「債券先物の仕掛け的な動き」
20日に債券先物は朝方の137円12銭から137円88銭まで買戻され、翌21日には今度は136円94銭と137円割れまで売り込まれた。特に材料が出たわけではないにも関わらず両日とも午後寄り付き後にまとまった売買が入り大きく値が動いたことで、株先も絡めての仕掛け的な動きが入ったとみられる。
この仕掛け的な動きは日経新聞などが報じたところによると、複数のCTAと呼ばれるヘッジファンドによる仕掛け的な動きであったと観測されている。債券先物、日経平均先物とも数千枚から1万枚程度の売買が仕掛けられたとの観測もある。ただ結果とすれば、債券先物の20回の買い仕掛けに対し21日は下げて寄り付き、その21日はさらに売り仕掛けが入ったものの、当日の米国市場では米債が大幅上昇となったことで22日の債券先物は大幅上昇となるなど、仮にオーバーナイトポジションを持っていたならば大きな損失を蒙っていたはずである。
過去の債券相場もこういった一部市場参加者による仕掛け的な動きが入ったことがある。1987年の10年89回国債の売買などその典型的な例となろう。89回債のディーリング相場は私も片隅で参加していたが、なかなかダイナミックなものであった。しかし、それが結果としてタテホショックなどを生じさせる原因ともなった。
特に先物やオプションはレバレッジ効果もありある程度の資金があれば、こういった大きな仕掛けも可能となる。しかし、追随してくる投資家などが存在しない限り、結果として一人芝居となり、その結果大きな損失を蒙ってしまいかねない。今回の先物主体の仕掛けは、投資家の動向や相場の地合といったものを無視して力づくで行なってきたともみられ、一時的なものに止まるのではないかとみている。