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2009年 05月 07日 ( 3 )

「ナショナル・バンク」

 今朝のテレビ東京のモーニング・サテライトに出演した五味前金融庁長官が最後の方で、日本は政府の管轄による「国立銀行」でスタートし、米国のような民間でスタートしたわけではない旨の発言があったが、この発言は事実と異なる。以下、拙著の「金融のことがスラスラわかる本」より、関連箇所を抜粋してみたい。

 米国の北部政府はグリーンバックの増発によるインフレ抑制のため、1863年に国法銀行が設立され、国法銀行による銀行券発行について規定する全国通貨法が制定されました。国法銀行は資本金の3分の1に相当する国債を購入し、これを担保に財務省から担保国債の価格の90%に相当する銀行券を発行したのです。1864年には同法を改正した国法銀行法により、銀行券の兌換は19の準備都市の銀行において集中的に行うこととされました。(日銀「中央銀行と通貨発行を巡る法制度についての研究会」報告書より)

 これによって南北戦争以前の複数通貨がグリーンバックと銀行券が流通する単一通貨の制度となったのです。この国法銀行制度を取り入れたのが日本から渡米し、現地視察を行った伊藤博文です。伊藤の建議により1872年12月に国立銀行条例が定められました。

(以上、「金融のことがスラスラわかる本」第5章より)

 銀行の設立も明治政府にとり大きな課題となりました。民間からも銀行設立の願いなどが相次いでいたのです。日本における本格的な商業銀行は、明治維新後に誕生した第一国立銀行とされています。明治政府は大蔵少輔伊藤博文の建議に基づいて、アメリカのナショナル・バンク制度にならった発券銀行制度を導入することとしました。

 この銀行制度の導入にあたっては、この伊藤案に対して、イングランド銀行をモデルにした中央銀行制度を導入すべし、とした吉田清成との間で銀行論争が闘わされていました。結局、井上馨の裁断によって、伊藤案が採用されることとなったのです。伊藤案を起案した人の中には、銀行界の中心的な人物となる渋沢栄一もいました

 1872年(明治5年)11月、国立銀行条例を制定しました。そして、国立銀行4行が設立され、銀行券発行が始まりました。銀行券の発行条件が厳しかったことなどから当初設立されたのは4行だけでしたが、条例の改正などにより全国的に銀行設立ブームが起こり、153行もの国立銀行が誕生しました。

 国立銀行という名称は、第一国立銀行の初代頭取となった渋沢栄一によりナショナル・バンク(連邦法に準拠して設立された銀行)の訳語として作られたのですが、文字通りの国立の銀行ではなく、政府とは資本関係のない民間の銀行でした。

(以上、「金融のことがスラスラわかる本」第6章より)
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by nihonkokusai | 2009-05-07 10:39 | 短期金融市場 | Comments(3)

「日経ヴェリタス」

 日経ヴェリタスに「牛熊ブログ」と「債券ディーリングルーム」を私の写真入りで紹介していただいた。うれしいような恥ずかしいような。これをきっかけに再び「債券ディーリングルーム」にアクセスいただいた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、いまだに毎営業日、こつこつと更新は続けております。また、この記事をきっかけに初めてご覧いただいた方々も含め、今後も是非、アクセスいただけるとうれしいです。

 4月18日と25日には幸田真音さんのラジオ番組にも出演させていただくなど、久しぶりにマスコミ関係に顔(声)を出させていただいた。すでに「債券ディーリングルーム」は開設してから14年目に入る。ややマンネリ化している面もあると反省している反面、アクセスいただいて何も変わらずにいることでむしろほっとされる方もいらっしゃるかもしれない。今後も更新を続けて行きますので、引き続き「牛熊ブログ」と「債券ディーリングルーム」をよろしくお願いいたします。
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by nihonkokusai | 2009-05-07 09:49 | 自己紹介 | Comments(2)

「当面の債券相場の見通し」

 経済産業省が4月30日の朝方発表した3月の鉱工業生産速報は前月比プラス1.6%と6か月ぶりのプラスとなり、市場予想も上回った。同時に発表された製造工業生産予測調査予測では、4月がプラス4.3%、5月はプラス6.1%となった。これを受けて経済産業省は基調判断を、「急速に低下」から「停滞している」とやや上方修正した。製造工業生産予測調査予測では、4月がプラス4.3%、5月はプラス6.1%となっていたように、1~3月期が目先の底となり、4~6月期にかけて景気はやや回復してきているとの見方が強まっている。

 また5月1日に発表された3月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、前年同月比で0.1%の低下となり、2007年9月以来、1年半ぶりに前年比マイナスとなった。また、完全失業率は4.8%と前月比0.4ポイントの上昇となり、3月の有効求人倍率は0.52倍と前月を0.07ポイント下回るなど雇用情勢は引き続き悪化を示した。 日銀が4月30日に発表した展望レポートでは、「最近に至り、在庫調整の進捗などを背景に、世界的に景気の下げ止まりに向けた動きがみられ始めている」との表現があった。

 景気に対してはまだまだ予断を許さない状況ながら、日経平均株価は9000円台に乗せるなど、景気回復への期待も徐々に強まってきている。

 この景気回復への期待や国債需給への懸念などを受け、債券先物は4月に入り138円を割り込み、昨年11月以来続いてきた138円から140円近辺でのレンジ相場から下に抜けてきた。ただし、今度は新たに136円50銭から137円50銭というレンジを形成してきた。長期金利では1.4%から1.5%のレンジ相場となっている。

 補正予算に伴う国債発行計画については、ほぼ市場のコンセンサス通りとはなったが、今年度の税収見積もり修正などによる年末に向けてのさらなる増発も確実視されている。実際に7月以降とみられる国債入札動向を見極めたいとの投資家も多く、国債への需給懸念も債券相場の上値を抑えた。また、今後の米国債需給への懸念と米景気回復への期待などから、米10年債利回りは3%台に乗せ、米債安も円債の売り要因となった。しかし、投資家の押し目買いも下値では控えており、下値も限られ、その結果としてレンジ相場を再び形成してきた。

 今後は引き続き国債需給や景気動向、株価や為替の動向を睨みながらの展開となろうが、国債需給への懸念が払拭できない反面、投資家の動向次第では戻りを試すことも考えられ、当面は長期金利での1.35%から1.55%の動きを予想している。
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by nihonkokusai | 2009-05-07 09:22 | 債券市場 | Comments(0)
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