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2009年 03月 10日 ( 2 )

「財政規律派の一時公演中止」

与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は10日の閣議後の会見において、「政府としては信用収縮に対して断固として立ち向かう」と述べた。東京株式市場の下落を受けての株価対策については、ひとつは株価そのものを支えるもの、もうひとつは、株価下落による信用収縮など副次的な作用への対策と述べた(ロイター)。

そして「財政規律派の仕事としては、昨年末の中期プログラムの策定でとりあえず一時公演中止というところだ」とも述べた。与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は言うまでもなく財政規律派の一人であり、持論である財政再建路線を棚上げする意向を強調する発言が出たことは注意が必要となる。

与謝野氏は、消費税率の引き上げを含む税制抜本改革の道筋を示す中期プログラムが昨年12月に策定されたことで、財政規律は守られるとの見解も表明したものの、短期的には、経済危機の最中にあって「今は、経済回復のためにあらゆる政策手段を取るという一般的な合意に沿って行動する」とし、国債増発による景気対策を意識した発言となった。

政府与党は25兆円規模の追加経済対策を検討しており、その財源には埋蔵金の活用などはすでに限度があり、経済対策に伴う財源の多くは新規の国債発行によって賄われると思われる。

さらに、政府は昨年末に税収見通しを7兆円余り下方修正したが、法人税を中心に最終的な税収不足が兆円単位に膨らむおそれがあると毎日新聞などが伝えている。リーマンショックにより、さらに景気の急速な落ち込みが続いており、国の2008年度税収が見積もりを下回る可能性が強まっている。政府は今年度当初予算で一般会計税収を約53.6兆円と見積もっていたが、すでに昨年末の2次補正予算で約46.4兆円に減額した。

しかし、その後の景気の急速な落ち込みにより、昨年12月と今年1月分の法人税収は前年水準の約7割に落ち込んでいる。2008年度税収が判明するのは5月から6月頃となるが、2次補正予算の見通しを兆円単位で下回る可能性がある。その分も新たな国債発行などにより賄われる。

欧米の債券市場は政府による危機対応のための国債増発による需給悪化懸念が、債券相場の上値を抑えている。この状況は円債も同様かとみられ、今後は数兆円規模での増発圧力がかかる可能性があるため、国債需給の動向が債券市場にとり今後も大きな注目材料となりそうである。
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by nihonkokusai | 2009-03-10 13:18 | 国債 | Comments(0)

「物価連動国債」

3月10日の日経新聞によると、財務省は需要が低迷し現在新規の発行を停止している物価連動国債に対し、その商品性を見直す検討に入ったと伝えている。物価が下落しても元本を保証する制度を2009年度にも導入する見込みとのこと。

これまでの物価連動国債は、元金額が物価の動向に連動して増減する。つまり、償還額は償還時点での想定元金額となり、表面利率は一定だが、利子の額は利払時の想定元金額に対して表面利率を掛け算したものとなるため、物価上昇により想定元金額が増加すれば利子の額も増加するといった仕組みになっている。

2004年3月から日本でも発行された物価連動国債の購入者は、主にヘッジファンドなどの海外投資家となっていた。国内投資家が物価連動国債の購入に慎重になっていたのは、そもそも国内投資家がインフレに連動する負債を持っていないことに加え、元本が保証されていないことにより、より満期保有ができないという商品性にとところが大きいかった。

ところが、海外投資家がサブプライム問題などによる金融市場の混乱により、保有していた物価連動国債を売却したことにより、価格が急落し、買い手が不在となったことで流動性そのものが欠如する状況となり、財務省は2008年9月以降、物価連動国債の新規発行を凍結するという事態となったのである。

物価連動国債は欧米などでは広く普及している。アメリカやドイツ、フランスでは価格下落時に元本を保証する「フロア」の設定といった元本保証を導入していることで、市場参加者からは元本保証など商品性を変更した上での発行再開を望む声も強い。

ただし、国内投資家に潜在的なニーズがなければ、これまで同様に海外投資家主体の保有となりかねない。さらに今後の日本におけるデフレ観測も強く、インフレヘッジのための商品に対するニーズそのものも強まるかどうかは不透明とみられる。

財務省は、将来、個人向けの物価連動国債発行も視野に入れているようである。しかし、日本の個人投資家はそれほどインフレリスクを意識しての資金シフトはあまり行なってきていないように思われる。さらに債券投資において個人は変動利付に対して、個人向け国債の10年変動タイプの売れ行きなどを見ても嫌う傾向にあるように思われる。個人への物価連動国債の普及も、そりメリットが強く認識されない限りは現実としてはかなり難しいのではないかと思われる。
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by nihonkokusai | 2009-03-10 13:17 | 国債 | Comments(2)
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