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2009年 05月 19日 ( 2 )

「金融危機局面において日銀が講じてきた政策」

 日銀は2008年秋のリーマンショック以降の金融危機局面において講じてきた金融政策や金融システム面における措置を「今次金融危機局面において日本銀行が講じてきた政策」としてまとめた。http://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku_cfc/index.htm

 政策金利については、2007年2月21日に8対1の賛成多数で無担保コール物翌日物誘導目標を0.25%から0.5%に引き上げた。反対したのは岩田副総裁。完貸付の基準貸付利率も8対1で0.75%に引き上げた。

 そして、2008年10月31日に無担保コール翌日物金利を今度は0.5%から0.3%に引き下げたが、票決は4対4と可否同数となったため議長が決するという事態となった。また、基準貸付金利も0.25%引き下げられ0.5%に、当座預金に0.1%の金利を付与することを全員一致で決定した。

 2008年12月19日には無担保コール翌日物金利誘導目標値を0.2%引き下げ0.1%とすることを7対1で決定した(反対は野田委員)。基準貸付金利も0.5%から0.3%に引き下げ(全員一致)、超過準備への付利は7対1で0.1%に据え置かれた(反対は水野委員)。

 こうしてみると、この直近3回の政策金利の変更は反対票も出るなどしており、実際には票決以上に意見が分かれていた可能性もありそうである。

 金融市場の安定確保のための措置としては、国債補完供給の拡充、米ドル資金供給オペの導入拡充、国債買現先オペの拡充、補完当座預金制度導入、CP買現先オペ等の対象先への日本政策投資銀行の追加、不動産投資法人債等の適格担保化、政府保証付短期債券の適格担保化、公的部門に対する証書貸付債権の適格担保範囲の拡大などを行なっている。

 また長期国債買入れの増額もしており、2008年12月19日に年間16.8兆円ペースに増額、2009年3月18日に年間21.6兆円ペースに増額し、また長期国債買入れ対象も拡大されている。

 企業金融円滑化の支援のための措置として、CP買現先オペの積極的活用、資産担保CPの適格担保要件緩和、企業金融支援特別オペの導入・拡充、民間企業債務の適格担保要件緩和、CP等買入れ、社債買入れなどを行なってきた。

 金融システム安定のための措置として、取引所市場における売却の停止と金融機関保有株式買入れの再開、金融機関向け劣後特約付貸付を実施している。

 100年に一度といわれる金融危機に際し、日銀もこれでもかと施策を次々に打ち出してきたことがわかる。これにより日銀のバランスシートも大きく変化してきている。いずれ出口に向けての戦略も必要になると思うが、
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by nihonkokusai | 2009-05-19 10:19 | 日銀 | Comments(0)

「不可解なムーディーズの日本国債の格上げ」

 米格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは18日に、日本政府の自国通貨建て債務(JGB)格付けをAa3から引き上げる一方、外貨建て債務格付けをAaaから引き下げ、両者をAa2に統一すると発表した。

 つまり、円建ての日本国債の格付けをAa3から1段階引き上げ、上から3番目のAa2としたのである。ムーディーズの日本国債の格付変更は昨年6月に1からAa3に1段階引き上げて以来となる。Aa2となったことで日米欧の主要7か国では単独の最下位からイタリアに並ぶこととなった。

 今回の格上げ理由について、ムーディーズは家計の貯蓄率が高く、国債の買い手が多いこと。金融危機による金融機関の損失が欧米に比べ小さく、財政への影響が限られること。2007―08年の大量償還を順調に乗り越えるなど、国債管理政策が適正に実行されていることなどを挙げた(日経新聞)。

 1998年11月以来の日本国債の格下げ理由も良くわからなかったが、今回の格上げ理由も良くわからない。家計の貯蓄率が高く、国債の買い手が多いことはすでに1998年以降全く状況に変わりはない。金融危機による金融機関の損失が欧米に比べ小さく、財政への影響が限られることというのはリーマン・ショックで日本国債の格付を引き下げていたはずではないはず。2007―08年の大量償還を順調に乗り越えるなど、国債管理政策が適正に実行されていることに関しては特に1998年の運用部ショック以降、適正に実行されてきていることは確かであるが。

 今回、ムーディーズは外貨建て債務格付けをAaaから引き下げ、両者をAa2に統一すると発表しており、他の国では自国通貨建と外貨建ての格付が別々というのは例がなくそれを統一したのも今回の自国通貨建の格上げの要因のようであるが。それはあくまで技術的なものであろう。

 今年7月からは2009年度補正予算にともない17兆円規模の国債が増発される。市場ではさすがに過去に例のない規模の増発だけに警戒感も強い。国債需給悪化が予想されるため、日本政府にムーディーズが配慮したのではとの見方があるが、かつて意見書を送りつけた日本の財務省にムーディーズが今になって配慮するとはむしろ考えづらい。

 それよりも今頃になって自国通貨建てと外貨建てを統一したことは、何かしらの別な背景があったとしてもおかしくはない。自国通貨建ては結果としては格上げとなることで、つまり背景にはムーディーズが自国の米国債の格下げをしたくないため、日本国債と米国債の格付格差を縮めたのではないかとも疑われてもおかしくはない。
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by nihonkokusai | 2009-05-19 09:45 | 国債 | Comments(0)
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