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「政府紙幣についての白川総裁発言」

白川総裁は3日の記者会見で政府紙幣に関する質問に対して下記のように答えていた。

「政府紙幣の発行は、その仕組みの如何によって、実質的には将来の返済が必要な資金調達である「国債の市中発行」と同じとなるか、あるいは、通貨の信認を損なうなど大きな弊害を伴う「無利息永久国債の日銀引受け」と同じとなるか、そのいずれかになるものと考えられます。」

政府紙幣の発行を主張している者は当然ながら、国債という借金を増やしたくないがための政府紙幣を主張しているとみられ、この場合に「国債の市中発行」ではなく、通貨の信認を損なうなど大きな弊害を伴う「無利息永久国債の日銀引受け」形式のことを意識しているとみられる。この「無利息永久国債の日銀引受け」形式に対しての白川総裁の意見は下記の通り。

「政府紙幣」が市中から日本銀行に還流してきたときにも、仮に政府がこれを回収せず、日本銀行に保有させ続けるという形で「政府紙幣」が発行されるというケースを仮想的に考えてみますと、この場合、確かに政府は回収のための財源を必要としないことになります。しかし、この仕組みは、日本銀行に無利息かつ償還期限のない政府の債務を保有させる点で、「無利息の永久国債を日本銀行に引受けさせる」ことに等しく、大きな弊害が生じます。この弊害の中身、意味合いについてですが、日本銀行券の裏付けとなる日本銀行の資産として、無利息かつ転売不能な資産を保有することとなり、円滑な金融調節が阻害されたり、日本銀行の財務の健全性が損なわれたりすることへの懸念を通じて、通貨に対する信認が害されるおそれがあります。また、政府が、日本銀行による国債の直接引受けと同じ仕組みにより恒久的な資金調達を行うことが、国の債務返済に係る能力や意思に対する市場の疑念を惹起し、長期金利の上昇を招くおそれもあると考えられます。

要するに政府紙幣の発行により、日銀に政府の借金を押し付け、物価の番人つまりは通貨の番人たる日銀の信用を大きく傷つけ、通貨価値そのものに加え政府の信用の毀損による国債価格の暴落に繋がりかねない面を指摘している。過去の歴史を振り返れば、政府紙幣はいったん発行されれはその信認を意識しての発行とはならず、乱発しての財政拡大によるインフレを招くことは必然であろう。そもそも国債という借金を増やしたくないという責任逃れの発行ともなり、いったん発行されてしまうと財政規律などが意識されること自体考えられない。

その費用も紙幣の一枚あたり製造費用は20円程度と言われるが、それはあくまで印刷が可能になってからの話であり、偽札防止のための特殊な印刷が必要であり、その初期費用も馬鹿にならない。しかも、市中銀行などではATMでの利用を可能にするための費用などもかかる。そもそも日銀券と政府紙幣が混雑すること自体、不便極まりない。とにかく政府紙幣の発行などはなんとしてもやめていただきたい。
by nihonkokusai | 2009-02-05 10:01 | 日銀
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