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2008年 07月 22日 ( 2 )

「債券先物のシステム障害」


 本日の債券先物は寄り前から一部の端末で、立ち上がらなかったり板が見えないなどの障害が発生していた。しかし、寄り付き時点では回復し、売り気配でのスタートとなり先週末比37銭安の136円19銭で寄り付いた。その後、136円11銭から136円24銭の間で動いたものの、その後再び債券先物等東証の先物関連が一部通信障害が発生したことで取引が9時21分に取引が停止した。そして債券先物は13時45分に136円13銭で取引を再開した。

 債券先物が動かなくなると、債券相場の居所や方向性を探る指標というか目安がなくなり、債券市場は機能不全に陥ってしまう。現実に前場での店頭での現物取引も閑散となったとみられ、日本相互証券での現物取引もほとんど出合いがない状況に陥った。このように債券市場にとって債券先物は非常に重要な機能を有している。国債の発行額からも世界的に非常に規模の大きな日本の債券市場なだけに、それが機能不全になるような状況は出来る限り避けてほしい。

 債券先物は後場に入り次第に上値が重くなり、あっさりと136円も割り込んだ。14時半近くには、ややまとまった売りが債券先物に入り、この時間に先週末比88銭安の135円68銭に下落した。同じ時間帯に、日経平均先物もやはり出来高を伴っての買いが入り、13180円に上昇。その後引けにかけて、再び日経平均が先物主導で上昇してきたこともあり、債券先物は一時先週末比91銭安の135円65銭をつけ、大引けは86銭安の135円70 銭となった。一方、日経平均先物は、一時先週末比380円高の13230円まで上昇した。どうやら、債券先物買い、日経平均先物売りのポジションを組んでいた投資家がそのポジションを外してきた可能性がありそうである。これは債券先物のシステム障害が嫌気されて、債券先物に絡んだポジションを外してきた可能性も否定できない。

 東証はこのシステム障害原因について、21日までの連休中にシステム改良をした際にプログラムミスが発生したのが原因と説明した。こういったシステム障害によって、海外投資家が日本への投資を嫌気するような状況をもたらす可能性がないとは言えない。

 また債券先物の建て玉が以前に較べて大きく減少したのは、債券相場が非常に値動きが激しくなり、債券先物を使ったヘッジが難しくなったことで、国内投資家や業者が先物を使ってのヘッジを避けるようになったためと思われる。この債券の値動きの荒さの大きな要因は、米サブプライム問題に起因する米国での金融不安などによる相場変動によるものだが、それとともに今年に入っての債券先物のシステム変更に伴って、以前に較べて値動き自体が速くなってしまったことも市場参加者からは指摘されている。

 今回の障害をきっかけに国内の債券市場を支えている債券先物のシステムそのものを再度見直して、より安定的なものにするだけでなく、使いやすいものにしてもらいたいと思う。
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by nihonkokusai | 2008-07-22 16:55 | 債券市場 | Comments(0)

「内外情勢調査会における白川日銀総裁講演より」


 内外情勢調査会における講演において、日銀の白川総裁は、エネルギー・原材料価格の上昇という供給ショックに対して金融政策運営面でどう対応すべきかの考え方を示している。

 白川総裁は1970年代の石油ショックの経験なども踏まえて、先進国中央銀行間で共有されているオーソドックスな考え方として2つのポイントを指摘している。

 「第1に、供給要因に基づく輸入コストの一時的な上昇に対しては、金利引き上げで抑え込むことは適切ではない、第2に、インフレ予想の上昇などを通じて二次的効果が発生する惧れがある場合には、金利引き上げで対応すべきである」

 今回の商品市況の上昇は、中国やインドなど新興諸国を中心とした世界的な需要増加によるものであり一時的なものではない。このためインフレ予想などを通じての二次的効果( second-round effect)が発生するかどうかが注目点となるとしている。

 そして白川総裁は輸入コスト上昇の下での金融政策運営という点で3つの判断ポイントを指摘している。

 第1、原材料価格の高騰に伴う所得流出による内需の減少と、新興国・資源国を中心とする世界経済の強さを背景とした輸出の増加という2つの異なる方向の力が、日本の景気に及ぼす影響をどうみるか、

 第2、そうした景気情勢が物価に与える影響をどう評価するか、

 第3、国際商品市況の上昇やその下での現実の物価上昇が、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動をどう変化させるか

 この3つの判断ポイントを指摘した上で白川総裁は次のように述べている。

 「現在のような経済情勢の下での金融政策運営について、よく「景気・物価の両睨み」という表現が使われます。しかし、単に両者のバランスをとるという折衷的アプローチではありません。景気と物価が異なる動きを示す際、金融政策運営上の判断基準が必要ですが、日本銀行を含め多くの中央銀行は、上述の第3のポイント、すなわち、予想インフレ率の安定が確保されているかどうかを重視しています。」

 つまり物価の上昇リスクと景気減速のリスクが高まる中にあり、それぞれのリスクを注視する必要があるが、金融政策の運営にあたっては「予想インフレ率の安定が確保」されているかどうかがポイントとしている。「現状、、賃金の伸び率は前年比1%前後と落ち着いており、他のデータと併せて考えると、二次的効果が発生している訳ではないと思います。」と白川総裁は指摘している反面、「日本の経済主体のインフレ予想が変化する可能性も否定できません」としており、そのリスクもないとはいえない。しかし、そのリスクが顕在化するまでは「利上げ」という選択肢は選びにくい半面、そのリスクを完全に否定できない限りは景気を重視しての「利下げ」という選択肢も取りにくい。以上のことから、当面の日銀の金融政策運営は「様子見姿勢」ということになるのであろうか。
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by nihonkokusai | 2008-07-22 10:05 | 日銀 | Comments(0)
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