「世界的な資金の流れの変化」
ニューヨーク原油先物価格が7月11日につけた147.27ドルをピークに下落基調となった。世界的な景気減速が動きの背景にある。米サブプライム問題を発端とした米金融市場の混乱は、米住宅市場を直撃し、原油など商品価格の上昇が個人消費にも影響を与えた。このため米経済が減速し、欧州や日本の景気後退も鮮明となってきた。
日欧米の景気後退により、原油などに対する需要が後退するとの観測から、原油先物価格が下落傾向となり、それまで円やドルで資金を調達し、原油などの商品や資源国の株式などに振り向けていた投資家の資金が一斉に引き上げられ、ポジションの撒き戻しの影響で外為市場でのドルや円の上昇し、新興国の通貨下落も引き起こした。
ヘッジファンドなど損失を蒙った投資家も多かったとみられるが、その影響なのか8月の債券先物市場では数千億円ものポジションで短期的な売買を行い市場を混乱させるような投資家の動きも見られた。債券は短期的な上げ下げはあったものの、質への逃避などの動きから総じて堅調地合となっている。ただし日本の景気後退観測も債券にとってフォローの材料となっているが、日銀の利下げまでは意識されておらず、高値警戒感もある中での動きともなっている。