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カテゴリ:中央銀行( 276 )

欧州中央銀行(ECB)は利上げのタイミングを来年にも模索か

 ECBの政策委員会メンバーであるビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、14日にパリでユーロ圏経済の1~3月の減速について、一時的なものとの見方を示し、依然としてECBがQEを年内に終了させる公算が大きいことを示唆した(ブルームバーグ)。

 ちなみにユーロ圏の1~3月期の成長率は0.4%と、前四半期の0.7%から大きく低下していた。これについて欧州委員会は問題視せず、通年では10年ぶりの高水準だった2017年とほぼ同程度になるだろうと予測している(ブルームバーグ)。

 ECBの債券買入額は今年1月からこれまでの月600億ユーロから300億ユーロに減額した。そして、債券買入は少なくとも今年9月末まで継続するとしている。ただし、必要に応じて9月以降も延長するとしている。そして、インフレ率の2%近辺という物価目標に向けた調整の進展を確認したところで買入は停止するとした。その後の利上げについては、純資産買い入れの停止後、「十分な期間」を置いてから着手するとしていた。

 ECBはまずガイダンスの修正と資産買入の停止方法を模索している。3月の政策理事会では、債券購入を巡るフォワードガイダンスから、規模拡大の文言を削除した。つまり、金融政策の方向性としては追加緩和を探るのではなく、緩和にブレーキを掛けて出口を模索する方向に転じたともいえる。

 そして、4月のECB理事会では主要政策金利の据え置きを決定、ガイダンスも維持した。ドラギ総裁は会見で、先行きの金融政策について議論しなかったと述べ、市場では資産買入の停止には時間を掛けるのではとの観測が強まった。

 いまのところECBが今年、何をしようとしているのか筋書きが読めない。1~3月期のユーロGDPが予想以上に減速していたことで、慎重なドラギ総裁がより慎重になるのではとの見方も出ていた。

 そんなところに中核国のフランスの中銀総裁から、「初回利上げの時期についてガイダンスを付け加えれば、相当期間というのは少なくとも数四半期という意味で、数年ではない。またインフレ見通しに左右される」と述べ、「債券購入の終わりは近づいている。9月であるか12月であるかは重大な問題ではない」と付け加えた(ブルームバーグ)。

 ECBとしては債券買入停止後にあらためて利上げを検討するというのがシナリオではあろうが、「十分な期間」というのは数年ではなく、来年中という可能性が出てきた。もちろんインフレ見通しに左右されると述べていることで不透明感は残るものの、今年12月あたりまでには債券の買入を停止させ、来年には利上げのタイミングを模索するというのがメインシナリオになりつつある。


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by nihonkokusai | 2018-05-21 14:28 | 中央銀行 | Comments(0)

トランプ大統領はFRB副議長にクラリダ氏を指名

 米国のトランプ大統領は16日、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)の副議長に、米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)の幹部でコロンビア大学の教授でもあるリチャード・クラリダ氏を指名すると明らかにした。トランプ大統領はこのほか、FRB理事にカンザス州銀行監督当局のミシェル・ボウマン氏を指名する(ロイターの記事より引用)。

 クラリダ氏はジョージ・W・ブッシュ元政権で財務次官補(経済政策担当)を務め、10年余りにわたりPIMCO勤務で金融市場についての知見を培ってきたとされる(ブルームバーグ)。

 クラリダ氏は昨年10月に退任したフィッシャー前副議長の後任となる。こちらは金融政策全般を担当する副議長ポストとなる。もうひとりの副議長は昨年10月に就任したクオールズ氏(銀行監督担当副議長)。

 ダドリー氏の後任として6月18日付でニューヨーク連銀の次期総裁に就任するサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁と共に、クラリダ氏はエコノミストという立場から、2月に議長に就任したパウエル氏を支えることになる。

 FRBの正副議長を含む理事職(定員7)は現在、4つが不在という事態となっている。パウエル議長とクオールズ副議長(金融規制担当)が就任し、理事としてはブレイナード理事だけとなっている。昨年11月に理事に指名された米カーネギーメロン大教授のグッドフレンド氏は、議会の承認がまだ得られていない。

 もちろんクラリダ氏とボウマン氏も就任には上院の承認が必要となる。共和党が多数を占める上院ではあるが、FRBに対する風当たりも強いようで、すんなりと承認されるのかどうかは不透明。

 ちなみに2018年にFOMCで投票権を持つほかのメンバーは、ニューヨーク連銀総裁に加え、メスター・クリーブランド連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁(6月18日からの次期総裁は未定、メアリー・デイリー氏との見方も)、バーキン・リッチモンド連銀総裁となる。


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by nihonkokusai | 2018-04-18 09:44 | 中央銀行 | Comments(0)

米国の利上げペースは継続か

 米国の連邦準備制度理事会(FRB)が7日に発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、1月から2月にかけての米国経済は「全地区で緩やかに拡大した」と総括し、物価も「全地区で上昇した」と前回1月の報告より判断を引き上げた(日経新聞電子版)。

 ベージュブックでは米経済そのもの、そして物価、さらには雇用についても「緩やかに」拡大していることが示された。FRBにとってはいまのところ理想的な景気拡大となっており、これを見る限り今年も年3回としている利上げペースは維持されるよう。今年最初の利上げとなるのは3月20、21日に開催されるFOMCとみられる。

 2月にFRB議長に就任したパウエル氏にとって議長として初めて望むFOMCとなることもあり、無難に利上げを決定したいところであるのではなかろうか。

 ただし、トランプ政権で経済政策の司令塔だった国家経済会議のトップ、コーン委員長が辞任すると発表されるなど、米国の経済の先行きについてはやや不透明感を強めさせる出来事も起きている。

 コーン委員長は、トランプ大統領が表明している鉄鋼製品などに高い関税を課す異例の輸入制限措置に反対していたとされ、過去にもいろいろと対立していたとされるが、関税を巡る見方の相違が辞任のきっかけとみられる。

 ただし、ホワイトハウスはメキシコやカナダ、その他同盟国を課税対象から外す可能性にも言及し、貿易相手国に一律に関税を課すという強硬な政策は回避されるではないかとの観測も出ている。トランプ大統領が今週中に関税の詳細を発表するようである。

 米国市場が大きな動揺を示すようなことがない限りは、3月21日のFOMCで追加利上げが決定される可能性は高いと思われる。しかし、米株が再度、下落基調を強めるようなことがあると利上げそのものが先送りされる可能性もありうるか。


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by nihonkokusai | 2018-03-09 10:01 | 中央銀行 | Comments(0)

試されるパウエルFRB議長による市場との対話力

 米国の連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル新議長は27日の議会証言で、「年3回の利上げシナリオを提示した昨年12月に比べ、景気見通しは強まっている」と指摘した。停滞していた物価も「(2%の)目標に向かって上昇すると確信を深めている」とした(日経新聞の記事より)。

 バウエル議長が就任したのは2月5日である。この日の米国株式市場でダウ平均は1175ドル安となり過去最大の下げ幅を記録した。パウエル議長就任を嫌気した売りではなかったものの、パウエル新議長にとっては多難な船出となった格好である。

 5日の米株の急落については、VIXなどの影響もあったとみられるが、ボラティリティの低い状態のままの上昇相場が長く続いた反動とみて良いかと思う。パウエル議長もこれについては特に問題はないとしている。しかし、米国株式市場の急落後の状況を見る限り、FRBの利上げの行方に関してこれまで以上に敏感になってきているようにも思える。

 27日のパウエル議長の議会証言の内容を受けて、ひとまず3月のFOMCでの利上げがほぼ確実視された。それに加えて、年4回の利上げについても可能性が強まったのとの見方も強くなりつつある。27日の米国市場では米10年債利回りは2.89%と前日の2.86%から上昇し、この長期金利の上昇もあって、昨日の米国株式市場は下落、ダウ平均は299ドル安、ナスダックは91ポイント安となった。また、28日には米10年債利回りは2.86%と前日の2.89%から低下したものの、ダウ平均は大幅続落となり380ドル安、ナスダックも57ポイント安となり、やや荒れ模様の展開となった。

 そして、これまで二回に一回となっていたFOMC後の議長会見について、日銀の金融政策決定会合後の総裁会見などと同様に、毎回行うのではとの観測が出ている。これまでのFRBの政策変更は、特に正常化を進める際には、議長会見のあるFOMCに限られていた。そうなると政策の変更は年4回に限られるとの見方もできてしまう。このため、FRBも毎回にすることで、少し政策変更タイミングの柔軟性を取りにきた可能性もある。毎回会見があったほうが、より市場との対話も進むメリットあると思われる。

 FRBはタカ派色が強まったとか、利上げについてはもしもの際の利下げのための糊代作りとの見方もある。しかし、2013年末からのテーパリング開始決定からの一連の動きは、正常化とも呼ばれるように、非常時の危機対応から脱することにあった。危機の後退にともない世界経済は拡大傾向となり、ファンダメンタルに即した金利環境の構築を目指しているともいえる。

 米国市場はこの新たな金利環境の行方を注目しはじめており、その結果として米長期金利は3%近くまで上昇してきている。パウエル議長は現在の環境が継続すれば、年末にむけて物価は上昇し2%の水準で安定するとしている。このため、ある程度の長期金利上昇は容認しているとみられ、長期金利を0.1%以下に無理矢理抑え込んでいる某中央銀行とは異なった姿勢とみられる。

 緩やかな金利上昇とそれを可能にさせる経済環境が続けば、株式市場も上昇基調が維持されるとみられ、これはドル高要因ともなる。しかし、トランプ政権がドル高を望んでいないことから、外為市場の動きが読みづらい状況となっている。利上げはかなり織り込んできてはいるものの、市場はやや神経質ともなっており、今後はパウエル議長による市場との対話力も試されるものと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-03-01 09:29 | 中央銀行 | Comments(0)

ECBの次期総裁はドイツから?

 ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)は19日に、今年の5月末に退任するコンスタンシオECB副総裁の後任としてスペインのデギンドス経済相を選定した。これにより2019年に任期満了となるドラギ総裁の後任には、ドイツなどユーロ圏北部出身者が選ばれる公算が高くなった。ECBは総裁も副総裁も任期は8年と長い。

 3月の欧州連合(EU)首脳会議で正式決定し、デギンドス氏はコンスタンシオ副総裁の後任として6月1日に就任する予定となっている。

 日経新聞によるとECBの副総裁ポストはアイルランド中銀総裁のレーン氏とデギンドス氏が争っていたが、形勢不利とみたアイルランドがレーン氏の立候補を取り消したことで、デギンドス氏に決まった。欧州議会では「レーン氏の方がふさわしい」という意見もあったが、ドイツなどに押し切られたそうである。レーン氏はECBのチーフエコノミスト(専務理事)に就くとの見方がある。

 日銀も総裁と副総裁のポストはある程度、バランスが考慮される。総裁は財務省出身者と日銀プロパーの交替制の時期もあったが、現在はそのようなパターンではなくなっている。しかし、総裁と副総裁のポストは財務省と日銀出身者が分け合い、そこに学者が加わるといったパターンが多い。

 ECBは過去に例のない国を跨いだ中央銀行だけに、こちらは国同士のパワーバランスが影響する。特に中核国と周辺国が対立している構図となっている。ドラギ総裁はイタリア出身、つまり周辺国から選出されているが、今回、副総裁に周辺国のスペインから選出されたということは、次期総裁は中核国、そのなかでもこれまでいろいろあって総裁を送り込めなかったドイツが、ドイツ連銀総裁のワイトマン氏を送り込もうとしているように思われる。

 中央銀行の金融政策を決めるメンバーにタカ派とかハト派と区別することにあまり意味はないと個人的には思っている。タカ派では緩和をしなければならないときは緩和策に賛成し、ハト派でも正常化が必要となればそれを積極的にすすめる。ハト派とされたイエレン前議長など良い例ともいえる。日銀の政策委員にいたっては、リフレ派かそうでないかとの区分けになっているかのようにも思われる。

 それはさておき、少なくともドイツ連銀総裁のワイトマン氏はタカ派とされているように、ドラギ総裁とは対極的な立場となっている。ワイトマン氏は積極的な金融緩和政策に反対し続けてきた。ドラギ総裁は正常化にも極めて慎重であるが、これがワイトマン氏に変わればこれまでの慎重さはなくなり、正常化を進めてくることも予想される。


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by nihonkokusai | 2018-02-22 09:42 | 中央銀行 | Comments(0)

イングランド銀行の追加利上げ観測強まる

 英国の中央銀行であるイングランド銀行は8日の金融政策委員会(MPC)で政策金利を年0.50%に維持すること、買入資産の保有額を4330億ポンドに維持することを全員一致で決定した。これは事前の予想通り。

 イングランド銀行は昨年11月2日のMPCで2007年7月以来、10年4か月ぶりとなる利上げを決定した。7対2の賛成多数で政策金利を過去最低の0.25%から0.50%に引き上げた。今回はこれによる効果を見極めたいとして現状維持を決定したとみられる。ちなみにこのときは全員一致ではなく、カンリフ副総裁とラムスデン副総裁が、賃金の伸びは低く現時点で利上げを正当化できないとして利上げに反対し、据え置きを主張した。

 今回、同時に発表されたインフレレポートによる経済成長見通しは、2018年が1.8%、2019年は1.8%、2020年も1.8%とした。11月時点では2018年が1.6%、2019年は1.7%、2020年は1.71%となっていたことで、それぞれ引き上げられた。

 インフレ見通しについては、1年後が2.28%、2年後が2.16%、3年後が2.11%。11月時点では1年後が2.37%、2年後が2.21%、3年後が2.15%となっていた。

 ただし足元の物価は昨年12月の消費者物価指数が前年同月比3.0%と政策目標の2%を大きく上回る状況が続いている。

 今回の声明文では、「2月のインフレレポートに沿って英国の景気が底堅く推移すれば、金融政策を11月時点の予想よりも幾分早く、かつ一段と引き締める必要があるだろう」と明記されていた。

 これを受けて市場では次回のインフレレポートが発表される5月のMPCでの追加利上げ観測を強めた。MPCの今後の日程は3月22日、5月10日(四半期インフレレポート)、6月21日、8月2日(四半期インフレレポート)、9月13日、11月1日(四半期インフレレポート)、12月20日となっている。

 ここにきて米国株式市場が大きく下落し調整局面を迎えている。ファンダメンタルズは良好であり、今回の調整は一時的との見方も強いが、これまでのゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていた状況に変化が生じる可能性はある。しかし、景気が大きく悪化するようなことがない限りは、イングランド銀行の再利上げの可能性は高いと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-02-12 10:14 | 中央銀行 | Comments(0)

パウエル新体制となったFRB、株安で前途多難な船出なのか

 FRBのジェローム・パウエル理事は5日にFRB本部内で宣誓式を行い、第16代議長に正式就任した。任期は4年となる。2018年の理事ポストは正副議長を含めて7名となるが、イエレン前議長の退任により、現在4つが空席という事態となった。

 議長はパウエル氏となり、副議長は昨年10月に就任したクオールズ氏(銀行監督担当副議長)。もうひとりの副議長についてはエコノミストを登用するとされ、トランプ政権による人選が行われているようだが現時点では未定となっている。

 理事としてはブレイナード理事だけとなっており、グッドフレンド氏は議会の承認待ち。これにより理事ポスト7名のうち3席しか埋まっていない。また、常任理事となるとニューヨーク連銀総裁も加えて8名となるが、ニューヨーク連銀のダドリー総裁も2019年1月の任期を前倒しして2018年半ばに退任すると発表している。このため、こちらも入れ替わる可能性が高い。このように今年は中核メンバーがかなり入れ替わる。

 2018年に投票権を持つ地区連銀総裁は、メスター・クリーブランド連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁となる。もうひとつのリッチモンド連銀の総裁は昨年までラッカー氏が務めていたが、2017年4月に辞任した。その後、コンサルティング会社マッキンゼーのトーマス・バーキン氏が同連銀により指名され、今年1月に総裁に就任している。

 パウエル議長就任のタイミングで、ニューヨーク株式市場は記録的な下げとなり、前途多難な船出のように見えるが、そもそも記録的な下げを生み出すほどに株価が記録的な上昇をしていたともいえる。それにはFRBの功績というか、大胆な金融緩和による過剰流動性相場と、その大胆な緩和策も奏功して世界的な金融経済リスクの後退による景気拡大による業績相場によるところも大きい。

 FRBは先んじて出口戦略を講じてきたが、そのペースは極めて慎重となり、物価の上昇も抑制されていたことも相まって長期金利も低位での推移が続いていた。これも株価にとっては安心材料となっていたが、ここにきてやや長期金利が上昇ピッチを早めたこともあり、株価は調整局面を迎えたといえる。しかし、これが実態経済に大きく影響するとは、いまのところは考えにくい。そもそも景気の悪化などが株価下落の要因となっていたわけでもない。今回の調整がどの程度の深さとなるのかはいまのところ予測が難しいものの、FRBの利上げペースがこれでブレーキが掛かることも考えづらい。パウエル議長率いるFRBも淡々と正常化路線を歩むのではないかと予想される。


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by nihonkokusai | 2018-02-07 09:56 | 中央銀行 | Comments(0)

ECBの年内利上げはあるのか

 ECBは1月25日に開いた理事会で主要政策金利を0.00%に、中銀預金金利をマイナス0.40%にそれぞれ据え置いた。ドラギ総裁は理事会後の会見で、「現時点でのデータや予測を踏まえ、今年利上げが実施される確率は極めて低いとみられる。」と発言した。また、「金融政策は引き続き緩和的となり、金利は量的緩和(QE)策終了後も長期間にわたり低水準にとどまる。」とも発言した。

 ECB理事会のメンバーであるクノット・オランダ中銀総裁は28日に、ECBは債券買い入れプログラムをどのように終了するかについてできる限り早く明確にすべきとの見解を表明。債券買入プログラムを「続ける理由は何もない」と述べた。さらにECBのプラート専務理事は29日にブリュッセルでの会合で、ECB理事会が持続的な調整への条件が整ったと判断した場合、ガイダンスに沿ってネットでの資産買い入れが終了する、との見解を示した。ただし、資産買入終了を段階的に行うか一度に実施するか、ECBはまだ決定していないとも指摘していた(ロイター)。

 ECBの債券買入額は今月からこれまでの月600億ユーロから300億ユーロに減額し、少なくとも今年9月末まで継続するとしている。ドラギ総裁は年内の資産買入停止についてはコミットしていないが、債券買入は年内にも停止する可能性が高い。

 昨年12月14日のECB政策委員会の議事要旨では、「金融政策姿勢や、政策方針(フォワードガイダンス)のさまざまな次元に関わる文言について、来る年(2018年)の初めに再検討を加える可能性がある」と指摘したが、1月のECB理事会でのガイダンスの修正はなかった。

 ECBの利上げについては年内に検討することはひとまずなさそうであり、ガイダンスの修正と資産買入の停止方法を模索してくることになりそうである。そして、債券買入停止後にあらためて利上げを検討するというのがシナリオか。

 しかし、果たしてそのような慎重姿勢が貫けるであろうか。キーとなりそうなのは物価となるが、それでも金利を取り巻く環境が今年様変わりしてくる可能性もありうる。日銀の黒田総裁のダボス会議での「ようやく(物価)目標に近い状況にあると思う」との発言や、上記のオランダ中銀総裁の発言をきっかけに、ユーロ圏の国債利回りが上昇してきている。

 29日にドイツの5年債利回りは2015年以来初めてプラスに転じた。米長期金利の上昇ピッチの早さにも影響され、ドイツの10年債利回りも2日に0.76%まで上昇している。ドイツの10年債利回りはチャート上からは0.90%を目指して上昇してくることが予想される。このため、もしかするとユーロ圏の国債利回りの上昇がECBの利上げを促すといった状況となる可能性もまったくないとは言えないかもしれない。


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by nihonkokusai | 2018-02-05 10:12 | 中央銀行 | Comments(0)

パウエル議長となってもFRBは正常化路線を継続か

 米議会上院は23日にFRBの次期議長にFRB理事のジェローム・パウエル氏(64歳)を充てる人事を承認した。2月3日に任期が切れるイエレン現議長の後任となる。

 ジェローム・パウエル氏はワシントンD.C.出身、所属政党は共和党。ディリオン・リード&カンパニーという投資銀行で役員を務め、ジョージ・W・ブッシュ政権で財務次官補(国内金融担当)や財務次官を歴任。1997年から2005年までカーライル・グループ共同経営者となった。2012年に連邦準備制度理事会(FRB)の理事に就任、2014年6月16日に再任された(任期は2028年1月31日まで)。

 パウエル氏は昨年11月の議会の公聴会で、政策金利を「さらに幾分か引き上げることを想定している」と述べ、景気過熱を防ぐためにも利上げが必要との認識を表明した。これまでのイエレン議長の正常化に向けた動きをフォローする立場にあったともみられ、イエレン議長が敷いた正常化路線を継承するとみられる。

 パウエル氏はコンセンサスづくりに重点を置く性格の人物との評もあるようだが、まさにこれはFRB議長として適していると思われる。過去のFOMCでは反対票を投じたことが無いとされている。

 「ミスター普通」とも称されているようだが、それでもパウエル氏は実務経験が豊富なだけに、市場では今後タカ派的なイメージを持たれる可能性もあるのではなかろうか。とはいえ今後、利上げピッチを早めたり、保有資産の圧縮スピードを過度に高めるようなことをするとも考えづらい。このあたりについてはコンセンサスを重視した動きとなるとみられ、慎重姿勢を貫こう。

 また、銀行規制には反対の立場を明確にしており、このあたりはトランプ政権の考え方に近いものがある。ただし、FRBが実際に金融規制改革を行うにあたっては、金融規制担当の副議長に就任したランダル・クオールズ氏が存在しており、クオールズ氏の意向も強く反映されることも予想される。

 ただし、注意すべきはFOMCのメンバーがいまだ固まっていないことである。フルメンバーとなった際にどのようなバランスとなるのか。トランプ政権の意向がどの程度反映されるのか。いずれにしても路線は大きく変わらずとも、トップが変わることは事実であり、FRBの政策に何かしらの変化が生ずる可能性もあるため注意しておきたい。


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by nihonkokusai | 2018-01-25 09:30 | 中央銀行 | Comments(0)

今年のFOMCメンバーはいろいろと入れ替わりも

 米国の金融政策を決定するFOMCでは、7名の理事と5名の地区連銀総裁の計12名が投票権を持っている。このうち理事とニューヨーク地区連銀総裁は常任メンバーとなり、投票権を持つ地区連銀総裁の4名は毎年入れ替わる。

 2018年のFOMCでの投票権を持つメンバーは誰なのか。実はこのメンバーがいろいろと入れ替わることになる。まず現在の議長はイエレン氏であるが、すでにイエレン議長は今年2月に退任することが決まっている。つまり1月30日から31日のFOMCが議長として最後となる。2月からはパウエル理事が議長に就任し、3月のFOMCからはパウエル体制で望むことになる。

 副議長は昨年10月に就任したクオールズ氏(銀行監督担当副議長)。もうひとりの副議長については、トランプ政権による人選が行われているようだが現時点では未定となっている。

 理事は1月のFOMC開催時はパウエル理事とブレイナード理事、そして10月に就任したグッドフレンド理事となる。2月からはパウエル理事が議長となり、イエレン氏は理事職も辞すると表明しているため、理事の空席がさらに増える。

 常任メンバーであるところのニューヨーク連銀のダドリー総裁は、2019年1月の任期を前倒しして、18年半ばに退任すると発表している。このため、こちらも入れ替わる可能性が高い。このように今年は中核メンバーがかなり入れ替わる。

 2018年に投票権を持つ地区連銀総裁は、メスター・クリーブランド連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁、ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁となる。もうひとつのリッチモンド連銀の総裁は昨年までラッカー氏が務めていたが、2017年4月に辞任した。その後、コンサルティング会社マッキンゼーのトーマス・バーキン氏が同連銀により指名され、今年1月に総裁に就任している。

 トランプ政権は今後、空席となっているもうひとつの副議長と残りの理事の人選を行うとみられるが、すべての空席が埋まるかどうかはわからない。

 このようにメンバーの入れ替わりはあっても、現在のイエレン議長の路線は継承されることが予想されている。米国経済の拡大もあり、淡々と利上げを行ってこよう。2018年内では昨年と同様に3回程度の利上げが予想されている。2019年も3回程度の利上げが予想され、長期の中立金利見通しである3%に達成させるとしているが、物価動向など次第の面もある。また、昨年10月からスタートしたバランスシートの縮小ペースについても議論されることが予想される。


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by nihonkokusai | 2018-01-25 09:28 | 中央銀行 | Comments(0)
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「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
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