長まで、ドイツ出身の委員長は就任しておらず、ECBよりも欧州委員会のトップにドイツ出身者を送り込むことがメルケル首相の優先事項との見方もあるようである。

 ECBの次期総裁候補として、タカ派で知られるドイツ連銀のバイトマン総裁の名前が挙がっているが、バイトマン氏のECB総裁就任は南欧諸国などは、あまり好ましくはないとされている。現在のイタリア出身のドラギ総裁は極めて慎重に出口政策を進めているものの、バイトマン氏はこのやり方は生ぬるいとみているようである。

 ECBの人事に関しては、今年5月末に任期を迎えたコンスタンシオ副総裁に代わり、スペインのデギンドス経済相が6月に副総裁に就任した。今後もドラギ総裁を含め、4つの理事ポストが入れ替わる。

 総裁の人事の行方を伺いながら、ユーロ圏の政治も大きく絡んで、総裁を含めたECB首脳部、そして欧州委員会委員長の人事が決定されることになろう。

 市場ではECBの次期総裁はバイトマン氏かとの見方が強いものの、政治次第ではタカ派ではなくハト派の総裁が就任する可能性もありうるか。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-08-25 10:45 | 中央銀行 | Comments(0)

トランプ大統領が利上げにご不満だとか

 トランプ大統領は17日にニューヨーク州ロングアイランドで開かれたイベントで、FRBが実施している利上げに不満を示したと複数の関係者が明らかにした。パウエル氏は「低金利」が好きだと側近らから聞かされていたが、早くも利上げを開始したと指摘したそうである(WSJ)。

 トランプ大統領がFRBの利上げに不満を表明したのは、これが初めてではない。2週間前にはニュージャージー州に自身が持つゴルフクラブでのディナーで、FRBの利上げ計画に不満が募りそうだと述べていたそうである(WSJ)。

 トランプ大統領による利上げ不満コメントを受けて、20日のニューヨーク市場ではドルが下落し、米債は買われた。21日にドル円は110円を割り込んできた。

 トランプ大統領の発言は公式なものではなく、これによって独立性が維持されているFRBの正常化路線に大きな影響は与えないと思う。しかし、中間選挙など睨んでFRBへの圧力を強め、利上げペースが後退してくる可能性はありうるか。

 トルコのエルドアン大統領が通貨リラの相場安定のため不可欠とみられる中央銀行による政策金利の引き上げに否定的な考えを示したことで、これが一段のリラ売りにつながった。政治家が中央銀行の政策に口を挟むなり、プレッシャーを掛けると禄なことはない。

 そういえば、政府の強い意向を受けて、異次元緩和を続けざるを得ない中央銀行があったように思う。その国の経済実態は悪くないのに、しかも非常時でもないにもかかわらず、利上げなどもってのほかという状態となっている。これは決して健全といえる状態ではないことも明らかではなかろうか。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-08-22 09:50 | 中央銀行 | Comments(0)

ECBの正常化プロセスに変化なし

 ECBは26日の政策理事会で、現在の金融政策の現状維持を決定した。中銀預金金利をマイナス0.4%、リファイナンスオペの最低応札金利をゼロ%、限界貸出金利をプラス0.25%で据え置いた。

 月額300億ユーロの資産買入を9月末まで続けた後、10月から月額を150億ユーロに減らし、年末には購入を終了することも再確認した。さらに「少なくとも2019年の夏の終わりまで」現在の政策金利を維持し、満期償還金の再投資も継続されることもあらためて表明した。

 ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏域内のインフレ率がECBの目標である2%に向かい上昇することに自信を示しつつも、関税や貿易障壁が成長を阻害する恐れがあるとの認識を示した(ロイター)。

 これを受けて外為市場では、ユーロがドルに対して下落した。ECBの出口戦略が極めて慎重であることから、正常化に向けて淡々と駒を進めるFRBの政策との違いも意識されたようである。

 ドラギ総裁は会見で、「ECBは為替レートを政策目標にしていないと、これまでに何度か言明している」と発言した。これは欧州連合(EU)と中国が為替を操作していると批判したトランプ大統領に向けての発言かとみられる。

 ただし、トランプ大統領は25日、訪米中のジャンクロード・ユンケル欧州委員長との会談後、関税引き下げに向け欧州連合(EU)と協力することで合意したと述べた。これにより、ひとまず米国とEUの貿易摩擦拡大懸念は後退している。

 いまのところ慎重ながらも、ECBの出口に向けてのスケジュールは予定通りに実施される見込みが高いとみている。

 日銀は30、31日の金融政策決定会合で、低下した日本の債券市場の機能を回復させるための手段を何かしら講じると予想されている。しかしこれは出口に向けての一歩ではない。現在の異次元緩和策を今後も続けるための微調整と言える。

 慎重といえどもECBが出口政策を講じようとしているなか、平時にも関わらず強力な金融緩和策を押し進める日銀との姿勢の違いも今後は顕著になってくるものと思われる。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-07-29 14:13 | 中央銀行 | Comments(0)

トランプ大統領がFRBの利上げを牽制?

 米国のトランプ大統領は19日、CNBCテレビのインタビューで、中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が進める利上げ方針に「必ずしも同意しない。感心しない」と発言、追加引き上げをけん制した(時事通信)。

 「我々の通貨は上昇している。それは我々を不利な状況に置いている」として、利上げ継続を背景にしたドル高の動きに不満を表明した(日経新聞電子版)。

 米国の景気拡大が継続していること背景にFRBは漸進的な利上げを行っているが、米国の景気拡大を利上げが裏付けているともみえるため、FRBに対して利上げを抑制させるような動きをトランプ大統領が取っていないのとみていたが、そうではないようである。

 たしかに今回のトランプ大統領の発言は、これまでになかったわけではない。利上げは好きではない、ドル安が好ましいと言った発言はこれまでにもみられた。しかし、自ら選んだパウエル議長率いるFRBの利上げに対し、これほどあからさまな表現をしたのは珍しい。

 トランプ大統領は「一般市民だったら言ったであろうことを言ったまで。大統領としては言うべきではないといさめる人もいるだろうが、少しも気にしない」とも発言したそうである(日経新聞電子版)。

 これまで大統領がなぜ金融政策に言及するのを控えていたのかといえば、政治が中央銀行の金融政策に絡むとあまりろくな事がなかったためである。政治家は国民の支持を得たいがために、金融引き締めを嫌い金融緩和を求める。

 過去にもジョンソン政権がウィリアム・マクチェスニーFRB議長に、ニクソン政権がアーサー・バーンズFRB議長に、それぞれ金融緩和政策の採用を迫ったことが1970年代のインフレの要因だとされている(WSJ)。

 ただし、今回のトランプ大統領のFRBの利上げ牽制発言がどれだけ本気で、それが果たしてFRBの政策に影響を与えるのかという点はなかなか微妙なところとなる。

 CNBCによると、ホワイトハウスは同社に対して「大統領は当然、FRBの独立性を尊重している」との見解を示すとともに、「(インタビューでも)FRBの政策決定には干渉しないと話している」と強調した(日経新聞電子版)。

 ちなみにある国の中央銀行は、時の政権から金融政策への牽制どころか、2%の物価目標を迫られた上に、アコードなるものを締結し、大胆な国債買入を主体とした異次元緩和を行っているようである。これでインフレが起きたわけではないものの、禁断の地に踏み込み、大きな歪みを起こしていることは間違いない。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-07-22 09:18 | 中央銀行 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー