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債券先物が13日に一時急落した理由

 3月13日の10時10分過ぎに、東証(24日から大証)に上場している長期国債先物(債券先物)の6月限が一時急落し、前日比1円安の143円75銭まで下落した。債券市場をウォッチしている人でなければ1円安といってもピンとこないかもしれないが、日経平均がいきなり1000円下がったイメージである。

 その売りのタイミングからみて、10時10分の日銀による日銀の国債買入が原因とみられる。日銀が13日に実施した長期国債買い入れオペののうち、残存期間10年超の国債買い入れ額は1700億円となった。2月26日実施分から従来の2000億円から1800億円に減額され、今回はさらに100億円減額となったのである。

 2月26日に2000億円から1800億円に減額された際にも債券先物は売られたものの、前日比では17銭安までであり、このときは日経平均がマイナスからプラスに転じたこともあって、オペの減額だけで売られたわけではなかった。不意を食らった面はあったが、この程度の減額はある程度想定されていたこともあり、タイミングはさておきサプライズとなるようなものではなかった。

 日銀は昨年4月に量的・質的緩和策を導入し、金融政策のターゲットをマネタリーベースに変更し、年間約60~70兆円に相当するペースで増加させるとしている。そのための資産の買入れについては、長期国債は保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加し、平均残存期間が7年程度となるよう買入れを行うとしている。 これにより当初の毎月の長期国債のグロスの予定買入れ額は7兆円としていた。

 ところが日銀保有の国債の残存期間も延びてきており、国債の保有残高と残存年数の目標を維持するとなれば、毎月償還されるものが相対的に少なくなることで毎月の買入額は縮小するなどの調整の必要が出てくる。

 FRBの量的緩和政策は債券の残存ではなく、毎月の購入額がターゲットとなっている。このため、この購入額を減らす政策(テーパリング)が現在取られている。日銀とFRBはやっていることは国債を主体とする債券の大規模買入だが、ターゲットの違いがあり、日銀が毎月の国債購入額を減少させてもテーパリングということではなく、あくまで目標に対しての残高と平均残存期間の微調整に過ぎない。

 このあたりのことは債券市場関係者は熟知していると思われ、昨日の100億円程度の減額で動揺を見せることは考えづらい。このため、昨日の債券先物の売りは、日銀の買入減額をみて、短期的な仕掛売りを入れたが、板が薄く思いのほか一気に下げてしまった可能性などが考えられる。ただし、現在のシステム上では成り行きでも20銭しか下げない。20銭下げてからまた売りを入れる必要があることを考えると、その売りに乗っかったか、ここにきて相場が膠着状態となっていたことで、ある程度の値幅の動きでストップロス、つまり自動的にロスカットしなければいけない投資家の売りが継続して入った可能性がある。

 このあたり現物債と比較すればわかるが、債券先物は1円下げても10年債の利回りは0.02%程度しか上昇していない(債券の利回りと価格は反対に動く)。10年債は価格に引き直すと20銭程度の下げである。これをみても先物だけが何かしらの要因で急落したとみるのが普通であろう。先物の下落をみて現物も少し連れ安した程度となっていた。

 昨日の動きに対し、日本取引所の高橋直也広報課長は、「特にシステム面や取引面では問題はないようだ。通常の取引。誤発注という報告は来ていない」と説明したそうである(ブルームバーグ)。たしかに現在は誤発注を防ぐような仕組みにもなっており、当初売った(仕掛けた?)発注者が数量を少し間違えた可能性は残るが、その後の売りは久しぶりに動いたことで乗っかった売りやストップロスによるものではなかろうか。

 現物債などの動きを冷静にみていれば、売った向きもおかしいと感じたはずで、1円安をつけたところでショートした参加者が今度は買い戻しに一斉に走ったとみられる。しかし、元にまで戻らなかったのは、システムの売りなどテクニカルによるものの売りが残った為ではないかと思われる。

 いずれにしても6月10日に中心限月が3月限から6月限に変わり、動かなかった3月限とは違い少しは動きがでるかと6月限には期待した。10日と11日の前後場の値幅はそれぞれ10銭と11銭となり、6月限よおまえもか、と思ったが昨日の動きでどうやら6月限は動いてくれそうな気配が出てきた。やはり相場は動いてくれないと相場らしくないし、市場は低迷してしまうばかりである。

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by nihonkokusai | 2014-03-15 13:33 | Comments(0)

アベノミクスこれくしょん

 「艦隊これくしょん」というゲームをご存じであろうか。一部のゲーム好きの間で評判になり、すでにユーザー数が150万人を突破した。このゲームは2400万のダウンロードを記録したバズドラのようなスマホのゲームではない。Windowsなどのパソコン上で遊ぶゲームである。ただし、現在ではユーザー希望者が殺到しているため、ゲームの登録に制限が掛けられている状況にある。また、関連書籍やグッズなどの売れ行きも好調であり、密かなブームになりつつある。

 私もあまりの評判の良さに、登録をしてゲームをしてみたのだが、非常に良くできている。「艦これ」は、第二次世界大戦期の旧日本海軍の艦艇を題材にしたゲームで、プレーヤーは提督となり、艦艇を美少女に擬人化した艦娘を集め(コレクション)、それを強化しながら謎の敵と戦う。船は母船という言葉もあるように女性に例えられる。それを旧日本海軍の各艦艇毎に擬人化したのである。イラストやボイスは現在のアニメの要素が強く含まれ、我々の年代とはほど遠いものと思われるかもしれないが、実はこのゲーム、年配者のほうがハマる要素が存在する。

 我々の年代、40代から60代あたりの男性の多くは子供の頃に戦艦大和などのプラモデルを作ったと思う。私もそのひとりであった。戦艦武蔵や戦艦長門、空母赤城などは当然のように知っているはずである。それらが戦史に基づいて、ある程度忠実に表現されているのがゲーム「艦これ」なのである。戦艦や空母だけでなく、むしろ駆逐艦や巡洋艦などもそれぞれ一隻ごとに歴史を持っている。「艦これ」で有名なのは大和や武蔵などよりも雪風や島風、五十鈴や大井、北上といった艦船なのだが、ある程度、太平洋戦争の戦史に詳しい人であればピンとくると思う。昔の昭和の男の子だった人も興味をそそられるゲームと言える。

 このようなゲームが流行っていることは、日本の右翼化の現れといった見方も出てくるかもしれない。安倍政権も日中との領土問題から首相の靖国参拝が国際問題化しつつあり、どうも危ない方向に向かっているのではないか。艦これブームもその影響なのではないかと思われてしまうかもしれない。このようなゲームが流行る世相となっているといえば、実はそうなのかもしれない。

 それを象徴するような出来事が発生した。米紙ウォールストリート・ジャーナルは2月19日付の電子版で、安倍晋三首相の経済ブレーン・本田悦朗内閣官房参与のインタビューを掲載した。そのなかで本田氏は「日本の首相が靖国参拝を避けている限り、国際社会での日本の立場は非常に弱い」として、「われわれは重荷を背負った日本を見たくはない。自立した国としての日本を見たい」と語ったという。

 また同紙は「本田氏はアベノミクスの背後にナショナリスト的な目標があることを隠そうとしない。日本が力強い経済を必要としているのは、賃金上昇と生活向上のほかに、より強力な軍隊を持って中国に対峙できるようにするためだと語った」とも伝えた(以上、朝日新聞の報道より)。

 これに対して本田悦朗内閣官房参与は菅義偉官房長官に「記事を読んで驚いている。発言の趣旨を違えて報じている」と連絡したそうである。ただし、「私の見解ではなく、靖国神社とはそういうものだということをオフレコでざっくばらんに説明しようと思った」とも述べたそうで、個人的な意見として報じられた内容に近い発言をしていた可能性がある。

 本田参与はリフレ政策を掲げてアベノミクスを主導した張本人の一人であるが、そこからこのような発言がもし出ていたとなれば、非常に危険なことのように思われる。アベノミクスのリフレ政策のモデルとなっていたのは高橋是清による高橋財政である。そこで用いた日銀による国債引受は、財政出動を可能とするための政策であったが、軍事拡張のための財政拡大のための打ち出の小槌として使われることになってしまう。現在、日銀がデフレ脱却のためとして国債を大量に購入しているのは、軍備拡張のためであったということになってしまうのか。

 もちろんそういう意図はなかったのかもしれない。しかし、本田参与を筆頭にいわゆるリフレ派と呼ばれる人達は日銀による国債買入(引受も含む)を財政拡大とセットとして主張している。何故、巨額の国債を日銀が買い入れる必要があったり、財政を拡大する必要があるのか。本田参与からの発言とされるものからは非常に危険な臭いがする。アベノミクスはいずれコレクション(訂正)され、それが軍備拡張に使われることになってしまうのか。そんなことはあり得ないと思うが、そのリスクはゼロではない。

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by nihonkokusai | 2014-02-24 09:47 | Comments(0)

トルコが利上げして日本株が買われた理由

 2014年1月29日、日本時間の朝7時にトルコ中央銀行は臨時会合の結果を発表した。主要政策金利となる1週間物レポ金利を4.5%から10%に引き上げ、翌日物貸出金利は7.75%から12%に、翌日物借入金利は3.5%から8%に引き上げられた。これを受けて29日の東京株式市場は寄り付きから大きく上昇し、東京株式市場はほぼ全面高となった。

 このコメントを見て違和感を覚えることがない人は、金融市場に関わっている人がそれに関心を持っている人であろうか。ここにきての金融市場を取り巻く情勢に関する情報が入っていなければ、何故、トルコの中央銀行が利上げして、日本株が買われるのか、その理由について皆目見当が付かないのではなかろうか。

 かなり昔の話ではあるが、米国のミシシッピー川の水位が低下しているというだけで、日本国債が売られたことがあった。この理由について想像が付くであろうか。当時の日本の債券市場は米国債の動向と非常に連動性が高かった。その米国債はインフレに敏感になっており、インフレを示す代表的な指標としてCRBという指標が注目されていた。そのCRBインデックスは穀物相場に比重が大きくかけられていた。穀物相場は天候等に左右されやすい。アメリカの穀倉地帯はミシシッピー沿岸であり、そのミシシッピー川の水位が低下しているということは、雨が降らずに水不足ということを意味している。そのために穀物の収穫量が落ちる、そしてCRBインデックスが上昇し、米国債が売られ、日本の債券も売られるといった、まさに風が吹けば桶屋が儲かる的な発想だったのである。

 このような背景を理解できないと、今回のトルコの利上げによる日本株上昇の理由がわからなくなる。先週23日に発表された1月の中国製造業PMI速報値が前月から低下したことをきっかけに、東京市場で円高株安が進んだ。昨年末あたりまで欧州の信用不安の後退をひとつのきっかけとしての欧米の景気回復やFRBのテーパリング開始の決定などに市場参加者の目が向いていた。しかし、今年に入り市場はあらたな材料を模索するようになり、そこで目をつけられたのが新興国の動向となった。テーパリング開始で新興国からの資金が引き揚げられるとの連想も働き、財政に問題を抱えるアルゼンチン、政情不安などの問題を抱えるトルコが狙われ、さらに中国のシャドーバンキングの問題も浮上した。これらを受けてリスクオフの動きが仕掛けられた。外為市場では円やスイスフランが買われ、日米欧の株式市場は大幅に下落、米債やドイツの国債などは買われたが、ギリシャやスペインなどの国債は売られた。

 このリスクオフの動きを加速させたものとして、トルコ中央銀行の動向が材料視された。トルコは政府の汚職スキャンダルなどもあり、政情不安が市場に不安を与えるなか、トルコ・リアが急落。トルコ中央銀行は23日に為替市場で2年ぶりの直接介入を実施したものの下げ止まらず、むしろトルコ中央銀行の先週の会合での金利据え置き決定がひとつの要因となり、27日の外為市場でトルコ・リラは最安値を更新した。その後、トルコ中央銀行が緊急の金融政策決定会合を28日に開催すると発表し、この発表を受けて利上げ観測が強まり、リラは急反発した。

 そのトルコ中銀の利上げが発表されたのが、29日の朝7時となり、利上げ幅は市場の予想を大きく超えており、大胆な異次元利上げとなった。これを受けて、すでに買い戻されていたトルコ・リラがさらに上昇し、リスクオフのムードが一変し、円やスイスフランは下落し、すでに米国株式市場も反発していたことも手伝い、29日の東京株式市場は買いが先行して始まったというわけである。

 市場の動きを理解するためには、このようにそれまでの流れを掴んでおくことが重要であるとともに、市場参加者は何に注目しているのか、その感応度も意識しておかないと、このような動きは理解できなくなる。だからマーケットは面白い。

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by nihonkokusai | 2014-01-30 09:50 | Comments(0)

ルー財務長官の円安牽制発言は要注意

 アメリカのケネディ駐日大使が、和歌山県太地町で行われているイルカの追い込み漁について「非人道性を深く懸念している」として反対する立場を表明し、ツイッター上で大騒ぎになっていたようだが、16日のルー米財務長官の発言も要注意である。

 米国のルー財務長官は16日の講演において、日本経済に関し「為替に過度に依存すれば長期的な成長はない」とし、日本の為替政策を「注視し続ける」と述べた。

 ドル円の動きを確認してみると、アベノミクスが登場前の2012年10月あたりまでは、80円割れとなっていたが、そこから急速に円高調整が入り、2013年5月に103円台をつけたあと、いったんドル売りが入りドル円は6月に95円を割り込む。その後は三角持ち合いとなり、それが頂点に達した昨年11月あたりから再び円安の動きを強め、2014年に入り年初に105円台に乗せた。しかし、次第にドルの上値が重くなり、1月20日に104円を割り込んでいる。

 16日のルー財務長官の円安牽制は唐突のように受け取られたようではあるが、急に米国政府の意向が変化したわけではない。

 昨年2月のG7の共同声明を巡る解釈を巡り、明らかに日本政府からの為替に関する発言に変化が生じていたことに注目したい。このときのG7には、ルー次期財務長官は議会での承認を待っている段階であり、代わりにブレイナード財務次官が出席していた。ブレイナード氏は次期FRB理事の指名を受けている。

 この際に、匿名のG7関係筋が「G7声明は誤って解釈された。同声明は、円の過度な動きに対する懸念を示すものだった。G7は円の一方的なガイダンスを懸念している。」としていたが、この匿名のG7関係筋はブレイナード財務次官ではないかとみられている。

 本来であれば、財務長官が出席すべきG7であったが、ルー氏が財務長官として出席できない状況にあり、その意向がブレイナード財務次官に伝えられていた可能性もありうる。そもそもブレイナード氏個人の意見が出されたことも考えづらい。ブレイナード財務次官はこの際に「為替相場は市場が決めるというのは先進国間のルールだ」と述べていたが、これは明らかに日本政府への牽制と言えた。

 先日のルー財務長官の発言は、ある意味、公式に日本に対して円安政策に釘を刺した格好となる。12月のFOMCでテーパリングが決定されたが、日銀には追加緩和期待すら出ている。このため、金融政策の観点から見れば円売りドル買いの動きが強まりやすい。だからこそ、今年始めにドル円は105円台まで上昇したといえる。

 日本政府は昨年のG7以降、為替に関する発言にはかなり慎重になっており、ルー財務長官に釘を刺されるような日本政府関係者からの発言等はほとんどみられない。しかし、ここにきての日本の景気回復や物価の上昇には円安による影響がかなり大きいことも確かである。安倍首相は「景気回復を全国に届ける」と述べるなど、デフレ脱却に向けた姿勢をあらためて見せたが、それには円安以外に効果的な政策が現状は見当たらない。そのあたりも意識されてのルー財務長官による発言であったようにも思われる。

 16日のルー財務長官の円安牽制発言はすぐには影響を与えなかったものの、これをきっかけにいったん円安のトレンドが変わる可能性がある。まもなくFRBもトップが入れ替わる。為替市場ではこのFRBと日銀の金融政策を重視していることもあり、今後のドル円の動きは要注目となりそうである。

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by nihonkokusai | 2014-01-21 09:41 | Comments(0)

2014年の債券市場のテーマは需給からファンダメンタルズに

 新年あけましておめでとうございます。2014年最初のコラムは今年の債券相場を占ってみたいと思います。

 2013年の日本の長期金利は結果からみれば、1%以下で推移していたこともあり、低位安定と言えるでしょう。しかし、実際にはかなり波乱含みの展開となっていました。その大きな要因となったのが、4月の日銀による量的・質的金融緩和でした。これが債券市場の需給バランスを崩すことになり、債券市場での流動性を歪めることになりました。日本の長期金利は4月5日に一日で0.315%から0.620%まで上昇し、債券先物はサーキット・ブレーカーの発動が多発しました。5月にはFRBのテーパリングが意識されて、日本の長期金利は23日に1%まで上昇しましたが、そこが2013年の長期金利の最高値となったのです。

 5月に1%をつけた日本の長期金利はその後低下傾向となり、11月には0.6%割れとなりました。その間の東京株式市場や外為市場での円の動きについては、ほぼ横ばいで推移しており、米国やドイツの長期金利はじりじりと上昇していました。この間の日本のCPIは上昇傾向にあり、国内景気も回復しつつあったのは日銀短観などからも確認できます。

 5月から11月にかけての日本の長期金利の低下には、日銀による大量の国債購入による需給への影響が大きかったと思われます。ただし、需給以外の要因を全く無視できないことは、昨年11月以降の日本の長期金利の反転にも現れています。

 10月にあった米国の一部政府機関による景気への影響は限定的となり、むしろ米国の雇用などは思った以上に回復し、FRBのテーパリング開始が現実味を帯びてきました。テーパリングによる資産価格等への悪影響よりも、テーパリングが可能になるだけの世界的なリスクの後退と、世界経済の回復が意識されたと言えます。

 東京株式市場も11月あたりから上昇基調となり、その背景には日米の金融政策の温度差を意識した円安も影響しました。12月のFOMCでテーパリング開始が決定され、米国の長期金利は3%台に乗せました。ただし、極端な金利上昇というわけではなく、比較的緩やかな上昇となりました。

 このような環境下で2014年を迎えたわけですが、今年の日本の長期金利の動向を占う上で注目すべき大きなポイントは、やはり中央銀行の金融政策となりそうです。4月からの消費増税実施による景気と物価への影響。それを睨んで日銀の量的緩和を中心とした政策にどのような変化が起きるのか。それに対して米国FRBのテーパリングのピッチ次第では、為替市場にも微妙な影響を与えることが予想されます。

 現在の環境を見る限り、日本の長期金利が低下する要因よりも上昇する要因のほうが多いように見えます。2013年は日銀の異次元緩和もあり、国債需給が大きなテーマとなり、それが日本の長期金利の抑制要因となりました。

 しかし、2013年4月と同様な大胆な国債買入を主体とする追加緩和策は今後はかなり困難となるでしょう。やりすぎると日銀は財政ファイナンスを行っているとの認識が広まりかねません。黒田日銀の追加緩和策は、見かけ上は量より質を重視したものとならざるを得ないと思われ、その結果、市場への心理的な効果はあっても一時的なものとなると予想されます。

 2014年の債券市場のテーマは、国債需給からファンダメンタルズに移行してくるのではないかと見ています。いまのところコアCPIの1%台乗せも完全に無視された格好となっており、米国やドイツ、英国の長期金利上昇に比べて日本の長期金利の戻りもさほど大きくありません。しかし、2012年まで吹き荒れていた世界的なリスクはすでに後退しており、世界的なリスク後の世界を意識する必要があります。そのなかにあり、脱リスクではなく脱デフレを旗印に抱えた日銀が異次元の緩和策を実施していることが、むしろ日本のリスクを高めることが予想されます。

 2014年の日本の長期金利がそのようなリスクを意識し始めると、かなりの変動を起こす可能性があります。市場は需給だけで動いているわけではありません。そのあたりも今年の相場を占う上では意識する必要があります。日本の長期金利がもし1%を超えることがあると、あらたな展開を迎える可能性が出てくると予想されます。

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by nihonkokusai | 2014-01-07 09:44 | Comments(0)

FRBが創立100周年

 2013年12月23日で米国連邦準備制度理事会は100周年を迎える。1895年にアメリカの金準備が大きく落ち込み、これ対して銀行シンジケート団を動かしてアメリカからの金流出を阻止したのがJ・P・モルガンであった。銅に対する大規模な投機の失敗が銀行取り付けを誘発し、それによって迎えた1907年の金融危機に際してもきわめて重要な働きをしていた。この危機に際してJ・P・モルガンが出した提案が1913年の連邦準備制度設立のきっかけとなったとされる。

 米国は連邦制を採用し、さらに東部と西部、北部と南部といった地域的な対立などがあったことで、中央銀行の設立には大きな抵抗があった。しかし、19世紀から20世紀にかけて幾度も恐慌が発生し、銀行の倒産や企業の倒産などにより深刻な不況が生じた。このため「金融システムの安定化」が求められ、中央銀行の設立の機運が高まったのである。

 1913年に12の地区連邦準備銀行と、これを監督する連邦準備委員会がワシントンに設立された。中央銀行の設立には引き続き反対意見も多かったことから、全米の12地区に地区連邦準備銀行を設立し、それぞれの地区で銀行券である連邦準備券が発行され、各行ごとに公定歩合が設定されることになった。

 この大きな節目の年に、FRBも金融政策や人事面において、マイナーチェンジを迎える。12月17日、18日FOMCにおいて、テーパリングと呼ばれるFRBの量的緩和策の縮小開始が決定される可能性が出てきている。

 さらに人事面では、来年1月末でバーナンキ議長の退任が決まっており、後任の議長にはイエレン副議長が就任する見込みとなっている。そのイエレン副議長の最有力候補にスタンレー・フィッシャー氏の名前が挙がっている。フィッシャー氏は、現代を代表するマクロ経済学者のひとりであり、バーナンキFRB議長やドラギECB総裁は同氏の教えを受けている。米国とイスラエルの両国籍を持ち、大統領はすでに副議長指名を提案し、フィッシャー氏は受け入れたとされている。

 フィッシャー氏がもしFRBの副議長となれば、その影響力は無視できなくなるのではなかろうか。議長となるイエレン氏はハト派の代表格ともいえるが、金融政策運営については、みずからの主張よりもメンバーの意向をより強く反映させてくるとみられる。そのなかでもフィッシャー氏の存在感は強くなることが予想される。フィッシャー氏は大学教授だけでなく、世界銀行チーフエコノミスト、IMF筆頭副専務理事、民間銀行、さらに今年6月まではイスラエル銀行の総裁だったのである。

 FRBはバーナンキ体制から、実質的にイエレン議長とフィッシャー副議長のツートップ体制に移行する可能性もあり、来年2月からの政策運営はたいへん興味深いものとなる。非常時から平時の対応に移行するにあたり、出口に向けてどのような政策手段を講じてくるのか。テーパリング開始のあとは、フォワード・ガイダンスを政策手段の柱にするとみられていたが、バーナンキ路線をそのまま引き継ぐとも考えづらい。100周年を迎えたFRBは来年2月から人心も一新し、より現実的な金融政策に移行してくる可能性がある。

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by nihonkokusai | 2013-12-16 09:46 | Comments(0)

ECBは立ち止まって様子見のタイミングか

 12月6日の日経電子版の清水功哉編集委員の記事「ECB緩和「予告」した黒田総裁 QQE2もサプライズ型に?」は次のような書き出しで始まっていた。

 『「私は欧州中央銀行(ECB)が今回動くような気がしますが……」。市場を驚かせた11月7日のECBによる利下げの前に、そんな言葉を発していた人物が日銀内にいた。誰か? 実は黒田東彦総裁だったというのが関係者の話だ。』

 「兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧久なるを睹ざるなり」との孫子の言葉があるが、金融政策において、特に緩和についてはサプライズ効果も意識して行う方が効果的である。黒田日銀総裁も、日銀プロパーではない黒田氏が総裁就任から短期間で追加緩和策をまとめ上げ、他の委員の同意を得るのは難しいとの市場の見方を覆し、3月20日の就任から2週間程度で異次元緩和策を決定した。これはサプライズ効果も多分に意識したものとみられる。11月7日のECB理事会で決定した追加緩和もタイミングとしては面白いと黒田総裁は意識していたのではなかろうか。

 私の個人的な見方としては、ECBは残り少ないカードを使うタイミングを計っていたと思う。それが11月の追加緩和となった。ただし、できればそれで打ち止めとしたいとの意向もあったのではなかろうか。

 11月のサプライズ緩和により、市場ではマイナス金利を含めた追加緩和への期待も出ていた。しかし、12月5日のドラギ総裁の会見内容などから見て、早期の追加緩和に対して過剰な期待は抱かないほうが良いのではないかと思われる。

 12月5日のECB政策理事会後の記者会見で、ドラギ総裁はECBにはユーロ圏経済を支えるために新たな政策措置を導入する用意があると述べたものの、どの政策措置を利用するかについては具体的に決めていないと発言した(ロイター)。

 一部の市場参加者が期待している追加長期流動性供給オペ(LTRO)についても、供給される資金が景気支援に使われると確信できるまで実施しないとの考えを示した。さらに、この日の理事会では特定の政策措置に関する討議は行われなかったものの、銀行の融資拡大を促すため、預金金利をマイナスに引き下げる案について「簡単に議論」したことを明らかにした。マイナス金利については毎回、簡単な議論は行われていると思うが、ある意味、非常時の対策ともなるマイナス金利やLTROを実施しなければならないほどの危機的状況にはない点にも注意すべきである。

 今回のECBの金融政策の据え置きについては、11月のユーロ圏消費者物価指数速報値が前年比0.9%上昇と10月の0.7%の上昇から伸びが加速し、10月のユーロ圏失業率が低下したことで市場では金利据え置くとの見方が多かった。ただし、金融政策は足下の経済指標で毎度のように変更するようなものではない。もちろん、リーマン・ショックや欧州の信用不安のような金融危機時に、何かの要因で金融市場が動揺を示したような場合には、市場安定の目的で金融政策を変更せざるを得ないような場面もあった。それはあくまで非常時の対応であり、現在の市場をみても危機的状況からはすでに脱しており、金融政策も平時の対応に戻りつつある。

 12月のECB理事会では、追加緩和の要請は誰一人として提案が無かったそうである。今後の追加緩和については含みを持たせており、可能性がないとは言えない。もしかするとあらたなドラギ・マジックを見せるかもしれない。しかし、すでに1年前とは金融政策を取り巻く環境は大きく変化している。FRBもテーパリング開始のタイミングを伺っている。イングランド銀行も軸足を出口に向け始めた。欧州はまだかなり問題を抱えているのも事実であり、出口に向けての方向転換は時期尚早ではあろうが、そろそろ立ち止まって様子をみるタイミングに入っているのではないかと思われるのである。

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by nihonkokusai | 2013-12-08 09:02 | Comments(0)

投資家の国債市場に対する見方

 11月25日に財務省で開催された国債投資家懇談会(第52回)の議事要旨が公表された。国債投資家懇談会とは、「国債の消化を一層確実かつ円滑なものとするとともに、国債市場の整備を進めていくため、国債の投資家と直接かつ継続的に意見交換を行う」(財務省)会合である。こちらは国債市場特別参加者制度に基づく国債市場特別参加者会合とは異なり、特に一定の優遇措置といった意味合いではないが、国債を購入している投資家と国債を発行している財務省が意見交換をすることも重要であり、このような場が設けられている。

 ちなみに国債市場特別参加者会合と国債投資家懇談会の参加者は、何がどう違うのか。債券市場関係者以外の方には、わかりづらいかもしれない。国債市場特別参加者とは、そのメンバー表を見てわかるように証券会社とメガバンクである。このメンバーは業者と呼ばれ、国債を発行する際には、発行体の財務省と国債を保有する投資家の間を取り持つ存在となる。簡単に言えば、生産者と消費者を結ぶ流通業者と同様である。投資家が国債を売買する際もこの業者が頼りとなる。国債の「相場の動向」については業者が専門家となるが、最終的には需給が大きく影響することで、投資家の動きが直接、市場に影響を及ぼすことになる。業者と投資家は発行体の財務省とともに、国債市場を形成している大きな存在となっている。もちろん別途、日銀のような存在もあるが。

 その投資家が現在の国債市場をどのように見ているのか。最近の国債市場の状況と今後の運用見通しについての意見では、「最近金融機関の貸出が多少伸びてはいるが、民間の資金ニーズは本格化していない」との意見が複数出ていた「製造ラインを増やす等の設備投資につながるまでには至っておらず、金融機関としては資金需要が見出せない状況である」との意見もある。このため銀行などは債券で運用せざるを得ない状況が継続している。ただし、金利水準が低いため積極的に購入する状況ではないとの意見も出ていた。

 「債券運用にならざるを得ないが、積極的に投資できる環境ではないため、余資を日銀当座預金に積み上げ金利上昇を待つ状況となっている」との声もあった。金融機関は日銀の異次元緩和に積極的に協力しているわけではなく、当座預金口座に資金を置いておかざるを得ない状況にあるとも言える。ただし、このような意見もあった。

 「当社は、ALMの観点から超長期債の購入ニーズは潜在的にあるものの、資金コストを下回るような金利水準であり、流動性も低いことから投資を見送っている。そのような中、日銀当座預金ではなく、為替ヘッジ付き外債への投資を行っているほか、金利上昇時には再度長期化を行えるよう年限の短い国債を購入しているところである。」

 金利水準の低さや流動性の低下も指摘されている。金利水準が上昇すれば購入したいという声も出ており、その分、押し目買いニーズも強い。ただし、どのような理由で金利が上昇するかによって、その押し目買いスタンスにも変化が生じることが予想される。

 「きっかけは分からないものの、現在の相場は、今後大きく反転する可能性も十分考えられることから、引き続き警戒感を持っている。」

 これは投資家のみならず業者も含めて、その警戒心は強いと思われる。リーマン・ショックや欧州の信用不安により、世界的な金融経済危機が生じていた際には、リスク回避から国債に資金を振り向けざるを得なかったが、その世界的なリスクは大きく後退してきた。株価も上昇しており、円安の進行など外部環境はかなり変化してきている。

 ただし、「日銀がインフレ率2%を達成するのはまだ先であり、金利が上昇するまでには時間がかかるだろう」との見方もあり、金利は低水準を維持している。

 「金利が非常に低い今こそ、財政の健全化を進めないと、長期的な意味で我が国の経済・国民生活を維持することは非常に困難」

 投資家もこのあたりに目を配っていることにも注意しておく必要がある。

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by nihonkokusai | 2013-11-29 09:37 | Comments(0)

日銀が出口に向かう時

 日本の金融市場の行く末を見るとき、日銀の動きが非常に重要視されるであろうことは間違いない。昨年のアベノミクスの登場をきっかけとした円高調整と株高については、日銀の大胆な金融政策が多少なりとも影響したことも確かである。ただし、ここにきて米国株式市場が過去最高値を更新しているのは、アベノミクスや日銀の異次元緩和に依るものではない以上、東京株式市場の上昇要因は海外情勢の変化にかなり依存していることも確かであろう。

 日銀の黒田東彦総裁は11月22日の衆院財務金融委員会で、FRBが議論している量的金融緩和の縮小などの出口戦略について「現時点で具体的なイメージをもって話すのは適当でないが、私どもとしても将来十分参考にさせてもらえる」との考えを示した(日経新聞)。

 FRBは早ければ12月、場合によると1月のFOMCで量的緩和の縮小開始を決定してくることが予想している。雇用等の数字次第ではあるが、バーナンキ議長の任期中にとにかく出口に向けた道筋をつけてこよう。いったん縮小が開始されると、意外に早い段階で国債やMBSの新規の買い付け額をゼロに落としてくることが予想される。これにより、まず第一段階が終了する。次にFRBは保有する国債やMBSの残高縮小に動くであろう。ただし、こちらはゼロまで落とす必要はない。市場、特に米国債市場に悪影響を与えかねない国債の「売りオペ」についても慎重になると予想され、償還された国債を乗り換えないなどで自然に残高を落としてくるのが、第二段階となろう。最終的な利上げという第三段階までにはインフレ等の懸念が出ない限り、かなり時間を使ってくることが予想され、その分、緩和効果を発揮させて市場のマインドに働きかけようとしてくるのではなかろうか。

 それに対して日銀の出口政策はどうするのか。日銀が出口に向けて姿勢を変えることそのものがかなり見通しづらい。今後は日銀が国債を大量に購入することで物価が上がるわけではないことが、徐々に理解されはじめてこよう。それがより明らかとなりそうなのが、来年4月の異次元緩和一周年の中間報告ともなる展望レポートの見通しか。

 ただし、物価については4月からの消費増税の影響を受ける。このため物価そのものは上昇していることが予想され、異次元緩和効果と消費増税の影響をはっきり峻別ができなくなることも予想される。消費増税による景気への悪影響を意識して、日銀は追加緩和を行ってくるとの予想も強いが、そもそも異次元緩和が物価上昇には寄与しないことがはっきりすれば、さらなる異次元緩和の意味がなくなる。また、欧米の中央銀行とベクトルが異なることの影響も気になる。このあたり、なかなか興味深い事例ともなりうる。

 いずれにしても日銀が出口を模索するのはかなり先と思うが、来年4月からは、このあたりの空気が変化してくることも予想される。大胆な国債買入が物価に直接影響を与えないとなれば、それを削減することによる「物価や景気への影響」はかなり限定的となろう。それよりも、債券市場への影響や財政との兼ね合いの方が意識されるかもしれない。こちらも元に戻るだけとなれば、国内を中心に国債の買い手はいる以上、むしろ債券市場からクジラがいなくなる分、流動性も以前のように回復してくることも考えられる。

 ただしこれは物価の上昇等を背景に長期金利が2%を大きく超えるようなことはなく、長期金利の低位安定が継続していたのならばという前提条件が付く。実は日銀の目指す消費者物価指数(除く生鮮)の消費増税の影響を差し引いた2%という目標が本当に達成されて、それにより長期金利が2%を超えて上昇してきたときこそ、日銀の出口政策をかなり困難にさせることが予想されるのである。

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by nihonkokusai | 2013-11-26 09:58 | Comments(3)

注目度が低い日銀金融政策決定会合だが

 11月20日から21日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催される。11月7日のECB政策理事会ではタイミングとして意外感のあった利下げを実施した。13日にイングランド銀行のインフレレポートが発表され、イングランド銀行のカーニー総裁は、必要なら2015年の選挙前に金利を引き上げる用意があると言明した。11月14日のイエレンFRB副議長の議会証言では、米国経済や雇用情勢に対して慎重な姿勢を示し、テーパリング開始時期が先送りとの認識が強まった。

 このように欧米の中央銀行の金融政策に注目が集まるなか、日銀の金融政策の行方については、さほど関心が高まっていない。為替市場や株式市場の一部では、毎回の決定会合で追加緩和への期待も出ているようだが、まさに期待と言うより願望に近い。現状、日銀が動く気配はない。まさに動かざる事、日銀の如しである。

 日銀は4月4日に異次元緩和を決定した。その規模は確かに大胆なものであり、アベノミクスの最初の矢が放たれた。その後、黒田総裁は「戦力の逐次投入をせず、現時点で必要な政策をすべて講じた」とコメントしていたように、かつての日銀が行っていたような微調整のようなことは行わないと宣言している。

 アベノミクスの登場から1年が経過したが、日銀の異次元緩和というバズーカ砲を打つ前に、安倍首相のリフレ政策宣言をきっかけに急速な円高調整が進み、東京株式市場も上昇した。円安の影響もあり、景気は回復基調となり、日銀が目標としている物価についても、0.7~0.8%近辺まで上昇してきている。この結果を見ても、日銀が特に金融政策を変更する必要性は見当たらない。

 今回の金融政策決定会合でも金融政策については現状維持が決定されよう。しかし、このような環境が今後も続くわけではない。うまく行っている間は特に問題は表面化せずとも、日銀が動かざるを得ない状況に追い込まれたときが問題となる。

 歴史上まれにみる大胆な金融緩和政策を行ってきた日米欧の中央銀行は、ここにきて足並みが乱れてきている。その背景には非伝統的手段を講じなければならなかった世界的なリスクの後退がある。イングランド銀行はいち早く向きを変え、FRBも向きを変えるタイミングを計っている。ECBはまだ慎重ながら、アイルランドは金融支援を脱却すると宣言し、14日にはスペインの支援脱却も決まった。足下景気の動向は気になるが、少なくともユーロ圏の信用不安による非常事態宣言はそろそろ解除されてもおかしくはない。

 このような状況下、日銀だけが非常時の対応を倍返しで行っている状況にある。すでに舵は取り払われて、目的地(コアCPI2%)に到達するまでは、突っ走るしかない。必要となれば追加緩和を行うとしているが、残念ながら異次元の緩和は2度はできない。

 まだ先の話ではあるが、来年4月には消費増税がスタートするとともに、異次元緩和から1年が経過し、中間報告も必要となる。すでにアベノミクスの仕掛け人の一人、浜田宏一・内閣官房参与(イエール大学名誉教授)は15日の都内の講演で2%の物価目標が達成できなくとも景気への好影響が確認できればよいとし、岩田規久男・日銀副総裁が物価目標未達を理由に辞任する必要はないと指摘した。2%という錦の御旗を下ろしてもよいとの指摘である。しかし、そう簡単に下ろせるものでもないはずである。

 日銀は現在、何もしなくても良く、帆を上げていれば風が押してくれている。その風向きが変わったり、さらに目標が遠ざかったときに何をしてくるのか、何ができるのか。現在は注目度が低下しつつある日銀の決定会合ではあるが、実はかなりの不透明な材料を抱えていることもまた事実であり、それは時が経つにつれてさらなる矛盾を抱え込み、政策変更をより困難にさせる可能性がある。



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by nihonkokusai | 2013-11-20 09:59 | Comments(0)
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