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カテゴリ:中央銀行( 305 )

ECBのドラギ総裁は利上げをいったん封印か

 ECBのドラギ総裁はフランクフルトで開かれた会議において、必要ならば利上げをさらに遅らせる用意があると述べた。ECBは3月の理事会で、想定する利上げ時期を今年の夏以降から来年に先延ばししている。

 今回の発言はECBは利上げをいったん封印することによって、現在の緩和効果を維持させることを狙ったものとみられる。ただし、さらなる緩和を示唆したわけではない。

 さらにドラギ総裁は、「必要ならばマイナス金利の副作用を緩和しつつ、それが経済にもたらす好ましい影響を維持できる措置を検討する必要がある。とはいっても、銀行の低い収益力は、マイナス金利の避けられない代償ではない」とも語った(ブルームバーク)。

 日本でも2016年に導入された日銀のマイナス金利政策に対して。金融業界から批判的な意見が出てきた。その結果、長期金利とのスプレッドをつけることも意識されての長短金利操作付き量的・質的緩和というかたちで調整を行っていた。

 ドラギ総裁は銀行の低い収益力は、マイナス金利の避けられない代償ではないと言うが、マイナス金利が銀行の収益力を削いでいることは確かであろう。ただし、ドラギ総裁はマイナス金利の副作用に対する具体的な軽減策を示したわけではない。手っ取り早いのはマイナス金利をやめることだが、日銀同様にそれはいろいろあって無理ということなのであろうか。

 ドラギ総裁の発言を受けて、ドイツなどのユーロ圏の国債は買い進まれた。ここで注意すべきは、FRBもそうであるが、あくまで正常化に向けた動きにブレーキを掛けただけであるという点である。正常化ではなく異常化に向けていまだに突っ走っている日銀に、さらにアクセルを吹かせるべきではという意見は、どうなのであろうか。


by nihonkokusai | 2019-03-29 09:53 | 中央銀行 | Comments(0)

ECBは正常化にブレーキ、景気減速を警戒

 欧州中央銀行(ECB)は7日の金融政策等を決める理事会において、政策金利そのものは据え置いた。しかし、金融政策の先行き指針を示すガイダンスにおいて、ゼロ%の主要政策金利などの水準を、前回までの「少なくとも2019年夏まで」維持するとしていたものから、今回は「少なくとも年末まで」と修正してきた。つまり年内に利上げをすね予定しないとの意志表示となる。

 ECBが今回公表したユーロ圏の新しい経済見通しでは2019年の成長率を前回12月における1.7%から1.1%に大きく下方修正し、消費者物価上昇率についても1.6%から1.2%に下方修正した。

 景気の減速とともに物価の低迷が意識されたことで、このタイミングで利上げに向けたガイダンスを変更した。市場ではECBの年内利上げは困難との見方が強まっていたことで、これに対する意外感はなかったものの、はっきりとガイダンスで打ち出してきたことがややサプライズとなった。

 そして市場ではこちらが注目されていた新たな資金供給制度、条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO3)についても、2019年9月に開始することも決定した。

 ECBは2016年から2017年にかけて資金供給策(TLTRO2)で7000億ユーロ超を銀行に貸し出していたが、2020年6月以降に満期を迎える。このため、その第三弾を講じることによって、同様の政策の効果をさらに持続させる。2021年3月までの期間限定ながら、償還期限2年の低利資金を銀行に供給する。

 TLTRO3の発表があるかもしれないとの観測はあったが、これも不透明感が強く、市場はどのような発表があるのかを気にしていた。内容はTLTRO3だけでなく、年内利上げなしとの意志表示、それの要因ともなるユーロ圏の経済見通しの大幅下方修正があり、ややサプライズとなった、

 これらを受けて7日の欧州の国債は買い進まれ、米債も買われた。欧米の株式市場は欧州含めた世界経済の減速懸念から下落した。外為市場ではユーロがドルや円に対して下落した。

 7日のドイツの10年債利回りは0.06%に低下し、再びゼロ%を伺うような動きとなってきている。日本の国債利回りもさらなる低下余地を探るような動きとなることも予想される。


by nihonkokusai | 2019-03-09 07:22 | 中央銀行 | Comments(0)

ECBは新たな金融機関への支援策を検討か

 欧州中央銀行(ECB)のクーレ理事は15日にニューヨークの講演で、「新たなTLTRO導入の議論が市場で広がっていることは認識している」と述べた上で、「それはあり得る。ECBで議論しているが、金融政策上の目的が確実に果たされるようにしたい」と語った(ブルームバーグ)

 さらにビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、欧州経済の減速は顕著であり、ECBは金利ガイダンスを変更し得るとの見解を示した。

 レーン・フィンランド中銀総裁もインタビューで、最近の経済指標はユーロ圏経済の減速を示しているとの見方を示し、ECBの金融政策の目標が達成されるまで金利は現行水準で維持されると発言していた。

 ECBは昨年12月13日の政策理事会において、主要政策金利を据え置くと同時に、4年近くに及んだ2兆6000億ユーロ規模の量的緩和(QE)を終了させることを正式に決定した。保有債券の満期償還金の再投資についてのガイダンスを変更し、「政策金利引き上げの開始後も長期にわたり続ける」とした。その政策金利については、少なくとも2019年夏の終わりまで据え置くとした。

 今年の夏以降、ECBは利上げを模索するとみられていたが、ユーロ圏の景気減速が顕著になりつつあり、年内の利上げ観測が後退し、フィンランド中銀総裁の発言などからそれが裏付けられた格好となっている。

 これに加えクーレ理事からは、新たなTLTRO導入の可能性も指摘された。

 2011年11月のECB理事会において、流動性を供給するため期間36か月の長期リファイナンス・オペ(LTRO)を新設することが決定された。

 ECBが実施した最後のTLTROが2020年に順次償還を迎えることから、特にイタリアなどの南欧諸国は資金調達を巡る問題に直面する。クーレ専務理事は、単なる銀行支援ではなく、ECBのインフレ目標達成の一助になることが目的にかなうとして新たなTLTRO導入の検討を示唆したものとみられる(15日のロイターの記事より引用)。

 ECBとしては、景気の減速を受けて、正常化に向けた動きにブレーキを掛けるものの、利下げや再度の資産買入再開といった手段ではなく、低金利によって収益に悪影響を与える金融機関への支援の意味を含め、新たなTLTROの導入を検討しているようである。


by nihonkokusai | 2019-02-20 09:49 | 中央銀行 | Comments(0)

米国のFRBは利上げの停止を示唆

 米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は、29日から30日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利となるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を年2.25~2.50%のまま据え置くと投票メンバー10人の全員一致で決定した。

 12月に開催されたFOMCの議事要旨によると、多くの参加者が、追加利上げを我慢強く判断できると表明するなど、利上げ見送りの姿勢を示していた。

 今回のFOMC後に発表された声明文によると、「委員会は先行きの政策金利の調整を様子見する(be patient)だろう」と明記。これまで盛り込んでいた「若干の段階的な追加利上げが正当化される」との文言も完全に削除された(日経新聞電子版)。

 これによって今後の利上げが完全になくなったわけではないものの、景気・物価動向、さらには金融市場動向次第では、利上げを棚上げしてくることが予想される。

 FRBは資産縮小に関連した声明文も別枠で公表して「経済活動や市場動向に応じて、バランスシートの正常化の詳細を修正する用意がある」と表明した。パウエル議長は記者会見で「当初予測よりも早期に資産縮小を停止する」と明言した(日経新聞電子版)。

 昨年12月19日のFOMC後の記者会見において、パウエル議長はバランスシートの縮小に関する質問に対して次のように答えていた。

 「私たちは金融政策の正常化をどのように進めるか注意深く検討し、効果的にバランスシートを正常化させられるように考えてきた。これまでのところ正常化はスムーズで、変更するつもりはない。引き続き金利を金融政策の積極的なツールとして活用していく」(12月20日付日経新聞電子版)。

 わずか1か月程度の期間を置いて、パウエル議長は変更するつもりはないものを変更したことになる。

 今回のFRBの利上げやバランスシート縮小の停止の示唆については、市場におけるリスクを軽減させるためのものとみられる。これまでのように淡々と利上げが続けられる状況ではなくなりつつあったことに、FRBは少し気がつくのが遅れたかに思われる。しかし、優柔不断ともみえるが、金融政策においてはこのような柔軟な対応は重要になろう。

 注意すべきは中央銀行の金融政策が、景気や物価さらには株価を動かしているわけではないということにある。FRB利上げを打ち止めせざるを得ないという環境に移りつつあることを重視すべきであろう。


by nihonkokusai | 2019-02-01 10:09 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBは市場に配慮して資産圧縮計画を凍結か

 ウォール・ストリート・ジャーナルの電子版は25日、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が過去の量的緩和で買い入れた米国債など保有資産の圧縮計画を早期に切り上げることを検討していると報じた。29、30日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で主要な議題になるようである。

 昨年12月19日のFOMC後の記者会見において、パウエル議長はバランスシートの縮小に関する質問に対して次のように答えていた。

 「私たちは金融政策の正常化をどのように進めるか注意深く検討し、効果的にバランスシートを正常化させられるように考えてきた。これまでのところ正常化はスムーズで、変更するつもりはない。引き続き金利を金融政策の積極的なツールとして活用していく」(12月20日付日経新聞電子版)。

 「変更するつもりはない」としていたものをどうやら変更することを検討するようである。現在FRBは4兆5000億ドル(約490兆円)まで膨らんだ保有資産の規模を減らす取り組みを開始しており、現在は毎月500億ドルずつ資産を圧縮している。

 今回、FRBが保有資産の圧縮計画を早期に切り上げることを検討するのは、金融市場でのリスク回避の動きやその背景となっている世界的な景気減速への懸念が要因となっていよう。

 FRBとすれば12月のFOMCでは利上げペースは遅らせることを意識し始めてはいたが、資産の圧縮はいまだ道半ばであり、早期切り上げは検討していなかったようである。しかし、景気や市場の動向もあらためて意識せざるを得なくなっての政策変更の検討かとみられる。

 ただし、これではFRBの姿勢が朝令暮改のように見えてしまう。パウエル議長は足元の株価の動向なども配慮し、12月の会見において、政策金利が主要ツールながらも景気物価動向の行方次第では、いずれ変更する可能性もないけではないとコメントしておいたほうが良かったのかもしれない。

 実際にパウエル議長は上記の会見での発言の前に次の用な発言もしていたのである。

 「2013年から2014年にFRBで働いていた時の経験を踏まえると、市場はバランスシートのサイズや資産購入のペースのニュースにとても敏感だ。」

 何故それを知っていて「変更するつもりはない」と言い切ってしまったのであろうか。たしかに現実問題としてFRBの資産圧縮を早期に切り上げても、それによる実質的な効果はあまり期待はできない。あくまで市場心理に影響を与えることが重要で、中央銀行はマーケットフレンドリーであるとの認識を持たせることも時には必要となる。12月の会見はもう少し市場に配慮すべきではなかったろうか。配慮しすぎるのも問題ではあるが。


by nihonkokusai | 2019-01-29 09:44 | 中央銀行 | Comments(0)

今年の米国の金融政策を決めるメンバー達

 米国の金融政策を決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁の計12名が投票権を持っている。このうち理事とニューヨーク地区連銀総裁は常任メンバーとなり、投票権を持つ地区連銀総裁の4名は毎年入れ替わる。

 2019年となりこのメンバーが入れ替わる。現在の議長はジェローム・パウエル氏。副議長はリチャード・クラリダ氏(金融政策担当副議長)とランダル・クオールズ氏(銀行監督担当副議長)。

 理事は議長と二人の副議長に加え、ラエル・ブレイナード氏、ミシェル・ボウマン氏の二人の女性が理事に就任している。指名されていた元FRBエコノミストのネリー・リャン氏は理事の就任を辞退したと伝えられた。同様に2017年11月にFRB理事に指名されたマービン・グッドフレンド氏についても就任に向けたプロセスは滞っているとブルームバーグが伝えている。いまのところ理事は2つ空席となっている。

 常任メンバーであるところのニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁(前サンフランシスコ連銀総裁)に加え、クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁、リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁、サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁、そしてアトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁が加わる。

 それぞれハト派、タカ派といった区別もされているが、金融政策の行方については、パウエル議長が先導し、クラリダ副議長や副議長的な立場とされるニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁がそれを補佐するような形になると思われる。

 ハト派とタカ派の勢力図というよりも、利上げが継続できる環境にあるのかどうかに掛かっているといるのではなかろうか。12月に開催されたFOMCの議事要旨によると、多くの参加者が、追加利上げを我慢強く判断できると表明するなど、利上げ見送りの姿勢も示している。今年のメンバーは若干替わるものの、このスタンスが継続されるとみている。そうなると年内は現状維持か、場合によっては1回程度の利上げがあるかどうかとなるのではなかろうか。利下げについてはさすがにないとみている。

by nihonkokusai | 2019-01-10 09:58 | 中央銀行 | Comments(0)

リスク回避の動きが強まるなか、米国での今年の利上げはあるのか

 米国中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4日、全米の経済学者が集まった会合の講演において、「市場は中国経済を中心に世界景気の下振れを不安視している。金融政策はリスク管理だ。迅速かつ柔軟に政策を見直す用意がある」と述べた。

 3日の米国市場ではアップル製品の中華圏の販売低迷を受けて大幅安となり、ダウ平均は660ドルの下落となっていた。米10年債利回りは12月28日が2.72%、31日が2.69%、2日が2.62%、3日が2.55%と大きく低下しており。これは景気の後退を織り込み、リスク回避による米国債買いも示していたとみられる。

 このリスク回避の動きに対し、パウエル議長は自らの発言によって緩和させようとしたものとみられる。昨年12月の米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げは市場は織り込んでいたものの、今年の利上げペースも維持させるような発言に対して市場は疑念を抱いていた。このためパウエル議長は発言の修正を行ってきたともいえる。

 2016年の年初と同様に市場はやや景気減速に対して過敏になっている。たしかに原油価格が当時と同様に下落するなど景気減速の兆しが出ている。今回は中国など新興国だけでなく、世界経済を牽引してきた米国景気の減速懸念も出ている。このためアップルの業績などについて過敏になっているとみられる。現実に世界景気が減速傾向を示す可能性は高いとみている。

 その原因のひとつともなっているトランプ政権が、今後、頑なな姿勢を崩すことは考えづらい。さすがに自らの言動が株価に影響していることにも気がついたのか、過激な言動はいまのところ控えられているが、米中貿易摩擦が完全に解消するようなことも考えづらい。壁建設の問題も長引けば米国債への信認などにも影響を与えかねない。

 英国のEU離脱問題もある。日本では改元や来年のオリンピック開催など控えてお祭りムードも高まりそうだが、世界経済の減速傾向が顕在化すれば、日本経済にも影響を与えることになる。

 金融市場はここにきて目先はやや動揺は収まったかにみえるが、予断は許さない。FRBの金融政策については、これまでのロードマップに即したような政策から、パウエル議長の発言にもあったように柔軟な政策に移行すると予想される。このため景気の回復基調が再び顕著となり、金融市場でのリスク回避の動きが後退するのを見定めない限りは、今後のFRBの利上げは当面停止される可能性がある。場合によると年内利上げが見送られることも予想される。


by nihonkokusai | 2019-01-09 09:33 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの利上げ停止の可能性も

 FRBは19日のFOMCで政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25~2.50%のレンジへ0.25%引き上げた。この利上げそのものは予想通り。市場は今後の利上げペースがどうなるのかを注目していた。

 ドットチャートと呼ばれる、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準をドットの分布で表現したグラフによれば、2019年の利上げ見通しは前回予測の3回から、今回は2回となった。さらに中長期的に適切とみる政策金利の水準を2.75%と、9月時点の3.0%から引き下げた。

 しかし「いくらかのさらなる段階的な」(some further gradual)」利上げが必要になるとの認識も示しも、利上げ継続との姿勢を示した。

 ただし、FOMC声明文には「世界景気や市場動向を注視し、景気見通しへの影響を分析する」との表現が加わり、今後の景気減速への懸念とともに、株式市場の動向等にも注意する姿勢を示した。

 市場はこの程度のブレーキでは踏み込み不足と認識したようで、19日のダウ平均は351ドル安となった。いわゆるパウエルプットを市場は期待していたものとみられる。

 そもそも米利上げが米国株式市場の調整等の主因であったわけではない。米中間を巡る貿易戦争などが解決に向かわない限り、さらに世界的な景気減速観測が後退しない限り、市場の地合が大きくかわるとは思えない。金融政策だけが金融市場の決定要因ではない。しかし、市場が最終的に期待してしまうのは、中央銀行の金融政策となってしまっていることも確かである。

 19日の米10年債利回りは一時2.75%に低下した。株式市場の下落によるリスク回避の動きもあったかもしれないが、株式市場が踏み込み不足と認識したのであれば、米債は売られてもおかしくはない。それにもかかわらず2.75%という今回中長期的に適切とみる政策金利の水準まで低下したのは、FRBの利上げにブレーキが掛かるとの認識によるものではなかろうか。

 そもそも簡単に中長期的に適切とみる政策金利の水準を引き下げて良いものなのか。このあたり、厳密に数値を出すことができないものであり、これそのものがFRBの姿勢を示す数値ともいえるのではなかろうか。つまりこの引き下げにより、今後の利上げはかなり慎重に行うであろうことを示したともいえる。

 そうであれば来年の利上げについては、景気物価動向次第となるものの、今回でひとまず正常化に向けた利上げを停止する可能性もありうる。パウエル議長はこのあたり柔軟に対応してくる可能性があるのではなかろうか。


by nihonkokusai | 2018-12-21 09:44 | 中央銀行 | Comments(0)

FRBの利上げ停止の可能性も

 FRBは19日のFOMCで政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25~2.50%のレンジへ0.25%引き上げた。この利上げそのものは予想通り。市場は今後の利上げペースがどうなるのかを注目していた。

 ドットチャートと呼ばれる、FOMCメンバーが予想するFFレートの水準をドットの分布で表現したグラフによれば、2019年の利上げ見通しは前回予測の3回から、今回は2回となった。さらに中長期的に適切とみる政策金利の水準を2.75%と、9月時点の3.0%から引き下げた。

 しかし「いくらかのさらなる段階的な」(some further gradual)」利上げが必要になるとの認識も示しも、利上げ継続との姿勢を示した。

 ただし、FOMC声明文には「世界景気や市場動向を注視し、景気見通しへの影響を分析する」との表現が加わり、今後の景気減速への懸念とともに、株式市場の動向等にも注意する姿勢を示した。

 市場はこの程度のブレーキでは踏み込み不足と認識したようで、19日のダウ平均は351ドル安となった。いわゆるパウエルプットを市場は期待していたものとみられる。

 そもそも米利上げが米国株式市場の調整等の主因であったわけではない。米中間を巡る貿易戦争などが解決に向かわない限り、さらに世界的な景気減速観測が後退しない限り、市場の地合が大きくかわるとは思えない。金融政策だけが金融市場の決定要因ではない。しかし、市場が最終的に期待してしまうのは、中央銀行の金融政策となってしまっていることも確かである。

 19日の米10年債利回りは一時2.75%に低下した。株式市場の下落によるリスク回避の動きもあったかもしれないが、株式市場が踏み込み不足と認識したのであれば、米債は売られてもおかしくはない。それにもかかわらず2.75%という今回中長期的に適切とみる政策金利の水準まで低下したのは、FRBの利上げにブレーキが掛かるとの認識によるものではなかろうか。

 そもそも簡単に中長期的に適切とみる政策金利の水準を引き下げて良いものなのか。このあたり、厳密に数値を出すことができないものであり、これそのものがFRBの姿勢を示す数値ともいえるのではなかろうか。つまりこの引き下げにより、今後の利上げはかなり慎重に行うであろうことを示したともいえる。

 そうであれば来年の利上げについては、景気物価動向次第となるものの、今回でひとまず正常化に向けた利上げを停止する可能性もありうる。パウエル議長はこのあたり柔軟に対応してくる可能性があるのではなかろうか。


by nihonkokusai | 2018-12-21 09:44 | 中央銀行 | Comments(0)

ECBは正常化に向けて一歩踏み出す

 欧州中央銀行(ECB)は13日の政策理事会において、主要政策金利を据え置くと同時に、4年近くに及んだ2兆6000億ユーロ規模の量的緩和(QE)を終了させることを正式に決定した。ECBも非常時の緩和策から平時の緩和策に戻す、いわゆる正常化に向けた一歩を進めた。

 保有債券の満期償還金の再投資についてのガイダンスを変更し、「政策金利引き上げの開始後も長期にわたり続ける」とした。その政策金利については、少なくとも2019年夏の終わりまで据え置くとした。

 市場では保有債券の償還金の再投資についてのガイダンス変更を好感し、外為市場でユーロが買われ、周辺国の国債が買われるなどした。

 本来であれば、膨らみすぎたECBの保有資産を減少させていくべきと思うが、正常化に向けた動きはかなり慎重に行ってくるものとみられ、巨額の保有資産を維持させることで、いわゆるストック効果を協調した動きとみられる。

 今後の利上げについては「少なくとも2019年夏の終わりまで据え置く」との表現を後退させるかなとみていたが、これはそのまま据え置いた。

 ドラギ総裁は会見で「ユーロ圏経済の成長見通しを巡るリスクは、おおむね均衡していると引き続き判断することができる」と指摘していたものの、「しかし、地政学的要因を巡る先行き不透明性が払しょくされないこと、保護主義の脅威、新興国市場の脆弱性、金融市場のボラティリティーを踏まえると、リスクのバランスは下向きに傾きつつある」と述べた(ロイター)。

 これをみても今後の利上げについては、かなり慎重に行うであろうことが予想される。たしかに夏まで動かさないとしていることで、半年以上も先であり、いろいろと状況が変化している可能性はある。むろん景気後退リスクも大きいとみられるものの、それほど落ち込みがないという可能性もある。利上げについては現状は行うつもりはあっても、白紙状態ともいえるのではなかろうか。

 これでFRBやイングランド銀行などに続いてECBも正常化に向けて歩みを進めてきた。これに対して、いっこうに物価目標の達成の見込みのない日銀は、正常化という言葉を封印しているかにみえる。現実には買い入れる国債の量など減らしているものの、ETFの買入などは年6兆円を超えるなど、何故いまだにそんなことをしてるの状態にある。頑なな姿勢をなんとか打破しないと、今後の金融経済を取り巻く環境の変化に対応できなくなるリスクが出てこよう。


by nihonkokusai | 2018-12-15 09:50 | 中央銀行 | Comments(0)
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