牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

2011年 11月 17日 ( 2 )

牛熊ゼミナール金融の歴史第36回 第一次世界大戦におけるイギリスの資金調達

 1914年7月に第一次世界大戦が勃発し、ヨーロッパ大陸諸国の証券取引所やニューヨークの証券取引所が大混乱に陥りました。当時の世界金融の中心地であったロンドンのシティの証券取引所の取引が停止され、為替市場も停止したのです。 この危機に際し、イングランド銀行は公定歩合の引き上げと流動性供給策を行いました。銀行法(ピール条令)も停止され、イングランド銀行に法定限度を超える発券を認め、さらに1ポンドと10シリングのカレンシー・ノートと呼ばれる政府紙幣も発行されたのです。この政府紙幣は戦局が長引くにつれ増発され、物価上昇に要因となるとともに、イギリスにおける金本位制復帰の大きな障害になることになります。大戦中は流通現金ばかりでなく銀行預金も急増しました。

 資金調達のために国債も大量に発行されました。第一次世界大戦に際しイギリスで発行された国債の多くが5%クーポンであったことで、第一次世界大戦が「5%の戦争」と呼ばれたのに対し、第二次世界大戦では主に3%クーポンの国債が発行されたことで、「3%の戦争」と呼ばれました。(富田俊基著「国債の歴史」より)。

 1914年に3.5億ポンドの第一回軍事公債(1928年3月償還)が発行されたのですが、これは償還期限が決められていました。それまで発行されていたイギリス国債の中心は償還期限のないコンソル債であったことで、これ以降はイギリスにおける国債発行の発行形態が大きく変化しました。1915年3月には満期5年の国庫債券が発行されました。

 しかし、国庫債券の発行は次第に低調となったことで、その後国債の発行は短期国債や小口の国民軍事債券の発行が主体になりました。また、イギリス政府は外貨建て国債を初めて発行し、アメリカではドル建ての英仏共同国債がJPモルガンを財務代理人として発行されたのです。また、円建てのイギリス国債(期間3年)が1916年12月に発行されました。アメリカの参戦後は、イギリスはアメリカ政府から直接借り入れを行いました。アメリカは大戦を通じ債務国から世界最大の債権国に転換したのです。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html


[PR]
by nihonkokusai | 2011-11-17 17:38 | 金融の歴史 | Comments(0)

米財政赤字削減案めぐる攻防再び

 米国では11月23日に財政赤字削減策の合意期限を迎える。これは超党派による財政赤字削減のための合同特別委員会(Joint Select Committee on Deficit Reduction)が、今後10年間で最低で1兆5千億ドルの赤字削減の勧告案とその法案を11月23日までに作成しなければならないのである。この特別委員会は民主党・共和党6名ずつの12名の両院議員で構成されている。

 この委員会の削減案に対して、連邦議会は2011年12月23日までに採決される。勧告案に対しての修正は認められない。勧告案を実現するための財政赤字削減法は、2012年1月15日までに成立させなくてはならない。もし、成立しない場合や財政赤字の削減額が1兆2千億ドルを下回った場合は、トリガー条項が発動され、予算の一律削減が実施されることになっている。

 しかし、与党民主党は増税と歳出削減を主張しているのに対し、野党共和党は社会保障改革など主に歳出削減を訴えており増税に消極的である。このため、民主・共和党間の溝が埋まっていない。厳しい増税案を盛り込むかどうかの決定については、来年に先送りする方針として、何らかのかたちで合意に持ち込むとの観測も出ているが、期限まで1週間となってもいまだ先行きは不透明な状況にある。

 8月2日が期限となる債務上限引き上げと財政赤字削減に関する協議でオバマ米大統領と議会指導部は合意に至らず、米国の大手民間の格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、8月6日に米国の長期格付けを最上位のAAAからAA+に1段階引き下げた。S&P関係者は、米国の格付けが今後6か月から2年の間にさらに引き下げられる可能性は3分の1とテレビ番組で述べていた。

 今回もこのような格下げの懸念も出ているが、8月のS&Pによる米国債の格下げの影響が限定的であったこともあり、たとえ2度目の格下げがあったとしてもやはり影響は限定的であると予想される。つまり日本国債の格下げの時と同様に、国債消化に支障を来すような状況にない上、ユーロ圏諸国のような信用不安が生じているわけでもなく、格下げにより、慌てて米国債を売る投資家は限定的であるためである。

 ただし、あまりこのように交渉がもつれていると現在イタリアなど欧州で起きているような信用不安が米国でも生じかねない。いまはなるべく市場には隙を与えないほうが懸命であると思われる。これは他人事ではなく日本でも同様であろう。


*** 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ配信のお知らせ ***

 「牛さん熊さんの本日の債券」メルマガ、通称、牛熊メルマガでは毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。毎営業日3本届いて、価格は税込で月額1050円です。登録申込当月分の1か月は無料でお読み頂けます。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://www.mag2.com/m/0001185491.html
[PR]
by nihonkokusai | 2011-11-17 08:19 | 財政 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー