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「1京円を超す債券市場」


 2007年の日本の債券売買高が先物取引を除くベースで初めて一京(けい)円の大台を突破した。

 1987年にも債券売買高が1京円に接近との記事が経済新聞などに掲載された。この際の1京円は債券先物の売買高を合わせた数字であったが、当時は債券のディーリング相場が活況を呈し、その売買高の多くが大手証券や銀行による自己売買によるものであった。

 1986年11月に国債の指標銘柄として、10年国債の89回債が登場し、市中向け発行量は2兆7075億円が当時としてはかなり大型の指標銘柄であったことから、1987年に入り、債券市場はこの89回債を中心に、いわゆるディーリング相場となり、証券会社や都銀などが積極的に売買を繰り返した。

 1987年5月に89回債は10年債でありながら、当時の代表的な短期金利でもある公定歩合の2.5%に接近したが、ここで債券バブルは終焉し、この2.550%が当時の10年国債の最低利回りとして記録された。1987年の債券の総売買高は先物を合わせて、7370兆円にまで膨らんだのである。

 その後、債券バブルの崩壊とともに、債券の売買高は減少していった。国債の発行額そのものは増加してきたものの、売買高は低迷し続けていたのである。しかし、2004年以降、債券のレポ取引や現先取引が拡大してきたことで、公社債売買高は再び過去最高を記録するようになった。

 2006年には、3月に日銀の量的緩和政策の解除や7月のゼロ金利政策の解除などが実施され、短期金融市場が息を吹き返し、それにより短期金融市場の中心的に取引でもある国債を使った債券の現先取引が活発化していった。このため、債券売買高が拡大し、この年は債券先物の売買高を合わせて1京円の大台を突破した。

 そして2007年に入ると、2月の日銀の追加利上げもあったが、それとともに米国のサブプライムローン問題を背景に債券売買高そのものが拡大したことで、銀行や海外投資家の売買が活発に行われてきた。その結果、債券の売買高を集計している日本証券業協会によると2007年11月の段階で、債券先物を加えずに債券売買高は1京1149兆円と1京円の大台を突破した。

 日本の債券市場の規模そのものが、いかに大きいものであるのか、この数字を見ても明らであるが、この売買高の背景には日本の国債の発行残高が巨額であるという事実もあり、一京円を突破という市場の活況を手放しでは喜べないことも事実である。
by nihonkokusai | 2008-01-08 13:05
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