牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

4月に都銀は超長期国債を大量売り越し、期初の売りか

 5月20日に発表された4月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は1兆3560億円の売り越しとなった。3月の1796億円の買い越しから大量の売り越しに転じた。国債の投資家別売買高をみると都銀は、中期債は917億円買い越していたが、長期債は682億円の売り越し、そして超長期債は1兆3923億円もの売り越しとなっていた。4月ということもあり、いわゆる期初の益出しの売りとみられる。

 これに対して海外投資家は4月も2兆1923億円の買い越しとなり、引き続き最大の買い越し主体となっていた。3月は1兆7688億円の買い越し、2月は9769億円の買い越しとなっていた。海外投資家は4月に中期債を1兆1230億円買い越し、長期債を7463億円買い越し、超長期債を2106億円買い越していた。

 信託銀行は6303億円の売り越し、農林系金融機関も6912億円の売り越しとなっていたが、こちらも都銀と同様に益出しのための売りかと思われる。「その他」は今回も売り越していたが7419億円と、3月の2兆477億円の売り越し。2月の2兆2128億円の売り越し、1月の2兆2640億円売り越しからみて売り越し額は減少した。

 債券相場は今年に入り1月の下落基調から、2月は回復基調となった。その後、3月以降は債券先物で150円台後半主体のもみ合い相場が現在まで続いている。債券先物は151円台に乗せる場面はあっても戻り売りに押され、方向感に乏しい展開となっている。現物債の商いも低迷し、債券先物は値幅が10銭に満たない日も多くなってきている。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高 ()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 13560(13923、682、-917)

地方銀行 -4647(-656、-2701、-260)

信託銀行 6303(24、-313、5515)

農林系金融機関 6912(-1102、7788、-19)

第二地銀協加盟行 -997(-183、-428、50)

信用金庫 -1034(-237、895、39)

その他金融機関 342(254、1203、317)

生保・損保 -2264(-2309、772、325)

投資信託 -1130(-589、-841、903)

官公庁共済組合 -337(-278、0、0)

事業法人 -755(2、-247、0)

その他法人 1275(928、-189、926)

外国人 -21923(-2106、-7463、-11230)

個人 209(1、22、2)

その他 7419(4218、5690、1907)

債券ディーラー -756(234、-749、-199)


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-25 09:35 | 債券市場 | Comments(0)

トルコの通貨が急落している背景とは

 トルコの通貨、トルコリラがここにきてさらに下げ足を速めてきている。対円では今年初めに30円台にあったのが、23日に一時22円台にまで急落した。対ドルでも最安値を更新している。

 FRBの金融政策の正常化に伴う利上げによって、新興国に流れていた資金が米国などに環流しやすいなかにあって、特にトルコリラが大きく売られているのには理由がある。

 トルコリラはいわゆる高金利通貨とも呼ばれているように、インフレ率が高いことで金利も高い。トルコ経済そのものはしっかりしているが、輸入の依存度が高く、ここにきての原油価格の上昇もあり、インフレ懸念が強まっている。通貨安や物価の上昇に対してトルコ中銀は利上げによって対処しようとしていたところに、待ったを掛けた人物がいた。エルドアン大統領である。

 トルコは6月24日に大統領選と国会議員選を控えている。2003年に首相に就任したエルドアン氏は、インフレ対策としてデノミネーションを実施し、インフレを抑制させ、トルコ経済の回復に寄与した。エルドアン氏はその後、トルコで初めて直接選挙で大統領が選ばれることとなった2014年の大統領選挙に立候補して当選した。

 6月24日の大統領選挙でも、いまのところエルドアン氏が優位と伝えられているが、予断は許さない。エルドアン大統領は選挙も意識してか、年金支給などを利用してのバラマキ政策を行っている。そしてエルドアン氏は「金利を下げれば、インフレも低下する」という持論を展開したことにより、それが今回のトルコリラ急落のきっかけとなった。

 政治家が中央銀行の利上げを嫌うのはどこの国でもあることながら、利下げによって物価上昇を抑えるというのは理屈に合わない政策である。ただし、異次元の金融緩和策を講じても、一興に物価が上がらない国もあるため、一概にエルドアン氏の経済運営能力に疑いをかけるというのもどうかと思うが、とにかく市場ではエルドアン氏の金融経済に関する姿勢に疑問を投げかけた。

 問題となるのはエルドアン氏は、この持論を展開するためか、6月の大統領・議会選後に金融政策への影響力拡大を望むと発言したことである。これに市場が動揺を示した。トルコ中銀の独立性が失われれば、インフレ圧力は強まり、それによって通貨安に歯止めが掛けられなくなるとの見方も出てきた。某国の中央銀行も政治的な圧力を受けているように見えるが、それはさておき、そこにあらためて登場したのが、格付け会社となる。

 格付け会社フィッチ・レーティングスは「トルコの金融政策は以前から政治の制約を受けてきた。しかし中銀の独立性を低下させようとするあからさまな脅威は、政策決定環境と政策の有効性に対するリスクを増大させる」と指摘した(ロイター)。

 これを受けてトルコリラの売りが加速したようである。ここに個人投資家などからの売りも入り、売りが売りを呼ぶような展開となってきている。いまのところどこまで下げるのかは見通しづらいが、トルコリラの下落が金融市場のリスク要因となりつつあることも確かである。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-24 10:51 | 国際情勢 | Comments(0)

トルコの通貨が急落している背景とは

 トルコの通貨、トルコリラがここにきてさらに下げ足を速めてきている。対円では今年初めに30円台にあったのが、23日に一時22円台にまで急落した。対ドルでも最安値を更新している。

 FRBの金融政策の正常化に伴う利上げによって、新興国に流れていた資金が米国などに環流しやすいなかにあって、特にトルコリラが大きく売られているのには理由がある。

 トルコリラはいわゆる高金利通貨とも呼ばれているように、インフレ率が高いことで金利も高い。トルコ経済そのものはしっかりしているが、輸入の依存度が高く、ここにきての原油価格の上昇もあり、インフレ懸念が強まっている。通貨安や物価の上昇に対してトルコ中銀は利上げによって対処しようとしていたところに、待ったを掛けた人物がいた。エルドアン大統領である。

 トルコは6月24日に大統領選と国会議員選を控えている。2003年に首相に就任したエルドアン氏は、インフレ対策としてデノミネーションを実施し、インフレを抑制させ、トルコ経済の回復に寄与した。エルドアン氏はその後、トルコで初めて直接選挙で大統領が選ばれることとなった2014年の大統領選挙に立候補して当選した。

 6月24日の大統領選挙でも、いまのところエルドアン氏が優位と伝えられているが、予断は許さない。エルドアン大統領は選挙も意識してか、年金支給などを利用してのバラマキ政策を行っている。そしてエルドアン氏は「金利を下げれば、インフレも低下する」という持論を展開したことにより、それが今回のトルコリラ急落のきっかけとなった。

 政治家が中央銀行の利上げを嫌うのはどこの国でもあることながら、利下げによって物価上昇を抑えるというのは理屈に合わない政策である。ただし、異次元の金融緩和策を講じても、一興に物価が上がらない国もあるため、一概にエルドアン氏の経済運営能力に疑いをかけるというのもどうかと思うが、とにかく市場ではエルドアン氏の金融経済に関する姿勢に疑問を投げかけた。

 問題となるのはエルドアン氏は、この持論を展開するためか、6月の大統領・議会選後に金融政策への影響力拡大を望むと発言したことである。これに市場が動揺を示した。トルコ中銀の独立性が失われれば、インフレ圧力は強まり、それによって通貨安に歯止めが掛けられなくなるとの見方も出てきた。某国の中央銀行も政治的な圧力を受けているように見えるが、それはさておき、そこにあらためて登場したのが、格付け会社となる。

 格付け会社フィッチ・レーティングスは「トルコの金融政策は以前から政治の制約を受けてきた。しかし中銀の独立性を低下させようとするあからさまな脅威は、政策決定環境と政策の有効性に対するリスクを増大させる」と指摘した(ロイター)。

 これを受けてトルコリラの売りが加速したようである。ここに個人投資家などからの売りも入り、売りが売りを呼ぶような展開となってきている。いまのところどこまで下げるのかは見通しづらいが、トルコリラの下落が金融市場のリスク要因となりつつあることも確かである。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-24 10:51 | 国際情勢 | Comments(0)

メガバンクが規格統一で合意したQRコード決済(BankPay)はキャッシュレス化への本命か

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFGはQRコードの規格を統一することで合意したと日経新聞が伝えた。

 QRコードと呼ばれるものは、1994年にデンソーの開発部門(現在はデンソーウェーブ)が開発したマトリックス型の二次元コードである。QRコードはデンソーウェーブの登録商標となっているが、特許権者のデンソーウェーブは、規格化された技術に対し特許権を行使しないと宣言していることから、様々な分野に利用されている。

 今回の「BankPay(バンクペイ)」と呼ばれるメガバンクが規格統一で合意したQRコード決済とは、小売店や飲食店でQRコードにスマートフォンをかざすだけで、現金を使わずに支払える決済方式となる。基本的に全てのアンドロイド端末やiPhoneで利用できる。

 中国系のAlipay、WeChat Payが、QRコードを使った決済を一気に普及させ、日本でもLINE Pay、楽天ペイ、Origamiといったサービスが登場したが、それほど普及は進んでいない。

 しかし、バンクペイについては普及が一気に進む可能性がある。3メガバンクを合わせた個人預金口座数は合計で9千万を超えるとされる。メガバンクのQRコード決済が普及すれば、ATMでお金を下ろす、クレジットカードを使う、といった手間が省けて、自分の口座から直接代金支払いが可能となる。

 あくまで個人的な感想ではあるが、これまでの国内でのLINE Pay、楽天ペイ、Origamiなどは、自分の口座を持つ銀行以外の第三者を通じて決済を行うことにやや抵抗があった。しかし、取引銀行と直接やりとりできるのであれば安心感も違う。

 膨大なメガバンクの口座にひも付いたバンクペイが広がれば、このシステムを基盤に国内系のQR決済が1つにまとまる可能性も出てくる(日経新聞)。

 注意すべきは、メガではなくギガバンクとも呼ばれているゆうちょ銀行の動向か。すでにゆうちょ銀行はQRコードを使ったスマートフォン決済サービス(ゆうちょPay)を来年2月から始めると発表している。「バンクペイ」と「ゆうちょPay」が規格統一できれば、普及は一気に進む可能性がある反面、それぞれの規格を進めるとなると利用者にとっては不便なものとなりかねない。日本のキャッシュレス化を進行させるためには、統一性が必要になるのではなかろうか。



[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-24 08:57 | 金融 | Comments(0)

イタリアは政府紙幣の発行と言う奇策を講じる気なのか

 ここにきてイタリアの国債利回りが急上昇している。5月7日に1.75%あたりにあったイタリアの10年債利回りは21日に2.40%近辺まで上昇している。この原因となっていたのが、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」の連立構想であった。

 両党による政府の政策草案とされているものによると、加盟国にユーロ離脱を認める域内での手続き導入が提案されているほか、2500億ユーロ(約32兆5300億円)のイタリア政府の債務を帳消しにするよう欧州中央銀行(ECB)に要請する方針が盛り込まれていたとされるが、これについては否定された。

 ユーロ加盟国は財政赤字を3%以内に抑えるよう求められているが、これに対して両党は財政ルールの見直しを求めるとされている。そして、これとは別に小額国債を乱発するとの臆測が流れていた。実際に同盟のボルギ報道官は、共通政策議題に短期政府債発行が含まれると明らかにした。

 ブルームバーグの下記記事などによると、どうやらこの小額国債というのは、通常の国債ではないようである。これは国債というよりも政府紙幣ともいえるものである。

参照記事

https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-05-21/mini-bots-the-monster-under-the-bed-for-european-investors

https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-05-21/why-mini-bots-loom-big-for-investors-in-italy-assets-quicktake?utm_source=google&utm_medium=bd&cmpId=google

 「mini-BOT」と呼ばれるこの短期政府債は、1ユーロから500ユーロまでの小額の額面となり、国債と言いながらも利息は支払われず、償還期限もない。また額面を政府が保証するという、どう見ても政府紙幣となる。ただし、ユーロ圏の法定通貨を発行できるのは欧州中央銀行(ECB)だけであることから、これは法定通貨ではないと主張している。

 ただし、両党によればこれは国債であっても政府債務には含まれず、財政赤字の3%ルールには該当しないというようなかなり強引な主張をしている。

 ここにきてのイタリア国債の利回り上昇の背景にはこの「mini-BOT」構想も要因としてあったようである。ブルームバーグによると過去にこのような政府紙幣を発行した最近の例として、2000年代初頭のアルゼンチン、2009年のカリフォルニア州の例などを挙げているが、いずれもどうしようもなくなってしまって追い込まれての非常手段であった。

 ところがイタリアの財政は確かに悪化しているものの、日本ほどではないし、それほど財政赤字が懸念されて危機的状況にあるわけではない。それにも関わらず、このような発想が出てくることは、むしろこれによってイタリアの財政を危機的状況に追い込む懸念が出てくる。そのためイタリアの国債利回りが急上昇することによって警戒信号を点滅させたと言えよう。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-23 09:34 | 国債 | Comments(0)

ドル円は113円、米長期金利は4%、原油先物は80ドルに向けて上昇か

 18日の外為市場でドル円は今年1月以来の111円台回復となった。その後、イタリアの政局が不安視されたこともあり、リスク回避の動きから円が買われたことで、いったん110円60銭あたりまで下落した。しかし、21日には再び111円台を回復させており、ドル円の上昇基調は継続している。

 ドル円の目先の節目となりそうなのが、今年初めの水準でもある113円台か。ドル円の上昇要因のひとつが米長期金利の上昇となっている。17日の米国債券市場で、米10年債利回り(長期金利)は3.11%と2011年3月以来の水準を付けた。2011年2月には3.5%台をつけていることもあり、ひとまず3.5%が目先の目安となる。しかし、トレンドラインを上抜けしていることもあり、チャート上からは米長期金利が4%に接近してくる可能性もないとはいえない。

 米長期金利の上昇の背景にあるのが、FRBの正常化に伴う利上げとなる。しかし、中短期債が利上げを織り込んで上昇してきても、長期金利は物価の上昇が抑制されていたこともあり上昇ピッチが鈍かった。このため米国の長短金利差が縮小した。ところが原油価格の上昇もあって、物価の上昇観測も出てきたことから、長期金利も3%と言う大きな節目を抜いてきた。

 米国の物価の押し上げ要因となりそうなのが原油価格の動向である。原油価格の指標とされるWTI先物は70ドルの大台を回復した。こちらも指標となっている北海ブレント原油価格が、2014年以来初めて80ドルに上昇した。イランを巡る中東情勢への懸念も原油価格の上昇要因となっているが、そもそものOPEC等の減産による需給バランスの改善が進んでいることが背景にあろう。そこには米国を主体とする世界的な景気改善による需要の改善も影響している。

 原油高とそれによる米長期金利の上昇、それによるドル円の上昇という「風が吹けば桶屋が儲かる」的なシナリオが、果てしてどの程度まで続くのか。この動きを阻害する要因はあるのか。

 中東でのイランを巡るリスクに加え、欧州ではイタリアの五つ星運動と同盟による連立政権の樹立によるイタリア財政の悪化も懸念材料となってきている。また、米朝首脳会談は本当に実現可能なのかという懸念もある。そもそも米国を主体とする景気の改善は今後も続くのかとの疑問もある。

 当然ながら景気には波がある。日本の景気についても今年1~3月期GDPがマイナス成長となり、4月の日銀短観では景況感が悪化していた。しかし、これで景気回復のサイクルが終了したとの見方も、いまのところは早計かと思われる。

 原油価格の上昇を受けても物価が過熱することもなく、これはむしろ息の長い景気の回復を可能にするのではなかろうか。米国では中間選挙を睨んでトランプ政権は景気の回復に躍起になることも予想される。トランプ政権そのものがリスク要因に見えなくもないが、いまのところは期待が懸念を上回っているように思われる。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-22 10:07 | 金融 | Comments(0)

欧州中央銀行(ECB)は利上げのタイミングを来年にも模索か

 ECBの政策委員会メンバーであるビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、14日にパリでユーロ圏経済の1~3月の減速について、一時的なものとの見方を示し、依然としてECBがQEを年内に終了させる公算が大きいことを示唆した(ブルームバーグ)。

 ちなみにユーロ圏の1~3月期の成長率は0.4%と、前四半期の0.7%から大きく低下していた。これについて欧州委員会は問題視せず、通年では10年ぶりの高水準だった2017年とほぼ同程度になるだろうと予測している(ブルームバーグ)。

 ECBの債券買入額は今年1月からこれまでの月600億ユーロから300億ユーロに減額した。そして、債券買入は少なくとも今年9月末まで継続するとしている。ただし、必要に応じて9月以降も延長するとしている。そして、インフレ率の2%近辺という物価目標に向けた調整の進展を確認したところで買入は停止するとした。その後の利上げについては、純資産買い入れの停止後、「十分な期間」を置いてから着手するとしていた。

 ECBはまずガイダンスの修正と資産買入の停止方法を模索している。3月の政策理事会では、債券購入を巡るフォワードガイダンスから、規模拡大の文言を削除した。つまり、金融政策の方向性としては追加緩和を探るのではなく、緩和にブレーキを掛けて出口を模索する方向に転じたともいえる。

 そして、4月のECB理事会では主要政策金利の据え置きを決定、ガイダンスも維持した。ドラギ総裁は会見で、先行きの金融政策について議論しなかったと述べ、市場では資産買入の停止には時間を掛けるのではとの観測が強まった。

 いまのところECBが今年、何をしようとしているのか筋書きが読めない。1~3月期のユーロGDPが予想以上に減速していたことで、慎重なドラギ総裁がより慎重になるのではとの見方も出ていた。

 そんなところに中核国のフランスの中銀総裁から、「初回利上げの時期についてガイダンスを付け加えれば、相当期間というのは少なくとも数四半期という意味で、数年ではない。またインフレ見通しに左右される」と述べ、「債券購入の終わりは近づいている。9月であるか12月であるかは重大な問題ではない」と付け加えた(ブルームバーグ)。

 ECBとしては債券買入停止後にあらためて利上げを検討するというのがシナリオではあろうが、「十分な期間」というのは数年ではなく、来年中という可能性が出てきた。もちろんインフレ見通しに左右されると述べていることで不透明感は残るものの、今年12月あたりまでには債券の買入を停止させ、来年には利上げのタイミングを模索するというのがメインシナリオになりつつある。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-21 14:28 | 中央銀行 | Comments(0)

3月に中国は米国債保有高を削減どころか増加させていた

 米財務省が公表している米国債国別保有残高をもとに、中国などによる米国債の保有状況を確認してみたい。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」 http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 これによると3月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっている。3月時点の中国の米国債保有額は1兆1877億ドルとなり、2月に比べて110億ドル増加していた。

 今年1月に中国当局が米国債の購入縮小もしくは停止を検討していると報じられたが、その後中国当局が米国債購入の縮小または停止を検討しているとの報道は否定している。さらに3月23日には崔天凱・駐米大使は米国債の購入減額について「あらゆる選択肢を検討している」と含みを持たせた。つまり、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段を講じる可能性を示した。

 中国による米国債の保有高は今年1月は昨年12月に比べて減少していたが、2月と3月は「増加に転じ」昨年12月の水準に戻している。3月末現在では、報復措置として米国債の購入を減額するなどの手段は講じられてはいないようである。

 ちなみに中国の外貨準備高は2月は前月比270億ドル減の3兆1340億ドルと13か月ぶりに減少していたが、3月末の外貨準備高は前月比90億ドル増の3兆1430億ドルと再び増加に転じていた。

 今回も2位となっていた日本による3月の米国債保有額は1兆435億ドルとなり、前月比では160億ドルの「減少」となっていた。これにより中国との保有額の差が拡大した。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-21 09:34 | 国債 | Comments(0)

イタリアが政府債務を帳消しにするようECBに要請?

 イタリアでは、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党の「五つ星運動」と反移民を掲げる「同盟」が13日、新政権樹立へ包括的な合意に達したと明らかにした(WSJ)。

 両党は15%の均一税率や新たな社会保障の導入のほか、不評な年金改革を撤回することを提唱している。

 政府の政策草案とされているものによると、加盟国にユーロ離脱を認める域内での手続き導入が提案されているほか、2500億ユーロ(約32兆5300億円)のイタリア政府の債務を帳消しにするよう欧州中央銀行(ECB)に要請する方針が盛り込まれていた(WSJ)。

 市場では最悪のシナリオとなっていた「五つ星運動」と「同盟」の連立政権が樹立しても、ユーロ離脱に向けた動きは出ないとの見方も強かった。ところが、今回の政策草案とされているものが明らかになったことを受けて、16日のイタリアの株式市場は銀行株主体に下落した。

 ユーロ圏の債券市場では、イタリア政府の債務帳消しを求めるという奇想天外な要請観測に驚き、16日のイタリアの10年債利回りは前日比0.16%上昇の2.11%と大きく上昇した。これを受けて、スペインやポルトガルの国債も連れ安となったが、ドイツなど中核国の国債はリスク回避の動きから反対に買われていた。

 リフレ派の影響が強く残っている日本ではなく、イタリアがECBに対して政府債務を帳消しにするよう求めるなどということが、本当に起こりえるのか。日本でもし日銀保有の日本国債をなかったものとしたらどうなるであろうか。日銀のバランスシートからみれば、我々のもつ現金や金融機関の当座預金の価値もゼロとなることになる。それ以前に、日本国債への信認が急落し、持っていても償還金や利子が支払われない懸念がある日本国債を保有する投資家が競って売却に走る可能性がある。

 今回のイタリア国債の急落もこういった思惑が背景であろうが、それでもこの程度に収まったのは、債務帳消しの実現性に疑問を持っていたからと思われる。実際に五つ星運動と同盟は16日、草案は古い情報で、詳細は著しく変わったと釈明した。最近の協議では、ユーロ残留に疑問が呈されることはなかったと説明している。当然、イタリア政府の債務を帳消しにすることも実現性は後退したとの見方はできる。

 しかし、それでもこの最悪の組み合わせ政党が、財政再建に力を注ぐことは考えづらい。債務が拡大するであろう懸念は強まることも予想される。それは債務比率が制限されているユーロ残留の条件を無視することにもなりかねず、イタリアのユーロ離脱のリスクは今後も意識せざるを得なくなりそうである。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-18 10:02 | 国際情勢 | Comments(0)

ドル円は110円の壁を抜け、米長期金利は3%の節目を抜けてきた。日本国債への影響は?

 5月15日の米国市場では、米10年債利回り(以下、米長期金利)は一時3.09%と2011年7月以来の水準に上昇し、3%の壁を上抜けた。15日に発表された4月の米小売売上高は前月比0.3%増えたことが要因とされたが、数字は予想通りであり、それほどインパクトのあるものではない。すでに15日の東京時間で米債は売られており、3%という水準を試すような動きとなっていたことで、節目の3%を抜いてテクニカル的に米債売りを誘うような動きと言えた。16日に米長期金利は一時3.10%まで上昇した。

 米長期金利の上昇要因としては、もうひとつ原油価格の上昇もあった。イランを巡る中東情勢が不透明感を強めなか、15日の原油先物市場でWTI先物6月限は35セント高の71.31ドルとなった。こちらも70ドルが目先の節目となっていたが、ここを抜いてサウジアラビアの目標ともされる80ドルへの上昇の可能性も見えてきた。16日のWTI先物6月限は18セント高の71.49ドルとなった。

 15日の米国株式市場は米長期金利の上昇を嫌気して売られたとされるが、この解釈も難しいところがある。地合が良いときには、これまで米長期金利が上昇すると金融機関の業績改善が意識されて銀行株など買われ、買い材料ともなっていた。3%という水準を上回ると想定外との面もあるのか、米国株式市場はやや警戒して売られた面はある。しかし、米長期金利上昇の背景には米国経済の拡大とそれによるFRBの利上げがある。一概に売り要因とは言えない面もあり、ダウ平均は14日まで8連騰となっていただけに、調整売りも入りやすかった面もあるのではなかろうか。実際に16日の米国株式市場では、米長期金利がさらに上昇したものの、ダウ平均は反発し62ドル高、ナスダックも46ポイントの上昇となっていた。

 米長期金利の上昇によって外為市場では、これも大きく節目とされたドル円の110円を突破してきた。直近でも一時的に110円を超す場面はあったが、すぐに押し戻されていた。しかし、15日には110円半ばまで上昇したことで目先の壁となっていた110円を破ってきた。これにより次のターゲットは113円近辺となり、ドル円は上昇トレンドが再開するものと思われる。ただし、北朝鮮が米朝首脳会談の中止を警告するなどしたことで、リスク回避の円買いも入り、ドル円の上昇基調はいったんブレーキが掛かっている。

 米長期金利、原油先物そしてドル円とそれぞれ節目、ターゲットとみられていた水準を抜いてきた。これらは円債にとっては本来であれば売り要因ともなる。円債は米債に連動しやすく、原油価格の上昇は物価の上昇要因となり、円安も同様である。16日の債券先物は売られたものの、150円60銭台と大きく崩れたわけではない。円債の下値が限られる背景にあるのが、日銀による国債の大量買入とイールドカーブコントロールである。しかし、今後は次第にファンダメンタルズや海外の金利動向との乖離が大きくなってくる可能性がある。その際に生じる歪みが、何らかの影響を円債市場に与える可能性も出てくるかもしれないので注意も必要になりそうである。


[PR]
# by nihonkokusai | 2018-05-17 09:55 | 金融 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー