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2018年 10月 01日 ( 2 )

強力な金融緩和によって物価は上がるのか

 9月21日に発表された8月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比プラス1.3%、生鮮食品を除く総合で同プラス0.9%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合で同プラス0.4%となった。

 日銀が物価目標としている生鮮食品を除く総合、いわゆるコア指数は6月の前年比プラス0.8%。7月のプラス0.8%からわずかながら上昇している。

 また総合指数は6月の前年比ブラス0.7%、7月のプラス0.9%から8月はプラス1.3%と大きく上昇している。天候不順よるトマトなど生鮮野菜が値上がりや、さんまなど生鮮魚介の価格も上がったことによる影響が大きかったようである。

 また、コア指数の押し上げにも寄与したのがガソリンなどエネルギー価格の上昇となっていた。原油価格はWTIでみると70ドル近辺で推移しており、原油価格が堅調となっていることも物価の押し上げ要因となっている。

 生鮮食品及びエネルギーを除く総合もプラス幅がやや拡大しているのも、エネルギー価格の上昇などが間接的に影響しているとみられる。

 ただし、9月6日には平成30年北海道胆振東部地震が発生し、台風による被害も大きく、9月の消費者物価指数にはこれらによる影響が出てくる可能性がある。

 日本の物価は一時期の前年比でのマイナスが続くような状況からは脱してきてはいる。その意味ではデフレからは脱却しつつあることは確かであろう。しかし、これが果たして日銀による量的・質的緩和から始まり、長短金利操作付き量的・質的緩和政策と修正が加えられてきた大胆な緩和策が効果を発揮したものと言えるのであろうか。

 それとも別な要因による影響、たとえば米国を主体とする世界的な景気回復による影響、さらにその景気拡大も背景した原油価格の上昇による影響などが大きかったのか。

 中央銀行の金融緩和による物価への影響はタイムラグがあるとの見方もあったが、それについても日本の事例で見る限り、具体的な影響は見えていない。日銀が何度か緩和策を強化してきたのも、物価が思うように上がらなかったことによるものであろう。

 果たして中央銀行の大胆な金融緩和によって、経済全体の需給ギャップや中長期的な予想物価上昇率が改善されて物価が上昇するというシナリオは本当に正しいものであるのか。

 少なくとも大胆な緩和で2%に置いた物価目標は達成されていないことは確かである。それは何故なのか。大胆な緩和策が日本の債券市場の機能低下を引き起こすなど副作用も出てきている。このあたりもう一度しっかり検証する必要はないだろうか。


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by nihonkokusai | 2018-10-01 09:40 | 日銀 | Comments(0)

根強いデフレマインドって何?

 9月18、19日に開催された日銀金融政策決定会合における主な意見が28日に公表された。この際に金融政策の変更はなかったことで注目度はそれほど高くはなかったが、念のため確認したい。

 金融経済情勢に関する意見には次の用なものがあった。

 「貿易摩擦への懸念が高まり、国内では自然災害が相次ぐ中、いくつかの景気先行指標が軟調になるなど、先行きの経済・物価を巡る不確実性が増しており、注視する必要がある。」

 米中の貿易摩擦問題、さらには台風や地震で大きな被害が出ており、これによる影響なども当然ながら意識する必要はある。ただし、ここにきての株価の上昇などをみても、それほど深刻な影響は出ていないように思われる。

 「少子高齢化等の人口動態や労働生産性の動向等と相俟って、自然利子率には先行き低下圧力がかかることが想定される。技術革新の一層の推進により自然利子率を下支えしていくことが重要である。」

 こちらの意見であるが、言いたいことはわかるものの、それに金融政策がどう絡んでくるのか問いたい。

 「需給ギャップの改善を起点とする物価上昇のモメンタムは維持されているが、それが人々の物価観を変えて、フィリップスカーブの上方シフトにつながるには、まだ相当時間がかかるとみておくべきである。」

 日銀の大胆な緩和策が物価に影響を与えるとされる経路について、経路そのものに問題があるような、いつもの意見である。そもそもこの理論そのものに誤りはないのであろうか。

 「物価上昇の遅れは、単純な需要不足ではなく、根強いデフレマインドに加え、供給面の拡大による生産性向上など様々な要因に影響を受けることが判ってきており、先行きの物価を巡る不確実性は一頃より高まっている。」

 こちらも毎度のご意見ではあるが、そもそも「根強いデフレマインド」とは何なのか。高度成長期、景気の上昇とともに物価も上がり、当然のように賃金も毎年のように上がった時期があった。しかし、私のような引退世代ですら、そういった経験はわずかである。何故、そうなってしまったのか。日銀の緩和が足りなかったのか、いやそうではないであろう。

 「根強いデフレマインド」という言葉が一人歩きして、日銀の緩和策の効果を阻んでいるかのような説明であるが、日本が2%という世界標準と日銀が言うところの物価水準を達成できていないのは、日本でも2%という数値が適切なのかという問題とともに、バブル崩壊あたりから雇用体系も変化し、高度成長期と同じような状況ではなくなっており、社会経済構造の変化が大きかったはずである。

 根強いデフレマインドがあるとされるが、割高な一部スマートフォンが売れているなど、高くてもほしいものは購入している。ほしい物にはお金を使うが、そもそもほしいものが生み出されておらず、普段購入する物に対してはなるべく価格が安いものを求めるのは消費者心理であろう。これをデフレマインドと言ってしまうと、デフレマインドのない世の中というものが想像できないのであるが。


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by nihonkokusai | 2018-10-01 09:40 | 日銀 | Comments(0)
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