牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:中央銀行( 288 )

米国の利上げはいつまで続くのか

 9月7日に発表された8月の米雇用統計では、非農業雇用者数は20.1万人増となり、事前予想を上回った。失業率は3.9%で前月と変わらず。そして、平均時給は前年比で2.9%増と2009年6月以来の高い伸びとなり、これを受けて9月25~26日に開催されるFOMCでの追加利上げがほぼ確実視された。

 ただし、雇用統計がよほど悪化しない限りは、9月のFOMCでの利上げはほぼ規定路線となっていた。これにより2018年は3月、6月のFOMCに続いて3回目の利上げとなる。さらに今年は9月に加え、12月のFOMCでの年内4度目となる利上げも予想されている。

 ただし、12月の利上げに関してはやや不透明な部分もある。米国のトランプ大統領は8月17日に共和党の資金集めのイベントで、あらためてFRBの利上げに不満を漏らしたとされる。トランプ大統領があからさまに利上げ阻止に動く可能性は少ないながらせも、11月の中間選挙の結果次第では米国の政局が変化してくる可能性もある。このため12月の利上げについてはやや流動的な面もあろう。

 仮に12月に利上げがあったとすれば、今年は議長会見の開かれるFOMCすべてで利上げが決定されることになる。昨年までも利上げが決定されたのは議長会見のあるFOMCにおいてであった。

ただし、FRBのパウエル議長は2019年1月のFOMCから毎回、記者会見を開くと表明している。このため来年の利上げに関しては、3月、6月、9月、12月のいずれかというパターンからは外れることも予想される。その分、利上げ決定のタイミングについてFRBの自由度が増すような格好となる。

 それではFRBはこれからあと何回利上げをする予定なのか。このままのペースが継続されると、2019年の2回程度の利上げで中立金利に到達することになる。ここでいったん利上げは終了となるとの見方が強い。

 そもそも今回のFRBによる利上げは、米国の景気や物価の過熱を阻止するためのものではない。非常時対応ともいえた異常な金融緩和策から正常モードへの移行が目的となっている。現在の米国の物価をみてもインフレ圧力が強まっているようには見えず、正常化が達せられたのならば、いわゆる金融引き締めとされるゾーンにまで踏み込むことは考えづらい。

 正常モードに移行したあとは、経済物価動向を見ながらの調節という本来の中央銀行の金融政策に戻ることが予想される。あまり糊代という言葉は使いたくはないものの、米国経済がピークアウトした際にもFRBは利下げという手段も取れることになり、これにより政策の自由度が大きくなることは確かである。

[PR]
by nihonkokusai | 2018-09-17 10:24 | 中央銀行 | Comments(0)

トルコ中銀はエルドアン大統領の意に反して大幅利上げを実施

 トルコ中央銀行は13日、政策金利である1週間物レポ金利を6.25ポイント引き上げ24%とした。利上げはそのものは市場で予想されていたようだが、市場予想は3.25ポイントの利上げとなっており、実際には予想の倍の幅での利上げとなった。

 チェティンカヤ総裁率いるトルコ中央銀行の金融政策委員会は、ある意味危ない賭けに出たともいえる。トルコのエルドアン大統領は政策金利引き上げ発表の2時間ほど前に、金利を引き下げるべきだと発言していた。

 エルドアン大統領は今年の選挙前に、金融政策への関与を強める意向を表明したことから、トルコ中銀の独立性は疑問視されてきた。

 エルドアン大統領は同国政府系ファンド(SWF)の経営陣全員を更迭し、自らを会長に指名するなど独裁色を強めるような動きを見せていた。このような状況下、トルコ中銀のチェティンカヤ総裁はエルドアン大統領の意向は無視し、ある意味リスクを冒してまでインフレ退治に躍起になったといえる。

 米国でもトランプ大統領はFRBの利上げに対して懸念を示したとされるが、パウエル議長率いるFRBはそれを意に介さず、淡々と利上げを行う姿勢を示している。

 トルコ中銀とエルドアン大統領の対立色は今後さらに強まることも予想される。利上げによって簡単に物価上昇が抑えられるわけでもなく、トルコと米国との対立という根本的な問題、さらにはエルドアン大統領そのものがリスク要因となっていることで、トルコを巡る問題は根深いものとなっている。

 ただし、今回の事例をみても物価安定のためには為政者の意向を無視してでも、政府からは独立した組織として、断固たる処置を行うことは、ある意味中央銀行が行うべき姿かと思われる。

 これに対して政権の意向に強く支配されて、それが必要とされるタイミングではないにも関わらず、さらにそれによって物価上昇という効果が出るという保証もない異次元の金融緩和策を取らざるを得なかった中央銀行が存在する。非常時の緩和策というべきものをすでに5年以上も続けて、副作用も目に見えるようになっている。中央銀行は政府からは独立した組織であることをあらためて示すことも、トルコの例ではないが重要ではなかろうか。そろそろ軌道修正をしっかり行わないと、市場機能が債券だけでなく、いずれは株式市場も含めて失われかねない。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-09-16 10:21 | 中央銀行 | Comments(0)

物価指数を金融政策の羅針盤とするのに疑問を呈したパウエル議長

 今年のジャクソンホールは注目度が低いとのコラムを書いたら、トランプ大統領が注目度を上げてくれた。

 トランプ大統領は17日にニューヨーク州ロングアイランドで開かれたイベントで、FRBが実施している利上げに不満を示したと複数の関係者が明らかにした。これにより24日に予定されていたパウエル議長講演がにわかに注目を集めた。

 24日にパウエル議長はカンザスシティー連銀が主催する経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演し、米経済の成長基調が続くなら「政策金利の一段の緩やかな引き上げが適切になりそうだ」と従来の方針を繰り返した(日経新聞)。

 トランプ大統領は利上げに不満を示したものの、パウエル議長は現在の正常化を進めるスタンスに変化はないことを示した。今回のパウエル議長の発言に対して市場は「利上げペースを速めない姿勢を示唆」と受け止めたようで、24日の米国市場では米国債が買われ、ダウ平均も上昇し、ナスダックに至っては過去最高値を更新した。

 興味深いのはFRBの利上げペースなどよりも、今回のジャクソンホールでの一連の会議のなかで、パウエル議長が示したある問いかけであった。

 「インフレはもはや最良の指針でないかもしれない」とパウエル氏は会議で述べたとされる。パウエル議長は、物価指数を金融政策の「羅針盤」とする従来の考え方に疑問を提示と日経新聞が報じている。

 パウエル氏は中銀が強みとする経済推計の手法も自ら疑問視したとされる。たとえば「自然失業率」の推計などである。

 日経新聞は今回のパウエル議長の発言等について下記のような要因を指摘している。

 「パウエル氏が物価指数や雇用推計の不確かさを指弾したのは、数値に沿って機械的に判断する「ルールベース」の金融政策から、時々の情勢に応じて利上げも利下げも柔軟に決める「実務ベース」の政策運営へと修正するためだ。年4回だった記者会見を19年から年8回に増やし、3か月おきの利上げという現在の機械的な政策運営を変える布石を打っている。」

 パウエル氏は法律専門家であり、金融や経済を専門とする学者ではない。このあたりが前任のイエレン氏やバーナンキ氏と異なるところとなり、ある意味、より実務的な見方をしているのではないかと思われる。

 物価指数そのものに不確かさがあり、物価指数を金融政策の羅針盤とする従来の考え方に疑問を提示したとの姿勢には、かなり共感を覚える。金融政策を数値に沿って機械的に判断して決定することに疑問を感じるのは当然と言えば当然であろう。

 物価目標の2%にどのような意味があるのか。そして、例えば日本の消費者物価指数そのものについての不確かさ等はないのか。機械的に政策を行うことによるリスクはないのか。ぜひパウエル議長には日銀というか現政権にも問いかけてほしいと思うのだが。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-08-28 09:46 | 中央銀行 | Comments(0)

来年のECB総裁人事の行方はやや不透明

 ドイツの経済紙のハンデルスブラットによると、メルケル首相は、来年中にもトップが交代する欧州委員会委員長と欧州中央銀行(ECB)総裁について、ドイツ出身者が獲得できる可能性としては欧州委員長ポストの方が高いと認識し、優先的に働きかけを行っているという(ロイター)。

 金融市場では来年任期満了となるECBのドラギ総裁の後任の方が注目されるが、政治上では当然ながら欧州委員会委員長も重職である。

 欧州委員会委員長とは、欧州連合の政策執行機関である欧州委員会のトップであり、 欧州連合の役職では最も強力な権限を持つとされている。現職は2014年11月に就任したジャン=クロード・ユンケル(前ルクセンブルグ首相)。任期は5年で再任も可能。

 欧州委員会委員長には初代が西ドイツのヴァルター・ハルシュタイン氏となっていたが、その後12代目のユンケル委員長まで、ドイツ出身の委員長は就任しておらず、ECBよりも欧州委員会のトップにドイツ出身者を送り込むことがメルケル首相の優先事項との見方もあるようである。

 ECBの次期総裁候補として、タカ派で知られるドイツ連銀のバイトマン総裁の名前が挙がっているが、バイトマン氏のECB総裁就任は南欧諸国などは、あまり好ましくはないとされている。現在のイタリア出身のドラギ総裁は極めて慎重に出口政策を進めているものの、バイトマン氏はこのやり方は生ぬるいとみているようである。

 ECBの人事に関しては、今年5月末に任期を迎えたコンスタンシオ副総裁に代わり、スペインのデギンドス経済相が6月に副総裁に就任した。今後もドラギ総裁を含め、4つの理事ポストが入れ替わる。

 総裁の人事の行方を伺いながら、ユーロ圏の政治も大きく絡んで、総裁を含めたECB首脳部、そして欧州委員会委員長の人事が決定されることになろう。

 市場ではECBの次期総裁はバイトマン氏かとの見方が強いものの、政治次第ではタカ派ではなくハト派の総裁が就任する可能性もありうるか。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-08-25 10:45 | 中央銀行 | Comments(0)

トランプ大統領が利上げにご不満だとか

 トランプ大統領は17日にニューヨーク州ロングアイランドで開かれたイベントで、FRBが実施している利上げに不満を示したと複数の関係者が明らかにした。パウエル氏は「低金利」が好きだと側近らから聞かされていたが、早くも利上げを開始したと指摘したそうである(WSJ)。

 トランプ大統領がFRBの利上げに不満を表明したのは、これが初めてではない。2週間前にはニュージャージー州に自身が持つゴルフクラブでのディナーで、FRBの利上げ計画に不満が募りそうだと述べていたそうである(WSJ)。

 トランプ大統領による利上げ不満コメントを受けて、20日のニューヨーク市場ではドルが下落し、米債は買われた。21日にドル円は110円を割り込んできた。

 トランプ大統領の発言は公式なものではなく、これによって独立性が維持されているFRBの正常化路線に大きな影響は与えないと思う。しかし、中間選挙など睨んでFRBへの圧力を強め、利上げペースが後退してくる可能性はありうるか。

 トルコのエルドアン大統領が通貨リラの相場安定のため不可欠とみられる中央銀行による政策金利の引き上げに否定的な考えを示したことで、これが一段のリラ売りにつながった。政治家が中央銀行の政策に口を挟むなり、プレッシャーを掛けると禄なことはない。

 そういえば、政府の強い意向を受けて、異次元緩和を続けざるを得ない中央銀行があったように思う。その国の経済実態は悪くないのに、しかも非常時でもないにもかかわらず、利上げなどもってのほかという状態となっている。これは決して健全といえる状態ではないことも明らかではなかろうか。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-08-22 09:50 | 中央銀行 | Comments(0)

ECBの正常化プロセスに変化なし

 ECBは26日の政策理事会で、現在の金融政策の現状維持を決定した。中銀預金金利をマイナス0.4%、リファイナンスオペの最低応札金利をゼロ%、限界貸出金利をプラス0.25%で据え置いた。

 月額300億ユーロの資産買入を9月末まで続けた後、10月から月額を150億ユーロに減らし、年末には購入を終了することも再確認した。さらに「少なくとも2019年の夏の終わりまで」現在の政策金利を維持し、満期償還金の再投資も継続されることもあらためて表明した。

 ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏域内のインフレ率がECBの目標である2%に向かい上昇することに自信を示しつつも、関税や貿易障壁が成長を阻害する恐れがあるとの認識を示した(ロイター)。

 これを受けて外為市場では、ユーロがドルに対して下落した。ECBの出口戦略が極めて慎重であることから、正常化に向けて淡々と駒を進めるFRBの政策との違いも意識されたようである。

 ドラギ総裁は会見で、「ECBは為替レートを政策目標にしていないと、これまでに何度か言明している」と発言した。これは欧州連合(EU)と中国が為替を操作していると批判したトランプ大統領に向けての発言かとみられる。

 ただし、トランプ大統領は25日、訪米中のジャンクロード・ユンケル欧州委員長との会談後、関税引き下げに向け欧州連合(EU)と協力することで合意したと述べた。これにより、ひとまず米国とEUの貿易摩擦拡大懸念は後退している。

 いまのところ慎重ながらも、ECBの出口に向けてのスケジュールは予定通りに実施される見込みが高いとみている。

 日銀は30、31日の金融政策決定会合で、低下した日本の債券市場の機能を回復させるための手段を何かしら講じると予想されている。しかしこれは出口に向けての一歩ではない。現在の異次元緩和策を今後も続けるための微調整と言える。

 慎重といえどもECBが出口政策を講じようとしているなか、平時にも関わらず強力な金融緩和策を押し進める日銀との姿勢の違いも今後は顕著になってくるものと思われる。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-07-29 14:13 | 中央銀行 | Comments(0)

トランプ大統領がFRBの利上げを牽制?

 米国のトランプ大統領は19日、CNBCテレビのインタビューで、中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が進める利上げ方針に「必ずしも同意しない。感心しない」と発言、追加引き上げをけん制した(時事通信)。

 「我々の通貨は上昇している。それは我々を不利な状況に置いている」として、利上げ継続を背景にしたドル高の動きに不満を表明した(日経新聞電子版)。

 米国の景気拡大が継続していること背景にFRBは漸進的な利上げを行っているが、米国の景気拡大を利上げが裏付けているともみえるため、FRBに対して利上げを抑制させるような動きをトランプ大統領が取っていないのとみていたが、そうではないようである。

 たしかに今回のトランプ大統領の発言は、これまでになかったわけではない。利上げは好きではない、ドル安が好ましいと言った発言はこれまでにもみられた。しかし、自ら選んだパウエル議長率いるFRBの利上げに対し、これほどあからさまな表現をしたのは珍しい。

 トランプ大統領は「一般市民だったら言ったであろうことを言ったまで。大統領としては言うべきではないといさめる人もいるだろうが、少しも気にしない」とも発言したそうである(日経新聞電子版)。

 これまで大統領がなぜ金融政策に言及するのを控えていたのかといえば、政治が中央銀行の金融政策に絡むとあまりろくな事がなかったためである。政治家は国民の支持を得たいがために、金融引き締めを嫌い金融緩和を求める。

 過去にもジョンソン政権がウィリアム・マクチェスニーFRB議長に、ニクソン政権がアーサー・バーンズFRB議長に、それぞれ金融緩和政策の採用を迫ったことが1970年代のインフレの要因だとされている(WSJ)。

 ただし、今回のトランプ大統領のFRBの利上げ牽制発言がどれだけ本気で、それが果たしてFRBの政策に影響を与えるのかという点はなかなか微妙なところとなる。

 CNBCによると、ホワイトハウスは同社に対して「大統領は当然、FRBの独立性を尊重している」との見解を示すとともに、「(インタビューでも)FRBの政策決定には干渉しないと話している」と強調した(日経新聞電子版)。

 ちなみにある国の中央銀行は、時の政権から金融政策への牽制どころか、2%の物価目標を迫られた上に、アコードなるものを締結し、大胆な国債買入を主体とした異次元緩和を行っているようである。これでインフレが起きたわけではないものの、禁断の地に踏み込み、大きな歪みを起こしていることは間違いない。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-07-22 09:18 | 中央銀行 | Comments(0)

米国は今頃になって物価目標を達成

 米商務省が29日に発表した5月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比で2.3%の上昇となり、2012年3月以来6年2か月ぶりの大幅な伸びとなった。

 そして米国の中央銀行であるFRBが物価の目安としている、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月2.0%の上昇となり、6年ぶりにFRBの物価目標である2%を達成した。

 2012年1月25日のFOMCの終了後に発表された「長期目標と政策戦略」という声明文において、FRBは物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置くこととし、それをPCEの物価指数(PCEデフレーター)の2%とした。

 米商務省が発表している個人所得、個人消費支出(PCE)、PCEデフレーターは米国の経済指標の中にあって、注目されるもののひとつである。

 これらは米国の個人の所得と消費について調査した指標であるが、このうち個人所得とは、社会保険料を控除し実際に個人が受け取った所得となる。個人消費支出とは1か月間に実際に米国の個人が消費支出した金額について集計したものである。そして、名目個人消費支出(名目PCE)を実質個人消費支出(実質PCE)で割ったものが、個人消費支出(PCE)物価指数もしくはPCEデフレーターと呼ばれる。

 2012年1月にFRBが物価目標目安としてコアPCEデフレーターの2%という数字を置いた後、コアPCEデフレーターは同年3月に前年比2.0%と目標値をつけたが、その後は2%を下回る月が続き、2013年3月に前年比1.1%となった。そしてやっとここにきてFRBの物価の目安が達成されたということになる。

 目安とか目標という表現が混在しているが、これは日銀が掲げた物価目標とは異なり、おおよその目安といったもので、その分柔軟性があり、このため目標は達成していなくても、FRBは正常化を進めてきたと言えるのである。

 FRBは2014年にテーパリングを終了させて、2015年12月から利上げを開始した。FRBの金融政策の推移とコアPCEデフレーターの推移をみてもかならずしもリンクしていない。FRBが正常化路線を進めるほどに、世界的なリスクが後退し、景気は拡大、それによって物価も回復してきたとみた方が良いのではかろうか。

 これはFRBの金融政策の効果がない、と言っているわけではない。リーマン・ショックや欧州の信用リスクに対する金融市場のリスクを後退させるためには、FRBの大胆な緩和策がそれなりの効果があったことも確かである。

 ただし、2%という絶対的な物価目標を政府の意向により掲げさせられ、世界的なリスク後退局面期にも関わらず、異次元緩和を実施した中央銀行があったように思うが、こちらはいったい何をしたかったのであろうか。

[PR]
by nihonkokusai | 2018-07-03 09:44 | 中央銀行 | Comments(0)

欧州中央銀行(ECB)は年内の資産買入停止を決定、利上げについては慎重姿勢を示し市場に配慮

 6月14日に欧州中央銀行(ECB)は、金融政策を決める政策理事会において、資産を大量に買い入れる量的緩和政策を年内に終了することを決めた。

 ECBの債券買入額は今年1月からそれまでの月600億ユーロから300億ユーロに減額し、債券買入は少なくとも今年9月末まで継続するとしていた。300億ユーロの買入は9月まで続け、10月から12月にかけては月間の資産買入額を150億ユーロに減らし、買入そのものは12月で停止することになる。

 年内の資産買入については、フランス中銀総裁などが量的緩和策を年内に終了させる公算が大きいことが示唆されていた。ECBのプラート専務理事も14日のECB理事会において、資産買い入れ策を年内に終了させるかどうか討議すると述べていた。ただし、年末までまだ期間もあり、今回の会合でそれが正式に発表されるのかどうかが、ひとつの焦点となっていた。

 市場はECBによる年内の資産買入停止をかなり織り込んできていたこともあり、ECBはこのタイミングで決定したとみられる。さらに次のステップとなり利上げの時期についての示唆があるのかどうかも、注目点となっていた。

 これについてECBは、現在の超低金利が「少なくとも2019年夏までは現在の水準にとどまる」とした。つまり主要政策金利となるリファイナンス金利は、少なくとも来年の夏まではゼロ%のままとし、利上げはそれ以降になることを示した。

 ECBはFRBとは異なり、正常化に向けた動きは極めて慎重である。このため、量的緩和政策の年内終了という正常化に向けたステップによる市場へ影響を軽減させるため、次のステップとなる利上げに向けては期間を置くこととし慎重姿勢を示した。さらに資産保有額は維持することも発表しており、これは国債の償還分についてはその分は買い入れることとなる。こういった正常化に向けての慎重姿勢は、イタリアの政治リスクや物価が目標を達成していないことも理由となろうが、市場に配慮していることも確かである。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-06-16 11:34 | 中央銀行 | Comments(0)

米国の物価動向とFRBの利上げペース

 米労働省が12日に発表した5月の米消費者物価指数は前月比0.2%上昇した。前年同月比では2.8%の上昇となりガソリンなどエネルギー価格の上昇が全体を押し上げた。また、全体から食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比で0.2%、前年同月比で2.2%の上昇となった(日経新聞電子版の記事より)。

 米消費者物価指数は総合では、2012年2月に前年比プラス2.9%となって以来の大きな上昇となった。今年に入ってからは1月が前年比プラス2.1%、2月が同2.2%、3月が同2.4%、4月が同2.5%、5月が同2.8%となっていた。ここにきての前年比が大きく上昇したのは、原油価格の上昇に依るところが大きいとみられる。原油価格の指標となっているWTIは昨年末の60ドル近辺から、5月には70ドル台を回復していた。

 また、全体から食品とエネルギーを除いたコア指数も今年に入ってからは1月が前年比プラス1.8%、2月が同1.8%、3月が同2.1%、4月が同2.1%、5月が同2.2%となっていた。3月移行は2%台が定着している。この指数はエネルギーを除いているものの、原油を使った製品等などによって原油価格の上昇の影響も受けているとみられる。また、米国の景気そのものの拡大も寄与しているものとみられる。

 FFRBは物価に対して特定の長期的な目標(ゴール)を置いているが、それは消費者物価指数ではなくPCEの物価指数(PCEデフレーター)の2%としている。PCEデフレータも3月と4月は前年比2.0%となっている。PCEコアデフレータは3月が前年比1.9%、4月が同1.8%と2%には届いていないが、2%近辺にある。

 これをみてもFRBとしてもほぼ物価は目標値に近い位置におり、物価が利上げペースを阻害することはないとみられ、昨日のFOMCでも政策金利を年1.50~1.75%から1.75~2.00%に引き上げた。今年はあと2回の利上げとの見通しとなった。ただし、物価の上昇は緩やかなものであり、FRBとしても物価上昇を抑制する意味での利上げではなく、正常化を進めるためのものである以上、ここからの利上げの回数にも限度はあるとみられる。


[PR]
by nihonkokusai | 2018-06-14 09:57 | 中央銀行 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー