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2013年 01月 29日 ( 2 )

国債整理基金特別会計の基金残高の取り崩しとは

 1月28日の朝日新聞によると、政府は「国債整理基金特別会計」の基金残高約10兆円のうち、7兆円を取り崩し、新年度の国債償還資金にあてる方針を固めたそうである。今年度補正予算で約8兆円の国債を追加発行する影響で、国債発行額が大幅に増えかねなかったため、これを使って、借換債の発行を圧縮する。

 一般会計において発行された国債などは、一般会計からの繰入資金(これが国債費と呼ばれる)を財源として国債整理基金特別会計から利払いが行われる。一般会計から本特別会計への定率繰入や、「特別会計に関する法律」の規定により発行される借換債の発行収入金等を償還財源として、60年償還ルールに従って減債され、国債整理基金特別会計から償還が行われている(財務省のサイト、国債整理基金特別会計より)。

 「国債整理基金特別会計」の基金残高とは、「減債基金」としての基金残高とされており、国債の将来の償還に備えているものである。年度中の不測の事態に備え、基金残高について歳出権を付与しているものの、そうした事態が生じなかったため、歳出されず、剰余金として計上されているものである(財務省資料より)。 国債整理基金特別会計の基金残高は埋蔵金との指摘もあり、以前には財務省から、過去の実績を基に9兆円から10兆円程度の積立金の規模は確保したいと説明もあったが、それを今回7兆円も取り崩す。

 たしかに過去の状況を見る限り、たとえば国債の発行に絡んで不測の事態が起きたことはほとんどない。2012年5月の2年国債入札では事務処理トラブルで再入札となったが、さほど大きな問題ではなかった。 10年国債の入札で札割れが起きたのは、私の著書「日本国債は危なくない」が発売された当日の2002年9月20日、それ以来、10年国債の入札での札割れ等もない。

 さらに万一の危機の際に備えて、政府は日銀との間で、危機の際には短期の資金を貸してもらうことで合意し、29日に日銀は「対政府取引における非常時の一時貸付けに関する特則」を発表した。これは「大規模な災害、電子情報処理組織の故障等の事由により、政府(政府短期証券の発行が認められていない特別会計であって、大規模かつ頻繁に民間からの資金調達を実施しているものに限る。)が既存の対民間債務の借換えのために予定していた民間からの資金調達を行うことができず、政府内において採り得る手段を講じてもなお、当該債務を返済できない事態にある場合に、政府からの要請を受けて行う一時貸付け」となる。 これは期間は原則1営業日、金額の制限等は設けられていない。

 このように処置も行ったこともあり、10兆円もの残高は必要ないのではないかとの見方もできる。しかも、それは財政の穴埋めに使われるのではなく、新年度の国債償還資金にあてるのであれば、本来の目的にかなったものとなる。 この基金残高は政府のバランスシートからみれば両建てとなる。負債となる国債利払いは国債全体の平均金利に対し、基金での運用は短期で0.1%程度の運用利回りでしかないとすれば、これはつまり逆ざやとなり、この分が国民負担となっているとの指摘もあったようである。

 さらに、これで新年度の国債発行額を減少させ、国債の増発圧力を緩和させることになる。政府としても財政健全化を推進していることをアピールできるかもしれない。ただし、10兆円規模あった危機対策基金というべき資金が大きく減少することも確かである。さらにその主因は今年度の補正予算による国債発行によるものであろう。そして、このような埋蔵金は当然なら使えるのは一度きりである。

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by nihonkokusai | 2013-01-29 18:00 | 国債 | Comments(0)

アベノミクスはリスク後退の流れに乗ったもの

 日本ではアベノミクスへの期待から、円安株高が進んでいるとされているが、何度も繰り返すようだが、これはあくまで円安の流れを加速させた要因に過ぎない。昨年からの円安の動きは、欧州の信用不安の後退が大きな要因になっている。

 欧州中央銀行(ECB)は1月25日に、1月30日から返済が可能になる2011年12月の初回の長期リファイナンス・オペ(LTRO)で供給した4892億ユーロについて、278行が合計1372億ユーロを返済すると発表した。この金額は事前予想の1000億ユーロをも上回ったようである(ロイターの記事より)

 2011年12月8日のECB政策理事会で、流動性を供給するため期間36か月の長期リファイナンス・オペ(LTRO)を新設した。12月のLTROによる4892億ユーロの資金供給により、銀行の資金繰りが楽になり、さらにその資金はいずれ国債に向かうであろうとの期待もあり、それがユーロ圏の国債市場を支えた格好となった。

 2012年からにユーロ危機が収束を迎えつつあるのは、このECBによる長期の資金供給策もかなり影響していたとみられる。その資金の返済額が大きいということは、ユーロ圏内の銀行の資金繰りもそれなりに解消に向かいつつあることの現れとも言えよう。

 これを受けて 欧州銀行間取引金利(EURIBOR)先物は、2013~2015年のすべての期間で価格が低下し利回りが上昇した。1年物ユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)は0.22%と6か月ぶり高水準をつけたそうである(ロイター)。

 ドイツの2年債利回りは0.28%まで上昇し、米国の2年債利回りを約2年ぶりに上回った。オーストリアとベルギー、オランダ、フランスの2年債利回りも上昇した。これにより、歴史的な超低金利時代が終焉に向かう可能性が強まったと言える。

 28日にドイツの10年債利回りは1.7%近辺に上昇、英国の10年債利回りも2.1%と再び2%台に乗せてきた。米10年債利回りも28日に一時2%に上昇した。これに対して、スペインやイタリアの10年債利回りは低下基調となっている。

 欧州のリスク後退の動きについては、いまだ疑心暗鬼という方も多いと思われるが、少なくとも最悪期は脱してきていることは確かではなかろうか。ところが、それを示す証拠というか兆候がなかなか見当たらず、今回のLTROでの供給資金の返済の動きがひとつの象徴的な動きと捉えられたものと思われる。

 東洋経済オンラインの「為替は日本の金融政策で自由に動かせない」との記事で、野口悠紀雄氏が昨年1月から最近にかけてのドル円とイタリアの10年国債のグラフを合わせたグラフを掲載していた。これを見れば、ほぼ動きが連動していることがわかる。つまり欧州の信用不安に対しての市場の見方は、イタリア国債の利回りの動きでも示されており、それとドル円の動きが連動していたのである。11月以降の円安ピッチが多少速くなっているが、これはアベノミクスの影響もあったことも確かであろうが、その間のイタリアの国債利回りも低下を続けていたのである。

 今回の円安はどこまで進むのかは、アベノミクスの行方次第とか日銀の追加緩和次第とかではなく、欧州の債務危機の解消の動き次第ということになる。昨年までの急激な円高そのものが、そもそも国内要因によるものではなかった。日銀の緩和が足りなかったとの説もあったが、これは今回の動きを見ても後講釈に過ぎないであろう。アベノミクスで円安、そして株高が起きたと連想すると、今後の日銀への圧力がおかしな格好で掛かる懸念もある。あくまでアベノミクスは世界的なリスク後退のの流れにうまく乗ってきたもの、と考えておいた方が良さそうである。

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by nihonkokusai | 2013-01-29 09:52 | 国際情勢 | Comments(0)
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