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[ 2013-11 -14 09:52 ]
2013年 11月 14日 ( 1 )
イングランド銀行は四半期毎(2月、5月、8月、11月に)にインフレレポートを発表している。インフレレポート(Bank of England inflation report)はインフレと言ってはいるが、物価の状況だけでなく、景気見通しや金利動向など、中央銀行としての金融政策に関連する経済見通しを公表している。
8月のインフレレポートの発表と同時に、フォワードガイダンスを導入したが、それ以降の英国の経済指標をみると、英国の景気は予想以上に速いペースで回復している。このため市場では、予想よりも早い時期に利上げに踏み切るのではないかとの観測が高まっていた。10月25日に発表された英国の7~9月期GDP速報値は前期比0.8%増加した。これはイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)メンバーが示した0.5%という見通しを上回った。さらに同時期の失業率は7.7%とこちらもMPCの見通しの7.9%を下回っている。しかも長年にわたり英国経済を悩ませてきたインフレ率も、予想よりわずかながら速いペースで低下している。(ロイターの記事を参照)
カーニー総裁は「回復の勢いが鮮明になるまでの間は、金融政策を引き締めるつもりはない」とコメントしており、いまのところは出口を模索するような状況にはない。しかし、13日に発表されたインフレレポートでは、利上げ検討時期の前倒しを示唆し、見通しを良い方向で修正される可能性があることが示唆された。13日のロンドン株式市場では、利上げ時期が予想よりも早まる可能性もあるとの観測が広がり、ロンドン株式市場は大幅下落となった。
英国の10年債利回りは9月5日に約2年ぶりの3%台をつけていた。米10年債利回りも3%台をつけており、米債の下落の影響を受けた格好となる。その後、英国の10年債利回りは2.5%台まで低下したが、ここにきて再び上昇基調となり、2.8%台をつけた。今回もFRBのテーパリング早期開始観測等が影響しているとみられるが、国内要因にも影響を受けていることが考えられる。インフレレポートの内容次第では、英国の10年債利回りが上昇してくる可能性はあったが、13日の英国の10年債利回りは2.85%近辺まで上昇したものの、ほぼ変わらずの2.80%となっていた。
ECBは7日の政策委員会で電撃利下げを決定し、それに対して8日に発表された10月の米雇用統計を受けてバーナンキ議長の任期中のテーパリング開始予想が再浮上した。これについては、イエレン副議長の次期FRB議長就任に向けた承認公聴会の内容も確認したい。そこに今回、イングランド銀行の発表するインフレレポートを受けてイングランド銀行の利上げ観測が浮上してきた。
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