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「日銀決定会合での物価上昇に対するその背景と政策対応についての討議内容」


 本日発表された議事要旨によると5月19、20日金融政策決定会合では、物価上昇に対するその背景と政策対応についての討議が行なわれたようである。下記の決定会合の内容とともに、少し古い資料となるが2001年10月に日銀が発表した「物価の安定を巡る論点整理」(http: //www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/data/spri03e.pdf)と比較しても面白いかもしれない。ちなみにこの「物価の安定を巡る論点整理」を著したのは白川方明企画室審議役(当時)と門間一夫企画室政策調査課長(当時)となっている。もちろん現在の白川日銀総裁と門間調査統計局長である。

 (5月19、20日金融政策決定会合議事要旨より)「委員は、エネルギー・原材料価格の上昇に起因する物価上昇について、その背景と政策対応について討議を行った。」

 「ある委員は、現在生じている一次産品価格の上昇は、需要ショックと供給ショックの2つの面で日本経済に影響を及ぼしており、これらのショックが持続的に続いていることに特徴があると述べた。この委員は、一次的な供給ショックについては、インフレ予想の変化を通じて二次的な影響が生じないのであれば、必ずしも金融政策で対応する必要はないというのが教科書的な回答であるが、現在は、持続的で複合的なショックが生じているため、政策対応は難しくなっていると述べた。」

 「何人かの委員は、現在生じている一次産品価格の上昇の背景には、新興国の高成長というファンダメンタルズがあり、日本経済にとっては、輸出増加という需要ショックと輸入品価格の上昇という供給ショックの両方をもたらしていると述べた。これらの委員は、こうした需要ショックと供給ショックが、マクロ的な需給バランス全体にどのような影響を与えていくのかについて丹念にみていく必要があると述べた。」

 「また、ある委員は、一次産品価格の上昇は、相対価格の変化をもたらし、資源配分の調整を促すが、消費者のインフレ予想や企業の価格設定行動次第では、一般物価水準の大きな変動につながるリスクもあるので、これらの動向に注意しながら、金融政策運営を行う必要があると述べた。」

 「また、こうした物価情勢において、どのような物価指標をみていくことが適当かについても議論が行われた。」

 「ある委員は、持続的なエネルギー・原材料価格の上昇が生じている現状では、それらを除いた米国式のコア消費者物価指数は、物価の実勢を表していない可能性がある点には十分留意する必要があると述べた。」

 「別の委員は、重要なことは、ヘッドライン消費者物価の中長期的なトレンドを把握する上で、どのような指標が有効であるかという観点であると指摘した。」

 「また、別の委員は、そうした中長期的な消費者物価のトレンドをみる上では、生鮮食品を除く消費者物価指数や刈り込み平均指数が有益であると述べた。」

 「また、ある委員は、現在のように川上から川下に価格転嫁が進んでいく状況では、企業物価指数も引き続き重要な指標であると述べた。」

 「これらの議論を経て、委員は、様々な物価指標を丹念に点検しつつ、消費者物価のトレンドを把握することを通じて、中長期的にみて物価安定のもとでの持続的成長を目指すことが適当であるとの見方で一致した。」
by nihonkokusai | 2008-06-18 09:35 | 日銀
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