牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

2013年 01月 23日 ( 2 )

今度はドイツ連銀総裁からの警告

 先日のドイツのショイブレ財務相に続き、今度はバイトマン・ドイツ連銀総裁が日銀の独立性が危険との警告を発している。

 ロイターによると、バイトマン総裁はドイツ証券取引所が主催するイベントで講演し、そのなかで、日本政府が日銀にさらなる金融緩和を迫ったことは、ハンガリー政府の同国中銀に対する行為と同様、日銀の独立性を危険にさらしていると指摘した。

 ここでハンガリー政府の行った行為とは何であったのかを振り返ってみたい。2011年12月にハンガリー中央銀行の独立性を脅かす新中銀法が可決された。この新法では金融政策を決める政策委員会のメンバーを拡大し、副総裁を2人から3人に増やすことを定めた。また議会は憲法を改正し、中銀と他の金融規制当局を統合し、シモール中銀総裁を統合後の新機関の副総裁に降格させることも可能にした(ロイター)。

 この法案可決を受け、ハンガリー通貨フォリントは急落し、ハンガリーの国債も急落したのである。2012年1月5日のハンガリーでの国債入札で1年物証券の発行が未達となったが、この日にハンガリー政府はIMFおよびEUからの提案について協議し、受け入れる用意があるとし、7月6日に国立銀行法の修正案を賛成多数で可決した。修正案では、金融政策委員会の会合に政府の代表者を参加させることができるという条項、会合前に議事案を政府に提出しなければならないという条項は削除されるなどしたのである。

 バイトマン氏は「両国(ハンガリーと日本)では政府が積極的な緩和を求めて圧力をかけることで中銀の領域に大きく干渉し、その独立性を脅かしている。意図しようがしまいが結果的に為替レートの問題がますます政治問題化する可能性がある」と警鐘を鳴らした(ロイター)。

 このバイトマン氏の発言の背景には、通貨安競争への懸念があるとともに、中央銀行の独立性が脅かされるとなれば、国際的な非難を浴びるであろうことを示唆しているものとみられる。

 今回、政府と日銀は2%の物価上昇率を目標とする共同声明を政府と日銀で取り交わしたが、これはアコード(政策協定)ではないしている。政府も日銀の独立性に配慮する必要性を認識し、日銀としても日銀法改正に向けた動きは断固避ける必要性もあり、2%の物価目標を飲まざるを得なかった面もあると思われる。実際に安倍首相は今回の決定会合で物価目標を設定しなければ、日銀法改正を検討する考えを示していた。

 しかし、今後の日銀の動向次第では、再び日銀法改正の動きが出てくる可能性も否定できない。浜田宏一・内閣官房参与もインタビューで「インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」との発言もしている。

 アベノミクスへの期待は確かに大きい。円安とそれによ株高を招いたと歓迎する声も多い。今回の円安が円高調整の動きで済めば良いが、日本の中央銀行の独立性が脅かされるとの懸念により、本格的な円売り圧力が強まると、ブレーキを踏むことが難しくなる。昨年のハンガリーの事例は、決して他人事ではない。特に今回のように日銀の金融政策のレジームが転換されそうなタイミングでの海外からの警告は無視すべきではないと考える。

 キンドルの電子書籍にて書き下ろしました「超低金利時代の終わり -そして、日銀による国債引受のリスク-」(定価300円)にも日銀の国債引受のリスクについて書いてます。是非、読んでみてください。

「超低金利時代の終わり -そして、日銀による国債引受のリスク-」



*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp


[PR]
by nihonkokusai | 2013-01-23 09:22 | 日銀 | Comments(0)

物価目標設定と追加緩和に見るデフレ脱却の難しさ

 1月22日の金融政策決定会合で、日銀は政府からの要請のあった「物価安定の目標」を導入することを決定し、同時にあらたな追加緩和策として、「期限を定めない資産買入方式」を導入することを決めた。

 物価安定の目標については昨年2月に決めた物価安定の目途を修正し、目途(Goal)を目標(Target)とした上で、その目標を消費者物価指数の前年比上昇率で2%とした。この変更は「柔軟な金融政策運営の重要性に対する理解が浸透している状況を踏まえたもの」としている。つまり今回、日銀はインフレーション・ターゲティングを導入したことになるが、あくまでこれは白井審議委員が先日の講演で解説していたフレキシブルなインフレーション・ターゲティングということになる。この目標に対し「できるだけ早期に実現すること目指す」としたが、政府の意向を踏まえたものであろう。

 2%の物価目標に対して、佐藤委員と木内委員が反対し、7対2の多数決が決定された。会合前に麻生財務相が、物価目標に関して「政策委員の中でも意見の割れるところ」と発言し、反対者がいるであろうことを示唆していたが、それがハト派と呼ばれる佐藤委員と木内委員であったことは意外感もあった。しかも、その反対理由は、成長力強化の取り組み進む前に2%目標掲げると信認毀損すると反対したそうである。

 日銀は物価目標とともに、あらたな追加緩和策として「期限を定めない資産買入方式」を導入することも決定した(全員一致)。これは2014年初から期限を定めず毎月一定額の金融資産を買入れる方式を導入し、当分の間、毎月、長期国債2兆円程度を含む13兆円程度の金融資産の買入を行う。これにより基金の残高は2014年中に10兆円程度の増加となり(国債には償還があり、基金による買入対象国債は中期債のため)、それ以降、残高が維持される格好になる。

 今回の追加緩和は、これまでの方式で言えば買入資産の残高を10兆円増額することになるが、目標が基金の残高ではなく、それを維持するための毎月の買入額に焦点をあてたのは、残高維持のために毎月多額の国債を買い入れることをアピールする狙いがあろう。それとともに「無期限」という表現も使いたかったのではなかろうか。

 今回は石田委員からの超過準備の付利撤廃の議案提示はなく、追加緩和は「期限を定めない資産買入方式」だけであった。

 果たしてこれでどのように物価目標に到達できるのか、その具体的なプロセスが示されているわけではない。あくまで「金融緩和を思い切って前進させる」というどちらかといえば気合いみたいなプロセスを期待しているかに思える。佐藤委員と木内委員が反対したことも頷ける。

 物価目標もフレキシブルなものとなり、追加緩和も表現は異なるが、やることはこれまで通り。これは物足りないと言いたいのではない。このあたりに金融緩和によるデフレ脱却の難しさが表れていると思うのである。

 キンドルの電子書籍にて書き下ろしました「超低金利時代の終わり -そして、日銀による国債引受のリスク-」(定価300円)にも日銀の国債引受のリスクについて書いてます。是非、読んでみてください。

「超低金利時代の終わり -そして、日銀による国債引受のリスク-」



*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。

BLOGOS版「牛さん熊さんの本日の債券」
まぐまぐ版「牛さん熊さんの本日の債券」

講演、セミナー、レポート、コラム執筆等の依頼、承ります。
連絡先:adminアットマークfp.st23.arena.ne.jp


[PR]
by nihonkokusai | 2013-01-23 08:10 | 日銀 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー