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2018年 01月 29日 ( 2 )

デジタル通貨に向けたあらたな試み

 25日のNHKニュースによると、通信、銀行、保険、小売り、商社、物流に不動産…。幅広い業種から有力企業19社が集結し、「デジタル通貨」に関する包括的なサービスを手がけることになったそうである。

 25日にデジタル通貨に関するサービスを一元的に手がける新会社「ディーカレット」の設立が発表された。この新会社を仕掛けたのは、日本でインターネットサービスを始めた先駆けとして知られる通信会社のインターネットイニシアティブ(IIJ)。そして、新会社に参加する企業は下記となる(NHKニュースより)。

 IIJ、伊藤忠テクノソリューションズ、QTnet、ケイ・オプティコム。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、大和証券グループ本社、野村ホールディングス。第一生命、日本生命、SOMPOホールディングス、東京海上日動、三井住友海上。伊藤忠商事、JR東日本、ヤマトホールディングス、ビックカメラ、三井不動産、電通の合わせて19社。

 まさに名だたる企業が集合した格好となった。この新会社が目指すのは、デジタル通貨を包括的にカバーするサービスだそうである。

 デジタル通貨といえば、ビットコインに代表される仮想通貨を思い浮かべるかもしれないが、この新会社はある意味ブームとなっている仮想通貨を追いかける会社ではないと思われる。むしろ、想定しているのは中国のスマホ決済の「支付宝(アリペイ)」や「ウィーチャットペイ」、スウェーデンでは複数の有力銀行が共同で開発したスウィッシュ(Swish)と呼ばれるモバイル決済ではなかろうか。

 ビットコインの価格の乱高下をみてもわかるように、仮想通貨は通貨としては流動性リスク、価格変動リスク、そして取引所などを含めての信用リスクがあまりに高すぎることで、通貨としての利用は考えづらい。

 しかし、デジタル通貨を店での支払いに使える決済サービスについては今後、日本でも普及する可能性は十分ある。少額貨幣については日本でもキャッシュレス化は進んでいる。しかし、SuicaなどJRのカードやnanacoなどのコンビニのカードなど複数のデジタル通貨が混在していることで、それが普及を妨げている面もある。そういえば今回の19社に小売りが含まれていないのが、やや気掛かり。

 今回のIIJが始めるデジタル通貨がどのようなものであるのか、まだ具体像は見えていないが、これだけのビックネームの企業が参加するとなれば、デジタル通貨というかデジタル決済の基盤が整う可能性がある。ただし、それはあくまでビットコインに代表される仮想通貨などではなく、法定通貨と互換性のあるものでなければならない。デジタル通貨というよりもデジタル決済の利便性を高めれば、アリペイやスウィッシュのような普及が見込めるのではないかと思われる。


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by nihonkokusai | 2018-01-29 09:12 | 金融 | Comments(0)

日銀のイールドカーブコントロール政策の修正はあるのか

 日銀の中曽副総裁は2017年10月18日の講演で次のような発言をしていた。

 「日本銀行では、均衡金利の概念を拡張して「均衡イールドカーブ」を計測し、過去の緩和局面と比較するなど、様々な角度から理論的・実証的な分析を進めています。なお研究途上の課題も少なくありませんが、こうした分析の成果も活用しながら、先行き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、必要であればイールドカーブの形状についても調整を行っていく方針です。」

 日銀のイールドカーブコントロールは、国債の買入によって調整されている。「より少額の国債買入れによって、同じ金利水準を実現できること」も可能との認識により、結果として国債買入額を減少させている。

 さらに中曽副総裁は「日本銀行は、イールドカーブ全般にわたって、様々な期間別の国債買入れを行ってきたほか、特定の金利水準で無制限に国債を買い入れる「指値オペ」という強力な補完的ツールも備えています。」と指摘している。

 日銀が今後、物価の上昇や景気の拡大、さらには米国の長期金利の上昇などを受けて、何かしらの調整を行うとすれば、このイールドカーブコントロール政策の修正がありうる。

 本来であれば民間金融機関の収益を圧迫するマイナス金利政策を修正すべきと考えているが、日銀として軸足そのものは変えたくはないようである。しかし、中曽副総裁発言からは、経済・物価・金融情勢に応じて、イールドカーブを修正する事は想定しているようである。

 出口政策というのではなく、あくまで調整というかたちで、短期ではなく長期の利回り水準を引き上げてくる可能性がある。もし調整するとすればどのような形式となるのか。

 日銀の10年物国債金利の操作目標は「ゼロ%程度」としているが、これまでのオペレーション等からみて、マイナス0.1%からプラス0.1%あたりとなろう。上限はこれまでの指し値オペからみて0.11%か。もし10年物国債金利の操作目標をやや上方シフトさせるとなれば、10年債利回りが0.11%を超えても指し値オペを入れずに、0.2%あたりで指し値オペを入れてブレーキを掛けるという手段を取ることも考えられる。その前に5年超10年以下の国債買入額そのものを減額し、コントロールする可能性を示すこともありうるか。

 ただし、1月9日の国債買入において、超長期ゾーンの国債買入額を減額した際に債券市場は反応薄であったものの、ドル円が50銭程度下落するなど、他市場がやや過剰反応を示した。このあたりも意識して行わないと、イールドカーブコントロール政策そのものの修正はなかなか難しいものとなる。


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by nihonkokusai | 2018-01-29 09:08 | 日銀 | Comments(0)
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