牛さん熊さんブログ

bullbear.exblog.jp ブログトップ

2007年 08月 22日 ( 3 )

「市場の動揺が沈静化すれば日銀は9月にも追加利上げを実施か」


 米サブプライム問題は、一部ヘッジファンドの破綻や欧米金融機関の資金繰りの問題に発展し、さらにヘッジファンドなどがリスクリダクションの動きを加速させ、欧米やアジアの株式市場を直撃した。日経平均は7月9日の高値18261.98円から8月17日までに3000円近く下落した。円キャリートレードの巻き戻しになどにより、ドル円は直近のドルの高値6月22日につけた124円17銭から8月17日には111円57銭をつけ、わずか2か月余りで12円以上もの円高となった。

 長期金利も低下し、6月13日につけた1.985%から8月21日な1.540%をつけ、0.4%以上もの利回り低下となった。5年債利回りも6月13日の1.605%から8月17日つけた1.085%をつけ0.5%以上もの利回り低下となった。

 今回の米サブプライム問題に端を発する信用収縮への懸念は、日本の金融機関などへの影響は限定的とみられているが、欧米の株式市場の下落や、円キャリートレードの巻き戻しなどによる円高などから、とりあえず国内でも安全資産への資金シフトが生じたものとみられる。米国でのCPからTBへの資金シフトなどは欧州の銀行などが、担保にサブプライムモーゲージが含まれているCPを発行することで資金を得てCDOなどを購入していたことが影響していた。しかし、日本国内でのCPの金利上昇や、レポレートが上昇するなどしたことは、やや過剰とも言える反応であった。

 日本の金利低下の背景には、8月22日から23日にかけての金融政策決定会合での追加利上げ見送り観測といったものも影響した。市場の混乱が落ち着けば利上げは可能とみられていたが、8月17日にはFRBは公定歩合を0.5%引き下げるなどしており、タイミングとしても日銀の追加利上げは難しくなった。

 しかし、長期金利が量的緩和解除前の水準にまで低下したことは、やはり過剰反応と見ざるを得ない。今回の米サブプライムの問題は今後の米住宅市場のよりいっそうの悪化や、それに影響されての消費低迷に繋がる恐れがある。しかし、世界的な景気トレンドが大きく変わるとまでは考えにくい。世界経済に占める米国経済の寄与度もひところに較べれば大きく低下している。日本の輸出を見ても米国向けが減少しても、それを他の地域向けが補っている。

 とはいうものの、米国経済が大きく落ち込むようなことになれば、欧州やアジア経済全体への影響も少なからずあるため、その動向にも注意は必要だが、やや懸念が先走りしすぎている感もある。21日に米リッチモンド地区連銀総裁は講演で「最近の市場の混乱が消費支出を減速させる確率は比較的小さい」とも述べている。

 信用収縮への懸念は引き続き予断は許さないものの、市場は次第に落ち着きを取り戻してくるとみられる。米公定歩合の引き下げに加え、21 日にはポールソン米財務長官とバーナンキFRB議長、ドッド上院銀行住宅都市委員長が会談し、FRB議長が市場混乱の沈静に向けて確実に全ての手段を講じる姿勢を表明したとも伝えられた。

 金融当局が本腰を入れて対策に乗り出すことが明らかとなったことで、漠然とした市場参加者の不安感や不信感は次第に後退すると思われる。この相場波乱に乗じて仕掛け的な動きをしていた市場参加者もいたことで、そういったポジションのまき戻しといった動きも入りやすくなる。

 とはいうもののサブプライムローンに代表される米国住宅ローンの問題が改善されるわけではなく、またCDOといった複雑な金融商品に対してのリスク評価や格付といった問題も残る。9月18日のFOMCもしくはそれ以前でのFRBによる利下げ、つまり今度は政策金利であるFFレートの誘導目標値そのものの引き下げを期待する声も強い。しかし、CDOなどのリスクの所在がはっきりしないといった不透明感そのものを利下げで払拭はできない。物価については引き続き慎重に見ておく必要もあり、景気減速がしっかり確認できない状況では利下げは難しいと思われる。米リッチモンド地区連銀総裁は講演で「市場の混乱だけでFF金利の変更が迫られることはない」とも発言している。

 ただし、日銀は「市場の混乱だけで」今回は利上げは見送らざるを得なかった。しかし、オーストラリア中銀のスティーブンス総裁の言にもあったように「日銀は金利を引き上げていくべき」という声も強い。そもそも今回のリスクリダクションに伴う株価の急落等の市場の混乱は、日銀の超低金利政策による影響も指摘されている。円キャリートレードのアンワインドといった動きも今回の混乱を加速させていたものとみられる。

 日銀は9月18日から19日にかけての金融政策決定会合であらためて追加利上げを模索してくるものとみられる。ただし、9月6日には ECB理事会や9月18日のFOMCの動向次第では、日銀の金融政策への影響も出てくる可能性がある。仮に6日のECBでり追加利上げが見送られ、18日のFOMCで利下げが実施された際には、日銀だけが利上げを行なうことは難しくなろう。もちろん国内のファンダメンタルの状況といったものの確認した上でのこととなるが、ECBの利上げ、FOMCでの現状維持といった状況でなければ、日銀の追加利上げは難しいと見ている。しかし、市場が落ち着きを取り戻すことによって9月の日銀の利上げは可能であろうと思われる。

 こういった環境化、今後の長期金利の動向については、急激な低下の反動といったものが起こってくると見ている。また、次第に9月の追加利上げ観測が浮上してくるとやはり大きく利回りが低下した中期ゾーンの利回りも上昇してくるものとみている。このため、長期金利は水準調整が行なわれるとみており、10年債利回りはいったん1.7%台あたりまで上昇すると見ている。しかし、市場の動揺が鎮まらないようであれば、引き続き債券には買いも入りやすくなり、米実態経済への影響が顕著になるなどすれば、長期金利がむしろ低位安定してくる可能性もないとは言えない。
[PR]
by nihonkokusai | 2007-08-22 14:00 | 債券市場 | Comments(0)

「買ってはいけない国債が買われる理由」


 国債は、「やっぱり危ない」、「買ってはいけない」という本が売れているようである。「日本国債は危なくない」という本を出させていただいたことで対抗意識を出すわけでも、むこうの方が売れているようなので僻んでいるわけでもない(たぶん)が、現実の金融市場を見る限り、買ってはいけなく危ない国債はしっかり買われている。特にサブプライムショックに起因した「危機」に直面したマーケットの中で、「危ない」はずの国債が「質への逃避」で買われているのはなぜなのか。

 これは金融市場にある程度関係している人にとっては、何を今更ではあろうけど、それでも世の中では、「やっぱり危ない」と考えている方も多い。

 ということで、これはどちらかといえば金融市場関係者以外の方に読んでいただきたいのだが、国債には買われる理由がしっかり存在しており、金融のプロと呼ばれる金融関係者にとっては、決して危ないものとか買ってはいけないものでも、暴落を想定しているものではない。

 金融機関にとり、ほかに買うものがないのではないかとの意見はある意味当たっている。兆円といった単位で買える金融商品は国債以外には見当たらない。とは言うものの、金融機関はしかたなく買っているわけではなく、しっかりとした運用手段として購入している。

 さらに国債に対して信認が得られているという事実もある。この信認が維持されなくなれば暴落はありうる。しかし、国債暴落説が流れてから何年経過しているであろうか。その兆候は全くと言ってよいほど市場動向を見る限り、ない。

 むしろ、今回の状況を見ていても、危機対応としてCPといった企業の発行する社債などから、TBつまり短期国債への資金シフトが起きるなど、金融機関がより安全性を求める際には国債を買っている事実をどのように考えれば良いのか。

 それでは、金融機関は国債の危険性をまったく認識していないのか。サブプライム問題に絡んでのCDOなど複雑化した金融商品のリスクの測定が難しいように、国債という金融商品に対してのリスクも金融機関は認識していないのではないかと思っている方もいるのかもしれない。

 しかし、国債の信認は発行体である国への信認そのものとなり、リスクといったものははっきりしている。特に日本では巨額の債務を抱え、それが大量の国債発行残高へと繋がっている。その国債への買い手がいなくなれば、確かに国債は危なくなり暴落もしよう。しかし、この発行残高が維持されているという事実は、とりあえず信認が維持され、買い手が存在していることにもなる。ちなみにその買い手は国内金融機関、つまりは預貯金、生損保、年金などを経由した国民である。

 国民のお金を利用して国債を買い支えているシステムを国が作っているので、なんとか信認が保っているとの見方もある。しかし、現在は国債引受シンジケート団も廃止されており、金融機関の引き受けで買い支えられているわけでもない。日銀も毎月1兆2千億円の国債を市場から買っているが、これはあくまで金融調節の一環であり、日銀が国債を買い支えているわけでもない。

 国債は、買ってはいけないものとか、危ないものにするのではなく、国の財政構造改革などにしっかり国民が目を配って、買っても安心なもの、危なくないものと我々がしなければならないものなのである。
[PR]
by nihonkokusai | 2007-08-22 10:57 | 国債 | Comments(0)

「イングランド銀行のスタンディング・ファシリティの利用」


 英国のイングランド銀行は21日に、前日20日スタンディング・ファシリティを通じ、金融機関に対して3億1400万ポンドの資金を貸し出したと発表した。ロイターによるとイングランド銀行は貸し出し先を明らかにしなかったものの、関係筋によるとこれを利用したのは英国内で第三位の銀行バークレイズだった模様。ただし、この借り入れは流動性危機に対応したものではなく、当日の銀行勘定をスクェアにするための措置であったとみられる。前回同制度が利用されたのは7月17日で、年初来では13 回目。

 スタンディング・ファシリティ(預金・貸出制度)は、イングランド銀行が銀行に対して政策金利であるレポレート(現在5.75%)より、100bp高い金利で限度なしに貸し出す制度である。日本での補完貸付、米国でのプライマリークレジットに該当するものとみられる。
[PR]
by nihonkokusai | 2007-08-22 10:56 | 短期金融市場 | Comments(0)
line

「債券ディーリングルーム」ブログ版


by nihonkokusai
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー