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2018年 08月 28日 ( 1 )

物価指数を金融政策の羅針盤とするのに疑問を呈したパウエル議長

 今年のジャクソンホールは注目度が低いとのコラムを書いたら、トランプ大統領が注目度を上げてくれた。

 トランプ大統領は17日にニューヨーク州ロングアイランドで開かれたイベントで、FRBが実施している利上げに不満を示したと複数の関係者が明らかにした。これにより24日に予定されていたパウエル議長講演がにわかに注目を集めた。

 24日にパウエル議長はカンザスシティー連銀が主催する経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演し、米経済の成長基調が続くなら「政策金利の一段の緩やかな引き上げが適切になりそうだ」と従来の方針を繰り返した(日経新聞)。

 トランプ大統領は利上げに不満を示したものの、パウエル議長は現在の正常化を進めるスタンスに変化はないことを示した。今回のパウエル議長の発言に対して市場は「利上げペースを速めない姿勢を示唆」と受け止めたようで、24日の米国市場では米国債が買われ、ダウ平均も上昇し、ナスダックに至っては過去最高値を更新した。

 興味深いのはFRBの利上げペースなどよりも、今回のジャクソンホールでの一連の会議のなかで、パウエル議長が示したある問いかけであった。

 「インフレはもはや最良の指針でないかもしれない」とパウエル氏は会議で述べたとされる。パウエル議長は、物価指数を金融政策の「羅針盤」とする従来の考え方に疑問を提示と日経新聞が報じている。

 パウエル氏は中銀が強みとする経済推計の手法も自ら疑問視したとされる。たとえば「自然失業率」の推計などである。

 日経新聞は今回のパウエル議長の発言等について下記のような要因を指摘している。

 「パウエル氏が物価指数や雇用推計の不確かさを指弾したのは、数値に沿って機械的に判断する「ルールベース」の金融政策から、時々の情勢に応じて利上げも利下げも柔軟に決める「実務ベース」の政策運営へと修正するためだ。年4回だった記者会見を19年から年8回に増やし、3か月おきの利上げという現在の機械的な政策運営を変える布石を打っている。」

 パウエル氏は法律専門家であり、金融や経済を専門とする学者ではない。このあたりが前任のイエレン氏やバーナンキ氏と異なるところとなり、ある意味、より実務的な見方をしているのではないかと思われる。

 物価指数そのものに不確かさがあり、物価指数を金融政策の羅針盤とする従来の考え方に疑問を提示したとの姿勢には、かなり共感を覚える。金融政策を数値に沿って機械的に判断して決定することに疑問を感じるのは当然と言えば当然であろう。

 物価目標の2%にどのような意味があるのか。そして、例えば日本の消費者物価指数そのものについての不確かさ等はないのか。機械的に政策を行うことによるリスクはないのか。ぜひパウエル議長には日銀というか現政権にも問いかけてほしいと思うのだが。


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by nihonkokusai | 2018-08-28 09:46 | 中央銀行 | Comments(0)
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