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2008年 03月 06日 ( 2 )

「債券相場の見通し」


 米国のサブプライム問題、モノラインと呼ばれる金融保証専門の保険会社に対する問題に端を発しての米金融市場の混乱と、米国経済の先行きの減速懸念はさらに強まっています。

 バーナンキFRB議長は、不振が続く住宅市場の現状について「資産価値のマイナスが広範囲にみられる点で、過去とは違う」と述べ厳しい状況にあるとの認識を示しました。そして、金融機関に対してサブプライムローンの借り手の救済を巡り、元本のカットを含む追加策の検討を求めるなど、FRB総裁が具体策に言及するなど異例ともいえる発言を行なっています。

 ここにきて米国で発表される経済指標は景気の悪化を示すものが多くなっています。たとえば2月26日に米国のコンファランスボードが発表した2月の消費者信頼感指数は75.0となり2003年3月以来の低水準に落ち込みました。向こう6か月の先行き景況感をみる期待指数は69.3から 57.9へと落ち込み、これは湾岸戦争が始まった1991年1月以来の約17年ぶりの低水準です。住宅市場の低迷継続や雇用の減少、さらにガソリンや食品価格の上昇が景況感を悪化させたものとみられました。

 3月5日に発表されたベージュブックでも、2008年はじめから2月下旬にかけて「米経済の成長が減速した」との総括判断を示し、前回報告より景気の減速感をはっきりと認める形となりました。

 こういう状況下、日本経済に関して日銀の水野審議委員は講演で、「個人的には、わが国経済は、現在、内憂外患に直面しているため踊り場的な状況にあり、幾分長引く可能性もある」と指摘しています。

 内憂外患の「内」については「定率減税廃止による可処分所得の減少」、「改正建築基準法や貸金業法の施行を始めとする制度改正の影響」、「原材料価格の上昇によるマイナスの影響」を指摘していますが、2008年には定率減税廃止による影響と制度改正の影響は剥げ落ちるとしています。

 しかし、「米国経済の減速は巷の想定よりも長引く可能性がある」として外患による景気下振れリスクは、今後むしろ高まると見込まれると水野委員は指摘しています。

 日本で発表された経済指標を見てみますと、2月28日に発表された1月の鉱工業生産速報値は前月比-2.0%の109.8と市場予想を下回りました。また、3月5日に発表された法人企業統計では2007年10~12月期の設備投資は7.7%減と企業収益の悪化に伴って3四半期連続のマイナスとなり、2007年10~12月期のGDPが二次速報で下方修正が確実な見通しとなっています。

 ただし、2月29日に発表された1月の「2人以上の世帯の家計調査」では、1世帯あたりの消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比3.61%と2か月連続のプラスとなるなど、ここにきて消費は堅調ともなっているなど、日本経済については総じて足踏み状態といった状況にあります。

 日本の物価に関してみてみると1月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比+0.8%となりました。前年同月比での上昇は4か月連続となります。1月の指数を押し上げたのは、ガソリンや灯油、さらに電気代と都市ガス代、プロパンガスを合わせたエネルギー価格の上昇が大きく影響しています。

 ここにきて米国の原油先物が史上最高値を更新するなどしており、4月から農水省は輸入小麦の値上げも発表するなど、今後もさらに物価上昇圧力は強まるものとみられます。

 こういった外部環境の中にあり、債券相場は1月25日から続いていた長期金利での1.4%から1.5%のレンジを下に抜けるかたちとなり、2月29日には1.320%と1.3%近くまで利回りが低下しました。

 米国の信用収縮への懸念が強まったことで米株の下落や、ドル円が102円台をつけるなど円高圧力も加わり、日経平均が13000円の大台を割り込むなどしたことで、債券は買い進まれました。

 3月の国債大量償還や3月期末を控えての投資家の買い需要の強さも相場の押し上げ要因となり、2年債利回りは3月3日に0.525%まで利回りが低下し、5年債利回りは3日に0.790%と再び0.8%を割り込みました。相対的に超長期ゾーンは重かったものの、20年債利回りも3日に 1.985%まで買われ昨年11月以来の2%の大台割れとなりました。ここにきての債券市場も米国市場の動向の影響を受けやすくなっています。米国債の動向とともに、外為市場やその影響を受けての株式市場の影響も受けやすくなっています。

 ただし、レンジ相場を抜けてからは、投資家需要などに応じての現物債の動きも活発化しつつあります。3月4日に入札された10年国債の利率は1.4%と2006年1月以来の水準となったものの入札そのものも無難な結果となり、投資家の買い需要も強いものとみられます。

 そういった投資家の需要が下支えとなりそうですが、2年の0.5%も5年の0.8%、10年の1.3%といった水準を大きく割り込むには、あらためて日銀による「利下げ」が意識されないことには難しいともみられます。

 現状、日本経済の先行きもやや不透明ながらも米経済ほど懸念が強まっているわけでもありません。日本におけるサブプライム問題の影響は軽微ながらも東京市場の株価の下げが突出している面も気になりますが、株価対策のための利下げも考えづらいことも確かです。債券は買い一巡後は再び上値も重くなり、長期金利は1.4%台に戻すと予想しています。
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by nihonkokusai | 2008-03-06 13:39 | 債券市場 | Comments(0)

「物価の上昇に注意」


 1月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比+0.8%となりました。前年同月比での上昇は4か月連続となります。

 消費者物価指数とは、世帯の消費生活に及ぼす物価の変動を測定するもので,家計の消費支出を対象としています。

 消費者物価指数の中で、最も注目されているのが全国消費者物価指数の「生鮮食品を除く総合指数」(コア指数)と呼ばれるものです。日銀の展望レポートの予想値や事前にエコノミストなどが予想している数字も全国消費者物価指数の「生鮮食品を除く総合指数」の前年同月比の数字です。天候による豊作や不作などの影響で価格変動の大きい生鮮食品を除くことで、物価の動向が捉え易いため、この数字が重視されているのです。

 全国消費者物価指数(生鮮除く)のこの一年間の推移を見てみますと、2007年3月は前年同月比-0.3%、その後、4月から9月まで同 -0.1%が続いていました。しかし、10月に同+0.1%と前年比プラスとなってからは、11月に同+0.4%、12月は同+0.8%、そして2008 年1月も同+0.8%とここにきてプラス幅が拡大してきています。

 1月の指数を押し上げたのは、ガソリンや灯油、さらに電気代と都市ガス代、プロパンガスを合わせたエネルギー価格の上昇が大きく影響しています。

 ニューヨーク市場での原油先物価格が1バレル100ドルを突破して過去最高値を更新してきていますが、これは投機的に資金が流入しているといった指摘もありますが、その根本的な背景には、中国やインドなど新興国の急速な経済成長があります。まさにこういった新興国が石油をがぶ飲みし、こういう需要が原油価格や貴金属などの価格を押し上げているのも事実です。この傾向は当面続くものとみられています。

 また、私達の身の回りの食料品などの値上がりも浸透しつつあり、そのため個別品目では小麦を原料とするスパゲティ、食パン、即席めんなどの価格上昇や菓子類などの価格上昇も消費者物価の押し上げ要因となっています。こうした生鮮食品を除く食料による物価押し上げが、1月には0.2%分ありました。 4月から農水省は輸入小麦の値上げも発表しています。このため今後も生鮮食品を除く食料による物価押し上げといったものは継続するものとみられます。

 ただし、総務省が発表している、食料エネルギーを除く消費者物価指数(通称、コアコア指数)は前年同月比0.1%の下落となっており、こういった原材料や資源高の影響を除いた物価のマイナス基調は変わっていません。このため、大田経済財政担当大臣も「デフレ脱却に向けて足踏みが続いている」として、デフレ脱却といった認識にはなっていないようです。

 物価の上昇は欧米諸国ではかなりの懸念材料となっていますが、米国のサブプライム問題に端を発した米国経済の減速懸念が強く、米国の中央銀行であるFRBは物価上昇よりも景気回復を優先させるため利下げを行なっています。ただ、この利下げがいずれ物価上昇を加速させる恐れもあることで要注意です。

 日本の物価も生産者物価指数で見ると実は欧米並みに上昇しています。ところが長らくデフレが続いていたことで、企業はなかなか値上げに踏み切れず企業努力によって価格転嫁を抑えていました。しかし、それにもさすがに限度があり、今後もいろいろなものの値上げが続くものとみられ、これも消費者物価指数の押し上げ要因となります。

 日本ではまだインフレ警戒といったものは出ていませんが、今後の消費者物価指数の動向には注意を払う必要がありそうです。
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by nihonkokusai | 2008-03-06 13:35 | 景気物価動向 | Comments(0)
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