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2010年 09月 15日 ( 2 )

「EBSを使ったとみられる為替介入と日銀による非不胎化措置」

本日15日午前10時半近くに政府は2004年3月16日以来となる為替介入を実施した。ドル円は10時25分頃つけた82円88銭近辺から一気に83円台後半に。その後も断続的な介入により、ドル円は85円台を回復した。野田財務相は財務省内で緊急会見を開き、「為替相場の過度な変動を抑制するため、さきほど為替介入を実施した」と明らかにした。また、今回は協調介入ではなく日本単独での介入であることも明らかにした。

介入については、個人的にはその効果に懐疑的である。特に単独での介入では、過去の介入同様に投機筋の餌食にされる可能性がある。スイスも介入を行ってきたが、介入すればするほどスイスフランが買われる結果となった。

介入を戦争に例えるのはどうかとは思うが、太平洋戦争末期、戦艦大和の最後の出撃と被る。援軍はなく単独で、しかも大艦巨砲主義の象徴でもあり、結局、航空機の攻撃により沈没。この場合の航空機が今回は投機筋になりうる。もし戦略・戦術が優れ、市場の隅々にまで精通した人材がいて介入指示を行えば、数多の投機筋に対抗しうる可能性はないとは言えないが、それでも円高圧力を腕力で抑えこむには限界があろう。

ただし、今回の介入では2004年当時とは戦術に変化があった。介入の実行部隊となる日銀はインターバンクに協力を依頼せずに、EBSから直接円売りを実行したとの観測がある。EBS(Electronic Broking System)とは電子ブローキングシステムで人を介さず売買注文を端末に入力することにより取引が成立するコンピュータシステムである。これにより過去の介入時のように大手行主体に直接電話で取引するのと異なり、約定後でなければ相手方、つまり日銀とはわからない方法で介入したとみられる。これまでは大手行主体に介入が入りやすく、その分、介入の情報も偏在化していたが、電子取引を使うことでより公平感とともに、隠密性、さらに即時性が高まることとなる。今回はEBSで取引したディーラーがBOJQという相手方のコードを見てかなり驚いたとも伝わった。

今回の介入については日銀も政府の動きに歩調をあわせることとなった。日銀は、今回の円売り介入で市場に供給される資金を吸収しない方針を固めたと一部報道で伝えられ、たまたま本日、講演を行っていた日銀の野田審議委員も介入資金使い潤沢に供給と発言し、いわゆる非不胎化措置を講ずることとなったのである。これはある意味、量的緩和策がイメージされ、日銀が追加緩和を行ったのと同様のアナウンスメント効果があろう。
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by nihonkokusai | 2010-09-15 16:23 | 日銀 | Comments(0)

「為替介入と日米の追加緩和観測と長期金利の行方」

14日にウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、ゴールドマン・サックス・グループが、FRBは早ければ11月にも新たな資産買い入れプログラムを発表する可能性があるとの見通しを示したと伝えた。WSJによると、ゴールドマンのチーフエコノミスト、Jan Hatzius氏が新たな買い入れプログラムについて、「9月21日の会合では予想していないが、11月または12月には発表される可能性がある」と述べ、約1兆ドル規模の米国債を買い入れる公算が大きいとの見方を示した。(ロイター)。

これを受けて14日の米国債券市場では、前日に一時2.85%まで上昇していた10年債主体に買いが入った。10年債利回りは前日比0.090%低下の2.67%に、2年債利回りは同-0.040%の0.50%、30年債利回りは同-0.07%の3.78%にそれぞれ低下した。

FRBの追加緩和観測とそれを受けての米長期金利の低下などから外為市場ではドルが売られ、ドル円は一時82.92円と83円を割り込み、ユーロドルも1.3033まで上昇した(ロイター)。

果たしてゴールドマンのチーフエコノミストによるFRBのバランスシート拡大の可能性はあるのであろうか。それを裏付ける何かしらの情報を握っての発言なのか、それともあくまで推測の域を出ていないのか。

8月24日に米10年債利回りは2009年以来で初めて2.5%を下回ったが、その後は上昇基調となり13日には一時2.85%に上昇している。日本の10年債利回りも8月25日に0.895%と0.9%を割り込んでから9月7日に1.195%と1.2%に接近した。それぞれ絶対水準は違えども、0.3%程度の水準調整が行われたこととなる。

円債の水準調整についてはこれまで言及していたように、小沢氏の民主党代表選出馬表明をきっかけとした財政悪化を意識しての売りがきっかけであり、史上三度目となった長期金利1%割れというバブル相場の反動という面が強かった。それに対して米債の調整については、一部、好調な経済指標の発表などを受けて極端な米経済への悲観論が後退し高値警戒も相まっての水準調整であった。

そんな中にあっての民主党の代表選の結果での菅氏の勝利と、米FRBにより追加緩和観測とそれを受けての円高ドル安は目先の債券相場の転機を示しているとも言える。ユーロに対してはさほど円高とはなっていないものの、ここにきてユーロが静かになっているが、なんらかのかたちでギリシャ問題などが蒸し返されてくる可能性もある。少なくともドル円は83円を割込むなどしており、政府や日銀に対して何らかの対応策が求められ、そのひとつの結果が2004年3月以来となる為替介入であった。

このコラムを書いている最中に単独での日本政府による為替介入が実施された。介入は2004年3月16日以来となる。ドル円は82円90銭近辺から84円台へとドルが大きく上昇した。介入を始めてしまったことにより、当初は効果があれども、一度始めると止められなくなり、投機筋の格好な餌食にされむしろ円高がさらに進行する危惧がある。このあたり過去の介入時の状況を当局はあらためて確認しておく必要もあろう。また、介入資金のためのFB発行増なども意識しておく必要がある

欧米はこれまで実力行使というよりもアナウンスメント効果を意識して自国通貨安を演出してきたが、日本はついに実力行使を始めたことで、欧米当局が不快感を示す可能性もある。いや、むしろ過去の経緯から、これを黙認し介入すればするほど円高進行する状況を見てみることにするのかもしれない。

政府が動いたこともあり、日銀にも追加緩和圧力がさらに加わる可能性は否定できない。しかも、8月30日の会合で新型オペの拡充策を打ち出したばかりであり、別な手段を講じる必要がある。その選択肢としては国債買入増額などが視野に入る。

介入当初はさすがに円安が進み、株式市場にも好影響を与えることにより、債券相場はいったんは上値が重くなろう。しかし、その介入の効果も薄れると日銀へのプレッシャーの強まりにより、再び長期金利に低下圧力が加わる可能性がある。もしFRBによる米国債の買入拡大の実現性が高まれば、米長期金利にも低下圧力が加わろう。

いったんは上昇基調となった日米の長期金利は再び、目先つけた0.9%割れと2.5%割れを試す可能性もないとは言えなくなってきた。日本の財政問題は菅氏の続投により、急激に悪化するリスクが抑えられたに過ぎず、今後は「菅さんでも売り」となる可能性も否定はできないと昨日のコラムでは書いたが、その前にもう一度、債券バブルが復活する可能性も見ておく必要がある。
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by nihonkokusai | 2010-09-15 11:14 | 債券市場 | Comments(4)
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